Re: 新世紀エヴァンゲリオン〔仮名〕※休止中 ( No.48 ) |
- 日時: 2021/08/24 19:23
- 名前: 月影桜花姫
- 第一話
闇夜
太古の大昔…。極東の島国『太平神国』での出来事である。数百年と長引いた戦乱時代は終焉…。太平神国は弱肉強食の戦乱時代から共生共存の安穏時代へと突入したのである。村人達の生活は毎日が平穏であったが…。各地に神出鬼没の百鬼夜行が出現し始める。五十年後の天地暦一万二十年五月上旬…。南国に聳え立つ荒神山にて一人の僧侶が真夜中の荒神山を視察する。 「荒神山か…」 荒神山は南国の最高峰であり観光地として有名である。近頃は無数の魑魅魍魎が出現…。荒神山を占拠したのである。今現在荒神山は魑魅魍魎の魔窟であり人間は誰一人として近寄れない。 「何やら無数の妖気が感じられる…」 (如何やら今回も大群だな…) 僧侶の名前は【三蔵郎】であり国内屈指の法力を所持する随一の僧侶である。 「こんな重苦しい妖気だ…普通の人間は近寄れないな…」 周囲の自然林からは非常に物静かな風音と川音が響き渡るのだが…。空気は非常に重苦しい。数分後…。荒神山の頂上へと到達する。 「荒神山の頂上だな…」 天辺からは南国の村里が眺望出来る。 「絶妙の景色だ…」 (即刻荒神山の妖怪達を撃退して…元通りの観光地に戻さなくては…) 直後である。 「ん!?」 (気配だ…) 突如として無数の気配を察知…。三蔵郎は警戒したのである。 (此奴は妖気か?) 「如何やら大群みたいだな…」 姿形こそ不明瞭であるが…。無数の妖気が接近するのは認識出来る。数秒後…。暗闇の自然林より一体の人影を確認する。 (人影みたいだな…) 体格は非常に小柄でありふら付いた身動きで接近する。 「人間では無さそうだな…」 周辺は暗闇であり人影の正体は認識出来ないが…。極度の悪臭により人間とは無縁の存在であるのは認識出来る。人影はふら付いた様子で一歩ずつ頂上の中心地へと近寄る。直後である。 (此奴は…) 人影は全身が血塗れで皮膚が腐敗…。眼球と体内の臓物が噴出した人外の化身である。 「此奴は妖怪…【食人餓鬼】だな…」 人影の正体とは妖怪の食人餓鬼である。食人餓鬼とは戦乱時代に飢饉やら疫病によって死去した人間達の無念が妖怪化した存在…。特定の地域では疫病神とも呼称される。性格は非常に強欲であり人間と遭遇すれば相手が誰であろうと捕食する。 「食人餓鬼が出現するとは…」 (相手が食人餓鬼程度なら…) 三蔵郎は即座に法力を駆使…。直後である。自身を食い殺そうと近寄る食人餓鬼の肉体を自然発火…。食人餓鬼は三蔵郎の発動した法力によって焼失したのである。 「成仏せよ…」 焼死した食人餓鬼に合掌する。 「安心は出来ないな…」 今度は周囲の自然林より無数の食人餓鬼が出現…。ふら付いた身動きで三蔵郎に近寄る。 「荒神山の妖気の正体は彼等だったか…」 総勢数十体から数百体もの食人餓鬼に包囲されるも…。圧倒的に劣勢であったが三蔵郎は畏怖せず冷静だったのである。 「飢饉と疫病によって辛苦する亡者達よ…貴様達を成仏させる…」 再度法力を駆使…。殺到する無数の食人餓鬼の全身を発火させたのである。発火により三蔵郎の周囲には食人餓鬼の焼死体が無数に埋没する。 「今度は…」 (食人餓鬼よりも強大なる妖気だな…) 恐る恐る背後を警戒…。背後には無数の食人餓鬼が融合化した肉塊の怪物が出現する。