桜花姫 ( No.41 ) |
- 日時: 2021/08/17 09:54
- 名前: 月影桜花姫
- 第七話
魔獣
一週間後の早朝…。太平神国の裏側に位置する孤島では神族の冥王鬼が到達する。 「今現在でも近海の海底下に…」 (十二人の最高神によって封印された魔獣が存在するか…) 数百万年前の超古代時代…。神族の最盛期であり地上界には高度化された無数の神族による文明社会が構築されたのである。とある望月某日…。天空より全長が小大陸規模もの魔獣が出現したのである。魔獣は世界各地で暴れ回り大勢の神族やら人間達を虐殺…。大陸の陸地をバリバリと食い散らかしたのである。神族でも最強の部類である十二人の最高神と交戦…。長期戦であったが最高神の神通力によって魔獣は深海底にて封印されたのである。魔獣の封印には成功するも…。十二人の最高神は神通力の消耗によって衰弱死したのである。魔獣の暴走によって地形が大幅に変化…。魔獣の暴走こそ神族が弱体化する決定的要因だったのである。 「今回は超古代に神族を殺害した魔獣を復活させ…地上界の人間達を駆逐する…」 冥王鬼は天道眼の効力により結界を発動…。目的地である深海底へと移動したのである。数分後…。冥王鬼は目的地の海底下へと到達する。周辺は暗闇の海中であったが目的地の海底下中心部には規格外の巨大海亀らしき岩石物体が確認出来る。 「此奴が…魔獣…【羅刹獣】か…」 羅刹獣は全身が凸凹の岩石の肉体である。凸凹した岩石の甲羅には無数の巨大人面…。尻尾の部分は巨大海蛇が確認出来る。封印された羅刹獣の全身には金剛石で形作られた巨大鉄鎖により封殺され…。完全に身動き出来ない状態である。すると冥王鬼の神通力に反応したのか巨大人面の一部が海中を浮遊する冥王鬼をギロッと直視する。 「こんな深海底に小娘か?貴様…一体何者だ?」 巨大人面は人語で発言したのである。 「私は…冥王鬼…神族の一員だ…」 「貴様…神族の小娘か?今度こそ封印された私を死滅させるか?」 問い掛けられた冥王鬼は即答する。 「貴様を封印から解放する…」 封印から解放すると発言した冥王鬼であるが…。羅刹獣の巨大人面は失笑したのである。 「貴様正気か?最高神ですら衰弱化させた私を貴様みたいな小娘が解放するとは…貴様は余程の命知らずであるな…」 「鬱陶しい…貴様は解放されたくないのか?」 「復活させた瞬間…私は再度暴れ回る…今度こそ全世界の滅亡は確定的であるぞ…」 「地上界全域を滅亡させるには貴様の絶大なる魔力が必要不可欠なのだ…地上界の滅亡は私にとって好都合…」 「地上界の滅亡か…」 すると今度は別の巨大人面が発言する。 「貴様が私を封印から解放するのか!?であれば即刻封印を解除させろ!今度こそ大暴れして全世界を打っ壊すからよ♪」 別の巨大人面は失笑するなり…。 「私を復活させた瞬間…チビッ子の姉ちゃんを食い殺しちまうぜ♪」 巨大人面の発言に冥王鬼は呆れ果てる。 「封印から解放させたとしても今現在の羅刹獣は弱体化した状態だ…間違っても天道眼を所持する私を殺せないぞ…」 長期間の封印の効力からか羅刹獣の魔力は超古代時代から相当弱体化したのである。 「畜生が…本調子であればこんな小娘簡単に打っ殺せるのだが…」 「今現在の状態であれば…貴様に協力するのが正解みたいだな…」 「神族の小娘に協力するのは気に入らないが…止むを得ない…」 (交渉成立だな…) 冥王鬼は微笑する。 「早速貴様の封印を解除する…」 冥王鬼は瞑目するなり…。 「天道眼…発動!」 群青色だった両目の瞳孔が半透明の瑠璃色に発光したのである。 「羅刹獣…貴様の封印を解除する…はっ!」 直後…。念力の効力により羅刹獣の全身の身動きを封殺した金剛石の巨大鉄鎖がバリっと破壊されたのである。すると封印が全面的に解除され…。