Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.4 ) |
- 日時: 2012/12/03 01:36
- 名前: aba-m.a-kkv
I want be with you.
Even 10 years after and 20 years after.
I want you to be in my side, to the end of the world.
ノンギブス aba-m.a-kkv
十年前の写真立ての中に入っているのは、同じく十年前に写した写真。
写っているのは若い男女二人。
銀色の髪をたたえた男性はフロックコートに身を包み、亜麻色の長い髪をたたえた女性は純白のウエディングドレスを着ていた。
そこには微かな緊張と、それを上回る幸福感が溢れている。
元は白っぽかった写真立ての木枠は日に焼けて、今では綺麗な飴色に変わっている。
中の写真も同じ。
角が取れて丸くなった薬指の指輪に目を向けながら私は思う。
十年は長い期間だ、と思う。
現に、この十年で世界は大きく変わった。
私たちが世界中を駆け回って見てきた中でもそうだし、いま居を置いているこの街もそうだ。
ほぼ何もない、更地同然まで荒廃させられてしまった多くの街が急速な復興を遂げている。
紛争の調停、再建復興、世界的なシステム構築、行き詰ったかに見えた人類も、サードインパクトを乗り越えて懸命に生き続けている。
世界が変わるのに十分なら、人が変わるのにも十分な歳月だ。
でも、変化とは、進化や向上、前進だけに限らない。
朝の光の中、手を伸ばして写真立てを取り、その中に固定された二人を見る。
初々しさに溢れている、幸せに溢れている。
懐かしい、そう思った私の顔は自然に微笑を浮かべていた。
カシャッ
空間と時間を切り取る音が響いた。
音のほうに振り向くと、エプロン姿でカメラを構えた渚カヲルの姿があった。
「いい表情だよ」
満面の笑みを浮かべて彼は言う。
でも、私は膨れっ面を作った。
「やめてよ、写真なんて」
「ん? なんでだい、綺麗なのに」
私が突然不機嫌になったので彼はキョトンとした。
「だって、十年前の写真を見てる姿を写すなんて。
カヲルはいつも写真を撮りたがるけど、なんか嫌じゃない、あたしが古くなるみたいで」
視線を逸らす私に、カヲルはそっとカメラを置いて私の傍に近寄ってくる。
優しく落ち着いた雰囲気が、ベッドの上の私の隣に腰をおろした。
「僕は、いつだって今のアスカが好きだよ。
何でだと思う?」
「何でよ?」
ぶっきらぼうに聞く私は、カヲルの方を見れなかった。
ただ、肩と腕にぬくもりが伝わる。
「僕たちが出会った頃、君も僕も空っぽだった、真っ白だった。
個体生命として若くみずみずしくても、その中身は何もない空洞だった」
カヲルが私の髪に触れる。
耳に掛かる髪を梳きわけて、囁く。
「美しい宝石は、時間を掛け少しずつ結晶していく
何もないものを美しいとはいえない
僕は君に存在意義を預けた、僕は君から欠けた心を預けてもらっている。
そして、いままで僕は、ずっと君の心に僕の存在を刻み込んできたつもりだ。
何もないところから始まって十年分、僕と君が結晶となったのが今の君だ。
それは大きく輝いてる」
カヲルが私の肩に触れる。
それは優しく私を押し倒した。
もう目を逸らすことは出来ない、私の目の前に紅い綺麗な瞳が私を捉えて離さない。
「それを僕は美しいと思う。
今のアスカは、十年前のアスカより確実に美しいんだよ」
こいつは、本当に……なんていうことを言ってのけるんだろう。
日の光よりも熱いものが、私の中で込み上げてくるのを感じる。
頬は夕日に染まったような色をしているんだろうと思うと恥ずかしかった。
でも、恥ずかしさなんか、カヲルの前ではどうでもいい。
「いつだって、今の僕の傍にいるアスカが一番美しいし、一番好きだ。
じゃあ、十年たった僕は今、君にとってどうなのかな?」
カヲルが笑顔で言う。
意地悪な質問だと思う。
自分が言葉を紡いだことで、それを聞いた私を見ることで、もう聞く必要なんてないことを分っているはずなのに。
でも、私はカヲルの頬に手を伸ばす。
「もし十年前のあたしが、いまのカヲルに会っていたら、カヲルを恐れたと思う。
だって、こんなに優しくて、こんなにも愛してくれるんだもの、昔のあたしなら耐えられなかったと思う。
でも、今のあたしはカヲルに染まってる、そしてカヲルも私に染まってる、だから大丈夫」
私はカヲルの頬を引っ張る。
カヲルが少し情けない顔をした。
それを見て、私は笑いながら、私とカヲルの距離を一つにした。
「カヲルを刻み込んで、あたしはもっと綺麗になってやるわ。
だから……
十年後も二十年後も、そう言って私の隣にいて」
角が研がれて丸くなった指輪。
日焼けした写真立て。
褪せた写真。
時がたつ。
でも、私たちは美しくなっていく。
一緒に手を繋ぎ、共に時を重ね。
その肌に皺を刻み。
その齢に年月を刻み。
その欠けた心に互いを刻みこんで。
ののさん、ご結婚おめでとうございます!!
びっくりしました、沈んでいる間にこんな素晴らしいことが起きているとは。 ののさんと最初に接触したのはXXXsさんの『エヴァに取り憑かれし心…その容れ物』の掲示板だったような気がします。 2003年のことですから、9年前。 なんかすごい感慨深いし、とても嬉しいことです。 お幸せに、の言葉と共に、これからもよろしくです。
aba-m.a-kkv
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