桜花姫 ( No.28 ) |
- 日時: 2021/08/17 09:41
- 名前: 月影桜花姫
- 第四話
アクアユートピア
人魚に変身した桜花姫とアクアヴィーナスが深海底地帯のアクアユートピアへと移動中…。深海底地帯の失楽園『ネクロデストピア』では魔女が魔法の水晶玉にて直進中の彼女達の様子を観察する。 「えっ?アクアユートピアの赤毛の人魚と…同行者の小娘は一体何者なのかしら?」 魔法の水晶玉に投影された桜花姫を直視するなり彼女が何者なのか非常に気になる。 「異国の人魚みたいだわ…彼女は一体何者なの?」 深海底の魔女は死霊魔術を発動するなり…。殺害した人魚達を女性型アンデッドとして復活させる。 「下級アンデッド…【ネクロマーメイド】…彼女達を食い殺しなさい…」 ネクロマーメイドとは死霊魔術によって復活した人魚の女性型アンデッドであり嗜好品は生命体の血肉である。基本的には魚介類やら鯨類の血肉を捕食するものの…。場合によっては陸生動物やら人間の血肉をも捕食する。同時刻…。必死に力泳する桜花姫であるが移動中に極度の疲労を感じる。 「桜花姫?大丈夫なの?先程からあんたの顔色が…」 アクアヴィーナスは疲労する桜花姫を心配する。 「私なら大丈夫よ…」 「本当に大丈夫なの?」 「アクアヴィーナスは極度の心配性なのね…」 (正直息苦しいわ…) 心配するアクアヴィーナスに桜花姫は苦笑いの表情で返答したのである。 (深海底って予想外に体力と妖力を消耗するわね…) 深海底の自然環境は予想外に苛烈であり苦難に感じる。すると突如として無数の殺気を感じる。 (殺気だわ…一体何かしら?) 周辺は暗闇の深海底であるものの…。無数の殺気が彼女達に急接近するのを感じる。警戒する桜花姫にアクアヴィーナスは不安がる。 「桜花姫…如何しちゃったの!?」 「殺気を感じるの…」 「殺気ですって!?」 すると遠方の海中より全身血塗れの人魚達が出現…。彼女達に急接近する。 「えっ?人魚かしら?」 「えっ…」 「えっ?アクアヴィーナス?」 血塗れの人魚を直視したアクアヴィーナスはビクビクした様子で…。 「奴等は…ネクロマーメイドよ!」 「ネクロマーメイドって?」 「死亡した人魚の下級アンデッドよ…彼女達は色んな生命体の血肉を捕食するわ…」 「悪霊の食人餓鬼みたいな奴等ね♪」 桜花姫は即座に瞳術の天道眼を発動…。血紅色だった両目の瞳孔が半透明の瑠璃色に発光する。アクアヴィーナスは桜花姫の瞳孔を直視すると驚愕したのである。 「桜花姫の瞳孔が…」 (彼女の瞳孔はレッドアイだったのに…半透明のアクアカラーに発光するなんて…) 桜花姫は殺到する無数のネクロマーメイドを睥睨するなり…。 「深海底の悪霊…死滅しなさい♪」 直後である。突如としてネクロマーメイドが身動きしなくなったかと思いきや…。彼女達の全身が肥大化するとパンッと一瞬で破裂したのである。 「きゃっ!」 桜花姫の念力の妖術によって無数のネクロマーメイドは仕留められたものの…。予想外の超常現象にアクアヴィーナスはビクビクした様子で戦慄する。 「戦慄しなくても大丈夫よ♪アクアヴィーナス♪」 アクアヴィーナスは極度の戦慄によりビクビクと身震いしたのである。周辺はネクロマーメイドの無数の血肉が散乱する。 「念力の妖術で妖力を消耗しちゃったからね…」 今度は変化の妖術を発動…。念力の妖術により仕留めたネクロマーメイドの無数の血肉を大好きな桜餅に変化させる。 「人魚に変化した状態で妖術を発動しちゃうと全身の疲労が蓄積されちゃうのよね♪」 桜花姫はパクパクと桜餅を頬張り始める。 