アルセイス ( No.92 ) |
- 日時: 2021/09/15 15:26
- 名前: 月影桜花姫
- 第一話
実験室
世界暦八百七年五月十四日の出来事である。超大国『レムリア共和国』イーストサイドの無人化したスラム街にて三人組の女学生達が潜入する。彼女達は恐る恐る荒廃した商店街へと潜入するなり…。 「アンデッドとか…出現しそうだね…」 気弱の女学生がボソッと発言する。すると小柄の女学生が笑顔で返答したのである。 「勿論心霊スポットだからね♪面白そうな場所でしょう♪」 「人気が感じられないわ…」 数年前は数人の貧困者達が生活したのだが…。今現在では正真正銘ゴーストタウンであり生活者は誰一人として確認出来ない。 「噂話では住民達は自殺したとか…」 「えっ…」 彼女達は戦慄したのかゾッとする。 「自殺した貧困者のアンデッドとか出くわしちゃうかも知れないわね♪」 金髪の女学生が揶揄したのである。 「【クリスティーヌ】!」 クリスティーヌとは小柄の女学生でありスカイブルーの碧眼と金髪のツインテール…。エメラルドのピアスが特徴的である。女学園ではマドンナ的ポジションでありクラスメートのリーダー的ポジションとして暗躍する。彼女達はヘラヘラするクリスティーヌをギロッと凝視するなり…。ピリピリしたのである。 「冗談だって♪冗談♪あんた達は冗談も理解出来ないの?」 「クリスティーヌ…私達を不安がらせないでよね…」 「御免なさいね♪」 「目的地は?」 「墓場の地下壕よ♪」 「墓場の地下壕?」 「墓場の地下壕は近頃アンデッドが出現するらしいのよね♪」 「墓場の地下壕って…あんたも悪趣味ね…」 近年…。イーストサイドの墓場では無数のアンデッドが出現するとの噂話が各地で頻発したのである。クリスティーヌの発言に女学生達はビクビクする。 「ビクビクしなくても大丈夫よ♪」 「何が大丈夫なのよ?」 「目的地に到達すれば…理解出来るからね♪」 クリスティーヌは笑顔で発言したのである。彼女達は不思議がるものの…。沈黙した様子で目的地である墓場の地下壕通用口へと到達する。するとクリスティーヌはヘラヘラした様子で…。 「【アルセイス】♪到着したわよ♪」 地下壕通行口の左側に隣接する墓石の片隅より非常に小柄の女学生がソワソワした様子で彼女達に近寄る。 「誰かと思いきや…」 「アルセイスだったの?」 アルセイスとは茶髪のストレートロングが特徴的の女学生であり両目は赤色のレッドアイ…。学生服はロングスカートである。茶髪の頭髪には三日月型のヘアアクセサリーと耳朶には金剛石のイヤリングが確認出来る。体格的には小柄であるものの…。スタイルは非常に抜群であり巨乳の乳房が非常に魅力的である。 「誰かと思いきや…弱虫のアルセイスじゃない…」 「如何してアルセイスがこんなスラム街に?」 アルセイスは人一倍気弱の性格であるものの…。異質的雰囲気からか女学園のクラスメート達からは弱虫と揶揄される。こんなアルセイスをクリスティーヌは人一倍気に入らなかったのか誰よりも彼女を毛嫌いしたのである。クリスティーヌは悪友達にヒソヒソするなり…。 「墓場の地下壕にアンデッドが出現するか如何なのか…アルセイスに確認させるのよ♪」 「アルセイスに?大丈夫なの?」 「アルセイスは人一倍弱虫だから一目散に逃走しそうだけどね?」 「正直アンデッドなんて噂話でしょうし♪何よりもアルセイスの醜態を観察出来るからね♪最高でしょう♪」 「醜態って♪面白いけどクリスティーヌって本当に悪趣味ね…」 クリスティーヌがイーストサイドのスラム街に訪問した本当の目的とはアルセイスを揶揄したいからでありアンデッドが出現するか如何なのかは彼女にとっては問題外だったのである。 「私にとってアルセイスは人一倍鬱陶しくて目障りだったからね♪」 ビクビクした女学生達は内心ホッとしたのか一安心する。 「アルセイスだけが地下壕を確認するなら…一安心だね♪」 クリスティーヌはスタスタとアルセイスに近寄るなり…。 