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日時: 2026/07/29 20:17
名前: 黒狼武者 ID:eSd4Sxzo

>>1

第一話

隕石
太平洋の中央には小大陸〔エルピスコロニア〕と呼称される辺境の絶島が存在する。此処は自然が豊富であり大勢の原住民達が安住したのである。世界暦五千七百二十一年六月中旬の時期…。小大陸エルピスコロニアでの出来事である。島内の中心部に聳え立つ最高峰ギガントロックの頂上にて一人の青年が広大無辺の青空を眺望する。
『やっぱり此処は長閑だな…』
地上は大戦争によって世界各地の彼方此方が荒廃化したのである。世界全体は空前絶後の大混乱期であったが…。文明やら科学技術とは無縁のエルピスコロニアだけは平和だったのである。
『宇宙の彼方には何が存在するのかな?』
青年の名前は【ストレイダス】…。体格は男性としては比較的小柄であり頭髪が黒髪なのが特徴的である。年齢は二十九歳であるが…。常日頃から自由自在に広大無辺の大空を浮遊したいと夢見る。
『俺も鳥類みたいに大空を飛行したいな…』
ストレイダスは村落一番の力自慢であり力仕事のみなら彼に拮抗する人物は存在しない。上記の理由により次期村長候補に任命されるのだが彼自身は非常に大雑把であり面倒に感じる。
『北方地帯に戻らないと村長の野郎が口煩いからな…』
生真面目の村長とは性格が不一致であり落胆したのである。
「はぁ…」
ストレイダスが一息した直後…。
「ん?」
突如として頭上から轟音が響き渡る。
『轟音か?』
ストレイダスは恐る恐る上空を直視したのである。
「えっ…」
上空の光景に絶句…。脳内が白色化したのである。
『一体何が!?』
上空には三十センチメートルサイズの隕石が超高速で急接近…。対するストレイダスは目前の光景に絶句する。
『隕石なのか!?』
上空の物体が小型の隕石であると認識した直後…。小型の隕石はギガントロックの頂上へと落下したのである。小型隕石の爆発音は近辺の村落は勿論…。エルピスコロニア全域へと響き渡ったのである。
「うわっ!」
ストレイダスの現在地は小型隕石の落下地点から数メートル程度の近距離とされ…。爆風と衝撃波が彼を強襲したのである。ストレイダスは隕石の落下地点から十数メートル程度吹っ飛ばされ…。
「ぐっ!」
全身が地面に激突する。
「ぐっ…」
『畜生が…』
ストレイダスは地面の激突により全身を骨折したのである。
『身動き出来ないか…』
全身の苦痛により身動き出来なくなる。
「はぁ…」
すると目前の視界が黒化し始め…。
『俺は…こんな場所で死んじまうのか?』
次第に意識が遠退き始める。
『正直…もう少しだけ…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟したのである。
『もう少しだけでも…長生きしたかったな…』
数秒間が経過…。ストレイダスの意識が消失したのである。

第二話

治癒
最高峰ギガントロックの頂上へと落下した小型の隕石はエルピスコロニア全域へと響き渡る。
「一体何が…」
「轟音は…頂上からだったよな?」
登山中の二人の村民達は畏怖するも頂上へと移動したのである。
「うわっ…」
「クレーターか…一体如何してこんな状態に?」
頂上の光景に驚愕する。頂上には直径二十メートル前後のクレーターが形作られ…。クレーターの中心部には三十センチメートルサイズの岩石が確認出来る。
「此奴は隕石なのか?」
「ん!?誰だ!?」
クレーターの近辺にて地面に横たわった状態の怪我人を発見する。
「怪我人だぞ!大丈夫か!?」
怪我人は小柄の成人男性だったのである。上半身は血塗れ…。全身の衣服はボロボロであり瀕死の状態だったのである。
「隕石で吹っ飛ばされたのか?」
「不運だったな…こんな状態では…」
生存は絶望的であり二人は瀕死の成人男性を気の毒に感じる。すると直後…。
「えっ…」
「現実なのか?」
成人男性は瀕死の状態であったが突如として全身の外傷が治癒し始める。外傷は数秒間で完治…。成人男性は目覚めたのである。
「うっ!俺は…死んじまったのか?此処は天国なのか?」
成人男性は記憶が曖昧なのか周囲をキョロキョロさせる。
「誰かと思いきや…あんたは力自慢のストレイダス!?」
「大丈夫なのかよ!?」
成人男性は誰であろう力自慢のストレイダスだったのである。
「えっ?大丈夫そうだが…」
ストレイダスは自身の全身を確認すると絶句し始める。
『衣服がボロボロだな…上着は血塗れだし…』
鮮血により白色の上着が赤化したのである。
「戻って入浴しないと…」
ストレイダスが歩行する直前…。
「ストレイダス?歩いて大丈夫なのか?」
「血塗れだし…」
二人の村民達はストレイダスを心配する。
「大丈夫だよ…外傷は無さそうだし手足はピンピンに動けるからさ…」
ストレイダスはピンピンした様子であり下山したのである。
「ストレイダス…本当に元気だな…」
「彼奴は不死身なのか?」
小柄の村民が恐る恐る…。
「先程のストレイダスの治癒力…異常だったよな?全身血塗れの状態だったのに…数秒間で治癒するなんて…」
すると大柄の村民も小声で発言する。
「ストレイダスは人一倍元気だけど…普通は失血死しても可笑しくないよ…彼奴は如何しちまったのやら…ストレイダスは本当に不死身だったのか?」
ストレイダスは幼少期から免疫力は人一倍根強く怪我も一日で治癒したのである。二人の村民達はストレイダスの様子に愕然とする。