「アクアヴィーナス♪あんたも味見しないかしら♪桜餅は絶品よ♪」 「私は…遠慮するわ…」 アクアヴィーナスは悪食の桜花姫にドン引きしたのか気味悪くなる。 (異国の魔法使いはこんなにも荒唐無稽の魔法を使用するのね…) 数分後…。桜花姫は桜餅を完食する。 「アクアユートピアに直行して…極悪非道の魔女を仕留めるわよ♪」 同時刻…。ネクロデストピアでは魔女が水晶玉で桜花姫の様子を観察するのだが彼女の荒唐無稽の妖術に驚愕したのである。 (げっ!魔法で殺害したネクロマーメイドの肉片を異国のスイーツに変化させて頬張るなんて…) 「異国の魔法使いは予想外に厄介だし…何よりも発想が下劣だわ…」 殺害したネクロマーメイドの肉片を大好きな桜餅に変化…。無我夢中に桜餅を頬張り続ける桜花姫を直視するなり気味悪くなる。 (異国の魔法使いってこんなにも悪食で下劣なのね…) 魔女は一息するなり…。 「異国の魔法使いを相手するなら彼が適任かしら?」 魔女は召喚魔法を発動する。直後…。規格外に巨体の超大型クリーチャーを召喚したのである。 「彼なら異国の魔法使いが相手でも捕食出来るでしょうね…」 魔女が召喚魔法で召喚した異類の超大型クリーチャーは規格外に巨体であり本拠地の外部にて召喚される。姿形はワーム型の巨大生命体であり全身の皮膚には無数の人面が確認出来る。魔女は本拠地の窓際から巨体のクリーチャーに命令する。 「ワーム型アンデッド…【ネクロシーワーム】よ…あんたは即刻異国の魔法使いと小判鮫の人魚を捕食しなさい♪」 ネクロシーワームとは規格外に巨体のワーム型アンデッドであり溺死した人間達は勿論…。多種多様の魚介類の怨念が融合化した集合体である。性格は獰猛で強欲であり鯨類やら人魚は勿論…。場合によっては海面上の船舶を襲撃して人間の船員をも捕食する。ネクロシーワームは魔女の命令に服従…。即座に移動を開始したのである。同時刻…。桜花姫とアクアヴィーナスは必死にアクアユートピアへと直行する。 「一息頑張ればアクアユートピアに到達するわよ…」 アクアヴィーナスは桜花姫を直視したのである。 「えっ…桜花姫?」 桜花姫は非常に険悪化した表情であり彼女の息苦しそうな表情を直視するとアクアヴィーナスは極度に不安がる。 (大丈夫なのかしら?桜花姫…) アクアヴィーナスは桜花姫に恐る恐る大丈夫なのか如何なのか問い掛ける。 「桜花姫?一体如何しちゃったの?大丈夫?」 すると桜花姫は警戒した様子で恐る恐る…。 「アクアヴィーナス…規格外の霊力が接近中よ…」 「えっ?規格外の…霊力ですって?」 (今度は何が出現するのよ!?) アクアヴィーナスは全身がブルブルした様子で桜花姫に密着する。すると遠方の暗闇の海中より正体不明の移動物体が猛スピードで彼女達に急接近したのである。 「一体何かしら?」 規格外に巨体のワーム型の巨大クリーチャーが出現する。 「ひっ!」 アクアヴィーナスはワーム型の巨大クリーチャーを直視すると極度に戦慄したのである。 「こんな怪物に畏怖するなんてアクアヴィーナスは大袈裟ね…」 桜花姫は極度に戦慄するアクアヴィーナスに苦笑いする。 (小心者のアクアヴィーナスが太平神国の悪霊と遭遇しちゃえば確実に気絶するでしょうね♪) アクアヴィーナスが太平神国の悪霊と遭遇する場面を想像すると桜花姫は内心大笑いしたのである。アクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に問い掛ける。 