桜花姫 ( No.36 ) |
- 日時: 2021/08/17 09:49
- 名前: 月影桜花姫
- 第二話
人工妖女
天地暦四千二十年十二月二十八日の十六時半…。北国に聳え立つ天神山の洞窟ではとある集団が集結する。 「全員集合したな…」 首領らしき人物が頭陀袋から木材の破片を入手したのである。 「ん?木材の…破片ですか?」 首領らしき人物は一息するなり…。 「此奴は付喪神の肉片だよ♪」 「付喪神の肉片!?」 付喪神とは通称小面蜘蛛の肉片である。 「付喪神って…悪霊の小面蜘蛛ですよね…」 「勿論だとも♪半年前に西国の廃村で付喪神の肉片を回収したからな…」 「頭領…付喪神の肉片を如何されるのでしょうか?」 すると集団の頭領は恐る恐る背後の物体を直視する。 「女人の…死体?」 「死体なんて気味悪いですね…」 頭領の背後には腐敗した小柄の女性の遺体が確認出来る。女性の遺体は皮膚の劣化により遺体の一部は完全に白骨化した状態だったのである。 「此奴の体内に付喪神の肉片を含有させ…史上最強の人工の妖女を誕生させるのだよ…」 「なっ!?人工の妖女ですと!?」 「本気ですか!?頭領!?」 人工の妖女を誕生させる計画であるが…。周囲の者達は本当に人工の妖女が誕生するのか如何なのか疑問視したのである。 「人工の妖女なんて…実現出来るのでしょうか?」 「実現出来るかは断言出来ないが…一か八か…」 頭領は恐る恐る小面蜘蛛の肉片を女性の遺体の内部に混入させる。すると直後である。 「なっ!?」 女性の遺体に小面蜘蛛の肉片を混入させると一瞬であるが…。女性の遺体がピクッと身動きしたのである。 「死体が一瞬身動きしたぞ…」 彼等は恐る恐る女性の遺体に近寄る。彼等が近寄るが女性の遺体は停止した様子であり何も反応しない。 「彼女は…身動きしなくなったな…」 「先程の超常現象は一体…」 数秒後…。遺体の腐敗した部分が猛スピードで再生され遺体は新鮮なる生身の女体へと変化したのである。 「うわっ!本物なのか?」 すると生身の女体は深呼吸し始める。 「此奴は生者みたいだな…実験は成功したのか!?」 頭領は大喜びする。 「計画は成功した♪人工の妖女が誕生したぞ♪」 外見のみなら黒髪で長髪の童顔美少女であり体格は小柄であるが非常に容姿端麗である。直後…。瞑目した生身の女体が恐る恐る目覚める。 「目覚めたか…」 「此奴は人形みたいな女人だな…」 生身の女体は警戒した様子であり血紅色の瞳孔で周囲を恐る恐る凝視したのである。 「別に警戒しなくても大丈夫だぞ♪貴様の名前は…人工妖女…【魍魎姫】なんて如何かな?」 頭領は生身の女体を魍魎姫と名付ける。魍魎姫と名付けられた生身の女体は無表情で頭領を凝視し始める。 「ん?空腹なのか?」 彼女は無反応であり何も喋らない。 「彼女は喋れないのかな?」 すると直後である。魍魎姫はニコッと微笑むなり…。 「えっ?」 右腕より複数の真蛸らしき触手を生成させると頭領に密着させる。 「うわっ!何事だ!?」 頭領は魍魎姫の触手に全身が覆い包まれ…。ズルズルと彼女の体内に吸収される。 「ひっ!」 「此奴…頭領を捕食しやがったぞ!」 警戒した周囲の人間達は即座に抜刀したのである。 「此奴は欠陥だ!即刻仕留めろ!」 