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日時: 2026/07/29 20:17
名前: 黒狼武者 ID:eSd4Sxzo

>>1

第一話

隕石
太平洋の中央には小大陸〔エルピスコロニア〕と呼称される辺境の絶島が存在する。此処は自然が豊富であり大勢の原住民達が安住したのである。世界暦五千七百二十一年六月中旬の時期…。小大陸エルピスコロニアでの出来事である。島内の中心部に聳え立つ最高峰ギガントロックの頂上にて一人の青年が広大無辺の青空を眺望する。
『やっぱり此処は長閑だな…』
地上は大戦争によって世界各地の彼方此方が荒廃化したのである。世界全体は空前絶後の大混乱期であったが…。文明やら科学技術とは無縁のエルピスコロニアだけは平和だったのである。
『宇宙の彼方には何が存在するのかな?』
青年の名前は【ストレイダス】…。体格は男性としては比較的小柄であり頭髪が黒髪なのが特徴的である。年齢は二十九歳であるが…。常日頃から自由自在に広大無辺の大空を浮遊したいと夢見る。
『俺も鳥類みたいに大空を飛行したいな…』
ストレイダスは村落一番の力自慢であり力仕事のみなら彼に拮抗する人物は存在しない。上記の理由により次期村長候補に任命されるのだが彼自身は非常に大雑把であり面倒に感じる。
『北方地帯に戻らないと村長の野郎が口煩いからな…』
生真面目の村長とは性格が不一致であり落胆したのである。
「はぁ…」
ストレイダスが一息した直後…。
「ん?」
突如として頭上から轟音が響き渡る。
『轟音か?』
ストレイダスは恐る恐る上空を直視したのである。
「えっ…」
上空の光景に絶句…。脳内が白色化したのである。
『一体何が!?』
上空には三十センチメートルサイズの隕石が超高速で急接近…。対するストレイダスは目前の光景に絶句する。
『隕石なのか!?』
上空の物体が小型の隕石であると認識した直後…。小型の隕石はギガントロックの頂上へと落下したのである。小型隕石の爆発音は近辺の村落は勿論…。エルピスコロニア全域へと響き渡ったのである。
「うわっ!」
ストレイダスの現在地は小型隕石の落下地点から数メートル程度の近距離とされ…。爆風と衝撃波が彼を強襲したのである。ストレイダスは隕石の落下地点から十数メートル程度吹っ飛ばされ…。
「ぐっ!」
全身が地面に激突する。
「ぐっ…」
『畜生が…』
ストレイダスは地面の激突により全身を骨折したのである。
『身動き出来ないか…』
全身の苦痛により身動き出来なくなる。
「はぁ…」
すると目前の視界が黒化し始め…。
『俺は…こんな場所で死んじまうのか?』
次第に意識が遠退き始める。
『正直…もう少しだけ…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟したのである。
『もう少しだけでも…長生きしたかったな…』
数秒間が経過…。ストレイダスの意識が消失したのである。

第二話

治癒
最高峰ギガントロックの頂上へと落下した小型の隕石はエルピスコロニア全域へと響き渡る。
「一体何が…」
「轟音は…頂上からだったよな?」
登山中の二人の村民達は畏怖するも頂上へと移動したのである。
「うわっ…」
「クレーターか…一体如何してこんな状態に?」
頂上の光景に驚愕する。頂上には直径二十メートル前後のクレーターが形作られ…。クレーターの中心部には三十センチメートルサイズの岩石が確認出来る。
「此奴は隕石なのか?」
「ん!?誰だ!?」
クレーターの近辺にて地面に横たわった状態の怪我人を発見する。
「怪我人だぞ!大丈夫か!?」
怪我人は小柄の成人男性だったのである。上半身は血塗れ…。全身の衣服はボロボロであり瀕死の状態だったのである。
「隕石で吹っ飛ばされたのか?」
「不運だったな…こんな状態では…」
生存は絶望的であり二人は瀕死の成人男性を気の毒に感じる。すると直後…。
「えっ…」
「現実なのか?」
成人男性は瀕死の状態であったが突如として全身の外傷が治癒し始める。外傷は数秒間で完治…。成人男性は目覚めたのである。
「うっ!俺は…死んじまったのか?此処は天国なのか?」
成人男性は記憶が曖昧なのか周囲をキョロキョロさせる。
「誰かと思いきや…あんたは力自慢のストレイダス!?」
「大丈夫なのかよ!?」
成人男性は誰であろう力自慢のストレイダスだったのである。
「えっ?大丈夫そうだが…」
ストレイダスは自身の全身を確認すると絶句し始める。
『衣服がボロボロだな…上着は血塗れだし…』
鮮血により白色の上着が赤化したのである。
「戻って入浴しないと…」
ストレイダスが歩行する直前…。
「ストレイダス?歩いて大丈夫なのか?」
「血塗れだし…」
二人の村民達はストレイダスを心配する。
「大丈夫だよ…外傷は無さそうだし手足はピンピンに動けるからさ…」
ストレイダスはピンピンした様子であり下山したのである。
「ストレイダス…本当に元気だな…」
「彼奴は不死身なのか?」
小柄の村民が恐る恐る…。
「先程のストレイダスの治癒力…異常だったよな?全身血塗れの状態だったのに…数秒間で治癒するなんて…」
すると大柄の村民も小声で発言する。
「ストレイダスは人一倍元気だけど…普通は失血死しても可笑しくないよ…彼奴は如何しちまったのやら…ストレイダスは本当に不死身だったのか?」
ストレイダスは幼少期から免疫力は人一倍根強く怪我も一日で治癒したのである。二人の村民達はストレイダスの様子に愕然とする。

第三話

次期村長候補
同日の夕方…。ストレイダスは自宅でゴロゴロする。
「はぁ…」
『今日は草臥れたぜ…隕石で吹っ飛ばされるなんて予想外だな…』
すると誰かがコンコンッと自宅のドアをノックしたのである。
「ん?こんな時間帯に誰だろう?」
ストレイダスは玄関へと移動するとドアを開放させる。
「ストレイダスよ…体調は如何なのだ?」
「えっ…村長!?」
訪問者は村長のウィルフィールドでありストレイダスは驚愕する。
「村民達の噂話では隕石で吹っ飛ばされたとか…其方は大丈夫なのか?」
ウィルフィールドはストレイダスの状態を心配したのである。
「俺なら大丈夫ですよ♪俺は肉体だけなら人一倍頑丈なので石ころなんかで死にませんよ!村長は心配性ですね♪」
ストレイダスは自負する。
「ストレイダスが元気なのは周知の事実だが…無理するなよ…何たって其方は次期村長候補なのだからな…」
「えっ?はぁ…」
ストレイダスは次期村長候補の発言に苦笑いしたのである。
『やっぱり村長の口癖は面倒臭いな…次期村長なんて御免だよ…』
彼にとってウィルフィールドの口癖はストレスに感じる。するとウィルフィールドは小声で…。
「偶然にも…天空世界から隕石が落下するとは…恐らく今後…世界各地で天変地異が発生するかも知れないな…」
「天変地異ですって?」
ストレイダスはウィルフィールドの小声に反応したのである。
「近頃…感じるのだよ…」
時たまであるが…。ウィルフィールドは未来を予知出来る。契機としては幼少期の海水浴で事故に遭遇…。海中に溺れ掛けるも両親に救助されたのである。事故から数日後…。未来の出来事を予見出来る能力が発現したのである。
「村長?一体…世界では何が発生するのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「非常に曖昧かも知れないが…世界各地に怪物らしき巨体が暴れ回り…各国は停戦するだろう…」
「えっ…停戦ですって!?」
今現在世界各国は経済の不景気により戦争中である。世界各地の彼方此方が戦争の影響で荒廃化…。戦争による被害は拡大化する。
「怪物を相手に奮闘中の戦士らしき存在も認識出来たのだ…ひょっとして世界の救世主だろうか?」
「怪物と…戦士ですって?」
ウィルフィールドの表現は非常に曖昧であり現実味は皆無である。
『本当に曖昧だな…怪物とか戦士って何だろう?』
一方のストレイダスは内心珍粉漢粉であり苦笑いする。
「少なくとも世界全体で異変が発生するのは事実だろう…」
数秒間が経過するとウィルフィールドは自宅へと戻ったのである。
「世界全体で天変地異なんて…」
『本当に発生するのかな?巨体の怪物とか…世界の救世主とか…古代の神話みたいな内容だよな…』
先程のウィルフィールドの発言は非現実的であり大昔の神話みたいに感じられる。

第四話

停戦
隕石事故から半年後の十二月中旬の時期である。世界各国は依然として戦争中であったが…。十二月が経過した時期から海中より正体不明の移動物体の目撃情報が世界各地に伝播したのである。同年の十二月十三日…。とある大国の大型潜水艦が正体不明の巨大移動物体と衝突する大事故が発生したのである。大型潜水艦は沈没こそ免れたが…。艦体は大破したのである。正体不明の巨大移動物体による大型潜水艦の衝突事故から二日後…。今度は別の国軍の艦隊が作戦行動中に正体不明の巨大移動物体と遭遇する。魚類らしき背鰭と尾鰭が確認出来…。正体不明の巨大移動物体は全長数十メートル規模の魚類であると判明したのである。艦隊は回避行動を開始するのだが…。一隻のミサイル艦が魚類らしき移動物体と衝突したのである。巨大移動物体と衝突した影響によりミサイル艦は沈没…。艦隊は即座に対潜戦闘を開始するのだが巨大移動物体は想像以上に高速であり行方を見失ったのである。以後も各海域で各種船舶が魚類らしき巨大移動物体と遭遇…。場合によっては衝突する事故が多発したのである。一連の超常現象から月日が経過…。世界暦五千七百二十二年五月七日未明の出来事である。午前八時半…。
「各国の停戦って本当なのかよ!?」
「えっ…長期化した戦闘がこんなにもピタッと停戦するなんて…」
各国間の停戦の情報は辺境のエルピスコロニア全域にも知れ渡ったのである。エルピスコロニアは各国の停戦の動向により各村落が騒然とする。
「開戦から七年以上経過したけれど…各国が停戦するとは何が契機で?」
各村落は突然の朗報により騒然としたものの…。大勢の村民達は各国の停戦にホッとしたのである。すると一人の村民が恐る恐る…。
「各国が停戦した理由だけど…如何やら規格外の怪物が戦場に出現したらしいぞ…」
「えっ!?規格外の怪物だって!?」
周囲の者達は怪物の一言に反応する。
「世界各地の戦場で巨体の怪物が何体も出現したらしいぞ…」
各国が戦争中に規格外の巨大不明生物の出現で各国軍の損害が増大化したのである。対する各国軍も通常兵器で巨大不明生物に応戦するのだが…。巨大不明生物には各国軍の如何なる兵器も通用しなかったのである。各国の首脳陣は巨大不明生物の出現により停戦を決行…。各国軍は巨大不明生物の排除を優先したのである。
「非現実的だな…怪物の出現なんて本当なのかよ?」
「怪物の出現で終戦なんて皮肉だよな…」
「本当に怪物が出現するなんて…村落に出現しないか心配だよ…」
「やっぱりウィルフィールド村長の未来予知は本当だったのか…」
大半の者達がウィルフィールドの予言を単なる妄言程度の認識であったが…。今回の超常現象から怪物の存在を確信したのである。
『怪物か…やっぱり村長の予言は本当だったな…』
村道を通り掛かったストレイダスは村民達の噂話を盗み聞きする。
『村長の予言では地球上に救世主が出現するらしいけれど…一体誰なのかな?』
ストレイダスは救世主の存在が何者なのか気になったのである。