「桜花姫は…アンデッドに遭遇しても平気なの?」 桜花姫は笑顔で即答する。 「別に♪こんな怪物と遭遇するのは太平神国では日常茶飯事だからね♪」 「日常茶飯事って…」 (イーストユートピアって名前とは裏腹に相当物騒なのかしら?) 桜花姫の返答にアクアヴィーナスは絶句したのである。 「深海底にはこんな怪物が生息するのね…巨大蚯蚓かしら?」 「此奴はワーム型の巨大アンデッド…ネクロシーワームよ!大型の鯨類だって簡単に食い殺しちゃうわ!」 「アンデッドって悪霊ね♪鯨類を捕食するなんて大物だわ♪」 アクアヴィーナスは恐る恐る…。 「桜花姫…即刻逃げましょう!」 「逃げましょうって…」 「ネクロシーワームはネクロマーメイドよりも厄介なのよ!あんたでも食い殺されちゃうわ!」 「食い殺されちゃうって…ネクロシーワームが私に食い殺されちゃうのかしら♪」 桜花姫は笑顔でネクロシーワームを凝視する。 「私の食欲は悪霊以上だからね♪相手が巨体のアンデッドでも私が食い殺しちゃうわよ♪」 「桜花姫…」 桜花姫は余裕の様子だったのである。すると直後…。 「きゃっ!」 ネクロシーワームは猛スピードで桜花姫に急接近すると彼女の肉体諸共パクッと桜花姫を捕食したのである。 「えっ!?桜花姫!?」 桜花姫は一瞬でネクロシーワームに捕食され…。アクアヴィーナスは一瞬の出来事に混乱する。 (桜花姫が捕食されちゃった…) 桜花姫はネクロシーワームに捕食されアクアヴィーナスは絶望したのである。逃げられるのであれば一目散に逃げたい彼女であるが…。極度の恐怖心からか全身が膠着化したのである。ネクロシーワームは猛スピードでアクアヴィーナスに接近するなり…。 「きゃっ!」 アクアヴィーナスの全身を拘束したのである。ネクロシーワームは口先を開口する。 「ひっ!」 (私も…捕食されちゃうわ…) アクアヴィーナスは極度の恐怖心により涙腺から涙が零れ落ちる。ネクロシーワームは口先を開口した直後…。突如として身動きしなくなる。 「えっ!?」 (一体何が!?如何してネクロシーワームは身動きしなくなったのかしら…) 突如として身動きしなくなったネクロシーワームにアクアヴィーナスは何が発生したのか理解出来ない。すると数秒間が経過したのである。ネクロシーワームの全身がポンッと白煙に覆い包まれ消滅したかと思いきや…。桜餅と妖力の防壁を発動した桜花姫が出現したのである。 (えっ!?桜花姫!?) 桜花姫は妖力の防壁を解除するなり笑顔で桜餅をパクッと頬張る。 「悪霊でも桜餅に変化させちゃえば非常に美味だわ♪」 アクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に近寄るなり…。 「桜花姫…あんたはネクロシーワームに食べられちゃったのに無事だったのね…」 アクアヴィーナスは内心ホッとしたのか涙腺から涙が零れ落ちる。 「一瞬あんたがアンデッドに食い殺されちゃったのかと…」 「心配させちゃったわね♪御免あそばせ♪」 桜花姫はアクアヴィーナスに謝罪する。 「最強クラスのアンデッドを簡単に仕留めちゃうなんて…桜花姫の魔法は想像以上に強力だわ…」 「勿論私は最上級の妖女だからね♪悪霊が私を食い殺すなんて無謀なのよ♪」 するとアクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に問い掛ける。 「如何して桜花姫はネクロシーワームに捕食されたのに無事だったの?」 