桜花姫 ( No.6 ) |
- 日時: 2021/08/14 19:50
- 名前: 月影桜花姫
- 第三話
死闘
天神山での重苦しい闇夜から三日後の真昼…。桜花姫は娯楽を主目的に東方国の中心街へと出掛ける。東方国とは太平神国でも比較的老熟した全国一の城下町…。総人口も太平神国では最大級の大規模都市であり唯一の文明地帯である。桜花姫は和菓子屋にて大好きな餡蜜と桜餅を頬張る。 「非常に美味だわ♪」 彼女は無我夢中に和菓子を頬張り続けるものの…。 「えっ?」 (誰かしら?僧侶っぽいわね…) 隣席には僧侶らしき人物が和菓子屋に来店する。 (彼には見覚えが…) 「誰だったっけ?」 僧侶らしき人物とは三日前に闇夜の荒神山にて対面した僧侶の三蔵郎であり奇遇にも彼が東方国の和菓子屋にて来店したのである。 「ひょっとして三蔵郎様?」 桜花姫は恐る恐る…。 「ん?」 三蔵郎は桜花姫の存在に気付いたのである。 「誰かと思いきや…貴女様は最上級妖女の月影桜花姫様でしたか!?南方国の荒神山から無事に戻られたのですね♪」 「本当に三蔵郎様だったのね♪」 「ですがこんな茶店で桜花姫様と再会出来るなんて非常に奇遇ですな♪」 三蔵郎は桜花姫と再会するなり大喜びする。 「如何して三蔵郎様は和菓子屋に?」 「茶店で満喫するのは私にとって道楽ですからね♪」 「奇遇だわ…勿論私もね♪」 桜花姫は無我夢中に和菓子を頬張ったのである。 「ひょっとして桜花姫様も和菓子が大好きなのですか?」 桜花姫は即答する。 「勿論よ♪三蔵郎様も?」 三蔵郎も笑顔で返答したのである。 「勿論私も和菓子は大好きですよ♪和菓子屋は私にとって醍醐味ですからね♪」 すると三蔵郎は突発的に顔色を変化させる。 「桜花姫様?」 「何よ?三蔵郎様?」 「桜花姫様は悪霊退治屋として粉骨砕身されたと各村落の村人達から拝聴しました…近頃の噂話なのですが…」 桜花姫は即座に三蔵郎からの噂話を拝聴する。 「噂話ですって?」 「近頃…北方国では各村落の赤子の神隠しが頻発しましてね…」 近頃北方国では幼子の行方不明事件が頻発したのである。村人達は必死に行方不明の子供達を捜索するのだが…。子供達は誰一人として発見出来ない。依然として子供達は誰一人発見されず悪霊による神隠しか匪賊達による人攫いであると予測する。 「神隠しですって?興味深いわね♪」 「村人達の噂話では一昨日の出来事ですかね?神隠しが匪賊達による悪逆無道なのか…神出鬼没の悪霊の仕業なのかは不明瞭とされますが…」 「一昨日の出来事ね…」 (非常に面白そうだわ♪私の出番が到来したかしら♪) 桜花姫は突発的に闘争心が充溢したのである。 「三蔵郎様!如何やら今回の事件は私の出番みたいね♪」 「ひょっとして桜花姫様…」 桜花姫は笑顔で即答する。 「勿論征伐するわよ!即刻悪霊を仕留めないとね♪」 「ですが桜花姫様…現段階では今回の神隠しの主原因が悪霊の仕業なのか如何なのかは不明瞭ですよ…匪賊達による人攫いかも知れませんし…」 三蔵郎は極度の心配性なのか非常に不安視したのである。 「村人達の噂話では桜花姫様は敵対者が極悪非道だったとしても人間には手出しされないみたいですが…敵対者が極悪非道の匪賊達であれば如何されるのですか?」 桜花姫は極度に不安視する三蔵郎に即答する。 「無論人一倍温厚篤実の私でも…極悪非道の匪賊達であれば即刻仕留めちゃうからね♪相手が人間だからって手加減しないから大丈夫よ♪」 普段は温厚篤実の桜花姫であるが残虐非道の匪賊達には滅法無慈悲である。 「一安心ですね!桜花姫様は極楽浄土の女神様を連想しますからね♪相手が人間の匪賊達であれば困惑されるのではと私自身心配しちゃいましたよ♪」 「私が極楽浄土の女神様ですって♪私が極楽浄土の女神様なんて三蔵郎様も大袈裟ね♪」 極楽浄土の女神様と同一視された桜花姫は内心では大喜びする。 「私に手出し出来る人間がこんな島国の太平神国に実在するのかしら♪最上級妖女の私に手出し出来るのであれば是非とも対面したいわね♪」 莫大なる妖力を保有する最上級妖女の桜花姫にとって多人数による人海戦術は無意味である。桜花姫が単独であったとしても戦力的には全国各地の武士団全勢力に匹敵するのではと各村落の領主達が独自で推測…。