Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.11 ) |
- 日時: 2012/01/15 01:26
- 名前: 何処 ID:_MZeV3Q5mCc
- 【彼方の手紙】
私の足元に紙片の入った瓶が落ちている。
ここはN2の爆発…エヴァンゲリオン零号機の自爆により出現した湖、第二芦ノ湖。人類の生存の為の足掻きに巻き添えとなり犠牲となった様々な者達の為、私はリニアを乗り継ぎ駅前で買った一束の花と線香を手にこの地を訪れていた。
廃墟を飲み込み水面は只静かに波打ち、足元は硝子化した表土の砕けた白い結晶が瓦礫の間に塩の様に固まり、微かな波の音以外何も聞こえない。
…何故、私は自爆したのだろう。
私自身の行動の結末を前に、私は声も無い。
この被害をもたらしたのは間違い無く私。いくら使徒戦とは言え私は此れ程の破壊をもたらしたのか…
不意に寒気を感じ自分の両肩を抱きしめる。この現実の元凶が自分だったのかと思うと恐ろしい。 改めて見回す風景に感じる恐怖と戦慄、膝が震える。しかも自爆…いえ、自殺ね。心中と言うべきかしら?そんな手段を為した筈の自分は一体何者だったのだろう。
己を犠牲に敵…使徒を葬るなど恐ろしくて私には恐らく考えすら浮かばない。
しかしこの時の私は…今の私では無い訳で…いいえ、私には違い無い。
その時、私には碇君を救う事しか頭に無かったのかもしれない。
四人目の私には二人目の自分たる彼女の行動をそうとしか理解出来ない。
私の記憶はバックアップされた所までしか無い。記憶された感情は何処か他人事で、実感が薄い。碇君に抱いていた彼女のイメージの記憶と現実のギャップに私は正直戸惑ったし。
でも、私は…今の私は間違い無く碇シンジと言う少年を好きになっている。 そして碇君…碇シンジと言う名の少年は、私に好意を寄せてくれる。
現実に存在する私に
今の、現在の私に
四人目の私に
…
と思いたい。
綾波レイと言う存在、複数にして単数、代わりのあった存在の一つ。 碇君には、今存在する綾波レイと言う名の私を…私だけを見て欲しい。そう思うのは傲慢だろうか?
時々考える。もし複数の私…私達に生み出されなかった魂が宿っていれば…
…考えるまでも無い。私達は決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンの為生み出された道具。
複数の私に自我があれば碇君がパイロットになる必要もなかっただろう。
碇君と出逢う事も無かったかも知れない。
水際に花束と火を付けた線香を置き、色々な想いに別れを告げて歩き出す私の足元に転がる瓶に気付いたのはその時だった。
瓶から苦労して中の紙片…紐で縛ってある…を取り出し、紐を解く。
紙片には一言だけ書いてあった。
『またね』
私は途方に暮れ、紙片を手に一人湖畔に佇んでいて。
遠くから誰かの笑い声が聞こえた気がした。
【White Letter】 http://www.youtube.com/watch?v=nwuNrBvDd3A&sns=em
*手紙の内容で話が随分変わります*最初は『馬鹿が見る〜』とか『ハズレ』とか『※放送禁止※』とかにしようかと(笑)*
 |
|