桜花姫 ( No.21 ) |
- 日時: 2021/08/16 20:13
- 名前: 月影桜花姫
- 第八話
悪霊征伐
天地暦三千四十年六月十七日…。人間の崇徳丸と妖女の桃子姫の混血である小梅姫は悪霊征伐に尽力したのである。彼女は生真面目で熱血漢である父親の崇徳丸を人一倍憧憬…。村人達を襲撃する無数の悪霊を退治したのである。近頃は各地で悪霊が出現するのだが各国の武士団は勿論…。東国の武士団に悪霊退治の依頼が殺到するも何方も静観状態であり実質無関心だったのである。戦乱時代に疲弊した武士達は悪霊を征伐する気力が皆無であり東国唯一の妖女…。小梅姫が悪霊の征伐を決意する。 「目的地の恐山に到着したわね…」 恐山は西国に聳え立つ小山…。温泉郷である天霊山とは対照的であり滅多に誰も近寄らない場所だったのである。近年では恐山の近辺で生活する村人達が悪霊に襲撃される事件が多発…。噂話は各地に出回ったのである。 「今回も悪霊を退治するわよ…」 普段は人一倍穏和の小梅姫だが…。一度決定した物事は徹底的に完遂させる生真面目の性格である。十数分後…。小梅姫は恐山の頂上へと到達する。 「えっ!?」 すると頂上には小柄の人影らしき気配が確認出来る。小梅姫は恐る恐る人影に近寄る。 「貴方は一体何者なの?」 彼女は非常に警戒した様子であるものの…。人影の正体とは小柄の老婆だったのである。 「誰かと思いきや…貴方は老婦人でしたか?失礼しました…」 小梅姫は小柄の老婦人に謝罪する。すると老婦人は笑顔で…。 「こんな私が老婦人なんて♪あんたは上品だね♪」 すると老婦人は名前を名乗る。 「私は単なる通りすがりの薬屋…蛇骨鬼だよ♪」 「蛇骨鬼様ですか…こんなにも不吉の恐山で一体何を?」 問い掛けられた蛇骨鬼は即答する。 「暇潰しだよ♪こんな暗闇の場所で食事するのが私の趣味なのさ♪」 「趣味でしたか…」 小梅姫は苦笑いしたのである。蛇骨鬼は地面の土石に土鍋を慎重に設置…。土鍋に野菜やら新鮮そうな魚類を調理する。 「あんたも如何かな?」 「私は…別に…」 すると直後…。小梅姫の腹部から腹鳴が響き渡る。 「えっ…」 小梅姫は赤面する。 「肉体は正直だね♪空腹だろ…」 蛇骨鬼は小梅姫に小皿を手渡したのである。 「折角ですし…私も頂戴しますね…」 一瞬躊躇したものの食いしん坊の小梅姫は遠慮しなかったのか率直に味見する。 「美味ですね♪」 鍋物の料理を頬張る。今度は瓢箪を小梅姫に手渡したのである。 「焼酎ですか?私は正直酒類が苦手で…」 「安心しな…天然水だから…」 「であれば安心ですね♪」 すると蛇骨鬼は問い掛ける。 「あんたの名前は?」 「えっ…私の名前ですか?」 小梅姫は自身の名前を名乗る。 「私は小梅姫です♪出身地は西国ですが…今現在の住居は東国です…」 「あんた…東国の人間だったのかい?」 人間の一言に反応したのか小梅姫は恐る恐る…。 「失礼なのですが…私…本当は人間とは無縁の…妖女なのです…」 妖女の一言に蛇骨鬼は反応する。 「えっ!?妖女だって!?」 彼女は幼少期から一際美人と評判であり東国の小町娘からは疫病神の化身と揶揄されたのである。今迄は気にしなかったが近頃普通の人間には不可能である摩訶不思議の妖術に自覚し始める。直接特定の物体と接触しなくとも特定の物体を浮遊…。相手を睡眠させる妖術が無意識的に発動され自身が普通の人間とは異質的存在である妖女と自覚し始めたのである。 「あんたは妖女の子供なのかい?」 蛇骨鬼に問い掛けられると小梅姫は返答する。 「無論です…」 「こんなにも暗闇の恐山で妖女の子供と遭遇するなんて…奇遇だね♪」 蛇骨鬼は笑顔で発言したのである。 