桜花姫 ( No.26 ) |
- 日時: 2021/08/17 09:39
- 名前: 月影桜花姫
- 第二話
鬼面山
椿女郎との死闘から四日後の真昼…。南国の鬼面山と命名される岩山にて無数の悪霊が出現したとの噂話が国全体に出回る。噂話が気になった桜花姫は悪霊征伐にワクワクしたのか西国から南国に聳え立つ鬼面山へと直行する。 「今度は南国の鬼面山に悪霊が出現したのね♪」 鬼面山とは標高九町の岩山であり大山全体が鬼面を連想させる外観から鬼面山と命名される。霊魂巨神木との戦闘から悪霊の出現は少数であったものの…。久方振りの悪霊の大群出現に桜花姫は大喜びしたのである。西国から徒歩により二時間後…。南国の村里に到達する。 「南国に到着したわね♪」 南国の村里は非常に殺風景であるものの…。大勢の農民達が農作業に尽力中である。 (今回は何が出現したのかしら♪半年前の荒神山の戦闘みたいに大量の悪霊が出現したら面白いわね♪) 半年前の荒神山での悪霊征伐を想起する。 「即刻鬼面山に移動しないと…」 目的地の鬼面山に直行したいが場所が不明瞭である。 (鬼面山の場所って…) 困惑した桜花姫は恐る恐る耕作中の農民に近寄るなり…。 「御免あそばせ♪百姓さん♪」 すると耕作中の農民が恐る恐る桜花姫を直視する。 「えっ?花魁の娘さんが南国の村里に訪問されるなんて…一体何事ですかね?」 農民の花魁発言に桜花姫は苛立ったのか即答したのである。 「なっ!失礼しちゃうわね…私は最上級妖女の月影桜花姫よ!花魁なんかと勘違いしないでよね!」 桜花姫の返答に農民は驚愕する。 「貴女様は伝説の最上級妖女の…月影桜花姫様ですか!?」 農民は即座に桜花姫に謝罪したのである。 「大変失礼しました!月影桜花姫様…花柄の着物姿だったので桜花姫様を花魁の娘さんと勘違いしちゃいました…」 「私自身奇抜だから花魁と見間違えるでしょうね♪」 桜花姫は笑顔で返答する。 「ですがこんな早朝から如何して桜花姫様は南国に訪問されたのですか?南国はこんなにも田舎村ですよ…」 南国の領土の広大さは東国に匹敵するものの土地の大半は農村地帯であり娯楽は皆無である。 「近頃南国の鬼面山に悪霊の大群が出現したみたいだからね♪私は鬼面山に出現した悪霊の大群を征伐しに南国に出掛けたのよ♪」 「鬼面山の悪霊征伐ですね…」 桜花姫は恐る恐る鬼面山の場所を質問する。 「私は鬼面山の場所を知りたくて…あんたは知らないかしら?」 農民は北方の側面に位置する岩山を指差したのである。 「鬼面山であれば北方の岩山ですよ…」 「北方の岩山ですって?」 桜花姫は農民が指差した北方の岩山を眺望する。鬼面山は農村から非常に近辺であり徒歩でも十数分で到達出来る近距離である。 「案外近辺だったのね♪感謝するわね♪」 桜花姫は北方の岩山を目印に直進する。農村からは感じられなかったが鬼面山に近寄ると重苦しい無数の霊力を感じる。 「霊力かしら?」 (非常に重苦しいわね…) 鬼面山の表面は非常に暗闇であり無数の霊力の悪影響からか空気も全体的に重苦しい。 「こんなにも空気が重苦しいなんて…普通の人間なんて近寄れないでしょうね…」 桜花姫は恐る恐る鬼面山へと突入する。周辺はゴツゴツの岩壁ばかりで動植物は確認出来ない。 「昼間なのに真夜中みたいな雰囲気だわ…」 すると山道の周辺より…。 霊力だわ…悪霊かしら?」 無数の霊力が近寄るのを感じる。 (天道眼…発動!) 警戒した桜花姫は即座に瞳術の天道眼を発動…。