第五話

恐竜型
全世界各国の停戦表明から五日後の深夜帯…。エルピスコロニア北方地帯での出来事である。村民達はスヤスヤと睡眠中だったのだが…。突如として北方の海岸から爆発音と猛獣らしき咆哮が北方地帯全域に響き渡ったのである。
「うわっ!」
一方のストレイダスは自宅の寝室にて熟睡中であったが…。突然の爆発音と猛獣らしき轟音により飛び起きたのである。
『一体何が!?』
今度は大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。気になったストレイダスは恐る恐る外部へと移動したのである。大勢の村民達が村道を逃走…。反対方向から弓矢を装備した義勇兵達が総動員で海岸へと急行中だったのである。
「えっ…」
ストレイダスは外部の光景に愕然とする。
『前代未聞の光景だな…』
ストレイダスは村道へと移動…。義勇兵達に追尾したのである。移動中…。再度爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡る。
『咆哮だ…海岸には何が出撃したのかな?』
義勇兵達を追尾してより数分後…。ストレイダスは海岸へと到達したのである。
「なっ!?」
ストレイダスは海岸の光景に驚愕…。現実の出来事なのか理解出来なくなる。
『此奴は…恐竜なのか!?』
海岸の砂浜には体高十二メートル前後の恐竜らしき怪物が直立…。全身が凸凹の岩石らしき皮膚が特徴的である。
「狼狽えるな!此処で怪物を仕留めろ!」
義勇兵の部隊長が攻撃を指示…。数十本もの毒矢が発射されたのである。多数の毒矢が怪物の皮膚に命中するのだが…。
「畜生…ビクともしないな…」
怪物の皮膚は岩石みたいに硬質であり毒矢は非力だったのである。
「部隊長殿…駄目です…」
「こんな装備では…」
周囲の義勇兵達は毒矢が通用しない怪物に畏怖し始め…。絶望する。現実問題としてエルピスコロニアは外界の科学技術とは無縁の排他的社会である。当然として科学技術は未発達であり外界では主流とされる近代的装備は皆無…。武器は時代錯誤の棍棒やら弓矢が関の山だったのである。
「駄目だ!此処で怪物を仕留めなければ村落が壊滅するのだぞ!」
部隊長は怒号するのだが…。
「怪物が!?」
直後である。恐竜型の怪物が口部を開口し始め…。口内から高熱の火球を放射したのである。
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
火球は義勇兵達に直撃…。彼等の肉片が一瞬で炭化したのである。海岸の砂浜には炭化した義勇兵達の肉片が彼方此方に散乱する。
「えっ…」
ストレイダスは彼等の惨劇に恐怖したのである。一方恐竜型の怪物がストレイダスの方向を直視し始め…。ギロリと睥睨したのである。
「ひっ!」
ストレイダスは極度の恐怖心により身動き出来なくなる。
『畜生…逃げたいのに逃げられない…』
すると恐竜型の怪物は再度口部を開口…。ストレイダスを標的に口内から高熱の火球を放射したのである。
「はぁ…」
『今日が…俺の命日か…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟する。

第六話

協力者
ストレイダスは火球に直撃…。意識が消失したのである。火球が直撃してより時間が経過…。
「ん?えっ…此処は?」
ストレイダスはとある密室にて目覚める。
『俺は恐竜みたいな怪物に遭遇してから殺されて…此処は死後の世界なのか?』
ストレイダスは周囲をキョロキョロさせる。すると目前のドアが開放され…。背広姿の男性が入室する。
「目覚められましたか…ストレイダス様…」
背広姿の男性は頭髪が金髪…。瞳孔は碧眼であり大柄の白人男性だったのである。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは状況が理解出来ず返答に困惑する。
『誰だろう?天使なのか?姿形だけなら人間みたいだな…』
目前の白人男性が天使なのか思考したのである。
「私の名前は【フィルドルク】です♪突然の出来事なので貴方が理解出来ないのは当然でしょう♪」
フィルドルクと名乗る白人男性は満面の笑顔で発言する。一方のストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「俺は怪物に殺されて…此処は死後の世界の天国ですか?貴方は天使ですか?」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けにクスクスと微笑し始める。
「こんなにも連続的に超自然的現象と遭遇すれば混乱するでしょうね♪此処は潜水艇の内部ですよ♪天国とは無縁の世界です♪」
「潜水艇の…内部?」
「貴方は正真正銘完全なる生者なのですから♪」
「えっ…俺が…生者ですって!?」
『俺は怪物の火球で吹っ飛ばされたのに…命拾い出来たのか!?』
ストレイダスは自身が生者である事実に驚愕し始め…。再度混乱したのである。
「貴方は地上の怪物と遭遇してから…」
ストレイダスは先程の恐竜型の怪物に攻撃され…。海面上へと吹っ飛ばされたのである。一方のフィルドルクは潜水艇で航行中…。暗闇の海中にてストレイダスを発見したのである。
「俺は貴方に救助されたのですね…感謝します…」
ストレイダスは命拾い出来…。フィルドルクに感謝したのである。
「私の正体は民間の宇宙開発企業の社長とでも♪当然として貴方の協力者なのは断言出来ますが♪」
「えっ…宇宙?開発企業の…社長?」
『俺の協力者だって?失礼かも知れないけれど…』
ストレイダスはフィルドルクに警戒する。
『正直胡散臭い雰囲気だな…』
フィルドルクは見ず知らずの人物であり内心胡散臭いと感じる。
「貴方が俺を此処に移送したのですか?」
「無論ですね♪」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。
「貴方は唯一無二の地球の救世主なのですから♪ストレイダス様が死去されたら一体誰が地球を守護されるのでしょうか?」
「俺が…地球の救世主ですって?」
「貴方は去年の六月頃…隕石で大怪我されたでしょう?私は後日…隕石の落下地点で落下した隕石と…貴方の血液を入手したのですよ♪」
去年の六月…。隕石の落下を察知したフィルドルクは単独調査を目的にエルピスコロニアへと上陸したのである。最高峰のギガントロック頂上にて隕石とストレイダスの血液を入手…。独自で隕石の詳細とストレイダスの血液を調査したのである。
「調査の結果…世紀の大発見ですよ♪人類の歴史が変化するでしょうね♪」
フィルドルクは大喜びする。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは珍粉漢粉であり再度苦笑いしたのである。
「ギガントロックに落下した隕石はペストロと命名される深宇宙の特殊性物質なのですよ♪」
「ペストロ?」
ストレイダスは専門用語に困惑する。
「ペストロは惑星の爆発によって発生する物質なのですよ♪恐らく辺境の宙域で惑星が爆発したのでしょう…」
特定の惑星の爆発によってペストロと呼称される特殊性の物質が発生…。隕石として地球上に落下したのである。
「ですがペストロって物質と落下地点の血液が如何したのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「隕石の落下地点の血液を調査した結果…ペストロの物質が検出されたのです…今現在のストレイダス様の血液と一致したのですよ…」
フィルドルクはストレイダスの身体髪膚を検査した結果…。ストレイダスの血液がギガントロックで発見した血液と一致したのである。
「えっ…」
ストレイダスは絶句する。
「今現在の貴方の肉体は常人とは比較出来ない領域へと進化したのです…」
ストレイダスは隕石の影響から全身がペストロの細胞へと変異したのである。
「えっ…進化?」
「貴方は隕石の影響により…細胞レベルで変異したのでしょう…」
ストレイダスは恐る恐る全身の皮膚に接触し始める。皮膚に接触すると筋肉が金属類みたいに硬質だったのである。
「実際ストレイダス様は怪物に攻撃されても死にませんでした…貴方の生命力が超越的だと証明されたのです♪」
フィルドルクは満面の笑顔で銀色の密着性の全身スーツ…。携帯型の電子機器を手渡したのである。
「全身タイツと…小箱みたいな小道具ですね…一体何でしょうか?」
エルピスコロニアでは文明社会の電子機器が出回らずストレイダスは携帯型の電子機器に興味深くなる。
「本日より貴方はペストロの超人…【ペストロマン】なのです♪」
フィルドルクはストレイダスをペストロマンと命名する。
「ペストロマン!?」
「今現在の貴方であれば先程の怪物と互角以上に接戦出来るでしょう♪貴方は地球上で最強の戦士なのですから♪」
ストレイダスはフィルドルクの発言に動揺し始める。
「フィルドルクさん!無茶ですよ!先程の恐竜みたいな怪物に…真正面から接戦なんて正気ですか!?」
「ストレイダス様は心配性ですね♪」
対するフィルドルクは動揺し続けるストレイダスに断言する。
「心配しなくてもストレイダス様のデータを計算した結果…今現在の貴方はペストロの効果によって常人の三百人分のパワーは発揮出来ましょう♪」
「三百人分って…」
『大袈裟だし…胡散臭いな…』
フィルドルクの発言が信用出来なかったのである。
「先程貴方に手渡した必須アイテムですが…一つ目はペストロマンが着用するので〔ペストロスーツ〕とでも命名しましょうか♪」
ペストロスーツは宇宙で発見された特殊繊維で製造…。密着性の全身スーツである。本来は宇宙空間での活用を目的に製造された代物とされ…。太陽型の恒星内部でも活動出来るとされる。
「二つ目のアイテムは怪物を発見するのに必須の〔ハイパーセンサー〕です♪」
ハイパーセンサーとは近年発生した巨大未確認不明生物の出現に対応する目的で開発された代物である。地球上であれば巨大未確認不明生物があらゆる場所に出現しても生体反応を正確にキャッチ出来…。瞬時に出現地点を特定出来る。
「当然としてペストロスーツとハイパーセンサーは無料で提供しますからね♪」
すると直後…。ハイパーセンサーの中心部のレンズが点滅したのである。
「うわっ!中心の硝子が点滅した!?」
ストレイダスは突然のハイパーセンサーの点滅に驚愕する。
「如何やらハイパーセンサーが怪物の生体の居場所をキャッチしたみたいですね♪」
「一体如何すれば…」
ストレイダスは困惑したのである。
「貴方が出動する以外に選択肢は存在しません…早速ストレイダス様は怪物を退治するべきかと…」
フィルドルクは携帯型のホログラム装置を作動させる。
「えっ…一体何が!?」
ストレイダスはホログラム装置に反応したのである。するとホログラム装置の上部にて立体化された恐竜型の怪物が映写される。
「怪物だ…」
恐竜型の怪物は村里を襲撃…。大勢の村民達が逃亡する光景がホログラム装置から鮮明に確認出来る。
「ストレイダス様…此処で長居し続ければ村落の被害が拡大する一方ですよ…」
ストレイダスは両目を瞑目し始め…。沈黙したのである。
『一か八かだな…』
一息する。
「承知しました…俺は…怪物を退治しますよ…」
ストレイダスは決意したのである。
「ストレイダス様♪決断されたのですね♪」
フィルドルクはストレイダスの決意に大喜びする。一方のストレイダスはペストロスーツを凝視し続ける。
『神話の…英雄みたいな衣装だけど…』
ペストロスーツの着用には抵抗を感じるのだが…。
『止むを得ないな…』
ストレイダスはペストロスーツを着用したのである。数分後…。
「少しだけチクチクしますが…やっぱり動き易いですね…」
ペストロスーツは全身にフィット…。全体的に動き易いと感じる。
「ですがやっぱりストレイダス様は屈強の体格ですね…」
ストレイダスは全体的に筋肉質であり余計に屈強さが際立ったのである。
「実際俺は村里では一番の力自慢ですからね…」
「であれば怪物相手でも大丈夫でしょう♪」
ストレイダスは恐る恐る…。
「早速此処から脱出したいのですが…一体如何すれば?」
「心配しなくても大丈夫ですよ♪ストレイダス様♪」
フィルドルクはストレイダスをとある密室へと案内したのである。
「床下の装置は…何ですか?」
床下には円形の装置が確認出来る。
「床下の装置は最新型のテレポート装置ですよ♪円内であればあらゆる物体を目的地にワープさせられます♪」
密室の装置はオーバーテクノロジーによって開発されたテレポート装置である。円形の内部に特定の物体を設置…。目的地を設定すると数秒間で物体をワープさせられる。

第七話

開戦
ストレイダスはテレポート装置によって海岸の砂浜へとワープする。
『此処は海岸の砂浜だな…』
先程の出来事を想起…。
『フィルドルクさんもだけど…』
先程の数多くの未来的道具に愕然とする。
『やっぱり外界の文明レベルは桁違いだな…』
すると直後…。頭部がズキズキする。
「うっ…」
『何だろう?遠方から気配を感じる…』
何故なのかは不明だが…。村落から気配を察知出来たのである。
『ひょっとするとペストロって隕石の影響なのかな?』
ストレイダスは自身の肉体の異変を自覚し始める。
『先程の怪物…仕留められるのかな?』
正直不安であったが…。村落へと急行したのである。移動中…。爆発音やら大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。
『物凄い騒音だ…やっぱり怪物は村落に進攻したみたいだな…』
移動してより数分後…。
「えっ…」
北方地帯の彼方此方が火炎の地獄であり各家屋が炎上したのである。
『北方地帯が…』
ストレイダスは非日常的光景に絶句…。真夜中の深夜帯なのに火災の影響で北方地帯全域が赤色に染色する。
『怪物を発見し次第仕留めないと…』
すると近辺の山奥より…。怪物の咆哮が響き渡る。
『怪物か…』
ストレイダスは山奥へと急行する。急行してより数分後…。山道にて先程の恐竜型の怪物を発見したのである。
「怪物だ!」
一方の恐竜型の怪物は反応し始め…。背後のストレイダスを凝視したのである。怪物は殺気立った形相でギロリと睥睨する。
「うっ…」
『こんな怪物…本当に俺だけで仕留められるのか?』
ストレイダスは恐怖…。全身がプルプルと身震いしたのである。すると携帯式のハイパーセンサーがピピッと作動し始める。
「ん?ハイパーセンサーか?」
恐る恐るハイパーセンサーを起動…。
「何だろう?」
すると画面より怪物の名称と危険度が表示されたのである。
「【ギガントサウルス】?危険度は…中度?」
恐竜型の怪物は高熱恐竜ギガントサウルスと表示され…。危険度は中度と表示されたのである。
『怪物はギガントサウルスって名前なのか…』
メンテ