危惧した魍魎姫は即座に両腕から無数の触手を生成…。周囲の人間達を拘束したのである。触手の吸盤が皮膚に密着され身動き出来なくなる。 「うわっ!」 「ぎゃっ!」 彼等はズルズルと彼女の体内へと吸収される。数秒間が経過すると魍魎姫の肉体が元通りに戻ったのである。すると直後…。 「食べたい…人間を…食べたい…食べたい…」 魍魎姫は人間の口言葉で発語したのである。彼女は周囲を警戒するなり恐る恐る洞窟から脱出…。全裸の状態で山道を直進する。洞窟から脱出した魍魎姫であるが夕方…。三人の匪賊達と遭遇する。 「ん?誰だ?」 「村娘の姉ちゃんか?」 「全裸だが…村娘は誰かに犯されちまったのか♪」 大柄の匪賊は全裸の彼女にムラムラしたのである。 「姉ちゃんは巨乳で可愛らしいな♪犯しちまいたいぜ♪」 すると大柄の匪賊が彼女の乳房を弄る。 「饅頭みたいだな♪」 乳房を弄られた魍魎姫であるが…。 「ん?此奴…」 彼女は無反応であり無表情だったのである。 「此奴は人形みたいで気味悪いな…普通の女子だったら悲鳴か抵抗するだろうに…」 匪賊の一人が無抵抗の魍魎姫に畏怖したのか恐る恐る後退りする。 「こんな小娘相手に畏怖しやがって♪」 大柄の匪賊は揶揄したのである。直後…。 「食べたい…」 「ん?」 彼女の食べたいと発言する一言に匪賊達は反応する。 「食べたいって…何を?」 大柄の匪賊に問い掛けられた魍魎姫はニコッと微笑む。 「人間…食べたい♪人間♪食べたい♪私♪空腹♪空腹♪」 「はっ?」 直後である。 「えっ!?」 魍魎姫の左腕から無数の触手が生成すると大柄の匪賊の肉体を覆い包み…。ズルズルと大柄の肉体諸共匪賊を体内に吸収したのである。 「ひっ!」 「此奴は怪物か!?」 魍魎姫に畏怖した二人の匪賊は一目散に逃走…。魍魎姫は一息する。 「今度は妖女♪妖女が食べたい♪食べたい♪妖女♪食べたい♪妖女♪」 大勢の人間達を捕食した影響からか先程よりは大人びた雰囲気へと変貌したのである。翌日の真昼…。桜花姫は久方振りに死去した父親の夜叉丸と母親の美海姫の墓参りに出掛けたのである。 (父様…母様…) 桜花姫は両目を瞑目させるなり恐る恐る合掌する。すると直後である。突然背後より…。 「桜花姫ちゃんが両親の墓参りとは珍妙だね♪」 「きゃっ!」 吃驚した桜花姫は即座に背後を直視したのである。 「誰かと思いきや…蛇骨鬼婆ちゃん…吃驚させないでよね…」 「御免よ♪御免よ♪吃驚させちゃったね♪」 蛇骨鬼は笑顔で謝罪する。 「最近は悪霊征伐で多忙だったからね…」 「久方振りに元気そうなあんたと対面出来て…両親も大喜びだろうよ♪」 蛇骨鬼が笑顔で発言するのだが…。 「如何かな?母様は私が殺しちゃったのよね…」 「桜花姫ちゃん…」 蛇骨鬼は桜花姫の雰囲気に一瞬気まずくなる。すると桜花姫は恐る恐る問い掛ける。 「私の父様って…どんな人物だったの?」 問い掛けられた蛇骨鬼は一瞬困惑するものの…。 「第一印象は優男とは程遠い印象だったかね…生真面目だけど必要以上に厳格だったかな?」 「三蔵郎様とは正反対みたいね…」 桜花姫は苦笑いする。 「普段の彼奴は…夜叉丸は厳格で一匹狼だったけれども…人一倍人情味で情熱的だったかな?」 「一匹狼なのは私みたいだね…父様♪」 桜花姫はニコッと微笑む。 