「私の母親は…桃子姫って名前の女性なのです…勿論彼女も妖女ですよ…」 「桃子姫か…」 今現在では西国出身者である桃子姫の存在は元祖妖女と認識され…。各地の村里では伝説の一人として熟知される。すると蛇骨鬼は笑顔で…。 「初見からあんたは普通の人間とは無縁だと認識出来たよ♪」 「えっ?蛇骨鬼様…」 「あんたの雰囲気は普通の人間の雰囲気とは異質的だったからね♪」 笑顔で発言する蛇骨鬼であるが…。突如として蛇骨鬼の表情が無表情に変化する。 「蛇骨鬼様?如何されましたか?」 蛇骨鬼の表情の変化に小梅姫は一瞬不安がる。すると蛇骨鬼は小声で…。 「私も…本当は神族の一員だからね…」 「えっ!?神族ですって!?」 神族の一言に小梅姫は驚愕したのである。 「あんたは大袈裟だね♪別に私が神族だからって驚愕しなくても…」 「ですが神族って…伝承では大昔に全滅したって…」 神族とは数百万年前の地上界を支配した伝説の種族…。多種多様の生命体の姿形に変化が可能であり摩訶不思議の特殊能力を所持する摩訶不思議の種族だったのである。 「大昔に人間達との大戦争で私以外の神族は全滅しちゃったけれどね…」 数万年前の古代時代に勃発した大戦争で大勢の神族が殺害…。迫害されたのである。今現在生存が確認出来るのは南国の蛇骨鬼のみである。 「古代時代の大戦争ですか…ですが如何して摩訶不思議の特殊能力を所持する神族が無力の人間達を相手に敗北したのでしょうか?」 小梅姫の問い掛けに蛇骨鬼は即答する。 「人間達と大戦争する以前の出来事だけどね…地上界の大天災として認識される魔獣との死闘で大半の神族が殺されちゃったのが最大の主要因だね…」 数百万年前の太古の出来事である。地上界の大天災として認識される天空の魔獣の出現により地上界は荒廃化され…。大勢の神族が殺害されたのである。天空の魔獣は神族の神力で暗闇の深海底に封印されたが…。魔獣との死闘の悪影響により神族は弱体化したのである。 「今現在では私以外の神族は死滅しちゃったよ…」 「大変でしたね…神族も…」 「あんたは信用するかい?今時は昔話だって揶揄されるがね…」 「私は信用しますよ!」 問い掛けられた小梅姫は信用すると断言する。 「あんたは純粋だね♪」 すると突然である。蛇骨鬼の肉体が白煙に覆い包まれ…。白色の大蛇に変化したのである。 「えっ!?蛇骨鬼様が…白色の大蛇に!?」 「吃驚したかい♪白色の大蛇こそ私の本来の姿形だよ…」 蛇骨鬼の正体は白色の蛇神であり本来の姿形は白色の大蛇であるが…。普段は小柄の老婦人として生活する。 「私と蛇骨鬼様…似た者同士ですね…」 変化を解除すると大蛇の状態から人間の老婦人の姿形に戻ったのである。 「小梅姫だったかね?大変だろうが…あんたも頑張りな♪」 「勿論ですとも♪」 すると蛇骨鬼は恐る恐る…。 「あんたはこんなにも不吉の恐山で一体何を?」 問い掛けられた小梅姫は即答する。 「勿論悪霊征伐ですよ!近頃は恐山に無数の悪霊が出現するとの噂話を熟知しましてね…」 「悪霊征伐ね…大変だろうが頑張りなよ♪最近は悪霊事件が各地で頻発するからね♪戦乱時代の反動だろうが…」 戦乱時代にも悪霊は出現するが安穏時代に突入してからは悪霊が出現する頻度が増加したのである。 「私はあんたを見届けるよ…悪霊なんかに殺されないでよね♪」 「勿論ですよ!」 断言した小梅姫は即座に下山し始める。彼女の周囲は森林浴であるものの…。真夜中では暗闇の樹海同然である。すると彼女の背後から異様の気配を察知する。 「突然胸騒ぎが…」 (一体何事かしら?) 恐る恐る慎重に背後を警戒するのだが…。彼女の背後には何も存在しない。 「私の勘違いかしら?」 誤認識かと思いきや…。 