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Re: 新世紀エヴァンゲリオン〔仮名〕※休止中 ( No.100 )
日時: 2021/09/18 23:08
名前: 月影桜花姫

第一話

宇宙艦隊戦闘

太古の大昔…。宇宙新暦七百二十二年三月二十八日午前一時の出来事である。とある銀河系では複数の巨大宇宙勢力が度重なる戦乱を頻発させる。太陽系から推定八万光年の宙域では銀河系全域を統治する大規模星間軍事国家『大銀河帝国』の宇宙大艦隊…。国民主義実現を主目的に活動する大規模反政府勢力である『タイラントキラー』の宇宙大艦隊が激突したのである。大銀河帝国軍宇宙軍主力艦隊旗艦…。宇宙戦艦『セイバードラゴン』ではブリッジの乗組員がタイラントキラーの宇宙艦隊を発見する。
「艦長!本艦のスペースレーダーが推定九百光年の宙域より敵軍の宇宙艦隊に反応しました!」
セイバードラゴンは大銀河帝国軍の主力宇宙戦艦であり地上の水上艦を連想させる巨大宇宙戦艦である。長距離索敵と誘導兵器の使用は勿論…。本艦一隻のみで数千キロメートルサイズの惑星表面を一掃させられる攻撃力を保持する。艦内には一隻だけで合計九十機もの宇宙用の艦載機を搭載出来る。本艦にとっての最大の武装は主砲である高エネルギーを放出する口径八百ミリメートルの高エネルギー連装砲である。主砲の威力は高火力であり数百メートルサイズの宇宙戦艦を一撃で撃沈出来ると推測される。本艦のレーダー射撃は高水準であり主砲の命中精度は八十五パーセントとも豪語される。本艦のサイズは全長八百メートルサイズで全幅六百メートルサイズ…。総重量は推定五百万トンクラスと規格外に巨大であり現存する大銀河帝国軍宇宙主力艦隊では最大級の超大型宇宙戦艦である。動力炉は『スーパーリアクター』が搭載され燃料の補給は不要であり半永久的に航行出来る。
「敵軍の宇宙艦隊を発見したか…」
セイバードラゴンの艦長は大銀河帝国の大総統…。【ブラッドフォード】である。ブラッドフォードは年齢二十九歳の青年であるが外見的には美少年であり十代後半にも間違われる。本来であればブラッドフォードは最前線での戦闘では参加しない立場であるものの…。少年時代の従軍経験から積極的に最前線での指揮を自発的に執行する。
「味方の全艦隊に伝播せよ…敵軍の宇宙大艦隊を発見したと…」
「はっ!承知しました!」
通信兵がブラッドフォードに敬礼するなり全軍に敵軍宇宙艦隊発見の情報を通信させる。大銀河帝国軍宇宙主力艦隊は大総統ブラッドフォードの乗艦する主力宇宙戦艦セイバードラゴンを先頭に推計十七万隻もの宇宙艦隊が追尾する。旗艦セイバードラゴン艦内ではブラッドフォードが再度指示したのである。
「最大船速でワープ機能を作動させろ…一瞬で敵軍宇宙艦隊の真正面に突入するぞ…」
「はっ!ワープ機能作動!」
ブリッジの乗組員がワープ機能を作動させる。すると味方の宇宙艦隊もワープ機能を作動させ最前線へと突入したのである。同時刻…。タイラントキラー宇宙軍艦隊は合計一万四千隻もの大規模艦隊であり旗艦は宇宙戦艦『サラマンダー』である。サラマンダーは全長七百八十メートルサイズで全幅五百四十メートルサイズ…。総重量は三百万トンもの超大型宇宙戦艦である。旧型の宇宙戦艦であるが艦載機の総数は合計百五十機前後であり艦載機の搭載機数のみなら大銀河帝国軍のセイバードラゴン級大型宇宙戦艦をも上回る。本艦の動力炉はスーパーリアクターであり燃料は不要である。
「艦長!スペースレーダーが反応しました!」
サラマンダーに搭載されたスペースレーダーが反応する。
「正体不明の無数の移動物体が超光速で味方艦隊に接近中です!移動物体の総数は推計十七万以上…」
旗艦サラマンダーの艦長は【ウィグノール】である。階級は中将であり本来は大銀河帝国軍親衛隊の総司令官であったが…。ブラッドフォードによる独裁政治を見限り脱退する。今現在は反政府組織であるタイラントキラーを創設…。国民主権の独立宇宙民主国家建国を目標に銀河系全域を支配する大銀河帝国に宣戦布告を表明する。
「恐らくタイラントキラーの宇宙艦隊だろう…」
すると直後…。タイラントキラー宇宙艦隊から推定三百光年の宙域より数万隻もの艦影が突如として出現したのである。
「艦長!タイラントキラーの宇宙艦隊です!総数七万隻前後…大艦隊です!」
「敵軍宇宙艦隊の総数は七万隻前後か…」
今現在投入された戦力では大銀河帝国軍主力宇宙艦隊が宇宙艦艇推計十七万隻以上…。相対するタイラントキラー宇宙艦隊の宇宙艦艇は推計三万四千隻程度でありタイラントキラーが圧倒的に不利である。
「直進せよ…」
ウィグノールが艦隊の直進を指示すると全艦隊が大銀河帝国軍主力宇宙艦隊に接近する。同時刻…。大銀河帝国軍主力宇宙艦隊旗艦セイバードラゴンではタイラントキラー宇宙艦隊の接近を確認する。
「艦長!タイラントキラーの宇宙大艦隊が味方の宇宙艦隊に急接近中です!如何されますか?」
問い掛けられたブラッドフォードは無表情で…。
「急接近する敵軍宇宙艦隊を排除せよ…全軍…総攻撃開始!」
最前線の大型宇宙戦闘艦隊を中心に各艦艇が砲撃を開始したのである。数秒間に数万発もの蛍光色の光線が射出され…。接近するタイラントキラー宇宙艦隊に砲撃したのである。宇宙戦艦部隊はエネルギーシールド機能によって光線を無力化するが…。宇宙駆逐艦クラスの小型艦はエネルギーシールド機能が最小限化された代物であり簡単に撃沈されたのである。一度の攻撃でタイラントキラー宇宙艦隊の二十パーセントが喪失…。多数の小型艦が損傷したのである。
「宇宙戦艦クラスの大型艦には光子魚雷…宇宙戦闘用多目的ミサイルで対応せよ…」
旗艦セイバードラゴンの艦長…。ブラッドフォードの指示と同時に最前線の宇宙戦艦部隊が光子魚雷攻撃と宇宙戦闘用多目的ミサイルで攻撃したのである。無数の実弾兵器が超光速で接近…。タイラントキラー宇宙艦隊の大型艦に命中したのである。宇宙戦艦クラスの大型艦十数隻が轟沈…。数十隻の大型艦を大破される。エネルギーシールド機能を搭載する大型の敵艦を撃沈させるのに効果的だったのは光子魚雷である。光子魚雷とは超光速で発射させる宇宙用の魚雷であり破壊力は三千キロメートルクラスの小惑星を一撃で破壊させられる代物である。光子魚雷一発でも重厚装甲の大型宇宙戦艦は数十隻撃沈…。数百隻もの大型宇宙戦艦が大破したのである。爆沈する宇宙艦艇より多数の乗組員達が宇宙空間へと吹っ飛ばされる。タイラントキラー宇宙艦隊旗艦のサラマンダーにも宇宙戦闘用多目的ミサイルが命中…。艦首が大破したのである。
「艦首が被弾しました!」
「本艦への被害状況は?」
ウィグノールは乗組員に問い掛ける。
「艦首は大破です…」
「艦首だけか…大破したのが艦首のみであれば戦況には問題無さそうだな…」
ブリッジの乗組員が恐る恐る…。
「ですが奴等の宇宙戦闘用多目的ミサイルと光子魚雷は味方艦艇のエネルギーシールドを透過しました…一体奴等は実弾兵器に何を細工したのでしょうか?」
長期間の宇宙航行を想定した宇宙用の艦船には宇宙デブリやら小惑星の衝突を無力化するエネルギーシールド機能が搭載されるのが基本である。
「恐らく奴等の実弾兵器にはエネルギーシールドジャミング装置を搭載させたのであろうな…」
エネルギーシールドジャミング装置とは大銀河帝国軍が最新式の科学技術を駆使して開発した特殊装置…。大型艦に搭載されたエネルギーシールド機能を妨害させ高確率で実弾兵器を目標に直撃させられる。光子魚雷と宇宙戦闘用多目的ミサイルによるアウトレンジ戦法によってタイラントキラーのサラマンダー級大型宇宙戦艦五十二隻が撃沈され…。三百四十八隻の大型宇宙戦艦が大破したのである。大型宇宙戦艦以外の小型艦艇は数百隻が轟沈…。数千隻が大破したのである。旗艦サラマンダーでは大銀河帝国軍の猛攻撃に畏怖したブリッジの乗組員が撤退を要請する。
「ウィグノール艦長!即刻艦隊を撤退させましょう!敵軍の総攻撃で多数の味方艦艇が撃沈されました…戦闘を継続すれば全滅しますよ!」
するとウィグノールが無表情で…。
「狼狽えるな…」
戦局は圧倒的にタイラントキラーが不利であるがウィグノールは平常心であり周囲の乗組員達は不思議がる。
(こんなにも劣勢なのに冷静なんて…)
同時刻…。大銀河帝国軍宇宙主力艦隊旗艦であるセイバードラゴンの艦内では乗組員達が爆散する敵艦の光景を眺望する。
「大総統♪大銀河帝国軍の優勢です!」
「大銀河帝国軍の圧勝は確実だな♪」
「所詮タイラントキラーなんて一部のカルト集団だ…大銀河帝国軍が本領を発揮すれば簡単に殲滅出来るさ♪」
するとブラッドフォードは小声で発言する。
「奴等の希望する愚衆政治国家実現なんて…所詮は夢物語だな…」
大銀河帝国軍ではタイラントキラーは少人数のカルト集団…。単なるテロリスト集団程度の存在であると認識される。誰しもが大銀河帝国軍の圧勝を確実視するのだが…。大総統であるブラッドフォードだけは表情が険悪化する。一人の乗組員が恐る恐る…。
「大総統…如何されましたか?」
するとブラッドフォードが苛立った表情で返答する。
「前方の敵軍宇宙艦隊は陽動艦隊だろう…此奴は恐らく陽動作戦だ…」