村人達には間違っても最上級妖女の桜花姫だけには手出しするなとこっ酷く忠告したのである。 「ですが今回の神隠しの敵対者が極悪非道の匪賊でも油断大敵ですよ!桜花姫様の多用される妖術は天下無双かも知れませんが…油断すれば絶体絶命へと直結するでしょう…」 (三蔵郎様は極度の心配性だわ…) 彼女自身内心では口喧しいと感じるものの三蔵郎に感謝する。 「助言感謝するわね…三蔵郎様…」 桜花姫は即座に北方国へと出掛けたのである。 「彼女は電光石火ですね…」 三蔵郎は城下町から疾走する桜花姫を見届ける。一時間後…。桜花姫は東方国と北方国の国境に位置する田舎村へと到達する。北方国の村里は非常に殺風景であり過疎化した麦畑ばかりである。 「北方国って随分と殺風景の田舎町なのね…」 不可解にも国境の村里には村人が誰一人として確認出来ない。 「無人地帯だわ…」 適当に麦畑を眺望し続けるなり赤子を抱き抱えた白装束の長髪の女性が村里にて佇立したのである。 「えっ?村里の親子かしら?」 桜花姫は恐る恐る赤子を抱き抱える女性へと近寄るなり…。 「母親は大怪我したのね…」 母親の白装束は血塗れであり皮膚の表面には無数の外傷が確認出来る。 「一体彼女に何が?」 桜花姫は一瞬戦慄するものの…。 「大丈夫かしら?」 恐る恐る女性の安否を確認する。母親は無表情であったものの…。恐る恐る近寄る桜花姫を凝視するなり無言の様子で彼女を睥睨したのである。母親に睥睨された桜花姫は母親に腹立たしくなる。 「何よ?」 (腹立たしいわね…) 桜花姫も母親に睥睨し返したのである。すると数秒後…。母親は無言で一目散に逃走したのである。 「如何して母親は私から逃走しちゃったのかしら?」 桜花姫は即座に逃走中の母親を追跡する。 「彼女って…俗界の人間だったのかしら?」 母親は墓場へと潜入したのである。 「墓場だわ…」 桜花姫は母親を追尾するなり恐る恐る墓場へと潜入する。 「先程の母親は一体何者だったのかしら?」 (彼女からは霊力らしい霊力は感じられなかったけれども…) 赤子を抱き抱える母親らしき人物が俗界の人間なのか如何なのかを疑問視したのである。 「雰囲気と姿形から判断して…」 (ひょっとすると彼女の正体って俗界とは無縁の化身なのかも知れないわね…悪霊なのかしら?) 桜花姫は母親の正体が悪霊であると推測する。すると先程の母親らしき女性と再度遭遇したのである。即刻近寄ろうかと思いきや…。 「えっ!?如何して全裸なのよ!?」 母親は白装束を脱衣した状態であり全裸である。 (恥知らずだわ…) 彼女は赤子を抱き抱えた状態から母乳と赤子の前頭部を密着させる。 「何するのよ!?」 処女の桜花姫にとって非常に不愉快であり一瞬膠着化する。桜花姫は恐る恐る墓石から母親の様子を観察したのである。 (母親は一体何を!?) すると赤子の肉体が液体化するなり赤子の肉体諸共母親の体内へと一瞬で捕食…。 「ひっ!赤子の肉体を吸収するなんて…」 予想外の出来事により桜花姫は愕然とする。 「人間の血肉を吸収出来る特質…」 母親は桜花姫を凝視…。不吉の表情微笑んだのである。 「ひょっとして神隠しの真犯人は悪霊の【亡霊女房】だったのね…」 亡霊女房とは人間の赤子を捕食する母親の悪霊であり姿形のみなら人間の女性である。亡霊女房は戦乱時代に頻発する戦乱やら疫病によって赤子が死去した母親達の無念の集合体…。人間の赤子を体内へと吸収する性行為も赤子への執着と愛情表現である。桜花姫は咄嗟に亡霊女房の近辺へと接近する。 「私が母親達の霊魂であるあんたを成仏させるわ!」 桜花姫は妖力を蓄積させるなり落雷の妖術を発動…。入道雲を天空全域へと凝縮させたのである。 「亡霊女房…覚悟するのね!」 天空全域が入道雲に覆い包まれたかと思いきや…。入道雲から落雷攻撃を発動させる。落雷は亡霊女房の頭頂部へと落下したのである。 「直撃したわね…」 強烈なる落雷攻撃によって桜花姫は一瞬両目を閉眼させる。落雷の破壊力は地面を容易く陥没させたのである。 「瞬殺だったわ♪」 亡霊女房は肉体が非常に脆弱であり無数の血肉やら手足の肉片は勿論…。体内の臓物が地面に散乱する。 「彼女を仕留めたかしら?」 