「私はネクロシーワームに捕食される直前に妖力の防壁を発動したの♪ネクロシーワームの胃袋で変化の妖術を発動したのよ♪」 「ネクロシーワームの体内で魔法を使用したのね…何よりもあんたが無事でホッとしたわ…」 アクアヴィーナスは一安心したのである。 同時刻…。失楽園のネクロデストピアでは魔女が魔法の水晶玉に投影された光景を直視する。 「えっ!?」 ネクロシーワームが桜花姫に仕留められた光景に魔女は愕然としたのである。 「最上級のアンデッドであるネクロシーワームが見ず知らずの異国の魔法使いに仕留められるなんて…」 (異国の魔法使い…彼女は想像以上に厄介だわ…) ネクロシーワームが仕留められたのは正直予想外であり魔女は桜花姫の妖力の絶大さに畏怖し始める。 (異国の魔法使いに私の居場所を察知されると非常に不都合だわ…即刻彼奴の封印を…) 「彼女を解放させないと異国の魔法使いには対抗出来ないでしょうね…」 不本意であるものの…。 「一か八か牢獄に…」 魔女は恐る恐る地下壕の牢獄へと移動したのである。同時刻…。桜花姫とアクアヴィーナスは無事に深海底のアクアユートピアへと到達する。 「えっ!?深海底に村里だわ…」 「私の祖国…アクアユートピアなのよ…」 アクアユートピアは貝殻みたいなデザインの住宅地が無数に隣接…。全体的に独特の景観だったのである。 「あんたの祖国って異世界みたいね♪」 深海底地帯のアクアユートピアは異世界でありアクアユートピアの独特の雰囲気に桜花姫は非常にワクワクする。 「独特の雰囲気なのに殺風景ね…人気が感じられないわ…」 「アクアユートピアは魔女に侵略されちゃったからね…何よりもウェンディーネ母様が無事なのか心配だわ…」 「私は即刻あんたの母様を救出するわよ♪」 桜花姫は笑顔であるものの…。妖力の消耗により深呼吸が目立ち始める。 「大丈夫なの?桜花姫?先程から深呼吸が…」 「アクアヴィーナスは心配性ね…心配しなくても私なら大丈夫よ…」 (深海底の水圧と人魚に変身した影響かしら?妖力を回復させたのに数分間で消耗しちゃうなんて…) 水圧の影響からか深海底での長時間の人魚の変身は妖力と体力の消耗が桁違いである。人魚に変身し続けた場合深海底の水圧による溺死…。妖力の消耗による衰弱死の可能性すら否定出来ない。 (長時間の人魚の変化は衰弱死に直結するわね…変化を解除しちゃったら水圧で溺死するかも知れないし…今回の事件は短時間で解決させないと…) 当初は娯楽感覚であったものの…。妖力の消耗が予想外であり短時間での事件解決は困難であると実感する。 「アクアヴィーナス…アクアユートピアに潜入しましょう…」 彼女達は恐る恐る物静かなアクアユートピアに潜入したのである。 「アクアユートピアって普段からこんなにも物静かなの?」 「人魚は少数民族だし場所が暗闇の深海底だからね…魔女に侵略されてからは無人地帯みたいだわ…」 周囲を警戒するのだが…。人魚の住民は誰一人として確認出来ない。 「えっ?」 すると桜花姫は殺気を感じるなり民家の路地裏へと移動する。 「きゃっ!」 桜花姫の悲鳴に戦慄したのかアクアヴィーナスは恐る恐る居住地の路地裏へと移動するなり…。 「一体何事よ!?ひゃっ!」 路地裏には殺害された抹香鯨の水死体が転がった状態であり体表には無数の小魚によって食い破られた形跡が確認出来る。 「如何やら抹香鯨の水死体みたいね…ネクロマーメイドに食い殺されちゃったのかしら?」 「私にも何が何やらサッパリだわ…ひっ!」 突如として抹香鯨の体内がモゴモゴッと蠢動したかと思いきや…。 「今度は何かしら!?」 