[822] 逆行 ボツ
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- 日時: 2021/08/07 23:14
- 名前: tamb
- 「シャケが川を登るのでしょう?」
「それは遡行だよ。逆行とは違う」 「……前を向いたまま後ろに進むこと?」 「それは確かに逆行だな」
我が意を得たりと綾波がうなずく。
「でも、ここでいう逆行っていうのはそれとは違うんだ。簡単に言うと、過去に行くってことだよ。タイムトラベルとでも言うのかな」 「それは理論的に可能なの?」 「様々な議論があるよ。でもここでは一応可能ということを前提としよう」 「過去に行くと何かいいことがあるの?」 「それも難しい問題だね」
僕は虚空を見つめる。
「例えば、間違った判断で人を死なせてしまったという事象があった時、その判断を修正してその人を救うことができるよ」 「その場合」彼女は真剣な目で言った。「その人が死んでしまったという事実のある現在はどうなるの?」 「それも難しい問題で」僕はため息をついた。やれやれ。「生じる矛盾をタイムパラドックスって言うんだ。親殺しのパラドックスが有名だよね。つまり過去に行って自分の親を殺したらどうなるのかという話なんだけど、これにも様々な議論があるよ。そもそも親を殺すのは不可能であるという説、世界線が分岐するという説――」 「まって」綾波はにわかに瞳を輝かせた。「世界線が分岐?」 「そう。親を殺せば殺した自分は存在しないから、自分のいる世界といない世界があることになる。親を殺した自分は異なる世界線から来たことになるよ。これは自分から見ると自分のいない世界が新しく分岐したと解釈できる」 「その世界で、親殺しとかと関係のないわたしはそれぞれ存在するのよね」 「そうだね」 「世界線の数だけわたしが存在する」 「そうなるね。微妙に記憶とかは異なるかもしれないけれど」 「みんなで集まってお茶とかできる?」 「逆行ができるという前提なら、それも可能なんじゃないかな?」 「あいたい。みんなに」 「あってどうするの?」 「碇くんの悪口とか陰口を言う」 「なるほど」 「どうしたらいいの?」 「具体的な逆行の方法はわからないからなぁ。世界線の移動も難しいね。あくまで仮説だしね。乳酸菌に聞くしかないかな。あ、ATフィールド展開しても無理だと思うよ」 「けち」
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