桜花姫 ( No.29 ) |
- 日時: 2021/08/17 09:42
- 名前: 月影桜花姫
- 第五話
ネクロデストピア
同時刻…。失楽園ネクロデストピアの魔王城にて魔女のスキュランは恐る恐る地下壕の牢獄へと移動する。 「人魚と異国の魔法使いが魔王城に到達するのも時間の問題だからね…」 鉄格子の奥側には上半身が巨体の人間の女性…。下半身が巨大海蛇の巨大女性型アンデッドが収容される。巨体の女性型アンデッドがスキュランをギラギラと睥睨するなり…。 「あんたは真蛸の小母さん…如何してあんたが地下壕の牢獄なんかに?今更食いしん坊の私に何を要求するのよ?」 スキュランは上半身が人間の女性であり下半身は真蛸である。女性型アンデッドの真蛸発言にピリピリする。 「真蛸って…」 (失礼しちゃうわね…鬱陶しいビッチだわ…) 彼女の発言に苛立ったスキュランであるが…。 「最上級アンデッド…【アクアラーミアン】…あんたを解放するわよ…」 「えっ!?解放ですって!?」 アクアラーミアンとはスキュランが自身の血肉から魔法で誕生させた最上級の巨大女性型アンデッドであり魔力のみならスキュランをも上回る。素肌は水色で頭髪は青色…。赤色の口紅とリング状の純金のイヤリングが特徴的である。アクアラーミアンは非常に暴れん坊で食いしん坊のアンデッドであり魔女のスキュランでさえも彼女を抑制させるのに体内の魔力を消耗…。彼女を抑制させるだけでも精一杯であり今現在では地下壕の牢獄にて封印されたのである。封印により身動き出来ないアクアラーミアンであるが…。 「あんたは本当に私を解放するの♪」 スキュランの牢獄からの解放の一言に反応する。 「勿論よ…アクアラーミアンを解放するわよ…」 スキュランはビクビクした様子で返答したのである。 「今更私を解放するなんて♪私はあんたを食い殺すかも知れないのに♪ひょっとしてあんたは食いしん坊の私に食い殺されたいのかしら♪」 アクアラーミアンはスキュランを揶揄する。 「沈黙しなさい…あんたの大好きな人魚の血肉がネクロデストピアに接近中なのよ…」 「えっ!?人魚がネクロデストピアに接近中ですって♪」 アクアラーミアンは大喜びする。 「即刻解放してよ♪空腹だから人魚を頬張りたいわ♪」 彼女は両目をキラキラさせた表情でスキュランに問い掛ける。 「今回の人魚は?」 「今回の餌食は…赤毛の人魚と人魚にも変身出来る異国の魔法使いよ…」 「えっ?」 アクアラーミアンは異国の魔法使いに反応したのである。 「異国の魔法使いですって!?面白そうだわ♪一体何者かしら♪」 大喜びするアクアラーミアンであるが…。腹部から腹鳴がグーッと響き渡る。 「私は空腹なのよ♪異国の魔法使いを捕食したいわ♪私を牢獄から解放してよ♪」 スキュランはプルプルと身震いした様子で…。鉄格子の封印魔法を解除したのである。アクアラーミアンはワクワクした様子で鉄格子を破壊するなり…。 「久方振りに大食い出来るわね♪」 尻尾でスキュランを力任せに拘束する。 「なっ!?私を…如何するのよ!?」 スキュランは極度の戦慄によりビクビクしたのである。 「恐怖心かしら♪あんたは私をこんなにも小汚い牢獄に十年間も封印し続けたからね♪」 アクアラーミアンは笑顔で発言するが…。 「本来なら私を封印したあんたを即刻食い殺したいのだけれどね…スキュランを捕食するのは後回しだからね♪私は即刻異国の魔法使いと赤毛の人魚を食い殺しに出掛けるわ♪」 アクアラーミアンはスキュランを解放するなり外部へと直行する。 「一瞬彼女に食い殺されるかと…」 スキュランは命拾いしたのか内心ホッとする。 (兎にも角にもアクアラーミアンが異国の魔法使いと潰し合えば確実に共倒れか…何方かが食い殺されるでしょうね…) 桜花姫とアクアラーミアンが潰し合えば高確率で両者ともが魔力を消耗…。潰し合いで魔力を消耗した両者を殲滅するのがスキュランの魂胆である。 「今回でトラブルメーカーは排除出来るし…アクアユートピア全域も無事に征服出来るわ♪」 (一石二鳥ね♪) 同時刻…。移動中の桜花姫とアクアヴィーナスであるが遠方の海中より強大なる妖力を感じる。 「えっ?妖力かしら…」 「妖力ですって?」 「遠方から妖力を感じるのよ…」 「妖力って…ひょっとして今度もネクロマーメイドかしら?」 「ネクロマーメイドとは別物みたいだわ…」 「ネクロマーメイドとは別物ですって?」 「非常に強力だわ…一体何かしら?」 妖力の正体は不明であるものの…。彼女達は警戒する。すると遠方より正体不明の移動物体が猛スピードで彼女達に急接近したのである。 「えっ!?何かしら!?」 移動物体は猛スピードで力泳するなり彼女達の目前に出現する。 「海蛇の…悪霊みたいね…」 移動物体の正体とは上半身が巨体の人間の女性であるものの…。下半身は巨体の海蛇である。 「彼女は海蛇の女王…アクアラーミアンだわ!最上級のアンデッドよ!」 「最上級のアンデッドですって♪早速面白くなったわね♪」 桜花姫は強敵との遭遇により非常にワクワクする。するとアクアラーミアンは蛍光色の瞳孔で桜花姫をジロジロと凝視するなり…。 「如何やらあんたが異国の魔法使いみたいね♪美味しそうだわ♪」 「私もあんたを桜餅に変化させて食べちゃいたいわ♪」 笑顔で発言するアクアラーミアンに桜花姫も笑顔で返答したのである。 「アクアラーミアンだったかしら?あんたは桜餅に変化しなさい♪」 彼女に変化の妖術を発動するのだが…。アクアラーミアンは桜餅に変化しない。 「えっ?あんたは私に何したのかしら♪」 アクアラーミアンはピンピンした様子であり桜花姫は動揺する。 「えっ!?如何して変化の妖術が発動しないのよ!?」 「桜花姫の魔法が無力化された!?」 (アクアラーミアンには桜花姫の魔法が通用しないのかしら?) アクアヴィーナスは恐る恐るアクアラーミアンに問い掛ける。 「あんたは一体何したのよ?アクアラーミアン…」 アクアヴィーナスの質問にアクアラーミアンは笑顔で返答したのである。 「何って♪私は彼女の魔力をペロペロッと平らげただけよ♪」 「平らげたって…ひょっとして彼女も吸収能力で私の妖力を…」 先程は余裕だった桜花姫であるが…。恐る恐る後退りする。 「えっ?桜花姫?」 桜花姫の様子を直視すると彼女は全身がプルプルと身震いした様子である。 (ひょっとして彼女は恐怖心を…) 恐怖心からかプルプルと身震いする桜花姫を直視するなりアクアヴィーナスは極度の不安感が芽生える。 (私一人では何も出来ないし…一体如何すれば…) 深海底地帯の自然環境では妖力の消耗は桁外れであり吸収能力を保持するアンデッドは最悪の難敵である。圧倒的に不利であると判断した桜花姫は苦し紛れに…。 「アクアヴィーナス…あんたは即刻アクアユートピアに戻りなさい…戻らなければあんただって確実に殺されるかも知れないわよ…」 桜花姫は恐る恐る彼女に指示するのだがアクアヴィーナスは強張った表情で桜花姫の指示を拒否する。 「私は…一人でアクアユートピアへは戻れないよ…恩人の桜花姫を見殺しになんて出来ないわ…」 本心では逃げられるのであれば一目散に逃げたいアクアヴィーナスであるが…。母親のウェンディーネを見殺した自身への無力感と罪悪感に影響され桜花姫を見殺しには出来なかったのである。 