抹香鯨の体内を食い破るなり血塗れの肉食怪魚が無数に出現したのである。 「きゃっ!此奴は【ダークフィッシュ】だわ!」 「ダークフィッシュ!?」 ダークフィッシュとは深海魚の魚類型アンデッドでありネクロマーメイドによって食い殺された魚介類がアンデッドとして復活…。多種多様の新鮮なる魚介類やら大型海洋生物の血肉を捕食する。性格は非常に獰猛で強欲であり人魚は勿論…。場合によっては海面上を漂流する人間やら陸生動物の血肉さえも捕食する。 「相手が小魚の悪霊でも♪」 (桜餅に変化しなさい♪) 殺到する無数のダークフィッシュを桜餅に変化させる。 「私を捕食するなんて無謀なのよ♪」 桜餅に変化した無数のダークフィッシュを頬張る。 「正直あんたの魔法って荒唐無稽だけど便利ね…捕食者を食い殺しちゃうなんて…」 アクアヴィーナスは苦笑いしたのである。 「桜花姫…折角だし私の自宅で休憩しない?」 「勿論よ♪休憩しましょう♪」 桜花姫は大喜びするなりアクアヴィーナスの自宅へと同行する。 「私の自宅よ…」 「あんたの家屋敷なのね…地上界と比較すると随分独特の雰囲気ね♪」 アクアヴィーナスの家屋敷も貝殻のデザインであり非常に独特の雰囲気である。桜花姫はワクワクした様子でアクアヴィーナスの自宅に入室するのだが…。屋敷内は魔力によって防水された状態であり普通に呼吸出来る。 「えっ?普通に呼吸出来るわ…」 「防水用の魔法の効力で室内は呼吸出来るのよ…地上界みたいに普通に生活出来るわ…」 アクアユートピアの各家屋敷には防水用のシールド魔法によって通常の人間の状態でも生活出来る。 「元通りに戻れるのね♪」 桜花姫は即刻変化の妖術を解除…。元通りの人間の姿形に戻ったのである。 「長時間の人魚の状態は疲れ果てるわね♪こんなにも疲れ果てたのは久方振りよ♪」 アクアヴィーナスも人間の姿形に変化する。 「私達人魚は真逆なのよね…大昔から深海底のアクアユートピアで生活し続けた影響かしら?」 アクアユートピアの人魚達は長期間の深海底での生活により魔力の消耗は軽微であり人魚に変身した状態でも平気である。すると桜花姫はソファーベッドの壁際に配置された写真の女性に注目する。 「えっ?本物みたいな似顔絵だわ…一体誰の似顔絵なのかしら?」 「写真よ…」 「写真って…何かしら?」 太平神国では長年の鎖国によって銃火器を除外する異国の科学技術は勿論…。異国の文化財は皆無であり桜花姫は写真に魅了されたのである。 「アクアユートピアではこんな代物が出来るのね♪」 「別に…今時写真なんて地上界でも普通に一般的でしょう…」 「写真の女性は誰なのよ?」 写真の女性が誰なのか気になる。 「彼女が私の母様…ウェンディーネ母様よ…」 「彼女があんたの母様なのね♪随分美人の女性だわ♪」 ウェンディーネは金髪碧眼の美少女である。 「正直ウェンディーネ母様が無事なのか不安だわ…」 するとアクアヴィーナスはフッと想起するなり…。書棚の宝石箱から水色の水晶玉を入手するなり恐る恐る桜花姫に手渡したのである。 「桜花姫…」 「えっ?何かしら…水晶玉?」 水晶玉に接触した直後…。消耗された妖力が一瞬で回復する。 「妖力が戻ったわ…一体如何して!?」 「水晶玉は魔法石の『アクアクリスタル』よ…」 「アクアクリスタルって?」 アクアクリスタルとは深海底地帯で採掘された魔法石であり人魚がアクアクリスタルに接触すると消耗した魔力が蓄積される。深海底では魔力の消耗が地上界とは桁違いでありアクアユートピアの人魚達が深海底の自然環境で適応出来るのはアクアクリスタルの効力である。 