「陽動作戦ですと?」
ブラッドフォードが陽動作戦の可能性を指摘した直後…。スペースレーダーが反応したのである。
「スペースレーダーが反応しました!」
「スペースレーダーが反応したって!?一体何事だ!?」
周囲の乗組員達は突如として反応したスペースレーダーに動揺する。
「味方宇宙艦隊後方より無数の移動物体が確認されました!サイズは小型の機影でしょうか…」
「小型の機影だと?」
小型の機影の一言にブラッドフォードが反応したのである。
「恐らく機影の正体は宇宙戦闘機かと…総数は推計三十万機…敵機部隊との距離は推計七百光年です…」
「総数三十万機か…全軍に対空戦闘を通信させろ…」
「はっ!承知しました!」
通信兵が全軍に対空戦闘用意を通信させる。タイラントキラーの宇宙航空機部隊がワープ機能を使用…。一秒間で大銀河帝国軍宇宙主力艦隊上空へとワープしたのである。大銀河帝国軍宇宙主力艦隊各艦艇のスペースレーダーが再度反応する。
「スペースレーダーが反応しました!味方宇宙艦隊の上空より無数の敵機です!」
「敵機部隊はワープ機能で到達したか…」
ブラッドフォードは一瞬沈黙するものの…。
「上空の敵機を撃墜…宇宙迎撃機を出撃させろ…」
「承知しました…」
大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の各艦艇は宇宙用の対空砲で迎撃を開始…。セイバードラゴン級大型宇宙戦艦からは多数の宇宙戦闘機『スペースバード』が出撃する。スペースバードは全長十六メートル…。全幅七メートルの宇宙戦闘機である。スペースレーダーが搭載され機体前方には二基の対空用パルスレーザーが装備される。両翼には対艦戦闘用の宇宙戦闘用多目的ミサイルは勿論…。光子魚雷も搭載可能である。二十年前に開発された旧型の機体であるが大勢のパイロット達が本機を愛用…。今現在でも現役の主力戦闘機である。出撃した多数のスペースバード宇宙航空隊と大銀河帝国軍宇宙艦隊の対空砲は小型の高エネルギー機関砲が炸裂…。敵機に攻撃するのだが敵機は機体全面に新型エネルギーシールド機能を搭載させた新型機であり対空用の高エネルギー機関砲が命中しても無力化される。
「大総統!敵機に攻撃しても敵機を撃墜出来ません!」
「此奴は新型機だな…ホログラムを作動させろ…」
ホログラムを作動させると新型機の立体映像が生成されたのである。
「此奴は恐らく無人機の『スペースドローン』だな…」
スペースドローンとは所謂宇宙戦闘用のドローンであり無人兵器に分類される。当然として大銀河帝国軍でも宇宙用の偵察型ドローンは多数使用されるのだが…。タイラントキラーは戦闘用に特化された新型のドローンを多数開発したのである。タイラントキラーの新型ドローンは高出力の光学兵器の搭載…。宇宙戦艦の艦砲射撃をも無力化する新型エネルギーシールド機能が搭載されたのである。ドローン兵器の技術のみならタイラントキラーは大銀河帝国の技術レベルを数段階上回る。
「タイラントキラーは無人機を戦闘用に特化させたのか…」
同時刻…。タイラントキラーのスペースドローンがスペースバード宇宙航空隊と大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の各艦に急襲したのである。スペースドローンは機体底部に搭載された対艦宇宙戦闘用多目的ミサイルで攻撃…。宇宙駆逐艦クラスの小型宇宙艦艇は一機のスペースドローンに撃沈されたのである。本来大銀河帝国軍の宇宙艦艇には外部からの物理攻撃を無力化するエネルギーシールド機能が搭載されたが…。タイラントキラーのスペースドローンの機体内部には特殊電磁パルス発生装置が搭載され本機が接近すると接近された宇宙艦艇はエネルギーシールド機能が使用出来なくなる。スペースドローンの電磁パルス発生装置によって大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の各艦はエネルギーシールド機能が停止…。一方的に攻撃されたのである。必死に迎撃するスペースバードもスペースドローンの攻撃によって多数の機体が撃墜…。数万人ものパイロット達が戦死する。機体底部に対艦戦闘用の固定型高エネルギー機関砲を搭載したスペースドローンはセイバードラゴン級大型宇宙戦艦を砲撃…。一撃で撃沈したのである。三分間の戦闘で六隻ものセイバードラゴン級大型宇宙戦艦が撃沈される。
「大総統!スペースドローンの出現によって味方艦隊が混乱中です!」
すると直後…。
「スペースレーダーが反応しました!一機のスペースドローンが本艦に急接近中です!」
スペースレーダーが接近中のスペースドローンに反応したのである。スペースドローンが旗艦のセイバードラゴンに接近するとエネルギーシールド機能が強制的にスリープモードへと移行…。エネルギーシールド機能が使用出来なくなる。
「大変です!本艦のエネルギーシールド機能が無力化されました…」
セイバードラゴンのエネルギーシールド機能の停止によって乗組員達は動揺する。
「狼狽えるな…」
こんな絶望的状況下であってもブラッドフォードは冷静であり周囲の乗組員達は非常に不思議がる。直後…。対艦戦闘用の高エネルギー機関砲を搭載したスペースドローンがセイバードラゴン艦尾に搭載されたロケットエンジンに砲撃したのである。艦内に爆発音が響き渡る。
「うわっ!一体何が発生したのでしょうか!?」
爆発音に乗組員達は動揺したのである。するとブラッドフォードが無表情で…。
「恐らく艦尾のロケットエンジンが敵機の攻撃で破壊されたな…」
「えっ!?ロケットエンジンが!?」
先程の攻撃によってセイバードラゴンは航行出来なくなる。
「大総統…即刻脱出しましょう…こんな場所で長居し続けては本艦諸共…」
ブラッドフォードは一瞬躊躇うが…。
「止むを得ないな…」
ブラッドフォードと十六人の乗組員達は即座に脱出用のポッドに乗艇すると航行不能のセイバードラゴンから脱出したのである。セイバードラゴンは二度目の光子魚雷攻撃で爆散…。撃沈されたのである。撃沈されたセイバードラゴンの乗組員達は轟沈するセイバードラゴンに絶句する。
「大総統…危機一髪でしたね♪」
一人の乗組員が笑顔で大総統に発言するのだが…。
「何が危機一髪だ…」
ブラッドフォードは睥睨したのである。
「ひっ!」
睥睨するブラッドフォードに周囲の乗組員達はゾッとする。
「敵軍の一個艦隊程度に敗北とは…」
同時刻…。多数のスペースドローンを搭載した宇宙戦闘母艦『レヴィアタン』が大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の後方よりワープ機能で出現する。タイラントキラーの本隊である宇宙機動艦隊は超大型宇宙戦闘母艦レヴィアタンを中心に六十隻もの宇宙用の空母戦闘艦隊が奇襲に参加したのである。レヴィアタン級宇宙戦闘母艦はタイラントキラーが独自で開発した本格的宇宙戦闘用空母であり艦載機は有人型の宇宙戦闘機ではなく無人兵器のスペースドローンを四百機程度搭載する。艦体のサイズは全長九百六十メートル…。全幅は五百三十メートルであり艦体の総重量は推定六百二十万トンクラスにも相当する。兵装は宇宙巡洋艦に匹敵する高エネルギー主砲が二基搭載され四基の対空パルスレーザーが装備される。六十隻ものレヴィアタン級宇宙戦闘母艦が背後から大銀河帝国軍宇宙主力艦隊を砲撃する。スペースレーダーによる艦砲射撃により命中精度は八十パーセントと正確であり多数の宇宙艦艇を撃破したのである。同時刻…。脱出用ポッドに乗艇したブラッドフォードは不本意であるが撤退を決意したのである。
「戦闘中の全軍に撤退の命令を通信させろ…」
「承知しました…」
通信兵は即座に撤退命令を通信させる。同時に戦闘中の宇宙艦艇もワープ機能を作動…。大銀河帝国軍宇宙主力艦隊は推定四万光年に位置する大銀河帝国本土へと一瞬でワープしたのである。
「本船もワープさせろ…」
総司令官のブラッドフォードが乗艇する脱出用ポッドも一秒間で大銀河帝国本土『ユートピアサイド』へとワープ…。ユートピアサイドとはテラフォーミングによって地球型惑星に改装された海水の小惑星であり大銀河帝国軍本隊の本拠地である。ブラッドフォードは無事にユートピアサイドへと戻ったのである。同時刻…。タイラントキラー宇宙艦隊旗艦のサラマンダーのブリッジでは乗組員達がワープ機能で撤退する大銀河帝国軍宇宙主力艦隊を眺望する。
「艦長!敵軍が撤退します!」
ウィグノールは無表情で…。
「本拠地の防衛作戦には成功したが…陽動作戦の囮艦隊は壊滅状態だな…」
今回の宇宙戦闘では大銀河帝国軍宇宙主力艦隊は大型宇宙戦艦三千三百四十八隻…。宇宙巡洋艦四千二百六十七隻と三万隻以上の小型宇宙艦艇が撃沈されたのである。一方のタイラントキラーは大型宇宙戦艦二千二百四十九隻…。宇宙巡洋艦三千六百九十四隻と二万五千六百三十八隻の小型宇宙艦艇が撃沈されたのである。人的損害では大銀河帝国軍は推計八十万人もの将兵が戦死…。一方のタイラントキラーは推計四十万人もの将兵が戦死したのである。今回の大規模宇宙戦闘は第二十四次宇宙星間戦争と命名される。