「一匹狼っぽい部分は桜花姫ちゃんっぽいね♪」 「本当ね♪私も一人で行動するのが大好きだからね♪」 二人は談笑したのである。同時刻…。粉雪妖女の氷麗姫は北国の山道を通行したのである。 「はぁ…最近は退屈だわ…」 氷麗姫は花魁として活動中であったが…。時たま匪賊の征伐にも尽力したのである。死霊餓狼の消滅以後…。世の中は非常に平和であり匪賊の活動も小規模化したのである。 「匪賊達も桜花姫に畏怖しちゃったのかしら?本当に退屈だわ…」 (こんなにも世の中が平和だと…私が活躍したくても活躍出来ないわね…) 日常が退屈であると愚痴る氷麗姫であるが…。数メートルの近距離より全裸の女性が笑顔で歩行するのを確認する。 「えっ!?」 (如何して彼女は全裸なのよ!?) 気味悪いと感じるなり氷麗姫は素通りするのだが…。彼女は笑顔でジロジロと氷麗姫を凝視し続ける。無視したい氷麗姫であるが…。 「鬱陶しいわね!先程から何よ!?」 苛立った氷麗姫はヘラヘラする全裸の女性に怒号したのである。すると彼女は笑顔で…。 「私♪名前♪魍魎姫♪魍魎姫♪あんた♪妖女♪食べたい♪食べたい♪妖女♪」 彼女は自身を魍魎姫と名乗る。魍魎姫はヘラヘラした様子であり氷麗姫は気味悪くなったのか恐る恐る後退りする。 「えっ…魍魎姫だって?」 (此奴…悪霊なの!?悪霊って死霊餓狼が浄化されちゃったから…悪霊とは別物よね?霊力は感じられないし…) 現段階では魍魎姫と名乗る全裸の女性が何者なのかは不明瞭であり氷麗姫は非常に気味悪がる。 (何方にせよ厄介だわ…此奴の正体は一体何者なのかしら?) 氷麗姫は魍魎姫に睥睨する。 「あんた…凍死しなさい…」 氷麗姫は粉雪妖術を発動…。魍魎姫の両足を氷結させ魍魎姫は身動き出来なくなる。 「ぎゃっ!身動き…出来ない…食べられない♪食べられない♪」 氷結の妖術で身動きを封殺された魍魎姫であるが…。こんな状態でも彼女はヘラヘラしたのである。 「えっ…」 (此奴…桜花姫以上に狂気ね…) 全身を氷結させる寸前…。魍魎姫は両手より蛸足を連想させる無数の触手を発動したのである。 「えっ!?」 魍魎姫の体内より出現した無数の触手が氷麗姫の全身に密着する。 「ひゃっ!」 「あんた♪妖女♪食べたい♪食べたい♪」 触手の吸盤が皮膚に密着すると氷麗姫は気味悪くなる。 (畜生…一か八か…) 氷麗姫は一か八か粉雪分身の妖術を発動…。皮膚の表面より粉雪を地面に飛散させる。直後…。氷麗姫の全身は魍魎姫の触手に覆い包まれ触手諸共彼女の体内へと吸収されたのである。 「御馳走様♪御馳走様♪満足♪満足♪」 氷麗姫を捕食した魍魎姫は大喜びする。 「妖女♪食べたい♪妖女♪食べたい♪」 魍魎姫はヘラヘラした様子で移動したのである。魍魎姫が退散した数秒後…。飛散した粉雪が融合化すると女体を形作り氷麗姫が復活する。 「危機一髪だったわね…」 (粉雪分身の妖術を発動しなかったら…私は確実に食い殺されたわね…) 氷麗姫は周囲を警戒したのである。 「魍魎姫…下手すれば悪霊よりも厄介そうね…」 (桜花姫だったら…) 氷麗姫は即座に西国へと直行する。
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