血紅色だった両目の瞳孔が半透明の瑠璃色へと発光する。直後…。目前の地面より無数の食人餓鬼が出現したのである。 「食人餓鬼の大群なんて…久方振りね♪」 彼女は久方振りの悪霊との遭遇に大喜びする。 「悪霊を蹴散らせるわよ♪」 地面から出現した無数の食人餓鬼が桜花姫に殺到したのである。 「死滅しなさい♪」 桜花姫は即座に念力の妖術を発動…。殺到する無数の食人餓鬼の頭部を破裂させたのである。 「楽勝♪楽勝♪」 周辺の地面には頭部を破裂させられた無数の食人餓鬼の血肉が散乱する。桜花姫は一安心するものの…。背後からも無数の霊力を感じる。 「背後?」 背後の地面からも無数の食人餓鬼が出現したのである。 「鬱陶しい奴等だわ…」 苛立った桜花姫であるが…。 「あんた達も死滅しなさい♪」 背後から殺到する食人餓鬼を念力の妖術によって粉砕する。一瞬で食人餓鬼の大群を仕留めたのである。 「妖力を消耗しちゃったから桜餅に変化させちゃおうかしら♪」 彼女はルンルンした気分で変化の妖術を発動…。破裂させた無数の食人餓鬼の肉片を自身の大好物である桜餅に変化させる。 「消耗しちゃった妖力を回復させないと♪」 本来は悪霊の血肉であるが桜花姫は無我夢中に無数の桜餅を頬張る。数分後…。道端に散乱した無数の桜餅をパクパクと平らげたのである。 「妖力は回復したわね♪」 桜餅によって妖力を回復させた直後…。 「えっ!?」 背後より複数の霊力を感じる。 「霊力を感じるわね…」 (食人餓鬼を上回る霊力だわ…一体何かしら?) 恐る恐る背後を警戒するなり…。 「今度の相手は集合体の百鬼食人餓鬼かしら?悪霊の親玉が三体も出現するなんてね♪」 桜花姫の背後に出現した悪霊は無数の食人餓鬼が一体化した百鬼食人餓鬼であり三体も出現したのである。百鬼食人餓鬼の出現に桜花姫は大喜びする。 (私は空腹だから好都合だわ♪) すると百鬼食人餓鬼の体表である無数の食人餓鬼がギョロッと桜花姫を睥睨したのである。 「気味悪さだけは抜群ね♪」 百鬼食人餓鬼の体表である食人餓鬼の口先から猛毒の瘴気を放出する。 (瘴気かしら?) すると地面の石道が融解されたのである。 (百鬼食人餓鬼の瘴気は非常に強力ね…皮膚に接触すると危険そうだわ…) 桜花姫は即座に妖力の防壁を発動…。百鬼食人餓鬼の瘴気を無力化したのである。 「鬱陶しいからあんた達は飴玉に変化しなさい♪」 変化の妖術を発動…。三体の百鬼食人餓鬼を大好きな飴玉に変化させたのである。桜花姫は飴玉に変化した百鬼食人餓鬼をパクッと頬張る。 「美味だわ♪」 大喜びした桜花姫であるが直後である。鬼面山の天辺より強大なる霊力を感じる。 「今度は何かしら?」 (天辺から霊力を感じるわ…) 気になった桜花姫は一目散に鬼面山の天辺へと直行したのである。天辺に到達した桜花姫は周囲を警戒する。 「食人餓鬼を上回る霊力なのは確実ね…」 すると背後から強烈なる熱気を感じる。 「熱気!?」 彼女は恐る恐る背後を直視するなり…。 「天辺の霊力の正体はあんただったのね…」 桜花姫の背後に出現したのは空中を浮遊する牛車の車輪である。超高温の火炎に包まれた車輪の中心部には僧侶らしき頭部が確認出来る。 「あんたは車輪の悪霊…【天空輪入道】ね…」 (此奴は殺された僧侶の悪霊だったかしら?) 天空輪入道とは戦乱時代にて惨殺された僧侶達の悪霊の集合体である。すると天空輪入道は空中を浮遊した状態から桜花姫を睥睨する。 「命知らずの人間の小娘が…鬼面山の天辺に到達するとは無謀なり!」 