第三話

次期村長候補
同日の夕方…。ストレイダスは自宅でゴロゴロする。
「はぁ…」
『今日は草臥れたぜ…隕石で吹っ飛ばされるなんて予想外だな…』
すると誰かがコンコンッと自宅のドアをノックしたのである。
「ん?こんな時間帯に誰だろう?」
ストレイダスは玄関へと移動するとドアを開放させる。
「ストレイダスよ…体調は如何なのだ?」
「えっ…村長!?」
訪問者は村長のウィルフィールドでありストレイダスは驚愕する。
「村民達の噂話では隕石で吹っ飛ばされたとか…其方は大丈夫なのか?」
ウィルフィールドはストレイダスの状態を心配したのである。
「俺なら大丈夫ですよ♪俺は肉体だけなら人一倍頑丈なので石ころなんかで死にませんよ!村長は心配性ですね♪」
ストレイダスは自負する。
「ストレイダスが元気なのは周知の事実だが…無理するなよ…何たって其方は次期村長候補なのだからな…」
「えっ?はぁ…」
ストレイダスは次期村長候補の発言に苦笑いしたのである。
『やっぱり村長の口癖は面倒臭いな…次期村長なんて御免だよ…』
彼にとってウィルフィールドの口癖はストレスに感じる。するとウィルフィールドは小声で…。
「偶然にも…天空世界から隕石が落下するとは…恐らく今後…世界各地で天変地異が発生するかも知れないな…」
「天変地異ですって?」
ストレイダスはウィルフィールドの小声に反応したのである。
「近頃…感じるのだよ…」
時たまであるが…。ウィルフィールドは未来を予知出来る。契機としては幼少期の海水浴で事故に遭遇…。海中に溺れ掛けるも両親に救助されたのである。事故から数日後…。未来の出来事を予見出来る能力が発現したのである。
「村長?一体…世界では何が発生するのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「非常に曖昧かも知れないが…世界各地に怪物らしき巨体が暴れ回り…各国は停戦するだろう…」
「えっ…停戦ですって!?」
今現在世界各国は経済の不景気により戦争中である。世界各地の彼方此方が戦争の影響で荒廃化…。戦争による被害は拡大化する。
「怪物を相手に奮闘中の戦士らしき存在も認識出来たのだ…ひょっとして世界の救世主だろうか?」
「怪物と…戦士ですって?」
ウィルフィールドの表現は非常に曖昧であり現実味は皆無である。
『本当に曖昧だな…怪物とか戦士って何だろう?』
一方のストレイダスは内心珍粉漢粉であり苦笑いする。
「少なくとも世界全体で異変が発生するのは事実だろう…」
数秒間が経過するとウィルフィールドは自宅へと戻ったのである。
「世界全体で天変地異なんて…」
『本当に発生するのかな?巨体の怪物とか…世界の救世主とか…古代の神話みたいな内容だよな…』
先程のウィルフィールドの発言は非現実的であり大昔の神話みたいに感じられる。

第四話

停戦
隕石事故から半年後の十二月中旬の時期である。世界各国は依然として戦争中であったが…。十二月が経過した時期から海中より正体不明の移動物体の目撃情報が世界各地に伝播したのである。同年の十二月十三日…。とある大国の大型潜水艦が正体不明の巨大移動物体と衝突する大事故が発生したのである。大型潜水艦は沈没こそ免れたが…。艦体は大破したのである。正体不明の巨大移動物体による大型潜水艦の衝突事故から二日後…。今度は別の国軍の艦隊が作戦行動中に正体不明の巨大移動物体と遭遇する。魚類らしき背鰭と尾鰭が確認出来…。正体不明の巨大移動物体は全長数十メートル規模の魚類であると判明したのである。艦隊は回避行動を開始するのだが…。一隻のミサイル艦が魚類らしき移動物体と衝突したのである。巨大移動物体と衝突した影響によりミサイル艦は沈没…。艦隊は即座に対潜戦闘を開始するのだが巨大移動物体は想像以上に高速であり行方を見失ったのである。以後も各海域で各種船舶が魚類らしき巨大移動物体と遭遇…。場合によっては衝突する事故が多発したのである。一連の超常現象から月日が経過…。世界暦五千七百二十二年五月七日未明の出来事である。午前八時半…。
「各国の停戦って本当なのかよ!?」
「えっ…長期化した戦闘がこんなにもピタッと停戦するなんて…」
各国間の停戦の情報は辺境のエルピスコロニア全域にも知れ渡ったのである。エルピスコロニアは各国の停戦の動向により各村落が騒然とする。
「開戦から七年以上経過したけれど…各国が停戦するとは何が契機で?」
各村落は突然の朗報により騒然としたものの…。大勢の村民達は各国の停戦にホッとしたのである。すると一人の村民が恐る恐る…。
「各国が停戦した理由だけど…如何やら規格外の怪物が戦場に出現したらしいぞ…」
「えっ!?規格外の怪物だって!?」
周囲の者達は怪物の一言に反応する。
「世界各地の戦場で巨体の怪物が何体も出現したらしいぞ…」
各国が戦争中に規格外の巨大不明生物の出現で各国軍の損害が増大化したのである。対する各国軍も通常兵器で巨大不明生物に応戦するのだが…。巨大不明生物には各国軍の如何なる兵器も通用しなかったのである。各国の首脳陣は巨大不明生物の出現により停戦を決行…。各国軍は巨大不明生物の排除を優先したのである。
「非現実的だな…怪物の出現なんて本当なのかよ?」
「怪物の出現で終戦なんて皮肉だよな…」
「本当に怪物が出現するなんて…村落に出現しないか心配だよ…」
「やっぱりウィルフィールド村長の未来予知は本当だったのか…」
大半の者達がウィルフィールドの予言を単なる妄言程度の認識であったが…。今回の超常現象から怪物の存在を確信したのである。
『怪物か…やっぱり村長の予言は本当だったな…』
村道を通り掛かったストレイダスは村民達の噂話を盗み聞きする。
『村長の予言では地球上に救世主が出現するらしいけれど…一体誰なのかな?』
ストレイダスは救世主の存在が何者なのか気になったのである。