巨体の人型であるが体表には無数の食人餓鬼の頭部が確認出来る。 「此奴は【百鬼食人餓鬼】か…」 (厄介なのが出現したな…) 体表の無数の頭部が三蔵郎を睥睨…。口先より熱風を放出する。 「熱風!?」 三蔵郎は即座に法力の結界を発動…。百鬼食人餓鬼の熱風を無力化したのである。 (絶大なる妖力だな…) 熱風の無力化には成功するが…。先程の結界により大半の法力を消耗する。 (予想以上に強力だな…) 「一か八か…」 直後…。黒雲が天空を覆い包む。 「死滅せよ!」 黒雲から落雷を発動…。百鬼食人餓鬼の頭上に落雷が直撃したのである。地面が陥没…。南国全域に雷光と爆発音が響き渡る。 「はぁ…はぁ…」 先程の攻撃で法力は消耗…。極度の疲労により法力が使用出来なくなる。 「百鬼食人餓鬼は仕留めたか…」 (戻ろうか…) 一安心した直後…。複数の強大なる妖気が接近するのを感じる。 「なっ!?」 (複数の妖気か!?) すると周囲の自然林から三体の百鬼食人餓鬼が出現する。 「百鬼食人餓鬼か…」 (三体も出現するなんて…) 最早複数の百鬼食人餓鬼を相手に反撃する余力は皆無であり三蔵郎は撤退を余儀無くされる。 (不本意だが…撤退しなければ…) 撤退する直前…。今度は百鬼食人餓鬼をも上回る不吉の妖気を感じる。 「今度は別の妖気だ…」 (百鬼食人餓鬼よりも数段階強力だな…ひょっとして大妖怪か!?) 不吉の妖気は大妖怪に匹敵する妖気であり刻一刻と荒神山の頂上に接近する。 (遭遇すれば…私は確実に殺される…) 「即刻退散しなければ…」 退散する寸前…。 「えっ…」 三蔵郎の背後には小柄の女性が佇立する。 (女性?) 女性は外見のみなら人一倍容姿端麗であり両目の瞳孔は半透明の血紅色…。頭髪は黒毛の長髪であり赤色の口紅が非常に魅了される。巨乳のおっぱいも非常に魅力的であり正真正銘絶世の童顔美少女である。彼女の最大の特徴である赤色の着物は桜吹雪模様の花柄であり耳朶の耳装飾は金剛石で形作られた勾玉…。頭髪には八重桜の髪装飾が確認出来る。背丈は小柄であるものの非常に颯爽とした雰囲気である。 (彼女から邪気は感じられないが…妖気は感じる…) 女性が列記とした妖怪なのは確実であるが…。敵意も邪気も感じられない。すると彼女は無表情で…。 「氷結の妖術…発動!」 女性が氷結の妖術を発動すると三体の百鬼食人餓鬼は一瞬で全身が氷結したのである。数秒後…。氷結した肉体が崩れ落ちる。 「所詮は雑魚ね…」 すると女性は三蔵郎を凝視し始める。 「なっ!?」 三蔵郎は警戒した様子で恐る恐る後退りしたのである。強張った表情で恐る恐る女性に問い掛ける。 「貴女様は一体何者ですか?失礼ですが…人間では無さそうですね…」 女性は笑顔で名前を名乗る。 「私の名前は【月影桜花姫】♪妖怪の一員よ♪」 桜花姫は自身を妖怪の一員と名乗ったのである。 「貴女様は妖怪でしたか…」 桜花姫は正真正銘妖怪であるが…。彼女からは敵意も殺意も感じられない。 (姿形のみなら人間の小町娘ですが…) 三蔵郎は再度警戒した様子で恐る恐る後退りする。彼女からは敵意は感じられないが正直桜花姫を信用出来ず只管警戒し続ける。 (彼女の肉体から無数の妖怪達の妖気を感じるぞ…) 可愛らしい外見とは裏腹に桜花姫の体内からは数百体から数千体もの妖気が感じられる。 「あんたは人間の僧侶ね♪警戒しないで…別に私は人間には手出ししないから…」 「えっ…」 (人間を…殺さないって!?) 