ホームに戻る > スレッド一覧 > 過去ログ > 記事閲覧
[765] 素材提供
日時: 2026/07/29 20:17
名前: 黒狼武者 ID:eSd4Sxzo

>>1

第一話

隕石
太平洋の中央には小大陸〔エルピスコロニア〕と呼称される辺境の絶島が存在する。此処は自然が豊富であり大勢の原住民達が安住したのである。世界暦五千七百二十一年六月中旬の時期…。小大陸エルピスコロニアでの出来事である。島内の中心部に聳え立つ最高峰ギガントロックの頂上にて一人の青年が広大無辺の青空を眺望する。
『やっぱり此処は長閑だな…』
地上は大戦争によって世界各地の彼方此方が荒廃化したのである。世界全体は空前絶後の大混乱期であったが…。文明やら科学技術とは無縁のエルピスコロニアだけは平和だったのである。
『宇宙の彼方には何が存在するのかな?』
青年の名前は【ストレイダス】…。体格は男性としては比較的小柄であり頭髪が黒髪なのが特徴的である。年齢は二十九歳であるが…。常日頃から自由自在に広大無辺の大空を浮遊したいと夢見る。
『俺も鳥類みたいに大空を飛行したいな…』
ストレイダスは村落一番の力自慢であり力仕事のみなら彼に拮抗する人物は存在しない。上記の理由により次期村長候補に任命されるのだが彼自身は非常に大雑把であり面倒に感じる。
『北方地帯に戻らないと村長の野郎が口煩いからな…』
生真面目の村長とは性格が不一致であり落胆したのである。
「はぁ…」
ストレイダスが一息した直後…。
「ん?」
突如として頭上から轟音が響き渡る。
『轟音か?』
ストレイダスは恐る恐る上空を直視したのである。
「えっ…」
上空の光景に絶句…。脳内が白色化したのである。
『一体何が!?』
上空には三十センチメートルサイズの隕石が超高速で急接近…。対するストレイダスは目前の光景に絶句する。
『隕石なのか!?』
上空の物体が小型の隕石であると認識した直後…。小型の隕石はギガントロックの頂上へと落下したのである。小型隕石の爆発音は近辺の村落は勿論…。エルピスコロニア全域へと響き渡ったのである。
「うわっ!」
ストレイダスの現在地は小型隕石の落下地点から数メートル程度の近距離とされ…。爆風と衝撃波が彼を強襲したのである。ストレイダスは隕石の落下地点から十数メートル程度吹っ飛ばされ…。
「ぐっ!」
全身が地面に激突する。
「ぐっ…」
『畜生が…』
ストレイダスは地面の激突により全身を骨折したのである。
『身動き出来ないか…』
全身の苦痛により身動き出来なくなる。
「はぁ…」
すると目前の視界が黒化し始め…。
『俺は…こんな場所で死んじまうのか?』
次第に意識が遠退き始める。
『正直…もう少しだけ…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟したのである。
『もう少しだけでも…長生きしたかったな…』
数秒間が経過…。ストレイダスの意識が消失したのである。

第二話

治癒
最高峰ギガントロックの頂上へと落下した小型の隕石はエルピスコロニア全域へと響き渡る。
「一体何が…」
「轟音は…頂上からだったよな?」
登山中の二人の村民達は畏怖するも頂上へと移動したのである。
「うわっ…」
「クレーターか…一体如何してこんな状態に?」
頂上の光景に驚愕する。頂上には直径二十メートル前後のクレーターが形作られ…。クレーターの中心部には三十センチメートルサイズの岩石が確認出来る。
「此奴は隕石なのか?」
「ん!?誰だ!?」
クレーターの近辺にて地面に横たわった状態の怪我人を発見する。
「怪我人だぞ!大丈夫か!?」
怪我人は小柄の成人男性だったのである。上半身は血塗れ…。全身の衣服はボロボロであり瀕死の状態だったのである。
「隕石で吹っ飛ばされたのか?」
「不運だったな…こんな状態では…」
生存は絶望的であり二人は瀕死の成人男性を気の毒に感じる。すると直後…。
「えっ…」
「現実なのか?」
成人男性は瀕死の状態であったが突如として全身の外傷が治癒し始める。外傷は数秒間で完治…。成人男性は目覚めたのである。
「うっ!俺は…死んじまったのか?此処は天国なのか?」
成人男性は記憶が曖昧なのか周囲をキョロキョロさせる。
「誰かと思いきや…あんたは力自慢のストレイダス!?」
「大丈夫なのかよ!?」
成人男性は誰であろう力自慢のストレイダスだったのである。
「えっ?大丈夫そうだが…」
ストレイダスは自身の全身を確認すると絶句し始める。
『衣服がボロボロだな…上着は血塗れだし…』
鮮血により白色の上着が赤化したのである。
「戻って入浴しないと…」
ストレイダスが歩行する直前…。
「ストレイダス?歩いて大丈夫なのか?」
「血塗れだし…」
二人の村民達はストレイダスを心配する。
「大丈夫だよ…外傷は無さそうだし手足はピンピンに動けるからさ…」
ストレイダスはピンピンした様子であり下山したのである。
「ストレイダス…本当に元気だな…」
「彼奴は不死身なのか?」
小柄の村民が恐る恐る…。
「先程のストレイダスの治癒力…異常だったよな?全身血塗れの状態だったのに…数秒間で治癒するなんて…」
すると大柄の村民も小声で発言する。
「ストレイダスは人一倍元気だけど…普通は失血死しても可笑しくないよ…彼奴は如何しちまったのやら…ストレイダスは本当に不死身だったのか?」
ストレイダスは幼少期から免疫力は人一倍根強く怪我も一日で治癒したのである。二人の村民達はストレイダスの様子に愕然とする。