第五話

恐竜型
全世界各国の停戦表明から五日後の深夜帯…。エルピスコロニア北方地帯での出来事である。村民達はスヤスヤと睡眠中だったのだが…。突如として北方の海岸から爆発音と猛獣らしき咆哮が北方地帯全域に響き渡ったのである。
「うわっ!」
一方のストレイダスは自宅の寝室にて熟睡中であったが…。突然の爆発音と猛獣らしき轟音により飛び起きたのである。
『一体何が!?』
今度は大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。気になったストレイダスは恐る恐る外部へと移動したのである。大勢の村民達が村道を逃走…。反対方向から弓矢を装備した義勇兵達が総動員で海岸へと急行中だったのである。
「えっ…」
ストレイダスは外部の光景に愕然とする。
『前代未聞の光景だな…』
ストレイダスは村道へと移動…。義勇兵達に追尾したのである。移動中…。再度爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡る。
『咆哮だ…海岸には何が出撃したのかな?』
義勇兵達を追尾してより数分後…。ストレイダスは海岸へと到達したのである。
「なっ!?」
ストレイダスは海岸の光景に驚愕…。現実の出来事なのか理解出来なくなる。
『此奴は…恐竜なのか!?』
海岸の砂浜には体高十二メートル前後の恐竜らしき怪物が直立…。全身が凸凹の岩石らしき皮膚が特徴的である。
「狼狽えるな!此処で怪物を仕留めろ!」
義勇兵の部隊長が攻撃を指示…。数十本もの毒矢が発射されたのである。多数の毒矢が怪物の皮膚に命中するのだが…。
「畜生…ビクともしないな…」
怪物の皮膚は岩石みたいに硬質であり毒矢は非力だったのである。
「部隊長殿…駄目です…」
「こんな装備では…」
周囲の義勇兵達は毒矢が通用しない怪物に畏怖し始め…。絶望する。現実問題としてエルピスコロニアは外界の科学技術とは無縁の排他的社会である。当然として科学技術は未発達であり外界では主流とされる近代的装備は皆無…。武器は時代錯誤の棍棒やら弓矢が関の山だったのである。
「駄目だ!此処で怪物を仕留めなければ村落が壊滅するのだぞ!」
部隊長は怒号するのだが…。
「怪物が!?」
直後である。恐竜型の怪物が口部を開口し始め…。口内から高熱の火球を放射したのである。
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
火球は義勇兵達に直撃…。彼等の肉片が一瞬で炭化したのである。海岸の砂浜には炭化した義勇兵達の肉片が彼方此方に散乱する。
「えっ…」
ストレイダスは彼等の惨劇に恐怖したのである。一方恐竜型の怪物がストレイダスの方向を直視し始め…。ギロリと睥睨したのである。
「ひっ!」
ストレイダスは極度の恐怖心により身動き出来なくなる。
『畜生…逃げたいのに逃げられない…』
すると恐竜型の怪物は再度口部を開口…。ストレイダスを標的に口内から高熱の火球を放射したのである。
「はぁ…」
『今日が…俺の命日か…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟する。

第六話

協力者
ストレイダスは火球に直撃…。意識が消失したのである。火球が直撃してより時間が経過…。
「ん?えっ…此処は?」
ストレイダスはとある密室にて目覚める。
『俺は恐竜みたいな怪物に遭遇してから殺されて…此処は死後の世界なのか?』
ストレイダスは周囲をキョロキョロさせる。すると目前のドアが開放され…。背広姿の男性が入室する。
「目覚められましたか…ストレイダス様…」
背広姿の男性は頭髪が金髪…。瞳孔は碧眼であり大柄の白人男性だったのである。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは状況が理解出来ず返答に困惑する。
『誰だろう?天使なのか?姿形だけなら人間みたいだな…』
目前の白人男性が天使なのか思考したのである。
「私の名前は【フィルドルク】です♪突然の出来事なので貴方が理解出来ないのは当然でしょう♪」
フィルドルクと名乗る白人男性は満面の笑顔で発言する。一方のストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「俺は怪物に殺されて…此処は死後の世界の天国ですか?貴方は天使ですか?」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けにクスクスと微笑し始める。
「こんなにも連続的に超自然的現象と遭遇すれば混乱するでしょうね♪此処は潜水艇の内部ですよ♪天国とは無縁の世界です♪」
「潜水艇の…内部?」
「貴方は正真正銘完全なる生者なのですから♪」
「えっ…俺が…生者ですって!?」
『俺は怪物の火球で吹っ飛ばされたのに…命拾い出来たのか!?』
ストレイダスは自身が生者である事実に驚愕し始め…。再度混乱したのである。
「貴方は地上の怪物と遭遇してから…」
ストレイダスは先程の恐竜型の怪物に攻撃され…。海面上へと吹っ飛ばされたのである。一方のフィルドルクは潜水艇で航行中…。暗闇の海中にてストレイダスを発見したのである。
「俺は貴方に救助されたのですね…感謝します…」
ストレイダスは命拾い出来…。フィルドルクに感謝したのである。
「私の正体は民間の宇宙開発企業の社長とでも♪当然として貴方の協力者なのは断言出来ますが♪」
「えっ…宇宙?開発企業の…社長?」
『俺の協力者だって?失礼かも知れないけれど…』
ストレイダスはフィルドルクに警戒する。
『正直胡散臭い雰囲気だな…』
フィルドルクは見ず知らずの人物であり内心胡散臭いと感じる。
「貴方が俺を此処に移送したのですか?」
「無論ですね♪」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。
「貴方は唯一無二の地球の救世主なのですから♪ストレイダス様が死去されたら一体誰が地球を守護されるのでしょうか?」
「俺が…地球の救世主ですって?」
「貴方は去年の六月頃…隕石で大怪我されたでしょう?私は後日…隕石の落下地点で落下した隕石と…貴方の血液を入手したのですよ♪」
去年の六月…。隕石の落下を察知したフィルドルクは単独調査を目的にエルピスコロニアへと上陸したのである。最高峰のギガントロック頂上にて隕石とストレイダスの血液を入手…。独自で隕石の詳細とストレイダスの血液を調査したのである。
「調査の結果…世紀の大発見ですよ♪人類の歴史が変化するでしょうね♪」
フィルドルクは大喜びする。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは珍粉漢粉であり再度苦笑いしたのである。
「ギガントロックに落下した隕石はペストロと命名される深宇宙の特殊性物質なのですよ♪」
「ペストロ?」
ストレイダスは専門用語に困惑する。
「ペストロは惑星の爆発によって発生する物質なのですよ♪恐らく辺境の宙域で惑星が爆発したのでしょう…」
特定の惑星の爆発によってペストロと呼称される特殊性の物質が発生…。隕石として地球上に落下したのである。
「ですがペストロって物質と落下地点の血液が如何したのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「隕石の落下地点の血液を調査した結果…ペストロの物質が検出されたのです…今現在のストレイダス様の血液と一致したのですよ…」
フィルドルクはストレイダスの身体髪膚を検査した結果…。ストレイダスの血液がギガントロックで発見した血液と一致したのである。
「えっ…」
ストレイダスは絶句する。
「今現在の貴方の肉体は常人とは比較出来ない領域へと進化したのです…」
ストレイダスは隕石の影響から全身がペストロの細胞へと変異したのである。
「えっ…進化?」
「貴方は隕石の影響により…細胞レベルで変異したのでしょう…」
ストレイダスは恐る恐る全身の皮膚に接触し始める。皮膚に接触すると筋肉が金属類みたいに硬質だったのである。
「実際ストレイダス様は怪物に攻撃されても死にませんでした…貴方の生命力が超越的だと証明されたのです♪」
フィルドルクは満面の笑顔で銀色の密着性の全身スーツ…。携帯型の電子機器を手渡したのである。
「全身タイツと…小箱みたいな小道具ですね…一体何でしょうか?」
エルピスコロニアでは文明社会の電子機器が出回らずストレイダスは携帯型の電子機器に興味深くなる。
「本日より貴方はペストロの超人…【ペストロマン】なのです♪」
フィルドルクはストレイダスをペストロマンと命名する。
「ペストロマン!?」
「今現在の貴方であれば先程の怪物と互角以上に接戦出来るでしょう♪貴方は地球上で最強の戦士なのですから♪」
ストレイダスはフィルドルクの発言に動揺し始める。
「フィルドルクさん!無茶ですよ!先程の恐竜みたいな怪物に…真正面から接戦なんて正気ですか!?」
「ストレイダス様は心配性ですね♪」
対するフィルドルクは動揺し続けるストレイダスに断言する。
「心配しなくてもストレイダス様のデータを計算した結果…今現在の貴方はペストロの効果によって常人の三百人分のパワーは発揮出来ましょう♪」
「三百人分って…」
『大袈裟だし…胡散臭いな…』
フィルドルクの発言が信用出来なかったのである。
「先程貴方に手渡した必須アイテムですが…一つ目はペストロマンが着用するので〔ペストロスーツ〕とでも命名しましょうか♪」
ペストロスーツは宇宙で発見された特殊繊維で製造…。密着性の全身スーツである。本来は宇宙空間での活用を目的に製造された代物とされ…。太陽型の恒星内部でも活動出来るとされる。
「二つ目のアイテムは怪物を発見するのに必須の〔ハイパーセンサー〕です♪」
ハイパーセンサーとは近年発生した巨大未確認不明生物の出現に対応する目的で開発された代物である。地球上であれば巨大未確認不明生物があらゆる場所に出現しても生体反応を正確にキャッチ出来…。瞬時に出現地点を特定出来る。
「当然としてペストロスーツとハイパーセンサーは無料で提供しますからね♪」
すると直後…。ハイパーセンサーの中心部のレンズが点滅したのである。
「うわっ!中心の硝子が点滅した!?」
ストレイダスは突然のハイパーセンサーの点滅に驚愕する。
「如何やらハイパーセンサーが怪物の生体の居場所をキャッチしたみたいですね♪」
「一体如何すれば…」
ストレイダスは困惑したのである。
「貴方が出動する以外に選択肢は存在しません…早速ストレイダス様は怪物を退治するべきかと…」
フィルドルクは携帯型のホログラム装置を作動させる。
「えっ…一体何が!?」
ストレイダスはホログラム装置に反応したのである。するとホログラム装置の上部にて立体化された恐竜型の怪物が映写される。
「怪物だ…」
恐竜型の怪物は村里を襲撃…。大勢の村民達が逃亡する光景がホログラム装置から鮮明に確認出来る。
「ストレイダス様…此処で長居し続ければ村落の被害が拡大する一方ですよ…」
ストレイダスは両目を瞑目し始め…。沈黙したのである。
『一か八かだな…』
一息する。
「承知しました…俺は…怪物を退治しますよ…」
ストレイダスは決意したのである。
「ストレイダス様♪決断されたのですね♪」
フィルドルクはストレイダスの決意に大喜びする。一方のストレイダスはペストロスーツを凝視し続ける。
『神話の…英雄みたいな衣装だけど…』
ペストロスーツの着用には抵抗を感じるのだが…。
『止むを得ないな…』
ストレイダスはペストロスーツを着用したのである。数分後…。
「少しだけチクチクしますが…やっぱり動き易いですね…」
ペストロスーツは全身にフィット…。全体的に動き易いと感じる。
「ですがやっぱりストレイダス様は屈強の体格ですね…」
ストレイダスは全体的に筋肉質であり余計に屈強さが際立ったのである。
「実際俺は村里では一番の力自慢ですからね…」
「であれば怪物相手でも大丈夫でしょう♪」
ストレイダスは恐る恐る…。
「早速此処から脱出したいのですが…一体如何すれば?」
「心配しなくても大丈夫ですよ♪ストレイダス様♪」
フィルドルクはストレイダスをとある密室へと案内したのである。
「床下の装置は…何ですか?」
床下には円形の装置が確認出来る。
「床下の装置は最新型のテレポート装置ですよ♪円内であればあらゆる物体を目的地にワープさせられます♪」
密室の装置はオーバーテクノロジーによって開発されたテレポート装置である。円形の内部に特定の物体を設置…。目的地を設定すると数秒間で物体をワープさせられる。