「私達人魚にとってアクアクリスタルは必要不可欠だからね…」 「私にとっての桜餅ね♪」 するとアクアヴィーナスは紅茶と洋菓子のショートケーキを用意する。 「何かしら?」 「紅茶とショートケーキよ…折角だし味見したら…」 「ショートケーキ?洋菓子かしら♪」 桜花姫はペロリとショートケーキを平らげる。 「洋菓子も美味だわ♪」 彼女はショートケーキの美味しさに大喜びする。 「ショートケーキを一瞬で平らげちゃうなんて…」 ショートケーキをペロリと平らげた桜花姫を直視するなりアクアヴィーナスは苦笑いしたのである。 「休憩は終了よ!」 「大丈夫なの?」 アクアヴィーナスは桜花姫を心配するが…。桜花姫は笑顔で即答する。 「私なら大丈夫よ♪アクアヴィーナスは心配性ね…兎にも角にも私達は即刻あんたの母様を救出しないと!」 桜花姫は変化の妖術を発動…。再度人魚に変身する。 「アクアヴィーナス…あんたも人魚に変身しちゃいなさい♪即刻あんたの母様を救出しに出掛けるわよ♪」 「承知したわ…」 アクアヴィーナスも変身魔法で人魚に変身したのである。人魚に変身した彼女達は恐る恐る外出する。すると道端には無数のダークフィッシュとネクロマーメイドが徘徊したのである。 「ひっ!ダークフィッシュとネクロマーメイドだわ…如何してアンデッドがこんなにも徘徊中なのよ…」 「深海底の魔女の仕業かしらね…」 魔女は召喚魔法により無数のダークフィッシュとネクロマーメイドをアクアユートピアの中心街にて召喚…。徘徊させる。無数のアンデッドがアクアユートピア全域に徘徊中であり最早アクアユートピアはアンデッドの巣窟である。徘徊する無数のアンデッドにアクアヴィーナスは極度に戦慄するが…。桜花姫は余裕の表情でありアンデッドの出現に大喜びする。 「悪霊がこんなにも徘徊中なんて♪私にとっては桜餅の調味料ね♪」 すると玄関口近辺には複数のネクロマーメイドと数匹のダークフィッシュが徘徊中であり玄関口の彼女達をギロッと睥睨するなり…。猛スピードで殺到したのである。 「きゃっ!」 「鬱陶しい奴等だわ♪」 桜花姫は変化の妖術を発動…。殺到するネクロマーメイドとダークフィッシュを桜餅に変化させる。 「桜花姫の魔法は荒唐無稽ね…」 桜花姫はムシャムシャと桜餅を頬張る。数分間で桜餅を食べ終わる。 「相手するのも面倒臭いし…口寄せの妖術で片付けましょうかね♪」 桜花姫は口寄せの妖術を発動…。先程仕留めた無数のダークフィッシュとネクロマーメイドを口寄せの妖術で復活させる。 「きゃっ!アンデッドだわ!」 アクアヴィーナスは突如として出現したネクロマーメイドとダークフィッシュを直視するなり…。ビクビクしたのである。 「アクアヴィーナスは大袈裟ね…大丈夫よ♪彼等は私が口寄せの妖術で復活させた手駒だから♪」 「如何して桜花姫はアンデッドを召喚出来るの?」 アクアヴィーナスの質問に桜花姫は即答する。 「口寄せの妖術は死滅した生命体は勿論…地獄の悪霊だって元通りに復活させられるからね♪」 「死滅した生命体を復活させるなんて…桜花姫は本物の女神様だわ…」 常識の通用しない荒唐無稽の妖術にアクアヴィーナスは理解出来なくなる。 「私が本物の女神様なんて…アクアヴィーナスは大袈裟ね♪」 桜花姫は内心大喜びしたのである。 「あんた達♪アクアユートピアで徘徊中の悪霊を一掃しなさい♪」 無数のアンデッドは無言で承諾するなり…。周辺で徘徊中のネクロマーメイドとダークフィッシュに接触すると自爆したのである。