第三話

次期村長候補
同日の夕方…。ストレイダスは自宅でゴロゴロする。
「はぁ…」
『今日は草臥れたぜ…隕石で吹っ飛ばされるなんて予想外だな…』
すると誰かがコンコンッと自宅のドアをノックしたのである。
「ん?こんな時間帯に誰だろう?」
ストレイダスは玄関へと移動するとドアを開放させる。
「ストレイダスよ…体調は如何なのだ?」
「えっ…村長!?」
訪問者は村長のウィルフィールドでありストレイダスは驚愕する。
「村民達の噂話では隕石で吹っ飛ばされたとか…其方は大丈夫なのか?」
ウィルフィールドはストレイダスの状態を心配したのである。
「俺なら大丈夫ですよ♪俺は肉体だけなら人一倍頑丈なので石ころなんかで死にませんよ!村長は心配性ですね♪」
ストレイダスは自負する。
「ストレイダスが元気なのは周知の事実だが…無理するなよ…何たって其方は次期村長候補なのだからな…」
「えっ?はぁ…」
ストレイダスは次期村長候補の発言に苦笑いしたのである。
『やっぱり村長の口癖は面倒臭いな…次期村長なんて御免だよ…』
彼にとってウィルフィールドの口癖はストレスに感じる。するとウィルフィールドは小声で…。
「偶然にも…天空世界から隕石が落下するとは…恐らく今後…世界各地で天変地異が発生するかも知れないな…」
「天変地異ですって?」
ストレイダスはウィルフィールドの小声に反応したのである。
「近頃…感じるのだよ…」
時たまであるが…。ウィルフィールドは未来を予知出来る。契機としては幼少期の海水浴で事故に遭遇…。海中に溺れ掛けるも両親に救助されたのである。事故から数日後…。未来の出来事を予見出来る能力が発現したのである。
「村長?一体…世界では何が発生するのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「非常に曖昧かも知れないが…世界各地に怪物らしき巨体が暴れ回り…各国は停戦するだろう…」
「えっ…停戦ですって!?」
今現在世界各国は経済の不景気により戦争中である。世界各地の彼方此方が戦争の影響で荒廃化…。戦争による被害は拡大化する。
「怪物を相手に奮闘中の戦士らしき存在も認識出来たのだ…ひょっとして世界の救世主だろうか?」
「怪物と…戦士ですって?」
ウィルフィールドの表現は非常に曖昧であり現実味は皆無である。
『本当に曖昧だな…怪物とか戦士って何だろう?』
一方のストレイダスは内心珍粉漢粉であり苦笑いする。
「少なくとも世界全体で異変が発生するのは事実だろう…」
数秒間が経過するとウィルフィールドは自宅へと戻ったのである。
「世界全体で天変地異なんて…」
『本当に発生するのかな?巨体の怪物とか…世界の救世主とか…古代の神話みたいな内容だよな…』
先程のウィルフィールドの発言は非現実的であり大昔の神話みたいに感じられる。

第四話

停戦
隕石事故から半年後の十二月中旬の時期である。世界各国は依然として戦争中であったが…。十二月が経過した時期から海中より正体不明の移動物体の目撃情報が世界各地に伝播したのである。同年の十二月十三日…。とある大国の大型潜水艦が正体不明の巨大移動物体と衝突する大事故が発生したのである。大型潜水艦は沈没こそ免れたが…。艦体は大破したのである。正体不明の巨大移動物体による大型潜水艦の衝突事故から二日後…。今度は別の国軍の艦隊が作戦行動中に正体不明の巨大移動物体と遭遇する。魚類らしき背鰭と尾鰭が確認出来…。正体不明の巨大移動物体は全長数十メートル規模の魚類であると判明したのである。艦隊は回避行動を開始するのだが…。一隻のミサイル艦が魚類らしき移動物体と衝突したのである。巨大移動物体と衝突した影響によりミサイル艦は沈没…。艦隊は即座に対潜戦闘を開始するのだが巨大移動物体は想像以上に高速であり行方を見失ったのである。以後も各海域で各種船舶が魚類らしき巨大移動物体と遭遇…。場合によっては衝突する事故が多発したのである。一連の超常現象から月日が経過…。世界暦五千七百二十二年五月七日未明の出来事である。午前八時半…。
「各国の停戦って本当なのかよ!?」
「えっ…長期化した戦闘がこんなにもピタッと停戦するなんて…」
各国間の停戦の情報は辺境のエルピスコロニア全域にも知れ渡ったのである。エルピスコロニアは各国の停戦の動向により各村落が騒然とする。
「開戦から七年以上経過したけれど…各国が停戦するとは何が契機で?」
各村落は突然の朗報により騒然としたものの…。大勢の村民達は各国の停戦にホッとしたのである。すると一人の村民が恐る恐る…。
「各国が停戦した理由だけど…如何やら規格外の怪物が戦場に出現したらしいぞ…」
「えっ!?規格外の怪物だって!?」
周囲の者達は怪物の一言に反応する。
「世界各地の戦場で巨体の怪物が何体も出現したらしいぞ…」
各国が戦争中に規格外の巨大不明生物の出現で各国軍の損害が増大化したのである。対する各国軍も通常兵器で巨大不明生物に応戦するのだが…。巨大不明生物には各国軍の如何なる兵器も通用しなかったのである。各国の首脳陣は巨大不明生物の出現により停戦を決行…。各国軍は巨大不明生物の排除を優先したのである。
「非現実的だな…怪物の出現なんて本当なのかよ?」
「怪物の出現で終戦なんて皮肉だよな…」
「本当に怪物が出現するなんて…村落に出現しないか心配だよ…」
「やっぱりウィルフィールド村長の未来予知は本当だったのか…」
大半の者達がウィルフィールドの予言を単なる妄言程度の認識であったが…。今回の超常現象から怪物の存在を確信したのである。
『怪物か…やっぱり村長の予言は本当だったな…』
村道を通り掛かったストレイダスは村民達の噂話を盗み聞きする。
『村長の予言では地球上に救世主が出現するらしいけれど…一体誰なのかな?』
ストレイダスは救世主の存在が何者なのか気になったのである。

第五話

恐竜型
全世界各国の停戦表明から五日後の深夜帯…。エルピスコロニア北方地帯での出来事である。村民達はスヤスヤと睡眠中だったのだが…。突如として北方の海岸から爆発音と猛獣らしき咆哮が北方地帯全域に響き渡ったのである。
「うわっ!」
一方のストレイダスは自宅の寝室にて熟睡中であったが…。突然の爆発音と猛獣らしき轟音により飛び起きたのである。
『一体何が!?』
今度は大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。気になったストレイダスは恐る恐る外部へと移動したのである。大勢の村民達が村道を逃走…。反対方向から弓矢を装備した義勇兵達が総動員で海岸へと急行中だったのである。
「えっ…」
ストレイダスは外部の光景に愕然とする。
『前代未聞の光景だな…』
ストレイダスは村道へと移動…。義勇兵達に追尾したのである。移動中…。再度爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡る。
『咆哮だ…海岸には何が出撃したのかな?』
義勇兵達を追尾してより数分後…。ストレイダスは海岸へと到達したのである。
「なっ!?」
ストレイダスは海岸の光景に驚愕…。現実の出来事なのか理解出来なくなる。
『此奴は…恐竜なのか!?』
海岸の砂浜には体高十二メートル前後の恐竜らしき怪物が直立…。全身が凸凹の岩石らしき皮膚が特徴的である。
「狼狽えるな!此処で怪物を仕留めろ!」
義勇兵の部隊長が攻撃を指示…。数十本もの毒矢が発射されたのである。多数の毒矢が怪物の皮膚に命中するのだが…。
「畜生…ビクともしないな…」
怪物の皮膚は岩石みたいに硬質であり毒矢は非力だったのである。
「部隊長殿…駄目です…」
「こんな装備では…」
周囲の義勇兵達は毒矢が通用しない怪物に畏怖し始め…。絶望する。現実問題としてエルピスコロニアは外界の科学技術とは無縁の排他的社会である。当然として科学技術は未発達であり外界では主流とされる近代的装備は皆無…。武器は時代錯誤の棍棒やら弓矢が関の山だったのである。
「駄目だ!此処で怪物を仕留めなければ村落が壊滅するのだぞ!」
部隊長は怒号するのだが…。
「怪物が!?」
直後である。恐竜型の怪物が口部を開口し始め…。口内から高熱の火球を放射したのである。
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
火球は義勇兵達に直撃…。彼等の肉片が一瞬で炭化したのである。海岸の砂浜には炭化した義勇兵達の肉片が彼方此方に散乱する。
「えっ…」
ストレイダスは彼等の惨劇に恐怖したのである。一方恐竜型の怪物がストレイダスの方向を直視し始め…。ギロリと睥睨したのである。
「ひっ!」
ストレイダスは極度の恐怖心により身動き出来なくなる。
『畜生…逃げたいのに逃げられない…』
すると恐竜型の怪物は再度口部を開口…。ストレイダスを標的に口内から高熱の火球を放射したのである。
「はぁ…」
『今日が…俺の命日か…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟する。