第七話

開戦
ストレイダスはテレポート装置によって海岸の砂浜へとワープする。
『此処は海岸の砂浜だな…』
先程の出来事を想起…。
『フィルドルクさんもだけど…』
先程の数多くの未来的道具に愕然とする。
『やっぱり外界の文明レベルは桁違いだな…』
すると直後…。頭部がズキズキする。
「うっ…」
『何だろう?遠方から気配を感じる…』
何故なのかは不明だが…。村落から気配を察知出来たのである。
『ひょっとするとペストロって隕石の影響なのかな?』
ストレイダスは自身の肉体の異変を自覚し始める。
『先程の怪物…仕留められるのかな?』
正直不安であったが…。村落へと急行したのである。移動中…。爆発音やら大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。
『物凄い騒音だ…やっぱり怪物は村落に進攻したみたいだな…』
移動してより数分後…。
「えっ…」
北方地帯の彼方此方が火炎の地獄であり各家屋が炎上したのである。
『北方地帯が…』
ストレイダスは非日常的光景に絶句…。真夜中の深夜帯なのに火災の影響で北方地帯全域が赤色に染色する。
『怪物を発見し次第仕留めないと…』
すると近辺の山奥より…。怪物の咆哮が響き渡る。
『怪物か…』
ストレイダスは山奥へと急行する。急行してより数分後…。山道にて先程の恐竜型の怪物を発見したのである。
「怪物だ!」
一方の恐竜型の怪物は反応し始め…。背後のストレイダスを凝視したのである。怪物は殺気立った形相でギロリと睥睨する。
「うっ…」
『こんな怪物…本当に俺だけで仕留められるのか?』
ストレイダスは恐怖…。全身がプルプルと身震いしたのである。すると携帯式のハイパーセンサーがピピッと作動し始める。
「ん?ハイパーセンサーか?」
恐る恐るハイパーセンサーを起動…。
「何だろう?」
すると画面より怪物の名称と危険度が表示されたのである。
「【ギガントサウルス】?危険度は…中度?」
恐竜型の怪物は高熱恐竜ギガントサウルスと表示され…。危険度は中度と表示されたのである。
『怪物はギガントサウルスって名前なのか…』
メンテ