天空輪入道は人間界の公用語で発言したのである。天空輪入道の人間の小娘発言に桜花姫は腹立たしくなる。 「誰が人間の小娘ですって!私は最上級妖女なのよ!」 桜花姫は強気で返答する。 「随分強気であるな…最上級妖女の小娘よ…」 「如何やら鬼面山の霊力の正体はあんただったみたいね♪」 「命知らずの妖女の小娘…俺に遭遇したのを後悔せよ!」 天空輪入道は口先に強烈なる火炎を凝縮させる。 (予想外ね…食人餓鬼は勿論…百鬼食人餓鬼の霊力よりも強力だわ…) 食人餓鬼の集合体である百鬼食人餓鬼をも上回る霊力に桜花姫は一瞬後退りする。 「戦慄したか!か弱き小娘の妖女よ!」 桜花姫は笑顔で反論したのである。 「誰が戦慄ですって♪」 天空輪入道の口先に凝縮された火炎は高熱の火球へと変化する。 「死滅せよ!」 天空輪入道は口先から高熱の火球を発射したのである。桜花姫は即座に妖力の防壁を発動…。天空輪入道の火球を無力化したのである。 「危機一髪ね♪」 「妖力の防壁で無力化したか…」 「私も猛反撃しちゃうわよ♪桜餅に変化しちゃいなさい♪」 桜花姫は天空輪入道に変化の妖術を発動するものの…。天空輪入道は浮遊した状態であり桜餅に変化しない。 (えっ!?如何して!?) 「如何して妖術が発動しないの!?」 予想外の事態に桜花姫は驚愕する。 「残念だったな…妖女の小娘よ♪貴様の妖術は俺には通用しない!」 「念力の妖術だったら如何かしら…」 今度は天空輪入道に念力の妖術を発動するのだが…。天空輪入道は平然とした状態であり念力の妖術さえも発動されない。 「如何して私の妖術が無力化されるのよ…」 天空輪入道は動揺する桜花姫に…。 「本来俺の肉体は霊魂巨神木の肉片から誕生した器物であるからな♪貴様程度の妖術では俺は仕留められまい!貴様が俺に妖術を発動すれば貴様の妖力は必然的に俺の肉体に吸収されるだけだ!」 「妖力を吸収するなんて…小面蜘蛛みたいね…」 本来天空輪入道の肉体は霊魂巨神木の木材から誕生した器物の悪霊であり地方では付喪神とも呼称される。妖術で天空輪入道に攻撃すると本体の吸収能力によって妖力を吸収され…。妖術は無力化される。 「貴様程度の妖術では俺には勝利出来ない!観念せよ!」 豪語する天空輪入道であるが…。 「半年前の私だったら悪戦苦闘は確実だったかも知れないわね♪」 桜花姫は余裕の表情である。 「ん?」 (此奴…俺を相手に随分と余裕だな…) すると桜花姫はニコッと微笑む。 「口寄せの妖術なら如何かしら♪」 「口寄せの妖術だと?」 桜花姫は神通力を利用するなり…。口寄せの妖術を発動する。桜花姫は俗界とは異世界より近代兵器である小型対空ミサイルを鬼面山天辺へと一瞬でワープさせる。 「なっ!?異次元空間から火箭弾を口寄せしたのか?」 口寄せの妖術は別名時空間妖術である。多種多様の生命体のみならず…。異世界に存在する物品すらも自由自在に口寄せ出来る。異世界から口寄せされた小型対空ミサイルの導火線に火炎の妖術で着火…。小型対空ミサイルは飛翔すると鬼面山の天辺に浮遊する天空輪入道へと直撃したのである。 「異世界の火箭弾で死滅するのね♪」 「ぎゃっ!」 小型対空ミサイルの直撃により天空輪入道の肉体はバラバラに粉砕される。地面には天空輪入道の肉片が彼方此方に散乱する。 「今度こそ桜餅に変化しなさい♪」 桜花姫は変化の妖術を駆使するなり…。バラバラに粉砕された天空輪入道の肉片を大好きな桜餅に変化させる。 