「アルセイス♪」 「えっ?」 アルセイスはソワソワした様子でクリスティーヌを直視する。 「あんたは地下壕でアンデッドが出現するか如何なのかを確認しなさい♪勿論アルセイスに拒否権は無いからね♪」 「えっ…」 アルセイスはビクビクするなり全身が膠着化したのである。 「はっ?何よ?今更反抗期かしら♪」 クリスティーヌはアルセイスの様子に苛立ったのかピリピリする。 「あんたが地下壕を確認しないなら…あんたのヌード写真を学内に♪」 アルセイスはビクッと反応するなり…。恐る恐る地下壕へと潜入したのである。 「最初から素直に服従するのね♪」 すると高身長の女学生が恐る恐るクリスティーヌに発言する。 「クリスティーヌ?本当にアルセイスだけで大丈夫なのかしら?彼女が本物のアンデッドにでも出くわしちゃったら…如何するのよ?」 クリスティーヌは即答したのである。 「あんた達は極度の心配性なのね?大丈夫だって♪アンデッドなんて所詮噂話でしょうに♪アンデッドが本当に実在したとしてもアルセイスは人一倍弱虫だから一目散に逃走するわよ♪」 「アルセイスは鬱陶しいけどさ…今回の出来事が表面化しちゃったら退学は確実よ…最悪私達は逮捕されるかも知れないし…」 「逮捕って…大袈裟ね…」 (えっ…逮捕…) ヘラヘラするクリスティーヌであるものの…。逮捕の一言により一瞬ビクッと身震いしたのである。 「あんた達は本当に大袈裟ね!大丈夫だって…アルセイスが戻ったらちゃんと忠告するし♪彼女は人一倍弱虫だから誰にも喋れないよ♪」 クリスティーヌは苦笑いするものの…。内心では人一倍不安だったのである。数分間が経過するものの…。 「アルセイス…戻らないね…大丈夫かしら?」 「アルセイスなら大丈夫よ!大丈夫だって…」 (アルセイス…如何して戻らないのよ…戻りなさいよ!あんたが無事に戻らなかったら私達は…) 一瞬後悔したのである。すると背後から胸苦しい気配を感じる。 (えっ?胸騒ぎが…一体何かしら?) 背後を確認したいのだが…。極度の戦慄からか身動き出来ない。 「きゃっ!」 「ぐっ!」 二人の悪友達の悲鳴がクリスティーヌの耳元に響き渡る。 (背後では一体何が?) クリスティーヌは恐る恐る背後を直視…。背後の光景に戦慄したのである。 「えっ…」 (何よ…一体…) クリスティーヌの背後には血塗れの横たわった二人の悪友達と中心部には鉄仮面と鉄棒を装備した灰白色の迷彩服の巨漢が佇立する。 「誰よ…あんたは…」 鉄仮面の巨漢はスタスタと近寄るなり鉄棒で打撃するものの…。クリスティーヌは咄嗟に回避するなり一目散に逃走したのである。鉄仮面の巨漢は逃走するクリスティーヌを凝視するのだが…。即座に地下壕へと進入する。同時刻…。地下壕へと潜入したアルセイスは外部から彼女達の絶叫に気味悪がる。 「えっ?悲鳴だわ…」 (外部では一体何が…) 一瞬戻ろうか困惑するのだがクリスティーヌに揶揄されたくなったのか地下壕の内部を探索する。すると地下壕の奥底より鉄扉が確認出来る。 (鉄扉だわ…地下室かしら?) 恐る恐る鉄扉へと接近するなり接触する。 「地下壕にこんな代物が…」 背後よりスタスタと人気を感じる。 「誰かが…」 何者かによる跫音によりアルセイスは戦慄するなり…。右側に確認出来る岩陰にて雲隠れしたのである。すると鉄仮面を装着した軍人風の巨漢が鉄扉に近寄るなり左側のスイッチを作動させる。すると鉄扉が自動的に開放されたのである。鉄仮面の巨漢は周囲を警戒するものの…。即座に地下室へと進入したのである。 「兵隊さんかしら?」 気になったアルセイスは恐る恐る鉄扉へと近寄る。 「一体何かしら?」 即座に左側のスイッチを再作動するなり…。恐る恐る地下室へと潜入する。地下室は非常に近未来的であり室内全体が機械式だったのである。 (研究所みたいね…) 人気は感じられなかったのか彼女は一安心…。室内を探索する。すると密室へと入室したのである。密室は暗闇であったものの…。