本体の先端部分に位置する頭部がハイテンションで大喜びしたのである。 「ヤッタゼ!トウトウフウインガカイジョサレタカ!ヒサカタブリニチジョウデオオアバレシテヤルゼ!」 本体の先端に位置する頭部部分が冥王鬼を直視するなり…。 「フウインヲカイジョシタノハシンゾクノネエチャンカ!?アリガトサンヨ♪チジョウノガイチュウドモヲクイコロシニデカケルカ!」 (此奴…下手すれば扱い切れないかも知れないな…) 羅刹獣は殺戮と破壊のみの破壊者である。本来の魔力が戻れば天道眼を駆使しても羅刹獣をコントロールするのは非常に困難であると感じる。 (羅刹獣が多少弱体化したのが何よりだな…) 同時刻…。深海底地帯のアクアユートピアでは深海底魔女のスキュランが魔法の水晶玉で深海底の異変をキャッチする。 「えっ?」 (水晶玉が反応したわ…) 魔法の水晶玉を直視するなり…。 「なっ!?此奴は…」 魔法の水晶玉には冥王鬼と封印が解除された羅刹獣が映写される。 「此奴は超古代に地上界で暴れ回った魔獣…羅刹獣だったかしら?」 (胸騒ぎの原因は此奴だったのね…) スキュランは恐怖心からか全身がプルプルする。 「伝承では羅刹獣の大暴れで全世界が滅亡寸前だったとか…」 魔法の水晶玉に映写された冥王鬼を直視したのである。 (羅刹獣は封印が解除されたのかしら?ひょっとして小柄の少女が羅刹獣の封印を…) 「兎にも角にも…アクアユートピアの人魚達には国外の外出を徹底的に禁止させないと…」 スキュランは即刻国外への外出禁止をアクアユートピア全域に発令…。国外への外出は全面禁止され国境は完全に封鎖されたのである。二人の人魚の側近がスキュランの家屋敷に訪問する。 「スキュラン様…国外への外出禁止を発令しました!」 「国境もシールド魔法で封鎖しました…国内の安全は確保出来た模様です」 「完了したのね…上出来だわ…」 するとドアがノックされたのである。 「誰かしら?」 ウェンディーネがソワソワした様子で入室する。 「スキュラン!大変よ!」 「えっ!?今度は何事!」 ウェンディーネの様子にスキュランは吃驚したのである。 「アクアヴィーナスが…出掛けちゃったの…」 彼女は落涙する。 「えっ…アクアヴィーナス…国外に出掛けちゃったの!?」 スキュランは呆れ果てる。 「はぁ…」 (彼女は人一倍弱虫なのにトラブルメーカーね…) すると側近は恐る恐る…。 「スキュラン様…彼女を救出しますか?」 スキュランは一息する。 「彼女には悪いけれど…救出は出来ないわ…」 「えっ!?スキュラン!?」 スキュランの発言にウェンディーネはビクッと反応したのである。 「アクアヴィーナスは如何なるのよ!?」 「正直私にはアクアユートピアの国内を守護するのが精一杯なの…彼女には悪いけど…」 「スキュラン…」 ウェンディーネは絶望する。同時刻…。国外へと出掛けたアクアヴィーナスは深海底を移動中に極度の胸騒ぎを感じる。 (先程から胸騒ぎを感じるわ…) 恐怖心によりビクビクする。 「アクアユートピアに戻ろうかな…」 戻ろうかと思いきや…。海底下を直視すると岩石の塊状が移動するのを発見する。 「えっ…」 (何かしら…) 岩石の移動物体は規格外の巨大さである。海底下の移動物体を凝視し続けると上部の表面には無数の巨大人面が確認出来る。 「ひっ!」 (人面だわ…) 無数の巨大人面にアクアヴィーナスは畏怖したのである。移動物体を凝視し続けると小大陸規模の規格外の巨大海亀であると認識する。 (ひょっとして海亀の怪物かしら?) すると甲羅の表面に存在する巨大人面の一部が直上のアクアヴィーナスを発見するなり…。 「ん?彼奴は人魚の小娘か?」 巨大人面は人語で発言したのである。 「如何やら人魚の小娘みたいだな…」 「肩慣らしには好都合だが…如何する?」 