「何よ…」 背後の土中から小柄の人影が無数に出現したのである。 「えっ…怨霊達!?」 無数の人影は暗闇によって姿形の認識が非常に困難であるものの遺体の死臭が近辺を充満させる。全身が血塗れの状態であり全身の皮膚の腐敗が原因なのか左右両方の眼球と腹部の内臓やら胃腸が噴出した醜悪なる容姿…。そして皮膚と人骨のみの肉体であり全身は鮮血によって赤色へと変色した悪霊である。 「死滅した人間達の末路かしら…」 体格的には人間の女性よりも一回り小柄であり乳児の体格であるものの…。外見による男女の区別は出来ない。動作は非常に鈍足であり発語も支離滅裂である。 「此奴は悪霊の食人餓鬼だわ…」 無数の食人餓鬼は生者である小梅姫に殺到する。 「恐山の霊力の原因は食人餓鬼だったのね…」 普通の人間であれば畏怖しても可笑しくない光景であるが…。小梅姫は畏怖しなかったのである。彼等が小梅姫の視界間近へと到達する寸前…。 「業火で浄化されなさい!」 業火の妖術を発動すると食人餓鬼の皮膚が高熱の自然発火により燃焼し始める。食人餓鬼の肉体は高熱の怪火によって瞬間的に炭化する。 「彼等は浄化されたみたいね…」 彼女の足場周辺には無数の焼死体が埋没したのである。 「一安心だわ…」 一安心した直後…。再度背後より霊力を感じる。 「霊力かしら?」 警戒するなり恐る恐る背後を直視すると数十体もの食人餓鬼がふら付いた身動きで小梅姫に近寄る。 「今度も食人餓鬼ね…」 今度は雷撃の妖術を発動する。 「成仏しなさい!」 両手より高熱の雷撃を放出…。殺到する無数の食人餓鬼を雷撃で仕留めたのである。 「悪霊は片付けたかしら…」 恐山に出現した悪霊を仕留めたのが影響したのか突如として恐山の霊力が感じられなくなる。 (霊力が感じられなくなったわ…) 「恐山の霊気は浄化されたみたいね…」 小梅姫は一安心する。 「事件は無事解決ね…」 小梅姫は祖国である東国の家屋敷へと無事戻ったのである。恐山での戦闘から三日後の真昼…。小梅姫は娯楽を主目的に中心街へと出掛けたのである。甘党の和菓子屋にて大好物の蓬餅を頬張る。 「美味だわ♪」 彼女は無我夢中に和菓子を頬張るものの…。隣席には小柄の老婦人らしき老女が訪問する。 「えっ?」 (誰かしら…) 小柄の老婦人とは三日前に恐山にて遭遇した神族の蛇骨鬼であり奇遇にも彼女と遭遇したのである。小梅姫は蛇骨鬼に気付いた瞬間…。 「ひょっとして蛇骨鬼様!?」 「誰かと思いきや…あんたは小梅姫だね♪こんな場所であんたと再会するなんて奇遇だね…」 蛇骨鬼は小梅姫との再会に大喜びする。 「本当よ…蛇骨鬼様が和菓子屋に?」 「偶然だよ♪一休みしたいだけさ♪あんたは和菓子屋が大好きなのかい?」 問い掛けられると小梅姫は笑顔で即答したのである。 「勿論ですよ♪私は和菓子が大好きです!」 すると蛇骨鬼は突発的に顔色を変化させる。 「あんたは悪霊退治屋として活躍中だったね…」 「勿論ですとも♪悪霊征伐は私の専門なので♪」 小梅姫は笑顔で断言する。蛇骨鬼は恐る恐る…。 「北国の村人達からの噂話だけどね…」 「えっ?北国の噂話ですって?」 小梅姫は一瞬動作を停止させる。 「近頃北国では村里の赤子が神隠しに遭遇するって…誘拐事件が頻発したみたいだよ…」 「神隠しですって?一体何事でしょうか?」 「村里の情報源では数週間前の出来事かな?神隠しの正体が人為的なのか…悪霊の仕業なのかは断言出来ないけど…」 「数週間前ですか…」 小梅姫は突発的に興奮し始める。 「一大事だわ!即刻北国に移動しないと!」 「小梅姫よ…今回は匪賊の可能性も否定出来ないよ…相手が極悪非道の匪賊だったら如何するの?」 