彼女が密室に入室すると室内のシーリングライトが自動的に作動したのである。密室には大量の水槽と切断された人間の手足やら生首は勿論…。摘出された無数の脳味噌やら内臓が確認出来る。 「きゃっ!」 アルセイスは人間の手足と内臓を凝視するなり驚愕したのである。 「えっ…本物なのかしら?」 (人間の…臓器だよね?) アルセイスは極度に気味悪がるものの…。恐る恐る水槽の内臓やら切断された手足を凝視する。 (如何してこんなにも人間の手足とか内臓が…) アルセイスは戦慄したのか自宅に戻りたくなる。 「即刻戻らないと…」 (パパもママも心配するわよね…) 墓場に戻ろうかと思いきや…。 「えっ?」 (誰かしら?) 背後より何者かがアルセイスの背中に鈍器で打撃する。 「ぎゃっ!」 彼女はグッタリと横たわったのである。数分後…。密室にて小柄の美青年が入室する。小柄の美青年は銀髪の頭髪とスカイブルーの碧眼が特徴的である。 「【ルーヴェルハルト】補佐官?何事ですか?」 「【ブラッドフォード】総帥…侵入者です…」 ブラッドフォードは気絶したアルセイスを凝視するなり…。 「彼女は…女学生でしょうか?」 (彼女は絶世の女神様を想念させる雰囲気ですな♪) ブラッドフォードは彼女に見惚れる。 「彼女は部外者ですからね…私が仕留めました…」 「こんな女学生を相手に随分乱暴ですね…ルーヴェルハルト補佐官は…」 「私達のシークレットベースが世間で露呈されると非常に不都合でしたからね…相手が女学生でも仕留めなければ厄介でしょう…」 「彼女は殺害したのですか?」 ブラッドフォードは恐る恐る問い掛ける。 「気絶させました…彼女を殺害しましょうか?」 「彼女を殺害するのは非常に勿体無いですよ…」 「勿体無いと?」 ブラッドフォードは一息するなり…。 「彼女を実験体に適用するのが好都合かと♪」 「彼女を実験体に利用するのですか?」 「彼女は絶世の美少女ですからね♪是非とも彼女を実験体として役立てるのが適切でしょう♪」 ブラッドフォードとルーヴェルハルトは即刻気絶したアルセイスを恐る恐る実験室へと連行したのである。するとブラッドフォードは恐る恐ルーヴェルハルトに問い掛ける。 「外部の薄汚い女学生達は如何されましたか?」 「二人の女学生は撲殺しましたが…金髪の女学生は見逃しました…」 「見逃したって?非常に不都合ですね…」 ブラッドフォードは困惑したのである。 「生憎ですが…金髪の女学生は非常に機敏でしたからね…」 「機敏でしたか…」 ルーヴェルハルトの屁理屈に内心苛立ったものの…。ブラッドフォードは無表情で反応したのである。 「ですが一人の不良少女がシークレットベースの居場所を告発したとしても武装警察隊は出動しないでしょうからね♪」 武装警察隊とはレムリア共和国の防衛組織であり屈強の警察力と国防力の両方を保有化する。正式名はレムリア共和国武装警察隊である。楽観視すルーヴェルハルトであるものの…。ブラッドフォードは無表情で承諾したのである。 「承知しました…」 (ブラッドフォード総帥…) 無表情のブラッドフォードにルーヴェルハルトは一瞬ビクッと身震いする。ブラッドフォードは実験用の注射器を所持したのである。 「彼女に純血の魔女の血液を注入させますね…」 恐る恐るアルセイスの左手の手首に魔女の血液を注入させる。 「ブラッドフォード総帥…今回は大丈夫でしょうか…」 ブラッドフォードとルーヴェルハルトはビクビクしたのである。数秒後…。 「彼女は…破裂しませんね…」 ブラッドフォードは一安心したのか深呼吸したのである。 「如何やら彼女の肉体は魔女の血液と適合したみたいですね…」 ルーヴェルハルトも一安心したのかホッとする。 「肉体が破裂しなかったですからね…」 魔女の血液を注入された人間は数秒後全身の肉体が肥大化した状態で破裂…。実験台に利用された人間は誰しもが変死したのである。今回はアルセイスに魔女の血液を注入するが…。