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[523] 1111111ヒット記念企画
日時: 2010/05/14 20:26
名前: tamb

 というわけで、このスレは1111111ヒット記念ぷち企画ということで、1111111ヒットにか
こつけて何か適当に書いてみませんかというスレでございます。

 お題は「1111111」から連想されるものなら何でもOK。単に1でも問題なし。綾波レイが7人
行進して来るでもOK(笑)。とにかく何でもOK。

 サイズ等の制限は基本的になし。それこそ100文字でもOK。ただし読むのに五時間とかかか
るような大長編はご遠慮ください(笑)。あと連載もダメ。書き上げて一気に投下してください。
ゲンレイもダメ(笑)。18禁もアウトです。

 感想とかの反応もこのスレで。結果的に割り込みになっても気にしなくてOK。

 一見さん歓迎です。お気楽にどうぞー。もちろん常連さんも歓迎。

 これはという名作が出てきたらサルベージも考えます。異常な盛り上がりを見せたら通常企
画に変更もありえるかも!

 締め切りは、そうだな、2000000ヒットまでかな。一日平均350くらいだから……ま、そのく
らい先です(笑)。

 こんなもんかな? 何か質問とかあればこのスレでお願いします。

 というわけでよろしくお願いします。盛り上げましょう。私もこれから考えます。

 最後に、提案してくださった名も無きROM氏に感謝を。

-------------------------
締め切り修正します。2000000ヒットまでだと長すぎるんで、10周年記念企画発動までに変更です。
ま、だいぶ先ですよね(笑)。
メンテ

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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.1 )
日時: 2010/05/14 22:41
名前: JUN

おおお。初企画です。僕にとっては。
完成したらこのスレッドに投下すればよいと。
頑張ります。或いは複数になってしまうかもしれません。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.2 )
日時: 2010/05/14 23:12
名前: タピオカ

レイは畳に寝転がっていた。


「シンちゃんまだかなぁ……」










(帰って来たらすぐキスしてあげよ)

悪戯っぽい笑みを浮かべるレイ。








(私はやっぱり、シンちゃんが“一番”好きなんだ)

そしてまたニヤニヤするレイであった。



《あとがき》
どーも。タピオカです。
この度は記念企画という大層な企画に投稿させて頂き、ありがとうございました!この作品は、僕自身が雑談掲示板に記入させて頂いた、「100文字以内」と「 リナレイ」という無謀なお題を片付ける為に書きました。書いてみて初めて、“書く”という事の大変さが分かりました。変な事言ってすみませんでした。m(__)m

さて作品についてですが、やっぱり「100文字以内」が厳しく、密度の薄いほのぼの系とも呼べないような作品になってしまいました。しかも101文字だし……ww
でもまあ、これからの、作品フルコースの前菜と考えて頂ければ嬉しいです。101文字の方も“1”って事で許して下さい。(笑)

これからも宜しくお願いします。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.3 )
日時: 2010/05/15 19:48
名前: JUN

Rami Written by JUN

非日常というのは往々にして突然訪れるものである。音信不通だった父からの突然の呼び出し然り、使徒襲来然り。
 しかしながら、そういう出来事の前にはシンジの身にも何かしらの予感めいたものがあった。他人との接触を避けた人生の中で、そういったことを予期する能力を無意識に身に着けていたのかもしれない。
 だが、そんなシンジも、今回の件については全く予想だにしなかった。思いがけない事態に、阿呆の如く口をぱくぱくさせるしかなかった。五分後の再起動の後、シンジの口からようやく飛び出した言葉は、
「どういう、こと……?」
 当然の帰結といえる。作者もそう言う。仕方なかろう。
「……みゃあ」
 玄関先に正座する、猫耳レイの前では。








 事態は昨日に遡る。シンジとレイは偶然帰り道で出会い、肩を並べて下校していた。そんな折、シンジは道端に小さな影を見つける。
「あ、猫だ」
 シンジは嬉しそうに言って、抱きかかえる。猫が「なー」と可愛らしく声を上げた。
 クリーム色をしたその猫は、赤い首輪をつけており、シンジの喉に小さな頭をこすりつけていた。
「かわいいね」
 そう言って細い毛に指を絡ませられる猫を、レイはどこか恨めしそうに見つめる。
「碇くん、猫、好きなの?」
「うん、犬も好きだけど、猫の方が好きだな。癒されるし。犬みたいに一緒にお風呂に入れないのが残念だけど、一緒に寝られたら気持ちいいし」
 照れくさそうに言うシンジに、レイはさらに質問を続ける。
「飼ってたの?」
「いや、そういうわけじゃないけどね。飼えたらいいなとは思うよ。けど、あのマンション、ペット禁止だし」
「そう……」
「ほら、捕まえてごめんね。元気でね!」
 シンジが捕まえた手を放すと、猫はすばやく道端の塀を飛び越え、消えていった。
「ごめんね綾波。待たせちゃ――って?」
 
レイはもう、いなかった。






 そして現在に至る。黒い猫耳、肉球のついたこれまた黒色の大きな手袋。大きな段ボールに正座し、首にはこれも段ボールで出来たカードをぶら下げている。それにはマジックで
『飼ってください。躾のよく出来た猫です。噛みません。一緒にお風呂も入れます。よろしくお願いします。どんな飼い主にもよく懐きますが、短い黒髪でS-DATを聴くようなエヴァンゲリオンパイロットに特によく懐きます』
 
他でもない、綾波レイの筆跡だった。

「どうしたの?あやな――」
 
ギロッ

氷の目線が、シンジを射抜く。こめられたメッセージは、“その名で呼ばないで”

「……ね、ネコちゃん」
「にゃあ!」
 何の冗談だ、これは。またリツコが何かしたのか。いや、多分違う。リツコなら完全にネコにするだろう。だがこのレイ――もとい猫はシンジの言葉を理解している。詰まるところ、コスプレに分類される行為である。
 固まったシンジを見て、レイは不満げに頬を膨らませ「なー!」と声を上げる。シンジは我に返った。
「あ、ああ。ごめん。で、何?これ」
 レイ――ネコちゃんは答える代わりに、カードに書かれた“飼ってください”の文字を指でなぞった。
 
 ――何か言っても無駄なんだろうな、多分……

 シンジは重いため息を吐き、無理に笑顔を作った。
「じゃ、じゃあおいで。ネコちゃん」
 ネコちゃんはにこっと笑って立ち上がり、シンジの手を取った。
 
 ――二足歩行しちゃってるし……

 律儀に心の中で突っ込みを入れる。が、口には出さない。賢明な判断だ。





 ――さて、これをどうしようか……
 
 畳の上にちょこんと正座したネコちゃん――以下レイ――を見下ろしながら、シンジは悩んだ。アスカの帰りがこれほど待ち遠しかったのは初めてかもしれない。
 そもそも何をしに来たのかが謎だ。泊まる気……なのだろう。段ボールの中には替えの制服があった。
「そ、それでネコちゃん。……名前がいるな」
 その考えに至った時、騒々しく玄関の扉が開いた。
「たっだいま〜」
「あ、アスカ。待ってたよ……」
「あん?何よシンジ。珍しい。いつもはうるさいって――え?」
「……にゃあ」
 
時が、止まった。


「こっ、これは、何の冗談なの?」
 シンジと全く同じ時間を費やした後、アスカはやっと口を開いた。
「……こっちが訊きたい」
 力のないシンジの言葉に、アスカは座ったままのレイに声をかける。
「ちょっと、レイ――」

 ぎろっ

「う……」
 
 すごい、アスカをたじろかせた。シンジは意味もなく感動する。
「あの、ネコって設定らしいんだ。だから、名前を呼ぶと怒るんだよ」
「は?設定?」
「と、とにかくそういうわけだから、名前をつけなきゃ」
「あんたばかぁ?考えるべきはそこじゃないでしょうが!」
「そ、そうなんだけど、とりあえず、ね?だって絶対帰らないよ。このあや――……ネコちゃん」
「……はあ。そうね」

 アスカも納得する。それでいいのか。
「……で、なんにしよう」
「“レイ”はだめよね。もちろん」
「“綾波”もね」
「じゃあ、Rei Ayanamiで頭文字取って、“ア○エ”なんてどう?」
「なんだか怒られそうな名前だね。アーティストに」
「じゃあ……」
 うーん、とアスカが考える人のポーズを取る。なかなか絵になっているのはアスカだからであろう。
「“ラミ”なんてどう?」
「ラミ?なんで?」
「ほら、あんたたちが仲良くなったのはあの、ほら、なんだっけ?ああ、そうそうヤシマ作戦がきっかけなんでしょ?あの時の使徒の名前は?」
「ラミエル……あっ」
「そういうこと。まあ、どうせ暫定的なものなんだし。すぐ、れ……ラミだって正気になって帰ってくわよ」
「だと、いいんだけどね……」
 シンジがそう言うとアスカは優雅に玄関へと身を翻す。
「あれ、アスカ。何かあるの?」
「ごめん、今日から暫くヒカリの家に泊まるから。よろしく〜」
「えっ!?ちょ、アスカ――」
「じゃね!」
目にも止まらぬスピードでアスカが玄関を出る。ばたん、と扉が非情な音を立てて閉まる。シンジには何故かその音が、死刑判決に聞こえた。

――逃げた

これが共に使徒と戦ったものに対する仕打ちなのか。仮にもファーストチルドレンが異常事態だというのに。シンジはがっくりと肩を落とした。これからどうしよう、そんなことを考えながら振り向くと、やはり先ほどと同じように、レイはその場にちょこんと正座していた。


【case1:碇シンジの場合】

――どうしよう……

シンジは途方に暮れた。レイの頭についた黒い猫耳、先ほどは見えなかった黒い尻尾、黒く肉球のついた手袋。猫耳は心なしかぴくぴくと揺れているように見える。どんな仕組みなのか。
 するとレイは正座したまま器用にすすすっとシンジの足元によってきて、
「……にゃあ」

 う。

 ――かわいい……

 演技なのか何なのか、その手袋で顔を洗ってみせる。小さな舌を出して肉球をなめている。

 そしてこれがまた――シンジのツボにド真ん中ストライクだったりするのだ。

 元々猫は大好きなシンジである。そして同じく――伝えてはいないが――大好きなレイが猫耳をつけているのである。可愛くない筈がない。だが――

 ――だめだだめだ

 シンジはぶんぶんと首を左右に振った。ここで甘やかしてはいけない。家に帰ってもらわなければ。シンジが覚悟を決めて声をかけようとすると――

「にゃおん……」
 
 レイは立ち上がると、こともあろうにシンジに頬擦りを始めたのである。

「あっあっあっあややややややや」

 レイの滑らかな頬がシンジの頬に寄せられる。同年代の中学生にあって然るべき、にきびが一つもない。吸い付くような、そして滑らかな感触に、シンジは一瞬陶然となる。
 それでも僅かに残った理性と自制心をかき集め、シンジは踏みとどまる。しかし、
「そ、その、家に、帰って――」
 

 じいっ

 穴を開けんばかりの勢いでレイがシンジを見つめる。先ほどの攻撃はシンジに対して抜群の効果を発揮した。シンジ内部で激しい葛藤が繰り広げられる。

 ――かわいい、飼いたい。でもここで甘やかせたら、いや、でも僕だって嫌なわけじゃ……いや、アスカもいないんだ。普通の男子中学生と女子中学生は同居すべきではないんだ。そんな関係じゃないんだ。いや、待てよ?僕はアスカとも同居してて、いや、あれは任務の延長なんだ。そもそも綾波と一緒に暮らして万が一間違いでも起こるようなことがあったら、僕は舌を噛み切ってしまうかもしれない。ここは、やっぱり――

「そ、その、やっぱり、帰って――」

 ぽろっ

 レイの眸から、大粒の涙が一粒、こぼれ落ちた。下唇をきゅっと噛み締め、肩が震えている。シンジの心はこの上なく痛んだ。ぽすん、とシンジの胸に倒れかかり、ずずっ、と鼻をすする。
 
これが演技ならオスカーものだ。シンジは思った。仮に演技だとしても、彼女の涙など見たくはない。だから――
「……じゃあ、ここに、住む?」
 レイは顔中口にして笑顔を見せ、頷いた。
「じゃ、じゃあ、君の名前は“ラミ”。いい?ラミだよ」
 レイ、もとい“ラミ”はこくりと頷いた。



 ラミ――例によって以下レイ――は満足げな表情で、シンジを見つめる。何かを待っている、彼女の表情研究家を自負しているシンジは思った。
 シンジがその意図を考えていると、レイはそっとその手をとり、自らの頭に乗せた。

 ――ああ

 シンジが優しく頭を撫でると、レイは目を細め、ごろごろと喉を鳴らした。

 たまらん。

 作者、もといシンジの素直な感想である。シンジの手がレイの頭の上を往復するたびにぴくぴくっと黒い猫耳が揺れる。心が和む。時折尻尾がひゅんっ、と揺れる。シンジが喉元に手を這わすと、猫じゃらしを得た猫のように、レイがその手にまとわりつく。シンジの頬はこの上なく緩んだ。

 ――ああ、いいな……

 かくて――

 碇シンジ、あっけなく陥落。









「たっだいまぁ。今日のご飯は何かいな〜♪」
「あ、ミサトさん、お帰りなさい。それで、あの――」
「なあに?どもっちゃって。あ、レイ、いらっしゃい。ん?何よその…ねこ…・・みみ……」
 レイの目線に射すくめられ、ミサトの声が尻切れトンボと化してゆく。シンジはまたも感動した。

 ――すごい、ミサトさんまで

 きっと怖いお嫁さんになるだろう。そして僕は尻に敷かれつつ――

「シンちゃん、あれ、何?」
 早くも妄想ファイルを展開させようとしたシンジが、ミサトの声で我に返る。
「あ、あれはですね、どうも飼い猫になろうとしてるらしくて……」
「は?」
「いや、飼えって…・・あれに」
 シンジが指差した先には、冒頭のカードがあった。ミサトは唖然とする。
「何考えてんだか……」
「それで、ですね。名前が決まりまして、その“ラミ”っていうんです」
「ラミ?ラミエルの?」
「そ、そうです。よく分かりましたね」
「なんでまた…・・」
「それでですね、アスカの部屋が空くらしいんで、そこに、とりあえず……」
 ミサトははあ、と息をつき、天を仰いだ。
「もう、いいわ……疲れた。シンちゃん。ご飯」
「分かりました」


【case2:葛城ミサトの場合】
 
シンジが夕食の準備をしていると、居間からはミサトの声が聞こえてくる。
『レ――ラミ。どうしてここに来たの?』
『……にゃお』
『それ、なんとしても譲らないつもり?』
『にゃあ!』
『……仕方ないわね。シンちゃーん』
「は、はい!」
『この子の晩御飯、鰹節だけでいいわよ〜』
「え!?」
『だって、そうでしょ?猫なんだから……な、何よラミ、その目は』
 レイの誘惑が始まる。
『も、文句あるってえの?だったらちゃんと人間らしく……え、ラミ、何すんのよ、ちょっと』
『にゃおん……』
『そ、そんな目しないでよ、ちょっと……泣かないで、ラミ。し、シンちゃん!スパゲッティ作ったげて!』
「は、はい」
『にゃあ!』
『ふう。それにしても……かわいいわね……あ、耳が生身、やわらかい……ほら、おいで』
『なー……』
『ああ、あったかい。お父さん、あたし、寂しくないよ……』

――葛城ミサト、陥落

――はあ

天賦の才かもしれない。よもやミサトを落とすとは。スパゲッティを口に運びながら、シンジは思った。アスカももう少しこの場にいれば、ああなっていたのかもしれない。

「それじゃ、洗い物します」
「ありがとうシンちゃん。それで、おビール……」
 はあ、とシンジがため息をついた。今日何度目だろうか。
「ほどほどにしてくださいよ。あや――ラミもいるんですから」
「は〜い」
 シンジが冷蔵庫から“えびちゅ”を三本取り出し、トンと居間のテーブルに置いた。

 手早く皿を洗っていく。レイが残さず食べてくれたので、シンジは何気に上機嫌だ。またミサトの声が聞こえてくる。
『かぁ〜、くうぅ……やっぱ人生、この時のために生きてるようなもんよね〜』
『……』
『ラミが後十年早く産まれてたらねえ。一緒に呑めたのに。惜しいわ〜』
『……にゃあ』
『お、ラミ、行く気?』

 ――ちょ!

 シンジが慌てて出て行くと、ニヤニヤと笑うミサトと、

――顔を赤くした、レイがいた。

「みっみっみっみっミサトさん!何呑ませてるんですか!?」
「やあねえ、ラミが勝手に呑んだのよん」
 けらけらと笑うミサト。もう酔っている。
「止めてくださいよ!大丈夫?」
「ふにゃあ……」
 立ち上がったレイがよたよたと歩みを進め、うろたえているシンジの胸元に顔を埋める。
「いかりくん……」

 ――しゃべった

「あ、綾波――」
「ちがうわ、わたしはらみ。いかりくんのねこ……・」
 レイがシンジの手を取る。
「だから、いかりくん……」
 顔を上げたレイ。赤く染まった頬に、普段にはない淫靡な魅力が垣間見え、シンジはどきりと胸を高鳴らせた。
「あたま、なでて……」
 言われるがままにシンジが小さな頭を撫でると、レイは恍惚とした表情で目を細め、シンジの背中に腕を回した。
「もっと……」
 シンジもここまで来たらヤケである。レイは酔っているのだ。いっそ自分も酒を呑んでやろうかとも思ったが、流石にそれは思いとどまった。
「きもち…いい……」
 シンジの脳は沸騰しそうになる。違う違う、そういう意味じゃないんだ。変な風に考えちゃいけない。
 





 ひたすらレイの頭を掻き撫でていると、不意に体に不自然な重みが圧し掛かる。弛緩したようにぐったりとレイの体が力を失った。
「あ、綾波?」

「すー、すー……」
 整った呼吸を立てながら、レイは眠っていた。
「……寝ちゃいましたね」
「本当、かわいいわね」
「ミサトさん、ちゃんと見といてくださいよ」
「ごめんごめん」
 シンジがクッションを枕にしてレイを寝かせると、ふう、とミサトが急に物憂げな息をついた。
「それにしても……どうしたのかしら?」
「ですよね……」
 急に押しかけてきたのである。そしてよく分からない迫力がある。頑として帰るまいという意志が見え隠れしている。
「一人が寂しい、とか……」
「だったら言うでしょう、レイのことだから。こんな回りくどいことしなくても、泊めてって言えば断りなんてしないのに」
「でも綾波は、妙に思い込むところがありますから、変な勘違いをしてるのかも」
「あり得る話ね。でも、まあ、いいじゃない。……かわいいし」
「……結局それですか」
「だってえ、かわいいじゃない。この耳。シンちゃんもそう思うでしょ?」
「ま、まあ、そうですけど……」
 改めてレイの姿を見直してみる。蒼銀の髪に黒色がよく映えている。そのコントラストが可愛らしい。スカートのウエストを押しのけて生えているこれまた黒い尻尾は、時折ひゅんひゅんと大きく揺れている。根元の方に白い布が見えた気がして、シンジは慌てて目をそらした。黒い手袋は正直扱いづらそうである。先ほどもフォークに苦戦していたから。箸系統は辛いだろう。白い肉球が見るからに柔らかそうだ。隙あらば触ってしまいそうになるほどに。
 そしてそれらの要素が、レイの整った容姿によって、正直反則な域に達している。抱き締めれば壊れてしまいそうな危うさとかわいらしさ、僅かな妖しさがせめぎあって、どうしようもなく魅力的だった。
「なあに、シンちゃんっ!見とれちゃって」
「い、いや、別にそういうわけでは……」
「いいじゃないの、素直になっちゃえば」
「ミサトさんとは違うんです!」
 顔を真っ赤にして抗議するシンジに、ミサトはくすくすと笑みをこぼした。
「ぼ、僕、お風呂入りますんで」
「は〜い」


 ――はあ……

 なんだかどっと疲れてしまった。色々な方面に気を遣う。これもまた非日常なのだろう。使徒の襲来などとは比べ物にならないほど平和な非日常ではあるが、だからといって歓迎できるものでもない。シンジが望んでいるのは日常なのだ。

 ――でも、かわいかったな……
 
 なんだかんだ言っても中学生である。猫耳は文句なしにかわいかった。頬に血が結集するのを感じる。世間の目が無ければずっとあのままの姿でいて欲しいくらいだ。そう、目の前に立っているような一糸纏わぬ姿で――……え?
「あ、はやにゃみ!?」
 呂律の回らない舌で叫ぶ。慌てて背を向けるも、瞼の裏にはしっかりその姿が焼きついていて、細部まで脳味噌に記憶されていた。心臓が爆発しそうだ、そんな例えがしっくりくるような状況に、シンジはこの上なく狼狽した。
「どっ、どうして!?」
 待ってましたと言わんばかりにレイは扉の後ろに取って返す。暫く後、シンジの目の前にレイのカードが掲げられた。

 “噛みません。一緒にお風呂も入れます。よろしくお願いします。”

「だっだからって!いいから戻って!一人でいいから」

 レイは暫し立ち尽くしていたが、渋々といった様子で扉の後ろへと消えた。

 ――素直だったな?
 
よかったと思う。流石にここは妥協できない。泊めるのとは訳が違うのだ。しかし――

「うっ、くっ、うう…ひくっ、うっうっうっ、うえぇ……ぐすっ」

 すりガラスを通してレイがうずくまっているのが見える。恐らくは一糸纏わぬ姿で。そしてそのガラスを通して聞こえるのは――――レイの、止め処ない嗚咽だった。またも葛藤が始まる。

ダメだダメだ。こればっかりは譲れない。お風呂なんて絶対だめだ。いや、嫌じゃないけどさ――いや、そんな話じゃない。大体おかしいのは綾波なんだ。お風呂なんて入ったら僕はどうにかなってしまう。でも、綾波の肌、綺麗だったな……いや、だから、ここは、断らなければならない。心を無にしろ、無に。僕には何も聞こえていない。今ここで聞こえているのは、そう、そうだ。猫の鳴き声だ……

「う、うぅ……お風呂……」
 
――猫の……

「うっ、うっ……」

 ――猫……

「…………………………うっ」

 



 ――逃げちゃダメだ

「ああ、タオルを巻いた猫とお風呂入りたいな〜」

ここで無視するのは鬼畜だと思わないか。反則だ、あれは。僕は悪くない。やましい気持ちなんてこれっぽっちもない。いや、うん……うん、ないよ。
 シンジは心の中で涙を流した。


 からり、と扉が開いた。ヤシマ作戦を思い出すような満面の笑みで、バスタオルを巻いたレイが立っていた。出来るだけその姿を直視しないように努めながら、シンジは自分の腰にもタオルを巻いた。
 
 じいっ

「……何?」
 レイはその(肉球をつけた)手にスポンジを握り締め、何かを期待するような目でじっとシンジを見ている。

 いや、まさかね。いくらなんでも、それはね。

 そんなシンジの淡い憶測を砕け散らせたのは、レイのスポンジを手渡す動作だった。

 ――背中、流して……

 結局折れてしまうのだ。情けない。シンジはレイの背中をこすりながら明日の夕食について考える。現実逃避ともいう。出来るだけ視線を上に固定し、レイの姿を見ないように努めた。時折どうしても視界に入ってしまう黒い猫耳と白いうなじにどきりとする。自分でも思いの外冷静でいられることが不思議だった。意外と僕は度胸があるのかもしれないな、そんなことを考えながら、シンジは無心にレイの背中を流した。
「出来たよ、ら、ラミ」
 シンジの油断はここにあった。失念していたのだ。レイは――

 ――羞恥心が、決定的に欠如していたということを。

 はらり、と理想的な構図で、レイのタオルが地に落ちた。

 




――ああ、きっと僕は、幸せなんだろうな……

 薄れてゆく意識の中シンジが最後に見たものは、絹のように滑らかな肌、美しい曲線を描く胸と、レイの尻尾の、根元だった。

 ――生身、か……








 そして今、またもシンジは固まっていた。どのくらい固まったかというと、液体窒素に浸かった豆腐の如く、といった具合だ。
 しかし液体窒素との相違点が一つある。それはシンジの体は冷たくなっているのではない。熱くなっているということだ。

 ――腕の中で眠る、綾波レイのせいで。

 なんだか甘い夢を見ていた。そうシンジは思った。夢の内容は明瞭ではないが、何か温かいものに包まれているような、そんな幸せな夢。
 正確には包まれているのはシンジではなく、レイであったが。

 レイの全裸に気を失って再び目覚めてみれば、今度はそのレイが腕の中ですやすや眠っているのである。苦労の多いことだ。
「……」

 当然ながら、シンジは動けない。眠ろうと努力もしてみたが無理だった。
 シンジに背を向けて眠っていたレイがころんと寝返りを打ち、シンジと向き合う。どうも着ているのはシンジのワイシャツらしい。これは誘っているのか?シンジの脳裏に邪な考えがよぎる。そして本日三度目の内部葛藤が始まった。

 据え膳……いや、そんなことを綾波は考えちゃいない。ただ単純に一緒に寝たかっただけなんだ…………それはつまり据え膳じゃないのか?いや、綾波はきっと何のことか分かってない。こうして男子中学生と一緒に寝て何をされるかなんて、綾波はきっと何も知らないんだ。そんなところがまた保護欲を刺激して……結局僕はこんな幸せな状況にいながら我慢しなきゃいけないんだ。ああ、でも綾波、細くて柔らかいな……きっと僕のお腹に当たってる二つの柔らかいモノは、さっきの……ああ、だめだ。意識しちゃだめだ意識しちゃだめだ意識しちゃだめだ……

 いつしかシンジは念仏のように同じ言葉を脳内で唱え始めた。軽く上を向く、ぷっくりとした桜色の薄い唇から目が離せなくなる。蒼銀の髪にはまだ少し水分が残っている。こめかみに張り付いた髪がなんとも艶めかしい。華奢な体格のせいで失念しがちだか、レイの体は確かに女性の兆候を見せていた。

 ――綾波、綺麗だ……

 半ば無意識に、シンジの唇はレイの唇へと近づいていった。熱に浮かされたように朦朧としたシンジは、どこかで冷静な判断力を欠いていた。まさに唇が重なろうとしたその時――

「温かい……」

 吐息にも似た、レイの唇から僅かに漏れた声に、シンジははっと我に返った。

 ――僕は、なんてことをしようとしていたんだ。

 それは卑怯だ。綾波の意志を何も考えていない。ただ僕自身のエゴで動いていただけだ。綾波は僕にとって何より大事な人だ。そんな人を、僕のせいで傷つけてはいけない。こんなに細くて、壊れてしまいそうなほどに脆くて儚い存在を、僕が傷つけるなんてあってはならない。綾波は、幸せにならなくちゃいけない……


 シンジは緩くレイの背に腕を回し、後ろから頭を撫でた。猫耳がぴくぴくと揺れる。

「う、ううん……」

 そんな声を漏らすレイを見て、シンジの頬が自然と緩む。不思議とシンジも眠りの海に落ちていった。







【case3:2−Aの皆の場合】

 次の日、シンジとレイは無事中学校へとたどり着いた。起床時、驚いたシンジがベッドから落ちたことは言うまでも無いだろう。

「おはよう」
「おはよう、碇」
「おはよう、センセ。お?綾波も一緒か?珍しいのお」
「あ、うん……」


「……みゃあ」


 ――時が、止まった。慌てて宿題を済ませているものも、友人と談笑していたものも、たった今教室に入ってきた女生徒も、同時に固まった。ざわついていた教室が水を打ったように静まり返る。
 レイは何がなんだか分からないのか、きょとんとしている。つんつんとシンジをつついた。
「…………な、何?」
 レイがこてんと首を傾げる。“どうしたの?”だろう。少なくともシンジはそう解釈した。
「さ、さあ。どうしたんだろうね。あはは……」
 乾いた笑い声が虚しく教室内に木霊する。いたたまれなくなったシンジは、思わず俯いてしまう。見かねたアスカが助け舟を出した。
「れ、ラミ。皆はね、どうしてあんたが猫耳つけてるのかが気になってるのよ」
 何でこんなこと説明しなくちゃならないんだろう、小さく溜息を吐いた。
 レイは一瞬考え込むような表情になって、鞄の中から段ボール製のカードを取り出した。昨日のとは違うらしい。