蛇骨鬼の問い掛けに小梅姫は即答する。 「勿論私だって相手が人間の悪党であれば徹底的に征伐しますよ!弱者を救済するのが私の使命ですから…」 普段は温厚篤実の小梅姫であっても残虐非道の大悪党には手加減しない。 「こんな俗界でもあんたみたいな天女が存在するなんてね…」 「私が天女なんて…蛇骨鬼様は大袈裟ですね…」 (えっ♪私が天女ですって♪) 天女の一言に小梅姫は内心大喜びする。 「慢心は危険だからね…油断大敵だよ…」 「大丈夫ですよ…私は…」 (今迄だって沢山の悪霊を退治出来たし…) 今迄の戦闘では苦戦しても敗北は皆無だったのである。 「小梅姫の妖力は非常に絶大かも知れないが…妖力の慢心は絶体絶命にも直結するからね…」 (蛇骨鬼様は極度の心配性ね…) 正直口喧しいと感じるものの…。小梅姫は蛇骨鬼に感謝する。 「助言…感謝しますね…蛇骨鬼様♪」 小梅姫は即座に北国へと急行したのである。 (彼女は行動が神速だね…) 蛇骨鬼は和菓子屋から出歩く彼女を見届ける。小梅姫は一時間程度の徒歩によって北国の村里へと到着する。北国は全体的に殺風景であり農村地帯ばかりの過疎化した村里だったのである。 (北国は随分と田舎村なのね…) 不可解にも村人が誰一人として存在しない。 「無人地帯だわ…」 適当に田畑を散歩し続ければ赤子を抱き抱えた白装束の黒髪の女性を発見する。 「えっ?村里の親子かしら?」 小梅姫は即座に女性の視界間近へと接近すれば…。 (鮮血だわ…) 着物は全体的に血塗れであり皮膚の表面には無数の外傷が確認出来る。小梅姫は一瞬膠着したものの彼女の安否を確認する。 「大怪我されたのでしょうか…大丈夫ですか?」 母親は小梅姫の問い掛けに無言であり彼女を凝視…。睥睨し始める。 「何よ?」 睥睨された小梅姫は腹立たしくなったのか母親に睥睨し返したのである。 (彼女って本当に人間なのかしら?) すると数秒後…。母親は一目散に逃走し始める。 「えっ!?」 小梅姫は即座に逃走中の母親を追跡する。 「如何して母親は私から逃亡したのかしら?」 母親は墓場へと潜入したのである。 「墓場だわ…」 小梅姫は恐る恐る慎重に墓場へと急行する。 「先程の母親は一体何者なのかしら?」 (彼女からは霊力らしい霊力は感じられなかったけれども…) 霊力は感じられないが…。赤子を抱き抱える母親らしき人物が俗界の人間なのか如何なのかは非常に疑問である。 「姿形から判断して…」 (恐らく彼女は現世とは無縁の存在なのは確実でしょうね…) すると先程の女性らしき人物を発見する。早速近寄ろうかと思いきや…。 「えっ!?如何して全裸なのよ!?」 女性は着物を脱衣したのか全裸の状態である。彼女は赤子を抱き抱えた状態から生身の乳房と赤子の頭部を密着させる。 「あんた一体何を!?」 処女の彼女にとって非常に刺激的光景であり一瞬膠着する。小梅姫は墓石から母親の様子を観察したのである。 (母親は一体何を!?) すると赤子の肉体が液体化したのか赤子の肉体諸共母親の体内へと瞬時に吸収する。 「赤子の肉体を吸収出来る霊能力…母親の正体って…」 (ひょっとして彼女の正体は悪霊の亡霊女房かしら?) 亡霊女房とは戦乱時代の戦乱は勿論…。天災やら疫病によって実子を亡くした母親達の無念の集合体である。赤子を体内へと吸収する性行為は実子に対する愛情表現である。小梅姫は咄嗟に亡霊女房の視界間近へと急行する。 「子供を誘拐する悪霊は私が成仏させるわ!覚悟しなさい…亡霊女房…」 小梅姫は体内の妖力を蓄積させるなり…。黒雲を天空全域へと発生させたのである。天空全域が黒雲に覆い包まれたかと思いきや…。黒雲から落雷を発生させる。