アルセイスの肉体は破裂しなかったのであルーヴェルハルトは即座にアルセイスの心拍数を測定する。 「彼女の心拍数は正常値です!」 「如何やら彼女は唯一の成功例ですね!」 ブラッドフォードとルーヴェルハルトは大喜びしたのである。 「不老長寿も現実化しますな♪」 ブラッドフォードは再度注射器を所持すると恐る恐るアルセイスの血液を採血する。 「不老長寿の実現は勿論ですが…何よりも屈強なる戦闘員達の育成化にも役立てるでしょうね♪」 「ルーヴェルハルト補佐官…私達は即刻総本部に戻りましょう…」 「えっ?総本部ですと?」 「シークレットベースが部外者に熟知されましたからね…本日よりシークレットベースは閉鎖させましょう…」 「えっ!?閉鎖ですと!?」 ルーヴェルハルトは驚愕したのである。 「魔女の実験体から血液を入手出来ましたし…何よりも部外者に私達の居場所を熟知されたのでは非常に厄介ですからね…」 ルーヴェルハルトは謝罪する。 「私が部外者を見逃さなければ…」 ブラッドフォードは笑顔で発言したのである。 「ルーヴェルハルト補佐官♪気にしなくても大丈夫ですよ♪」 「ブラッドフォード総帥…」 ルーヴェルハルトはホッとしたのか一安心する。 「魔女の実験体は如何されますか?」 「彼女は外部の墓場にでも熟眠させましょう…」 ブラッドフォードとルーヴェルハルトは気絶したアルセイスを墓場にて処分するなり即刻シークレットベースから脱出したのであルーヴェルハルトは撲殺した二人の女学生達を凝視するなり…。 「ブラッドフォード総帥?二人組の女学生は如何しましょうか?」 「武装警察隊に察知されては傍迷惑ですからね…彼女達は総本部の焼却炉で焼却処分しましょう…」 「隠蔽ですね…」 彼等はシークレットベースに配備されたスカイカーのトランクに撲殺した女学生達を留置させる。 「脱出しましょうか…ルーヴェルハルト補佐官…」 「勿論ですとも…」 ブラッドフォードとルーヴェルハルトが地下壕のシークレットベースから脱出してより数分後…。アルセイスは恐る恐る目覚める。 「えっ?私は一体?」 アルセイスはハッとしたのか周辺を警戒する。地下壕の通行口には血痕が確認出来る。 「きゃっ!」 血痕を凝視するなりアルセイスは戦慄したのである。 (如何してこんなにも血痕が…一体何が?) 「誰か出血したのかしら?」 アルセイスは戦慄するものの…。 「戻らないとパパとママが心配するし…」 地下壕の通行口の血痕が非常に気になるものの時間帯は夕方でありアルセイスは一目散に自宅へと戻ったのである。 「お帰りなさい♪アルセイス♪」 母親の【ソフィリア】が笑顔で彼女を出迎える。 「ママ…」 アルセイスは無表情でソフィリアを凝視する。 「如何しちゃったのよ?アルセイス?大丈夫かしら?」 ソフィリアの質問にアルセイスは無表情で即答したのである。 「別に…何も…」 ソフィリアは恐る恐る問い掛ける。 「最近女学園は如何なのよ?」 アルセイスは数秒後…。ボソッと返答する。 「別に…何も無いけど…」 アルセイスは即座に自室へと戻ったのである。翌朝…。アルセイスはリビングルームへと入室するなり母親のソフィリアと父親の【ウィグノール】に挨拶する。 「パパ…ママ…お早う…」 「アルセイスか…お早う♪」 「お早う♪アルセイス♪」 ソフィリアとウィグノールは笑顔でアルセイスに挨拶したのである。ソフィリアは彼女に朝食を用意する。モーニングメニューはハムエッグとアルセイスの大好きなメロンパンである。 「私の大好きなメロンパンだね♪」 アルセイスは笑顔でメロンパンをペロリと平らげる。 「メロンパンを一瞬で平らげるなんてね…」 ソフィリアは苦笑いする。するとウィグノールは新聞紙を黙読するなり…。 「近頃は物騒だな…」 「物騒って何が物騒なの?」 問い掛けるアルセイスにウィグノールは即答する。 「レムリア解放軍って名乗るテログループだよ…」 「レムリア解放軍ですって?」 