第六話

協力者
ストレイダスは火球に直撃…。意識が消失したのである。火球が直撃してより時間が経過…。
「ん?えっ…此処は?」
ストレイダスはとある密室にて目覚める。
『俺は恐竜みたいな怪物に遭遇してから殺されて…此処は死後の世界なのか?』
ストレイダスは周囲をキョロキョロさせる。すると目前のドアが開放され…。背広姿の男性が入室する。
「目覚められましたか…ストレイダス様…」
背広姿の男性は頭髪が金髪…。瞳孔は碧眼であり大柄の白人男性だったのである。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは状況が理解出来ず返答に困惑する。
『誰だろう?天使なのか?姿形だけなら人間みたいだな…』
目前の白人男性が天使なのか思考したのである。
「私の名前は【フィルドルク】です♪突然の出来事なので貴方が理解出来ないのは当然でしょう♪」
フィルドルクと名乗る白人男性は満面の笑顔で発言する。一方のストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「俺は怪物に殺されて…此処は死後の世界の天国ですか?貴方は天使ですか?」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けにクスクスと微笑し始める。
「こんなにも連続的に超自然的現象と遭遇すれば混乱するでしょうね♪此処は潜水艇の内部ですよ♪天国とは無縁の世界です♪」
「潜水艇の…内部?」
「貴方は正真正銘完全なる生者なのですから♪」
「えっ…俺が…生者ですって!?」
『俺は怪物の火球で吹っ飛ばされたのに…命拾い出来たのか!?』
ストレイダスは自身が生者である事実に驚愕し始め…。再度混乱したのである。
「貴方は地上の怪物と遭遇してから…」
ストレイダスは先程の恐竜型の怪物に攻撃され…。海面上へと吹っ飛ばされたのである。一方のフィルドルクは潜水艇で航行中…。暗闇の海中にてストレイダスを発見したのである。
「俺は貴方に救助されたのですね…感謝します…」
ストレイダスは命拾い出来…。フィルドルクに感謝したのである。
「私の正体は民間の宇宙開発企業の社長とでも♪当然として貴方の協力者なのは断言出来ますが♪」
「えっ…宇宙?開発企業の…社長?」
『俺の協力者だって?失礼かも知れないけれど…』
ストレイダスはフィルドルクに警戒する。
『正直胡散臭い雰囲気だな…』
フィルドルクは見ず知らずの人物であり内心胡散臭いと感じる。
「貴方が俺を此処に移送したのですか?」
「無論ですね♪」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。
「貴方は唯一無二の地球の救世主なのですから♪ストレイダス様が死去されたら一体誰が地球を守護されるのでしょうか?」
「俺が…地球の救世主ですって?」
「貴方は去年の六月頃…隕石で大怪我されたでしょう?私は後日…隕石の落下地点で落下した隕石と…貴方の血液を入手したのですよ♪」
去年の六月…。隕石の落下を察知したフィルドルクは単独調査を目的にエルピスコロニアへと上陸したのである。最高峰のギガントロック頂上にて隕石とストレイダスの血液を入手…。独自で隕石の詳細とストレイダスの血液を調査したのである。
「調査の結果…世紀の大発見ですよ♪人類の歴史が変化するでしょうね♪」
フィルドルクは大喜びする。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは珍粉漢粉であり再度苦笑いしたのである。
「ギガントロックに落下した隕石はペストロと命名される深宇宙の特殊性物質なのですよ♪」
「ペストロ?」
ストレイダスは専門用語に困惑する。
「ペストロは惑星の爆発によって発生する物質なのですよ♪恐らく辺境の宙域で惑星が爆発したのでしょう…」
特定の惑星の爆発によってペストロと呼称される特殊性の物質が発生…。隕石として地球上に落下したのである。
「ですがペストロって物質と落下地点の血液が如何したのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「隕石の落下地点の血液を調査した結果…ペストロの物質が検出されたのです…今現在のストレイダス様の血液と一致したのですよ…」
フィルドルクはストレイダスの身体髪膚を検査した結果…。ストレイダスの血液がギガントロックで発見した血液と一致したのである。
「えっ…」
ストレイダスは絶句する。
「今現在の貴方の肉体は常人とは比較出来ない領域へと進化したのです…」
ストレイダスは隕石の影響から全身がペストロの細胞へと変異したのである。
「えっ…進化?」
「貴方は隕石の影響により…細胞レベルで変異したのでしょう…」
ストレイダスは恐る恐る全身の皮膚に接触し始める。皮膚に接触すると筋肉が金属類みたいに硬質だったのである。
「実際ストレイダス様は怪物に攻撃されても死にませんでした…貴方の生命力が超越的だと証明されたのです♪」
フィルドルクは満面の笑顔で銀色の密着性の全身スーツ…。携帯型の電子機器を手渡したのである。
「全身タイツと…小箱みたいな小道具ですね…一体何でしょうか?」
エルピスコロニアでは文明社会の電子機器が出回らずストレイダスは携帯型の電子機器に興味深くなる。
「本日より貴方はペストロの超人…【ペストロマン】なのです♪」
フィルドルクはストレイダスをペストロマンと命名する。
「ペストロマン!?」
「今現在の貴方であれば先程の怪物と互角以上に接戦出来るでしょう♪貴方は地球上で最強の戦士なのですから♪」
ストレイダスはフィルドルクの発言に動揺し始める。
「フィルドルクさん!無茶ですよ!先程の恐竜みたいな怪物に…真正面から接戦なんて正気ですか!?」
「ストレイダス様は心配性ですね♪」
対するフィルドルクは動揺し続けるストレイダスに断言する。
「心配しなくてもストレイダス様のデータを計算した結果…今現在の貴方はペストロの効果によって常人の三百人分のパワーは発揮出来ましょう♪」
「三百人分って…」
『大袈裟だし…胡散臭いな…』
フィルドルクの発言が信用出来なかったのである。
「先程貴方に手渡した必須アイテムですが…一つ目はペストロマンが着用するので〔ペストロスーツ〕とでも命名しましょうか♪」
ペストロスーツは宇宙で発見された特殊繊維で製造…。密着性の全身スーツである。本来は宇宙空間での活用を目的に製造された代物とされ…。太陽型の恒星内部でも活動出来るとされる。
「二つ目のアイテムは怪物を発見するのに必須の〔ハイパーセンサー〕です♪」
ハイパーセンサーとは近年発生した巨大未確認不明生物の出現に対応する目的で開発された代物である。地球上であれば巨大未確認不明生物があらゆる場所に出現しても生体反応を正確にキャッチ出来…。瞬時に出現地点を特定出来る。
「当然としてペストロスーツとハイパーセンサーは無料で提供しますからね♪」
すると直後…。ハイパーセンサーの中心部のレンズが点滅したのである。
「うわっ!中心の硝子が点滅した!?」
ストレイダスは突然のハイパーセンサーの点滅に驚愕する。
「如何やらハイパーセンサーが怪物の生体の居場所をキャッチしたみたいですね♪」
「一体如何すれば…」
ストレイダスは困惑したのである。
「貴方が出動する以外に選択肢は存在しません…早速ストレイダス様は怪物を退治するべきかと…」
フィルドルクは携帯型のホログラム装置を作動させる。
「えっ…一体何が!?」
ストレイダスはホログラム装置に反応したのである。するとホログラム装置の上部にて立体化された恐竜型の怪物が映写される。
「怪物だ…」
恐竜型の怪物は村里を襲撃…。大勢の村民達が逃亡する光景がホログラム装置から鮮明に確認出来る。
「ストレイダス様…此処で長居し続ければ村落の被害が拡大する一方ですよ…」
ストレイダスは両目を瞑目し始め…。沈黙したのである。
『一か八かだな…』
一息する。
「承知しました…俺は…怪物を退治しますよ…」
ストレイダスは決意したのである。
「ストレイダス様♪決断されたのですね♪」
フィルドルクはストレイダスの決意に大喜びする。一方のストレイダスはペストロスーツを凝視し続ける。
『神話の…英雄みたいな衣装だけど…』
ペストロスーツの着用には抵抗を感じるのだが…。
『止むを得ないな…』
ストレイダスはペストロスーツを着用したのである。数分後…。
「少しだけチクチクしますが…やっぱり動き易いですね…」
ペストロスーツは全身にフィット…。全体的に動き易いと感じる。
「ですがやっぱりストレイダス様は屈強の体格ですね…」
ストレイダスは全体的に筋肉質であり余計に屈強さが際立ったのである。
「実際俺は村里では一番の力自慢ですからね…」
「であれば怪物相手でも大丈夫でしょう♪」
ストレイダスは恐る恐る…。
「早速此処から脱出したいのですが…一体如何すれば?」
「心配しなくても大丈夫ですよ♪ストレイダス様♪」
フィルドルクはストレイダスをとある密室へと案内したのである。
「床下の装置は…何ですか?」
床下には円形の装置が確認出来る。
「床下の装置は最新型のテレポート装置ですよ♪円内であればあらゆる物体を目的地にワープさせられます♪」
密室の装置はオーバーテクノロジーによって開発されたテレポート装置である。円形の内部に特定の物体を設置…。目的地を設定すると数秒間で物体をワープさせられる。