本来人間と妖怪は敵対関係である。俗界に存在する大半の妖怪達は人間と遭遇すれば即座に敵意…。襲撃するのが通例だったのである。彼女の様子に正直意外であると感じる。 (摩訶不思議だな…妖怪でも人間に手出ししない妖怪が存在するなんて…ん?) 桜花姫を直視し続けると彼女の肉体から人間の気配を感じる。 (一体何が?人間の気配だ…如何して妖怪である彼女の肉体から…人間の気配が感じられるのか?) すると桜花姫は三蔵郎を凝視するなり…。 「あんた…不思議そうな表情ね♪」 「えっ!?」 桜花姫は説明する。 「妖怪は妖怪でも…私は特殊なのよ…」 「特殊ですと?」 「私の肉体の一部…【月影桃子姫】って名前だったかしら?桃子姫って人間の巫女と無数の妖怪達が集合して誕生したのが私なのよ♪」 桜花姫は月影桃子姫と名乗る人間の巫女と無数の妖怪達が一体化した存在…。彼女は所謂無数の魑魅魍魎から誕生した集合体である。 「失礼ですが…桜花姫様は魑魅魍魎の集合体なのですね?」 (彼女が非常に人間っぽい雰囲気だったのも…肉体の一部である人間の巫女の影響だったのか…) 三蔵郎は再度桜花姫に質問する。 「先程は如何して人間である私を攻撃せず…同種の妖怪である百鬼食人餓鬼を攻撃されたのですか?」 桜花姫は笑顔で即答したのである。 「私は気紛れなの♪今回は単純に百鬼食人餓鬼が目障りだっただけだけどね♪」 (気紛れだったか…) 理解するのは非常に困難であるが…。桜花姫の様子から三蔵郎は内心一安心する。 「勿論…僧侶のあんたが私に手出しするのであれば…私は手加減しないわよ♪」 桜花姫の発言に三蔵郎は一瞬畏怖したのである。 「私は貴女様を征伐しませんよ…生憎私自身実力不足ですし…大妖怪に匹敵する貴女様を単独で征伐するなんて百年修行しても不可能でしょう…」 「私が大妖怪なんて大袈裟ね♪」 (私が大妖怪ですって♪) 桜花姫は内心大喜びする。 「兎にも角にも私は退散します…先程の桜花姫様の妖術で荒神山の妖怪達は無事征伐されました…」 すると桜花姫は恐る恐る…。 「あんたの名前は?」 「えっ…私の名前ですと…私は僧侶の三蔵郎です…」 自身の名前を名乗ると三蔵郎は即座に荒神山から退散したのである。数秒後…。 「私も西国に戻ろうかしら…」 桜花姫も自身の祖国である西国に戻ったのである。戻ってより二時間後…。無事に西国の村里へと戻った桜花姫は自宅の近辺に聳え立つ『天霊山』に移動する。 「露天風呂で入浴しましょう♪」 田舎村の西国であるが…。太平神国の温泉郷と呼称され時たま観光客が西国の温泉に入浴する。天霊山の頂上に到達すると天辺の中心部には石造りの露天風呂が確認出来る。 「露天風呂だ♪」 天霊山の露天風呂は妖怪が入浴すると消耗した妖力を蓄積…。回復させられる。 (折角だし変化の妖術を使用しちゃおうかしら♪) 桜花姫はあらゆる妖怪の集合体である。当然として変化の妖術も使用出来…。変化の妖術を駆使すると多種多様の動植物やら器物にも変化出来る。 「変化の妖術…発動!」 変化の妖術を発動すると彼女の全身から白煙が発生…。すると下半身が銀鱗の大魚に変化したのである。両目の血紅色の瞳孔は半透明の瑠璃色に発光…。黒毛の長髪だった頭髪は銀髪に変色する。 「入浴するわよ♪」 巨体の人魚に変化した桜花姫は即座に露天風呂へと入浴する。 