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桜花姫 ( No.41 )
日時: 2021/08/17 09:54
名前: 月影桜花姫

第七話

魔獣

一週間後の早朝…。太平神国の裏側に位置する孤島では神族の冥王鬼が到達する。
「今現在でも近海の海底下に…」
(十二人の最高神によって封印された魔獣が存在するか…)
数百万年前の超古代時代…。神族の最盛期であり地上界には高度化された無数の神族による文明社会が構築されたのである。とある望月某日…。天空より全長が小大陸規模もの魔獣が出現したのである。魔獣は世界各地で暴れ回り大勢の神族やら人間達を虐殺…。大陸の陸地をバリバリと食い散らかしたのである。神族でも最強の部類である十二人の最高神と交戦…。長期戦であったが最高神の神通力によって魔獣は深海底にて封印されたのである。魔獣の封印には成功するも…。十二人の最高神は神通力の消耗によって衰弱死したのである。魔獣の暴走によって地形が大幅に変化…。魔獣の暴走こそ神族が弱体化する決定的要因だったのである。
「今回は超古代に神族を殺害した魔獣を復活させ…地上界の人間達を駆逐する…」
冥王鬼は天道眼の効力により結界を発動…。目的地である深海底へと移動したのである。数分後…。冥王鬼は目的地の海底下へと到達する。周辺は暗闇の海中であったが目的地の海底下中心部には規格外の巨大海亀らしき岩石物体が確認出来る。
「此奴が…魔獣…【羅刹獣】か…」
羅刹獣は全身が凸凹の岩石の肉体である。凸凹した岩石の甲羅には無数の巨大人面…。尻尾の部分は巨大海蛇が確認出来る。封印された羅刹獣の全身には金剛石で形作られた巨大鉄鎖により封殺され…。完全に身動き出来ない状態である。すると冥王鬼の神通力に反応したのか巨大人面の一部が海中を浮遊する冥王鬼をギロッと直視する。
「こんな深海底に小娘か?貴様…一体何者だ?」
巨大人面は人語で発言したのである。
「私は…冥王鬼…神族の一員だ…」
「貴様…神族の小娘か?今度こそ封印された私を死滅させるか?」
問い掛けられた冥王鬼は即答する。
「貴様を封印から解放する…」
封印から解放すると発言した冥王鬼であるが…。羅刹獣の巨大人面は失笑したのである。
「貴様正気か?最高神ですら衰弱化させた私を貴様みたいな小娘が解放するとは…貴様は余程の命知らずであるな…」
「鬱陶しい…貴様は解放されたくないのか?」
「復活させた瞬間…私は再度暴れ回る…今度こそ全世界の滅亡は確定的であるぞ…」
「地上界全域を滅亡させるには貴様の絶大なる魔力が必要不可欠なのだ…地上界の滅亡は私にとって好都合…」
「地上界の滅亡か…」
すると今度は別の巨大人面が発言する。
「貴様が私を封印から解放するのか!?であれば即刻封印を解除させろ!今度こそ大暴れして全世界を打っ壊すからよ♪」
別の巨大人面は失笑するなり…。
「私を復活させた瞬間…チビッ子の姉ちゃんを食い殺しちまうぜ♪」
巨大人面の発言に冥王鬼は呆れ果てる。
「封印から解放させたとしても今現在の羅刹獣は弱体化した状態だ…間違っても天道眼を所持する私を殺せないぞ…」
長期間の封印の効力からか羅刹獣の魔力は超古代時代から相当弱体化したのである。
「畜生が…本調子であればこんな小娘簡単に打っ殺せるのだが…」
「今現在の状態であれば…貴様に協力するのが正解みたいだな…」
「神族の小娘に協力するのは気に入らないが…止むを得ない…」
(交渉成立だな…)
冥王鬼は微笑する。
「早速貴様の封印を解除する…」
冥王鬼は瞑目するなり…。
「天道眼…発動!」
群青色だった両目の瞳孔が半透明の瑠璃色に発光したのである。
「羅刹獣…貴様の封印を解除する…はっ!」
直後…。念力の効力により羅刹獣の全身の身動きを封殺した金剛石の巨大鉄鎖がバリっと破壊されたのである。すると封印が全面的に解除され…。本体の先端部分に位置する頭部がハイテンションで大喜びしたのである。
「ヤッタゼ!トウトウフウインガカイジョサレタカ!ヒサカタブリニチジョウデオオアバレシテヤルゼ!」
本体の先端に位置する頭部部分が冥王鬼を直視するなり…。
「フウインヲカイジョシタノハシンゾクノネエチャンカ!?アリガトサンヨ♪チジョウノガイチュウドモヲクイコロシニデカケルカ!」
(此奴…下手すれば扱い切れないかも知れないな…)
羅刹獣は殺戮と破壊のみの破壊者である。本来の魔力が戻れば天道眼を駆使しても羅刹獣をコントロールするのは非常に困難であると感じる。
(羅刹獣が多少弱体化したのが何よりだな…)
同時刻…。深海底地帯のアクアユートピアでは深海底魔女のスキュランが魔法の水晶玉で深海底の異変をキャッチする。
「えっ?」
(水晶玉が反応したわ…)
魔法の水晶玉を直視するなり…。
「なっ!?此奴は…」
魔法の水晶玉には冥王鬼と封印が解除された羅刹獣が映写される。
「此奴は超古代に地上界で暴れ回った魔獣…羅刹獣だったかしら?」
(胸騒ぎの原因は此奴だったのね…)
スキュランは恐怖心からか全身がプルプルする。
「伝承では羅刹獣の大暴れで全世界が滅亡寸前だったとか…」
魔法の水晶玉に映写された冥王鬼を直視したのである。
(羅刹獣は封印が解除されたのかしら?ひょっとして小柄の少女が羅刹獣の封印を…)
「兎にも角にも…アクアユートピアの人魚達には国外の外出を徹底的に禁止させないと…」
スキュランは即刻国外への外出禁止をアクアユートピア全域に発令…。国外への外出は全面禁止され国境は完全に封鎖されたのである。二人の人魚の側近がスキュランの家屋敷に訪問する。
「スキュラン様…国外への外出禁止を発令しました!」
「国境もシールド魔法で封鎖しました…国内の安全は確保出来た模様です」