落雷は亡霊女房の頭頂部直上へと落下したのである。 「直撃…」 視界間近が雷光によって両目を一瞬閉眼させる。落雷の破壊力は地面を容易く半球型に陥没させたのである。 「亡霊女房は?」 亡霊女房は肉体が非常に柔軟であり大量の鮮血やら手足の肉片は勿論…。体内の臓器やら胃腸が地面に散乱する。 「亡霊女房は仕留めたかしら?」 両目を開眼するなり再確認したのである。 「如何やら彼女を仕留めたわね…」 (生身の状態で落雷を直撃させれば即死よね?) 凄惨なる光景であるものの…。小梅姫は手応えを感じる。 「亡霊女房を討伐出来たし…退散しましょう…」 小梅姫は一安心したのか東国の武家屋敷へと戻ろうかと思いきや…。 (一体何かしら!?) 彼女の背後から僅少なる霊力の気配を瞬時に察知したのである。小梅姫は早速背後を凝視するなり…。 「厄介だわ…」 全身を粉砕された亡霊女房の血肉が融合し始める。粉砕された亡霊女房の肉体は数秒間で元通りに再生…。完全に復活したのである。 「粉砕された肉体が一瞬で元通りに復活するなんて…再生能力かしら?」 (亡霊女房って不死身なのかしら…) 亡霊女房は小梅姫の愕然とした表情を凝視するなり微笑み始める。亡霊女房は口先から猛毒の溶解液を噴射する。 「毒液!?」 小梅姫は咄嗟に妖力の防壁を発動…。妖力の防壁により溶解液から本体を守備したのである。防壁の周辺の地面は溶解液によって一瞬で液状化させる。 「如何やら危機一髪ね…」 (一歩間違えれば大怪我だったわね…) 小梅姫の表情が険悪化する。 「如何やら私は亡霊女房の霊能力を軽視し過ぎたのね…」 体内の妖力を蓄積…。今度は自爆の妖術を発動すると亡霊女房の肉体を内部から自爆させたのである。 「今度も復活するかしら?」 先程の自爆の妖術は試用であり亡霊女房の肉体が元通りに再生するのか如何なのかを再確認したかったのである。亡霊女房の肉体は自爆の妖術により破壊されたものの…。先程と同様に粉砕された肉体は元通りに再生する。 「見事に復活したわね…非常に厄介だわ…」 (彼女の弱点は何かしら?) 今度は天眼の妖術を発動したのである。天眼の妖術の透視化により亡霊女房の心臓内部から水晶玉らしき宝玉を発見する。 「えっ?水晶玉?」 (亡霊女房の魂魄かしら?) 小梅姫は再度自爆の妖術を発動…。見事に亡霊女房の肉体は自爆したのである。小梅姫は体内の心臓を発見するなり更なる自爆の妖術を再発動させる。すると亡霊女房の心臓が自爆の妖術により爆破されると心臓内部から水晶玉を摘出させたのである。 「水晶玉を発見したわ!」 水晶玉が地面に落下したかと思いきや…。水晶玉は浮遊すると蛍光色に点滅し始める。すると周辺に散乱した肉片が水晶玉へと接合したのである。 「如何やら水晶玉が亡霊女房の本体っぽいわね…」 亡霊女房の弱点を発見した小梅姫は念力の妖術を発動すると水晶玉を粉砕する。すると同時に亡霊女房の再生能力が発動しなくなったのである。業火の妖術によって粉砕された亡霊女房の肉体諸共水晶玉の破片を浄化させる。 「今度こそ浄化出来たみたいね…」 (亡霊女房は予想外に厄介だったわ…) 小梅姫は周辺を恐る恐る慎重に凝視するなり…。村里へと無事帰還する。自分自身の家屋へと無事帰宅すれば彼女は寝転び始める。 「随分派手に妖力を消耗した影響かしら…」 (極度に息苦しいのよね…) 妖力の消耗によって疲れ果てたのである。 (相手は実力的には私よりも脆弱だったけれども…妖女である私が悪霊を相手に苦戦しちゃうなんて…) 今回の出来事から自分自身の傲慢さと力不足を実感したのである。
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