第七話

開戦
ストレイダスはテレポート装置によって海岸の砂浜へとワープする。
『此処は海岸の砂浜だな…』
先程の出来事を想起…。
『フィルドルクさんもだけど…』
先程の数多くの未来的道具に愕然とする。
『やっぱり外界の文明レベルは桁違いだな…』
すると直後…。頭部がズキズキする。
「うっ…」
『何だろう?遠方から気配を感じる…』
何故なのかは不明だが…。村落から気配を察知出来たのである。
『ひょっとするとペストロって隕石の影響なのかな?』
ストレイダスは自身の肉体の異変を自覚し始める。
『先程の怪物…仕留められるのかな?』
正直不安であったが…。村落へと急行したのである。移動中…。爆発音やら大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。
『物凄い騒音だ…やっぱり怪物は村落に進攻したみたいだな…』
移動してより数分後…。
「えっ…」
北方地帯の彼方此方が火炎の地獄であり各家屋が炎上したのである。
『北方地帯が…』
ストレイダスは非日常的光景に絶句…。真夜中の深夜帯なのに火災の影響で北方地帯全域が赤色に染色する。
『怪物を発見し次第仕留めないと…』
すると近辺の山奥より…。怪物の咆哮が響き渡る。
『怪物か…』
ストレイダスは山奥へと急行する。急行してより数分後…。山道にて先程の恐竜型の怪物を発見したのである。
「怪物だ!」
一方の恐竜型の怪物は反応し始め…。背後のストレイダスを凝視したのである。怪物は殺気立った形相でギロリと睥睨する。
「うっ…」
『こんな怪物…本当に俺だけで仕留められるのか?』
ストレイダスは恐怖…。全身がプルプルと身震いしたのである。すると携帯式のハイパーセンサーがピピッと作動し始める。
「ん?ハイパーセンサーか?」
恐る恐るハイパーセンサーを起動…。
「何だろう?」
すると画面より怪物の名称と危険度が表示されたのである。
「【ギガントサウルス】?危険度は…中度?」
恐竜型の怪物は高熱恐竜ギガントサウルスと表示され…。危険度は中度と表示されたのである。
『怪物はギガントサウルスって名前なのか…』