「見殺しって…今回ばかりは私だって殺されるかも知れないのに!一人では何も出来ないあんたは正直足手纏いなのよ!」 「えっ…」 アクアヴィーナスは足手纏い発言にピクッと反応する。 「はっ!?」 (私は一体何を…) 本音を口走り桜花姫はハッとした表情で…。 「御免なさい…アクアヴィーナス…気にしないで…」 桜花姫は即座にアクアヴィーナスに謝罪する。謝罪した桜花姫であるもののアクアヴィーナスは無表情で…。 「別に…私は気にしないから大丈夫よ…私が足手纏いなのは事実だし…」 「アクアヴィーナス…」 すると沈黙したアクアラーミアンが笑顔で発言する。 「女同士の雑談は終了したかしら♪あんた達は私の餌食決定だからね♪二人とも私に仲良く食い殺されちゃいなさい♪」 アクアラーミアンは召喚魔法を発動…。彼女達の背後より四体のネクロマーメイドが召喚される。 「えっ!?ネクロマーメイド!?」 「ネクロマーメイド♪彼女達を拘束しなさい♪」 四体のネクロマーメイドは彼女達に密着すると力任せに彼女達の身動きを封殺したのである。 「きゃっ!」 「ぐっ!」 アクアラーミアンは身動き出来なくなった桜花姫に近寄るなり…。 「異国の魔法使い♪手始めにあんたから味見するわね♪」 するとアクアヴィーナスは力一杯鼓舞するなり恐る恐る発言する。 「彼女を…桜花姫を見逃して!本来彼女は無関係なのよ…食い殺したければ私だけを食い殺しなさい!」 (えっ!?アクアヴィーナス!?) アクアヴィーナスの突発的発言に桜花姫は驚愕したのである。 「小判鮫の分際で…」 苛立ったアクアラーミアンはギロッとアクアヴィーナスを睥睨するなり…。 「別に心配しなくても小判鮫のあんたも食い殺すから安心しなさい♪私は異国の魔法使いから食事したいの♪食事中に私に口出しするのであれば私の魔法であんたを喋れなくしちゃうわよ…」 「ひっ!」 アクアラーミアンの恫喝にアクアヴィーナスは畏怖したのである。アクアラーミアンは桜花姫の頬っぺたをペロペロする。 「異国の魔法使い♪あんたみたいな可愛らしい小娘は大好きよ♪食い殺しちゃうのが勿体無いわね♪」 (彼女は余程の物好きなのかしら?悪霊に気に入られるなんて…) 桜花姫は内心苦笑いしたのである。 「ぐっ!」 アクアラーミアンに接触された悪影響により桜花姫は体内の妖力が消耗する。 (妖力が一瞬で消耗しちゃうんなんて…ひょっとしてアクアラーミアンの吸収能力かしら…) 「あんたの魔力は誰よりも美味だわ♪肉体諸共食べちゃおうかしら♪」 アクアラーミアンが桜花姫に接触した直後…。 (桜花姫がアクアラーミアンに食べられちゃうわ!) アクアヴィーナスは咄嗟の判断により背後のネクロマーメイドに力一杯頭突きしたのである。 「ギャッ!」 「アクアヴィーナス!?」 アクアヴィーナスは力一杯の頭突きにより背後のネクロマーメイドを怯ませる。 「桜花姫!」 アクアヴィーナスは咄嗟に所持品のアクアクリスタルを力一杯投擲する。 (アクアヴィーナス!) 桜花姫は即座にアクアヴィーナスの方向を直視するなり…。力一杯投擲されたアクアクリスタルを大好きな桜餅に変化させたのである。桜花姫は桜餅に変化したアクアクリスタルをパクッと頬張る。 「こんなにも絶体絶命の状況下で異国のスイーツなんて食べちゃって如何するのよ♪」 アクアラーミアンは失笑するものの…。桜花姫の妖力が先程よりも増大化したのである。 (えっ?彼女の魔力が先程よりも桁違いに増大化したわ…一体如何してなの?) 妖力が増大化した桜花姫に不思議がる。不思議がるアクアラーミアンにアクアヴィーナスが解説する。 