第二話

亡命艦隊

第二十四次宇宙星間戦争から三日後の三月三十一日十六時…。大銀河帝国軍宇宙主力艦隊がタイラントキラーの宇宙機動部隊の奇襲攻撃によって大敗北してよりブラッドフォードは非常にピリピリした様子でユートピアサイド大総統官邸の自室にて無人兵器の資料を徹底的に黙読したのである。
(今後の戦闘では…無人兵器が役立ちそうだな…)
今迄は無人兵器の有効性は偵察以外では限定的と判断されたが…。第二十四次宇宙星間戦争により無人兵器の有用性が証明されたのである。すると何者かがコンコンッと自室のドアをノックする。
「誰だ?」
大柄の白人男性がブラッドフォードの自室に入室したのである。
「失礼します…ブラッドフォード大総統♪」
大柄の白人男性はヘラヘラした様子でありブラッドフォードは彼を直視すると余計にピリピリする。
(誰かと思いきや…)
「貴様は…副総統の【ストライダー】か…」
ストライダーとは碧眼金髪の白人男性でありブラッドフォードが唯一悪友と認識する人物である。今現在は副総統の立場であるが…。彼自身も少年時代は大銀河帝国軍の将兵であり各地の戦闘で活躍したのである。
「ブラッドフォード大総統♪ピリピリしちゃって如何されましたか♪三日前の第二十四次宇宙星間戦争は大変残念でしたね…」
ストライダーの発言にブラッドフォードは小声で…。
「貴様…」
「失礼です♪失礼です♪」
ストライダーは笑顔で謝罪する。ヘラヘラするストライダーであるが表情が変化したのである。
「訓練中の【ホムンクルス】ですが…三日後には実戦配属出来るみたいです…」
ホムンクルスとは二十年前から開発されたクローン人間達の総称である。度重なる宇宙戦争やら内戦によって人間の将兵が不足…。大銀河帝国ではクローン人間の兵士の開発が浮上したのである。本来クローン人間の製造は倫理観の問題点から民主制の国家では禁止される反面…。大銀河帝国は独裁制の国家でありクローン人間の製造も容易に実施出来る。今現在は推計七億人のホムンクルスが大量生産され…。即戦力として実戦に参加出来そうなホムンクルスの将兵は推計七百万人である。
「彼等が実戦に参加出来れば…今後の作戦では人間の兵士は不要だからな…」
ロボット技術やら人工知能が格段に発達した近年では総兵力の縮小が開始される。数年後…。大銀河帝国軍はホムンクルス将兵と人工知能搭載型兵器のみの軍事組織に変化すると予測されたのである。
「であれば今後は理想の戦争が実現しそうですな♪人間の兵士が戦闘しなくてもホムンクルスを最前線の兵士として代替出来るのですから♪」
「結局貴様の用事とは?」
ブラッドフォードが問い掛けるとストライダーは笑顔で…。
「新型兵器の完成と開発プランが完了しました…即刻軍事工場で新型兵器を見物しませんか?」
「暇潰しには好都合だ…承知した…」
ブラッドフォードは無表情で承諾したのである。彼等は外出するとスカイカーで軍事工場へと移動する。三十分後…。軍事工場は首都からは非常に近辺であり三十分程度で到着する。
「即刻完成した新型兵器を見物させろ…」
「承知しました…」
ストライダーは恐る恐るブラッドフォードに道案内したのである。
「軍事工場へは久方振りに見物したが…無人だな…」
軍事工場は基本的に無人であり作業用のロボットが新型兵器を製造する。
「最近はロボット技術の向上で人間の作業員が必要無くなりましたからね…」
近年ではロボットの普及によりあらゆる企業が管理人を一人配置するのが一般化したのである。彼等は地下に存在する宇宙船の巨大造船施設へと進入…。
「新型艦か…」
地下の巨大造船施設には数百隻もの宇宙艦艇が確認出来る。
「先日の第二十四次宇宙星間戦争では反政府勢力のタイラントキラーによって大銀河帝国軍の宇宙艦隊が手酷く撃破されましたからね♪」
三日前の第二十四次宇宙星間戦争では当初の想定を上回る予想外の大損害により宇宙艦隊の再建が急行されたのである。
「建造中の宇宙艦隊は三日後には完成するでしょうし…一週間後には各部隊に配属させる予定ですから♪」
するとストライダーは新型艦を紹介する。
「最初に紹介する新型艦は宇宙巡洋艦…『バジリスク』です…」
バジリスク級宇宙巡洋艦とは大銀河帝国軍宇宙軍が開発した新型宇宙巡洋艦である。全長二百メートル…。全幅百四十メートルの大型巡洋艦であり総重量は推定五万トンである。兵装は口径三百ミリメートルの高エネルギー連装砲が三基装備され両サイドの片舷には光子魚雷発射機が二基搭載される。本艦の最大の利点は対空装備であり宇宙巡洋艦であるが対空パルスレーザーが合計十二基搭載されたのである。乗組員は全自動化を考慮…。通常の乗組員は三人であるが場合によっては一人だけでも操縦出来る。
「基本的にバジリスクは主力艦隊の護衛に利用されるでしょうね…」
ブラッドフォードは宇宙巡洋艦には無関心だったのかノーコメントだったのである。
(大総統…)
ブラッドフォードの無関心の態度にストライダーは苦笑いする。
「此奴は…」
ブラッドフォードが指差した方向には全長五百メートルサイズのドッグに確認出来る未完成の宇宙戦艦だったのである。
「宇宙戦艦なのか?建造中みたいだが…」
ストライダーはニヤッとした表情で即答したのである。
「ドッグに確認出来る建造中の軍艦は久方振りの新型宇宙戦艦ですよ♪」
「新型宇宙戦艦だと?セイバードラゴンの後継艦か…」
大銀河帝国軍はセイバードラゴン級宇宙戦艦が建造されて以来…。後継艦の建造は計画されなかったのである。近年とある新兵器の開発が浮上…。とある新兵器を搭載可能である新型宇宙戦艦の建造が急遽計画されたのである。
「新型宇宙戦艦とやらはセイバードラゴンの二分の一程度のサイズだな…」
ドッグのサイズから全長は推定四百メートルサイズの宇宙戦艦であると推測される。
「ですが新型宇宙戦艦が完成すればセイバードラゴン級宇宙戦艦を上回る性能が期待出来ましょう♪」
ブラッドフォードは無表情で…。
「性能が上回っても無用の長物なら御免だが…」
「大総統…」
(本当に偏屈だな…)
ブラッドフォードの発言にストライダーは人一倍偏屈であると感じる。するとブラッドフォードはフッとした表情で問い掛ける。
「今後の開発プランとやらは?」
「今後の開発プランは第二十四次宇宙星間戦争でタイラントキラーが投入したスペースドローンに対抗出来る戦闘用ドローンの開発ですよ♪」
ブラッドフォードは第二十四次宇宙星間戦争の翌日…。軍政部に戦闘用ドローンの重要性と開発を強引に説得させ戦闘用ドローンの開発計画が実行されたのである。幸運にも大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の宇宙救助船が故障により全機能停止したタイラントキラーのスペースドローンを発見…。機体を鹵獲したのである。スペースドローンは機内の故障のみで全体的にノーダメージであり軍関係の技術者達は徹底的に機体を解析する。
「戦闘用ドローンの開発計画は順調みたいだな…」
「勿論ですとも♪機体の解析が順調に進行すれば…大銀河帝国軍でも独自の戦闘用ドローンの製造が開始されましょう…」
すると直後…。ブラッドフォードが所持する非常用の携帯式通信機が作動したのである。
「ん?通信機だと?」
ブラッドフォードは応答する。
「私だが…一体何事だ?」
「ブラッドフォード大総統!大変です!」
「貴様は【ルーヴェルハルト】少将か…一体何が発生した?」
ブラッドフォードに通信した相手は少将のルーヴェルハルトだったのである。ルーヴェルハルトは大銀河帝国軍の帝国軍人であるが…。帝国軍人としては非常に穏健派であり強硬派の帝国軍人達とは常日頃から対立する。
「先日の第二十四次宇宙星間戦争の大敗北からタイラントキラーに影響された民衆達が各惑星で暴動を発生させたとの情報です…」
第二十四次宇宙星間戦争での大敗北から大銀河帝国の威厳が没落…。暴動を発生させた各惑星の住民達は民主化運動に尽力中のタイラントキラーを支持したのである。軍内部からも離反した脱走兵がデモ隊に協力…。各惑星にて地上の治安部隊とデモ隊による内紛が彼方此方で勃発したのである。ルーヴェルハルトはソワソワした様子であったがブラッドフォードは呆れ果てた様子で…。
「愚民の暴走程度で報告するな…」
「えっ!?大総統…」
ブラッドフォードの予想外の返答にルーヴェルハルトはハッとする。
「愚民達のデモ隊なんて国軍の宇宙艦隊を派遣して鎮圧作戦を開始しろ…大気圏から光子魚雷を一発投下すれば簡単に鎮圧出来るだろう…」
「ですが大総統…国軍の宇宙艦隊を出撃させれば大勢の民間人が…」
躊躇するルーヴェルハルトにブラッドフォードは苛立ったのである。
「数億人程度の愚民に遠慮して如何する?デモ隊の暴動程度に畏怖するなら即刻宇宙艦隊を派遣させ…奴等を沈黙させろ…」
ルーヴェルハルトは一瞬沈黙するものの…。
「承知しました…大総統…」
ブラッドフォードの命令に承諾したルーヴェルハルトであるがプルプルした様子で通信を遮断させる。
「ルーヴェルハルトは本当に弱腰だな…」
ルーヴェルハルトを弱腰と罵倒するブラッドフォードにストライダーは恐る恐る…。
「ですが大総統…各地域でデモ隊の活動がエスカレートし続ければ大銀河帝国にとって非常に不都合ですよ…最悪大銀河帝国が内部分裂すればタイラントキラーの思う壺でしょう…」
「漁夫の利か…であれば一日も早くタイラントキラーの本拠地を攻略するべきだな…」
同日…。暴動が発生した各惑星には六個師団の大規模宇宙艦隊が派遣され艦隊の主力艦であるセイバードラゴン級大型宇宙戦艦が各惑星の大気圏から地上を目標に光子魚雷を発射したのである。一発の光子魚雷により大都市諸共数千万人の住民達が死滅…。一度の鎮圧作戦で敵味方の合計死者数は推計十二億人を上回ったのである。同時刻…。タイラントキラーの本拠地であり自治領である母星『エデンプラネット』議会場では大銀河帝国軍による暴動鎮圧の情報が急報されたのである。総帥ウィグノールの右腕とも命名される【ウィンフィールド】がソワソワした様子で議会場へと入室する。
「ウィグノール総帥!緊急事態です!」
「ウィンフィールド大佐か…一体何事だ?」
ウィンフィールドとは若齢の職業軍人であり年齢は二十二歳の青年であるが階級は大佐…。非常に優秀でありタイラントキラーではウィグノールが唯一信頼する最高の部下である。
「大銀河帝国軍が自国内で発生した暴動を鎮圧したみたいですが…彼等の鎮圧作戦によってデモ隊のみならず…推計十二億人以上の非戦闘員が虐殺されたとの情報です…」
ウィンフィールドが最高指導者のウィグノールに伝達する。
「なっ!?虐殺だと!?奴等…デモ隊だけではなく自国内の国民をも殺害したのか?」
「残念ですが…本当みたいです…」
「大銀河帝国…ブラッドフォードは悪魔にでも憑依されたのか…」
ウィグノールは人一倍大銀河帝国のブラッドフォードを毛嫌いするのだが…。今回のデモ隊虐殺事件から今迄以上にブラッドフォードに対する嫌悪感が増大化したのである。
「最早大銀河帝国のブラッドフォードは野放しには出来ない…」
ウィグノールは一瞬沈黙するなり…。
「即刻宇宙大艦隊を準備させろ!タイラントキラーの宇宙艦隊を再編制させ…大銀河帝国本土…ユートピアサイドに主力宇宙艦隊を派遣…奇襲作戦を実行する…」
ウィグノールのユートピアサイド奇襲攻撃の発言にウィンフィールドは驚愕する。
「えっ!?総帥…ユートピアサイドへの奇襲作戦なんて本気ですか!?」
「私は当然…本気だ!」
「ですが総帥…ユートピアサイドへの奇襲作戦なんて実質自爆攻撃と一緒ですよ!エデンプラネットから大銀河帝国本拠地ユートピアサイドを攻略するには小惑星『メティス基地』と人工惑星『プルトロン基地』を突破しなければ不可能です…」
現実問題…。タイラントキラーの本拠地であり自治領であるエデンプラネットから大銀河帝国本拠地ユートピアサイドを攻略するには小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地を突破しなければ大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の本拠地であるユートピアサイドへは到達出来ない。小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地には合計十二万隻から十四万隻もの宇宙艦艇が配備され両陣営とも攻略するのは困難である。小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地を突破したとしてもユートピアサイドには二十万隻もの宇宙大艦隊は勿論…。両サイドの基地には新型巨大防衛兵器の存在が確認され簡単には攻略出来ない。奇襲作戦を実行すれば大多数の宇宙防衛艦隊からの猛反撃も予想され…。最悪味方宇宙艦隊全滅の可能性も否定出来ない。
「タイラントキラーの主力宇宙艦隊は第二十四次宇宙星間戦争でも相当の損害ですし…こんな作戦は将兵達も国民も支持しないでしょう…最悪の場合報復攻撃でエデンプラネットの滅亡も予想されましょう…」
実際タイラントキラーの宇宙主力艦隊は第二十四次宇宙星間戦争の陽動作戦で辛勝するものの大多数の大型艦が撃沈…。大破したのである。タイラントキラーも宇宙主力艦隊の再建に着手するのだが…。資源不足により手一杯の状態だったのである。こんな状態で奇襲作戦を強行すれば宇宙奇襲艦隊の全滅は確実であり最悪エデンプラネットの滅亡も否定出来ない。
「三日前の第二十四次宇宙星間戦争だけでタイラントキラーは二万隻以上の宇宙艦艇と四十万人以上の将兵達が戦死したのです…今現在は宇宙艦隊の再建と宇宙航空戦力の再強化に尽力するべきかと…」
直後…。会議室のホログラムがピコピコッと反応したのである。
「ん?ホログラム?」
ホログラムを作動させると通信兵の立体映像が出現する。
「ん?通信兵か?」
「ウィグノール総帥!大変です!緊急事態です!」
「緊急事態だと?今度は何事だ?」
「味方の宇宙偵察機が所属不明の宇宙艦隊を発見…小惑星『トレジャーホール』に接近中との情報です…」
小惑星トレジャーホールとはタイラントキラーが統治する小惑星でありタイラントキラーにとって資源採掘の宝庫である。
「所属不明の宇宙艦隊だと?大銀河帝国軍の宇宙奇襲部隊か?」
「現段階では不明ですが…恐らくは…」
ウィグノールは再度問い掛ける。
「宇宙艦隊の規模は?」
「宇宙偵察機の情報では…宇宙巡洋艦クラスの大型艦一隻と…二十隻の宇宙駆逐艦クラスの小型艦です…」
「極小規模の小艦隊だな…」
「ウィグノール総帥…如何されますか?」
ウィグノールは一息するなり…。
「小惑星トレジャーホールに宇宙警備艦隊の宇宙戦闘母艦一隻を派遣させ…所属不明の宇宙小艦隊を駆逐せよ…」
「承知しました…」
宇宙警備艦隊は主力のレヴィアタン級宇宙戦闘母艦一隻で出撃したのである。レヴィアタン級宇宙戦闘母艦はワープ機能を作動させると本拠地のエデンプラネットから推定百四十光年に位置する小惑星…。トレジャーホールの存在する宙域へと到達したのである。タイラントキラーの宇宙警備艦隊は所属不明の宇宙小艦隊と遭遇するのだが…。所属不明の宇宙小艦隊は交戦の意思が皆無であり救難信号を発信したのである。彼等は五千人以上の避難民達を乗艦…。所属不明の宇宙小艦隊の正体は大銀河帝国軍を見限り祖国である大銀河帝国から亡命した亡命艦隊だったのである。当初はエデンプラネットでも混乱するも亡命艦隊の脱走兵は捕虜として扱われ…。避難民達は無事に保護されたのである。