「人魚の小娘を食い殺しちまうか?」 無数の人面が相談し始める。すると本体の先端に位置する海亀の頭部が大声で…。 「セナカノガンメン!サッキカラコソコソハナシヤガッテ…オレハクウフクナンダ!ダイチヲクウノガサキダ!アンナコバンザメデハハラノタシニモナラン…ホウチシテオケ!」 海亀の頭部が怒号すると甲羅の無数の人面は沈黙したのである。海亀の怪物は大南海へと直進…。アクアヴィーナスは命拾いしたのである。 「はぁ…はぁ…」 (一瞬食い殺されるかと…) アクアヴィーナスは周辺を警戒するなり…。 (先程の怪物は一体何者だったのかしら?) 「イーストユートピアの桜花姫なら海亀の怪物を退治出来るかな?」 アクアヴィーナスは即刻太平神国に直行したのである。同時刻…。桜花姫は暇潰しに東国の茶店に来店したのである。彼女は大好きな桜餅を頬張る。 「桜餅は美味ね♪」 すると彼女の背後より…。 「桜花姫♪」 何者かが彼女の背中を接触する。 「きゃっ!」 桜花姫は驚愕したのである。 「誰よ!?吃驚するじゃない!」 背後を直視すると背後の人物は氷麗姫…。彼女だったのである。 「えっ?氷麗姫…あんただったのね…」 「御免あそばせ♪」 笑顔で謝罪する。 「あんた…吃驚させないでよね…折角の娯楽が台無しじゃない…」 「御免♪御免♪」 氷麗姫も同席したのである。 「今日は何事かしら?」 桜花姫が問い掛けると氷麗姫は真剣そうな表情で…。 「あんたの妹分の小猫姫だけどね…今日の早朝に自害し掛けたの…」 「えっ…小猫姫が自害ですって…」 蛇骨鬼が老衰してより小猫姫は精神的に参ったのか出刃包丁で自害し掛けたのである。 「今日は私が阻止したから大丈夫だったけど…」 今回は氷麗姫の参上により氷結の妖術を駆使…。危機一髪自害を阻止したのである。 「一歩間違えれば…彼女…本当に自殺しちゃうかも…」 「小猫姫…」 蛇骨鬼の霊体との会話により自然界と一体化した事実を小猫姫に説明するも…。彼女は納得しなかったのである。 「小猫姫は?」 「三蔵郎の寺院よ…」 今現在小猫姫は三蔵郎の寺院で寝転び…。三蔵郎が彼女の様子を見守る。 「三蔵郎様…大丈夫かな?」 (正直不安だわ…) 小猫姫が脱走しないか正直不安だったのである。 「大丈夫よ…桜花姫♪三蔵郎は人間だけど死霊餓狼とも互角に接戦した実力者なのよ♪小猫姫でも簡単には…」 直後…。桜花姫の姿形が消失する。 「えっ!?桜花姫は!?」 同時刻…。桜花姫は口寄せの妖術により三蔵郎の寺院へと瞬間移動したのである。 「三蔵郎様?」 玄関の戸口をノックするのだが…。 「無反応ね…」 桜花姫は恐る恐る寺院へと進入したのである。 「三蔵郎様は…」 客室へと入室すると客室では三蔵郎がグッタリとした表情で横たわる。 「えっ!?三蔵郎様!?」 桜花姫はソワソワした表情で三蔵郎に近寄るなり安否を確認する。 「はぁ…」 (三蔵郎様は大丈夫そうね…) ホッとしたのか一安心したのである。すると横たわる三蔵郎の左側の真横には木魚が確認出来る。 「如何して木魚がこんな場所に…」 すると横たわった三蔵郎が目覚める。 「うっ!私は…」 「三蔵郎様?大丈夫?」 「えっ?桜花姫様でしたか…ん!?小猫姫様…」 「小猫姫?」 三蔵郎は恐る恐る…。 「私は…小猫姫様に木魚で殴打されて…」 「えっ!?小猫姫が!?」 桜花姫はゾッとしたのである。 (ひょっとして彼女…) 彼女は恐怖心からか全身が身震いする。即座に二階の居間へと移動したのである。 「えっ?桜花姫様?」 二階の居間に到達すると屏風を直視する。 「小猫姫…」 屏風に装飾された霊斬刀が無くなったのである。 「えっ!?私の霊斬刀が…」 三蔵郎は精神的ショックからか全身が脱力する。 「一体誰が…私の霊斬刀を窃盗したのでしょうか…」 桜花姫は小声で…。 