「レムリア解放軍って…世界一の大富豪って噂話のブラッドフォードの私兵集団だったわよね…」 「ブラッドフォード?大富豪?」 レムリア解放軍とは世界一の資産家である大富豪ブラッドフォードが独自の財力によって武装化した過激派のテログループである。長期化した不景気の悪影響からか総人員は日に日に拡大化…。国全体を牛耳るレムリア共和国武装警察隊総本部もブラッドフォードのレムリア解放軍には警戒中である。 「最近武装警察隊の兵隊さんが田舎町もパトロールするのはテログループの活動が頻発したからなのね…」 「武装警察隊も大変だよな…」 するとアルセイスは新聞紙に注目する。新聞紙には昨晩レムリア解放軍所属の工作員によるウエストサイド武装警察隊総司令部銃撃戦が記載されたのである。 「昨晩もね…」 「ウエストサイドの武装警察隊総司令部もレムリア解放軍の工作員に襲撃されたらしいからな…」 近頃はブラッドフォードのレムリア解放軍によるテロリズムが各区域内で頻発…。レムリア共和国全域を震撼させたのである。 「武装警察隊の総司令部が?」 「総司令部は無事だったらしいが…テログループの襲撃で数人の警備兵が殉職しちまったらしい…」 「武装警察隊の兵隊さんも人間だからね…兵隊さんの家族は悲痛よね…」 ソフィリアはアルセイスを凝視するなり…。 「アルセイスはテログループなんかに殺されないでよ…アルセイスが殺されちゃったら私達は…」 「俺達にとってアルセイスは唯一の愛娘…宝物だからな♪」 「パパ…ママ…」 アルセイスは赤面する。 「私なら大丈夫だよ♪」 ハムエッグをペロリと平らげるなり一目散に女学園へと通学する。 「クリスティーヌちゃんは?」 無事女学園へと通学するものの教室にはクリスティーヌは勿論…。悪友の二人組は欠席したのである。クリスティーヌは極度の精神病により長期間の入院…。悪友の二人組は武装警察隊が居場所を捜索するのだが結局今現在も彼女達の居場所は不明である。こんなにも物騒であったものの…。アルセイスは内心ホッとしたのである。
第二話
閃光
問題児のクリスティーヌが入院してより三日後の五月十七日の早朝…。 「はぁ…ズキズキするわ…」 (頭痛かしら…) アルセイスは早朝から頭痛が頻発したのである。アルセイスはリビングルームのソファーベッドにて極度の頭痛によりグッタリと横たわる。すると早朝からグッタリするアルセイスを心配したのか母親のソフィリアが恐る恐る彼女に近寄る。 「アルセイス?大丈夫?」 「頭痛かしら…早朝からズキズキするの…」 ソフィリアは体温計で恐る恐るアルセイスの体温を測定する。数秒後…。体温計がピピッと電子音が反応したのである。 「微熱みたいね…」 「えっ…微熱?」 「今日は欠席しなさい…女学園には私が連絡するから…」 「ベッドで睡眠するよ…」 アルセイスはフラフラした状態で自室のベッドにてグッタリと横たわる。父親のウィグノールが起床するなり…。リビングルームに入室する。 「お早う♪ソフィリア♪」 ウィグノールは笑顔で挨拶したのである。 「お早う…ウィグノール…アルセイスが微熱みたいなの…」 「えっ?アルセイスが微熱なのか…心配だな…」 「一日だけど欠席させるわね…」 「微熱でも悪化すると大変だからな…今日は仕方ないな…」 ソフィリアもウィグノールも微熱のアルセイスを心配する。朝食後…。ウィグノールはアルセイスの自室のドアをノックするなり恐る恐る入室したのである。 「お早う…アルセイス…」 「パパ…お早う…」 「微熱みたいだな…大丈夫なのか?」 アルセイスは苦笑いするなり返答する。 「大丈夫よ…頭痛だけだからね…心配させちゃって御免なさいね…パパ…」 「気にするな♪」 するとウィグノールは笑顔で…。 「本日はアルセイスの誕生日だったな♪アルセイスも十五歳とは…アルセイスの大好きなショートケーキとプレゼントを用意しないと♪」 「パパ♪」 「俺は出勤するが…アルセイスは睡眠しろよ♪微熱でも油断大敵だからな…」 「勿論よ♪」 ウィグノールは職場へと出勤したのである。