『碇シンジの飼い猫、ラミ』

  

「………………………………」



ぷらぷらとカードを首にぶら下げたまま、レイはその場に佇んでいる。恐らく状況を全く理解できていない。そして何を思ったか、その場にぺたんと正座をしてネコ手を作り、



「にゃおん……」




 ――2−A、陥落




【case4:碇ゲンドウの場合】

 そして2−Aを壊滅させた後、シンジとレイはNERVに向かっていた。目的は他でもない、この猫耳の撤去である。シンジが強引に連れてきた。このままでも悪くはない。ないが、世間体なるものの問題がある。中学生が同級生に猫耳のコスプレをさせているなどという噂が立てば、シンジは表を歩けなくなってしまうだろう。
 この猫耳、やはりというかなんというかレイの頭皮から直接生えているらしい。あまりじっと調べると変な気持ちになりかねないので、観察は手早く済ませた。

「すいません、リツコさんいますか」
「ああ、ごめんねえシンちゃん。リツコ、今日は休みなのよ」
「そうですか……てゆーか!ミサトさん、昨日は何でお風呂を許可したんですか!僕がどれだけ苦労したと――」
「シンちゃん、そう言うけどね、れ、ラミのお風呂を許したのは最終的にシンちゃんよ」
「そ、そりゃそうですけど、でも、ミサトさんがちゃんとしてれば――」
「シンちゃん!」
 急に大きな声を上げるミサト、シンジは思わず背筋を伸ばした。
「は、はい」
「私だって止めたわ。普段茶化してるようだけど、私だって保護者。流石にまずいと思ったわよ。でも、シンちゃん。私が“だめよ”って言った時のラミの顔、シンちゃん見たら、泣くわよ?この世の終わりみたいな顔してるんだもの」
「う……・」
「それでもシンちゃんは私が悪いってえの?」
「………………すいません」
 なんだか上手く丸め込まれた気がしなくも無い。が、攻める気にもなれなかった。
 そんな賑やかなやり取りを繰り広げていると――

「騒がしいな」


 一瞬にして、空気が鋭さを取り戻す。今となってはエヴァがないとはいえ、それでも世界の命運を担っていた施設。その司令ともなれば、威圧感は尋常でない。
「父さん……」
 シンジもどこか落ち着かなさげだ。少し目が泳いでいる。
「シンジか、何の用だ」
「あの、リツコさんに会いに……」
「赤木博士は今日休暇をとっている。体調を崩したと聞いているが。何か用でもあるのか?あるなら私から伝えておくぞ」
 ぶっきらぼうだが、言葉の端々にはシンジに対する気遣いが見て取れる。しかし肝心のシンジに中々気づいてもらえないあたり、道程は遠そうだ。
「あの、この猫耳を……」

 それまでシンジの背中に引っ付いていたレイが、ひょこんと身を出す。

「にゃん」

 ――ザ・ワールド

「レイ、か……?」
「…………今はラミって言うんだ。それで呼ばなきゃ怒るよ。ラミ」
「んにゃ」
 ゲンドウが固まっている。そうそう見られるものではない。シンジは目を丸くした。

「……シンジ」
「な、何?」
「戻さなくていい」
「は?」
「葛城三佐。今すぐ赤木博士にコンタクトをとり、この猫耳を長持ちさせる方法を調べさせろ」
「は、はい」
「父さん、何言ってんだよ!」
「自分の欲望とはあらゆる方法を使って手に入れるものだ」
「このままじゃダメに決まってるじゃないか!」
「猫耳はロマンだ。問題ない」
「父さん、父さんが何を言ってるのか分からないよ」
「シンジ、大人になれ」
「僕には、何が大人か分からないよ。そんな大人ならなりたくない!」
「シンジ、お前には失望した」
「僕は父さんに失望したよ!」
「親に対してその口の利き方は何だ」
「これまで親らしいことしたことあるのかよ!?」
「シンジ、そう熱くならずラミを見てみろ。癒されるだろう」
「――父さん。まさかは思うけど、猫耳萌え?」
「……………………………………問題ない」
「大有りだよ!がっかりだよ!」
「何を言っている。お前だって気に入っているのだろう」
「そ、そりゃ、少しは……」
「ならば問題ない。それに、ラミ」
「にゃん」
「お前は、そのままで問題ないのか?」
「にゃ」
「ふ、ラミもこう言っているではないか」
「父さん……」




 ――碇ゲンドウ、歴代の中で最もあっさり、陥落

【case5:NERVオペレーターズの場合】

――割愛


 








ゲンドウの意外な一面を垣間見てしまったシンジは、失意のままにNERVを出た。正直、心が折れる寸前だ。ちょこんと袖を摘んで後をついてくるレイがいなかったら、とっくに膝を折っているかもしれない。自分も将来ああなる可能性があるのか。そうは思いたくなかったが、昔のゲンドウを知る人間――冬月コウゾウや赤木リツコ――はシンジに対してしばしば“似ている”という評価を与えてくることがある。それが一層シンジの気を重くしていた。





 ベッドに倒れこむ。さも当然のようにその腕の中にレイが収まった。細かく揺れる猫耳がシンジの首筋をくすぐる。不思議なことに動揺はなかった。沈んでいた心がゆっくりと引き上げられるのを感じる。そしてレイの髪から感じる微かな匂い。それが不思議とシンジを和ませた。
「ラミ……」
「にゃぁ……」
 レイの声が小さくなっていく。彼女も眠いのだろう、きっと。
 不思議に冷静な自分に気づいて、ふっと笑みをこぼす。なんだかんだで適応力が強いのかもしれない。それに、きっと僕だけだよな。綾波にこんなことさせてもらえるのは。
 彼女の意図がどこにあるのかは分からなかった。けれど確かなことは、レイは自分に心を許してくれている。それだけは自信を持って言えた。
 段々と柔らかくなっていくレイの体を感じながら、シンジは腕に力を籠めた。この位は許されていいと思う。自惚れではない筈だ。





 









そうしてシンジも段々うとうとしてきた頃、

「……ごめんなさい、碇くん」

「――え?」

 唐突に、本当に唐突に、レイが口を開いた。シンジが慌てて腕に籠めた力を緩めようとする。しかし腕に不思議な引力を感じる。そちらに目を向けると、レイがそこに手を絡ませていた。
「綾波……」
 不思議と“ラミ”と呼ぶことは全く考えなかった。レイも気がついているのかいないのか、何も言わなかった。
「迷惑、かけた」
 あるいは疑問系だったのかもしれない。しかしそのレイの声は抑揚に乏しく、判断する術はなかった。
「迷惑?」
「急に、おしかけたりして」
「……気にしなくていいよ。でも、気になることがある」
 シンジはそこで言葉を切った。無言のレイの背中が、いつもにも増して弱々しく見えてしまう。
「どうして、急に来たの?」
 純粋な疑問だった。何故急に、というのがシンジの中での一番の謎だったから。
「……分からない」
「分からない?」
「すぐ、帰るつもりだった。一晩ここで過ごしたら、すぐに帰るつもりだった。碇くんが猫を好きってことを知って、喜んでもらえると思ったから。碇くんの喜ぶ顔が見たかったから」
 それなら成功しているといえる。シンジは人知れず苦笑した。
「でも――」
 レイが口をつぐんだ。喉の奥に何かが詰まったかのような沈黙だった。

「碇くんと一緒に寝て、離れたくなくなった。ずっとここに居たくなった。碇くんの腕が、とても、とても、怖いくらいに、暖かくて……」
 レイの声は震えていた。シンジは無意識のうちに、緩めかけていた腕に力を籠めた。
「独りの部屋に、帰りたくなかった。ずっとずっと、碇くんの腕の中に居たかった。だったら、ずっとこのままでいい。碇くんの猫でいれば、碇くんは一緒に寝てくれる。頭を、撫でてくれる。それが、すごく幸せだった。碇くんの温もりを、誰にも渡したくない。碇くんの腕の中にいていいのは、碇くんが抱き締めるのは、私だけでいい。だから――」
「綾波……」
「碇くん。私を、碇くんのものにして欲しい。碇くんだけものにして欲しい。お願い、碇くん、お願いだから、私のこと、好きにしていいから、私はもう、独りきりのあの部屋に戻りたくない――」
 レイがシンジの方へと向き直る。眸には一杯の輝く涙を湛えていた。

 シンジは内心、心が痛んでいた。思えばレイの部屋のことなど、今まで気遣っていなかった。レイのことを想うなら、シンジが自分から隣の部屋にでも誘うべきだったのだ。自分を恥じた。
「あや、なみ……」
 かすれる声を、喉の奥から絞り出す。
「独りぼっちには、させないから。綾波に、寂しい思いなんて、させないから。僕で、僕でよければ、ずっと、ずっと側にいるから。だから……」
 シンジがレイの頭を撫でる。猫耳が小さく揺れ、レイは目を細めた。
「でも、僕で、僕なんかで……いいの?だって、僕なんて、弱虫で臆病で、卑怯で――」
「碇くんがいい。碇くん以外の人なんて、考えられない……他の、他の男の人なんて、絶対、嫌……碇くんじゃなきゃ、ダメなの……私は、碇くんが、碇くんだけが……」
 シンジもいつしか、涙を湛え始めていた。ここまで強く自分を求めてくれた女性が、今までいただろうか。目の前の彼女は誰よりも強く、健気に、自分のことを想ってくれていた。そんな彼女が、愛しくてたまらなかった。
「綾波、僕も……」
 だから、伝えよう。逃げるのは、もう終わりだ。
「綾波と、ずっと一緒にいたい。綾波を、僕のものにしたい。だから――」
 その頬にそっと手を伸ばす。白磁のように滑らかな頬は、しっとりと濡れていた。そうっと、細い首筋を抱き寄せる。昨夜も目の前にあったぷっくりとした桜色の唇が、またもシンジのすぐ目の前にあった。思わず生唾を飲む。
「いい、かな……?」
 レイはきょとんとする。
「何が?」
「そ、その、キス、しても……」
「――キスって、何……?」
 レイの不安を含んだ声に、シンジは愕然とした。十四歳の女の子が、キスも知らない。それは今までの彼女の人生を端的に表していた。
「キスって、いうのは……」
「……何?」
「好きな人同士が、することなんだ……だから……」
「だったら、する……」
 その声は、か細いながらも決意に満ちていた。シンジは残りの数センチを、思い切って抱き寄せた。
「ん……」
 触れるだけの、穏やかなキス。未知の感覚に、レイは身を震わせた。シンジは目を閉じなかった。その顔を、間近で瞼に焼き付けたかったから。
 レイの顔が、女性としての悦びに蕩けていく。どこか夢のような非現実性を孕んだ感覚の中、シンジはそれを見た。
「どう、だった?」
「……分からない。だけど、碇くんの唇、温かかった――」
「綾波っ――!」
 シンジがレイを抱きすくめる。レイもその背に手を回した。
「碇くん、碇くん、碇くん、いかりくん、いかりくん、私、わたし――」
 うわ言のように、シンジの名を呼んだ。背中に回した手に、力を籠める。
「離さないよ、綾波。もうずっとずっとずっと、離さない。絶対、幸せにするから、もう二度と綾波に辛い思いは、させない。綾波は、この世で一番、幸せにならなきゃ、いけないんだ……」
 
辛いものばかりを背負ってきた。代わりのある体。魂まで運命に縛られた身で、死ぬことすら許されない。それでもサードインパクトの時、自らは無へと還る覚悟で、シンジに最後の望みを与えた。そしてシンジの望みに答え、レイはもう一度、世界を創造した。その細い肩に全てを任せ、人類は綾波レイという一人の人間によって救われたのだ。
 そんなことは、許されてはいけない。十四歳の人間は十四歳の人間らしく生きる権利を持っている。その権利を剥奪する権利は、この世の誰にもない。
「碇くん、私、幸せになっても、いいの……?」
 シンジは微笑んだ。
「もう、あの頃とは、違うんだ。綾波は、幸せにならなくちゃいけない。どんな犠牲を払ってでも、僕が、絶対に幸せにする。いい……?」
 レイは頷き、笑顔を見せた。目は幾分腫れぼったくなっていたが、それでもその笑顔は、今までシンジが見た中で、一番の笑顔だった。
「碇くんが側にいてくれるなら、私は、それだけでいい……それだけあれば、私は、幸せ――」
 レイの頭を撫でる。するりと、猫耳がレイの頭を滑り落ちた。シンジが驚いた表情をする。
「もう、必要ないから……」
「綾波」
「碇くん、ぎゅって、して……?」
 シンジは強く強く、レイを抱き締めた。ややもすると折れてしまいそうなまでに華奢な体。この体に、人類の未来が懸かっていたのだ。全ての業を背負っていたのだ――自分を、救ってくれたのだ。
「暖かい、碇くんの腕、暖かい。ずっと、ずっと、このまま…………」

狂ったように、シンジはレイの背中をさすった。この世の誰より、人の温もりに飢えたレイ。人生を捧げてでも、彼女を離したくない。それほどまでに、愛しかった。胸の中で、激しく炎が燃え上がっていた。空っぽの彼女を、自分で満たしたかった。キスを知らず、愛を知らず、人の温もりを知らず。そんな人生を強要されてきた彼女に、ありったけの愛を注ぎたい。
 シンジの動きに触発されたようにレイの手もまた、シンジの背中を這い回った。シンジの体温を求め、きつく足を絡める。キスすら知らないレイが、その後に控える行為など知ろうはずもない、小さく開いた口から熱く荒い吐息を漏らしつつ、シンジの胸に顔を埋めた。
 

「綾波、一緒に、住もう」
 レイは胸に顔を埋めたまま、小さく頷いた。
「部屋が足りないけど、そんなのどうにだってなる。壁をぶち抜いて一つの部屋にしてもいいし、アスカの部屋に住んでもいい。どうしたい?綾波」
「私は、どうだっていい。碇くんが、碇くんさえ永遠に、私の側にいてくれるなら」
 レイがぐぐもった声を上げる。
「……約束するよ、綾波。僕はずっと、君の側にいるから」
「嬉しい、碇くん……」
「綾波……」
「何?」
「……もう一回、キスしていいかな」
「――いい」
 今度は、目を閉じた。意味が分からないなりにも、レイはその意を察し、目を閉じた。
 
 唇に感じる温もりと柔らかさだけが、この世の全てだった。シンジにとっても、そして当然、レイにとっても、そう感じた。
 自然にとがった顎にそっと手を添える。親指に軽く力を入れて、レイの口をこじ開けた。
「ふ……」
 レイの口から甘い吐息が漏れる。驚かせないように気を遣いながら、シンジは舌を滑り込ませた。
「んん……」
 レイの柔らかい舌を自分の舌先で探り当て、控えめに絡ませる。甘い唾液を吸う。頬の形を確かめるようにして、シンジの舌がその内側をそっとなぞった。
 シンジの頭を抱きかかえるようにして、レイもそれに応えた。頭がぼうっとして、まとまったことを考えることが出来ない。しかしだからこそ、今自分の中に感じる幸福だけは、レイの中の唯一確実なものだった。シンジの匂いに包まれている。心が和み、途方もない安心感に、思わず涙が溢れた。
 ――碇くん、碇くん……!

 幸せなど、自分には縁遠いものだと思っていた。なぜなら自分は“レイ”であり、“零”だから。マイナスになることは無い。しかし、決してプラスにもならない。それでいいと思っていた。無へと還る自分にとって、それは理想的なことだったからだ。
 しかしある時、それに僅かな綻びが見られた。ヤシマ作戦。今まで自分が経験したことのない、異質なものだった。碇ゲンドウとは全く違う。初めての温もり。
 いつしか、自分はそれを求めるようになっていた。自覚のないままそれを求め、結局自分の命を捨てることになってしまった。
 しかし三人目になっても、それは止むことを知らなかった。それでもその時は、自分の使命を全うしようとした。頭の中から欲望を追い払い“零”で自分を満たそうとした。できる筈もないのに。それは“零”だから。
 結局、自分はシンジを求めた。それは土壇場のことだった。そして自分自身は、“零”へと還ろうとした。それを止めたのは、他でもない、シンジだった。

 ――そして、今……


 とうとう、自分の望みは叶ったのだ。些か予想しない形ではあったがそれでも、自分は満足だった。今の自分は“零”ではない。“壱”なのだ。シンジが自分を満たし、自分を変えたのだ。
 それは決まっていたのかもしれない。陳腐な言葉を使えば、運命という言葉で語ることも可能だろう。
 しかし、そんなことはどうでもよかった。今、シンジの一番近くに自分がいる。それだけでいいのだから。
「いかり、くん……わたし、おかしくなりそう、なの……いかりくんが、ほしくて、ほしくて……わたし、へん、なの……?」
 シンジは微笑み、かぶりをふった。
「変なんかじゃないよ、それでいいんだ……僕をあげる、綾波。僕でよければ、だけど」
「ほんとう?本当に、いかりくん、わたしのもの……どこにも、いかない?」
「行かないよ、綾波。一つだけ、約束してくれれば」
「何……?」
「もう、絶対に、自爆なんかしたら、許さないからね……?」
 レイの頬をまた涙が流れた。止まらなかった。
「しない、ぜったい、しないから、だから、いかりくん……」

「だったら、いるよ。綾波の、側に、ずっと……」
「碇くん……」



――君は僕が、護るから……

















――Epilogue――



「そういえば綾波、あの猫耳、どうやってつけたの?」
「赤木博士の研究室にあった薬を借りたの。忍び込むのに苦労したわ」
「え、それってまずいんじゃあ……」
「問題ないわ。赤木博士にはあの時の記憶がないから」
「それってどういう……」
「記憶を消す薬を赤木博士が作っていたところで、何の不思議もないでしょう?」

 そう言ってニヤリと笑う綾波はなんというか……とても、怖かった。




                  ――FIN――
〜あとがき〜
済みません、長くなりました。
壱はこじつけ。もともと投稿しようとしていたやつですが、折角なので。のっけからデザートですな(笑)甘さ的には
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.4 )
日時: 2010/05/15 20:42
名前: タピオカ

ばかぁ――――!(*´∇`)
前菜の次がデザートなんてダメでしょうが!しかもゲロ甘すぎだよ!マジ溶けそう…wwいや、マジでATフィールドが溶けそうだ(*´∇`)

メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.5 )
日時: 2010/05/17 20:14
名前: JUN

タピオカさん、どもです。
ゲロ甘が快感になりつつあるんで、この路線は続けてゆくでしょう。その時はまたよろしくお願いします。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.6 )
日時: 2010/05/18 02:30
名前: tamb

■タピオカさん
 なにげに「畳」というのが新鮮だったりしました。101文字でよく書いた! といった所で
すが、やっぱ100文字じゃ無理なんですよ(笑)。

■JUNさんの「Rami」
 溶けるw
 が、壱があまりにこじつけだ(笑)。

 しっぽ。名前を出していいのかどうか一瞬迷ったので、出していけない理由は見当たらない
けど本能に従って名前を隠しますが(見てたら出てきてー。感想メールも出してます)、とあ
る人の作品のLAKものでアスカにしっぽが生えるってのがあったんですよね。設定としては犬
で、ネタバレを避けるとこれ以上は書けないんですが。
 それを読んだ時に思ったことを、ここにも。
 服を着ててしっぽが生えてるとすると、パンツはどうなっているのだろうかと。もともと半
ケツ状態の極小パンツなのか、それとも穴でもあけてるのか。あるいは若干ずり下ろしてるの
かー!(爆) そしてしっぽをピンと立てるとスカートががが!!
 肉球のついた手袋にスポンジを持って。もしその手袋にスポンジ機能が内蔵されていて、す
なわち肉球でちょくせつせなかをながされたらしんじくんはいってしまうであろう。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.7 )
日時: 2010/05/18 21:09
名前: タピオカ

>JUNさん
ぜひぜひ続けて下さい!毎回読んだ後悶絶してますから。101秒くらいww


>tambさん
畳が好きなんですよ!因みにこの時、シンジは部活(吹奏楽部)、アスカとカヲルはデート、ゲンドウとユイは仕事でした。フレンズがいない事とリナレイ以外は拙作の設定です。
以上自己内補完でした。

僕は中間テスト終わったら書き始めますんで。宜しくお願いします。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.8 )
日時: 2010/05/18 21:09
名前: JUN

tambさん、どもです。
>肉球で洗う
その手があった!それはいずれまた(笑)
こじつけについては勘弁していただきたいと。締め切りまでにまた書きます。ネタがあれば!
僕の妄想では、ぱん…もとい下着に穴を開けてます。そんで少し緩めにしたスカートのウエストから尻尾をだしてるってことで。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.9 )
日時: 2010/05/19 01:20
名前: calu

■タピオカさん
畳は日本人の心です。そして、畳となると色々と妄、いや想像が掻き立てられ(略

■JUNさん
折角こじつけた壱も溶けてしまったこの甘さ。いやー参りました。
私も試しに甘いのを書いてみたのですが、JUNさんのを読んだあと、あっさりボツになりました
もはや対抗できるのは、yo1さん位なのでしょうか?これからも是非この路線でお願いします。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.10 )
日時: 2010/05/19 21:16
名前: JUN

caluさん、どもです。
caluさんの甘いのも読んでみたいなと思います。
甘さ感覚がどんどん鈍くなっているので、そろそろ妙なの書きそうです(笑)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.11 )
日時: 2010/05/19 22:49
名前: タピオカ

>JUNさん
今年は微エロでいきましょうか?(笑)
塚やってくださいよ!僕は気が向いたら……カモ?(笑)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.12 )
日時: 2010/05/21 21:03
名前:

tambさんの言ってることの殆どについて身に覚えがあるので…呼ばれたと思ってとりあえず出てきました。
多分、私のことですよね?
違ってたらすごい恥なんですが…間違いでない事を信じて(汗)

出てきたついでという形になってしまうんですが、せっかく顔を出せる機会をいただけたので、今出ている作品の感想(?)でも…。


タピオカさんの作品
実は、リナレイってシンジのことをなんて呼ぶのかとずっと思っていたので…漸く謎が解消されたような気がします(笑)
帰ってすぐ…、ということは、シンジが玄関に入って来る音でも聞こえてきたらぴょんと飛び起きて、まず抱きつきに走るのかと勝手に想像して…癒されてしまいました。
少ない文字数ですが、だからこそ色々妄想出来るので私は好きです。


JUNさんの作品
好きなシンジのため(?)に暴走するレイって凄く可愛いと思っているので…とてもいいと思います。
個人的に、ダンボールに書かれたメッセージがツボでした。『よく懐く相手』について、回りくどいようで明らかに誰か限定されている辺りが…(笑)
あと、最後の方のシンジの『護る』という言葉は、いつかシンジがレイに言って欲しい言葉なので凄く萌えました。



ちまちまと見には来ているので、また作品が読めることをこっそり期待してます。
では、なんか湧いてきてすみませんでした(汗)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.13 )
日時: 2010/05/22 04:53
名前: tamb

■楓さん
> 多分、私のことですよね?

 そうです! あなたを呼んだのです! ご無沙汰してます。そのLAKものでアスカにしっぽ
が生える話、読み返したんですが溶けました(笑)。作品名書いてもいいですか?

> シンジが玄関に入って来る音でも聞こえてきたらぴょんと飛び起きて

 あ、これは萌える。

■JUNさん
 今思ったんですが、

> 飼ってください。躾のよく出来た猫です。

 躾はできてないな(爆)。


 企画もの、私も書きはじめましたが、オチを思いつかないまま書いたのでオチません。どう
しよう。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.14 )
日時: 2010/05/22 21:19
名前: JUN

■楓さん
どもです。
いやあ、やっと段ボールを突っ込んでくれる人がw
>護る
やっぱりレイは護られて然るべきだと思っています。それは僕なりのポリシーです。
これからもチョコチョコ書くので、また感想をいただければ幸いです。
■tambさん、躾に関しては、まあそうですわなw
オチに関しては僕も半ば無理やり。首をながぁくして待っております。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.15 )
日時: 2010/05/23 00:19
名前: タピオカ

>JUNさん
そういう躾もアリじゃないすか?(笑)
かわいいし(*^□^*)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.16 )
日時: 2010/05/24 06:26
名前: 何処

【七回目の君へ】

僕達は今、お墓参りに来ている。
父さんと母さんの眠る旧東京集団墓地では無い。
第三新東京に程近いある寺の墓地だ。

ここのお墓の事は父さんしか知らなかった。
あのサードインパクトの後、行方不明となった父さんの遺された品…にそれはあった。
電子記録媒体に残された、実験検体破棄の意味…
綾波レイは…あの水槽にいた無数の彼女は…その姿を獲るまで三人の犠牲を必要としたのだ。

綾波家之墓…墓石にはその一文字、卒塔婆は五本…
「嶺、黎子、怜衣、麗美、澪…」

一番新しい卒塔婆に未だ墨跡黒く書かれた『澪』の字は…父さん直筆だ。
零号機自爆後に父さんはこの卒塔婆を立てたそうだ…
「…ただいま…」

彼女の呟きは何を意味していたのだろう。
だけど僕は…聞くべき事じゃ無いと思った。

彼女は仏花、僕は新しい卒塔婆を持っている。
綾波と相談して、僕はここに『零』と書いた。

卒塔婆を立て、線香に火を点け、墓石に捧げる。手を合わせ、彼女達に祈った。

『私…四人目じゃ無くて…七人目だったのね…』

彼女はそう言うと、僕に三人目のお墓も作ってくれと頼んだのだ。

第三への帰り道、僕はずっと彼女と手を繋いだままだった。

別れ際、彼女を引き留めて強引に僕の部屋へ。

性行為抜きで僕らは抱き合って眠った…
一人は寂しすぎたから。

弱い僕らはもたれあい、やっと生きてる。

父さんは思い出を糧に立っていた。
僕には無理だ。思い出に潰され、何も出来なくなる。
この腕の内の温もりがもし…
父さん、やっぱり僕は貴方のような生き方は無理だ。
もし僕が貴方で母さんが綾波だったとしても僕は弱すぎて復活を望みきれない。
そして天の不条理に怒る事も何かを恨む事も、悲しみに狂う事すら出来ずに圧し潰され、只泣いていただろう…
あの駅のホームから僕は一歩も前に進んでいない。

弱さを知ったのでは無い。弱さに逃げている自覚はある。

でも…綾波は今ここに、この腕の中にいる。

明日は今日より強くなりたい。
彼女を抱き締める腕に力を込め、僕は瞼を閉じた。

明日は…彼女を家へ送ろう。ちゃんと「じゃ、又」と言える様に。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.17 )
日時: 2010/05/24 15:10
名前:

そういえば、はじめましての挨拶が抜けていましたね。
たまにしか書き込まないので、誰とはじめましてなのかちょっと分からなくなっていて…すみません。


tambさんへ
勘違いでなくてよかったですー。
お久しぶりです。

アレですが、昔の作品ということもあり読み返さないので、自分で書いておきながら内容を半分忘れています(笑)
作品名についてですが、ドウゾお好きにして下さい。
書かれても多分、興味を持って見に来る人はいないはずですので(爆)

企画ものですが、どんなのか楽しみにしています。


JUNさんへ
こちらこそ、どうもです。
私の中では、どうしてもレイは護られる側でなくて護る側なんですよね。
そして、負傷したりとピンチに陥ったレイを助けるのがシンジ。ですので、レイがピンチになる前からレイを護る、というシンジに憧れています。
私なんかの感想でよければ、また書きますね。


そして、せっかくですのでいつの間にか載っている作品へも…。


何処さんの作品
多分、ゲンドウにはこういう少し血肉の通った、知られない一面があったんじゃないかと日々妄想していますのでちょっと感激してしまいました…。
そして、まだ一歩踏み出せないシンジがとてもシンジらしいです(悪い意味でなくて)



では、また出てきてしまってすみません…引っ込みます。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.18 )
日時: 2010/05/24 16:08
名前: 何処

【シークレット7】

朝、おはようのキス、お返しのキス。

夕方、ただいまのキス、お帰りなさいのキス。

夜、お休みのキス、お休みなさいのキス。

そして私は彼より一足早く起きてこっそりと彼の寝顔にキス。

内緒のキス、秘密のキス。
「大好き」なキス

朝、おはようのキス、お返しのキス。

夕方、ただいまのキス、お帰りなさいのキス。

夜、お休みなさいのキス、お休みのキス。

そして僕は彼女が寝入った頃こっそり彼女の寝顔にキス。

僕の秘密、彼女には内緒のキス

「大好き」のキス

彼の知らない私だけの七度目のキス。

彼女の知らない僕だけの七度目のキス。

「「大好き」」キス

「「愛してる」」のキス。

キスキスキスキスキスキスキス


僕だけの宝物。
私だけのご褒美。
それは秘密の七回目


内緒(だ)よ?
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.19 )
日時: 2010/05/24 18:19
名前: 何処

第三弾はをとな向け

【番茶と〇〇屋敷】


「一枚…二枚…」

彼女は真剣な表情で数えている。
その隣で僕は番茶を啜っている。

「三枚…四枚…」

…この胸の奥沸き上がる感情は何だろう?