第三話

奇襲大作戦

宇宙新暦七百二十二年四月十六日未明…。タイラントキラー軍内部では大銀河帝国本拠地であるユートピアサイド奇襲大作戦が正式決定される。当初はウィグノールの右腕であるウィンフィールドは勿論…。数多くの首脳陣が今回のユートピアサイド奇襲大作戦には猛反対され一時は作戦内容が全面的に白紙化されたのである。作戦内容が白紙化された数日後…。状況は一変する。大銀河帝国国内では大総統のブラッドフォードによる圧政に猛反発した大勢の将兵達やら国民達のデモ隊活動によりブラッドフォード政権は失脚寸前だったのである。大銀河帝国国内の大混乱から作戦を実行するチャンスであると確信したウィグノールは再度右腕のウィンフィールドとタイラントキラー首脳陣に説得…。最終的に作戦開始の三日前に大銀河帝国軍総本部ユートピアサイド奇襲大作戦は総帥ウィグノールの説得により正式決定されたのである。四月十八日十六時五十分…。タイラントキラー宇宙艦隊は七十隻ものレヴィアタン級宇宙戦闘母艦を主力に機動突撃艦隊を新編成したのである。機動突撃艦隊は宇宙空母と宇宙航空戦力を中心とした宇宙大艦隊であり宇宙型大艦巨砲主義の大銀河帝国軍には存在しない。宇宙艦艇の総数は合計六万隻以上でありタイラントキラーにとっては最大の戦力だったのである。今回のユートピアサイド奇襲大作戦では主力の大型宇宙空母を護衛する新型宇宙巡洋艦の『シーサーペント』が二万隻以上投入される。シーサーペント級宇宙巡洋艦はスーパーレーダーによるレーダー射撃により主砲の命中精度のみなら大銀河帝国軍主力宇宙戦艦のセイバードラゴン級大型宇宙戦艦にも匹敵する。旗艦レヴィアタンより総司令官であるウィグノールが通信機で全軍に伝播…。
「全軍!ワープ機能を作動させろ!目標地点は大銀河帝国軍本拠地…ユートピアサイド!」
タイラントキラーの宇宙艦艇は大銀河帝国軍の本拠地であるユートピアサイドを攻略目標にワープ機能を作動させる。同時刻…。人工惑星プルトロン基地ではステルス機能すら無効化する新型の改良型スーパーレーダーが設置されタイラントキラーの動向を察知したのである。
「大総統!タイラントキラーの主力宇宙艦隊が行動を開始しました!彼等は本拠地であるユートピアサイドに接近中です…」
通信兵の報告に大総統ブラッドフォードは承諾する。
「奴等…行動を開始したな…」
ブラッドフォードは基地内の総司令部に設置されたホログラムにてタイラントキラーの宇宙艦隊の動向を確認したのである。五日前にタイラントキラーの本拠地であるエデンプラネットに諜報部隊を派遣…。タイラントキラーの情報をキャッチするのに成功したのである。副総統のストライダーが恐る恐る…。
「大総統?ユートピアサイドに援軍を派遣しますか?」
「援軍は不要だ…」
問い掛けたストライダーであるがブラッドフォードは援軍の派遣は不要であると返答したのである。
「援軍は不要ですと?」
「最早大銀河帝国軍にとってユートピアサイドの戦略的価値は皆無だ…ユートピアサイドへは援軍は派遣しない…」
「であればユートピアサイドは如何されるのですか?」
ブラッドフォードは一息するなり…。
「新型戦略兵器『ツァーリーボンバ』で敵味方諸共…ユートピアサイドを殲滅する…」
「なっ!?戦略兵器であるツァーリーボンバで…大銀河帝国軍本拠地のユートピアサイドを殲滅するのですか!?」
ツァーリーボンバとは大銀河帝国軍が新開発した新型戦略兵器であり正式名は超大型戦略貫通ミサイルである。全長は七百メートルサイズ…。規格外の超巨大試作型誘導弾であり破壊力は未知数である。
「大総統は正気ですか!?ユートピアサイドには大勢の味方の地上防衛部隊と非戦闘員が居住する人口密集地ですし…何よりもユートピアサイドは大銀河帝国軍の本拠地なのですよ!?」
大銀河帝国軍の総本部であるユートピアサイドには総勢七十万人もの地上防衛部隊が配備され…。推計七十億人以上の非戦闘員が居住する。
「敵軍を殲滅するには味方の犠牲は必要不可欠だ…」
(今現在ユートピアサイドの地上防衛部隊は実質不要だからな…奴等にはツァーリーボンバの実験台として利用するのが適任だ…)
ユートピアサイドに配置された味方の地上防衛部隊はブラッドフォードにとって不要と判断した部隊であり実質消耗品だったのである。
「即刻改良型セイバードラゴン級宇宙戦艦に新型戦略兵器ツァーリーボンバを搭載させ…出撃させろ…」
「はっ!承知しました!」
ツァーリーボンバは宇宙戦艦クラスの超大型サイズであり実質改良型のセイバードラゴン級大型宇宙戦艦にしか搭載出来ない。準備は五分で終了する。通信兵が再度司令室へと入室したのである。
「改良型セイバードラゴン級大型宇宙戦艦にツァーリーボンバを搭載準備…完了しました…」
「上出来だ…」
ブラッドフォードはスマートウォッチで時間帯を確認する。
「出撃は五分後だ…」
「承知しました…」
五分が経過したと同時に…。ツァーリーボンバを搭載した改良型セイバードラゴン級大型宇宙戦艦が出撃したのである。人工惑星プルトロン基地から改良型セイバードラゴン級大型宇宙戦艦が出撃した同時刻…。タイラントキラーのユートピアサイド攻略宇宙艦隊が大銀河帝国軍本拠地ユートピアサイドの大気圏上空へと到達したのである。ユートピアサイド地上防衛部隊は総司令部に設置されたスペースレーダーにてタイラントキラー宇宙艦隊の動向をキャッチする。
「大気圏上空よりタイラントキラーの宇宙艦隊です!」
「奇襲作戦か…」
タイラントキラー宇宙艦隊の突然の出現に地上防衛部隊は動揺したのである。
「奴等…ワープ機能でプルトロン基地とメティス基地を突破したのか…」
「総数六万隻の宇宙大艦隊です…地上防衛部隊だけで守備するのは不可能でしょう…」
現実問題地上防衛部隊のみではタイラントキラーの宇宙艦隊を迎撃するのは不可能…。味方の主力宇宙艦隊は各惑星のデモ隊鎮圧任務に投入され援軍からの援護は絶望的である。
「兎にも角にもタイラントキラーの宇宙艦隊を迎撃するぞ!」
地上防衛部隊の滑走路からは三百機前後の旧型宇宙戦闘機スペースバードが飛来…。味方の地上軍は宇宙戦艦をも一発で撃沈出来る高エネルギー主砲搭載型砲撃列車と旧型戦闘装甲車が対空戦闘を開始したのである。同時刻…。タイラントキラー宇宙艦隊旗艦の宇宙戦闘母艦レヴィアタンでは総司令官のウィグノールがホログラムにて地上の様子を観察する。
「ユートピアサイドの地上軍は攻撃を開始したか…」
ウィグノールは一息したのである。
「非戦闘員への被害は最小限に努力しろ…」
数秒後…。
「全軍攻撃開始!敵部隊を排除せよ!」
タイラントキラーの攻撃開始と同時に七十隻のレヴィアタン級宇宙戦闘母艦飛行甲板より数百機ものスペースドローンが飛来したのである。ユートピアサイド都市部大気圏上空では有人機と無人機の空戦が展開される。大銀河帝国軍地上軍のスペースバード航空隊は必死に反撃するのだが…。相手は新型の無人機であり旧型の有人型宇宙戦闘機であるスペースバードでは撃墜するのは困難である。一分間の戦闘で百八十機ものスペースバードが撃墜される。スペースバードの防衛網を突破した無数のスペースドローンは都市部直上へと突入…。地上防衛部隊の各基地と周辺区域を攻撃したのである。地上防衛部隊は砲撃列車と戦闘装甲車は勿論…。基地周辺に設置された固定砲台で上空のスペースドローンを迎撃するも地上では超音速で飛来するスペースドローンを撃墜するのは困難である。反対にスペースドローンの宇宙戦闘用多目的ミサイル…。小型光子魚雷による爆撃で地上部隊の地上兵器が破壊されたのである。同時刻…。宇宙戦闘母艦レヴィアタンでは副艦長のウィンフィールドが艦内のホログラム立体映像で地上の様子を再度直視する。
「味方部隊の優勢ですね…今現在自軍の損害は皆無です!」
タイラントキラーの優勢に大喜びするウィンフィールドであるが…。
「非常に奇妙だな…」
「奇妙ですと?」
奇妙であると発言するウィグノールにウィンフィールドは恐る恐る問い掛ける。
「何が奇妙なのですか?」
「敵軍の地上防衛部隊は旧型の兵器ばかり…戦争博物館だな…」
ユートピアサイドは大銀河帝国軍にとって最重要拠点であるのだが…。投入された地上軍の兵器は旧型の前時代的代物ばかりでありウィグノールは胸騒ぎを感じる。
「最重要拠点の防衛戦としては抵抗が軽微に感じられる…」
戦闘開始から五分が経過するとユートピアサイドの地上部隊の戦力は八割が壊滅状態であり最早組織的抵抗は不可能の状態だったのである。タイラントキラーの将兵達は勝利を確信するのだが…。ウィグノールとウィンフィールドは表情が険悪化したのである。すると一人の将兵が彼等に問い掛ける。
「艦長達…一体如何されたのですか!?タイラントキラーの勝利は目前ですよ!今日より銀河系全体の民主主義が実現するのです!」
するとウィグノールは恐る恐る…。
「ひょっとすると敵軍のトラップかも知れないな…」
「えっ!?敵軍のトラップですと?」
直前である。艦内のスペースレーダーが正体不明の移動物体に反応…。艦内全体にサイレンが響き渡る。
「ん?何事だ…」
ホログラム立体映像を再作動させると規格外の超大型ミサイルを搭載したセイバードラゴン級大型宇宙戦艦が映写される。
「此奴は…大銀河帝国軍の…援軍でしょうか?」
「セイバードラゴン級大型宇宙戦艦だな…改良型か…」
「ですが船底に大型宇宙戦艦クラスの超大型ミサイルらしき巨大物体が確認出来ます…巨大物体は超大型ミサイルなのでしょうか?」
ウィグノールは勿論…。周囲の乗組員達がセイバードラゴン級宇宙戦艦に搭載された超大型ミサイルに身震いしたのである。するとウィグノールは恐る恐る…。
「ウィンフィールド…」
「如何されましたか?ウィグノール総帥…」
普段は冷静であるウィグノールであるが不吉の予感を察知したのか今回は異常にビクビクしたのである。
(ウィグノール総帥が畏怖されるなんて…)
ウィンフィールドはウィグノールの様子に一大事であると察知する。
「不本意であるが…全軍を撤退させろ…」
ウィグノールの判断にウィンフィールドを除外する周囲の将兵達が猛反発したのである。
「えっ!?今更撤退ですと!?」
「敵艦は一隻だけです!即刻迎撃して…」
「下手に攻撃すると面倒だ…モニターの此奴は予想以上に危険かも知れない…」
ウィグノールは即座にワープ機能作動を全軍に伝播させる。同時刻…。人工惑星プルトロン基地ではブラッドフォードが基地内から無人の改良型セイバードラゴン級宇宙戦艦を遠隔操作したのである。
(コンピュータゲームみたいだな…)
ストライダーは遠隔操作により航行する改良型セイバードラゴン級宇宙戦艦をコンピュータゲームであると感じる。ブラッドフォードは艦内ホログラムでユートピアサイドの大気圏上空を浮遊するタイラントキラーの宇宙艦隊を確認したのである。
「敵軍は大気圏上空に展開中だな…」
一息するなり…。
「攻撃目標…ユートピアサイド…超大型戦略貫通ミサイル…ツァーリーボンバ…発射する…」
改良型セイバードラゴン級宇宙戦艦からツァーリーボンバが発射される。発射された同時刻…。ユートピアサイド大気圏上空にて展開中のタイラントキラー宇宙艦隊の各艦のスーパーレーダーにはツァーリーボンバが確認される。
「艦長!敵艦から規格外の超大型ミサイルが発射されました!」
ウィグノールはホログラムの超大型ミサイルを直視する。
(此奴は大銀河帝国軍の巨大新型兵器…止むを得ないか…)
不本意であるが…。
「全軍に伝達する!即刻撤退せよ!」
直後である。ユートピアサイドに接近中の超大型戦略貫通ミサイル…。ツァーリーボンバが惑星全体にピカッと炸裂したのである。数秒後…。高熱の熱線が惑星全体を覆い包み天体諸共爆散したのである。タイラントキラーの主力宇宙艦隊はワープ機能の作動により撤退に成功したものの…。最前線の宇宙艦隊はツァーリーボンバの大爆発によってユートピアサイド諸共消滅したのである。
「はぁ…はぁ…ウィグノール総帥…無事に撤退出来ましたね…」
「主力の宇宙艦隊は無事だが…」
先程の自爆攻撃でタイラントキラーは推計三百四十八隻の宇宙戦艦…。六百八十九隻の宇宙巡洋艦と五千二百三十一隻の小型艦艇を喪失したのである。推計三十万人もの将兵を喪失する。一方の大銀河帝国軍は自軍の自爆攻撃によって推計五百万人の地上軍兵員…。推計七十億人もの住民がツァーリーボンバで死滅したのである。タイラントキラーにとって今回の作戦失敗は甚大であり総帥のウィグノールは大勢の将兵達からは勿論…。自国民からも作戦失敗の責任を追及され彼自身の妻子も戦争犯罪者として迫害されたのである。ウィグノールは作戦の失敗を契機に宇宙新暦七百二十二年四月二十一日…。自宅の寝室にて妻子と一緒に一家心中したのである。