「空腹だし桜餅を食べちゃおうかしら♪」 彼女はムシャムシャと桜餅を平らげる。無我夢中に桜餅を頬張る桜花姫であるが…。背後より強大なる複数の霊力を感じる。 「えっ?」 (今度は何かしら?) 背後を警戒するなり…。 「鬱陶しいわね…天空輪入道が三体も出現するなんて…」 彼女の背後には三体の天空輪入道が出現したのである。 「こんな妖女の小娘が俺の分身体を死滅させるとは…」 「如何やら貴様は普通の妖女とは別格であるな…」 「ひょっとして貴様…一握りの最上級妖女だな?」 桜花姫は笑顔で発言する。 「勿論私は最上級妖女なのよ♪其処等の妖女とは別格だからね♪あんた達も変化の妖術で桜餅に変化させるわよ♪」 三体の天空輪入道は即答したのである。 「こんな小娘を相手に…本領を発揮させられるとは…」 三体の天空輪入道の肉体がピカッと発光したかと思いきや…。 「えっ!?一体何事!?」 三体の天空輪入道が融合すると牛車の悪霊へと一体化したのである。 「ヨウジョノコムスメ…キサマヲヒキコロシテヤル…」 「厄介なのが出現したわね…」 (此奴は今迄に出現した悪霊とは桁違いの霊力だわ…) 桜花姫は牛車の悪霊を直視するなり恐る恐る後退りする。 「三体の天空輪入道が一体化して…牛車の悪霊…【朧戦車】が出現するなんて…」 (此奴…今迄出現した悪霊とは別格みたいだわ…) 朧戦車とは戦乱時代に斬首された武将達の怨念が融合化した集合体である。本体である牛車の前方部分には鬼首が確認出来る。霊力のみなら最上級の悪霊である。 (畜生…こんな悪霊は妖力を発動したとしても吸収されるでしょうね…如何しましょう…) 朧戦車の肉体も霊魂巨神木の木材から誕生した器物の悪霊であり妖力を駆使しても確実に吸収される。 「ヨウジョノコムスメヨ!シメツセヨ!」 口先より蛍光色の火球を発射する。直後…。桜花姫は妖力の防壁により火球を無力化するも火球の爆発力により吹っ飛ばされる。 「きゃっ!」 朧戦車の攻撃力は桁外れであり妖力の防壁でも本体を防ぎ切るのが精一杯だったのである。 (妖力の防壁を発動しなければ全身がバラバラだったわね…) 朧戦車の攻撃に吹っ飛ばされた桜花姫は地面に横たわる。 「コノママキサマヲヒキコロシテヤル…ヨウジョノコムスメ!カクゴセヨ!」 「ぐっ!」 (一か八か口寄せの妖術で…) 桜花姫は一か八かの苦肉の策により口寄せの妖術を発動する。朧戦車に轢死させられる寸前…。 「ナッ!?ニンゲンノツクッタタイホウダト!?」 桜花姫は口寄せの妖術によって超未来の世界で製造されたであろう最新式の巨大戦艦型固定砲台を口寄せしたのである。 「死滅するのはあんたよ!朧戦車!」 朧戦車の前面に出現した巨大戦艦型固定砲台が突進する朧戦車を砲撃…。 「ギャッ!」 巨大戦艦型固定砲台の砲撃によって朧戦車はバラバラに粉砕させる。 「朧戦車を仕留めたわね♪久方振りの強敵だったわ…」 すると鬼面山から霊力が感じられなくなる。 「無事に事件は解決かしら♪」 危機一髪朧戦車に辛勝した桜花姫は一安心する。 「消耗しちゃった妖力を回復させないと♪」 変化の妖術を発動するなりバラバラに粉砕された朧戦車の肉片を無数の桜餅に変化させる。桜花姫は無我夢中に桜餅を頬張ったのである。 (満腹♪満腹♪) 「悪霊事件も無事に解決出来たし…西国に戻りましょう♪」 桜餅を腹一杯平らげた桜花姫は鬼面山から下山する。
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