「完了したのね…上出来だわ…」
するとドアがノックされたのである。
「誰かしら?」
ウェンディーネがソワソワした様子で入室する。
「スキュラン!大変よ!」
「えっ!?今度は何事!」
ウェンディーネの様子にスキュランは吃驚したのである。
「アクアヴィーナスが…出掛けちゃったの…」
彼女は落涙する。
「えっ…アクアヴィーナス…国外に出掛けちゃったの!?」
スキュランは呆れ果てる。
「はぁ…」
(彼女は人一倍弱虫なのにトラブルメーカーね…)
すると側近は恐る恐る…。
「スキュラン様…彼女を救出しますか?」
スキュランは一息する。
「彼女には悪いけれど…救出は出来ないわ…」
「えっ!?スキュラン!?」
スキュランの発言にウェンディーネはビクッと反応したのである。
「アクアヴィーナスは如何なるのよ!?」
「正直私にはアクアユートピアの国内を守護するのが精一杯なの…彼女には悪いけど…」
「スキュラン…」
ウェンディーネは絶望する。同時刻…。国外へと出掛けたアクアヴィーナスは深海底を移動中に極度の胸騒ぎを感じる。
(先程から胸騒ぎを感じるわ…)
恐怖心によりビクビクする。
「アクアユートピアに戻ろうかな…」
戻ろうかと思いきや…。海底下を直視すると岩石の塊状が移動するのを発見する。
「えっ…」
(何かしら…)
岩石の移動物体は規格外の巨大さである。海底下の移動物体を凝視し続けると上部の表面には無数の巨大人面が確認出来る。
「ひっ!」
(人面だわ…)
無数の巨大人面にアクアヴィーナスは畏怖したのである。移動物体を凝視し続けると小大陸規模の規格外の巨大海亀であると認識する。
(ひょっとして海亀の怪物かしら?)
すると甲羅の表面に存在する巨大人面の一部が直上のアクアヴィーナスを発見するなり…。
「ん?彼奴は人魚の小娘か?」
巨大人面は人語で発言したのである。
「如何やら人魚の小娘みたいだな…」
「肩慣らしには好都合だが…如何する?」
「人魚の小娘を食い殺しちまうか?」
無数の人面が相談し始める。すると本体の先端に位置する海亀の頭部が大声で…。
「セナカノガンメン!サッキカラコソコソハナシヤガッテ…オレハクウフクナンダ!ダイチヲクウノガサキダ!アンナコバンザメデハハラノタシニモナラン…ホウチシテオケ!」
海亀の頭部が怒号すると甲羅の無数の人面は沈黙したのである。海亀の怪物は大南海へと直進…。アクアヴィーナスは命拾いしたのである。
「はぁ…はぁ…」
(一瞬食い殺されるかと…)
アクアヴィーナスは周辺を警戒するなり…。
(先程の怪物は一体何者だったのかしら?)
「イーストユートピアの桜花姫なら海亀の怪物を退治出来るかな?」
アクアヴィーナスは即刻太平神国に直行したのである。同時刻…。桜花姫は暇潰しに東国の茶店に来店したのである。彼女は大好きな桜餅を頬張る。
「桜餅は美味ね♪」
すると彼女の背後より…。
「桜花姫♪」
何者かが彼女の背中を接触する。
「きゃっ!」
桜花姫は驚愕したのである。
「誰よ!?吃驚するじゃない!」
背後を直視すると背後の人物は氷麗姫…。彼女だったのである。
「えっ?氷麗姫…あんただったのね…」
「御免あそばせ♪」
笑顔で謝罪する。
「あんた…吃驚させないでよね…折角の娯楽が台無しじゃない…」
「御免♪御免♪」
氷麗姫も同席したのである。
「今日は何事かしら?」
桜花姫が問い掛けると氷麗姫は真剣そうな表情で…。
「あんたの妹分の小猫姫だけどね…今日の早朝に自害し掛けたの…」
「えっ…小猫姫が自害ですって…」
蛇骨鬼が老衰してより小猫姫は精神的に参ったのか出刃包丁で自害し掛けたのである。
「今日は私が阻止したから大丈夫だったけど…」
今回は氷麗姫の参上により氷結の妖術を駆使…。危機一髪自害を阻止したのである。
「一歩間違えれば…彼女…本当に自殺しちゃうかも…」
「小猫姫…」
蛇骨鬼の霊体との会話により自然界と一体化した事実を小猫姫に説明するも…。彼女は納得しなかったのである。
「小猫姫は?」
「三蔵郎の寺院よ…」
今現在小猫姫は三蔵郎の寺院で寝転び…。三蔵郎が彼女の様子を見守る。
「三蔵郎様…大丈夫かな?」
(正直不安だわ…)
小猫姫が脱走しないか正直不安だったのである。
「大丈夫よ…桜花姫♪三蔵郎は人間だけど死霊餓狼とも互角に接戦した実力者なのよ♪小猫姫でも簡単には…」
直後…。桜花姫の姿形が消失する。
「えっ!?桜花姫は!?」
同時刻…。桜花姫は口寄せの妖術により三蔵郎の寺院へと瞬間移動したのである。
「三蔵郎様?」
玄関の戸口をノックするのだが…。
「無反応ね…」
桜花姫は恐る恐る寺院へと進入したのである。
「三蔵郎様は…」
客室へと入室すると客室では三蔵郎がグッタリとした表情で横たわる。
「えっ!?三蔵郎様!?」
桜花姫はソワソワした表情で三蔵郎に近寄るなり安否を確認する。
「はぁ…」
(三蔵郎様は大丈夫そうね…)
ホッとしたのか一安心したのである。すると横たわる三蔵郎の左側の真横には木魚が確認出来る。
「如何して木魚がこんな場所に…」
すると横たわった三蔵郎が目覚める。
「うっ!私は…」
「三蔵郎様?大丈夫?」
「えっ?桜花姫様でしたか…ん!?小猫姫様…」
「小猫姫?」
三蔵郎は恐る恐る…。
「私は…小猫姫様に木魚で殴打されて…」
「えっ!?小猫姫が!?」
桜花姫はゾッとしたのである。
(ひょっとして彼女…)
彼女は恐怖心からか全身が身震いする。即座に二階の居間へと移動したのである。
「えっ?桜花姫様?」
二階の居間に到達すると屏風を直視する。
「小猫姫…」
屏風に装飾された霊斬刀が無くなったのである。
「えっ!?私の霊斬刀が…」
三蔵郎は精神的ショックからか全身が脱力する。
「一体誰が…私の霊斬刀を窃盗したのでしょうか…」
桜花姫は小声で…。
「小猫姫かしら…」