すると母親のソフィリアがドアをノックするなり入室する。 「アルセイス♪」 「何よ…ママ?」 数秒後…。 「ハッピーバースデー♪アルセイス♪」 「ママ♪」 「誕生日だったわね♪アルセイス♪」 「御免なさいねママ…今日は私の誕生日なのに微熱なんてね…正直災難よ…」 アルセイスは苦笑いしたのである。 「誕生日パーティーは後日にでも♪」 「微熱だしね…」 「フルーツポンチでも如何かしら?」 「用意して…」 ソフィリアはキッチンルームにてフルーツポンチを用意する。同時刻…。ウエストサイドのレムリア解放軍総本部ではとある新型巨大兵器の秘密実験が発動されたのである。とある新型巨大兵器とはレムリア解放軍が異国の民間型軍事会社との協力により開発された通称『ケラウノス』…。正式名は超弩級サテライトキャノンである。人工衛星型のデザインであり成層圏で使用される。高エネルギーの閃光を射出させる高エネルギー巨大衛星兵器であり殺傷力のみなら特殊弾道をも上回ると推測されたのである。通常は光学迷彩装置によって武装警察隊のスペースレーダーでは察知出来ない。補佐官のルーヴェルハルトが総司令部専用室へと入室する。 「ブラッドフォード総帥!ケラウノスの発射準備が完了しました!」 「完了したのですね…」 ブラッドフォードは室内に設置されたホログラムで成層圏のケラウノスを確認したのである。 「イーストサイドの成層圏には障害物は無さそうですね…」 するとルーヴェルハルトが恐る恐るボソッと発言する。 「ですがブラッドフォード総帥…無関係の非戦闘員を標的に…こんな代物を使用されるのですか?非人道的かと…」 ルーヴェルハルトは非常に不安がる。 「ルーヴェルハルト補佐官…今更如何されたのですか?」 「私達がレムリア共和国全土を牛耳るにはケラウノスが必要不可欠なのです…イーストサイドの住民達にはモルモットとして活用しなくては…」 ブラッドフォードの目力によりルーヴェルハルトは圧倒される。 「私がシグナルを発動します…私がシグナルを発動させたら即刻ケラウノスを射出するのです…」 「承知しました…ブラッドフォード総帥…」 数秒後…。ブラッドフォードがシグナルを発動する。 「ケラウノスを射出せよ…標的はイーストサイド…」 ルーヴェルハルトは恐る恐る成層圏のケラウノスを発射させる。するとケラウノスの砲口に粒子状の高エネルギーが収縮されたのである。直後…。高出力の高エネルギーがイーストサイドに射出されたのである。成層圏から射出された高エネルギーはイーストサイド全域にてピカッと蛍光色の蛍光体を炸裂させる。 「えっ?一体何かしら…」 自宅にて熟睡中であったアルセイスは蛍光色の蛍光体に接触…。 「きゃっ!」 全身の皮膚から出血するなり全身がブクブクッと肥大化したのである。数秒後…。 「ぎゃっ!」 肥大化したアルセイスの全身がパンッと破裂したのである。室内全域に無数の肉片浄血が散乱する。イーストサイドの居住民達は全身が破裂…。イーストサイドの各地域にて粉砕された人間達の無数の血肉が散乱したのである。レムリア解放軍総本部から偵察用のドローンが出動するなりゴーストタウンへと変化したイーストサイド上空を確認する。ブラッドフォードとルーヴェルハルトはドローンの監視用カメラでイーストサイドの様子を観察したのである。 「ブラッドフォード総帥…イーストサイド全域はゴーストタウンですね…」 ルーヴェルハルトは極度の恐怖心によって全身がプルプルするなりイーストサイドの惨劇に戦慄する。イーストサイドの惨劇を凝視してもブラッドフォードは失笑したのである。 「ケラウノスは人体のみを死滅させる…非常に合理的でしょう!レムリア解放軍は容易にイーストサイドを占拠出来るのですから…」 建造物は勿論…。動植物にはケラウノスの悪影響は皆無であり事実上人間のみを死滅させたのである。 「ケラウノスから炸裂した素粒子はナノレベルで透過します…密閉された地下豪でも絶体絶命でしょう…」 地下室は勿論…。