Page: 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

桜花姫 ( No.28 )
日時: 2021/08/17 09:41
名前: 月影桜花姫

第四話

アクアユートピア

人魚に変身した桜花姫とアクアヴィーナスが深海底地帯のアクアユートピアへと移動中…。深海底地帯の失楽園『ネクロデストピア』では魔女が魔法の水晶玉にて直進中の彼女達の様子を観察する。
「えっ?アクアユートピアの赤毛の人魚と…同行者の小娘は一体何者なのかしら?」
魔法の水晶玉に投影された桜花姫を直視するなり彼女が何者なのか非常に気になる。
「異国の人魚みたいだわ…彼女は一体何者なの?」
深海底の魔女は死霊魔術を発動するなり…。殺害した人魚達を女性型アンデッドとして復活させる。
「下級アンデッド…【ネクロマーメイド】…彼女達を食い殺しなさい…」
ネクロマーメイドとは死霊魔術によって復活した人魚の女性型アンデッドであり嗜好品は生命体の血肉である。基本的には魚介類やら鯨類の血肉を捕食するものの…。場合によっては陸生動物やら人間の血肉をも捕食する。同時刻…。必死に力泳する桜花姫であるが移動中に極度の疲労を感じる。
「桜花姫?大丈夫なの?先程からあんたの顔色が…」
アクアヴィーナスは疲労する桜花姫を心配する。
「私なら大丈夫よ…」
「本当に大丈夫なの?」
「アクアヴィーナスは極度の心配性なのね…」
(正直息苦しいわ…)
心配するアクアヴィーナスに桜花姫は苦笑いの表情で返答したのである。
(深海底って予想外に体力と妖力を消耗するわね…)
深海底の自然環境は予想外に苛烈であり苦難に感じる。すると突如として無数の殺気を感じる。
(殺気だわ…一体何かしら?)
周辺は暗闇の深海底であるものの…。無数の殺気が彼女達に急接近するのを感じる。警戒する桜花姫にアクアヴィーナスは不安がる。
「桜花姫…如何しちゃったの!?」
「殺気を感じるの…」
「殺気ですって!?」
すると遠方の海中より全身血塗れの人魚達が出現…。彼女達に急接近する。
「えっ?人魚かしら?」
「えっ…」
「えっ?アクアヴィーナス?」
血塗れの人魚を直視したアクアヴィーナスはビクビクした様子で…。
「奴等は…ネクロマーメイドよ!」
「ネクロマーメイドって?」
「死亡した人魚の下級アンデッドよ…彼女達は色んな生命体の血肉を捕食するわ…」
「悪霊の食人餓鬼みたいな奴等ね♪」
桜花姫は即座に瞳術の天道眼を発動…。血紅色だった両目の瞳孔が半透明の瑠璃色に発光する。アクアヴィーナスは桜花姫の瞳孔を直視すると驚愕したのである。
「桜花姫の瞳孔が…」
(彼女の瞳孔はレッドアイだったのに…半透明のアクアカラーに発光するなんて…)
桜花姫は殺到する無数のネクロマーメイドを睥睨するなり…。
「深海底の悪霊…死滅しなさい♪」
直後である。突如としてネクロマーメイドが身動きしなくなったかと思いきや…。彼女達の全身が肥大化するとパンッと一瞬で破裂したのである。
「きゃっ!」
桜花姫の念力の妖術によって無数のネクロマーメイドは仕留められたものの…。予想外の超常現象にアクアヴィーナスはビクビクした様子で戦慄する。
「戦慄しなくても大丈夫よ♪アクアヴィーナス♪」
アクアヴィーナスは極度の戦慄によりビクビクと身震いしたのである。周辺はネクロマーメイドの無数の血肉が散乱する。
「念力の妖術で妖力を消耗しちゃったからね…」
今度は変化の妖術を発動…。念力の妖術により仕留めたネクロマーメイドの無数の血肉を大好きな桜餅に変化させる。
「人魚に変化した状態で妖術を発動しちゃうと全身の疲労が蓄積されちゃうのよね♪」
桜花姫はパクパクと桜餅を頬張り始める。
「アクアヴィーナス♪あんたも味見しないかしら♪桜餅は絶品よ♪」
「私は…遠慮するわ…」
アクアヴィーナスは悪食の桜花姫にドン引きしたのか気味悪くなる。
(異国の魔法使いはこんなにも荒唐無稽の魔法を使用するのね…)
数分後…。桜花姫は桜餅を完食する。
「アクアユートピアに直行して…極悪非道の魔女を仕留めるわよ♪」
同時刻…。ネクロデストピアでは魔女が水晶玉で桜花姫の様子を観察するのだが彼女の荒唐無稽の妖術に驚愕したのである。
(げっ!魔法で殺害したネクロマーメイドの肉片を異国のスイーツに変化させて頬張るなんて…)
「異国の魔法使いは予想外に厄介だし…何よりも発想が下劣だわ…」
殺害したネクロマーメイドの肉片を大好きな桜餅に変化…。無我夢中に桜餅を頬張り続ける桜花姫を直視するなり気味悪くなる。
(異国の魔法使いってこんなにも悪食で下劣なのね…)
魔女は一息するなり…。
「異国の魔法使いを相手するなら彼が適任かしら?」
魔女は召喚魔法を発動する。直後…。規格外に巨体の超大型クリーチャーを召喚したのである。
「彼なら異国の魔法使いが相手でも捕食出来るでしょうね…」
魔女が召喚魔法で召喚した異類の超大型クリーチャーは規格外に巨体であり本拠地の外部にて召喚される。姿形はワーム型の巨大生命体であり全身の皮膚には無数の人面が確認出来る。魔女は本拠地の窓際から巨体のクリーチャーに命令する。
「ワーム型アンデッド…【ネクロシーワーム】よ…あんたは即刻異国の魔法使いと小判鮫の人魚を捕食しなさい♪」
ネクロシーワームとは規格外に巨体のワーム型アンデッドであり溺死した人間達は勿論…。多種多様の魚介類の怨念が融合化した集合体である。性格は獰猛で強欲であり鯨類やら人魚は勿論…。場合によっては海面上の船舶を襲撃して人間の船員をも捕食する。ネクロシーワームは魔女の命令に服従…。即座に移動を開始したのである。同時刻…。桜花姫とアクアヴィーナスは必死にアクアユートピアへと直行する。
「一息頑張ればアクアユートピアに到達するわよ…」
アクアヴィーナスは桜花姫を直視したのである。
「えっ…桜花姫?」
桜花姫は非常に険悪化した表情であり彼女の息苦しそうな表情を直視するとアクアヴィーナスは極度に不安がる。
(大丈夫なのかしら?桜花姫…)
アクアヴィーナスは桜花姫に恐る恐る大丈夫なのか如何なのか問い掛ける。
「桜花姫?一体如何しちゃったの?大丈夫?」
すると桜花姫は警戒した様子で恐る恐る…。
「アクアヴィーナス…規格外の霊力が接近中よ…」