「小猫姫かしら…」 「えっ?小猫姫様が?」 「三蔵郎様…御免なさいね…」 桜花姫は自分自身に口寄せの妖術で小猫姫の居場所へと自身を口寄せしたのである。小猫姫は霊斬刀を所持した状態で東国と南国の国境に位置する山道にて移動する。 「えっ…桜花姫姉ちゃん…」 小猫姫は突発的に出現した桜花姫と遭遇…。一時的に佇立する。 「私からは逃げられないわよ…大人しく霊斬刀を渡しなさい…」 すると小猫姫は睥睨するなり…。 「渡さない…今日は私の命日なの…」 小猫姫は落涙したのである。 「私を死なせてよ…桜花姫姉ちゃん…」 「はぁ…小猫姫…」 桜花姫は呆れ果てる。 「あんたが自害したって…誰も大喜びしないわよ…」 「私は一人では何も出来ないし…未来に希望なんて無いよ…」 「あんた…」 「私を殺したければ殺せば?桜花姫姉ちゃんの大好きな桜餅に変化させて私を食い殺しちゃえば?」 苛立った桜花姫は無表情で…。 「小猫姫?」 「何よ?桜花姫姉ちゃん?」 力一杯小猫姫の頬っぺたを引っ叩いたのである。 「きゃっ!」 小猫姫は地面に横たわる。 「あんたみたいな意気地なしは桜餅に変化させても不味いだけよ…」 桜花姫は無表情であり霊斬刀を回収する。 「霊斬刀は三蔵様の所有物だからね…」 すると桜花姫は再度無表情で発言したのである。 「今日からあんたとは絶縁ね…自害したければ勝手に自害しなさい…」 桜花姫は退散したのである。移動中…。 (小猫姫の馬鹿…) 涙腺より涙が零れ落ちる。小猫姫の様子が気になるのか再度戻ろうかと思いきや…。突発的にグラグラッと地面が地響きにより震動したのである。 「なっ!?」 (ひょっとして地震かしら…) 地響きは数秒間で沈静する。 「先程の地響きは一体何だったのかしら?」 すると彼女の前方より…。 「桜花姫!」 「えっ…」 ピンク色のロングドレスと赤髪の小柄の女性が桜花姫に近寄る。 「あんたはアクアユートピアのアクアヴィーナス?」 「はぁ…はぁ…桜花姫…」 赤髪の女性はアクアユートピアのアクアヴィーナスであり非常にソワソワした様子だったのである。 「大丈夫?アクアヴィーナス?今度は何事かしら?」 「桜花姫…大変なの!」 アクアヴィーナスは真剣そうな表情で…。 「西海の深海底で海亀みたいな怪物が出現したの!陸地みたいに巨体だったわ…」 「海亀みたいな怪物?」 桜花姫は一瞬沈黙する。 (幼少期に蛇骨鬼婆ちゃんが…先程の地震は怪物の仕業かしら?) 神族の昔話で旧世界を襲撃した巨体の怪物の伝承を想起したのである。 (大昔の伝承と関連するかしら…) 「気になるわね…」 アクアヴィーナスは恐る恐る…。 「如何しましょう…」 彼女は恐怖心からか涙腺より涙が零れ落ちる。 「海亀の怪物の正体が旧世界を襲撃した魔獣であれば…私以外では対抗出来ないわ…」 「えっ…」 アクアヴィーナスは絶望により沈黙する。 (最上級妖女の私でも全世界規模の怪物を攻略出来るかしら…) 普段なら大喜びで征伐に出掛けるのだが…。今回の戦闘は今迄の戦闘とはスケールが桁外れであり自身の妖力のみで怪物に対抗出来るかは正直未知数だったのである。 「アクアヴィーナスは東国の三蔵郎様の寺院で待機しなさい…寺院へは私が案内するから…」 「えっ?三蔵郎様って誰なの?」 桜花姫は笑顔で即答する。 「三蔵郎様は人間の僧侶よ♪仏様を擬人化した存在だから大丈夫よ♪」 「えっ?はぁ…」 アクアヴィーナスは珍紛漢紛であったが桜花姫と一緒に東国の寺院へと急行したのである。 「三蔵郎様!」 桜花姫は玄関をノックする。 「えっ?桜花姫様…ん?同行者の女性は?」 アクアヴィーナスは恐る恐る名前を名乗る。 「私は…アクアヴィーナスです…」 すると桜花姫が笑顔で紹介する。 「彼女は人魚王国のアクアユートピアの人魚なの♪」 「貴女様は異国の人魚の女性ですか♪」 三蔵郎は一瞬アクアヴィーナスに見惚れる。 