「五枚…」

…彼女が数え出して何回目だろう?

「六枚…」

真剣な表情で数えている彼女、たが僕の表情は歪んでいる筈だ。

「…一枚足りない…」

「…ぷっ…」

あ、ヤバい。

「…何がおかしいの碇君?」

あ、拗ねた。

…可愛い…

彼女の膨れっ面の表情を独占する優越感…
ま、いつまでもご機嫌を損ねる訳にもいかないな。

「ごめんごめん…何か可愛くて…」

「な…何を言うのよ…」

…照れてる照れてる…

「それに…いくら数えても無い物は無いよ?」

「だって…折角二十枚入り買ったのに…」

「数学だよ、一日七枚なら三日で二十一枚…一枚足りないのは仕方ないね…」

「…碇君…身体…大丈夫?その…そんなに…してて…?」

「う〜ん…別に大丈夫みたいだけど。何で?」

「…赤…リツコさんに定期検診の時…その…色々聞かれて…そうしたら…碇君大丈夫?って…多すぎじゃないかしらとも…」

「あんまり自覚は無いけど…そうかな?朝おはようで一枚、朝ごはん前に一枚、シャワー浴びながら一枚、ただいまで一枚、食事後一枚、お風呂で一枚、寝室で一枚…」

「偶々ミサトさんもいたから…余計に…遊びに来て下さいって言ったら『新婚のエロ屋敷に足踏み入れる程命知らずじゃないわ』って…」

「そりゃ無いよミサトさ〜ん…」

「リツコさんは『流石司令の息子だわ』って…ミサトさんは『わっかいんだから普通よ!』と…その後『その昔のアタシの作った一日十二回にはかなわないわ』と言ってリツコさんに殴られ…」

「加持さんタフだな〜…」

「…」

「え?何?」

「買い物…付き合って…スーパーと薬局…週に三回は…」

「あ…う…その…そ、そうだね、流石に…」

「…ごめんなさい…」

「な、何も謝る必要無いから!!そ、そうだ又帰り道にニンニクラーメン食べていこう!」

「(こくこく)」

「そ、そう言えば明日綾波が食事当番だよね、朝御飯はどうする?」

「オクラと納豆と山芋…麦飯にして、蜆のお味噌汁…」

「あ、あれ美味しいよね!」

「でも…不思議なの、これ買うと八百屋さん『新婚さんは良いね〜』って…指輪外してたけど…」

「へ?」

「八百屋さん、奥さんに殴られてたけど大丈夫だったかしら…」

「?」


綾波は後でアスカに聞いたらしい。
アスカの返答は例の台詞だったそうだ。

『あんた達って…、ほんっっっと〜〜〜にぶわっかね〜〜〜。』

…何で?
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.20 )
日時: 2010/05/24 18:19
名前: JUN

■何処さん
七、という切り口がありましたか。気づかなかった
【七回目の君へ】
七人目という発想はいいと思います。僕じゃ出ないかな。まだ成長過程にあるシンジ君、そしてレイ。ここから幸せになることを願っています。
【シークレット7】
一転してほんわか。そうか、キスの回数か……
この甘さはなんか新鮮です。僕もまだまだ精進しなくては(笑)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.21 )
日時: 2010/05/24 19:34
名前: 何処

【綾波さん思索する】

「いちいちいちいちあんたはうるさいのよいちいち文句ばかり、だいいち私はあんたに頼んだ覚えは無いわ!」

「いちいちうるさいのはアスカじゃないか!だいいち、いちいちいちいち人のやる事に文句つけてるのはそっちじゃないか!」

「何よ!」

「何だよ!」

碇君達…又ケンカしてる…

「なんや又夫婦漫才か?」
「夫婦揃って良くやるよな…」

「「夫婦じゃ無い(わ)よ!!」」

「いや、ありゃ夫婦喧嘩だ、じゃじゃ馬に蹴られる前に退散しようぜ。」

「ほんまや、犬も喰わんたぁ良ぉ言うたな。逃げ逃げ」

「(鈴原)(トウジ)!(相田)(ケンスケ)!ななな何言ってる(のよ)(んだよ)!?!」

「皆仲良しなんだから…」

…?


「綾波さん、何か用?」
「珍しいわね、ファーストが来るなんて…」

「…教えて欲しいの…」

「へ?」「何を?」

「碇君とどうしたら喧嘩できるの?」

「「は?」」

「夫婦漫才…夫婦喧嘩…仲良しの証…碇君との絆…羨ましいの…」

「「!?!!」」

「教えて…お願い…」

「あ、あうあうあう…」

「あ、綾波さん…意外と…」

「そう…駄目なのね…」

「ちちち一寸待ちなさいよ!誰も駄目なんて言って無いでしょ!」

「!!?ア、アスカそんな…え?い、良いの?」

「良いも悪いも無いじゃない!この娘本気よ!?」

「…どうすればいいかしら…」

「…あ、鈴原が夫婦漫才の記憶媒体持ってたわ!あれで研究なさいな!」

「成る程…了解、そうする…」

「ち、ちょヒカリ何を!?」

“一番無難な着地点よアスカ、嘘は付いて無いし下手な事言えば綾波さん本気で勘違いしそうだし…そうなれば何をするか…”

“り、了解…ヒカリ、助かったわ…”


数日後…


「綾波、リツコさんが呼んでたよ。」

「…何でやねん…」

「は?」
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.22 )
日時: 2010/05/24 20:33
名前: タピオカ

>何故さん

はじめまして。タピオカです。

7人目の君へ
発想が新しいですねぇ。生存したレイは3人でも、レイ、というのは7人いた……う〜ん。深い。

シークレット7
これだけでも十分甘いですよ!二人とも、幸せですね。

番茶と○○屋敷
1日7回は多すぎですねぇ。俺では体が持ちません(笑)まぁ、経験ないから分かりませんが。やって出来ない事は(ピカッ)ぐはっ……

綾波さん思索する
レイかわいい!(*´∇`)だがもっとお笑いを勉強するべきだ!そもそもお笑いとは(ピカッ)ぐはっ……
はい、笑えたんでいいと思います……。




適当な感想に思われるかも知れませんが、大真面目ですから。何はともあれ、これから宜しくお願いします。(笑)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.23 )
日時: 2010/05/24 22:03
名前: 何処

【99.8888889%】

綾波…

何…

君と…又出逢える確率は0.1111111%…エヴァの起動確率の11,111,110倍…



だから…又、逢えるよ…

碇君…

「あの…もしもし?」

じゃ…行くよ…

駄目!行かないで!

「おーい」

我が儘言わないで…

嫌…嫌…あたしも!

駄目だ!待ってるんだ!

「こら」

碇…君…何故…

君を…守る!だから!

碇君…

綾波…

「一寸…」

碇君!

綾波!


「あんたらねえ…そんなに私のカレー食べたくない訳?」

ミサトさん…そこのペンペンと加持さんが転がってる理由…解ってます?

碇君…駄目、やっぱり駄目!

「加持のはね…スペシャルなのよ…まぁたこいつ女に…しかも第二新東京知事の秘書官に手ぇ出しやがったのよ…ペンペンは…加持の馬っっっ鹿野郎が味見させたから…可哀想に…尊い犠牲者よ…」

て事は…無理矢理食わせましたね…加持さんに…

「ビーンゴー!シンちゃん冴えてるぅ♪」

碇君…

じゃ…綾波…

嫌碇君駄目!

逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ!!!


いただきます


碇君駄目ぇ!逃げて碇君!


「…あり?ごっみんそりスペシャルの鍋のカレーだわ。」

げふぅ!?!

碇君!?!

「…嘘よ。」

ミミミミミサトさん!?!!

良かった…碇君…碇君が生きてる…涙…そう、私嬉しいのね…碇君!

綾波!

「はあ、あっついあっつい。」

!!…



「pi、あ、碇司令?ミッションクリヤしました。ほら加持、ペンペンも起きなさい。ほれ。」

「クワ?」

「…あ、碇司令。初孫補完計画第一段階クリヤしました…ええ。では手筈通りに。pi」


「始まったな。」

「ああ、全てはこれからだ…」
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.24 )
日時: 2010/05/24 22:41
名前: タピオカ

ミサトさんのカレーを食べるのは命懸けですからね。加持さんとペンペンのご冥福を祈ります。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.25 )
日時: 2010/05/24 22:43
名前: 何処

【七人のアホ】


「無理だよ出来ないよそんなの出来っこないよ!」

「シンジ君…又逃げるの?」

「逃げます。」

「馬鹿っ!」

「え?な、何でさ?どう考えてもそれおかしいよ!?何で僕が馬鹿なのさミサトさん!?」

「シンジ君、逃げちゃ駄目よ。これは貴方にしか出来ない事なの…ぷっ!」

「ミ、ミサトさん!わ、笑ったね!?今笑ったね!!裏切ったな…僕の事裏切ったな!大体なんでさ!何で僕なんだよ!」

「シンジ…アンタが適任なの。」

「な、何言ってるんだよアスカ!?解んないよ!そんなの解んないよ!」

「やらないなら…帰れば?」

「言われなくたってそうするさ!」

碇君…逃げるの?

「うん!」

大丈夫よ…

「え?」

私が… ミ 守るもの。

「見守るだけかよ!それに大体なんで小さく“ミ”なのさ!?」

貴方は死なないわ…多分。

「多分て何だよ!何で疑問形?!こんな事に何で命かける必要があるんだよ!」

「シンジ君…」

「か、カヲル君!?助けてカヲル君!」

「シンジ君、生と死は等価値なんだよ…僕にとってはね…」

「カ…ヲル…君…?」

「だって他人事だから…ぷぷっ!」

「か、か、カヲル君!?う、裏切ったな!僕の事裏切ったな!」

「シンジ…」

「と…父さん…まさか父さんまで…」

「お前が適任だ…だが嫌ならば止めればいい…」

「…本当にいいの?」

「代わりに…冬月を…」

「「「司令!?!!」」」

「何言ってるの父さん!?そ、そんなの無茶苦茶だよ!止めてよ止めてよそんなの止めてよ止めてよそんなの!!」

「…ならば…どうする?」
「な…何で僕なのさ!」

「一番お前のリアクションが笑えるからだ。」

「何だよそれ!に…逃げちゃ駄目かな…逃げちゃ駄目だよな…逃げるのは今だしな…逃げちゃおうかな…」

「…学園祭のヒロインは綺麗だったそうだな…」

「げっ!な、何故それを…」

「ほーらここに証拠写真よぉ〜ん♪」

「どどどどうしてミサトさんがそれを!?」

「それは私が葛城三佐に渡したから…」

「あああ綾波!?な、何でそんな事…」

「碇君…綺麗だった…もう一度見たいの…」

断れ、断るんだ碇シンジ、断ってしまえ!

「…逃げた場合…」
「判ってるでしょ…」
「シンジ…返事は?」
「…どうするの?」
「シンジ君…さあ答えを…」

「ぐっ!」

何でさ!何で僕がアスカの代わりに女装して見た事も無い男と映画見に行かなくちゃいけないのさ!大体あの学祭だって…


『碇君…貴方絶対性別間違えて生まれて来たのよ…何であたしのスカートでウエストに余裕あるの?』

『ほ…洞木さん、や、やっぱり止めようよ…僕には無理だよ…むぐっ!』

『あーもー動いたら化粧崩れちゃうじゃない!』

『ア、アスカく、口紅は止め…って!』

『碇君…』

『ああっ!?き、霧島さん!?た、助けて…』

『酷い…アタシより肌艶々…なんか悔しいわ…』

『き、霧島さん!?目、目が怖いよ!?ま、まさかき、君まで僕を女装させたいの!?変だよ変、皆おかしいよおかしいよこんなの!あ、山岸さん助けて!』

『シンジ君…綺麗…』

『や…山岸さん…君まで…』

『よしこれでウィッグを…嫌ぁ…可愛いっ!!』

『び…美少女よ!美少女だわっ!』

『くっ…負けた…』

『耽美…なんて退廃的で背徳的なの…』

『とほほ…』



…はあ、何で僕がこんな目に…

「…お待たせ…」

ああああ綾波!?

「私と…デート…嫌?」

綾波とデートはともかく女装は嫌なんだ!

「そう…じゃ…」

綾波!?

「碇君…行きましょ。」

え?ち、一寸話聞いて綾波!?綾波?綾波!あやな……嫌〜……


「先輩…な、なんて倒錯的退廃的な…不潔な筈なのに…ああっ!」

「完璧よ…シンジ君貴方なら梅ざわ某以上の女形に…レイ、貴方も宝ヅかのトップを目指せる…」

「先輩…ふ女子補完計画…なんて素晴らしい…」

「マヤ…これからよ。」

「はい!」


「碇君…あーんして…」

た…助けて…




【よおし、後一話で方向違う単発七回!】
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.26 )
日時: 2010/05/25 01:48
名前: tamb

■何処さん
 はじめまして(ですよね?)。管理人兼編集人のtambです。どぞよろしく。

【七回目の君へ】
 こういうゲンドウはあり得ると、確かに思います。より冷徹になるために、温かさをそこに
置いてくる、みたいな。
 弱い自分を自覚し、強くなりたいと願うシンジ。すがるのと同じくらいすがられたい。でも
それは明日から。最後の一行が沁みます。

【シークレット7】
 一転してゲロ甘。おまいらはおはようで二回キスするのか。おはようでキスしておはようで
キスされるのか。口唇がただれるぞ(爆)。これで7につなげたアイディアに感服。

 恐らく誰も付いて来ない余談。
 キスキスキスでまず浮かぶのはジョン・レノンの遺作「ダブル・ファンタジー」に入ってい
る小野ヨーコの「キス・キス・キス」。初めて聞いた時はぶっとんだ。これほどとんでもない
曲にはまだめぐり合ったことがない。
 次に浮かぶのが電グルの「シャングリラ」。電グルはあんまり好きなバンドではないけれど、
この曲は聞きやすい。確か売れたはず。私の中でピエール瀧はこの頃のイメージのままのため、
ローレライとかで素晴らしい演技力を見せている彼を見ると戸惑う(笑)。

【番茶と〇〇屋敷】
 不可能ですw
 いかに欲望の渦巻く食事であろうとも。

【綾波さん思索する】
 全く無難な着地点ではない(笑)。嘘は言ってないけど真実も言ってない。
 でも綾波さんの「…何でやねん…」は聞いてみたい!

【99.8888889%】
 カップラーメンのミサトカレーって食べた人いる?

【七人のアホ】
 シンジ君の女装は普通に可愛いと思う。内股だったりすると特に。というか、そろそろ設定
が苦しくなってきてるような気がw

【よおし、後一話で方向違う単発七回!】
 その発想はなかった!


■楓さん
 許可が出ましたので作品名を。楓さんのサイト『andante』にある「しっぽ」です。うちの
リンク(絆)からたどって下さい。様々な思惑があるのでここから先は書きませんが、探し出
して、特にLAK方面の方は溶けて下さいませ。

> 引っ込みます。

 あかんがな(笑)。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.27 )
日時: 2010/05/25 14:49
名前: JUN

tambさん、カレーラーメン食いましたです。旨かったですよ。
ただ、僕としてはにんにくラーメンのが旨かったかな。
ああ、テストのせいで書けない……orz
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.28 )
日時: 2010/05/25 20:25
名前: タピオカ

7人のアホ
シンジの女装は見てみたい気がする。


僕はテスト終わったんでバリバリ書いてます。明朝には破のDVDをみる予定ですww
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.29 )
日時: 2010/05/28 23:49
名前: 何処

前書き口上&読前の諸注意

・人により[痛モノ]と捉える方も居るかも知れません。

・色々と矛盾はありますが作者の勉強不足だから華麗にスルー。

・読前に某カロイドの名曲【MOON】読後に同じく某カロイドの神曲【1/6】(作品イメージソース)をお薦め。
某チューブや某ニコで各自検索。


では1111111Hit記念何処作品第七弾をどうぞ。



【1/6】


満月を碇君と見る。

二人で最初に見たのはあの時…

ヤシマ作戦…

私は…三人目になる事を予期していた。

その暫く前…あの起動実験の時、何故司令が私を助け出したのか私には理解出来なかった。

例え私が死んでも…替わりなら居る…

だけど、赤木博士から渡された破損した眼鏡は…

“…絆よ…貴女と司令の…”

…あの後、入院した私に眼鏡を渡す時、赤木博士は笑顔で私にそう言った…

今思い返せば寂しげな優しい笑顔だった。

私にとって、それは不必要な物。でも何故か私はそれを受け取った。

そしてその眼鏡は私の存在理由の象徴になった。

絆…加粒子に焼かれ、あの灼熱の中私は自分が役目を…道具としての役割を果たした事に満足感を感じていた。

例え生き残っても、LCLから離れた私の肉体はいずれリリスの体細胞に乗っ取られる、そして動かぬ肉塊と化した私の肉体は再びリリスへ還元されるのだ。

だけど…私をエントリープラグから助け出した碇君は…私にもう一つの絆…涙と笑顔をくれた。


『笑えば…いいと思うよ。』


私は…初めて知った。
自ら笑うと言う事を。
人の涙は…綺麗だと。

そして入院…

私を構成する人間の因子をリリスの体細胞から保護する為に、通常の人間なら致死量に近い投薬を私は受けていた。

この肉体を維持させる為の投薬、成分は一種の抗癌剤。

一月も投薬が続けば私の消化器官は殆ど食事を受け付けない。例え食品を摂取しても大半は未消化で排泄される。

そして私はメンテナンス…記憶の保存と肉体の再生…を定期的に行う事でこの肉体を維持させていた。

入院を私は無駄な行為と思っていた。
それより私の肉体を取り替えれば効率的な筈。だが、碇司令は何故か私を使い捨てにしなかった。

私は…二人目のままだった。



碇君は時折私を連れてここに星を眺めに来る。
取りたての免許で小型のバイクを運転して、町から二時間のこの高原へ。

初めて来た夏の夜空は星がすぐそこにあるように見えた。

私は星空に彼女を思い出す。

セカンドチルドレン…



彼女と碇君と、使徒を撃破した後で見た星空は忘れられない。

そして上空から落下する使徒を迎撃した後で皆で食べたラーメン…

私は密かに薬を捨てた。碇君と…皆と食事を取りたくなったから。

何れにせよ、何時か私はリリスに還る。死んでも替わりなら存在する…

時折押し寄せる苦痛も、私には関係無かった。

そして…ディラックの海に消えた初号機…

「貴女は人に誉められたくてエヴァに乗るの?」

純粋な疑問。私には良く判らなかった…エヴァに乗る為に造られた私とは違う彼女の有り様が。

帰還した初号機から回収された碇君を抱き締め泣き崩れた葛城三佐…私を救った碇君とその姿が重なる。

今思うに、私は葛城三佐と碇君に嫉妬したのだろう。そして…セカンドも。
私は…感情をもてあましていた。だから碇君が目覚めた後…私はセカンドに後を任せたのだ。

そして…あの参号機…

ダミーの完成は私達パイロットの必要を無くした。確実にいずれ零号機も弐号機も無人運用される筈だ…

私はその事実に碇司令が何故ダミーに拘ったか理解した。
司令は…私達を、息子を、碇君を戦わせたくなかった…

だが…

ゼルエルと名付けられた使徒に為す術も無く私とセカンドは敗退…初号機を起動させる寸前、彼女…エヴァはダミーを拒否した。

破損した零号機のエントリープラグに中継される本部の緊迫した状況を私はぼんやりと聞いていた。もう直ぐ訪れる終末を…サードインパクトを予期しながら。

サードインパクトは…起こらなかった。

碇君が…初号機を動かし戦ったから。でも…碇君は初号機に消えてしまった…



ふと右手を包む温もりに意識を戻す。
碇君の存在が隣にある事実は私を安堵させた。
満月を黙って見上げる私達。私は再び回想する…



碇君は戻って来た。
そして…セカンドは…


替わりの無い存在…セカンドの自殺的な行為は私には理解しがたかった。

「心を開かなければエヴァは動かないわ」

「ええ、死ぬわ」

「…私は人形じゃ無い…」
セカンドに叩かれ、呟いた自分の台詞…

あの時、私は初めて自我を自覚した。

私は…彼女に自我を貰った。

そして彼女は引き換えの様に…使徒に自我を壊されてしまった。


ロンギヌスの槍を投擲し、使徒を殲滅した後、司令は私に伝えた…司令自らが最後の使徒となり、リリスに融合すると…


『時計の針は動いた。今や我々は自ら針を進めねばならない。…ゼーレは最後の使徒を必ず送り込む。それはリリスを人の身に宿した疑似使徒…リリスより創造されたお前のイミテーションだ。そして彼らはその使徒が起こせずに終るサードインパクトをアダムより造られしエヴァンゲリオンを依代として起こす為に自ら動く。私はその前にアダムを以て我が身を疑似使徒と成しサードインパクトを我が手で起こす…人類の明日を望む妻の願いを叶え、再び妻と相間見得る為…』


そして…アルミサエルと言う名の使徒の出現。

零号機の自爆装置を作動させ、私は哀しみを知った。
碇君ともう会えない悲しみの涙…

あの時私は人になったのかも知れない。


…そして私は光に包まれた。


私の最後の記憶は…そこまでだ。

私は…三人目の記憶が無い。有り得ない記憶…最後のバックアップ以後のあの自爆までの記憶は確かにあると言うのに。
そしてこのリリスの肉体が何故未だ存在するのかすら私には判らない。
だけれども…
碇君と私は今こうして月を見ている。



月明かりは煌々と私達を包む。

輝く月に私は親近感を抱く。
1/6の重力の星は1/6の寿命の私に良く似ていて。

私は碇君の隣、いつも碇君を眺め、夜の逢瀬を一人待っている。

私は束の間碇君を借りている。

セカンドは何れ自分の心に素直になる。そして又彼の…碇君の元へ戻る。
推測では無く確信。
私の命ある内に…

寂しいが悲しくは無い。碇君とこうして月を眺め、私は幸せに満ちている。

二人に『ありがとう』を言えるまで…私は生きたいと願う。

そしてあの月の様に…

私はこの世界を優しく照らすあの星から貴方と彼女を見守っていたい…


2017年11月11日1時11分の第二新東京郊外美ヶ原の駐車場は人気も無く

碇君の唇は熱く柔らかかった。


【後書き】

これはLRSです(きっぱり)。
レイは幸せです。(更にきっぱり)

そしてシンジも。(断言)

苦い苦しい哀しい幸せ…でも二人に後悔は無いんです。

いや正直ちとどうかなとも思ったのですが、脳内綾波が『私…これでいい』とゴーストとして囁くので。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.30 )
日時: 2010/05/29 16:24
名前: タピオカ

1/6

 七部作ご苦労様でした。感想は色々ありますが、それらは全て僕の中で渦巻き、明確な言葉にすることが出来ません。他の作家様でしたら言葉に出来るかもしれませんが、何分僕は言葉が足りないので(汗)

 ただ一つ言えるのは、エヴァンゲリオンという作品の宇宙に、今までの六作品が美しいヘキサゴンを描き、この作品がその中心にあるという事ですね……。そして、その宇宙には我々が描いた星が無数に浮かび、日々宇宙は成長しているという事ですね。今ふと思ったのですが、作品を描くという事は素晴らしい事なのではないのでしょうか。今更ながら悟りました。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.31 )
日時: 2010/05/30 23:29
名前: 何処

後れ馳せながら皆様にご挨拶。

初めまして、何処と申します。LRS、LAS問わず趣味駄文を書きなぐる遅れてきたおっさん物書きでございます。

皆様の暖かいご感想有り難うございます。

さて、では作品解説

・七回目の君へ

何処が某所で書いたLAS作品の設定準拠。
発想は[魂が一人にしか宿らない…って試したんか…だろうな…]て所から。

・シークレット7

敢えてキャラ出さず。甘〃カップルはだいたいこんなもん。けっ。

・番茶と〇〇屋敷

考えるな、感じるんだ。

・綾波さん思考する

これが一番お気に入り。
某LASサイトの『綾波さん、すっとばす』とは似て非なる物。どっちも本人書いてるから仕方ない。

・99,8888889%

寝不足でついうっかり99,9999999%と最初に打ってもうた。

・七人のアホ

解説不要。書いた本人が一番アホ

・1/6

〆はまともに書いておこうかと。
偶々某チューブで聞いた『Moon』を又聞こうと探して出逢った『1/6』に直撃喰らって後はもう勢い。
タピオカ様の感想に「エヴァンゲリオンSS書いてて良かった。」と感動。



万華鏡の如く七つの鏡で映した脳内綾波レイを書いたつもりの今回、どれも別世界の綾波レイで繋がりはありません。

何処作品が基本一人語りなのは作者の力量不足だから無視せよ諸君。

てな訳で又何か思いついたら書きますので宜しく。


最後にもう一度ご感想下さった皆様&掲載させて頂いたこちらの管理人様に

ありがとう。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.32 )
日時: 2010/06/03 07:17
名前: tamb

 極端に時間がないので本日はここのみに反応。

 なんか聞いたことある名前だなとは思っていたので、>>31をヒントに検索してみたら、色々
ヒットしました(笑)。tomatoさんあたりとは交流があったりするのかな?