第四話

新型宇宙戦艦

ユートピアサイド軍事工場で計画中であった新型宇宙戦艦は急遽人工惑星プルトロン基地で建造される。宇宙新暦七百二十二年四月二十四日早朝…。大総統のブラッドフォードはプルトロン基地の軍港へと来場する。
「如何やら新型宇宙戦艦が完成したみたいだな…」
軍港には全長四百メートルサイズ…。全幅二百二十メートルサイズの新型宇宙戦艦が確認出来る。すると背後より…。
「大総統♪こんな場所で一体何を?」
「ストライダーか…暇潰しに新型兵器を見物しただけだ…」
「新型兵器の見物ですか♪」
副総統のストライダーも新型宇宙戦艦を直視する。
「此奴はセイバードラゴン級宇宙戦艦の後継艦…キングタイタンですよ♪」
「キングタイタンだと?即刻改名しろ…」
艦名が気に入らなかったのか後継艦の改名を要求したのである。
「えっ?改名って…」
ストライダーは困惑したのである。
「であれば私が名付ける…此奴の艦名は『アプセラス』だ…」
「えっ…アプセラスって…」
ストライダーはハッとする。
「アプセラスとは…大総統の令夫人の名前では…」
「勿論…彼女の名前だ…」
アプセラスとは二年前の四月に大病で死去したブラッドフォードの令夫人の名前でありブラッドフォードの唯一の理解者である。
「大総統が希望するのであれば…」
新型宇宙戦艦の艦名はアプセラスと改名される。
「此奴の性能は?」
アプセラスは全長四百メートルサイズで全幅は二百四十メートルサイズ…。全備総重量は七十万トンクラスの巨大宇宙戦艦である。全長が八百メートルサイズのセイバードラゴン級宇宙戦艦の二分の一のサイズであるが…。戦闘能力は段違いであり砲撃に特化された完全攻撃型宇宙戦艦である。兵装は六百ミリメートル高エネルギー連装砲が二基…。対空兵装では五十ミリメートル対空パルスレーザー機関砲が八基搭載される。実弾兵器は光子魚雷発射機が二基…。宇宙戦闘用多目的ミサイル発射機が十二基配置される。本艦にとって最大の兵装であり最強の主砲…。超大型戦略高エネルギー兵器『ケラウノス』は無限の電力を内包するスパークストーンが使用され一撃で大惑星を消滅させる。動力炉はスーパーリアクターの改良型である新型無限動力炉『ハイパーリアクター』が搭載される。艦載機は無人機が四機…。乗組員は一人から三人程度で運用出来る。正式名は上級大将専用宇宙戦艦であり居住設備も豪華客船に匹敵する。本艦を一隻建造するだけでセイバードラゴン級宇宙戦艦二百隻の予算が使用…。政府首脳陣専用の宇宙戦艦であり実質ブラッドフォードのみが乗艦出来る。
「本艦の装甲は『エターナルメタル』ですからね…」
「エターナルメタルだと?」
エターナルメタルとは資源採掘惑星レアメタルスターで採掘された不朽性であり未知の鉄鉱石である。非常に軽量であるが…。硬度は金剛石以上であり半永久的に原物を維持出来る。
「エターナルメタルを使用すれば…メンテナンスは非常に安価ですからね♪」
「であれば好都合だ…」

第五話

制圧作戦

三日後の四月二十七日早朝…。人工惑星プルトロン基地から三万隻もの宇宙大艦隊が出撃を開始する。旗艦は新型宇宙戦艦アプセラスであり大銀河帝国軍総司令官のブラッドフォードが乗艦したのである。
「全軍に伝達する!今回は小惑星トレジャーホールを確保…タイラントキラーの防衛宇宙艦隊を殲滅せよ!」
今回の作戦では新型宇宙巡洋艦バジリスクが推計二千隻…。六千隻もの新型宇宙駆逐艦『アスピドケロン』が投入され艦載機は新型戦闘用ドローン兵器『セイバードローン』が投入される。将兵の大半がクローン人間のホムンクルスであり人間の将兵は少数である。一新された大銀河帝国軍宇宙主力艦隊はタイラントキラーの資源宝庫であり最終防衛ラインである小惑星トレジャーホールを目標に全速前進…。各艦艇はワープ機能で小惑星トレジャーホールの宙域へと到達する。
「トレジャーホールの宙域に無事到達出来たな…」
旗艦アプセラスを先頭に…。背後からは三万隻もの宇宙艦艇がワープ機能で到達したのである。するとブリッジのホムンクルス将兵が発言する。
「味方の宇宙艦隊が到達したみたいですね…」
「トレジャーホールを攻略…奴等の最終防衛ラインを陥落させ…徹底的に奴等を絶望させるぞ…」
タイラントキラーの保有する惑星は実質母星であるエデンプラネットと最終防衛拠点のトレジャーホールのみである。
(タイラントキラーの資源宝庫であるトレジャーホールを陥落させれば…実質大銀河帝国の大勝利だ…)
タイラントキラーはユートピアサイド攻略作戦の失敗で戦力が低下…。最高指導者である総帥ウィグノールの自殺により以前より士気も戦争遂行能力も低下した状態だったのである。タイラントキラーは国民主権の勢力であり大勢の民間人が安住するエデンプラネットでの本土決戦は回避…。投降するのではと思考したのである。
「艦長!敵部隊の防衛宇宙艦隊を発見しました!」
艦内のスペースレーダーがトレジャーホールの防衛宇宙艦隊をキャッチする。
「敵部隊の宇宙艦艇の総数は?」
「推計一万五千隻です…」
「一万五千隻か…」
(敵軍の規模は一個艦隊程度だな…)
敵軍の規模から片手間であると感じるものの…。
「全軍…全速前進だ!戦闘艦艇は敵艦に砲撃を開始せよ!」
防衛艦隊との射程距離は推定十七光年と近距離であり各艦は高エネルギー砲塔から高エネルギーの光弾を射出…。数十万発もの発光体が各艦の砲塔から発射される。大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の猛攻により数百隻もの宇宙駆逐艦クラスの小型宇宙艦艇が轟沈したのである。宇宙巡洋艦クラスの大型艦は超大型エネルギーシールド装置の設置により高エネルギー兵器を無力化…。ノーダメージだったのである。
「大総統…高エネルギー兵器が無力化されました…」
「エネルギーシールド装置だな…であれば光子魚雷と宇宙戦闘用多目的ミサイルの実弾攻撃で対応せよ…」
各艦は無数の光子魚雷…。宇宙戦闘用多目的ミサイルを発射する。大銀河帝国軍の実弾兵器はエネルギーシールドジャミング装置が搭載され…。エネルギーシールド装置を無力化させ大型艦に攻撃したのである。実弾兵器の猛攻で二百隻以上の宇宙巡洋艦クラスは勿論…。宇宙戦艦クラスの大型艦を撃沈する。
「大総統…大銀河帝国軍の優勢です!」
部下の報告にブラッドフォードは一安心するものの…。
「油断大敵だ…巨大宇宙空母『スレイプニル』から新型ドローン部隊を出撃させろ!」
今回の作戦では宇宙用の新型宇宙巨大空母スレイプニルが一隻投入されたのである。艦名はスレイプニルと命名され…。正式名は宇宙要塞母艦スレイプニルである。スレイプニル級宇宙空母はプルトロン軍事工場で建造されたドローン搭載型母艦であり十八隻が建造される。全長は九百九十メートルであり全長八百メートルクラスのセイバードラゴン級大型宇宙戦艦をも上回る。艦体の総重量は九百五十万トンと桁外れであり超光速の速力を発揮出来る。宇宙戦艦アプセラスと同様に動力炉はハイパーリアクターが使用され…。航続距離は実質無限光年である。規格外の巨大さのスレイプニル級宇宙空母であるが…。乗組員は一人から三人体制であり少人数での運用が可能である。推計五万人から八万人もの輸送要員を乗艦させられる。艦載機は無人兵器のドローン兵器が四百機搭載される。兵装は旗艦アプセラスと同様に主砲の超大型戦略高エネルギー兵器ケラウノスが艦首に設置…。副砲は六百ミリメートル高エネルギー連装砲が六基と対空兵装は五十ミリメートル対空パルスレーザー機関砲が八十基搭載されたのである。実弾兵器は光子魚雷発射機が十二基と宇宙戦闘用多目的ミサイル発射機が三十基搭載され…。実質従来型の宇宙戦艦をも上回る戦闘空母である。補助兵装ではアプセラス同様…。ステルス機能と館内には娯楽施設が設置されたのである。スレイプニルの宇宙用甲板からは三百機ものセイバードローンが出撃…。ワーム機能を作動させ超光速で敵軍艦隊の射程圏内へと突入したのである。タイラントキラーのレヴィアタン級宇宙戦闘母艦もドローン兵器スペースドローンを発進させる。ドローン兵器同士による空戦が開始されるが…。セイバードローンは鹵獲したスペースドローンをベースに開発された機体でありスペースドローンは圧倒される。一分間の空戦で二百機以上のスペースドローンが撃墜されたのである。
「圧倒的だな…」
ブラッドフォードはアプセラスの艦内ホログラムからドローン部隊による空戦の様子を直視する。
「セイバードローンは予想以上の戦果ですね…」
「所詮無人機だが…意外とドローン兵器も役立つな…」
今現在セイバードローンの損害は皆無であり敵機はバタバタと撃墜され…。タイラントキラーのドローン部隊は壊滅したのである。
「タイラントキラーのドローン部隊は壊滅した…戦闘中のドローン部隊には後方の敵軍宇宙艦隊への攻撃を続行させろ…」
「承知しました…」
セイバードローンは後方のタイラントキラー宇宙艦隊に攻撃を仕掛ける。セイバードローンは光子魚雷やら宇宙戦闘用多目的ミサイルで敵艦に攻撃したのである。ドローン部隊の攻撃で小型艦艇は勿論…。十数隻もの大型艦が撃沈されたのである。当然としてタイラントキラーの宇宙艦隊も迎撃するのだが…。セイバードローンにはエネルギーシールド装置により対空パルスレーザー機関砲は無力化され光子魚雷やら宇宙戦闘用多目的ミサイルは機体に搭載された対空パルスレーザー機関砲により迎撃される。
「ドローン部隊がタイラントキラー宇宙艦隊を圧倒しました…」
「であれば即刻タイラントキラー宇宙艦隊に接近…総攻撃を仕掛ける!」
大銀河帝国軍宇宙主力艦隊はワープ機能を再作動…。トレジャーホールが肉眼でも視認出来る距離へと到達する。
「到達したな…」
トレジャーホール防衛艦隊との距離は七百キロメートルと至近距離である。
「ドローン部隊の攻撃で敵軍宇宙艦隊は大分疲弊した様子ですね…」
「全軍総攻撃を開始せよ…敵部隊を壊滅させろ…」
ブラッドフォードは総攻撃を指示…。全軍による総攻撃が開始されたのである。主力艦隊による艦砲射撃と実弾攻撃でトレジャーホール防衛艦隊の多数の宇宙艦艇が大破…。撃沈されたのである。戦闘不能と判断したのか残存艦隊は撤退を開始…。トレジャーホールは無人化したのである。
「敵軍艦隊は撤退を開始しました…トレジャーホールを制圧しましょう…」
大銀河帝国軍宇宙主力艦隊は無事トレジャーホールを制圧…。今回の制圧作戦で大銀河帝国軍の圧倒的大勝利に終結する。今回の戦闘でタイラントキラーは五十四隻のサラマンダー級大型宇宙戦艦と四十七隻のレヴィアタン級大型宇宙空母を喪失…。百八十三隻の旧型宇宙戦艦と八十二隻の旧型宇宙空母を喪失する。中型艦では二百十二隻のシーサーペント級宇宙巡洋艦が撃沈され…。四百五十六隻の旧型宇宙巡洋艦が撃沈されたのである。小型艦艇では二千七百六十八隻の宇宙駆逐艦と三千四百八十五隻の宇宙警備艇が撃沈され…。艦載機では三百六十六機のスペースドローンが撃墜されたのである。二十六隻の宇宙戦艦と十七隻の宇宙空母が大破…。百七十六隻の宇宙巡洋艦と五千八百七十四隻の小型艦艇が大破したのである。艦載機では二百四十八機のスペースドローンが損傷する。人的損害では推計五十三万人もの将兵が死傷したのである。一方の大銀河帝国軍は十二隻の宇宙戦艦と三十七隻の旧型宇宙巡洋艦を喪失…。六隻の宇宙戦艦と四十八隻の宇宙巡洋艦が大破したのである。十三機の戦闘用ドローンが損傷…。人的損害では九百二十六人の将兵が死傷したのである。各兵器を一新させた大銀河帝国軍であるが…。予想以上の損害の軽微に驚愕したのである。