「極楽♪極楽♪」 彼女にとって天霊山での入浴は一日の日課である。桜花姫は満足したのか天空の夜空を眺望する。 (妖怪の征伐も意外と面白いわね♪今度も妖怪を征伐しちゃおうかな?) 直後…。突如として背後の竹林より気配を感じる。 「えっ?」 (気配だわ…) 何者かによる正体不明の気配は露天風呂に接近する。 (妖気かしら?) 「如何やら妖怪みたいね…」 気配の正体は妖気であり露天風呂に接近するのは妖怪であると認識したのである。桜花姫は背後を直視する。 「誰かと思いきや…」 露天風呂の近辺には白装束の着物姿の少女が佇立…。青紫色の口紅と黒髪の長髪が特徴的である。体格は桜花姫よりも小柄であり半透明の血紅色の瞳孔で入浴中の桜花姫を凝視する。 「あんたは粉雪妖怪の【雪女郎】♪」 「桜花姫…入浴中だったのね…」 彼女は粉雪妖怪の雪女郎である。姿形は人間の小町娘だが…。列記とした妖怪であり桜花姫にとって唯一の悪友である。桜花姫は笑顔で…。 「折角だしあんたも私と一緒に入浴しない♪雪女郎♪」 「誰が熱湯の温泉なんかに入浴しますか!こんな暑苦しい場所で…」 粉雪妖怪の雪女郎は高温の温泉が苦手である。 「私が入浴すると肉体が崩れ落ちちゃうわよ…」 「冗談よ♪冗談♪御免あそばせ♪」 桜花姫は笑顔で謝罪する。 「入浴しないなら…如何してこんな場所に?ひょっとして覗き見とか♪あんたは物好きね♪」 揶揄する桜花姫に雪女郎は苛立ったのである。 「あんた…私に殺されたいみたいね…」 「私に用事かしら?」 桜花姫が問い掛けると雪女郎は真剣そうな表情で…。 「大変なの…桜花姫…」 「何が大変なのよ?」 雪女郎に恐る恐る問い掛ける。 「先程…あんたが南国の荒神山で百鬼食人餓鬼を殺したわよね?」 「問題だったかしら?」 「大問題よ!」 桜花姫が荒神山に出没した百鬼食人餓鬼を仕留めたのを契機に…。一部の妖怪達が桜花姫の行為を批判したのである。 「あんたが人間の僧侶に加勢しちゃったから…」 噂話は全国各地に出回る。一部の妖怪達が桜花姫を敵対視したのである。 「何体かの大妖怪もあんたを敵対視したみたいなのよ…如何するのよ!?」 雪女郎は非常に不安がる。極度に不安視する雪女郎に…。 「雪女郎…あんたは極度の心配性ね♪気にしない♪気にしない♪」 桜花姫は特段気にならなかったのか非常に平気そうな様子である。 (桜花姫…) 「あんたは本当に気楽ね…」 桜花姫の様子に呆れ果てる。 「気楽も何も…私は無数の妖怪達の集合体なのよ♪人間の匪賊達を食べ過ぎちゃったからね♪妖力だけなら大妖怪に匹敵するかもね…」 以前は大勢の山賊やら匪賊達を殺害…。食い殺したのである。彼等を食い殺し続けた結果…。彼女は妖力のみなら大妖怪に匹敵する領域へと到達したのである。 「相手が大妖怪でも…私に手出しするなら手加減しないわよ♪猛反撃しちゃうからね♪」 「桜花姫…」 断言する桜花姫に雪女郎は苦笑いする。 「私は加勢しないわよ…一人で頑張りなさいね…」 雪女郎は自宅へと戻ったのである。 「面白くなったわね♪」 内心大喜びする。
第二話
大海戦
