Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.5 ) |
- 日時: 2011/07/24 09:13
- 名前: 何処 ID:EUE2IAJ0l5A
- 《トリノコシティ》
歌・初音ミク http://www.youtube.com/watch?v=QvHmgGwzFrw&sns=em
【二人都市】作・何処
アスファルトに陽炎が立つ。 向こうに並ぶビル郡はまるで墓石の列。
二人、歩く。
「暑いな」 誰にとも無く呟いた。
「そうね」 隣を歩く少女もぼんやりと呟いた。
お盆休み、人工都市第三新東京の人口は極端に減る。行く先の無い僕は行く宛も無い彼女と無人の町を漂いさ迷っている。 まるでこの世界に二人しかいないみたいだ。
そして二人たどり着いたのは誰もいない昼下がりの公園。 何時もなら母子とカップルだらけのここも、今日ばかりは子供達の歓声も無く只噴水の水音だけが流れる。
「はい、烏龍茶。」
「有難う。」
自動販売機隣のベンチに僕らは座る。白いワンピース姿の彼女はじっと噴水を見ている。
「こう暑いと水浴びでもしたくなるな…」 一人ごちる。
「そうね。」 応える彼女。
「「…」」
不意に彼女は手にした缶の中身を飲み干し、屑籠へ投げ入れた。
「?」
そして彼女は噴水に近付きミュールを脱ぎ…あ。
ジャブジャブ
「気持ち良い。」
「綾波、何を!?」
「水浴び。」
噴水に当たる彼女を止めようとして、ふと気付いた。 …二人しかいないんだし、貸し切りみたいなこの状態なら別に良いか…
「碇君、一緒にどう?」
「…そうだね。」
靴と靴下を脱ぎ、僕も噴水に入る。
水に濡れながら爪先で踊る様に妖精が歩く。
その姿に魂を奪われる。
薄手の生地で出来た白いワンピースは濡れ、中が透けて見える。羽衣の天女、妖精の羽、その姿は天使の様に…
「…綺麗だ…」
「?どうしたの?」
僕に妖精が語りかけ、歩み寄って来…
「きゃっ!?」 「危ない!」
転びかけた彼女を支え…
目が、合う。
慌てて立ち上がる僕に、尻餅を衝いた少女が手を伸ばす。
その手を、掴む。
少女の赤い瞳が瞼に沈む…
…
◇◆◇
「暑いね」
「ええ。」
「服、もう乾いちゃった。」
「私も」
「…暑いね。」
「…又、噴水に入る?」
「いや、もう良いよ…」
「そう…」
「「…」」
「噴水はもう良いけど…」
「?」
「その…もう一度キスしていい?」
「…ええ。」
※この話のネタは言うまでも無く楓さんの作品※
|
|