【1/6】

> 某カロイドの名曲【MOON】

 というのは、
http://www.youtube.com/watch?v=udnH_0TVZyY
ですかね? もうちょっと歌詞のはっきり聞き取れるバージョンがあるといいんですが。

 痛モノって何でしょうっていう議論を今さらするつもりはないけど、私的にはこれは痛くな
い。というか、言っちゃなんですがこちとら十年もFF読んでるんで、このクラスなら耐性は出
来てます(笑)。
 LRSなのは問題なくLRSでしょう。矛盾点はスルーせよということなのでスルーしますがw、
プロットあるいはシーンとしてよく出来ていて美しいだけに気になるのは気になります。
 ラストで綾波レイの肉体がどうなっているのか判然としない部分はあるけど、この手の話を
読んでここまで来たんならはっきりと帰還してアスカとラブコメやれよ、と思ったことも私が
自らの手でFFを書く動機の一つになったことははっきりさせておくべきかなと思ったので書い
ておきます。

 いずれにせよこの話はまだプロット段階なので、企画とかそういう縛りを抜きにして大長編
で書いて頂きたいと強く願います。うんざりするほどのダメ出しに耐えていただくことになり
ますが(笑)。かつて良く書いた言葉をまた書きます。もったいない。

 素敵な話をありがとう。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.33 )
日時: 2010/06/03 20:02
名前: 何処 ID:d2Ou8HsTEzc

ども、何処です。

【moon】【1/6】歌詞付き貼っておきます。

感想有り難うございました〜

読み切り短編に『もったいない』ってあらあらどうしましょう、大長編てああたそんな御無体な(爆)


余韻や含み込めて敢えて暈した所突っ込まれるたぁおいちゃん参った(苦笑)

ま、掴みはおKだったかなと。李飛龍風に『考えるな、感じるんだ』て事で一つ(笑)


又何か考えます。


【1/6】歌詞付き(日・英)

http://www.youtube.com/watch?v=d2Ou8HsTEzc

【moon】歌詞付き(日)

http://www.youtube.com/watch?v=idJON5rTgzk&sns=em
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.34 )
日時: 2010/06/05 06:00
名前: tamb

> 余韻や含み込めて敢えて暈した所突っ込まれるたぁおいちゃん参った(苦笑)

 そりゃ突っ込むよ。苦笑されたって。余韻にも含みにも、あえてぼかしてるようにも読めな
けりゃ突っ込むしかない。

> 李飛龍風に『考えるな、感じるんだ』て事で一つ(笑)

 それはそれでいいと思います。結果オーライであれば。だから、

> 又何か考えます。

 感じるんだ!(爆)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.35 )
日時: 2010/06/07 02:16
名前: calu


「……遅いわ」

 黒く澱んだ霧を薄めるように、切っ先を入れる陽射しだけが光源となる茫漠な空間。ネルフ本部総司令室。
 森閑とした空間に独り言を浮かべた少女の髪の色は美麗なるプラチナブルー。微かな陽光の照りかえしを受けては、
ときおり零れる煌めき。
 今その少女はどこかで見たハイバックチェアに背を預けつつ、そのたおやかな身体に這わせるように下腹部の上で
両手の指を組んでいる。リクライニングさせた本革のハイバックは究極の寛ぎをその少女に捧げたかに見えたが、先
の呟きに具現化されているように、ややご機嫌はよろしくない。

「……まあ、直にやって来るだろうて」スポットが当てられたように姿を現したのは副司令の冬月だ。陰鬱さを隠さず
コツコツとレイに歩を進めた。「レイ、ところでな……」
「……何でしょうか?」
「……いや、その、おまえが座ってる椅子なんだが」
「…………」
「私専用の椅子なんだが――」
「いい椅子だと、思います」
「そう…いや、そうでは無くてだな」
「…………」
「長年私が――」
「碇くん、遅いわ」
「……そうだ、な」

 確かにいい椅子だとレイは思った。体重を絶妙のバランスで受け入れてくれるイタリー製の牛革は、全身から緊張
というものを蒸発させるように奪い、心地良さの波間を漂う意識は、ときおり沼の底に引きずり込まれるような睡魔
に幾度も襲われることとなった。そして極め付けはオットマンだ。両のふくらはぎを妙なる優しさで抱きとめてくれ
る猫脚を持った天使のスツール。触れ合うその心地良さは――

 まるで碇くんのよう……。

 沈思黙考に沈むレイ。冷厳たる表情とは裏腹に、胸のなかは既にぽかぽかしているようだ。実にエコであるが、シンジ
が姿を現したら一度オットマンになって貰おうなどと真剣に考えていた。
 
 様々な妄想で想定外の時間を費やしてしまったが、このハイバックチェアはどう考えても副司令の将棋専用チェアと
しては些かオーバースペックだという結論に至った。マッサージ機能が付加されていないのが惜しいところだが、いず
れにしても今は腰を上げる気にはなれない。せめて、その到着を心待ちにしている少年が来るまでは。
 そうだ。どうせゼーレから一方的に割賦されたネルフの予算で購入した備品に相違無いのだ。組織の資産である限り、
誰が使用しようが問題は無い筈だ。副司令も健康のためには、偶には立ちっぱなしもいいだろう。筋力増強は基礎代謝
を涵養するのだ。さらに腹筋も併せて鍛えれば、或いは腰痛も――。

「おはようございまーす!」
「遅くなってごめん! 間に合ったかしら!?」
「いやー悪い。ご婦人方の身支度に時間が掛っちまって」
「おっはよー。あれ? シンジまだ来てないの?」

 ディラックの海でゆらゆら小舟に揺られていたレイの意識は、総司令室に突如なだれ込んだ大量の闖入者によって
強制サルベージされた。俄かに騒然さに支配されたエアロックドア周辺に目をやり、駆け込んできた葛城ミサトに長
門マキ、そしていつもと変わらず加持リョウジにぶら下がるように纏わりつく惣流・アスカ・ラングレーに表情の無
い一瞥を送った。ちょっと待って、今日こんなに出るのかしらと独りごちたレイは、そっと台本を手に取り頁を繰り
始めた。

「ねえファースト、それ台本?」
「そう」
「えーとっ、タイトルは『anniversary』だったっけ? どんなプロット? なんか1111111ヒット
記念企画ってことだけ聞いてんだけど」
「"1"を絡ませればいい、らしい。だから設定上、わたしは中学"1"年生になってるわ」
「はあー、それで使徒襲来の"1"年前ってヤツね…どうにも安直、貧困極まりない発想だわ」
「作者が作者だもの」
「どうせならシンクロ率並びに使徒殲滅能力ナンバー"1"たるこのアタシの話にしときゃあいいのに」
「綾幸だもの」
「それで? アタシたちの出番はいつなのよ」
「知らない。いま読み始めたばかりだもの」
「相変わらず素っ気ないわねー。まいっか、いつも通り出たとこ勝負ってことね。ほんっと、いい加減な作者の作品
だと苦労は絶えないわ。……ところで、バカシンジほんとに遅いんだけど、どこほっつき歩いてんのかしら」
「……シンジは購買部だ」
「!」

 ぽっかりと口腔を開いた大地から絞り出されたような低いトーンにアスカは数十センチも飛び上がってしまった。瞬間
冷凍された首をギリギリと後方に向けると、光届かぬ中央付近にモニュメント然とした執務机とセット物となった碇ゲン
ドウの姿が幽鬼のように浮かび上がった。ローバックに背を預けることを潔しとせず、組んだ指で口元を隠すポーズは相
変わらずである。

「し、司令…いたんですね? ……ビックリしたわ」
「……ああ」
「で、でもバカシ、いえ、曲がりなりにも主役なんだから。購買部なんかで道草食ってるなんて」
「ふん、大方忘れ物でもしたのだろう。どんくさい奴だからな」
「碇くんはどんくさいやつではないわ」
「でも、マズイな。カチンコまであと十分も無いぞ。シンジ君、間に合えばいいんだが」
「あと、リツコもまだ来てないわ」
「そう言えば、マキ。今日ミキちゃんは、来んの?」
「さっき携帯にメールが入ってたわ。食堂でゴハン食べ終わったら覗きに来るって」
「ふむ…本当にマズイな…いよいよ残り時間八分を切ったぞ」
「ふ、問題無い」
「ああ、だめだ。さっきから碇の携帯を鳴らしてんだけど電源を切ってるみたいで全然繋がんないや」
「何やてぇ!? そら、ごっつマズイやないか」
「ちょっとぉ、何で三バカの残り二バカまで来てんのよ」
「何ぬかしとんねん、このアマぁ。ワイかてチルドレンやねんで――ん、何やこのええ匂いは?」

「「お待たせ」しました!!」

 派手なエアの開放音に続いて大きく口を開けたエントランスから飛び込んできた三つの影。

「ああリツコ、良かった。間に合ったわ…でも」
「何で、シンジ君とミキちゃんも一緒なの??」

 カチンコまでのカウントダウンなど歯牙にも掛けない落ち着いた佇まいを見せるリツコ。その後ろには、果たして
碇シンジと長門ミキがいた。何やらその手に持って。

「マギまで使って本部施設内を探索したら、呆れた事にこのふたり購買部の物産展催事コーナーにいたのよ」
「ぶっさんてん?」
「そう、そこの催事コーナーで"たこ焼き"を焼いていたの」
「た、たこ焼き?」

 ……たこやき。小麦粉を水に溶き、中に細かく刻んだ蛸の小片その他のものを入れた粉物料理。大阪が産んだ
超ド級B級グルメ、と呟く空色の髪の少女を尻目に、二人に注目している全員に向かって、ゴメンとバツの悪そうな
表情を浮かべるシンジ。コクコクと大仰に頷くだけのミキはたこ焼きを頬張っているからだろう。はふはふと熱そうでもある。

「そう、たこ焼き。何でも実演販売の職員が持ち場から離れた隙に、彼女がトライしたらしいのよね。でも通り
かかったシンジ君が見てられないって飛び入り参加でヘルプに入ったらしいのよ」
「はー、このええ匂いはそのたこ焼きから来とんねんなー。ワイもひとつ頂きまっさ……おおっ、こりゃごっつ
上手いでえ! 外はカリカリ中しっとりや! シンジ、若しかしてワレたこ焼き検定持っとんのとちゃうやろな」
「こっちの舟のはあたしが最後に焼いたものなの。良かったら皆さんも――」
「ミキ、今はたこ焼き食べてる場合じゃないのよ。カチンコまでもう時間が無いのよ。シンジ君の飛び入り参加
を許したのは不味かったわ」
「お、おねえちゃん、ごめんなさい。あたし、いつもシンジ君のこと見てるだけだから、少しだけお話ししたくて……」
「まーまーマキ、もういいじゃない。何とか間に合いそうだし。それにこのたこ焼きすっごく美味しいしぃ。ほんでミキちゃん、
どうだった? シンちゃんからちゃんと教わった?」
「はい…シンジ君、ホントに凄いんです。料理針の捌き方もプロみたいだし、生地の仕込みもすっごい緻密なんですー」
「ふーん。それで、手取り足取り腰取り指導を受けてたんだ。そんで、そんとき変なとこ触られなかった? コイツこれで結構
スケベなんだからね」

 アスカによる想定外のN2アタック。仄暗い室内に沈殿した空気にピシリと奔った音は空耳に依るものか。組んだ手の裏でもぐもぐ
大ダコを咀嚼していたゲンドウはその口の端を歪ませ、レイはビクンと肩を震わせた。

「ななな、な何てこと言うんだよ、アスカ!」
「あーら、ゴメンあさあせ。本当の事言っちゃってえ」
「……そう言えば」
「……そう言えば?」

 ポトリと落ちたミキの言葉に十戒の如くの亀裂が入った司令室の雰囲気。身を乗り出し目を細めた冬月の眉間には五百円玉が二枚挟
めるほどの深皺が刻まれている。

「シンジ君が蛸を切っているときなんですけど……」
「…………」水を打ったような司令室内に誰かの固唾を呑んだ音だけがやけに目立った。
「包丁を握ったシンジ君の右肘が……後ろでシンジ君の手元を見てたあたしの胸をツンって突いたりしたかな……二回、いや三回くらい」
「えええ!! そそそんな、ぼ僕はただ」

 だってシンジ君たら何も言わずにイキナリ触るんだもの…少し声が出ちゃった、と小さく舌をだすミキを尻目に、ガタッと椅子を鳴ら
して立ち上がったゲンドウは、右手で鈍色に光ったサングラスを直すと冷厳な表情を崩さずシンジを見据えた。

「……シンジ、お前には失望した。なぜそれほどまでコソコソする必要がある? 堂々と正面から鷲掴みにすれば良いではないか」こう
いう風に、とでも言うように暗色の士官服を翻し右手を突きだしたゲンドウ。そのサングラスには怪しげな光を湛え、口の端は容赦なく
歪められていた。
「な、なな何言ってんだよ、父さんまで!」
「わたしは以前、碇くんに押し倒されて正面から胸を掴まれた事があるわ」

 この上無いタイミングでレイから放たれた二発目のN2アタックに三度凍りついた総司令室。それでも誤解(?)を解こうと必死の表情
で顔を上げたシンジだったが、レイの血よりも紅く染まった瞳に見据えられ、忽ちの内に金縛りにあった。
 身体中の毛穴という毛穴から滲み出る不快な脂汗を感じながら、耳の奥深く響く自分の鼓動に重ねるように、シンジは心の中で叫び声を
上げていた。助けてよ助けてよ、誰が助けてよ。
 次の瞬間、シンジの視界と意識を過ぎったプラチナブルーの少女の影は、シンジに一瞥をくれることも無く、時間だわ行きましょ、何が
あったかは後から聞く、とシンジだけに聞こえる声で囁いた。
 斜日が、索莫たる司令室に差し込む陽射しを一層強くした。少女の声の向こうにカチンコの音が弾けたような気がした。



 

  
 
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.36 )
日時: 2010/06/07 02:19
名前: calu

 それは引越しというには、余りにも簡単なものだった。
 ネルフ本部の最深層部に位置する人口進化研究所三号分室。その色褪せたドアが、老いた灌木が鳴くような音とともに開け放たれると、
眩いまでの金髪に艶やかな雰囲気を纏った見目麗しい女性が姿を現した。その手にはLとVが交錯した模様の紙バッグを提げている。
淑やかな物腰で通路にその姿を現したその女性は、ドアの奥に視線を潜らせると、鷹揚なそれでもやや硬いトーンの声を出した。

「レイ、行くわよ」
「はい」

 赤木リツコに続いてリノリウムに光る廊下にその姿を露わにした少女。ときおりプラチナブルーの煌めきを零すショートカットに、
緋色の瞳が陶磁器のような白い肌と相俟り、少女の容貌をより印象深いものにしている。少女は少し大きめの真新しい制服に身を包み、
胸の前でみかん箱ほどの衣装箱を抱えていた。

「碇司令に挨拶が済んだら、直ぐに出発するわ」
「はい」

 リツコに続いて歩を進めたその少女は、出てきたばかりの部屋を振り返った。刹那その朱をより濃くした眸を除いては、その整った
顔に、表情を見出すことは出来なかった。


                           ∞ ∞ ∞


 暗澹たる印象に沈んでいるのは、単に明るさが足りないという理由ではないのだろう。広大な空間が幾層も沈下していくような錯覚
に囚われる司令室の中央に、モニュメントの形骸とでも言えそうな執務机がその姿を晒し、その机の上では、総司令と呼ばれる男が両肘
を机上につき指を絡めている。サングラス越しに放たれた視線は、寥々たる室内では焦点を結んでいないようにも見えた。

「……碇」

 同化するようにハイバックチェアに身体を沈ませていた白髪の男が呟くように声を上げた。視線は手許の書籍からは離れようとしない。

「……ああ」
「そろそろ来る頃だな」
「……ああ」

 白髪の男はハイバックチェアに預けた身体を微かに前後に揺らせている。その背を背面の皮革に馴染ませるように。そして、その感触
を楽しむように。森閑という言葉意外に存在が認められない空間で、天井から滴り落ちるような、男のパラリと頁をくった音だけがやけ
に響いた。

「……碇」
「……ああ」
「レイの中学への転入の件だが」
「…………」
「いまだ理解出来んよ……『その日』はそう遠くはない。いったい何の意味があるのだか」
「…………」
「……まして、転入などと」
「…………」
「釈然としないのはレイも同じだと思うんだがな」
「…………」
「……まあいい。お前なりの考えがあっての事だろうからな。若干なりとも増えるリスクの見返りもあるのだろう。ただ、気になるの
は――」

 司令室に滅多にならないチャイムの音が響いた。来たか、と呟いた冬月が向けた視線の先で、エアロックが解除される音と共に暗灰色
の壁が割れるようにその扉を開放した。

「赤木リツコ、入ります」

 司令室の中に甲高い靴音を響かせたリツコ。そして続いて姿を現したレイ。
 遠い昔、絵本の中に見た妖精が誕生するシーンのように、朧にたゆたう光の中から切り取られたシルエットは、心持ちサイズが大きめ
の真新しい制服に包まれていた。
 総司令と言われた男は、組んだ手の向こうで、サングラスの奥の目を一瞬細めたように見えた。

「……おお、早速着てみたか―」副司令は好々爺然とした表情を隠さず、その柔かな視線をレイに注いだ。
「先の指示通り、本日からレイの日常生活の拠点を変更いたします」

 冬月の反応に眉をひそめ、その言葉を皆まで待たずに用件を切り出したリツコ。だが、その機械的な口調は、直ぐに室内に鳴り響いた緊急
回線に阻まれることとなった。副司令の顔を取り戻した冬月が間髪を入れず受話器を手に取り、直ぐにいつもの深い皺を眉間に蘇らせた。

「……むう、いかんな。赤木君、悪いが私と一緒に発令所に降りてくれ。今、ある計算をマギにさせているのだが、既定のローカルロジック
のレイアウトに少し問題があるらしい」何をやってるんだか、と忌々しげに受話器を戻すと、冬月は靴音を響かせ始めた。
「解りました。じゃ…レイはここで待機していて」

 リツコは、ゲンドウに一瞥を送ると、冬月の後を追うように慌ただしく司令室を後にした。
 外界へと二人をはき出すと、ふたたび森閑と暗欝がその領域を拡げる仄暗い空間。総司令の机から数メートル離れたところで待機の姿勢を
崩さない少女は微動だにせず、その顔に表情は見られない。

「……碇司令」
「どうした?」
「質問して、よろしいでしょうか?」
「言ってみろ」
「何故、学校というものに行かなくてはならないのでしょうか?」
「…………」
「私に残された時間はそれほど無い、と思います。だから、新しい生活を始める事に、意味は無い、と思います」 
「……レイ」

 カタッと小さな音を従えて立ち上がったゲンドウは、暗欝な室内に僅かな日だまりを作り始めた窓辺に歩を進めた。司令室の汀からは、
ジオフロントに燦々と降り注ぐ陽光が良く見て取れる。人口ではあるが、幾層にも特殊コーディングされたガラス越しにも多少なりとも
感じ取ることのできる朝の清々しさ。

 次の瞬間、振り返ったゲンドウに、レイはこれまで感じたことの無い温かな微笑を見た。 



















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           anniversary  - 綾波レイの幸せ 1111111hit記念 - written by calu

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 拡張地区にその部屋はあった。空高く色彩を深くした蒼にちぎれ雲が遠かった。力を湛えた陽光と幾重にも降り注ぐ蝉時雨に、建設工事の騒
然さが折り重なり、何か特別な息吹を感じさせるこのエリア。建設職員用団地6号棟。今日、綾波レイはここの住人となった。

「電気光熱関係に問題は無いようね」ステンレスキッチンの曇ったシンクにでんでんと不規則な水音を響かせていた蛇口をキュッと絞って、独
りごちたリツコは奥の部屋に顔を向けた。少女は、備え付けのチェストに持参した衣類を無造作に詰め込んでいる。「レイ。それが終わったら
学校に行くわよ」
「はい」
「転入手続きが目的だけど、あなたも見ておいた方がいいから」
「はい」

 すっと立ち上がったレイを見て、リツコは玄関へと歩を進めローファーに爪先を滑り込ませた。外に出てドアを閉めたところで、総務局三課
の担当から旧式の鍵を貰わねばと自分にリマインドを送った後、階段のある方向へと足を向けた。いずれにしても、現在レイには二十四時間体
制で二課のガード員をつけている。問題は無い。

 ?

 追随しない気配に後ろを振り返ったリツコの視線の先で、レイが郵便受けを見つめていた。そこは、これでもかという量の広告やダイレクト
メールなどで溢れかえっている。後ろ手を組んで、にらめっこさながらに真剣な眼差しを落とすレイにリツコは少し頬を緩めた。

「放っておいたらいいわ。処理してもまた直ぐに溜まるもの」

 はい、という声を背中に聞いて、リツコは歩を進めた。
 それでいいのだ。それで無くとも、今回の件により余分なタスクが増えることは明らかなのだ。今は、少しでもタスクを減ずることが肝要
なのだ。これから予想される事態、そして苛酷さを増していく本分を考えれば、それ以外の事などこの少女にとっては瑣事にもならない筈なのだ。
 そして……。


 再び振り返ったリツコの視界の中で、ガラス玉のような紅の双眸に何の感情も見せず、人形のように歩を進める少女を見て、リツコは少し満足
気に微笑を浮かべた。


 ……この子には、未来など用意されていないのだから。


                           ∞ ∞ ∞


 学校。一定の教育目的に従い、教師が児童・生徒・学生に計画的・組織的に教育を施すところ。
 リツコに続いて校舎に向かって歩を進めるレイの眸は、真っ直ぐにリツコの背中に留められている。休憩時間なのだろう、校舎に入ると至る
所から生徒達の話し声や生活音などが隙間を見つけて漏れ出していた。突如、どこからともなく現れたふたりの女の子が、子犬がじゃれ合うよ
うにリツコとレイの脇を風のように通り過ぎていった。屈託のない視線をレイに送った二人の少女はどちらとも無く漏らした、綺麗な子だね、
という言葉を曳きながら、直ぐに廊下の突き当りで見えなくなった。
 リツコの背中で、レイは少女達が去って行った方向に暫く視線を留めていたが、レイには彼女達の話していた内容、そして何故そのような不
自然な走り方をしなければならないのかを理解する事が出来なかった。

 いい。足りないものは学べばいいもの。
 命令だもの。


                           ∞ ∞ ∞


「これはこれは赤木博士。わざわざご足労頂くとは、恐縮至極ですな」
「これも仕事ですので」

 教員室に着くと、リツコとレイは忽ちの内に教員室の舞台裏のような校長室に引っ張り込まれるように通された。いつも揉み手をしつつ愛想
笑いを浮かべながらダージリンをサーブした教頭を、お構い無くと軽くいなすと、鉈を振り下ろすように機械的に用件を切り出した。
 大きく取った窓枠から午前十時の陽射しが、室内に柔かな陰影を浮かび上がらせている。殆ど雑音が駆逐された狭隘な空間で、放たれた矢の
ようなリツコの声が刺さる都度、口調に併せて観光地の民芸人形よろしく頭を上下に振る二人の男は、誂えたような笑顔を顔に貼り付けていた。
そんないつもと違う情景の中、レイの意識は重力を逃れた気球のように遊離し、その深紅の瞳は大仰な窓枠に縁取られてはいるが、絵画見本に
さえならない人影も斑な校庭に留められていた。

「……イさんは――」
「…………」
「綾波レイさんはっ」

 校庭から移された視線を受けとるや、教頭は急ブレーキをかけるように言葉を切った。顔面に浮かべた愛想嗤いを強張らせ、目にはスポイド
で落としたような畏怖の色素が拡がった。レイは、物を見るような目を男から外そうとしなかった。  
 
「…………」
「……い、いや、パイロットと学業との両立で大変だと、その、思うのですが、本校としましても、その辺りのところは、えー十分に考慮――」

 不可視の圧力で壁面に拉げた身体を精一杯の力で剥がすように絞り出した教頭の声に、リツコの低い声が矢となって飛んだ。

「プライオリティについて、今更話すつもりはありません。学校には来れる範囲で来させます」
「あ、ははい。で、では、綾波さんのクラスですが、1年A組でよろしいですね。ご下命いただいた通り候補――」

 リツコが書類をコーヒーテーブルに投げ出した音で、教頭は締め上がられたように言葉を途絶えさせた。

「おしゃべりが過ぎるようですね。教頭先生」無表情を貼り付かせたリツコの顔の中心で、眼だけが底光りしていた。「では、手続きが終了した
のでしたら、私たちはこれで」

 返事を待たず布張りのソファーから腰を浮かせたリツコは、半ば硬直した状態の男たちに一瞥もくれること無く出口に歩を進めた。静かな室内
に床を噛むようなリツコの靴音をバックに、レイの目はふたたび陽光しだれる校庭に留められていた。


 
 やれやれ、帰ったか。
 赤木博士、今日はいつもより一層機嫌が悪かったですね。
 全くもって、あの子の転入が気に入らないのなら上申すればよいものを。
 でも、ただの転入じゃあないでしょう。当然、彼女の目的は1−Aでの――。
 しっ、滅多な事を言うんじゃあない。どこにネルフの耳があるか解ったもんじゃないんだからな。
 それにしても、あの子。凄い美少女でしたが、あのガラスのような目、見ましたか? 私たちの事を…まるで物のように見てましたよ。
 アンドロイドという訳でもあるまいが、何てたってアレのパイロットなんだ。普通の子供じゃあ勤まらないんだろ。  


                           ∞ ∞ ∞


 教職員用パーキングスペースの隣に停められていた極端に車高の低い車は、血のようなイタリアンレッドに染めぬかれたグラマラスなボディ
とも相俟って、教職員のみならず子供たちの目をも引いていた。特徴的な丸目テールランプには不似合いなローファーの硬い音が近づいた。

「レイ。今日のスケジュールはこれで終わりよ。今からアパートに送ってくわ」
「徒歩で帰宅しようと思います。道を覚える必要がある、と思います」
「……そうね。明日から早速登校だものね。実際に歩いて時間も計っておいたほうがいいものね」

 じゃあ、とピラーレスのドアを豪快に開くと、リツコはか細い腰を滑り込ませた。V型8気筒エンジンが目を覚まし、時に音楽に例えられる
4カム32ビートのバルブ音が咆哮を上げると、豹が獲物を見つけた時のしなやかさで、プランシングホースを掲げたその車は加速を始めた。
 校門を出て、一気に加速した紅く低い車体に表情の無い視線を送り続ける蒼銀の髪の少女。思い出したように吹きつけた風が、彼女の真新し
いスカートの裾をひるがえした。
 ウィンドウ越しにリツコがレイを振り返ることは無かった。


                           ∞ ∞ ∞


 抜けるように碧く、雲ひとつ見あたらない空から穏やかな陽射しが降りそそいでいる。忍び寄るように降って湧いた蝉時雨に、その少女は歩
道に立ち止まり、スカートのポケットから一枚のコピーを取り出し目を落とした。

 間違った?

 コピーの上に走らせる視線に無駄は無い。経路を基点から定規のように辿らせたが問題点は見つからない。

 …………解らない。
 どうしてなのだろう。
 この地図情報自体に問題があるのだろうか?
 それは考えられない。昨日ネルフのデータベースから抽出したものだから。
 
 少女は元来た道を見返った。その何の表情も見られない瞳を通して地理情報を正確に取り入れると、瞬時にして誤った道を進んでいるとい
う結論を少女に与えた。何故か人っ子ひとりいない目前の光景は、つい今しがた通ってきた道とは思えないほどに直近の記憶との差異を明確
にしてはいたが。
 自らの結論に従い躊躇なく判断を下した少女。従容として踵を返した時、それに気がついた。
 何かが一直線に自分に向かってくる。急速に膨れ上がった気配は、背後、つまりそれまで歩を進めていた進行方向からのもの。
 次の瞬間、少女の周りの空気がぐらりと揺れた。水面に湧いた銀鱗の如く現れた煌びやかなネーブルカラーの壁が少女の周りに円筒状に展
開される。物心ついたときには身に付いていた不可知の能力。なんびとたりとも侵すことの出来ない絶対的領域。危機回避の要ある場合には、
それは時にターゲットを切り裂き、焼き尽くす。
 少女は、ターゲットを振り返った。


 !

 
 何…こども?


 振り返った体勢の少女のすぐ後ろまで迫っていたのは、見た目に幼い男の子だった。黒髪の下に不安いっぱいの瞳を覗かせ、息も切れ切れに
足を縺れさせながらも、必死に少女との距離を詰めようとしていた。


 ダメ…間に合わない。


 その子供がその領域に足を踏み入れようとした正にその時、少女のガラスの双眸に微かな光芒が走った。
 次に訪れた衝撃。が、それはまるで少女が予期したものでは無かった。鈍い音を撒いて激しく弾き返される筈だった少年は、マットに受け止
められたようにオレンジ色の壁にふわりと身体を沈ませると、ゆっくり復元したそれに押し戻され、道路にぽてんと尻もちをついた。


 !? 
 
 受け…止めた? ……有り得ない。
 

 良くて軽傷、悪くすれば命にかかわる事もある。未だレイはそのロジックを明確には理解していないが、ありとあらゆる物質そしてエネルギ
ーを拒絶するその壁は、加えられた力に等しきエネルギーで相手を弾き返す。酌量の余地なく無慈悲に展開されるカウンターアタック。それな
のに……。


 どうして、この子供は何とも無かったのだろう?


