Re: バレンタインワインLRS競作企画 ( No.7 ) |
- 日時: 2022/03/13 01:27
- 名前: tamb
- そうか、バレンタインだったんたな、と思いながら。
■れいさんの漫画 漫画の感想というのはとても難しい。情報量が多い上にそれを言語化しなければならないわけで、でなければ「このコマがねー、いいんだよねー、つまりその、なんつーの?」ということになるわけだ。それはそれでもいいんだろうけど。 ワインをもらったというのだから、まあ二十歳以上。お肉はやっぱりこういうのね(笑)。 お酒の美味しさっていうのは難しくて、言語化するのは不可能に近い。これは煙草もそう。もう吸わなくなって何年も経つけれど、あの旨みは言語化できない。煙草にしても酒にしても、あの味を表現する単語がないというのは不思議ですらある。深みとかコクとか、無理矢理感がある。それは味覚の先にあるものが重要な位置を占めているからかなとも思うけれど、それはまあいいや。 いずれにしても、もちろんレイに限らず、初めて口にしたときに美味しいと思う人はほとんどいないと思う。それは一種の挑戦で、小学校低学年の頃に食べた沢庵や、人類史上初めてホヤやナマコを口にした人間の勇気に近い。 たがそれはいわゆる「大人の味」であって、通過儀礼とも言える。アスカはそれを越えた。レイも二十歳になり、いつまでも無垢な少女のままではいられない。 で、口にしてみるわけだ。 最初にTwitterで見た時に、あっ!と思ったのは、最初のページの一番下の2コマ。なんとも微妙な表情で、とてつもなく萌えるのだけれど、左のコマの口元が背景のトーンを伴って少しすぼまってるのが異常にいい。なにこれ? みたいな。こういうの、小説じゃ書けないよなー。少なくとも私には。 で、大人ってこういうの? 的な感情はひとまずおいといて、見透かされたシンジくんに笑われてしまうわけだ。 バカにしないで、とシンジのほっぺをつねるレイも、たぶん笑顔を浮かべている。 こういう日常の一コマを、たぶん幸せと言うのだろう。 とても良かったです。
■ 史燕さん「初めてのワイン」 漫画をノヴェライズすることの困難さは、かつてエースで連載していた貞エヴァを毎月小説化するという、著作権的にいかがなものかという行為をしていた私にはよくわかる。困難というより不可能に近い。というか、あまり意味がない。なので、想像というか補完はされるべきだと思う。 というわけで、原作を小説化した的な形になっている。筆力は十分に高く、率直に言って上手い。外は雪とかもいいし。 なるほどアスカはビール好き。彼女は自分の出自に誇りを持っている。 レイはもしかすると、アスカにそそのかされてビールを試したことがあるかもしれない。たぶん美味しくなかったのだろう。 シンジもワインには慣れない。 目の前には恐らくチョコレートもある。 チョコにはやっぱりウイスキーなんじゃないの? という謎な常識に従って、雪を突いて買いに行き、カナディアンかなんかの口当たりの軽いやつを買ってしまい、美味しいの美味しくないの言いながら飲んで、二人で酩酊してしまいぶっ倒れる、というタチの悪い幸せもまたよし。 無駄な妄想を展開してしまいましたが、これまた良作でした。
■れいさん「トマトジュースがお似合い」 改めて読んで、なるほどシンジ一人称を選択したのか、というのがまずひとつ。 漫画の人称的な選択肢はよくわからないけれど、小説をシンジの一人称で書くなら、例えばシンジがどう笑ったかは書けないわけだ。なるほどこれは意識には上ってなかった。 でも「吸血鬼みたいだ」とか、その後に続くシンジの目に映るレイの繊細なイメージ(この繊細な表現!)は無理なく美しく書ける。シンジの恐らくは、レイのことが好きですフィルターのかかったイメージね。いちいち引用はしないけれど、この後のシンジの気持ちの動きの描写を含めて、これはすごく良い。 そして笑顔に昇華される。この幸せ。 しかしなんというかね、「ガラス瓶に歪んで映る君」とか、たまりませんね。「夜の空は煙草と乾ききっていない土の匂いがする」とかね。 ラストがまた良し。吸血鬼のイメージがここにも。 なんかもうね、素晴らしいとしか言いようがないですね。 この二人は、アルコールの力などなくても、二人でいるだけで正気ではいられない。 つまりはそういうこと。
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