桜花姫は恐る恐る両目を見開くなり亡霊女房を仕留めたか如何なのかを再確認したのである。 「如何やら亡霊女房を仕留めたみたいね♪」 叫喚地獄の場面であるものの…。 「無防備の状態で落雷が直撃しちゃえば誰だって死滅するわよね♪」 桜花姫は今度こそ手応えを感じる。 「亡霊女房を無事征伐したから私は戻りましょうかね…」 桜花姫は一安心したのか西方国へと戻ろうかと思いきや…。 「えっ!?」 背後から極度の胸騒ぎを感じる。 (胸騒ぎだわ…) 「何かしら!?」 背後より微弱の霊力を察知したのである。彼女は恐る恐る背後を警戒するなり…。 「此奴…鬱陶しいわね…」 肉体を粉砕された亡霊女房の血肉が融合化したのである。亡霊女房の肉体は数秒間で元通りに復活する。 「粉砕された肉体が一瞬で元通りなんて…亡霊女房は不死身の肉体ね…」 (生命力と治癒力だけなら規格外だわ…) 亡霊女房は桜花姫の愕然とした表情を凝視するなり不吉の表情で微笑む。亡霊女房は口辺から猛毒の溶解液を噴射したのである。 「毒液!?」 桜花姫は咄嗟に妖力で半透明の防壁を形作るなり…。危機一髪溶解液から本体を防備したのである。半透明の防壁周辺の地面は亡霊女房が噴射した猛毒の溶解液によって液状化する。 「如何やら危機一髪ね…」 (妖力の防壁を発動しなかったら大怪我だったわ…) 桜花姫は一安心するものの…。彼女の表情が険悪化したのである。 「私は亡霊女房の霊力を見縊り過ぎたわね…」 体内の妖力を蓄積させるなり念力の妖術を発動…。すると亡霊女房の肉体が肥大化したのである。 「破裂するのね♪」 皮膚の表面からどす黒い大量の血液が流れ出るなり…。超常現象によって体内から肉体を破裂させる。地面には無数の肉片やら血肉が散乱する。 「亡霊女房は再復活するかしら?」 先程発動した念力の妖術は様子見であり亡霊女房の肉体が再生能力によって元通りに復活するのか如何なのかを再確認したかったのである。亡霊女房の肉体は一瞬で破裂したものの…。破裂した無数の肉片が再度融合化するなり亡霊女房の肉体は元通りに戻ったのである。 「本当に再復活したわね…」 (私にもこんな再生能力が…) 桜花姫は内心亡霊女房の再生能力を羨望する。 「亡霊女房の再生能力の攻略法は?」 即座に透視能力を発揮出来る天眼の妖術を発動させる。 (亡霊女房の弱点は何かしら?) 天眼の妖術の透視能力によって亡霊女房の腹部中心部より水晶玉を発見する。 「えっ?亡霊女房の体内から水晶玉だわ…」 (気になるわね…ひょっとして水晶玉は亡霊女房の本体なのかしら?) 桜花姫は念力の妖術を再発動…。体内より亡霊女房の腹部を破裂させる。亡霊女房の腹部が破裂した直後…。亡霊女房の破裂した体内より本体である水晶玉を摘出したのである。 「水晶玉だわ♪」 水晶玉が地面へと落下したかと思いきや…。 「ん?」 水晶玉は蛍光色へと発光したのである。すると周辺の地面に散乱した無数の血肉が水晶玉へと密着するなり…。 「如何やら体内の水晶玉こそが亡霊女房の本体っぽいわね…」 数秒間で亡霊女房の肉体は元通りに復活したのである。 「弱点さえ見破れちゃったら楽勝だわ♪」 亡霊女房の弱点を見破った桜花姫は念力の妖術によって水晶玉を粉砕…。体内の水晶玉が粉砕されると亡霊女房の再生能力が発動しなくなる。 「亡霊女房…完全消滅しなさい…」 即座に火炎の妖術を発動…。 「今度こそ亡霊女房を仕留めたわね…」 粉砕された亡霊女房の肉体諸共体内の水晶玉の破片を焼失させる。 「母親達の霊魂…成仏するのね…」 桜花姫は周辺を恐る恐る警戒するなり西方国へと無事戻ったのである。 (彼女は…) 「亡霊女房は予想外に手強かったわね…」 無事に家屋敷へと戻った桜花姫は一息するなり…。寝転んだのである。 「随分派手に妖術を連発しちゃったからかしら…」 妖力を余分に連発した結果…。 「極度に息苦しいのよね…」 体内の妖力を過剰に消耗したのである。 「亡霊女房は私より格下だけれども…」 (最上級妖女である私が格下の悪霊を相手に消耗戦なんてね…) 今回の出来事から自分自身の傲慢さと力不足を痛感したのである。 「今回は完全に軽率だったわね…」
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