南国の荒神山での戦闘から六日後の真昼…。桜花姫は娯楽を主目的に東国の中心街へと出掛ける。 「東国だわ…」 東国とは太平神国でも比較的老熟した全国一の城下町である。総人口も太平神国では最大級の大規模都市であり唯一の文明地帯である。桜花姫は和菓子屋にて大好きな桜餅を頬張る。 「非常に美味だわ♪」 彼女は無我夢中に桜餅を頬張り続けるものの…。 「えっ?」 (誰かしら?僧侶っぽいわね…) 隣席には僧侶らしき人物が和菓子屋に来店する。 (彼には見覚えが…) 「誰だったっけ?」 僧侶らしき人物とは六日前に闇夜の荒神山にて対面した僧侶の三蔵郎であり奇遇にも彼が東国の和菓子屋にて来店したのである。 「ひょっとして三蔵郎様?」 すると三蔵郎は身震いした様子で恐る恐る…。 「桜花姫様?如何してこんな場所に?」 三蔵郎は小声で問い掛ける。 「如何してって…私は単純に和菓子屋で桜餅を食べたかっただけよ♪私は桜餅が大好きだからね♪」 三蔵郎は恐る恐る周囲を警戒した様子で…。 「生憎妖気を感じられるのは私だけですが…」 警戒する三蔵郎に問い掛ける。 「あんた…私を信用出来ないの?」 「信用するも何も…失礼ですが貴女様は妖怪の集合体です…正直桜花姫様を信用するのは…」 実際に桜花姫が暴走した場合…。三蔵郎が全力で法力を駆使しても彼女の暴走を阻止するのは実質不可能である。 「あんたは本当に心配性なのね♪私なら大丈夫よ♪」 桜花姫は笑顔で即答する。 「私は荒神山で三蔵郎様に加勢してから…大勢の妖怪達に毛嫌いされたのよ♪」 「えっ!?毛嫌いですと!?」 三蔵郎は驚愕したのである。 「今現在の私は一匹狼だからね♪妖怪達に敵対視されちゃったから♪」 「一匹狼って…」 (同種の妖怪に敵対視された?彼女は平気なのか?) 平気そうな彼女に不思議がる。 (月影桜花姫…彼女は本当に摩訶不思議の妖怪だな…) すると桜花姫は無我夢中に桜餅を頬張り始める。無我夢中に桜餅を頬張る桜花姫に…。 (彼女は列記とした妖怪ですが…本当に人間らしく感じられる…本当に妖怪なのか?) 桜花姫は純粋無垢であり非常に人間らしく感じられ彼女が本当に妖怪なのか疑問視する。すると直後である。 「ん!?」 (別の妖気!?) 三蔵郎は警戒する。 「えっ?」 桜花姫も妖気に反応したのである。 「三蔵郎様も察知したみたいね…」 「方角から南方地帯でしょうか…南国の海域に妖気が感じられます…」 突如として南国の海域より妖気を察知する。 「南国に妖怪が出現したのね♪」 「妖気は非常に強力です…大妖怪の一歩手前でしょうか?」 妖気は大妖怪よりは若干下回るものの…。非常に強力である。 「面白そうね♪私の出番かしら♪」 「私は即刻妖怪を退治しなくては…」 三蔵郎は一目散に和菓子屋から南国へと疾走する。 「えっ!?三蔵郎様!?」 桜花姫も全力で疾走…。三蔵郎を追尾したのである。必死に三蔵郎を追尾し続けるのだが…。三蔵郎の身動きは神速であり身体能力が愚鈍の桜花姫では彼を追尾出来ない。東国と南国を直結する両国橋を通過してより三分後…。 「はぁ…はぁ…」 (三蔵郎様を見失っちゃったわ…) 桜花姫は草臥れたのか南国の村里の道中で一休みする。 「仕方ないわね…」 (妖術を使用しちゃいましょう♪) 桜花姫は即座に瞬間移動の妖術を発動…。疾走し続ける三蔵郎の目前に瞬間移動したのである。 「うわっ!桜花姫様!?」 突如として目前より出現した桜花姫に驚愕する。 「桜花姫様は妖術で先回りしたのですか?」 「勿論よ♪」 すると桜花姫は笑顔で…。 「私を置いてきぼりなんて…三蔵郎様の意地悪♪」 「仕方ないですね…」 三蔵郎は桜花姫と一緒に南国の海岸へと直行したのである。一時間後…。二人は海岸へと到達する。 