 尻もちをついた体勢のまま両手で頭を抱えていた男の子は、恐る恐る目前に佇立するレイを見上げた。
 ややもすれば女の子に見紛うくらい優しげな面差しに浮かべた不安いっぱいの表情。そしてその目にはいっぱいの涙を溜めている。
 物を見るような無機質な目で見下ろすレイに、より一層不安の色を濃くした少年は、それでも握ったり開いたりしていた手を握り締めると、頼
りなさげに身体を起こした。その小さな身体には、何かしら決然とした意思が見て取れた。

 
「……イ…ちゃん」 
「?」

「レイ……ちゃん……」
「!?」


 何? 何故…この子供は私の名前を知っているの? どうして?


 恐る恐る手を伸ばした少年は、上目遣いになった蒼黒の瞳を不安に煙らせながらも、レイの真新しいスカートの裾を遠慮気味に掴んだ。レイは
それを全く意に介さず、刺すような紅い視線をその少年の内奥に向けている。平衡感覚さえ見当たらない無色透明の心に浮かんでは消える疑問と
猜疑が消失を迎えても、電池が切れた人形のようにレイはそのままの姿勢を崩さないでいた。何かが引っ掛かっていた。何が気になっているのだ
ろう? この少年の何が。 

 
 ……解らない。


 スイッチを切り替えるように、少年からスッと視線を切ったレイは静かに踵を返した。少年の小さな手がスカートに振り切られ、その口から、
あうっと小さく声が漏れる。
 何事も無かったように歩を進めるレイ。が、数メートル進んだところでその足を止め、背中に痛いほどの視線を投げかけている少年を見遣った。
母親に置き去りにされた子犬のように全身から哀しみを滲ませている少年は、暫くすると深紅の瞳に何らかの意思を見出したのか、少年は急ぎ足
でトコトコ駆け寄り、ふたたび歩み始めたレイのスカートの裾をしっかりと掴んだ。


                           ∞ ∞ ∞


 あれからどの位歩いたのだろう。時の歩みと共にその藍を一層濃いものに変えていく高い空。千切れた雲が迷子のように太陽を掠め、瑞雲へと
その姿を変える。見渡す限り人の息吹などおよそ感じられない街並みは、先程まで歩いていた世界と同一のものとは到底思えなかった。
 時空の狭間から零れ落ちてしまったのだろうか。だとすると、あの世界にはもう戻る事が出来ないかもしれない。だが、それでもいいとレイは
思う。私ひとりが消失したところで悲しむ者はいない。唯一のステークホルダーとしての存在であるあの男を除いては。鍵を失う事による計画へ
の影響を嘆くであろう男を除いては。
 無に帰りたい。本来、存在しえない自分。この世に存在する限り対峙しなければならない違和感に畏怖し、ただひたすらに無への回帰を希求す
る魂。それは、造られた生命体であるが故の本懐。そして儚い夢だった。創造主たるあの男の許しを得ること無くしては、約束の履行無くしては
自身の存在さえ消すことは許されない。それが私。それが綾波レイといわれるモノ。

 
 ……だから、戻らなければならない。『その日』の約束を履行する為に。造られたモノとしての存在意義を全うする為に。そして、自らを消す
ことで総ての契約と悲願は成就される――。


 レイに意識を戻させたものは、腰に僅かに加わった抵抗だった。斜め後方について来ている筈の幼い少年を振り返ると、スカートの裾を命綱の
ように掴んだ少年は、より不安の色を濃くした瞳でレイを見上げていた。


「……レイ…ちゃん……だ、だめだよ」


 何を言っているのだろう、この子供は。いま歩いているこの道が間違っているとでもいうの? 
 …それとも、……まさか、そんな筈は、無い。


 カーテンを引くように意識を遮断したレイは、ふたたび前方に向き直り歩を進めた。ジリと真新しい制服を焼く真夏の太陽がレイの五感に戻っ
てくる。その時、フッと腰から抵抗が無くなり、その代わりに左手に新たな感覚が生まれた。チラと振り返ったレイの視線の先では、叱られたよ
うな表情を浮かべた少年が上目遣いの瞳に子供らしからぬ懇願の色を浮かべていた。刹那、少年と視線を交わらせたレイは、前方へとふたたび歩
きはじめた。レイの手を申し訳なさげに握る小さな手をキュッと握り返して。少年の手は温かかった。


 ……今だけの事。好きにすればいい。


                           ∞ ∞ ∞


 碧空が午後の太陽に薄められる下、手を繋いだふたりは姉弟にも見えた。
 最早レイの持っている地図はその役をなさず、少年が水先人のように、進むべき路地を指さしては歩を進めていた。ここに住んでいる子供なの
だろうとレイは思った。そして不思議な子供だとも。その蒼黒の瞳の内奥に時折り垣間見る色はレイの記憶を揺さぶり、繋いだ手を通して感じる
温かさに覆われた感覚は自分が嘗て知っていたもののように思えた。  


 ……いつ、どこで? 出会っていたのだろうか――。


「……レイ…ちゃん」

  
 !


 その温かさ、そして一筋の蜘蛛の糸のような繋がりを通して齎されていた感覚は、何の予兆も無く唐突に断たれた。

 慌てて振り返ったレイ。その視線の先には、瞳に涙をいっぱいに溜めた少年がレイに向かって頼りなげに右手を伸ばしていた。

 
「……ぼくは…ここから先には行けない……」


 !


「……だから…」


 少年の小さな手に向かって、レイは自らの手を伸ばしていた。
 レイの白い手の先で、少年の手が、顔が、身体が、レンズ越しに見るように空間ごと歪んだ。急速に現実感を失う向こう側で、少年の色は
霞み、幽かな影となっていく。


「……さよなら…」


 !


「……レイ…ち…」



 夢の世界を浚うように空を切った手に引っ張られ、身体を躍らせたレイは、次の瞬間、圧し掛かるような午後の陽射しと蝉時雨を全身に浴
びていた。水底にいるような湿度の高い空気が、血の巡りを取り戻させたように、レイに徐々に現実感を取り戻させた。


 ……な…に?

 
 顔を上げると、レイは探るような視線を添えて一頻り辺りを見回した。やはり見覚えの無い景色だったが、此処彼処に人の姿が見え、人の
生活の息吹が感じられる。


 ……いったい、何だったの? あれは、幻覚…だったの?


 少年の手の感覚がまだ残る左手に視線を落としたレイ。今の今まで頼りなく、それでも確かに繋がれていた証であるように、温かさはまだ
消えてはおらず現実感を伴ってこの手に残っていた。
 絹糸のような繋がりを通して感じたあの感覚は何だったのだろう? あれほど気に掛った少年の瞳。その蒼黒なる深淵の汀には何が佇んで
いたのだろう。そして、


 ……どうしてあの少年はわたしの前に現れたのだろう。


 幾重にも降り注ぐ蝉時雨の上から心持ち重気な陽射しがレイのまだ新しい制服を焼く。抜けるような蒼空の下、既に定められているかのように、
知らない街の中を何ら迷い無く歩を進めるレイ。横断歩道で赤く灯った信号機によって、その歩みを止めた。


 ……わたしは、あの瞳を知っている?
 

 そう、遭った事がある?
 いつ? どこで? ……解らない……でも、

 確かに知っている気がする。あの瞳を。


 思考を逃すように天空を仰いだレイの紅い双眸に映った、刹那の瑞雲。
 僥倖の再来など信じることはない。
 だが、レイは目を瞑った。祈りを捧げるように。
 陽光がジワリと重みを増した次の瞬間、世の中の時間が停止したかのように蝉時雨が止まった。
 そして、一切の人々の営みからなる息吹が、ブレーカーを落としたかのように消失した。

 
 静謐の底に落ちた世界の中で瞳を開いたレイは、足早に横断歩道の中ほどまで歩を進め、人っ子一人視界の縁に掛らない街並みを、その
深紅の双眸でゆっくりと見渡した。そして、それは唐突にレイの視界に飛び込んできた。少年の蒼黒の瞳として。


 ……わたしは……。


 その瞳の持ち主は、幼い男の子ではなかった。リュックを背負い、ボストンバッグを手にしたレイと同じくらいの年恰好の少年は、レイから
五十メートルほど離れた公衆電話の前で虚を突かれたような表情を浮かべて少女を見つめ返していた。


 ……この瞳を……。


 刹那、絡み合うふたりの視線。

 そして、その少年の瞳は、レイが知っていた瞳だった。


























 とくん





















 ……な…に?


 両の手を胸に添えたレイ。それを合図にしたように、一斉に十数羽の鳩が飛び立つと、次の瞬間、街並みは色を取り戻していた。公衆電話の前
にいた少年は煙のように消失していた。


 ……これは……なに?


 湧き出したような喧騒の中、道行く人が表情を消したまま佇む少女を怪訝そうな顔付きで見ては足早に通り過ぎていく。


 ……わたし……どうして?
















  
 凍りついた世界の中で、永遠に溶けることの無い封印に生じたほんの僅かな亀裂。

 時満ちて胎動を始めた契約の如く、偽りの役割を解き放たれた歯車は、軌道を変え、その轍を刻みはじめた。 

 時に西暦2014年8月、第3使徒の襲来まで余すところあと一年。

 路傍で佇む蒼銀の髪の少女は、掌の下で鳴りやまない鼓動を耳の奥で聞いていた。

 ガラス玉に例えられたその深紅の瞳。たった今そこに添えられるように灯された淡い光。

 そして、悠久の時を経て、自らの魂の中で刻み始めたシナリオの歯車を、いまだ少女は知らない。

 


                                 The End 











 










 









メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.37 )
日時: 2010/06/07 20:53
名前: JUN

どんどんcaluさんが別格になっていくのを感じます(汗)
名前は出しませんが、僕がFFを書き始めるきっかけになった方の匂いを感じます。
caluさんは語彙もさることながら静謐な文章の中にある微妙な温かさ、コミカルさがたまりません。

anniversary
それこそ人形と言って差し支えないレイが、恐らくこのシンジと思われる少年から変わってゆくのでしょう。些細ですが、確実な“変化”。
長門姉妹がどんどん馴染んでいます。もはやレギュラー(笑)この掛け合いは個人的にかなり好みなので、これからも見たいと思います。ありがとうございました。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.38 )
日時: 2010/06/07 23:34
名前: 何処

昨日、僕の誕生日…

綾波と、初めてキスをした。


【1st-kiss】作・何処


誕生日パーティーの後、綾波を送る途中、僕は気付けば綾波に唇を重ねていた。


「何故?」

「…君が、好きだから…」

「…何故、私を見ないの?」

「え?」

「私を、見て。そして、話して。」

「う…うん…あ、綾波、ぼ、僕は君が…その…いや、は、はっきり言う、うん。ス〜〜ッッ、あ、綾波!僕は…僕は君が好きだ!だからキスをしたんだ!」

「…私も。」

「え!?」

「私も、碇君が、好き。」

「あ、綾波…」

「だから、これは私からの返事のキス。」

「え?ンムッ!?」

「「………」」

「…碇君、私、今、自分の意思で碇君とキスをした…四人目の私が、初めて、自分の意思で動いたの。」

「え?あ、綾波?」

「命令では無い最初の行動…私から碇君へのバースデープレゼント。」

「あ…あぁ…」

「碇君へのキス、感謝の気持ち…受け取ってくれて…有り難う…」

「い、いや綾波!ぼぼ僕こそああ有り難う!」

「有り難う…私、碇君から…あ、有り難うなんて…なん…て…うぅ…涙?何故?嬉しいのに…えくっ、う、嬉しいのに…何故?」

「綾波…嬉しいなら、笑えばいいんだ。だから笑って綾波、泣かないで綾波、泣かないで…」

…涙を流す綾波は…哀しい程綺麗で…思わず抱き寄せた僕はそのまま…


そのまま…



そのまま…




…何も出来なかった…


…気付けば日付が代わっていて、綾波を無事部屋まで送り、僕は伏魔殿…いや、魔窟へと重い足を向け…



る必要無いわ。
そこ居るし。
全員で。

「…何してるんですかミサトさん。て言うかアスカはともかくマヤさんにリツコさんまで…日向さん青葉さんも皆を止めて下さいよ…加持さんもですか?」

「なあシンジ君…酔った女性と使徒…どっちが強いと思う?」

「て言うかそれこの場で言っちゃいますか加持さん…」

ボコられる勇者を醒めた視線で眺めながら僕は聞いた。

「…で、日向さん。青葉さん。一体何時から…って端からですよね…はあ。」

「い、いやシンジ君」「そ、それはだな…」

「…誰が勝ったんです?どうせ賭けてたんでしょ?」

「「加持さん一人勝ち。」」

…帰ろ。加持さん放置するけど恨まないでね。

それにしても…はあ。

明日綾波にどんな顔すればいいか解らないや…けど…多分大丈夫だよね、うん。

綾波が傍に居るなら、何だって大丈夫だ。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.39 )
日時: 2010/06/10 00:24
名前: tamb

■何処さん
 VOCALOIDの「1/6」
 メロもアレンジも残念ながら私の好みではなかったけれど、歌詞はすごい。これはぶっとん
だ。ものすごいセンスだ。「MOON」は……まぁ普通だな

■caluさん
 前文と「anniversary」。よかった。前文のエロ路線かと思わせる展開と「何が
あったかは後から聞く」という恐怖のセリフから一転した超シリアス路線。
 リツコの冷たさもいいし、レイの無感情から戸惑いへの変化もいい。これこそがオリジナル
エヴァのテイストというものだ。唐突に出現した少年と本編冒頭のレイを絡めたのも凄い。考
えてみれば当たり前なんだけど、シンジから見てレイが消えたということは、レイから見れば
シンジが消えたということでもあるわけだ。もちろん、レイがどのような存在であるかにもよ
るけれども。

 思い出したことがいくつか。
 かつて読んだFFの中に、まさに物語が終わったあと「はい、カット」「お疲れさまー」「ね
え、なに食べに行こうか」的な会話がなされているとしか思えない、つまり演技をしていると
しか思えない作品が少なからずあった。それはそれでいいんだと思うけど、少なくとも当時の
私は反発を感じた。ただ、「anniversary」には演技感は感じられない。それは前文との落差
にも繋がる。
 作家名も話のディティールも憶えてないけど、レイと少年だった頃のシンジが出会っている
という作品があった。レイが部屋に鍵を掛けないのはその少年がいつでも帰ってこれるように、
という理由だった。
 転校生の恐怖、という話題があって、それは主に転校生って謎っぽくて怖いよね、という話
だった。私個人としては転校生に恐怖を感じる事はなく、転校をした経験からは転校生が転校
した先の新しい世界に恐怖を感じるものだろうと思っていた。逆に言えば、恐怖や怯えを感じ
ていない転校生は恐怖の対象になり得るわけだ。という観点から話を書こうとしていたことが
あった。ずいぶん長い間ひねくりまわしていたし、書きたいとは思ってるけど、もし書けたと
してもだいぶ先になる。設定はレイが中一で転校してきたばかり。担任の「俺」が「友だちな
んて必要ない」というレイをぶん殴って休職処分になるという話なんだが、それでどーすると
いう

■再び何処さん
【1st-kiss】
 これもストーカーものだ(笑)。
 流れにまかせてキスをしたはいいが、私を見てといわれて完全に我を失っているシンジ君が
いい(笑)。しかし泣かれると我に返る、と。しかしこんなぞろぞろついて歩いてたら気づくよ
な、普通は(笑)。強引なオチも悪くない。かな。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.40 )
日時: 2010/06/11 02:37
名前: calu


■JUNさん

拙作も読んで頂き有難うございました。また感想までいただき感謝デス。

>コミカルさがたまりません。
今後四人目への投下路線はこれで行こうかな、と(笑)。

>長門姉妹がどんどん馴染んでいます。もはやレギュラー(笑)
お有難うございます(笑)。マキさんの産みの親のtambさんに感謝ですね。ミキは非番の時はマキさん
と一緒にいることが多いらしいですので、これからも一緒に出てくる機会は多いと思いますよ(笑)。

実は、個人的にレイが13歳の時に中学に転校することになった理由が非常に気になっているのです。
anniversaryは、その時間軸周辺に触れるFFの第一弾のようなものになっております。よりまして、そのうちに
思い出したように第二弾を投下させて頂くかもしれません。その時にまた読んで頂ければ嬉しいです。

■tambさん

拙作を読んで頂き有難うございました。
頂きました感想にただ只管感激しております。

>ただ、「anniversary」には演技感は感じられない。それは前文との落差にも繋がる。
落差を感じて頂けたとすれば、嬉しいです。「彷徨う虹」の作中でもそうなのですが、私はこの落差を
産み出す事を、かなり意識しています。落差は、シリアスさをより増し、その描写においてのリアリティ
を増幅させる一因になると信じているのですが、それは綾波レイという少女の存在を少しでも色濃いもの
にしたいという想いから来てるんだと思います。

>レイが部屋に鍵を掛けないのはその少年がいつでも帰ってこれるように、という理由だった。
それは、読んでみたいですね。探してみます(笑)。

>逆に言えば、恐怖や怯えを感じていない転校生は恐怖の対象になり得るわけだ。
tambさんのその作品も読みたい(爆)。
果たして、その転校生は如何なる力をアシュアランスとして、恐怖そして怯えを級友たちに転嫁している
のか、なんて紹介文をまた長門姉妹に書かせますので

■何処さん

初めまして、caluと申します。今後ともよろしくお願いいたします。
【1st-kiss】、楽しく読ませていただきました。

>そのまま……何も出来なかった…
良かったですね……路上だもの

これからもこちらの企画で貴作にお目にかかれそうですね。楽しみにしております。



■最後になりましたが、このスレの投稿作品を書こう! と思い立った途端、見計らったように仕事が忙しくなり
(同時多発監査ですー)「anniversary」も宙ぶらりんになるところでしたが、二人目で名も無きROMさんから頂い
た激励の言葉を励みに、何とか投稿を果たす事が出来ました。改めまして、名も無きROMさんに感謝いたします。
あと一作くらい投下出来れば、と考えております。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.41 )
日時: 2010/06/13 17:00
名前: 何処

碇君。

私、前髪少し切ってみたの。

気付いてくれるかしら?


「…無理よね…」


溜め息が出る。

私が人として生き始めて一年…感情を、人の心を自覚してから、私の苦悩は始まったの。

洞木さんとセカン…いけない、又怒られる処だ。アスカと言う二人の教育係は私に女としての自覚を促した。それはもう我ながら驚く程に。

気付けば碇君の事を見詰め、その癖碇君の視線を受け止められもせず目を逸らす。

胸が苦しい、喉が渇く、血圧が上がる。


「間違いないわ、それは恋よ。」

「…恋?」

「恋ね。ヒカリ、やっと、やっとこの娘がここまで来たわ…」

「長かったわね…」

「?」



【1st-kiss(裏)】



今日、6月6日は碇君の誕生日…私はある決意を持ってこのイベントに参加したの。


「…それじゃ…私…これで失礼します…」

「ぢ、ぢゃあぁあああ、ぼボボ僕あああ綾あや綾波をおおお送ってきます。」


「じゃ、頼んだわよシンジ君。本当なら大人が送らなきゃいけなかったんだけど…なにせあの様だから…」

「うひゃひゃひゃひゃ!加持おまらへー!ミサト特製四種混合カクテルにょ!にゃはは〜」
「葛城こいつはカクテルなんて上等な代物か!?こりゃ只の闇鍋チャンポンて言うんだ!」
「ミーサートー!あんた飲み過ぎなのよ!あっ!?あたしのアイスバイン!?」
「豚足はいいねえ…コラーゲンの極みだよ…」
「貴様殺す!は、離してミサト!」
「刃物は止めなさい刃物はぁ…ヒック」
「あは〜おさけ美味し〜いあは〜先輩が二人〜」
「続いて懐かしの70年代フォークを…」
「ぅ〜マヤちゃんを誰か止めてくれ〜、青葉ぁギターはもう止めろ〜」

「魔窟…」「綾波何気に酷。」
「…あたしも逃げようかしら…」



「…行ったわね。」
「…シンちゃんのあの上がりっぷり…プククッ!」
「意外なのはレイよ、ミサトも見たでしょ?」
「見た見た!シンジ君と二人揃って右手右足同時に…クククククッ!」
「よーっし!さ、行くわよ皆!あの二人を生暖かく見守るのよ!」
「おいおいミサトはともかくリッちゃんが何でそんな張り切っ…ってアスカ?何を…釘バットは止めろ釘バットは!」
「この変態ホモ使徒があたしのアイスバイン喰いやがったのよ!おまけにレイから譲って貰ったあたしの大好物の骨付きチョリソまで…」

「ん〜♪このソーセージの固さといいサイズといい…ヘブッ!?」

「…不潔…ヒック。」

「マヤ、ナイス突っ込み!」
「うわ酷ぇ…」
「…ボトルでどついたよ…」
「自業自得とは言え…御愁傷様だなこりゃ。」
「マヤちゃんちょっちそりはお酒に失礼ぢゃなぁい?そり30年物よぉん?」
「ミサト何言って…流石バカラのクリスタル製…傷一つ無い…」

「「「…そっちか?」」」

「さて…この不審変質者をどうしてくれよう…」
「…シ、シンジ君〜…あ、君のペーゼなら僕は、僕は…」

「…滅殺。」


渚カヲル、沈黙


「ふう、これでよし。」
「それより!あの娘達追い掛けるわよ!」
「…この人数で?」「しかも全員酔っ払いで?」
「だ〜い丈夫よぉん、ぬわぁ〜んっとわっってあの二人、今はラブラブフィールドのせいでお互いしか目に入ってないものぉ!」
「さて、じゃあ今日はあの二人…何処まで行くかな?」
「決まってるぢゃないれふかぁ…シ〜ンジ君がぁ…お泊まり!嫌んシンジ君不潔ぅ!」
「あの馬鹿シンジにそんな勇気無いわよ。」
「ん〜手繋げれば上等かなぁ…」
「確かに…」
「でもぉ、シンちゃんだって何のかんの言いながら男の子ょぉ?ましてや…」
「レイのあの気合いの入り様…勢いに流されても不思議は無いわね…」

「…賭けるかい?」

「「「「「「乗った!!!!!」」」」」」





「綺麗な…月だね…」

「ええ…」

「…綾波…」

「何?」

「ん…」

「あ…」


碇君と、初めてキスをした。

気付けば碇君が私に唇を重ねていた。

喜びより、疑問。

「何故?」

「…君が、好きだから…」

顔を伏せ、碇君は…
嬉しい…けど、違うの碇君。
お願い、今は私を見て欲しいの。

「…何故、私を見ないの?」

「え?」

「私を、見て。そして、話して。」

碇君、私、今日の為にリツコさんから香水、ミサトさんからピンクのリップ、アスカと洞木さんに髪と眉を手入れして貰ったの。
この服もマヤさんに選んで貰った服なのよ?どう?可愛く無いの?

「う…うん…あ、綾波、ぼ、僕は君が…その…」

え?碇君?あの、私の今言いたかったのは…

「いや、は、はっきり言う、うん。」

あ、碇君、待って、私…
こ、心のじゅ、準備が、あの…

「ス〜〜ッッ、」

え!?嘘!?今ここで?本当なの!?

「あ、綾波!僕は…僕は君が好きだ!だからキスをしたんだ!」

…あ、涙が出そう…

「…私も。」

「え!?」

「私も、碇君が、好き。」
もう止まらない。

「あ、綾波…」

…勇気を…下さい…

「だから、これは私からの返事のキス。」

「え?ンムッ!?」

「「………」」

「…碇君、私、今、自分の意思で碇君とキスをした…四人目の私が、初めて、自分の意思で動いたの。」

「え?あ、綾波?」

「命令では無い最初の行動…私から碇君へのバースデープレゼント。」

「あ…あぁ…」

「碇君へのキス、感謝の気持ち…受け取ってくれて…有り難う…」

「い、いや綾波!ぼぼ僕こそああ有り難う!」

!?

「有り難う…私、碇君から…あ、有り難うなんて…なん…て…うぅ…涙?何故?嬉しいのに…えくっ、う、嬉しいのに…何故?」

あ、碇君の手が…

「綾波…嬉しいなら、笑えばいいんだ。だから笑って綾波、泣かないで綾波、泣かないで…」

…涙を流す私…哀しい程嬉しい…思わず抱き寄せられた私はそのまま碇君に抱き付いたの…



このまま…




このまま…





…時間が止まってくれたらいいのに…



…気付けば日付が代わっていて、碇君は私を部屋まで送ってくれたの…

嫌、別れたく無い…

私はそっと窓から碇君の後ろ姿を…





え?

そこに何故皆居るの?