「残念だったわね!アクアラーミアン!私が桜花姫に食べさせたアイテムは魔法石のアクアクリスタルよ!」 「アクアクリスタルだって!?」 アクアクリスタルの一言にアクアラーミアンは驚愕したのである。 「桜花姫は異国のスイーツに変化させたアクアクリスタルを頬張ったのよ…魔力だけなら確実にあんたを上回ったわ…」 「妖力が戻ったからね♪」 桜花姫は変化の妖術を発動…。 「あんた達は即刻桜餅に変化しちゃいなさい♪」 背後で桜花姫とアクアヴィーナスを拘束する四体のネクロマーメイドを大好きな桜餅に変化させる。 「えっ…私のネクロマーメイドが…」 「如何やらアクアラーミアンには変化の妖術は通用しなかったみたいね♪」 桜花姫の余裕の様子にアクアラーミアンは苛立ったのである。 (此奴…小娘の分際で…) 「異国の魔法使いが…私には魔力による攻撃法は通用しないからね!」 アクアラーミアンは変化の妖術を発動した桜花姫の妖力を吸収能力によって即座に吸収する。 「今度の攻撃であんたを仕留めるわ…」 桜花姫の発言にアクアラーミアンは反論したのである。 「私を仕留めるって?私よりも魔力が上回ったとしてもあんた達は圧倒的に不利なのよ…私に魔法なんて通用しないのにあんた達に何が出来るの?」 「鬱陶しいあんたは…」 (口寄せの妖術…発動!) 桜花姫は即座に口寄せの妖術を発動する。 「えっ?」 口寄せの妖術を発動するとアクアラーミアンの背後より異次元空間が出現したのである。 「異次元空間かしら?」 直後…。異次元空間の中心部より近代兵器である魚雷を口寄せしたのである。 「なっ!?」 (異次元の空間から魚型の武器が召喚されるなんて…) アクアラーミアンの背後に魚雷が出現するなり…。アクアラーミアンの背後より魚雷が一直線に突っ込む。彼女の背中に魚雷が接触した直後…。魚雷が爆散する。 「ぎゃっ!」 アクアラーミアンは魚雷攻撃によって全身がバラバラに粉砕されたのである。桜花姫は即座に妖力の防壁を発動…。爆散した魚雷の水圧から危機一髪本体を防備する。同行者のアクアヴィーナスにも妖力の防壁を発動…。アクアヴィーナスも無事だったのである。 「一件落着♪アクアヴィーナス…大丈夫かしら?」 「私なら大丈夫よ…感謝するわね♪桜花姫♪」 アクアヴィーナスもホッとしたのか微笑む。 「アクアヴィーナス♪微笑んだわね♪」 「えっ!?」 アクアヴィーナスはハッとした表情から赤面するなり…。表情を無理矢理に強張らせる。 「アクアヴィーナス…」 (彼女は強情ね…無理に表情を強張らせなくても…) 無理矢理に表情を強張らせるアクアヴィーナスに桜花姫は苦笑いしたのである。 「妖力を消耗したからね♪」 桜花姫は魚雷攻撃によってバラバラに粉砕されたアクアラーミアンの無数の血肉を直視するなり…。 「今度こそ桜餅に変化しちゃえ♪」 変化の妖術でバラバラに粉砕されたアクアラーミアンの無数の血肉を桜餅に変化させる。 「アクアヴィーナス♪あんたも味見しない?」 「私は食べたくないわ…遠慮するわね…」 アクアヴィーナスは苦笑いの様子であり遠慮したのである。桜花姫は即座に散乱した桜餅をムシャムシャと平らげる。数分後…。桜餅を完食したのである。 「食べ過ぎちゃったわね♪」 桜花姫の腹部がプクプクの状態であり肥満化する。 「食べ過ぎでしょう…桜花姫…」 アクアヴィーナスは苦笑いしたのである。 「御免あそばせ♪即刻ネクロデストピアに直行するわよ!」 彼女達はネクロデストピアの魔王城へと直行する。
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