「えっ?小猫姫様が?」
「三蔵郎様…御免なさいね…」
桜花姫は自分自身に口寄せの妖術で小猫姫の居場所へと自身を口寄せしたのである。小猫姫は霊斬刀を所持した状態で東国と南国の国境に位置する山道にて移動する。
「えっ…桜花姫姉ちゃん…」
小猫姫は突発的に出現した桜花姫と遭遇…。一時的に佇立する。
「私からは逃げられないわよ…大人しく霊斬刀を渡しなさい…」
すると小猫姫は睥睨するなり…。
「渡さない…今日は私の命日なの…」
小猫姫は落涙したのである。
「私を死なせてよ…桜花姫姉ちゃん…」
「はぁ…小猫姫…」
桜花姫は呆れ果てる。
「あんたが自害したって…誰も大喜びしないわよ…」
「私は一人では何も出来ないし…未来に希望なんて無いよ…」
「あんた…」
「私を殺したければ殺せば?桜花姫姉ちゃんの大好きな桜餅に変化させて私を食い殺しちゃえば?」
苛立った桜花姫は無表情で…。
「小猫姫?」
「何よ?桜花姫姉ちゃん?」
力一杯小猫姫の頬っぺたを引っ叩いたのである。
「きゃっ!」
小猫姫は地面に横たわる。
「あんたみたいな意気地なしは桜餅に変化させても不味いだけよ…」
桜花姫は無表情であり霊斬刀を回収する。
「霊斬刀は三蔵様の所有物だからね…」
すると桜花姫は再度無表情で発言したのである。
「今日からあんたとは絶縁ね…自害したければ勝手に自害しなさい…」
桜花姫は退散したのである。移動中…。
(小猫姫の馬鹿…)
涙腺より涙が零れ落ちる。小猫姫の様子が気になるのか再度戻ろうかと思いきや…。突発的にグラグラッと地面が地響きにより震動したのである。
「なっ!?」
(ひょっとして地震かしら…)
地響きは数秒間で沈静する。
「先程の地響きは一体何だったのかしら?」
すると彼女の前方より…。
「桜花姫!」
「えっ…」
ピンク色のロングドレスと赤髪の小柄の女性が桜花姫に近寄る。
「あんたはアクアユートピアのアクアヴィーナス?」
「はぁ…はぁ…桜花姫…」
赤髪の女性はアクアユートピアのアクアヴィーナスであり非常にソワソワした様子だったのである。
「大丈夫?アクアヴィーナス?今度は何事かしら?」
「桜花姫…大変なの!」
アクアヴィーナスは真剣そうな表情で…。
「西海の深海底で海亀みたいな怪物が出現したの!陸地みたいに巨体だったわ…」
「海亀みたいな怪物?」
桜花姫は一瞬沈黙する。
(幼少期に蛇骨鬼婆ちゃんが…先程の地震は怪物の仕業かしら?)
神族の昔話で旧世界を襲撃した巨体の怪物の伝承を想起したのである。
(大昔の伝承と関連するかしら…)
「気になるわね…」
アクアヴィーナスは恐る恐る…。
「如何しましょう…」
彼女は恐怖心からか涙腺より涙が零れ落ちる。
「海亀の怪物の正体が旧世界を襲撃した魔獣であれば…私以外では対抗出来ないわ…」
「えっ…」
アクアヴィーナスは絶望により沈黙する。
(最上級妖女の私でも全世界規模の怪物を攻略出来るかしら…)
普段なら大喜びで征伐に出掛けるのだが…。今回の戦闘は今迄の戦闘とはスケールが桁外れであり自身の妖力のみで怪物に対抗出来るかは正直未知数だったのである。
「アクアヴィーナスは東国の三蔵郎様の寺院で待機しなさい…寺院へは私が案内するから…」
「えっ?三蔵郎様って誰なの?」
桜花姫は笑顔で即答する。
「三蔵郎様は人間の僧侶よ♪仏様を擬人化した存在だから大丈夫よ♪」
「えっ?はぁ…」
アクアヴィーナスは珍紛漢紛であったが桜花姫と一緒に東国の寺院へと急行したのである。
「三蔵郎様!」
桜花姫は玄関をノックする。
「えっ?桜花姫様…ん?同行者の女性は?」
アクアヴィーナスは恐る恐る名前を名乗る。
「私は…アクアヴィーナスです…」
すると桜花姫が笑顔で紹介する。
「彼女は人魚王国のアクアユートピアの人魚なの♪」
「貴女様は異国の人魚の女性ですか♪」
三蔵郎は一瞬アクアヴィーナスに見惚れる。
「三蔵郎様…一定の時間だけど…彼女を保護出来ないかしら?」
「保護ですと?」
桜花姫は超古代の魔獣が出現した事実を洗い浚い報告したのである。
「えっ!?旧世界に封印された魔獣が出現したのですか!?」
するとアクアヴィーナスがボソッと一言…。
「私は深海底で海亀みたいな怪物と遭遇しました…遭遇した当初は魔獣に食い殺されるかと…」
アクアヴィーナスは恐怖心から涙腺から涙が零れ落ちる。
「ですがアクアヴィーナス様が無事なのが何よりですよ♪」
「感謝します…」
桜花姫は三蔵郎に霊斬刀を手渡したのである。
「三蔵郎様?」
「えっ?霊斬刀…」
すると三蔵郎は恐る恐る…。
「小猫姫様は無事ですか?」
問い掛けられた桜花姫は一瞬ビクッと反応するも笑顔で返答する。
「彼女なら…大丈夫よ♪小猫姫は自害しないって約束したから♪」
「であれば一安心ですね♪」
「小猫姫はソッとしましょう…」
「承知しました♪」
直後である。再度地面がグラグラッと震動する。
「なっ!?」
「地響きだわ!」
「今度も地震だわ…」
(魔獣の仕業かしら?)
突然…。近辺より摩訶不思議の神力を感じる。
(えっ?何かしら?神通力でも妖力でも無いわね…ひょっとして神族!?)
桜花姫は警戒したのである。
「三蔵郎様!アクアヴィーナスは即刻寺院に避難して!」
「えっ!?桜花姫!?」
「一体何が発生したのですか?」
桜花姫は恐る恐る…。
「神族が接近中なの…」
「神族ですと!?」
「危険そうなの…」
「下手すれば殺されるかも…」
三蔵郎は承諾する。
「承知しました…桜花姫様…」
すると寺院の表門より…。木刀を所持した青色の着物姿の女性が進入したのである。
「彼女は…」
「誰かしら?」
桜花姫は恐る恐る…。
「彼女は冥王鬼…神族の一員よ…」
「彼女が神族ですか?人間の女性みたいですね…」
すると冥王鬼は無表情で発言する。
