[531] ごまかして
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- 日時: 2010/06/03 23:09
- 名前: JUN
- 十五歳未満の方は閲覧しないことを推奨します。個人的には問題ないと思いますが、念のため。
「やっほ〜シンジ、レイ。久しぶり」 「久しぶり、アスカ。元気にしてた?」 「勿論!このアスカ様が元気じゃないなんて事態、ありえないわ!」 シンジとレイは苦笑いした。ありえない、というフレーズはどこかリツコを思い出す。 「で、どう?結婚生活は楽しんでる?」 「うん、まあ」 「とっても楽しいわ。シンジは優しいから」 「はいはい、ご馳走様。入るわよ」 「うん、いらっしゃい、アスカ」
居間に通されたアスカはソファに腰を下ろし、ふう、と息を吐いた。 「なかなかいい感じじゃない。落ち着いてて」 「そりゃあ、それが目的で買ったんだもの」 はい、と言ってシンジが紅茶の入ったカップを手渡す。早速一口飲んだ。 「美味しい。やるわね、シンジ」 「レイが淹れたんだよ、それ」 アスカが目を丸くしてレイを見る。 「やるわね、レイ」 レイは少し紅くなって、言った。 「シンジが美味しいって言ってくれるから」 「い、いや、まあ、そうなんだけど…………」 同じように紅くなったシンジを見てアスカは大仰にため息を吐き、呆れたような目で二人を見る。 「あんたらねえ……いっつもそんな感じなの?」 「そんなって、どんな?」 「私とシンジはいつもこう」 きょとんとしてしまった二人を見て、アスカはなんだか疎外感を感じ、大げさな身振りでソファに深く身を沈めた。 「なんかあんたらが怖くなってきたわ……」 「そう、かな……」
「でもま、よかったじゃない。うまくいって。正直心配だったのよね〜。バカシンジのことだから何かしでかしてないかって」 「……シンジは、馬鹿じゃない」 「はいはい、すいませんでした」 けど、とアスカが言った。 「一緒に住んでたときからこんなだったら、私家を飛び出してたわね。恥ずかしいったらないわ」 「へ、変なこと言わないでよアスカ」 シンジの視界の隅で、レイが顔を曇らせる。 「どうしたの?」 「シンジ、アスカと一緒に住んでた」 「いや、うん。まあそうだけど」 「変なことしなかった?」 「う、うん。してないよ」 シンジのその声に、アスカは面白そうに目を見開いた。 「あらシンジ。言ってないの?」 「え?」 「あたしと、き――」 「わあああああああああ――――――――!!」
シンジは絶叫した。アスカが耳を押さえる。 「何よ、うるさいわね」 「アスカ、勘弁してよ」 「事実でしょ?無かったことになんてさせないわよ」 「いや、だからアスカ――」 「……シンジ」 レイの冷たい声が、シンジを遮った。 「な、何レイ?」 分かってるくせに、とアスカが言った。 「アスカと、何かしたの?」 「い、いや、別に――」 「したわよー、キス」 「あ、アスカ――」 「…………シンジの馬鹿!」
言うなりレイは踵を返し、とすとすと音を立てて部屋の扉を大きな音をたてて閉めた。 「れ、レイ!」 「がんばって、シンジ」 「もうアスカ、勘弁してよ…………」 「アンタのテクの見せ所ね」 「て、テクって」 「ほら、行ってらっしゃい」 「はあ…………」
シンジはため息を吐き、部屋の扉をノックした。 「……レイ?」 「…………」 扉からは沈黙だけが帰ってくる。 「入るよ」 ノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
薄暗い部屋の中、レイはベッドに腰掛け、俯いていた。シンジの姿を認めると、また視線を落とした。シンジはそのベッドに近づき、隣に腰を下ろした。シンジがその頬に触れようとすると、レイは不意に立ち上がってシンジから距離をとろうとする。
「レイ」 シンジも立ち上がって、後ろから少し強引にレイを抱き締める。耳元でそっと囁いた。
「ごめんね……」 「……ごまかされない」 涙を含んだレイの声が、シンジの腕に力を籠めさせる。 「レイ、違うんだよ、あれは――」 「聞きたくない」 「レイ、ごめん。確かにアスカとキスしたことはあるけど、今僕が愛してるのはレイだけだよ。約束したでしょ?レイだけのものになるって」 「ごまか、されない……」 シンジはふっと息を吹きかけ、言った。 「だったら――」 後ろから頬をそっと撫でた。 「ごまかされたくなるように、してあげる…………」 レイのうなじにそっと口付ける。ぴく、とレイの身体が震えた。 「好きだよ、レイ……」 言ってシンジはまたうなじにキスをして、白く小さい耳たぶを軽く噛む。 「ん……」 「レイ、まだ、許してくれない……?」 レイはふるふると首を振った。 「なら、仕方ないな……」 シンジがそっとレイから離れた。突如訪れた喪失感に、レイは困惑する。 「え……?」 「気が済んだら出てきて。それじゃ」 「え、シンジ、待って…………」 シンジがゆっくりと振り向き、言う。 「ごまかされないんでしょ?」 「い、今のは……」 シンジがふっと微笑み、レイを正面から抱き締めた。 「ごまかされる気に、なった?」 「シンジの、馬鹿、きらい…………」 「まだ、そういうこと言うんだね……?」 胸にレイの頭を抱え、シンジはもう片方の手で、レイの頭を撫でた。
額に手をかけ、強引に上を向かせる。
「なに――んっ………………」
瞬間、唇を奪う。舌を滑り込ませ、抵抗できないように頭をきつく抱きかかえた。 「んっ……んっ……ん……」 身をよじるレイ。しかしシンジは構わず白い壁にレイを押し付けた。レイの両手を自分の両手と絡ませ、壁に固定する。 「レイ………………」 「はあ…………はあ……」 「ごまかされてもらうよ…………」 「何、する気……?」 「レイが考えてることだよ。レイが大好きなことだよ……」 「アスカがいるわ」 「関係ないよ。レイがいけないんだ。レイがあんまり可愛いから、だめなんだ……」
もう一度深く口付け、耳を強く噛む。レイの腰が砕け、膝をついた。
そしてシンジの細い手はレイのシャツに伸び――――
「スト――――――――ップ!」
アスカの乱入により、それは阻止された。

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