「えっ?規格外の…霊力ですって?」
(今度は何が出現するのよ!?)
アクアヴィーナスは全身がブルブルした様子で桜花姫に密着する。すると遠方の暗闇の海中より正体不明の移動物体が猛スピードで彼女達に急接近したのである。
「一体何かしら?」
規格外に巨体のワーム型の巨大クリーチャーが出現する。
「ひっ!」
アクアヴィーナスはワーム型の巨大クリーチャーを直視すると極度に戦慄したのである。
「こんな怪物に畏怖するなんてアクアヴィーナスは大袈裟ね…」
桜花姫は極度に戦慄するアクアヴィーナスに苦笑いする。
(小心者のアクアヴィーナスが太平神国の悪霊と遭遇しちゃえば確実に気絶するでしょうね♪)
アクアヴィーナスが太平神国の悪霊と遭遇する場面を想像すると桜花姫は内心大笑いしたのである。アクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に問い掛ける。
「桜花姫は…アンデッドに遭遇しても平気なの?」
桜花姫は笑顔で即答する。
「別に♪こんな怪物と遭遇するのは太平神国では日常茶飯事だからね♪」
「日常茶飯事って…」
(イーストユートピアって名前とは裏腹に相当物騒なのかしら?)
桜花姫の返答にアクアヴィーナスは絶句したのである。
「深海底にはこんな怪物が生息するのね…巨大蚯蚓かしら?」
「此奴はワーム型の巨大アンデッド…ネクロシーワームよ!大型の鯨類だって簡単に食い殺しちゃうわ!」
「アンデッドって悪霊ね♪鯨類を捕食するなんて大物だわ♪」
アクアヴィーナスは恐る恐る…。
「桜花姫…即刻逃げましょう!」
「逃げましょうって…」
「ネクロシーワームはネクロマーメイドよりも厄介なのよ!あんたでも食い殺されちゃうわ!」
「食い殺されちゃうって…ネクロシーワームが私に食い殺されちゃうのかしら♪」
桜花姫は笑顔でネクロシーワームを凝視する。
「私の食欲は悪霊以上だからね♪相手が巨体のアンデッドでも私が食い殺しちゃうわよ♪」
「桜花姫…」
桜花姫は余裕の様子だったのである。すると直後…。
「きゃっ!」
ネクロシーワームは猛スピードで桜花姫に急接近すると彼女の肉体諸共パクッと桜花姫を捕食したのである。
「えっ!?桜花姫!?」
桜花姫は一瞬でネクロシーワームに捕食され…。アクアヴィーナスは一瞬の出来事に混乱する。
(桜花姫が捕食されちゃった…)
桜花姫はネクロシーワームに捕食されアクアヴィーナスは絶望したのである。逃げられるのであれば一目散に逃げたい彼女であるが…。極度の恐怖心からか全身が膠着化したのである。ネクロシーワームは猛スピードでアクアヴィーナスに接近するなり…。
「きゃっ!」
アクアヴィーナスの全身を拘束したのである。ネクロシーワームは口先を開口する。
「ひっ!」
(私も…捕食されちゃうわ…)
アクアヴィーナスは極度の恐怖心により涙腺から涙が零れ落ちる。ネクロシーワームは口先を開口した直後…。突如として身動きしなくなる。
「えっ!?」
(一体何が!?如何してネクロシーワームは身動きしなくなったのかしら…)
突如として身動きしなくなったネクロシーワームにアクアヴィーナスは何が発生したのか理解出来ない。すると数秒間が経過したのである。ネクロシーワームの全身がポンッと白煙に覆い包まれ消滅したかと思いきや…。桜餅と妖力の防壁を発動した桜花姫が出現したのである。
(えっ!?桜花姫!?)
桜花姫は妖力の防壁を解除するなり笑顔で桜餅をパクッと頬張る。
「悪霊でも桜餅に変化させちゃえば非常に美味だわ♪」
アクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に近寄るなり…。
「桜花姫…あんたはネクロシーワームに食べられちゃったのに無事だったのね…」
アクアヴィーナスは内心ホッとしたのか涙腺から涙が零れ落ちる。
「一瞬あんたがアンデッドに食い殺されちゃったのかと…」
「心配させちゃったわね♪御免あそばせ♪」
桜花姫はアクアヴィーナスに謝罪する。
「最強クラスのアンデッドを簡単に仕留めちゃうなんて…桜花姫の魔法は想像以上に強力だわ…」
「勿論私は最上級の妖女だからね♪悪霊が私を食い殺すなんて無謀なのよ♪」
するとアクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に問い掛ける。
「如何して桜花姫はネクロシーワームに捕食されたのに無事だったの?」
「私はネクロシーワームに捕食される直前に妖力の防壁を発動したの♪ネクロシーワームの胃袋で変化の妖術を発動したのよ♪」
「ネクロシーワームの体内で魔法を使用したのね…何よりもあんたが無事でホッとしたわ…」
アクアヴィーナスは一安心したのである。
同時刻…。失楽園のネクロデストピアでは魔女が魔法の水晶玉に投影された光景を直視する。
「えっ!?」
ネクロシーワームが桜花姫に仕留められた光景に魔女は愕然としたのである。
「最上級のアンデッドであるネクロシーワームが見ず知らずの異国の魔法使いに仕留められるなんて…」
(異国の魔法使い…彼女は想像以上に厄介だわ…)
ネクロシーワームが仕留められたのは正直予想外であり魔女は桜花姫の妖力の絶大さに畏怖し始める。
(異国の魔法使いに私の居場所を察知されると非常に不都合だわ…即刻彼奴の封印を…)
「彼女を解放させないと異国の魔法使いには対抗出来ないでしょうね…」
不本意であるものの…。
「一か八か牢獄に…」
魔女は恐る恐る地下壕の牢獄へと移動したのである。同時刻…。桜花姫とアクアヴィーナスは無事に深海底のアクアユートピアへと到達する。
「えっ!?深海底に村里だわ…」
「私の祖国…アクアユートピアなのよ…」
アクアユートピアは貝殻みたいなデザインの住宅地が無数に隣接…。全体的に独特の景観だったのである。
「あんたの祖国って異世界みたいね♪」
深海底地帯のアクアユートピアは異世界でありアクアユートピアの独特の雰囲気に桜花姫は非常にワクワクする。
「独特の雰囲気なのに殺風景ね…人気が感じられないわ…」
「アクアユートピアは魔女に侵略されちゃったからね…何よりもウェンディーネ母様が無事なのか心配だわ…」
「私は即刻あんたの母様を救出するわよ♪」
桜花姫は笑顔であるものの…。妖力の消耗により深呼吸が目立ち始める。