第六話

殲滅作戦

タイラントキラーの資源宝庫であり最終防衛ラインであるトレジャーホールを無事制圧した大銀河帝国軍はトレジャーホールで放置された三十四隻の大型宇宙戦艦と十八隻の新型宇宙空母…。二十七隻の新型宇宙巡洋艦と艦載機のスペースドローン七十八機を鹵獲したのである。トレジャーホール制圧作戦から六日後の五月三日…。大総統のブラッドフォードは小惑星メティス基地で副総統のストライダーと再会する。
「大総統♪見事でしたな♪トレジャーホール制圧作戦は大銀河帝国軍の圧勝でしたね♪」
トレジャーホール制圧作戦の圧倒的勝利にストライダーは大喜びしたのである。
「当然の結果だ…ストライダーよ…総司令官であるウィグノールが自害した今現在のタイラントキラーは単なる烏合の衆…」
「資源宝庫のトレジャーホールが制圧されたのでは…タイラントキラーは投降する以外に選択肢は皆無ですからね♪」
最早戦力をズタズタに破壊されたタイラントキラーは誰しもが投降するものと思考するのだが…。
「大総統!緊急事態です!」
通信兵がソワソワした様子で司令室に入室する。
「何事だ?」
通信兵は恐る恐る…。
「ウィンフィールドと名乗る人物がタイラントキラーの新指導者に任命され…各惑星に戦闘継続を伝播させました…」
「なっ!?戦闘継続だと!?」
ストライダーは驚愕する。
「資源宝庫のトレジャーホールが制圧されたのに…奴等は正気か?」
するとブラッドフォードはボソッと一言…。
「この期に及んで奴等は余程死にたいらしいな…」
「大総統…如何されましょうか?」
問い掛けられたブラッドフォードは即答する。
「奴等が戦闘続行を決断するのであれば…此方も戦闘を続行…今度こそ奴等を徹底的に殲滅するだけだ…」
ブラッドフォードはストライダーを凝視するなり…。
「今度は大銀河帝国軍全軍で奴等の本拠地…エデンプラネットを攻略する…今度の作戦ではストライダー…貴様も参加しろ…」
「勿論ですとも…大総統…」
ストライダーは即答したのである。
「であれば即刻作戦を実行するか…大至急全軍に伝播させろ…エデンプラネット殲滅作戦を開始すると…」
「はっ!承知しました!」
通信兵は即座に各惑星の国軍宇宙艦隊に伝播させる。翌朝の五月四日…。各惑星の国軍宇宙艦隊が再集結したのである。今回の作戦では合計十九万隻の艦隊規模であり第四字宇宙星間戦争を上回る。
「全軍が集結したな…」
ブラッドフォードは宇宙主力艦隊旗艦アプセラスに乗艦…。副総統のストライダーは改良型のセイバードラゴン級大型宇宙戦艦に乗艦したのである。ブラッドフォードは各艦に伝播…。
「全軍に伝播する…終戦は目前である!今回の作戦はタイラントキラー本拠地エデンプラネット!タイラントキラーの残存勢力を徹底的に殲滅する!諸君等の奮闘を期待する…」
ブラッドフォードの演説に将兵達の士気が向上したのである。するとストライダーはホログラムで返信する。
「大総統…先程の演説で将兵達の士気が向上しました♪精一杯奮闘しましょう♪」
「当然だ…ストライダー…」
直後…。
「各艦…ワープ機能を作動せよ…」
旗艦アプセラスを先頭に各艦はワープ機能を作動させる。一秒後…。合計十九万隻もの宇宙大艦隊がタイラントキラー本拠地エデンプラネットの宙域へと到達したのである。
「エデンプラネットの宙域に到達しました…味方艦隊とエデンプラネットの距離は一光年です…」
旗艦アプセラス艦内のスペースレーダーが反応する。
「大総統…スペースレーダーが反応しました…」
「タイラントキラーの宇宙艦隊か?宇宙艦艇の総数は?」
「宇宙艦艇の総数は推計二万五千隻です…」
特殊無線技士のホムンクルス将兵が即答したのである。
「二万五千隻か…タイラントキラーの残存勢力にとっては最大戦力だな…」
度重なる敗北によりタイラントキラーの宇宙艦隊は二万五千隻に激減…。本拠地を防衛するのが手一杯だったのである。
「ですがこんな瀕死の状態で抵抗するなんて…奴等は正気ですか?」
ホムンクルス将兵の発言にブラッドフォードは即答する。
「所詮馬鹿の一つ覚えだな…超古代文明のとある地上の大帝国に酷似する…最早戦力の激減したタイラントキラーでは国民主権の大銀河共和国の再興は夢物語なのに…」
大銀河帝国が建国される以前…。銀河系には大銀河共和国と呼称される民主主義国家が存在したのである。大銀河共和国は政治の腐敗やら度重なる内戦…。最大の反政府勢力である大銀河革命軍との大銀河全面戦争により敗北…。民主制の大銀河共和国は独裁制の大銀河帝国へと再建されたのである。大銀河共和国軍に勝利した大銀河革命軍は大銀河帝国の常備軍…。大銀河帝国軍へと改編されたのである。
「所謂タイラントキラーは大銀河共和国の残党勢力だ…徹底的に殲滅せよ…」
数秒後…。
「全軍…敵軍宇宙艦隊に砲撃せよ!」
砲撃の合図と同時に大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の総攻撃が開始される。同時刻…。相対するタイラントキラー宇宙艦隊は旗艦である改良型サラマンダー級宇宙戦艦には次期総帥のウィンフィールドが乗艦する。
「艦長!大銀河帝国軍が総攻撃を開始しました!」
「全軍に伝達せよ!此方も応戦する!」
ウィンフィールドは応戦を指示したのである。直後…。一光年の宙域より発射された数千万発もの高エネルギーの光弾が味方宇宙艦隊に到達したのである。各艦に多数の光弾が命中するものの…。大型艦はエネルギーシールド装置により光弾を無力化したのである。一方小型艦艇は簡単に撃沈され…。一度の総攻撃で推計三千隻もの小型艦艇が轟沈したのである。轟沈した小型艦艇は宇宙の藻屑へと変化…。数千人もの将兵が宇宙空間に吹っ飛ばされたのである。凄惨なる光景にウィンフィールドは落涙するものの…。
「彼等の犠牲を無駄にするな…即刻反撃しろ!」
タイラントキラー宇宙艦隊も反撃を開始したのである。各艦艇による高エネルギー砲塔の艦砲射撃…。実弾兵器である光子魚雷と宇宙戦闘用多目的ミサイルを多数発射したのである。
「母艦部隊はドローン兵器を発進させ…敵軍艦隊に突入させろ!」
各航空母艦からはスペースドローンは勿論…。スペースドローンの後継機『ホワイトピクシー』が飛来したのである。各機体はワープ機能を作動…。数秒後には二万機以上のドローン兵器が大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の宙域へと到達したのである。
「ひっ!ドローン兵器です!」
突如として出現したドローン兵器に大銀河帝国軍の将兵達は一時的に畏怖する。
「狼狽えるな…ドローン兵器を撃墜せよ…」
ブラッドフォードはドローンの迎撃を指示すると各艦艇は迎撃を開始したのである。するとブラッドフォードは気になるのかホログラム装置を作動…。スペースドローンの立体映像が映写される。
「えっ?大総統…如何されましたか?」
ブリッジのホムンクルス乗組員が彼に問い掛ける。
「恐らく此奴はタイラントキラーの新型機だな…」
ホワイトピクシーは性能的には大銀河帝国軍のセイバードローンと五分五分である。宇宙艦隊上空では互角の空中戦が展開される。
「味方のセイバードローン諸共…撃墜せよ…」
「味方の軍用機も攻撃するのですか?」
ブラッドフォードの指示にブリッジのホムンクルス乗組員が再度問い掛ける。
「所詮ドローンは自爆兵器だ…破壊されたって何機でも補充出来る…」
資源豊富の大銀河帝国軍にとってドローン兵器とは実質自爆用途の無人特攻兵器である。各機体の機体内部には宇宙戦艦クラスの大型艦さえも一撃で撃沈出来る自爆装置が内蔵される。ブラッドフォードの指示に各艦艇は味方のドローン兵器諸共対空パルスレーザー機関砲は勿論…。実弾兵器の光子魚雷と宇宙戦闘用多目的ミサイルで攻撃したのである。無尽蔵の光弾と実弾攻撃により敵味方のドローン兵器が撃墜される。
「味方宇宙艦隊の迎撃でタイラントキラーの宇宙航空戦力が半減したぞ…」
大銀河帝国軍宇宙主力艦隊の対空攻撃によりタイラントキラーの宇宙航空戦力が低下したのである。
「再度敵軍の防衛宇宙艦隊を攻撃…タイラントキラー本拠地エデンプラネットに突入するぞ…」
大銀河帝国軍宇宙主力艦隊はタイラントキラーのドローン部隊による攻撃を物ともせず迎撃を続行…。エデンプラネットの宙域へと到達したのである。
「敵軍艦隊だ…」
タイラントキラー宇宙艦隊との距離は七十八万キロメートルと近距離であり肉眼でも直視出来る。七十八万キロメートルでも広大無辺の宇宙戦闘では至近距離である。
「タイラントキラー宇宙艦隊を殲滅せよ…」
ブラッドフォードの指示と同時に総攻撃が開始される。

第七話

反帝国主義

宇宙新暦七百二十二年五月十七日…。最終戦略兵器ケラウノスによって国民主義勢力のタイライトキラーと本拠地である小惑星エデンプラネットを消滅させた大銀河帝国軍であるが…。日に日に過激化するブラッドフォード政権に対する反対運動は新勢力の誕生を促進させたのである。二日後の五月十九日…。ブラッドフォード政権を見限った穏健派の帝国軍人ルーヴェルハルトは大銀河帝国を脱退したのである。三日後の五月二十二日に反帝国主義勢力『ホープセイバーズ』が結成…。大銀河帝国自治領の一部である小惑星『ホープエリア』を本拠地として設置される。ホープセイバーズ結成から一週間後の五月二十四日…。大銀河帝国軍を見限った一部の帝国軍人達と母星の消滅により宇宙空間を漂流するタイライトキラーの臨時政府軍宇宙艦隊が小惑星ホープエリアへと集結したのである。ホープセイバーズ創設から二週間が経過するとホープエリアの総人口は推計二十億人に増加する。銀河系の各宙域ではタイラントキラーの残存艦隊が宇宙海賊団を組織…。彼等も義勇軍としてホープセイバーズに加入される。五月二十七日…。大銀河帝国軍総本部では大総統のブラッドフォードと副総統のストライダーが対談する。
「大総統…ルーヴェルハルト少将が大銀河帝国から脱退しましたな…」
「大銀河帝国に穏健派の帝国軍人は不要だ…」
(彼奴は目障りだからな…)
ブラッドフォードにとって穏健派のルーヴェルハルトは正直目の上のたん瘤でありルーヴェルハルトの脱退は非常に好都合だったのである。
「ホープセイバーズですが…如何されますか?」
問い掛けられたブラッドフォードは即答する。
「当然として…大銀河帝国に敵対する勢力は徹底的に殲滅する予定だ…」
「当然の判断ですね…」
同時刻…。ホープセイバーズ本拠地ホープエリアの総本部拠点ではとある人物が訪問する。ホープセイバーズ総帥ルーヴェルハルトの専用室にて何者かがコンッとドアをノックしたのである。
「誰だ?」
すると若齢の将校が入室する。
「失礼します…」
「貴方は…」
「私はタイラントキラー将兵だった…ウィンフィールド…階級は大佐です…」
「ウィンフィールド大佐か…」
両者は敬礼したのである。するとルーヴェルハルトは恐る恐る…。
「本当に悪かった…私達の暴走で貴方の故郷は…」
ルーヴェルハルトは落涙…。謝罪したのである。
「気にしないで下さい…ルーヴェルハルト総帥…」
ウィンフィールドはルーヴェルハルトを非難せず…。
「大銀河帝国にも…貴方みたいな穏健派の帝国軍人が存在するだけで…私の心情は救済されましたよ♪」
ウィンフィールドは笑顔で返答する。するとルーヴェルハルトは恐る恐る…。
「突然で混乱するかも知れないが…今後のホープセイバーズの方針を伝達する…」
「今後の方針ですか?」
ルーヴェルハルトは一息するなり…。
「ホープエリアは大銀河帝国から独立…小規模だがホープエリアに大銀河共和国の継承国家…宇宙新共和国を建国する予定だ…」
「宇宙新共和国ですと?」
今後の方針である大銀河帝国からの独立にウィンフィールドは恐る恐る問い掛ける。
「大銀河帝国からの独立なのですが…現実的に大銀河帝国からの独立なんて可能なのですかね?相手は大銀河帝国全勢力ですよ…大銀河共和国の継承勢力であるタイラントキラーも大銀河帝国軍によって徹底的に殲滅させられたのです…恐らく簡単には…」
「困難なのは承知だ…相手はブラッドフォードだからな…一筋縄では無理だろう…」
ルーヴェルハルトはポケットから恐る恐る電子設計図を入手する。
「電子設計図ですか?」
ルーヴェルハルトは電子設計図のスイッチを作動…。すると円柱型の物体がホログラムにより映写されたのである。
「なっ!?ひょっとして…」
ウェンフィールドは電子設計図の物体に驚愕する。
「タイラントキラーが開発中だった…最終兵器では!?如何して大銀河帝国軍所属の貴方がタイラントキラーの遺産を?」
「私がタイラントキラーの遺産を所持した理由は…」
大銀河帝国軍がタイラントキラーとの戦時中の出来事である。ルーヴェルハルトは独自の私兵部隊を組織…。私兵部隊をタイラントキラーの兵器研究所に潜入させ一部の科学技術を入手したのである。
「ですがタイラントキラーの兵器研究所が貴方の私兵部隊に潜入されたなんて…驚愕しましたよ…」
「最終兵器の電子設計図を入手したのが私で正解だったな♪こんな代物をブラッドフォードが入手すれば絶対に悪用されるだろう…」
「ですが此奴が完成すれば…銀河系の支配勢力である大銀河帝国だって引っ繰り返せそうですね♪」
タイラントキラーが開発中だった最終兵器の正体は不明であるが…。最終兵器が完成すれば大銀河帝国をも引っ繰り返せる代物である。
「此奴は大銀河帝国軍の最強兵器…ケラウノスをも上回る最強最悪の最終兵器だからな…抑止力として利用出来る!」
メンテ

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