アクアユートピアの彼方此方で爆発音が響き渡る。 「相手するのも面倒臭いからね♪」 「復活させたアンデッドを自爆に利用するなんて…」 アクアヴィーナスの発言に桜花姫は笑顔で即答する。 「所詮悪霊は自爆要員だからね♪」 復活させたアンデッドの自爆攻撃によってアクアユートピアに徘徊中のダークフィッシュとネクロマーメイドは一掃される。 「徘徊中の悪霊は一掃させたし…」 桜花姫は先程仕留めたネクロマーメイドの一体を口寄せの妖術により再復活させたのである。 「如何してネクロマーメイドを復活させたの?」 「情報収集よ♪」 「情報収集ですって?」 桜花姫はネクロマーメイドに質問する。 「あんたの親玉の居場所を告白しなさい…」 「告白ってネクロマーメイドはアンデッドなのよ…喋れないでしょう…」 喋れないと断言するアクアヴィーナスであるが…。ネクロマーメイドは恐る恐る人間の口言葉で発言し始めたのである。 「ワタシタチノ…ハハギミサマ…【スキュラン】サマノ…イバショハ…シツラクエン…ネクロデストピアノ…マオウジョウ…」 「えっ!?ネクロマーメイドって…普通に人語で喋れるのね…」 ネクロマーメイドは片言であるが人間界の公用語で喋れる。人語で発言するネクロマーメイドにアクアヴィーナスは驚愕する。 「スキュランって魔女があんた達悪霊の黒幕なのね♪即刻ネクロデストピアの魔女の本拠地に直行しないと♪」 黒幕の居場所を把握した桜花姫は即刻ネクロデストピアへの直行を決意したのである。 「情報収集感謝するわね♪」 桜花姫はネクロマーメイドに感謝するのだが…。 「折角だけど♪あんたは桜餅に変化しなさい♪」 口寄せの妖術によって復活させたネクロマーメイドに変化の妖術を発動したのである。ネクロマーメイドは白煙に覆い包まれポンッと桜餅に変化…。桜花姫は即座に桜餅をパクッと平らげる。 「復活させたのに結局食い殺しちゃうのね…」 「私は空腹だから♪」 桜花姫は笑顔で返答する。 「空腹だからって…」 桜花姫の返答にアクアヴィーナスは苦笑いしたのである。 「妖力も回復したわ♪アクアヴィーナス!即刻ネクロデストピアの魔王城に直行して魔女を仕留めるわよ♪」 意気込む桜花姫であるが…。ネクロデストピアに聳え立つ魔王城の場所が不明でありアクアヴィーナスに道案内を依頼する。 「道案内してよ♪アクアヴィーナス♪」 「道案内するけれど…ネクロデストピアはアンデッドの魔窟なのよね…」 ネクロデストピアはアンデッドの魔窟であり悪魔の海域として認識される危険区域である。ネクロデストピアに潜入した人魚で生還した人魚は皆無でありアクアユートピアでは禁止区域に指定される。 「ネクロデストピアに潜入した人魚で生還した人魚は皆無なのよね…私…死にたくないわ…」 ウジウジするアクアヴィーナスに桜花姫は苛立ったのか怒号する。 「確りしなさい!アクアヴィーナス!」 「えっ…桜花姫…」 「あんたは自分の母様を無事に救出したいのよね!?今更当事者のあんたが畏怖しちゃって如何するのよ!?」 桜花姫の怒号にアクアヴィーナスはハッとした表情で…。 「御免ね…桜花姫…私…恐怖心で畏怖しちゃったわ…ウェンディーネ母様を救出しないと…」 極度の恐怖心によりビクビクしたアクアヴィーナスであるが桜花姫の大目玉によって平常心に戻ったのである。 「道案内するわね…桜花姫…」 「勿論よ♪」 アクアヴィーナスは恐る恐る桜花姫に道案内する。
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