「到着したわね♪」 「ですが妖怪は?」 海岸の砂浜には木造の漁船が数隻…。十数人の漁師達が確認出来る。彼等は非常に困惑した様子であり三蔵郎は恐る恐る問い掛ける。 「如何されましたか?」 「法師様ですか…」 「先程ですが…突然海辺に妖怪が出現しましてね…」 「妖怪ですと?」 「大山みたいな巨大真蛸ですよ…普通の妖怪よりも桁違いに巨体ですね…」 数時間前の出来事である。彼等は漁猟活動中…。突如として規格外の巨大真蛸が出現したのである。巨大真蛸の出現によって漁船は襲撃されたものの…。彼等は危機一髪巨大真蛸の襲撃から海岸に戻ったのである。 「一瞬妖怪に殺されるかと…」 「俺達は命拾い出来ましたが…漁猟が出来なくて…」 すると先程から沈黙した桜花姫が発言し始める。 「ひょっとして巨大真蛸の正体は水難妖怪の【海難入道】かしら…」 「海難入道ですか?」 海難入道とは水難事故によって死亡した亡者達が妖怪化した存在…。目撃者の証言では海難入道の姿形は規格外の巨大真蛸が通説である。海面上で海難入道に遭遇すると船舶は沈没され…。遭遇した人間は溺死する。 「漁船を襲撃したのが海難入道であれば…即刻仕留めなければ…」 三蔵郎は即刻退治を決意するのだが…。 「海難入道は私が仕留めるわ♪」 「えっ…桜花姫様?」 桜花姫の発言に周囲の者達は驚愕したのである。 「姉ちゃんよ…相手は本物の妖怪だぞ…」 「人間のあんたでは…」 「私が人間ですって♪」 桜花姫は笑顔で…。 「私は正真正銘…妖怪よ♪」 「あんたが妖怪?」 「姉ちゃんよ…面白くない冗談だな…」 自身を妖怪と名乗る桜花姫に漁師達や揶揄したのである。 「仕方ないわね…」 桜花姫は木造の漁船を直視するなり…。 「桜餅に変化しなさい♪」 変化の妖術を発動する。すると木造の漁船は白煙に覆い包まれ…。小皿に配置された桜餅に変化したのである。 「なっ!?漁船が…」 「桜餅に!?」 変化の妖術はあらゆる物体を別物に変化させられる。 「変化の妖術は私の得意妖術なのよ♪」 漁師達は勿論…。三蔵郎も桜花姫の妖術に愕然とする。漁師達は恐る恐る…。 「あんたは本当に妖怪なのか?」 「勿論♪」 問い掛けられた桜花姫は笑顔で即答する。すると漁師達は恐る恐る後退りしたのである。 「ひっ!此奴は本物の妖怪だ!」 「殺されちまう!逃げろ!」 周囲の漁師達は桜花姫に畏怖したのか一目散に逃走する。 「逃げちゃったわ…」 「当然の反応でしょうね…」 現実問題…。妖怪と人間は敵対関係であり妖怪に敵意が無くとも人間は必要以上に妖怪を脅威に感じるのが現状である。 「兎にも角にも…私は海難入道を征伐するわよ♪」 再度変化の妖術を発動する。すると桜花姫の下半身が銀鱗の大魚へと変化…。黒髪の長髪は銀髪に変色したのである。 「なっ!?桜花姫様が人魚に!?」 三蔵郎は驚愕する。 「私は変化の妖術で人魚に変化出来るのよ♪」 桜花姫は即座に海中へと潜水したのである。 「海難入道は?」 海中は意外にも暗闇であり魚類は確認出来でも巨大真蛸らしき物体は確認出来ない。 (こんな暗闇だと海難入道は発見出来ないわね…) すると直後である。妖気が接近するのを感じる。 「妖気!?」 (ひょっとして海難入道かしら?) 接近する妖気に桜花姫は警戒したのである。
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