「三蔵郎様…一定の時間だけど…彼女を保護出来ないかしら?」 「保護ですと?」 桜花姫は超古代の魔獣が出現した事実を洗い浚い報告したのである。 「えっ!?旧世界に封印された魔獣が出現したのですか!?」 するとアクアヴィーナスがボソッと一言…。 「私は深海底で海亀みたいな怪物と遭遇しました…遭遇した当初は魔獣に食い殺されるかと…」 アクアヴィーナスは恐怖心から涙腺から涙が零れ落ちる。 「ですがアクアヴィーナス様が無事なのが何よりですよ♪」 「感謝します…」 桜花姫は三蔵郎に霊斬刀を手渡したのである。 「三蔵郎様?」 「えっ?霊斬刀…」 すると三蔵郎は恐る恐る…。 「小猫姫様は無事ですか?」 問い掛けられた桜花姫は一瞬ビクッと反応するも笑顔で返答する。 「彼女なら…大丈夫よ♪小猫姫は自害しないって約束したから♪」 「であれば一安心ですね♪」 「小猫姫はソッとしましょう…」 「承知しました♪」 直後である。再度地面がグラグラッと震動する。 「なっ!?」 「地響きだわ!」 「今度も地震だわ…」 (魔獣の仕業かしら?) 突然…。近辺より摩訶不思議の神力を感じる。 (えっ?何かしら?神通力でも妖力でも無いわね…ひょっとして神族!?) 桜花姫は警戒したのである。 「三蔵郎様!アクアヴィーナスは即刻寺院に避難して!」 「えっ!?桜花姫!?」 「一体何が発生したのですか?」 桜花姫は恐る恐る…。 「神族が接近中なの…」 「神族ですと!?」 「危険そうなの…」 「下手すれば殺されるかも…」 三蔵郎は承諾する。 「承知しました…桜花姫様…」 すると寺院の表門より…。木刀を所持した青色の着物姿の女性が進入したのである。 「彼女は…」 「誰かしら?」 桜花姫は恐る恐る…。 「彼女は冥王鬼…神族の一員よ…」 「彼女が神族ですか?人間の女性みたいですね…」 すると冥王鬼は無表情で発言する。 「亡者の集合体…月影桜花姫よ…貴様は死後の世界である地獄から脱出するとは…」 「私は天国でも地獄でも脱出するから安心しなさい…」 「悪運だけは人一倍だな…」 直後…。桜花姫の両目の瞳孔が半透明の瑠璃色に発光したのである。 「貴様…神族の眼光を…」 「残念だったわね♪あんたから一時的に天道眼を奪取されたけど霊魂巨神木の精霊から再度頂戴したのよ♪」 笑顔で発言する桜花姫に冥王鬼は内心苛立ったのか一言…。 「霊魂巨神木はこんな小娘に味方するとは…」 「私は即刻魔獣を仕留めたいの…邪魔しないで…」 冥王鬼は魔獣の一言に反応する。 「魔獣か…」 普段は無表情の冥王鬼であるが微笑したのである。 「何が可笑しいのよ?」 問い掛けられた冥王鬼は即答する。 「魔獣を封印から解放させたのは誰であろう私だからな…今頃は世界各地で大暴れだろうよ…」 「えっ!?あんたが!?」 彼女の発言に一同は反応したのである。すると三蔵郎は恐る恐る…。 「魔獣とは…ひょっとして伝説の羅刹獣でしょうか?」 「羅刹獣って?」 「羅刹獣は太古の旧世界で大暴れした海亀の怪物ですよ…伝承では十二人の最高神によって封印されたと…」 三蔵郎は桜花姫とアクアヴィーナスに説明する。 「ですが如何して神族の一員である冥王鬼が…古代の怪物を復活させたのですか?怪物によって数百人もの神族が惨殺されたのですよね?」 三蔵郎は恐る恐る問い掛ける。すると冥王鬼は即答する。 「大勢の仲間達が羅刹獣によって殺されたが…今現在の私は羅刹獣以上に地上界を君臨する人間達こそ殲滅したい…」 「冥王鬼は如何して人間達を殲滅したいのですか?」 「私が人間達を殲滅したい理由だと?」 冥王鬼は一息するなり…。 「貴様達も人類の歴史学を勉学すれば理解出来るだろうが…人間の歴史は戦争と自然界を汚染させるばかりだ…恐らく未来の世界でも戦争は何度も勃発するだろう…」 彼女の発言に桜花姫はハッとする。 (スキュランの時空の光球…) 桜花姫は時空の光球で発現された数多の戦争の光景を想起したのである。 (今後も戦乱時代みたいな時代が何度も到来するのかしら?) 正直自身も戦乱時代を体験出来ればと希求する。 (面白そうだわ♪今後の時代を見届けたいわね…) するとアクアヴィーナスが恐る恐る問い掛ける。 「如何してあんたは本来仕留めるべき相手を復活させたのよ?あんたは神族だし…人間達を仕留めるなら一人でも簡単でしょう?」 問い掛けられた冥王鬼はアクアヴィーナスに返答する。 「地上界の人間達だけを殲滅するなら私一人でも容易いが…太平神国には数多くの妖女が安住する桃源郷だ…最上級妖女である桜花姫が死後の地獄から生還したからには…」 正直桜花姫が俗界に戻ったのは予想外であり目的を達成するのに数多の妖女と彼女の存在は不都合だったのである。今度は三蔵郎が質問する。 「人間達を殲滅したとしても羅刹獣と神族である冥王鬼は敵対関係です…羅刹獣は大勢の神族を殺害した強者ですし貴女様も殺される可能性だって否定出来ませんよ…」 「であれば今度は羅刹獣を殲滅するだけだ…今現在の羅刹獣は長年の封印で相当弱体化した状態だ…私単独でも簡単に仕留められる…」 「私から天道眼を奪取したのは魔獣の羅刹獣の封印を解除したかったからなのね…」 「えっ!?桜花姫様?天道眼を奪取されたって…」 「先日の出来事だけどね…」 問い掛けられた桜花姫は先日の出来事を洗い浚い公言したのである。 「桜花姫様は彼女に天道眼を奪取されたなんて…」 「死後の世界にも幽閉されちゃったし…一苦労だったわ…」 所詮羅刹獣は人間達を殲滅する手駒であり瞳術の天道眼を所持した冥王鬼にとって弱体化した羅刹獣は目的を完遂させる手駒だったのである。 「遅かれ早かれ羅刹獣の封印を解除した以上…全世界が滅亡するのは時間の問題だ…」 すると冥王鬼は天道眼を発動…。 「貴様達の身動きを封殺する…」 直後である。冥王鬼の金縛りによって三蔵郎とアクアヴィーナスは身動き出来なくなる。 「なっ!?」 「えっ!?」 二人は身動きを封殺される。 「三蔵郎様!?アクアヴィーナス!?」 (金縛りでしょうか?) 三蔵郎は身動きしたいが金縛りにより身動き出来ない。 (身動き出来ないよ…) アクアヴィーナスは涙腺より涙が零れ落ちる。 「二人の身動きは封殺出来たが…月影桜花姫…妖女である貴様には私の金縛りが通用しなかったか…」 桜花姫には冥王鬼の金縛りが発動されず自由自在に身動き出来たのである。桜花姫は冥王鬼を睥睨するなり…。 「冥王鬼…あんたは本当に気に入らないわ…」 (蛇骨鬼婆ちゃんからは此奴を救済してって依頼されたけれど…) 天道眼を所持する冥王鬼と交戦するなら全力で力戦しなければ勝利出来ないと確信する。 (中途半端では今度こそ地獄に逆戻りね…) 桜花姫も天道眼を発動したのである。 「貴様も天道眼を発動したか…天道眼を発動したとしても私の木刀は妖力を吸収する神器…貴様が勝利する可能性は皆無だぞ…」 冥王鬼の木刀は霊魂巨神木の小枝から形作られた神器であり妖力による攻撃は木刀に吸収される。桜花姫は恐る恐る後退りする。 (天道眼を使用出来ても…単独で此奴を仕留められるかしら?) すると直後である。 (えっ?霊斬刀が…) 三蔵郎の所持する霊斬刀がカタカタッと振動したかと思いきや…。空中を浮遊したのである。数秒後…。桜花姫の目前に落下したのである。 「えっ?霊斬刀?」 (ひょっとして所持しろと?) 摩訶不思議の超常現象であったが…。桜花姫は恐る恐る霊斬刀を所持したのである。 「霊斬刀だと?牢固石の刀剣か?」 冥王鬼は警戒する。 「私でも対抗出来るかも知れないわね…」
 |
|