…全員で覗いてたのね…

ん?でも何故私気付かな…

あ。


私、碇君しか見てなかった…


…無いわ。
あり得ない以上にそれは無いわ…


女性陣に追い掛けられる長髪を後ろに結った男性を傍らに眺め碇君は何やら二人の男性オペレーターと話をしている。

…止めよう。放置する事にして私は浴室へ。

それにしても…はあ。
全部…見られてたのよね…
服を畳み脱衣籠へ、浴室に入りシャワーを浴びる。

…はあ。

明日皆にどんな顔すればいいか解らない…けど…多分大丈夫よね。

だって碇君が傍に居るから。

私はシャワーの水圧を上げ、洗髪をする。シャンプーはフローラルのいい薫りがした。


【終わり】






「うう…ぼ、僕の出番…シンジ君…僕は諦めない…」

「クェ?」


月光照す室内。簀巻きにされた銀髪の少年を、只一羽のペンギンだけが眺めていた。



「シンジ君〜」

「クヮ〜…」
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.42 )
日時: 2010/06/14 20:42
名前: JUN

【何処さん】
さあ、どこから突っ込みましょうか(爆)
かなり甘いはずなのに、すっとぼけたノリが中和してますw
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.43 )
日時: 2010/06/14 20:43
名前: JUN

【七つ目の絆創膏】

「っ、痛……」
 つう、と人差し指の第一関節から真っ赤な鮮血が一筋流れる。またやってしまった。そろそろ絆創膏を巻いてもらうのも申し訳ない気がする。この傷で七つ目。絆創膏は既にそれぞれの指に一枚ずつ。手首にも一枚。鍋の縁に当てて火傷。情けない気分でいっぱいになる。この程度で彼に美味しい味噌汁を食べてもらおうなどと、お笑い種も甚だしい。
 けれど、やめるわけにはいかなかった。彼と、そして彼の父親。親子としては最悪の関係性たる彼らに和解してもらうには、きっと料理が一番。
 残った具材をなんとか、食べられる大きさまで刻み鍋に入れて一煮立ち。見た目は少なくとも味噌汁である。匙にすくって一口飲んでみる。
 
 しょっぱい。それに、出汁の味が全くしない。焦げた味がする。

 これではだめ。彼に飲ませられない。鍋一杯の味噌汁を見つめ、レイは重いため息を吐いた。また失敗。

 けれどいくら美味しくないからといって捨てるのも躊躇われる。アスカの言葉が頭をよぎった。しょっぱくても飲めないレベルではない。アパートの周りには野良猫も沢山いる。

 塩辛い味噌汁に顔をしかめながら、レイはどうしたら上達できるか、ただただそれだけを考えていた。彼は、どうだったのだろう。彼もこんな風に失敗したのだろうか。
 何故だか、それはあり得ないように思えた。彼は最初から料理が出来て、美味しい味噌汁を作れたように思えた。そちらの方がよほどあり得ない筈だが、レイにはそう思えた。
 いつの間にか、血は固まっていた。表面のざらついた、小さな醜いかさぶたになっていた。このまま放っておいても問題ないように思えたが、やはり消毒はしておいた。絆創膏は明日にでもリツコに貼ってもらおう。
 灰色の陰鬱な部屋の中で、レイは惨めな気分を噛み締めていた。部屋に漂う焦げ臭いにおい。シンクに大量に溜まった、洗われていない食器。鋭い痛みを放ち続ける左手。
 その全てが一体となって、自分にどうしようもない無力感を覚えさせた。彼は自分にたくさんの事をしてくれたのに、自分は彼に何もしてあげられていない。包丁一つ使えない自分に唖然とした。今まで自分は本当に何もしていなかったのだなと、改めて思った。
 
 けれど今は、もう人形じゃないから。

ベッドの中で、レイは決意した。明日は、明日こそは……




目が覚める。頭が重い。一瞬身体に異常をきたしたのかと緊張したが、すぐに思い当たった。どうも風邪らしい。
自分の格好を思い出していると、裸の上にワイシャツを羽織っただけだ。いくら常夏の世界とはいえ、身体にはよくないだろう。
今日の学校は休もう、レイは思った。彼に会えないのが残念だけど、伝染すのはもっと不本意。
 そう結論付けるとレイはさっさと布団をかぶり、眠りについた。







 ――なみ……あ……なみ…………あやなみ…………綾波……

 どこか遠くから、声が聞こえた。夢と現実の境がつかないが、自分は夢を見たことが無いから、多分現実なのだろう。重い頭を我慢して目を開くと、彼が自分を見下ろしていた。
「いかり……くん……」
「大丈夫?綾波」
 レイは布団の中でこく、と首肯した。
「すごい熱だ……」
 そう言いながら彼がレイの額の上にそっと自分の手のひらを乗せた。その動きに余計顔が熱くなるのを感じた。顔が赤いのを気づかれないか不安になったが、自分は風邪だということに気づいて安心した。
「何か食べた?」
「……食べてない」
「だろうね」
 その口調は呆れたようなものでもあり、面白がっているようでもあった。
「綾波は、もっと自分の身体を大事にしなきゃ駄目だ。昨日だって、あれ、何時まで作ってたの?」
 そう言って昨日の残骸を指差した彼に、レイは狼狽した。だめ、見てはだめ。
「だめ、見ちゃ……だめ…………」
 弱々しくレイがベッドの中から左手を伸ばす。シンジは両手でその手をそっと握った。
「……ごめんね、もう見ちゃったんだ。その……僕の自惚れじゃなかったら、あれ、僕に、だよね?」
 レイはまたも小さく頷く。
「碇くんと碇司令に、なかよく……なって、ほし、くて…………」
「喋らないで、綾波」
 シンジが濡れたタオルをレイの額に乗せる。レイはほうっと息を吐いた。
「こんなになるまで、がんばってくれたんだね……」
 何のことか分からず、レイがそちらに目を向けると、シンジが愛しげに、レイの左手を撫でていた。
「それは……」
「せっかくの綺麗な指が、台無しだね……」
 恥ずかしい。料理も出来ない女の子だと思われる。
「だって、私、お料理、したことない……」
「分かってるよ。でもね、綾波」
 ぴりっと、昨日怪我した人差し指に痛みが走った。レイが身体を硬くすると、直後指が温かい粘膜に包まれている感触がした――シンジが、レイの人差し指をくわえていた。かさぶたの上を舌がそっとなぞる。
「だめ、碇くん、汚い……」
「汚くなんて無いよ、それに、僕はね」
 どこから取り出したのか、彼はレイの手に丁寧に絆創膏を巻きつけていた。
「僕は、そんな綾波の指が大好きだよ。僕のために頑張ってくれた、この指がね……」
 無意識のうちに、涙が溢れてくる。どうしようもなかった。止められなかった。そんなレイを見てシンジはまた微笑んで、軽く人差し指を曲げてそっとレイの涙を拭った。
「教えてあげるよ。もう怪我しないように。一緒に、世界一美味しい味噌汁を作ろう。父さんもきっと、喜んでくれるよ」
「うん、うん…………」
 彼の優しさが、嬉しかった。風邪の熱も手伝って、頭がぼうっとした。自分がずっと見たかった笑顔は、この笑顔だ。
「風邪、辛い?」
 一変して、シンジが心配そうな顔をする。レイはかぶりをふった。
「大丈夫。碇くんがいて……こほっ…………くれるから」
「大丈夫じゃないね、咳まで出てる。早く治さなきゃ」
「うん……」
「……綾波。知ってる?」
「なに、を……?」
「風邪ってさ、誰かに伝染すと、早く治るんだよ」
「――え?」
 言うが早いが、彼の顔が、自分のそれと重なった。一瞬何をされているのか分からなくなる。やっとその行為の意味を知ったとき、レイの眸からもう一度、涙が溢れた。彼が、自分に……
 レイはそれに応えた。弱々しく彼の首に手を回し、そっと抱き寄せる。熱に浮かされてるというのも原因の一つではあったが、それでもこれは、自分の願って止まなかったことだ。彼の唇のほのかな温かさが、不思議な眠気を誘った。
「分かった、伝染して、あげる……」
 首に回した腕に力を入れると、彼は勢いよくレイの上に倒れこんだ。シンジの体重が少し息苦しかったが、嫌ではなかった。
「綾波、こんなに薄着してちゃ、だめじゃないか……風邪ひいても、自業自得だよ」
「なら、碇くんも……自業自得……」
 シンジはふっと笑みをこぼした。
「そうだね、僕も、ばかだね……」
 いつの間にか、彼の呼吸は眠っている人のそれへと変化していた。たまらなく愛しい気持ちになり、レイは彼の背中をそっとさすった。明日も休もう。彼のために、お粥を作ってあげよう。そしてもう一回、伝染してもらおう。
 自分の左手を見てみる。彼の貼った絆創膏が、輝いて見えた。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.44 )
日時: 2010/06/19 04:27
名前: 何処

ううむ…どうも俺には捻りが足りない…
他の皆の作品は真面目に甘いし…

何か意外な物は無いか…

なな…七…7…セブン…

そうだ!



7と言ったらこれでした。





『空想科学適当SF娯楽作品(嘘)』






「ぢゅわ!」

♪テーンテーンテテーテッテーテッテテーテッテテーーー♪



【アヤナミセブン】



「碇君…私、人間じゃないの。私はリリスの星からやって来た、アヤナミセブンなの。」

「は?何を言ってるの?だってアヤナミは綾波じゃないか。」

「時間だわ…行かなくちゃ。」

「行く…って何処へ?」

「赤木博士がピンチなのよ…」

「え!?ま、待って綾波!?」

「この夜空に明けの明星が輝く頃、藍色の空を流星が走る…それが私…」

「綾波!?そっちは窓…あ、落ちた。」


ピーポーピーポーピーポー…



「♪フンフンフンフン♪アヤナミセブン…今日こそ地球ごとシンジ君を渡してもらうよ…さ、赤木博士。貴女の発明したC-A-Tフィールド発生装置の埋設ポイントを明かして貰おう。」

「無駄ね…ネズミーシーからネルフ秘密ドッグへの海底トンネルは既に遮断済みよKヲル原人。貴方達のネルフ11攻略計画は破綻している。降伏するなら今の内よ」

「くっくっくっ…僕をロウスン星人やファミマー人と一緒にしてはいけないよ、赤木博士。」

「何ですって?」

「これを見たまえ赤木博士…」

「これは…まさか!あ、有り得ないわ!」

「人類の最大の敵…人の敵とはヒトさ赤木博士。」



「隊長!ネルフ11への侵入口確保しました。ですが装甲シャッターで…」

「ヤオイ兵を出せ!あの巨人なら一撃で崩せる!」

ギュヲ〜…グルル…ベチャッ

「腐ってやがる…性調が早すぎたんだ…」

「どうした!?それでも鎧武者や蹴球戦士を翻弄し吸血鬼すら使役した魔性の末の存在か!!」

カッ!
キュボッ!

「何て奴等だ!味方ごと撃ちやがった!」

「第一、第二装甲シャッター融解!」

「戦腐、第3ゲート突破!」

「増援が来るまで後二時間…アスカ、マリ、戦腐の進行をなんとか食い止めて!」

「病み上がりに何て無理言うのよあんたは…やってやろうじゃない!」

「増援って…レイは未だ動けないしワンコ君なら無理よ?バイク車検で足が…まさか?」

「あたしが迎えに行くわ。」

「「駄目!ミサトそれで何回(シンジ)(ワンコ)を再起不能寸前まで追い遣ったのよ!?ミサト!ミサト?ミサト!?」」

「あの牛女…」「切りやがった…」

「大変!?エヴァ発進口が塞がれたわ!?」

「「ちょ、どうやって出ろってのよ!?」」



「碇…何処へ行く…」

「…明日を探しに…後はお願いします冬月先生…」

「そうか…ユイ君に宜しくな…」

「二人共聞こえるか?構わん、ゲートを破壊して出撃せよ。後は私が食い止める」

「「碇司令!?」」



ギュキャキャ!コウン!クヮワーーン…

キキキキキキキキーッッッ!

「こ…この音はまさか…」

「はぁ〜い♪シンちゃん、レイ、ちょっち非常招集よん♪あら?レイはどうしたの?」

「レイなら今そこの窓から…」


「…ここ5Fよね…」


「…まあ、レイの事だから全て終わった頃に包帯巻いてひょっこり現れると思いますけど…ミサトさん、今日俺公休日…」

「マリっぺとアスカだけで今戦腐の対応してる…もう動けるのは貴方だけなのよ。」

「いや、それ無理。第一バイク車検中でってミサトさん、何故に僕の手に手錠…嫌だーーーっ!ミサトさんの運転は嫌だーーーっっ!!」

「シンジ君…二択よ、このまま車に乗せられてネルフへ行くか、それともシンジ君が運転してネルフへ行くか…」

「に…逃げていいよね逃がしてくれるかな逃がしてくれないよね逃げてえでも無理っぽいよね逃げて捕まった後が大変だよね逃がしてくれないかな…」

「…有給二日+休日出勤手当…」

「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ…」

「…成功報酬にレイ、アスカ、マリのプラグスーツ生着替え撮影映像…」

「!やりまっ!?い、いやミサトさんそれって死亡フラグ!そんなの貰ってあの三人が見逃す訳ないでしょ!?僕に死ねって言うんですかミサトさん!?」

「相変わらず追い詰められると『僕』なのねシンジ君…今からあたしの手料理食べる?」

「乗ります。僕がネルフまで運転します。」



「くっくっくっ…エヴァンゲリオン発進口は塞いだ。さあ、残るはアヤナミセブン、君だけだ!さあ出て来るがいい!」

「くっ…アヤナミセブンはあなたなんかに負けはしないわ!」

「ふっ…赤木博士、現実を見ればいい、既にネルフ11は陥落寸前、頼みのエヴァは発進すら出来ない…後は僕の望みをいつも妨害するアヤナミセブンを葬るのみ…そして見よ!エヴァンゲリオンすら一蹴するこの怪獣再生アンノンのパチスロハンドにかかればアヤナミセブンなぞ筐体の中のフィギュアに過ぎないのさ。あははははっ!」

「くっ…」

「さあ、出て来いアヤナミセブン!そしてこの怪獣再生アンノンの餌食となるがいい!ふふっ、どうやってこの僕の完璧な計画を破るアヤナミセブン!」


「…こうする。」


ぼぐっ


「…不様ね…」

「…赤木博士、無事でしたか。」

「あ…有難うアヤナミセブン、助かったわ…」

「ぐっ…い、いつの間に…」

「ちっ、まだ生きてたのね…」

「な、何故だアヤナミセブン、君は窓から落ち救急車で…」

「は?」

「救急車?私が何故落ちなければいけないの?」

「ううっ…考えて見れば空飛べる存在が落ちる訳が…冒頭のサイレンはフェイクだったか…」

「?」「?訳解らない…」



クォン!ギュキャキャ!ガウン!クォォォ…

「ちっ!発進口が塞がれてる!」

「pi…シンジ君、今から発進口をクリヤしてエヴァが自力発進するわ、距離を開けて。」

「え?」

ドキャ!ズズン!

「無茶苦茶だよ…」



「何て事だ!ゲートを自ら破壊して発進するなんて!?リリン…恐るべし…」

「カヲル原人、貴方の負けよ、大人しく降伏しなさい…」

「今なら解剖は勘弁してあげるわ。」

「「をい」」



「シンジ!初号機の準備は出来ている!早く乗れ!」

「司令!?」「父さん…」

「どうした?乗らんのなら帰れ!」

「乗ります!」



「くっ!僕の願いを又もや阻止するか呪われしエヴァンゲリオン、忌まわしきアヤナミセブン…ええい行け再生アンノン!」

「!?」「死ぬ気!?」

「僕の死と共にこの基地は自爆する!この基地ごと死ぬがいいアヤナミセブン!」

「赤木博士、私に捕まって!」



「怪獣出現!」

「ちっ!こんな時に…」

「まずい、こっちに直進して来る!」

「ぬう…」

ギュゴォン!

ヘアッ!

「「「アヤナミセブン!?」」」「…来たか…」



「ワンコ君、アヤナミセブンの援護へ!」

「あたし達でここは大丈夫!行ってシンジ!」

「二人共…」「…」

「判った!アスカ、マリ、後は頼む!父さん、ミサトさんを宜しく!」

ヘアッ!

べきばきドキャ!

ギュゴォン!

げしっ!

ヂュワッ!?

「ぬうっ!?」
「何て奴だ、アヤナミセブンをパワーで圧倒してやがる…」
「まずいぜこいつは…」
「大丈夫ですよ、アヤナミセブンは必ず勝ちます!」



「シンジ君聞こえる?」

「赤木博士!?無事でしたか!」

「あの怪獣…どうやら前回のアヤナミセブンとの戦闘の後強化されたらしいわ。このままでは私達に勝ち目は無い。」

「ちっ!一体どうすれば…」

「推測だけれど、あの怪獣は視力が低いかも知れないわ…それにいくら強化したと言ってもこの短期間ならそれは一部分だけの筈よ!」

「ん?そうか!聞こえるかアヤナミセブン!奴の動きを十秒止めてくれ!」

!?ダーッ!

ガシッ!

ギュゴォン!

「これでどうだ!」

ひょいっ

ガガガガ!?

「上手い!」「奴の眼鏡を狙うとは!」「あ、探してる探してる眼鏡探してる」

ギュゴォン!

ドカーン!

「同士討ち!?」「眼鏡を外され敵味方が判らないのだ…」



「戦腐、撤退していきます!」「よっしゃあ!」「マリ!アスカ!」
「判ってるわ!」「追撃よ追撃!」
「…勝ったな…」

げしっ!

ギュガガガガン!?

「!シンジ君!今の見たわね!?」
「!?アヤナミセブン!奴の弱点はサンダルからはみ出た小指だ!」

!?ヘアッ!

ドキャ!

「うわ…」「箪笥ラッガーの直撃…」「痛そう…」

ドッカーン!

「「「やったー!」」」「うむ、やったな!」

…ジュワ!

キーーーン…



「戦腐の掃討完了しました」「今から帰還します」



「終わったわね…」「ああ…」



「お疲れ様シンジ君…あら?」

「碇君!」

「あ、綾波ー!そっちはゲートの破口部…あ、落ちた。」






「…て夢を見たの…」

「綾波…疲れてない?」

「そう…かしら…そうかも知れない…」

「あらシンジ君、レイちゃん、朝から一緒なのね?今日のテストは先輩の代理に私が担当するわ、宜しくね…ってどうしたの?」

「マヤさん…制服が違う番組…」

「セブン違い…トレッキー大喜びしそう…」

「は?」
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.45 )
日時: 2010/06/21 18:03
名前: タピオカ

少々捻り過ぎな気がしないでもない……(笑)
効果音で意味不明なものが多いですがそれも面白さの一部って事で(*^□^*)
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.46 )
日時: 2010/06/27 22:32
名前: tamb

【1st-kiss(裏)】

 地味にツボだったw
 「血圧が上がる」に萌える。シンジ君、私を見てと言われる前から我を失っているw
 アイスバインというのは実はcaluさんの作品で知ったのだが 、それが出てくるのもい
い。つか、豚足なの?(笑)
 シゲルはフォークもわかるのかー。


【七つ目の絆創膏】

 レイが「なら、碇くんも……自業自得……」と言ってしまうかすかな小悪魔さがまさにJUN
さんだったりする(笑)。だが冷静に考えると風邪につけこんでどさくさまぎれにキスしてしま
うシンジは悪魔かもしれん(爆)。
 七つ目の絆創膏はシンジの口唇だったってのが良かったかも。
 前にも書いたかな、2ちゃんで見たんだけど、絆創膏って「絆」って字が入ってるんだよな。


【アヤナミセブン】

 元ネタが把握しきれん 。何処さんもかなりなおっさんかと思われる(笑)。おばさんか
もしれんが。しかしセブンの発想はなかった。ずいぶん前に綾波仮面って話があったな、そう
いえば。
 しかしこの話、ノリがパッケラさんに近いものがあるな(笑)。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.47 )
日時: 2010/06/29 11:19
名前: ななし

>諸注意:みなさん甘い話ですが甘くないです。ですです。

《 雨の日の臆病者 》 ななし


ぽつん

水滴が頬に当たった。僕は空を見上げる。西の空から黒い雲がたれ込んでいた。
学校からの帰り道、ミサトさんのマンションまで歩いて40分。頑張って走れば25分くらいだろうか?それまでに大降りにならなきゃいいなとショルダーバックのベルトをかけなおし歩く速度を速めた。

ぽつん

ぽつん
ぽつん

ぽつんぽつんぽつんぽつんぽつぽつぽつぽつ……

早歩きが小走りになり、いつの間にか全速力。
水滴は徐々に数を増やし途切れない連打、雨となり地上へ降り注いだ。半そでの白いTシャツと黒いズボンはびっしょり濡れ肌にぴったりくっつく。髪もすっかり濡れて前髪が額に張り付いた。髪から顔に流れた雨水を何度か拭ったが流れは止まらない。「まったく、ついてないや」と独り言をつぶやいた時、雨水が口に入った。少ししょっぱかった。
濡れた制服の重みと雨による体力の消耗、そしていきなり全速力で走ったことによる呼吸困難。
マンションまでは一気に走ろうと思ったけど体力の関係上やっぱり無理。
どこかで一旦雨宿りしたい。
僕は少し速度を落としながらこの近くに軒下などの雨が凌げそうな場所を考えた。頭に浮かんだのはここから300、いや500mくらい先にある、とある店の軒下。
そこの軒下には数時間に一本しかこないバスの停留所と古ぼけたベンチがある。その場所が今みたいに雨宿りを望んでる僕にとっては砂漠のオアシス的な場所になるのではないだろうか?状況は全く逆だけど。

そんな事を考えていたらバシャっと水溜りに足を踏み入れてしまった。もとより濡れた靴、どってことない。雨水ごとアスファルトを蹴り前へと駆ける。僕はショルダーバックを小脇に抱えなおし雨宿りと定めた古ぼけた休憩地点まで先を急ぐことにした。




だんだんと激しくなる雨、ようやく「雑貨屋」と書かれた大きい看板が見えてきた。その場所目掛けて僕は最後の力を振り絞って走る速度を上げる。
目的地まであと少し、なところで僕は店の軒下に先客がいる事に気づいた。誰だかを確認するよりも前に僕は雨からの避難を優先させ軒下へゴールする。ようやくの雨から開放に息を吐き出す。ショルダーバックをアスファルトの地面に下ろし、両手で足の膝を掴んで――体を逆「く」の字の状態で大きく息を吸って、吐いて、吸って、吐いてを繰り返した。
落ち着いたところで膝から両手を離し髪をかきあげる。体を起こして先に居た雨宿り仲間を確認する。

透明な水色のショートヘア、真っ白で綺麗な肌……ベンチに座る彼女は宝石のような赤い瞳でじっと僕を見ていた。
彼女と僕は数ヶ月前に知り合ったばかりのクラスメートであり、共に戦う仲間……なんだけどタイミングがずれて、というか話すきっかけがないというかで今の今までまともに話したことはない。一度あったけど、あの時ビンタされたし。いや、あれは僕の言葉運びが悪かったんだけど。
声をかけるか迷い、悩み、そして決意して僕は彼女の名前を呼んだ。

「綾波」
「碇君」

綾波は僕の名を呼んでくれた。僕の名を呼んでくれた事に嬉しさを感じ口元が緩んだ。




タンタンタンタタッタン
タタタタッタンタンタッタン

朽ちかけたトタン屋根に降り注ぐ雨。音が不規則に鳴り響く。音楽にならない音、だけどそれは一種のリズムとなり僕の耳に届く。

僕の後ろのガラス張りの引き戸を見た。頑丈に閉まった扉、僕がこの街に来た時から常にカーテンが引いてあり開いている場面を見た事がない。使徒の影響か分からないけど閉店してるようだった。

僕の名前を呼んだ綾波はすぐに視線をそらし雨が降る景色を見ていた。
僕は再び声をかけようかと思ったけど何回かのくしゃみと共に全身を襲った寒気で自分が風邪を引く手前だと気づき、大慌てで制服のYシャツを脱いで絞った。本当はTシャツも脱いで絞れればいいんだろうけど綾波がいる前でそんな事恥ずかしくてできないし……脱いだYシャツで体を拭いたりバックの中身が濡れてないか確認したり思いつく最善の事はした。でも、早く帰ってシャワーでも浴びないとヤバイんだろうなぁ……。
綾波が座ってるベンチを見た。誰かと誰かの相合傘、アニメのキャラクターやバカヤローの文字、いろんな落書き。僕は少しずつ、少しずつ自分の視野に綾波を映していく。あと少しで僕のフィルダーに綾波を捉える事ができる……

ゴロゴロゴロッ

いきなり大きな音が辺り一帯に鳴り響いた。その音に体を震わせ肩を強張らせた。僕は惜しみながら綾波から視界を外し雨が降る外の景色を見定めた。
辺りは水煙と雨粒しか見えない、違和感を生じるものは確認できない。音に不安を感じながら周囲に気を配り地面に放置したままの濡れたバックに手をかけた。
連絡手段である携帯を捜してる時、西の空がピカッと光った。そして山に雷が堕ちる。

使徒を連想させた大きな音の正体は雷だった。携帯にはネルフからの着信履歴は入ってない、使徒でない事を確認できた僕は緊張を解いた。
再び雷音が鳴り響いた。何度聞いても耳に慣れない音に内心ビビリながら綾波を見た。

綾波は毅然とした態度でベンチから微動だにせず西の空を見ていた。

彼女の左隣に大きな雫が落ちた。ベンチに落ちた雫が跳ねて彼女のスカートにかかる。その小さな水しぶきに気付く事無く、ただじっと雨の情景を見つめている。

ゴロゴロゴロッ

先程とは比べられない大きい音。耳を塞ぎ目をしかめた。両手で音をさえぎっていても雷音は聞こえる。長く続いた音がようやく聞こえなくなり静かに目を開いた。綾波は音に怯える事無く、雷の全てを受け入れるかのようにじっと西の空を見つめていた。

その姿を見て思った。
綾波の中に僕は存在しない。

雨に濡れた体が冷え全身に寒気がした。いや、体じゃない。心が冷えたから寒気がしたんだ。
寂しさに目に涙が溢れそうになる。
僕を見て欲しい、どうすれば綾波は僕を見てくれる?

「…………綾波は雨が好きなの?」
「どうしてそう聞くの?」
「あ、いや……」

僕が取った手段は抱きしめる事でもなく手を繋ぐ事でもなく、綾波に小さな質問をすることだった。
僕の言葉に反応して、と願いを込めた質問は綾波に届いた。
質問に対して質問返しをしてきた綾波。僕は言葉を詰まらせた。どうしよう、振り向いて欲しかったが故の質問だから実際のところ意味はまったくない。でも、ここで曖昧な事を言ったらせっかくの繋がりが消えてしまう。僕は体の冷たさを振り切るように下唇を強く噛み『意味』を考えた。

「あー、うん……そう、雨を受け入れているようだから」

必死で考えた綾波の質問への答え。さっきの綾波を見ての綾波のイメージをなんとか言葉にしてみた。僕の気持ちは伝わっただろうか?

「分からない」

だ、だよね……ごめん、と謝ろうとした、でもそれよりも先に綾波の言葉が続いた。

「でも、綺麗だと思う」

綾波は聞き返した。

「碇君は?」
「え?」
「碇君は雨、好き?」

綾波は雨を『綺麗』と表現した。
僕は雨をどう思っているのだろうか。
好きなのだろうか?嫌いなのだろうか?
綾波から目を逸らし、外を見た。先程から降り続ける雨。
目だけではなく五感を研ぎ澄ませる。
冷たい風が頬に触れた。
屋根から落ちた雫が肩に落ちた。
地面から立ち上がる雨独特の匂いを嗅いだ。
そして雨音、

そう、雨音。

「雨の日は音がしないんだ……雨の音は周りの音を吸収してくれる。雑音がない世界に落ち着いてる僕がいる」

雨の冷たさ、濡れた感触は好きになれない。今も早く帰ってさっぱりしたいと願っている自分がいる。でも、嫌いではない。雨が作り出す世界に惹かれている事に僕は初めて気づいた。
僕はその事に気づかせてくれた綾波を見た。綾波は僕を見つめていた。その視線に少し照れながら目を合わせ笑いながら答えた。

「僕は雨が好きだと思う」

その答えに綾波は笑ってくれた。その笑顔はヤシマ作戦の時に見た笑顔とはちょっと違って、僕の言葉に肯定を表す優しい笑顔だった。



今なら聞けるかもしれない。綾波に聞きたい事、聞けるかもしれない。

「ねぇ、綾波。綾波は――」

ビビーッ、ビッ

僕の言葉は車のクラクションに遮られ声がかき消された。雨が降る方を見るといつの間にか黒い車が止まっていた。運転席から黒服の男の人が降りてくる。

「ごめんなさい」

綾波は静かに立ち上がると僕に謝る。
黒服の人は傘を差しこっちへ歩いてきた。傘を差したまま軒下へ入るとその傘の中に綾波は当たり前のように入った。黒服の人そのまま振り向き、綾波と共にゆっくりと黒い車に向かっていく。僕は綾波が去るその姿をじっと見つめることしかできなかった。
後座席の車のドアが開き、綾波は車に乗り込む。

「……父さん」

綾波が乗り込む時に見えた。父さんが車に乗っている。綾波だけをじっと見て僕を見てくれない。父さんは僕に気づいていないのだろうか、それとも……いや、気づいていないだけだ。きっとそうだ、そうだと思い込む僕。

綾波が車に乗り込むと車は静かに立ち去っていった。

僕は雨から目を逸らし、綾波が座っていた場所を見つめた。

『綺麗』の言葉、優しい微笑み、聞きたかった事、車に乗っていた父さん――

父さんは僕を見てくれなかった

僕は頭を振った。さっきも思ったじゃないか、父さんは気づいてくれないだけだって。
ショルダーバックのベルトを手に握るとそのまま肩にかけた。そして迷いなく激しく降り注ぐ雨の中に飛び込む。
僕は、ただ走る。
綾波の笑顔を胸に秘め、それ以外何も考えず、ただひたすらにひたすらに――



きっと、雨は嫌な事を洗い流してくれる。





少女は車の窓から流れ行く景色を眺めていた。空は黒い雲、いつ止むか分からない雨が降り続く。
少女はぼそっと何かを呟きは。呟きは隣に座る黒ひげのサングラスの男に音として聞こえた。言葉が聞き取れなかった男は少女に声をかける。

「どうした、レイ」
「……何でもありません」

少女がそう答えると男は「そうか」と呟き、少女から視線を外し運転席に座る男になにやら指示を出していた。


少女は、彼の言葉が気になっていた。

碇君は私に何を言おうとしたのだろう。
私の名前を呼んで、何を聞こうとしたの?

少年の言葉を思い出す。
雨、音、落ちつく、私の名前
そして『好き』

雨に対しての言葉に少女の心が反応する。

少女には駆け抜けてく景色を映っていない。彼女の目には一人の少年が焼きついた。彼の事を思う事で胸に秘めた違和感が芽生える。それは寒々とした空気を感じさせない暖かな気持ち。

この気持ちは何?