「大丈夫なの?桜花姫?先程から深呼吸が…」
「アクアヴィーナスは心配性ね…心配しなくても私なら大丈夫よ…」
(深海底の水圧と人魚に変身した影響かしら?妖力を回復させたのに数分間で消耗しちゃうなんて…)
水圧の影響からか深海底での長時間の人魚の変身は妖力と体力の消耗が桁違いである。人魚に変身し続けた場合深海底の水圧による溺死…。妖力の消耗による衰弱死の可能性すら否定出来ない。
(長時間の人魚の変化は衰弱死に直結するわね…変化を解除しちゃったら水圧で溺死するかも知れないし…今回の事件は短時間で解決させないと…)
当初は娯楽感覚であったものの…。妖力の消耗が予想外であり短時間での事件解決は困難であると実感する。
「アクアヴィーナス…アクアユートピアに潜入しましょう…」
彼女達は恐る恐る物静かなアクアユートピアに潜入したのである。
「アクアユートピアって普段からこんなにも物静かなの?」
「人魚は少数民族だし場所が暗闇の深海底だからね…魔女に侵略されてからは無人地帯みたいだわ…」
周囲を警戒するのだが…。人魚の住民は誰一人として確認出来ない。
「えっ?」
すると桜花姫は殺気を感じるなり民家の路地裏へと移動する。
「きゃっ!」
桜花姫の悲鳴に戦慄したのかアクアヴィーナスは恐る恐る居住地の路地裏へと移動するなり…。
「一体何事よ!?ひゃっ!」
路地裏には殺害された抹香鯨の水死体が転がった状態であり体表には無数の小魚によって食い破られた形跡が確認出来る。
「如何やら抹香鯨の水死体みたいね…ネクロマーメイドに食い殺されちゃったのかしら?」
「私にも何が何やらサッパリだわ…ひっ!」
突如として抹香鯨の体内がモゴモゴッと蠢動したかと思いきや…。
「今度は何かしら!?」
抹香鯨の体内を食い破るなり血塗れの肉食怪魚が無数に出現したのである。
「きゃっ!此奴は【ダークフィッシュ】だわ!」
「ダークフィッシュ!?」
ダークフィッシュとは深海魚の魚類型アンデッドでありネクロマーメイドによって食い殺された魚介類がアンデッドとして復活…。多種多様の新鮮なる魚介類やら大型海洋生物の血肉を捕食する。性格は非常に獰猛で強欲であり人魚は勿論…。場合によっては海面上を漂流する人間やら陸生動物の血肉さえも捕食する。
「相手が小魚の悪霊でも♪」
(桜餅に変化しなさい♪)
殺到する無数のダークフィッシュを桜餅に変化させる。
「私を捕食するなんて無謀なのよ♪」
桜餅に変化した無数のダークフィッシュを頬張る。
「正直あんたの魔法って荒唐無稽だけど便利ね…捕食者を食い殺しちゃうなんて…」
アクアヴィーナスは苦笑いしたのである。
「桜花姫…折角だし私の自宅で休憩しない?」
「勿論よ♪休憩しましょう♪」
桜花姫は大喜びするなりアクアヴィーナスの自宅へと同行する。
「私の自宅よ…」
「あんたの家屋敷なのね…地上界と比較すると随分独特の雰囲気ね♪」
アクアヴィーナスの家屋敷も貝殻のデザインであり非常に独特の雰囲気である。桜花姫はワクワクした様子でアクアヴィーナスの自宅に入室するのだが…。屋敷内は魔力によって防水された状態であり普通に呼吸出来る。
「えっ?普通に呼吸出来るわ…」
「防水用の魔法の効力で室内は呼吸出来るのよ…地上界みたいに普通に生活出来るわ…」
アクアユートピアの各家屋敷には防水用のシールド魔法によって通常の人間の状態でも生活出来る。
「元通りに戻れるのね♪」
桜花姫は即刻変化の妖術を解除…。元通りの人間の姿形に戻ったのである。
「長時間の人魚の状態は疲れ果てるわね♪こんなにも疲れ果てたのは久方振りよ♪」
アクアヴィーナスも人間の姿形に変化する。
「私達人魚は真逆なのよね…大昔から深海底のアクアユートピアで生活し続けた影響かしら?」
アクアユートピアの人魚達は長期間の深海底での生活により魔力の消耗は軽微であり人魚に変身した状態でも平気である。すると桜花姫はソファーベッドの壁際に配置された写真の女性に注目する。
「えっ?本物みたいな似顔絵だわ…一体誰の似顔絵なのかしら?」
「写真よ…」
「写真って…何かしら?」
太平神国では長年の鎖国によって銃火器を除外する異国の科学技術は勿論…。異国の文化財は皆無であり桜花姫は写真に魅了されたのである。
「アクアユートピアではこんな代物が出来るのね♪」
「別に…今時写真なんて地上界でも普通に一般的でしょう…」
「写真の女性は誰なのよ?」
写真の女性が誰なのか気になる。
「彼女が私の母様…ウェンディーネ母様よ…」
「彼女があんたの母様なのね♪随分美人の女性だわ♪」
ウェンディーネは金髪碧眼の美少女である。
「正直ウェンディーネ母様が無事なのか不安だわ…」
するとアクアヴィーナスはフッと想起するなり…。書棚の宝石箱から水色の水晶玉を入手するなり恐る恐る桜花姫に手渡したのである。
「桜花姫…」
「えっ?何かしら…水晶玉?」
水晶玉に接触した直後…。消耗された妖力が一瞬で回復する。
「妖力が戻ったわ…一体如何して!?」
「水晶玉は魔法石の『アクアクリスタル』よ…」
「アクアクリスタルって?」
アクアクリスタルとは深海底地帯で採掘された魔法石であり人魚がアクアクリスタルに接触すると消耗した魔力が蓄積される。深海底では魔力の消耗が地上界とは桁違いでありアクアユートピアの人魚達が深海底の自然環境で適応出来るのはアクアクリスタルの効力である。
「私達人魚にとってアクアクリスタルは必要不可欠だからね…」
「私にとっての桜餅ね♪」
するとアクアヴィーナスは紅茶と洋菓子のショートケーキを用意する。
「何かしら?」
「紅茶とショートケーキよ…折角だし味見したら…」
「ショートケーキ?洋菓子かしら♪」
桜花姫はペロリとショートケーキを平らげる。
「洋菓子も美味だわ♪」
彼女はショートケーキの美味しさに大喜びする。
「ショートケーキを一瞬で平らげちゃうなんて…」
ショートケーキをペロリと平らげた桜花姫を直視するなりアクアヴィーナスは苦笑いしたのである。
「休憩は終了よ!」
「大丈夫なの?」
アクアヴィーナスは桜花姫を心配するが…。桜花姫は笑顔で即答する。
「私なら大丈夫よ♪アクアヴィーナスは心配性ね…兎にも角にも私達は即刻あんたの母様を救出しないと!」
桜花姫は変化の妖術を発動…。再度人魚に変身する。
