Re: 幸せな気持ち ( No.1 ) |
- 日時: 2009/12/30 22:37
- 名前: tamb
- 「あんたたち、いい加減そろそろ手を繋ぐ以上の事はしてるの?」
ある日、惣流さんが私に向かって唐突に言った。
「どうして?」 「イライラすんのよ。あんたたちを見てると」
私たちは別に惣流さんの心の平穏を目的に行動しているわけではない。そう思ったけれ ど、口にはしなかった。無闇に波風を立てる必要はない。私も少しは大人になったのだ。 それにしても、“手を繋ぐ以上の事”とは具体的にどんなことなのだろうか。
「それくらい自分で考えなさいよ! 言っとくけど、人目につかないところですんのよ!」
彼女はそう言って少し頬を赤らめ、洞木さんのところに歩いていった。 無責任にも程があると思う。
「綾波、帰ろうか……どうかしたの?」 「ううん、なんでもない」
私は首を振り、笑顔を作って立ち上がった。
帰り道、碇くんが何を話し掛けてきても私はうわの空だった。そして必死に考えていた。 手を繋ぐ以上の事。人目につかないところで――。
裏道に入り、人気が途絶えた。 今だ、と私は思った。
「惣流さんに」 「アスカがどうかしたの?」 「手を繋ぐ以上の事はしたのかって、聞かれた」
碇くんが驚いたように足を止めた。周囲を見回している。やはり人目を気にしているの だろう。
「碇くんも、手を繋ぐ以上の事、したいと思うの?」 「そ、そりゃあ、僕も、お、男だし……。綾波はどうなの?」 「したい」
私はそう言って繋いでいた手を解き、彼の腕を取った。私の右手と碇くんの左手を絡ま せ、頬を肩に寄せてみた。さらに左手で碇くんの左手をつかみ、抱き寄せるようにしてみ る。密着感が高まり、幸せな気持ちになった。 腕を組む。手を繋ぐ以上の事――。 自分の想像に間違いはないと、私は確信した。こんなにぴったりくっついている所は、 たぶん人に見られてはいけないのだろう。
碇くんが天を仰いだ。彼も幸せな気持ちにひたっているに違いない。
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