少女の持ちゆる知識を持っても違和感に対する答えは出ない。彼女は口を動かす、声にせず名を呟く。それはさっきまで目を合わせていた優しき笑みを表現できる少年の名前。彼の事を何度も思う。その度に胸に暖かさを宿らせた。


彼女が違和感の名前と意味を知るのは、もう少し先の話である。






こっちの掲示板では始めまして、1111111ヒットおめでとうございます。めでたい企画に便乗してレイとシンジのお話を書いて見ました。一見さんの暴走。

最初に言っときますがチョコレートより柿の種が好きな私は甘い話なんて書けません。溶けることなんてない話ですが企画狙って「1」=「最初」なお話です。綾波レイ、初めて物語。多分。そして私もこの二人なお話書くの初めて物語。

もうほんと色々勉強不足な部分がありますが10周年企画前に書きあがってよかったと自己満足ですたい。たいたい。

因みに雨を英語にするとレインで綾波の名前が入ってると気づきました。それだけ。ふはっ。

それではお読みいただきありがとうございましたー!


メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.48 )
日時: 2010/06/29 20:42
名前: JUN

■ななしさん
シリアス書けるのがとても羨ましいですw
こういう話が書きたいなと常々思っております。素敵な物語、ありがとうございました。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.49 )
日時: 2010/06/30 18:14
名前: tomato

 ななしさん、始めまして???
 昨夜読んだ時に、ふと、文字運びと描写に友の気配を…人違いの時はご容赦を。

 ま、それは置いといて、雨という情景の中に互いに見知った者が出会う事の偶然と必然性が巧く溶け合っていて、これから始まるであろう、二人の仲が気配として残る感じは好感が持てましたよ。
 等身大の淡い恋物語のなり染めになると思うと、大人の僕は昔を懐かしんで、リアルの14歳は切なさと期待にこの物語に共感を覚えたのではないでしょうか?
 リアルの14歳になりたいです、が、困難です。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.50 )
日時: 2010/07/01 04:21
名前: tamb

■ななしさん
 tambでございます。もはやどのななしさんなのか判別が困難ですが 、やはり流れ的に
は労働問題に関する論評を書かれたななしさんでございましょう。というか、他にいないし。
このスレを立案されたのはななしさんかと思ってたら名も無きROMさんでした。

 まぁそんなことはともかく。

 ファーストガンダムでララァとアムロが出会うシーンを想起してしまったのは私だけであり
ましょうか。似てるのはシチュエーションだけですが。

 美しい話です。こういう話は、シンレイ属性にどっぷりはまった者が書くのはかなり困難か
と思います。雷が鳴るとレイにきゃっとか言わせたくなる(笑)。うなずいた人は挙手(笑)。
 でもこういう段階(綾波の中に僕は存在しない)というのはあってしかるべきで、そこでき
ゃっとか言わせると別の話になるので、当然言わせなくて正解。というより言わせたらダメ。

 なんというか、原点に帰ったような、この二人は本来こうなんだよなということを思い出さ
せてくれるような話でした。
 ありがとうございます。これからもよろしくです。

---以下、削除いたします。誤認に基づく書き込みをしたという事実は隠蔽したくないので、
このような形での削除になることをご了承ください。---

---削除開始---

 そして。

> 字運びと描写に友の気配を…人違いの時はご容赦を。

 人違いでないとしたら、これはもしやtomatoさん筆頭にLAS軍団下僕の皆様の襲来か!
 しかし諸々困難とか言ってる状況でもないように思いますので、共に頑張っていきましょう。

---削除終了---

 改めてよろしくお願いします。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.51 )
日時: 2010/07/01 13:10
名前: tomato

tambさん、皆さん、

 こんにちは、仕事中@tomatoでございます。
>これはもしやtomatoさん筆頭にLAS軍団下僕の皆様の襲来か!
 これは悲しすぎる…
 LAS人の方々と僕は以外に思われるかも知れませんが繋がりはないですよ〜僕は只のEVAFF好きなおっさんです。
 ま、今は多くを語りませんし、スレッド違いと言う事もあるので事実無根である事だけご理解して頂きたく思い投稿させて頂きました。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.52 )
日時: 2010/07/01 16:36
名前: tamb

> LAS人の方々と僕は以外に思われるかも知れませんが繋がりはないですよ〜

あ、そうなんですか。すいません、完全に思い込みで書いてしまいました。
>>50の書き込みは、お詫びの上訂正させていただきます。
申し訳ありませんでした。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.53 )
日時: 2010/07/01 16:55
名前: ななし

○JUNさん
初めまして今晩は。よろしくお願いします。
私としてはJUNさんの甘い話が書けない難点があるので羨ましく。人は自分にないものに憧れる生き物だとしみじみ思います。
原作の流れを崩さないお話なので綺麗過ぎるお話かもしれないと思っていましたがありがとうと感想頂き、こちらこそお読み頂き感謝の極み、土下座です。本当、ありがとうございました。

○tomatoさん
初めました今晩は。tomatoさん言う友は考察マニアなあの人でしょうか?なら同一人物大当たり。残酷なテーゼと共にラウンド1。お久しぶりです。当方黙々小説書きながら元気にしてます(笑)

出逢いとこれからの予感を感じて貰え、テーマとして掲げた「初めて」が表現できたかな?と思いました。少しでも綾波レイという等身大の少女を描けたかな?と。14歳は子供と青年の境目、その複雑な心理状態を捉え文に書き上げこれからも観察怠らず等身大のキャラクターを追求し表現したいです。お読み頂きありがとうございました(土下座)

そういえば、私のとんでもなく年の離れた兄弟姉妹が来年あたりに14歳になります。階段から共に飛び降りて心が入れ替わる「おれがあいつで、あいつがおれで」を経験したいと思うこの頃です。ただし、もし実現できたとしても切なさを経験できる相手がいないことが困難です。

○tambさん
始めました冷やし中華、ではなくおはようございます。
派遣労働のななしはイコールになります。本来サイト運営する身でのハンネがあるのですが取り扱ってるCPが違うので控えめに「ななし」と言う名を使用してる身です。
こんな自分を表現するならエヴァの世界に『可能性』を追求して様々な角度から小説書いてる猿人類、であります。うっきぃ。

ファーストガンダムは「坊やだからさ」「ぶったな、父さんにも(以下略)」「煙幕薄いよ!」くらいしかネタが分かりません。すいません。ララァとアムロの出逢いは見てないのでシチュが似ていたら偶然の産物です。ララァはてっきりシャア側にいる人だと思っていたのでなんかアムロとの交流ある話に興味惹かれました。ほむ。

私としては雷を見るレイに「静止した闇の中で」でダクトを破壊しようとするレイのイメージを取り入れてみました。それにプラス破のシンジに心を徐々に開いてくイメージも取り入れて自分なりのレイ像を練り上げている途中でございます。テレビのレイは純粋であり無知、そして無欲である為に自分から一番遠い存在なので書くのが困難だったり。しかし、破のレイはテレビのレイより人(シンジ)を思い不器用ながら絆を深めようとしていた、その気持ちが身近に感じられました。この人間らしい綾波レイ、彼女の健気さに心を奪われファンになった人ってかなりいると思うのです。FFに限らず一般的な意味で。

テレビのレイ、そして破のレイをぐるっと鍋に入れてぐつぐつ煮込んで美味しく調理(小説)できるよう精進したいものです。因みにこの時の調理人はシンジでありますが、私は少々ひねくれてるのでたまにミサトに調理させて冒険するのもいいもしれません。うむ。

注意書きのことを再確認ですが、自分の書いた作品を自サイトに置いてもよろしいですか?自サイトにUPしたらtomatoさんの友人確認も当たるか当たってないか分かる次第になる、と気づきました(笑)

tambさんお読み頂きありがとうございました、こちらこそこれからもよろしくお願いします(土下座)

そして、黙々と読んでいただいて下さったみなさん、ありがとうございました(土下座)


>あと、余談ですが雨の日の臆病者に「一」という数字が7つ入ってます。そこらへんもぞろ目ヒット意識して書きました(笑)多分言わなきゃ分からない細かいネタかと思います。こういう遊び心を余談して書き読者の目をもう一度作品に向けさせるのもあとがきの醍醐味かなと思ったり思わなかったり。おそまつ
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.54 )
日時: 2010/07/01 17:29
名前: tomato

tambさん、
 改めて、こんにちは。

tambさん、逆に気を使わせてしまい申し訳ありません。
tambさんに落ち度は一切無く僕の言い回しが悪かったようです、すいません。こちらでは、tambさんを初め、皆さんとの交流がとても楽しみA^^;心地よくお邪魔させて頂いています、今後もよろしくお願いします。

■ななしさん、よろしくです。いい作品を作り続けてください、ネ!
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.55 )
日時: 2010/07/01 17:48
名前: tamb

今から打ち合わせに出るので一点だけ。

■ななしさん
> 自分の書いた作品を自サイトに置いてもよろしいですか?

問題ありません。というよりむしろぜひ置いて下さい。探しに行きます。


その他レスは明日以降に。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.56 )
日時: 2010/07/03 04:45
名前: tamb

> ララァはてっきりシャア側にいる人だと

 ララァはシャア側にいる人間です。それでも偶然の出会いというのはあったりするのです。
ちなみにアムロはシャアともばったり出会ったりしてます。
 ちなみに煙幕ではなく弾幕です(笑)。

 本編と新劇場版のレイのイメージはその通りかと思いますが、一部コアなあやなまーな方々
は本編のレイに新劇場版的なレイを読み取っていたりして、だからこそヱヴァを見て喜んだり
ひっくり返ったりしたわけです。

> 余談ですが雨の日の臆病者に「一」という数字が7つ入ってます。

 これは気づかん(笑)。作家ならではのお遊びですね。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.57 )
日時: 2010/07/10 08:16
名前: tamb

《7days》


 一日目・月曜日

 目を覚ますと昼過ぎだった。明け方近くまで起動テストをこなしていたせいだ。まだ寝不足
の感じもする。身体が重い。窓の外を見ると、夜半から降り始めた雨が今もまだ降り続いてい
た。
 今からでも学校に行くべきだろうかと思う。だが体調はすぐれない。鏡を見ると、顔色もあ
まり良くなかった。今日は休もう。身体を休めるのもパイロットの仕事のうちだ。それに、無
理して学校に行けばすぐれない顔色を見て碇くんが心配してしまうかもしれない。ただ疲れて
いるだけだということはわかっている。無用な心配はかけたくなかった。
 そう決めると、また眠くなってきた。わたしはブランケットに身体を包み、目を閉じた。


 二日目・火曜日

 雨はまだ降り続いていた。体調は悪くなかった。良くもなかったけれど。
 制服に着替え、傘を持って部屋を出る。
 風はあまり強くなく、さほど濡れずにすんだ。
 学校に着き、授業が始まる時間になっても碇くんは姿を見せなかった。何があったのだろう。
わたしは表情を曇らせる。

「バカシンジなら休みよ」

 休み時間、近寄ってきた惣流さんがそう言った。

「緊急のテストだって、朝早くに呼び出されて出かけていったわ」
「そう」

 緊急テストならば長時間に及ぶことはあまりない。早退しようかとも思ったが、午後にでも
登校して来るかもしれない。

「ふーん……」

 惣流さんがわたしの顔を覗き込んで、感心したような声を出した。

「……なに?」
「あんたって、意外とかわいいのね」

 いったい何の話だろう。

「バカシンジが言ってたのよね。綾波って、あれで結構くるくる表情が変わってかわいいよっ
て。よく見てるとわかるって。あいつの言った通りだわ。実はわかりやすいって言うか」

 自分の表情がそんなに変るとは思わなかったが、碇くんがわたしのことをそんなに見ている
とは思いもしなかった。頬が熱くなる。

「ほら、赤くなった」惣流さんが笑いながら言う。「ま、がんばんなさい。シンジも午後には
来るかもよ?」

 何を頑張るのかわからない。
 それにしても、とわたしは思う。彼女はわたしの心が読めるのだろうか――?

 昼休み、まだ降りしきる雨の中を碇くんは登校して来た。

「あ。おはよう、綾波」

 彼は教室に入るなりまっすぐにわたしのところに歩いて来た。碇くんがわたしを見る――。
 思わず顔を伏せてしまう。

「さっき聞いたんだ。日曜日は明け方までテストだったんだって?」
「……うん」
「大変だね。月曜日休んだから心配してたんだけど、大丈夫?」
「今はもう、平気」
「そう。よかった」

 そっと顔を上げると、碇くんは笑顔でわたしを見つめていた。すぐにまた顔を伏せる。惣流
さんと洞木さんのくすくす笑いが聞こえた。
 何か話をしたいと思う。でも何を話したらいいのかわからない。彼の笑顔が見たい。でも見
ていられない。
 碇くんが前の席に座る。わたしは動けない。

「雨、やむといいね。洗濯物が乾かなくて、困っちゃうよね」
「……そうね」

 洗濯は全てコインランドリーで済ませているわたしも、そう答えた。彼が外を見ているのに
気づいてわたしも雨を見る。空は暗く、雨がやむ気配はなかった。
 チャイムが鳴るまで、わたしたちはずっと外を見ていた。


 三日目・水曜日

 今日も一日中雨降りだった。
 学校では視線を意識してしまい、碇くんを見ることもできなかった。見てなんてくれなくて
もいいと思う。碇くんを見ることができればそれだけでいいのに。彼の笑顔を見られるなら、
他には何も望まないのに。

 着る物がなくなってきたので、洗濯物と本を持ってコインランドリーに向かう。途中で制服
をクリーニングに出し、汚れ物を洗濯機に放り込んで本を開いた。
 今度晴れたら、コインランドリーなど使わず洗濯は自分の部屋でしようかと思う。碇くんの
ように。洗濯機はベランダにあったはずだ。使ったことはなかったから、動くのかどうかはわ
からないけれど。

 小さな女の子が、黄色いレインコートを着てお母さんと一緒に歩いているのが見える。買い
物帰りだろうか、お母さんは大きな袋を下げている。あめ、やむといいねー。女の子が大きな
声で言う。そうね、とお母さんが答える。毎日雨だと嫌になっちゃうわよね。
 女の子は、手に何か白いものを持っている。
 てるてるぼーずーてるぼうずー、あーしたてんきにしておくれー。
 女の子の歌で、それがてるてる坊主だとわかった。
 雨がやむと何かいいことがあるのだろうか、と思う。洗濯物が干せるということに、すぐに
気づいた。

 洗っているのはほとんど下着だけだったから、乾燥もすぐに終わった。きれいになった洗濯
物を紙袋に詰め、部屋に戻る。
 下着や靴下をチェストに入れ、指定された薬を服用すればもう他にすることはなかった。シ
ャワーを浴びてベッドに横になる。碇くんは今頃きっと惣流さんや葛城さんと食事をしている
だろうと思うと、本を読む気にもなれない。もちろん、肉は食べられないし空腹を感じたこと
すらないわたしがその場にいたとしても邪魔になるだけだということはわかっている。それで
も、言いようのない焦燥感を抑えることはできなかった。
 窓を叩く雨の音が耳について離れない。わたしの中にも雨が降っている。
 このままずっと、やまなければいいと思う。


 四日目・木曜日

 雨は相変わらず降り続け、それに加えて風も強かった。女の子の願いは届かない。少なくと
も、今日は届かなかった。
 学校は休むことにした。そもそも学校に行くことに意味はない。碇くんの顔を見ることがで
きるわけでもない。無理に行って、雨に濡れて体調を崩している時に緊急召集でもかかったら
困る。
 時間がたつにつれ、雨も風もますます強くなった。行かなくて良かったと思う。
 でも学校に行けば、綾波びしょびしょだね、傘のさし方が下手なんじゃないの、と言って碇
くんは笑ってくれたかもしれない。そうしたらわたしは、傘のさし方ってわからないのと少し
恥ずかしそうに笑って答えられるだろうか。それとも怒った振りで、傘が小さすぎるのと言え
ばいいだろうか。
 わたしにはできそうになかった。
 笑うことも、怒ることも。


 五日目・金曜日

 雨も風も相変わらず強かったけれど、わたしは傘をさして学校に向かった。学校に行くこと
に意味はないけれど、行かない理由も見当たらなかった。体調さえ崩さなければそれでいい。
 碇くんの顔が見られなくても、同じ教室の中で同じ空気が吸えればそれでいい。傍にいられ
なくても、心配なんかしてくれなくても、誰かと話をしている彼の声が、彼の笑い声が聞けれ
ばそれでいい。
 それなのに彼はわたしの傍によって来た。

「綾波、おはよう」
「……おはよう」

 わたしは顔を伏せ、それだけをやっと答える。

「調子悪いの? 昨日休んだけど。……なんだか顔が少し赤いよ。熱、あるんじゃない?」
「昨日は、すこし調子が悪かっただけ。今日はもう、大丈夫」

 顔が赤いとすれば、それは熱のせいではない。

「そう。ならいいけど、でも無理しないでよ。心配しちゃうからさ」
「大丈夫。……ありがとう」

 心配なんてしてくれなくていい。学校に来られなくなる。

「ね、ねぇ綾波……」

 その少しかすれた小さな声に、わたしははっと顔を上げた。碇くんはわたしから目をそらし、
何かをためらっている。
 わたしはその横顔を見る。こんなに近くから彼を見つめるのはいつ以来だろうと、ふと思う。
 彼はほんの一瞬だけわたしの目を見て、またすぐに逸らす。

「あの、さ……」

 碇くんがためらいがちにそう言った時、始業のチャイムがなった。

「あとで、また」

 彼はわたしを見ないまま、自分の席に帰っていった。わたしは彼の姿を追う。

 その日、彼は一日中わたしを見なかった。だからずっと彼のことを見ていられた。これでい
いと思う。いつものわたしでいられる。でも彼を見ていると、わたしの中に自分を見て欲しい
という気持ちがあることに気づく。見つめられたら見つめ返せない。それなら、ただ見つめて
いるだけの方がいいのに。

 放課後。わたしはどうしたらいいのかわからなかった。彼の言った「あとで、また」はまだ
果たされていない。このまま帰るわけにはいかないかもしれない。でもあとでというのが今日
のこととは限らない。
 このままじっと待っているのは変だと思う。でも、そのまま帰ってしまうのも碇くんを無視
しているようで嫌だった。自分から話し掛ければいいのかもしれないけれど、何を話したらい
いのかわからない。
 結局、雨が小止みになるのを待つ振りで、わたしは窓の外を見ていた。

「綾波、一緒に帰らない?」

 突然のように碇くんが話し掛けてくる。胸が高鳴ってどうしたらいいのかわからない。

「……うん」

 わたしはようやくそれだけを言って、静かに立ち上がった。

 碇くんと二人、傘をさして並んで歩く。二つの傘の作る距離感がわたしの心を平静に保った。
 彼は何も話さない。わたしも何も言わない。
 その沈黙が心地よかった。
 彼はわたしを見ない。わたしも彼を見ない。
 それでも彼の傍にいるというだけで、彼と一緒に歩いているというだけで、わたしは満たさ
れていた。
 でも、わたしの部屋と彼の部屋への分かれ道が近づくにつれ、わたしは落ち着きを失う。
 離れたくなかった。でも、離れないためには立ち止まるかわたしの部屋に来てもらうしかな
い。どちらもありえない選択肢だった。立ち止まっていても雨に濡れるだけ。わたしの部屋に
来ても、話をすることはない。わたしは一緒にいて楽しい女ではない。

「綾波の、部屋の前まで行くよ」

 かすれた声で彼が言った。わたしは驚いて碇くんを見る。彼はまっすぐ前を向いたままだっ
た。

「そんなに遠回りじゃないし。……いいよね?」
「……かまわないわ」

 断る理由などどこにもなかった。

「……ずっと雨で、洗濯物が乾かないだろ?」

 それをきっかけにしたように、彼が話し始める。

「洗濯さぼってたら、なんか着る物がなくなってきちゃってさ。それで、その……」

 彼が口ごもる。わたしは黙って彼の言葉を待つ。

「今度の日曜日、せっかくだから服でも買いに行こうかと思うんだ。最近、買ってなかったし」

 どんな服を買うのだろうか。そう言えば、彼の私服を見た記憶はなかった。わたしとは違う
のだから、私服を持っていないはずはないのだけれど。
 見てみたい、とわたしは思う。彼を知りたい。わたしの知らない彼のことを、もっと知りた
い。

「それで……よかったら綾波も一緒に行かない?」

 想像もしなかった彼の言葉に、わたしは思わず立ち止まってしまった。ただ買い物に付き合
って欲しいと言っているのではないということは、わたしにもわかる。わたしにも服を買った
らどうかと、彼は言っているのだ。
 わたしは服など買ったことはなかった。スーパーやコンビニで下着類を買ったことはあるが、
それは服を買ったとは言わない。どんな物を買ったらいいのか、想像もつかなかった。

「……碇くんが、選んでくれるなら」

 わたしは自分で言った自分の言葉に驚いた。わたしは何を言っているのだろう。碇くんにわ
たしの服を選んでもらおうだなんて。
 でも碇くんは、一瞬だけ驚いたような顔になったあと笑顔で言った。

「いいよ。僕で構わないなら、選んであげる」

 わたしは無言で小さくうなずき、そのまま下を向いた。

 日曜日に迎えに来ると言って帰ってゆく碇くんを見送ったあと、わたしはベッドに倒れこん
だ。心臓の鼓動は激しく、何をしたらいいのかわからないのにじっとしていられないような、
不思議な気持ちだった。
 買い物に着て行く服は制服しかない。それでいいのだろうか。買った服は何に入れて持って
帰ってくればいいのだろう。買い物を終えたらどうすればいいのだろう。碇くんはどんな服を
選んでくれるのだろう。わたしにはどんな服が似合うのだろう。どんな服を選んでもらえばい
いのだろう。Tシャツ? ブラウス? スカート? ワンピース? 何もわからない。何をど
うすればいいのだろう。
 わたしはベッドに横たわったまま、じっと動かずに身悶えていた。


 六日目・土曜日

 雨はまだ降り続いている。
 学校は休みで、補習を受ける必要もなく、午後から定期検診で本部に向かった。

「問題ないわね」

 一通りのチェックが終わり、赤木博士はそう言った。

「最近、安定してるわ。薬を少し減らしてみるけど、身体の不調を感じたらすぐに連絡するこ
と。いいわね?」
「はい」

 わたしはブラウスのボタンを留めながらそう答えたが、気持ちはここにはなかった。

「じゃあ、あがっていいわよ。お疲れさま」

 せめて傘だけでも、もう少し何とかした方がいいかもしれない。今使っているのは、もうず
いぶん前にコンビニで買った、汚れた安いビニール傘だった。

「どうしたの?」

 碇くんはどんな服を着てくるだろう。わたしは制服しか持っていない。飽きれたりしないだ
ろうか。嫌われたりしないだろうか。

「レイ?」
「は、はい」
「どうかしたの?」
「明日、碇くんと服を買いに」

 そこまで言って、わたしは口をつぐんだ。いつものわたしなら、問題ありませんと答えたは
ずだ。碇くんとの買い物のことなど赤木博士に報告する必要はどこにもない。

「……それで?」

 思った通り、赤木博士は冷たい目でそう言った。

「いえ、問題ありません」
「そう。ならいいけど」

 なぜこんなことを口にしたのだろう。わたしは失礼しますと言って席を立とうとした。

「制服で行くしかないわね。どうせ他に服なんて持ってないんでしょうから」

 私は浮かせかけた腰を止めた。口調は冷たいものだったが、その表情にはかすかに笑みが浮
かんでいたからだ。

「まず」

 赤木博士は冷たい口調を崩さずに続けた。

「今日は早めに寝て、睡眠をたっぷり取ること。どきどきして眠れないかもしれないけど」
「……」
「返事は?」
「は、はい」
「明日の朝は少し早起きして、シャワーを浴びて身体をしっかり洗って全身ぴかぴかにするこ
と。もちろんシャンプーもするのよ。言うまでもないけど、下着は新しいものを付けること。
寝るときに付けてたのをもう一回使ったらダメ」
「……はい」
「ムダ毛の処理は前に教えたわよね。ちゃんとしてる?」

 赤木博士はわたしのくつ下をおろして脚を確認し、満足げに深くうなずいた。

「シンジ君と会って、もし彼が“制服で来たんだ”みたいなことを言ったら、できるだけ甘え
た感じで……それはあなたには無理ね。そうね、下を見て、小さな声で“服、これしか持って
ないの”って言って、それから少し上目遣いに彼を見る」
「……」
「言ってごらんなさい」
「ふ、ふく、これしかもってないの」
「まあまあね。本番でもそんな感じで少しどもった方がいいかもね。あとは……リップとか制
汗剤は持ってる?」
「……いえ」
「ついてらっしゃい」

 赤木博士は立ち上がると、私の手を引いて本部に入っているコンビニに向かった。

「リップと制汗剤は、どんなコンビニでもだいたいこの辺にあるから。何でもいいけど、定番
はこれとこれ。とりあえずこれを使って、あとは好みで選ぶといいわ。香りとか色々あるから。
でもあんまり強い香りは避けた方がいいわね。あなたはあんまり汗をかかない体質だから、特
に制汗剤は香りの弱い物を選んだほうがいいわ。興ざめだから」

 赤木博士は商品を二つ取り、レジに並びながらそう言った。興ざめとはどういうことだろう
か。わたしはただ赤木博士の勢いに圧倒されていた。

「制汗剤は、お風呂上りにわきにスプレー。リップは要するに口唇に塗ればいいんだけど」

 部屋に戻ると赤木博士は買ったものをわたしに手渡し、口唇を噛むようにしてみせて言った。

「塗ったあとこんな風にすると、リップが口唇に馴染んでいいの。ちょっとやってごらんなさ
い」

 わたしはリップを塗り、教えられた通りにしてみた。

「そうそう、上手。口唇がかさかさしなくて、うるおった感じになるでしょう?」

 差し出された手鏡を見る。少し湿ったような、つやつやした感じになっていた。

「シンジ君、きっとドキってしてくれるわよ」

 碇くんがわたしを見てどきっとするというのは想像できなかった。あり得ないこととしか思
えない。そんなことが起きるはずがない。意味がない。

「お金は持ってるの?」
「カードが――」
「男の子と買い物をするのにカードは感心しないわね」

 赤木博士は三万円をわたしに手渡した。

「あなたが出世したら返してもらうわ。あ、おつりは返してね?」

 もうはっきりと笑顔だった。

「これでばっちり。成功を祈ってるわ」

 何かに挑戦するわけでもないのに、成功とは何のことだろうか。それでもわたしはそのこと
は口にせず、お礼を言って部屋を出た。

「がんばって」

 その言葉を背中に聞きながら。

 地上に出ると、雨はまだ降り続いている。制汗剤とリップ。傘をさし雨の中を歩きながら、
鞄の中にいれた二つの品物のことを思う。体育の授業の後、クラスの女の子が何かをスプレー
しているのを見たことがある。お手洗いで鏡に向かって口唇に何かを塗っているのを見たこと
もある。興味はなかった。だから知ろうとも思わなかった。碇くんと買い物に行くのに、リッ
プと制汗剤が必要だと赤木博士は判断した。だから選んでくれた。それはどういう意味なのだ
ろうか。

 ベッドに横になり、両手に制汗剤とリップを持った。じっと見つめてもわからない。これを
使うことがどういう意味なのか。
 窓を打つ雨の音が聞こえる。明日は晴れるといい。雨がやめば傘を差さなくてすむ。そうす
れば傘の分だけ、少しだけ碇くんの近くにいることができる。
 ――てるてる坊主。
 わたしはチェストからハンカチを出し、包帯の切れ端を中に入れて巻いてみた。紐で軽く止
める。顔が必要な気がした。笑顔がいい。ボールペンで顔を描いた。線が歪んで上手には描け
なかったけれど、笑っているようには見える。
 窓際に置いて、自立はしなかったから包帯で支えた。てるてる坊主は包帯に寄りかかって、
笑顔で外を見ている。明日は晴れるような気がした。女の子の願いとわたしの願いと、もしか
すると碇くんの願いがひとつになれば――。







 綾波レイはまだ眠っていた。両手に制汗剤とリップを握り締めている。
 てるてる坊主が笑顔で見つめる空は、もうすぐ朝焼けが始まろうとしてる。わずかに浮かん
だ薄い雲がまだ地平線の下にある陽の光に照らされ、星がその姿を隠してゆく。
 綾波レイはまだ眠っている。穏やかなその表情には、かすかに笑顔が浮かんでいる。少しだ
け開いた窓から遠慮がちに入ってきた風が、彼女の細い髪を揺らす。