「アクアヴィーナス…あんたも人魚に変身しちゃいなさい♪即刻あんたの母様を救出しに出掛けるわよ♪」
「承知したわ…」
アクアヴィーナスも変身魔法で人魚に変身したのである。人魚に変身した彼女達は恐る恐る外出する。すると道端には無数のダークフィッシュとネクロマーメイドが徘徊したのである。
「ひっ!ダークフィッシュとネクロマーメイドだわ…如何してアンデッドがこんなにも徘徊中なのよ…」
「深海底の魔女の仕業かしらね…」
魔女は召喚魔法により無数のダークフィッシュとネクロマーメイドをアクアユートピアの中心街にて召喚…。徘徊させる。無数のアンデッドがアクアユートピア全域に徘徊中であり最早アクアユートピアはアンデッドの巣窟である。徘徊する無数のアンデッドにアクアヴィーナスは極度に戦慄するが…。桜花姫は余裕の表情でありアンデッドの出現に大喜びする。
「悪霊がこんなにも徘徊中なんて♪私にとっては桜餅の調味料ね♪」
すると玄関口近辺には複数のネクロマーメイドと数匹のダークフィッシュが徘徊中であり玄関口の彼女達をギロッと睥睨するなり…。猛スピードで殺到したのである。
「きゃっ!」
「鬱陶しい奴等だわ♪」
桜花姫は変化の妖術を発動…。殺到するネクロマーメイドとダークフィッシュを桜餅に変化させる。
「桜花姫の魔法は荒唐無稽ね…」
桜花姫はムシャムシャと桜餅を頬張る。数分間で桜餅を食べ終わる。
「相手するのも面倒臭いし…口寄せの妖術で片付けましょうかね♪」
桜花姫は口寄せの妖術を発動…。先程仕留めた無数のダークフィッシュとネクロマーメイドを口寄せの妖術で復活させる。
「きゃっ!アンデッドだわ!」
アクアヴィーナスは突如として出現したネクロマーメイドとダークフィッシュを直視するなり…。ビクビクしたのである。
「アクアヴィーナスは大袈裟ね…大丈夫よ♪彼等は私が口寄せの妖術で復活させた手駒だから♪」
「如何して桜花姫はアンデッドを召喚出来るの?」
アクアヴィーナスの質問に桜花姫は即答する。
「口寄せの妖術は死滅した生命体は勿論…地獄の悪霊だって元通りに復活させられるからね♪」
「死滅した生命体を復活させるなんて…桜花姫は本物の女神様だわ…」
常識の通用しない荒唐無稽の妖術にアクアヴィーナスは理解出来なくなる。
「私が本物の女神様なんて…アクアヴィーナスは大袈裟ね♪」
桜花姫は内心大喜びしたのである。
「あんた達♪アクアユートピアで徘徊中の悪霊を一掃しなさい♪」
無数のアンデッドは無言で承諾するなり…。周辺で徘徊中のネクロマーメイドとダークフィッシュに接触すると自爆したのである。アクアユートピアの彼方此方で爆発音が響き渡る。
「相手するのも面倒臭いからね♪」
「復活させたアンデッドを自爆に利用するなんて…」
アクアヴィーナスの発言に桜花姫は笑顔で即答する。
「所詮悪霊は自爆要員だからね♪」
復活させたアンデッドの自爆攻撃によってアクアユートピアに徘徊中のダークフィッシュとネクロマーメイドは一掃される。
「徘徊中の悪霊は一掃させたし…」
桜花姫は先程仕留めたネクロマーメイドの一体を口寄せの妖術により再復活させたのである。
「如何してネクロマーメイドを復活させたの?」
「情報収集よ♪」
「情報収集ですって?」
桜花姫はネクロマーメイドに質問する。
「あんたの親玉の居場所を告白しなさい…」
「告白ってネクロマーメイドはアンデッドなのよ…喋れないでしょう…」
喋れないと断言するアクアヴィーナスであるが…。ネクロマーメイドは恐る恐る人間の口言葉で発言し始めたのである。
「ワタシタチノ…ハハギミサマ…【スキュラン】サマノ…イバショハ…シツラクエン…ネクロデストピアノ…マオウジョウ…」
「えっ!?ネクロマーメイドって…普通に人語で喋れるのね…」
ネクロマーメイドは片言であるが人間界の公用語で喋れる。人語で発言するネクロマーメイドにアクアヴィーナスは驚愕する。
「スキュランって魔女があんた達悪霊の黒幕なのね♪即刻ネクロデストピアの魔女の本拠地に直行しないと♪」
黒幕の居場所を把握した桜花姫は即刻ネクロデストピアへの直行を決意したのである。
「情報収集感謝するわね♪」
桜花姫はネクロマーメイドに感謝するのだが…。
「折角だけど♪あんたは桜餅に変化しなさい♪」
口寄せの妖術によって復活させたネクロマーメイドに変化の妖術を発動したのである。ネクロマーメイドは白煙に覆い包まれポンッと桜餅に変化…。桜花姫は即座に桜餅をパクッと平らげる。
「復活させたのに結局食い殺しちゃうのね…」
「私は空腹だから♪」
桜花姫は笑顔で返答する。
「空腹だからって…」
桜花姫の返答にアクアヴィーナスは苦笑いしたのである。
「妖力も回復したわ♪アクアヴィーナス!即刻ネクロデストピアの魔王城に直行して魔女を仕留めるわよ♪」
意気込む桜花姫であるが…。ネクロデストピアに聳え立つ魔王城の場所が不明でありアクアヴィーナスに道案内を依頼する。
「道案内してよ♪アクアヴィーナス♪」
「道案内するけれど…ネクロデストピアはアンデッドの魔窟なのよね…」
ネクロデストピアはアンデッドの魔窟であり悪魔の海域として認識される危険区域である。ネクロデストピアに潜入した人魚で生還した人魚は皆無でありアクアユートピアでは禁止区域に指定される。
「ネクロデストピアに潜入した人魚で生還した人魚は皆無なのよね…私…死にたくないわ…」
ウジウジするアクアヴィーナスに桜花姫は苛立ったのか怒号する。
「確りしなさい!アクアヴィーナス!」
「えっ…桜花姫…」
「あんたは自分の母様を無事に救出したいのよね!?今更当事者のあんたが畏怖しちゃって如何するのよ!?」
桜花姫の怒号にアクアヴィーナスはハッとした表情で…。
「御免ね…桜花姫…私…恐怖心で畏怖しちゃったわ…ウェンディーネ母様を救出しないと…」
極度の恐怖心によりビクビクしたアクアヴィーナスであるが桜花姫の大目玉によって平常心に戻ったのである。
「道案内するわね…桜花姫…」
「勿論よ♪」
アクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に道案内する。

Page: 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成