「亡者の集合体…月影桜花姫よ…貴様は死後の世界である地獄から脱出するとは…」
「私は天国でも地獄でも脱出するから安心しなさい…」
「悪運だけは人一倍だな…」
直後…。桜花姫の両目の瞳孔が半透明の瑠璃色に発光したのである。
「貴様…神族の眼光を…」
「残念だったわね♪あんたから一時的に天道眼を奪取されたけど霊魂巨神木の精霊から再度頂戴したのよ♪」
笑顔で発言する桜花姫に冥王鬼は内心苛立ったのか一言…。
「霊魂巨神木はこんな小娘に味方するとは…」
「私は即刻魔獣を仕留めたいの…邪魔しないで…」
冥王鬼は魔獣の一言に反応する。
「魔獣か…」
普段は無表情の冥王鬼であるが微笑したのである。
「何が可笑しいのよ?」
問い掛けられた冥王鬼は即答する。
「魔獣を封印から解放させたのは誰であろう私だからな…今頃は世界各地で大暴れだろうよ…」
「えっ!?あんたが!?」
彼女の発言に一同は反応したのである。すると三蔵郎は恐る恐る…。
「魔獣とは…ひょっとして伝説の羅刹獣でしょうか?」
「羅刹獣って?」
「羅刹獣は太古の旧世界で大暴れした海亀の怪物ですよ…伝承では十二人の最高神によって封印されたと…」
三蔵郎は桜花姫とアクアヴィーナスに説明する。
「ですが如何して神族の一員である冥王鬼が…古代の怪物を復活させたのですか?怪物によって数百人もの神族が惨殺されたのですよね?」
三蔵郎は恐る恐る問い掛ける。すると冥王鬼は即答する。
「大勢の仲間達が羅刹獣によって殺されたが…今現在の私は羅刹獣以上に地上界を君臨する人間達こそ殲滅したい…」
「冥王鬼は如何して人間達を殲滅したいのですか?」
「私が人間達を殲滅したい理由だと?」
冥王鬼は一息するなり…。
「貴様達も人類の歴史学を勉学すれば理解出来るだろうが…人間の歴史は戦争と自然界を汚染させるばかりだ…恐らく未来の世界でも戦争は何度も勃発するだろう…」
彼女の発言に桜花姫はハッとする。
(スキュランの時空の光球…)
桜花姫は時空の光球で発現された数多の戦争の光景を想起したのである。
(今後も戦乱時代みたいな時代が何度も到来するのかしら?)
正直自身も戦乱時代を体験出来ればと希求する。
(面白そうだわ♪今後の時代を見届けたいわね…)
するとアクアヴィーナスが恐る恐る問い掛ける。
「如何してあんたは本来仕留めるべき相手を復活させたのよ?あんたは神族だし…人間達を仕留めるなら一人でも簡単でしょう?」
問い掛けられた冥王鬼はアクアヴィーナスに返答する。
「地上界の人間達だけを殲滅するなら私一人でも容易いが…太平神国には数多くの妖女が安住する桃源郷だ…最上級妖女である桜花姫が死後の地獄から生還したからには…」
正直桜花姫が俗界に戻ったのは予想外であり目的を達成するのに数多の妖女と彼女の存在は不都合だったのである。今度は三蔵郎が質問する。
「人間達を殲滅したとしても羅刹獣と神族である冥王鬼は敵対関係です…羅刹獣は大勢の神族を殺害した強者ですし貴女様も殺される可能性だって否定出来ませんよ…」
「であれば今度は羅刹獣を殲滅するだけだ…今現在の羅刹獣は長年の封印で相当弱体化した状態だ…私単独でも簡単に仕留められる…」
「私から天道眼を奪取したのは魔獣の羅刹獣の封印を解除したかったからなのね…」
「えっ!?桜花姫様?天道眼を奪取されたって…」
「先日の出来事だけどね…」
問い掛けられた桜花姫は先日の出来事を洗い浚い公言したのである。
「桜花姫様は彼女に天道眼を奪取されたなんて…」
「死後の世界にも幽閉されちゃったし…一苦労だったわ…」
所詮羅刹獣は人間達を殲滅する手駒であり瞳術の天道眼を所持した冥王鬼にとって弱体化した羅刹獣は目的を完遂させる手駒だったのである。
「遅かれ早かれ羅刹獣の封印を解除した以上…全世界が滅亡するのは時間の問題だ…」
すると冥王鬼は天道眼を発動…。
「貴様達の身動きを封殺する…」
直後である。冥王鬼の金縛りによって三蔵郎とアクアヴィーナスは身動き出来なくなる。
「なっ!?」
「えっ!?」
二人は身動きを封殺される。
「三蔵郎様!?アクアヴィーナス!?」
(金縛りでしょうか?)
三蔵郎は身動きしたいが金縛りにより身動き出来ない。
(身動き出来ないよ…)
アクアヴィーナスは涙腺より涙が零れ落ちる。
「二人の身動きは封殺出来たが…月影桜花姫…妖女である貴様には私の金縛りが通用しなかったか…」
桜花姫には冥王鬼の金縛りが発動されず自由自在に身動き出来たのである。桜花姫は冥王鬼を睥睨するなり…。
「冥王鬼…あんたは本当に気に入らないわ…」
(蛇骨鬼婆ちゃんからは此奴を救済してって依頼されたけれど…)
天道眼を所持する冥王鬼と交戦するなら全力で力戦しなければ勝利出来ないと確信する。
(中途半端では今度こそ地獄に逆戻りね…)
桜花姫も天道眼を発動したのである。
「貴様も天道眼を発動したか…天道眼を発動したとしても私の木刀は妖力を吸収する神器…貴様が勝利する可能性は皆無だぞ…」
冥王鬼の木刀は霊魂巨神木の小枝から形作られた神器であり妖力による攻撃は木刀に吸収される。桜花姫は恐る恐る後退りする。
(天道眼を使用出来ても…単独で此奴を仕留められるかしら?)
すると直後である。
(えっ?霊斬刀が…)
三蔵郎の所持する霊斬刀がカタカタッと振動したかと思いきや…。空中を浮遊したのである。数秒後…。桜花姫の目前に落下したのである。
「えっ?霊斬刀?」
(ひょっとして所持しろと?)
摩訶不思議の超常現象であったが…。桜花姫は恐る恐る霊斬刀を所持したのである。
「霊斬刀だと?牢固石の刀剣か?」
冥王鬼は警戒する。
「私でも対抗出来るかも知れないわね…」
メンテ

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