七日目・日曜日







メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.58 )
日時: 2010/07/17 00:49
名前: calu

tambさん

《7days》。最終日。雨も上がり、……。
想像を掻き立てられ過ぎて、悶え疲れてきました 。なにとぞ、続きを……。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.59 )
日時: 2010/07/18 10:16
名前: のの

その終わり方はずるいでしょう、御大将。
やはり甘酸では敵わないなあ。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.60 )
日時: 2010/07/18 20:34
名前: JUN

おおう、続きを書いてください師匠……
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.61 )
日時: 2010/07/18 21:39
名前: tamb

 一部の方、というか約一名から問い合わせがありましたので、その方には既に返事を差し上
げておりますがここでもお答えしておきますと、日曜日の本文がないのは不具合ではなく仕様
でございます(笑)。読者の皆様に妄想を繰り広げて頂き、存分に悶えて頂くのが目的の話でご
ざいますので。

 まぁあれですよ。ここから先はステレオタイプの初デートで、手を繋ぐわけでもなく歩く二
人の手と手が不意に触れ合ってしまい「ご、ごめん!」「いいの」とか、シンジに選んでもら
った薄いピンクのシャツを抱き締めて眠るとか、レイがまっぱで寝ると判明して真っ赤になる
シンジとか、そんなのを妄想していただければよろしいかと、かように思っております。レイ
が全裸で寝るかどうかはともかく(笑)。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.62 )
日時: 2010/07/19 00:05
名前: calu

tambさん

はい。更に妄想を重ねて悶えます(爆)。
最終日に至るまででも、リツコがレイに対してお姉さんのように面倒をみるシーンには
かなりジーンときました。個人的にも弱いシチュエーションではありますが。
それにしても、レイの揺れる心をここまで描き切られる筆力は、やはり凄いデス。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.63 )
日時: 2010/09/07 12:25
名前: ななし

前回の書き込みで煙幕と弾幕を書き間違えてすいませんでした。ガンダムファンの皆様、もうしわけありません。

◇ 《7days》 tambさん

一週間綾波レイ。レイの心の一本道に周りの人との会話、交流、風景が色添えられ7日目の朝を迎える。みんなの心に7日目を妄想できたのはレイの心を書いた6日間の出来事があるからだと思います。
しかし、私がこの話で妄想したのは7日目ではなかったりします。結末よりそこに至る故の舞台裏を想像しました。
7daysの世界観とキャラを読み終えた後「うん」と頷いてしまいました。
執筆お疲れ様でした。好きです、この話。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.64 )
日時: 2010/09/16 05:04
名前: tamb

> 7daysの世界観とキャラを読み終えた後「うん」と頷いてしまいました。

ありがとうございます。嬉しいです。
が、どんなに遅くなっても意地でも書き上げるぞのヒット記念の次回作は、全てをガラガラと
ひっくり返す世界観とキャラになっておりますので(笑)、そちらの方もいつになるかわかりま
せんが気長にお待ちくださいませ。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.65 )
日時: 2010/09/20 22:05
名前: ななし

> tambさん

お忙しい中お疲れ様です。次回作のお話を聞いてわくわくしました。お言葉に甘え気長に待ってます。
ですが、体調には気をつけて下さい。過密スケジュールも溜まりすぎると趣味を維持するライフラインに影響してしまいますので。心と体の健康が趣味を楽しむ栄養源かと。


> tomatoさん
7月の返信を今頃お許し下さい。
良い作品を作る自信だけはまったくない私です。努力はしていく所存です。むしろ作品を書くには私には努力が不可欠だと思ってます。応援ありがとうございます。頑張ります。


◇ 《七つ目の絆創膏》 by JUNさん

JUNさんの作品を作るペースは凄いと思うばかりです。見習わねばと思いながら日々の生活に流されるこの頃です。アレー。そんな素晴らしいJUNさんの作品の1つ、七つ目の絆創膏を見てストレートに言ってしまうとこの話のレイとシンジはすれ違ってると感じてしまいました。すれ違っているシンジとレイの気持ちはラストはシンジの気持ちに依存させて結びつける、と。
そのせいなんでしょう、絆創膏のシンジはホスト調にカッコいい。甘い言葉を吐くシンジがカッコいい。
すれ違っている原因は多分JUNさんの設定に破の設定を取り入れたからだと思います。最後まで破の設定で突っ走ればカッコいいシンジがレイを包んでくれなかったのでこれはこれでいい話だと思うのです、はい。


メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.66 )
日時: 2010/09/29 20:19
名前: JUN

■ななしさん
感想、どうもです。僕のシンジ君が気障ったらしいのは間違いなく破の影響です。創作意欲は相変わらずなんですが、僕の方も日々の生活に流され気味。あれれ。
破のラスト、最後レイは腕を回していないのですね。ごめんなさい、何も出来なかったと言うだけ。
だからなんだと言うわけではありませんが、これから腕を回せるレイにしていきたい、と思ってます。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.67 )
日時: 2010/10/09 11:45
名前: 何処 ID:gkTBh4r6mw0

【七夕の夜に】

ジオフロント、ネルフ本部発令所…

何故か場違いな大振りの竹が数ヶ所に飾ってある。数名の職員と白髪の男…ネルフ副司令…が脚立を立てその竹に何やら作業中…

その様子を朱金の髪を揺らし少女が眺める。笹の葉に色とりどりの紙が下がる様子にクリスマスツリーを連想し彼女は首を捻りながら呟いた。

「何かしら…あれ…」

丁度傍らを通りかかったもう一人の少女…こちらは蒼銀の髪…に気付き、彼女は制服の裾を翻し少女を呼び止めた。

「あ、丁度良いわ。ねえねえちょっとファースト。」

「…何?」

静かに振り向いた制服姿、その髪は蒼銀の輝き。少女の姿が一瞬成人女性の様に見え、声を掛けた彼女は碧眼を見開き息を飲んだ。

「…あれ何?」

心臓の動きを悟られない様平静を装い金髪少女は竹を指差す。
傍らの少女が指差す物体をショートボブを微かに揺らして赤い瞳で見遣り、彼女は何時もの様子のまま焦点のズれた発言をした。

「竹ね…英名バンブー、稲科の多年草…」

その回答に脱力しつつ密かに胸を撫で下ろし、ロングブロンドを片手で掻き上げながら少女は言葉を繋げる。

「〜あのね、それは判ってるわよ。飾ってる理由よ。」

「…知らない。」

「七夕だ。」

「わっ!?」「碇司令…」

不意に後ろから声を掛けられ、金髪の少女は文字通り飛び上がり、蒼銀の髪の少女は慣れた様子で振り返る。
少女達の背後には巨躯が聳える様に存在していた。

「天ノ川に分かたれた二つの星、アルタイルとベガ…伝承にある織姫と彦星の夫婦が年に一度の逢瀬を許された日を七夕と言う。」

「は、はあ。」「そうですか。」

…この男の口から解説が出る奇跡を知ってか知らずか、少女達は只頷く。

「その日に願いを短冊に書き笹に吊し星に読んで貰い、願いを叶えて貰おうと言うのが七夕祭りの主旨。」

笹の葉に吊り下げられた数多くの短冊をサングラス越しに見上げ、男は感情の読めない口調で語る。

「成る程…」
「ほへ〜、なんだか夢物語みたいな伝承…てゆうかそんな話を元にしたお祭りが今まで続いてるなんて、意外とエキゾチックなのねぇ日本って。星に願いなんて少し子供っぽいけど、少し見直したわ。」

隣の少女の台詞に赤い瞳を笹の葉に実る短冊へ向けた少女は誰にともなく囁く様に呟いた。

「星…願い…」

「本来は旧暦の七月七日だがな。二人ともこの短冊に願いを書くがいい。」

そう言うと男はその手に持っている紙束から二枚を抜き二人に渡した。あつらえた様に赤と青の短冊だ。

「は?」「え?ええっ!?あ、アタシも?」

「この地の底からでも思いは届くだろう。書き終えたらそこの段ボールに入れておけ。明日第三新東京祭りの飾り用に商店街に持って行く予定だ。」

「了解…」

「えっ?あ、ち、一寸待ちなさいよファースト!?待ちなさいってねえ!…」

スタスタ歩き出した少女の後を慌てて追うもう一人の少女。二人は書類に目を通しながらゆっくり歩いて来る白衣の女性の脇をすり抜けて行った。

「あら?貴女達何処へ行くの?今は待機…ああ、成る程ね。」

書類片手に眼鏡をずらし、早足で遠ざかる少女達へ注意しようとした彼女は二人が手に持つ紙片に気付き、苦笑した。

「あ、司令。これ報告書です。」

「ああ、有難う赤木博士。」

男に書類を渡しながらその金色の髪を揺らし、女は意味深に男の掛けているサングラスの奥を覗き込み口を開いた。

「…司令、子供達にも渡されたのですね、短冊…」

「…来年もだ。」

「は?」

渡された書類に目を通しながら男は話し続ける。

「来年も七夕を迎え、短冊を飾る。」

「…迎えられるでしょうか、来年も…」

「その為のネルフだ。」

「…はい…」



二人の少女はパイロット控え室に向かう。中には先客が一名…

「だからねぇファースト、あんたは人に言われたままホイホイ行動してるんじゃないのよ!大体ねぇ…あれ?シンジ何してるの?」

「え?あ、珍しいね、二人揃って控え室に来るなんて」

「んな事どーでもいいでしょ!何よバカシン…ってあれ?あんたも短冊貰ったの?」

「え?あれ?その手の…ひょっとして二人も父さんに?」

「ええ。」「何よあんたも?」

「あ、うん。」

「シ〜ンジ〜〜…あんたはほんっっとバカね、受け取ったからって何も馬鹿正直に書かなくても…」

「う、うん。だけど折角貰ったから何か書こうかって…でも何を書けばいいか…」

語尾を煙らせ、少年はペンを弄ぶ。

「はぁ?」

「碇君…無いの?書きたい願い…」

「あ、いや、無いって訳じゃ無くて、でもほらそのええとつまり、なんか考えがまとまらないって言うか…」

「いつもながらはっきりしない男ねぇ…」

「?…良く判らない…碇君、何故悩むの?」

「何故って…何でかな?二人はもう書く事決まってるの?」

「ええ。私はもう…」

「ふうん。アスカは?」

「あのねぇ、こんな子供騙しを何でこの私が…」

言い澱み、ふと少女は悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「待って…んー、そうね…ま、折角貰った訳だし日本の文化に接するのも悪く無いわね。」

「は?」「ファースト?」

「願いを書いて飾るなんて何だかクリストキント前の子供みたいだけど、ま、何事も経験ね!さ、私達も書くわよファースト!」

「え、ええ。」

「…やれやれ…」


***


「「む〜〜〜…」」

パイロット控え室。テーブルを挟み向かい合ってソファーに座り頭を抱える黒髪少年と金髪少女。そしてそんな二人の様子を傍らに立つ少女は首を傾け赤い瞳で眺めている。

「ハァ〜イパイロット諸君!…って何事?」

不意の闖入者の声にもソファーから返答は無い。少年と少女は思案中の様子…

「あ、葛城三佐。」

「ん?あ、ねぇねぇちょっとレイ…あの二人どったの?…なんか頭突き合わせてウンウン唸ってるけど…」

「はあ、願い事が纏まらないとかで…」

「願い事?」

頭を傾け顎に指を当てた彼女は少女の持つ紙片に目を遣り、納得して頷いた。

「あ、成る程。皆の分も短冊貰って来たけど遅かったか。毎年恒例の七夕祭りだもんねぇ。」
「え?」


「ん〜〜…足りない…」

「足りないって…何が?」
「このカード…短冊だっけ?どうせなら目一杯願い事書こうかと…」「うわ…」

「“うわ”って何よ“うわ”って。」

「あ、い、いや、アスカらしくていいんじゃないかな。」

「何それムカつくバカシンジの癖に。」

「…又馬鹿って…」

二人の会話を苦笑しながら聞いている長髪の女に、傍らの少女は控え目に自らの疑念を問うた。

「…葛城三佐、毎年恒例って…」

「え?レイ知らないの!?…ってそうね、去年までは発令所関連には殆ど来なかったものね…」

一瞬の暗い表情を魅力的な笑顔で打ち消し、女は少女の問いに答える。

「ネルフ設立からの伝統行事らしいわ。あの司令がなーんか知らないけどこの行事には何も言わないのよねぇ、珍しい事に…あ!レレレイ、今の話はオフレコよ!」
「了解しました…」

そんなやり取りをする二人を気にも止めずソファーの少年と少女は会話を続けている…

「でも願い事そんなにあるんだ…」

「あったり前でしょ!?あんたも迷う位願い事あるんだから全部書けば?」

「え?」

「あのねシンジ、迷うって事は選択肢が存在してるって事よ!?選べるなら全部書けばいいのよ!」

「あ、ああ…成る程ね…そう言う考え方も有りか…そっか…」

女は二人のやり取りに頭を抱える

「なんつーか…シンちゃんたらなーにアスカに丸め込まれてんだか…」

「?」

「ん?どったの?あ、もうレイは書いちゃったのね?」

「はい」

「んふふ〜、ねねね何書いたの何?良ければおねーさんにちょ〜っち見せてくれるぅ?」

「どうぞ…」

「え?あ、あり?ね、ねえあのさ?何かこーリアクションとか無い?」

「?」

「はぁ…何だかね〜…純粋培養っても…司令もリツコもちょっちねぇ…」

「…見ないのですか?」

「え?あ、ああ、そうね…貴女、他人の願い事を見たいと思う?」

「いいえ。」

「ん〜、なら止めとくわ。見たいってなら見せて貰おうかと思うけどね。」

「…では三佐の短冊を見せて頂けますか?」

「え?あたしの?」

「…これで宜しいのでは?」

「ん〜、じゃ、お互い見せっこしましょ。」

「はい…」

ごそごそポケットから皺クチャの短冊を取り出す。

「はい、これがあたしの短冊。」

「…“皆と来年も過ごせますように”…ですか…」

「ええ。来年も再来年も、皆欠ける事無くね。」

「…欠ける事無く…」

「ん?どったのレイ?」

「…何でもありません。葛城三佐、私のをどうぞ…」

「ん。じゃあ…プッ!」

「…何か可笑しかったですか?」

「な、何でも無い何でも無い、うん、とーっても可愛い願いだからちょっち感動したの!しっかし…ププッ!レイらしいわ〜。」

「…叶いますでしょうか…」

「え?なーに言ってるのよぉ、も、だーいじょぶ大丈夫!きっと叶うわ!」

「…はい…」

「ほら、早く飾って貰いなさい。今副司令が飾り付けしてるから。」

「はい。」

大切そうに紙片を胸に押さえる少女の背に女は優しく告げる。

「…そう、きっとね…」


「シンジあんたの裏が空いてるでしょ!?寄越しなさいよアタシが書いたげるから!」
「駄目。」
「何よケチ!」


「…やれやれ…ほらアスカ!シンジ君!早く持っていかないと飾り付け終わっちゃうわよ!」


***


「副司令、気を付けて下さいね!」
「なに、高所作業は慣れとる。伊吹君、新しい短冊を頼む。榛名君、三笠君は脚立を抑えていてくれ。」
「はい!」「判りました!」

脚立に上がり飾り付けをする初老の男。彼は懐から出した短冊を大切そうに笹の葉に提げる。

(ユイ君…十四年前、産後の君に託された短冊の願い…君の代わりに今年も飾ろう…)

その短冊には…


「シンジのせいよ!おっそいんだからもう!」
「いつまでも書いてたのはアスカじゃないか!」

「…あんたら、仲が良いのは判ったから早く渡して来たら?」

「「違う(わ)(よ)!!」」
「?」

「?あ、葛城さん。シンジ君にアスカにレイも。あ!短冊ですか?」

「そ。これお願い…ん?発令所からのお手伝いはマヤちゃんだけ?他の二人は?」

「今休憩中です。私達が交代で…レイちゃん、じゃ預かるわね。」

「お願いします…」

「ほら、シンジ君、アスカ、早くマヤちゃんに渡しなさい。」

「「は、はい!」」


***


「七夕…か…」

校正の手を休め、煙草に火を点け傍らの紙片を手に彼女は呟く。

「…子供騙しね…」

だがその言葉を裏切り彼女はその紙片に何やら書き込み…手を止めた。

「…馬鹿馬鹿しい…」

短冊を灰皿に乗せライターを近づける。

「…何をムキに…馬鹿みたい…いえ、馬鹿ね。」

ふと思い直す様に呟き、ライターの火を消して再び短冊を手にして彼女はそれに接吻した。

「馬鹿で良いか…」

一人ごち、短冊を手に彼女は席を立つ。
彼女の手にしたキスマーク付きの紙には一言だけ。

“いつか”


***


子供達の短冊が三枚並んで下げられたその頃…

「…」

巨大な人型の異形の前、見上げる男が一人。

「予言は成され託言の刻は近い。だが…最後まで私は足掻く。僅かでも希望がある限り…だから…ユイ…」

何者かへ語り掛ける男の手に一枚の紙片…只一文字だけの短冊。

…“又”…


***


ネルフ本部発令所を彩る竹飾りの一本…
その先端に赤青黄と短冊が並び、それを見守る様に緑と皺の寄ったピンクの短冊が続く。
沢山の字で読み辛い赤と黄色の短冊の隅…
(シンジとファーストが大笑いしますように)(綾波とアスカが仲良くしますように)
青い短冊に…
(碇君や皆とポカポカしたい)
ピンクの短冊の隣、緑の短冊には…

(愛して。そして愛し合って)

ふと、笹が揺れた。


ED【Starduster】初音ミク
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.68 )
日時: 2010/10/25 21:31
名前: tamb

 七夕という発想はなかったな。

 チルドレンが中学生だという感じがすごく出てる。なんでだろう。三人ともかわいい。
 レイの願い、どう考えても「碇君や皆とポカポカしたい」じゃなくて「碇君や皆とポカポカ
できますように」なんだが、「したい」のストレートさがレイらしい。シンジとアスカのから
考えて、作者は狙ってるはず。さすが。
 緑の短冊はユイでいいのだろうか。

 ED【Starduster】初音ミク。センスを感じる。愛されないことを恐れて逃げる、というフレ
ーズは結構すごい。意外に思うかもしれんけど、こういうアレンジはそんなに嫌いじゃない。
もうちょっと詰められるとは思うけど。ギターのざくざくした感じとかベースのペダルとか、
ずいぶん前に良く聞いてたバンド(あるいはアーティスト)にちょっと似てる。それが誰だか
は思い出せない。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.69 )
日時: 2010/10/26 21:45
名前: 何処 ID:zw7TaXwx1uM

ネッ、ネッ、ネルフの大爆笑〜♪

【雲の上にて】



ポロン♪

「あ、ど、どうも。碇シンジです。」

「惣流アスカ改め式波アスカでぇ〜っす♪」

ポロンポロン♪

「…ねえシンジ、レイは一体…どうしたの?」

「その…すっかりウクレレが気に入ったみたいで…」

ポロン♪

「…はあ。まあいいわ。でシンジ、今回はどんなお題なの?」

「ええっと…1111111にちなんで何がやれって…え?一寸ミサトさん!?これ台本に無いよ!?」

「…本当だ…台本に無い…」

ポロン♪

「い、いや綾波少しは参加してよ…」

「…どうすんのよ、話が全然進まないじゃない…」

ポロン♪

「あ、綾波そんな期待に満ちた目で僕らを見ないでよ…」

《むふっ♪お困りのようですにゃ〜♪》

「…この女、姿が見えないと思ったら…」

《だあってぇ、あたしもう二回その鬼スーツ着てるしぃ。たまには赤木さんや葛城さんみたいにこっちから突っ込みいれたいじゃん?》

「…ボケが二人に突っ込みまでボケててどーすんのよ…」

ポロンポロンポロン!

「だから綾波そんな私はボケじゃないって顔で僕らを見ないでよ…」

《ア〜スカちゅわん、それ言ったら駄目よ〜、ワンコ君はそれが芸風なんだから〜♪》

ポロン♪

「…何その“ボケの芸風は貴女”って表情…」

《レイちゅわ〜ん!ちょびっとその台詞おねいさんには痛かった〜》

「同い年で何がおねいさんだか。」

「それに綾波喋って無いし。」

ポロン♪

《あいった〜!ワンコ君からその突っ込みは痛かった〜!》

「…て言うかレイ、あんた一応今回主役なんだし何か話なさいよ。」

「一応って…」

ポロン♪

「何マナやらマユミ気にしてんのよ!」

「…てゆうかアスカ、綾波の言いたい事良く判るな〜。」

《あーワンコ君、君人の事言えないから。》

ポロン♪

「だーかーらーあんたここじゃバカシンジの彼女役なんだからさー!いいのよもっと堂々とイチャイチャすりゃ!」

《…アスカちゅわん他じゃ凄》「シャラー―ップ!そこ!バカシンジも照れない!」

ポロン♪

「…な、何よその目は、し、仕事でしょ!あんたは違うかも知れないけどさ!」

ポロン♪

「何今更赤くなってんのよ!あーもー!レイはこの調子だしもう一人のヘタレ主人公はあてにならないし!」

「ひどっ!?」

ポロン♪

《あ〜おぜうさん?その憐れみの満ちた目でワンコ君見ない。可哀想でしょ?》

ポロン♪

「…シンジごめんあたしが悪かった。」

「いいよもう…それよりお題!どうするんだよ!」

《大丈夫よワンコ君!君が七回吠えれば》

「「駄洒落かよ!?」」

ポロン…


《…ここでゲストの曲の後CMはいるにゃ…》



【ストロボナイツ】初音ミク
http://www.youtube.com/watch?v=zw7TaXwx1uM&sns=em
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 111バイトストーリー ( No.70 )
日時: 2010/11/14 13:31
名前: 何処

「愛って何?」

馬鹿シンジが私に聞くから、私は赤い瞳の女を指差してこう言った。

「あれがあんたの愛よ」って。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 111バイトストーリー2 ( No.71 )
日時: 2010/11/14 13:44
名前: 何処

「あんた馬鹿ぁ?」

青い髪の女が私に「愛って何?」って聞く。

私は「あんたの愛はアレ」と言ってシンジを指差した。
メンテ
1111111ヒット記念企画 111バイトストーリー3 ( No.72 )
日時: 2010/11/15 23:23
名前: 何処

「愛って何だろう」「愛って何」「判らない」「解らない」「でも1人は嫌だ」「二人ならポカポカするの」「「何故?」」

「それも愛さ。」
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.73 )
日時: 2010/11/18 06:35
名前: tamb

■雲の上にて/何処
( No.69 )

 ウクレレで語るレイ(笑)。まったくセリフがなかったのがいい。ドリフの雷様ネタはあんま
り良く憶えてないんだけど、高木ブーのウクレレは本物。


■111バイトストーリー/何処
( No.70 )〜( No.72 )

 ネタはすごいが反応に困るw
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.74 )
日時: 2011/01/04 00:40
名前: 何処 ID:8aTYcV_k9Hc

気がつくとそこは草原だった。
途方に暮れて立ち竦む僕に誰かが向かって来る。

誰だろう…って綾波か…

…綾波が七人揃い行進して来た。

…へ?


【ファーストドリーム】



あまりの事態に腰を抜かした僕に綾波達は話し掛けて来た…至近距離で。

「碇君…」「碇君…」「碇君…」「…さて問題です。」「四人目の綾波レイは」「この七人の内どれ?」「さあ…答えて…」

半ばパニックの僕は思わず叫んだ。

「うわわわっ!?て言うか一体何?何なのこれは?!」

「これは夢よ」「貴方の願望」「私の望み」「そして人の意志が生み出した世界」「それがここ」「そして私は」「食パン喰わえてダッシュしてパンチラ」

すぱぱぱぱーん!

「…痛い…」「…しまった突っ込みそこねた…」「…良く判らない…」

「「「「…そう…」」」」

現状が飲み込めない僕は只口をぽかんと開け事態の推移を只見守るしかない。

「…碇君、呆然としているわ。」「いけないわね」「もう一度説明するわ。」「つまりここは貴方の夢」「貴方の願望」「そして」「又碇君は私の胸を握りしめ」

すぱぱぱぱぱーん!

「…何を言うのよ…」
「「「「「それは私の台詞!」」」」」
「…痛い…」

と…とにかく事情は判った。どうやら僕は夢を見ている様だ。

「碇君…」「貴方が夢から醒めるには」「私達の中から」「一人を選ばなければいけない。」「そして」「貴方が選んだ一人が」「現実に最大の影響を与えるの。」

「…ね、ねえ、仮に選ばなければどうなるの?」

「私達と一つになって」「いつまでも」「永遠に」「この世界で」「貴方の精神は」「過ごす事になるわ」「レイちゃんハーレムよハーレム!」

すぱぱぱぱぱぱーん!

「…った〜…今誰か固いの使ったぁ!」

「…私はハリセンよ…」「私もハリセン」「私はスリッパ」「私は新聞紙丸めたの」「私も」「…司令のサンダル…」

「…サンダルは無しよぉ…」

「…サンダルは駄目」「反則」「イエローカード」「危険よ」「駄目…碇君も引いてる」

「そう…駄目なのね…」
「駄目に決まってるわよぉ…」

「ねえ…僕帰って良い?」

「「「「「「「駄目」」」」」」」


「では改めて」「碇君」「私達の中で」「四人目は誰?」「さあ」「答えて」「碇君…信じてるわ…」

「ええと…君。」

ピンポーン!

「正解…」「大当りよ」「おめでとう」「良かったわね」「そう、貴方は正しい選択をした」「有難う…感謝の言葉…そう、私嬉しいの…」「…でっもよっっく判ったわね〜?」

「だって…四人目は頬っぺたが赤いのがデフォルトだって管理●さんが言ってたもの」

そう答えた次の瞬間、僕の頭に金タライが落ちて来た。

ゴヮン!


「…はっ!…何だ夢か…」
「夢かじゃ無いわよ全く!このアタシがどれだけアンタを起こそうとしたのか判ってるの!?」

「あぁアスカか…ゴメン。じゃお休み…」

「お休みぢゃなーい!…って嫌ーっエッチバカスケベヘンタイ信じられない朝から何てモノ乙女に見せるのよーっ!」

「し、仕方ないだろ朝なんだから!」


…あれ?


この後僕は青い髪と赤い瞳の転校生と運命の馬鹿らしい出逢いをするんだよな…

え?


「ほら馬鹿シンジ遅刻するわよ!」
「判ってるよアスカ!」


…デジャブ…臨視感…あれ?ひょっとしてひょっとしたらたらたら…


「起きて…碇君…」

「…綾波?」

思わず抱き着いて綾波にひっぱたかれた僕は漸く目が醒めた。

…けど…

綾波…

朝から丼飯って…そんなに食べたっけ?

「仕っ方無いぢゃん育ち盛りなんだもん♪」

…まさか…

「「「「「「クスクスクスクスクス…」」」」」」

うわぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!

◆◇◆


「…っにしても起きないわねぇ」
「葛城三佐…やはりお屠蘇はヒック私達には未だヒック」
「だーいぢょうぶ大丈夫!も、ノープロブレムよニャハハハハハハハ!」

「「…はぁ。」」

「うーんうーん…綾波が、綾波が…ってミサトさん?ア、アスカまで!?うーんうーん…た、助けてぇ〜…」

「「「は?」」」



http://www.youtube.com/watch?v=8aTYcV_k9Hc&sns=em


後れ馳せながら明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.75 )
日時: 2011/01/25 05:47
名前: tamb

■ファーストドリーム/何処
( No.74 )

 覚めても覚めても夢の中にいるという重層構造はエヴァ本編を思わせ、緒形ゆう氏の一連の
作品をも想起させる。ということはあまりない(爆)。
 綾波ズがボケて突っ込むという図はなかなかかわいい(笑)。

○家の裏でマンボウが死んでる
 あまりにシュールだ。つか、食うなよ(笑)。
メンテ

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