地下鉄の人間達もケラウノスから炸裂したナノレベルの素粒子により死滅させる。レムリア解放軍のデモンストレーションによってイーストサイドは事実上全滅…。推計四百万人の住民が死滅したのである。偵察用ドローンがイーストサイド全域を偵察するものの…。生存者は誰一人として確認されなかったのである。偵察用ドローンが退却してより数分後…。アルセイスの自室にて破裂した無数の肉片が融合化するなり女性の肉体を形作る。融合化した無数の肉片が女性の肉体へと変化したのである。 (私は一体…) アルセイスは恐る恐る目覚める。全裸状態でありベッドには血塗れのネグリジェが確認出来る。 「如何して私のベッドが血塗れなのよ…」 恐る恐る血塗れの室内全域を凝視したのである。 「えっ…」 (如何してこんな…) アルセイスは非常に気味悪がる。アルセイスは自室の窓側から恐る恐る外部の様子を見据えるなり…。 「きゃっ!」 外部の道路上には無数の肉片やら血肉が散乱する。 「一体何が…」 アルセイスはハッとしたのである。 「ママは!?」 アルセイスは恐る恐るリビングルームへと移動する。リビングルームには血塗れのソフィリアの洋服は勿論…。無数の肉片やら血肉が室内全体に散乱したのである。 「ママ…ママなの…」 肉片を凝視するとピカリと純金のイヤリングが確認出来る。 「ママのイヤリングだわ…」 アルセイスは極度のショッキングにより脳内が可笑しくなる。 「如何してこんな…ママは!?私のママは!?」 アルセイスは全裸の状態であったものの…。自宅から全力疾走する。リビングルームに散乱した血肉がソフィリアであると認識した彼女は極度の戦慄と悲痛さにより涙腺から涙が零れ落ちる。精神的にも肉体的にも疲弊したのか大都市部の道路上にてグッタリと横たわる。 「私は如何すれば…」 すると父親のウィグノールが気になったのかハッとする。 「パパは!?」 周辺は血塗れの洋服やら肉片ばかりで列記とした生存者は誰一人として確認出来ない。 「如何して人間が私だけ…」 (パパは一体…) アルセイスはウィグノールの勤務先へと疾走する。ウィグノールの職場は自宅から比較的近距離であり数分間で到達する近距離である。数分後…。ウィグノールの勤務先へと到達したのである。 「パパの勤務先だわ…」 ウィグノールの勤務先は超高層型のタワービルであるものの…。誰一人として人気が感じられない。 (アンデッドが出現しそうだわ…) 彼女は恐る恐るタワービルへと潜入したのである。室内には無数の肉片が散乱した状態であり誰一人として生存者は確認出来ない。するとピカリと発光した物体と血塗れのスーツを気になったのかアルセイスは恐る恐る確認するなり…。 「誰のかしら?」 物体を凝視したのである。 「結婚指輪!?」 物体は結婚指輪でありアルセイスは婚約指輪を認識した直後…。 「ひょっとしてパパの婚約指輪かしら…」 彼女はドキドキするなり血塗れのスーツに接触するなりネームプレートを確認する。 「ウィグノール…パパのネームプレートだわ…」 ネームプレートの名称は父親のウィグノールでありアルセイスは絶望したのである。 「パパもママも…如何して私ばかり…」 涙腺から涙が零れ落ちる。アルセイスは無意識的に出歩くなり…。イーストサイドの海岸へと到達する。 「海岸だわ…」 防波堤を注目したのである。 「防波堤…」 (防波堤は幼児期にパパとママと一緒に海面上を眺望したのよね…) ソフィリアとウィグノールの笑顔を想念するなり極度の悲痛を感じる。 「パパ…ママ…」 無意識的に防波堤へと移動したのである。 「如何して私は防波堤なんかに…」 数分後…。防波堤へと到達する。海面上を直視するなり…。 「私も…パパとママと一緒に…」 彼女はフワッと海面上へと落下したのである。同時刻…。武装警察隊所属の警備艇がイーストサイド近海をパトロールする。警備艇はケラウノスの射程圏外であり影響は皆無だったのである。警備艇の乗組員達はイーストサイド上空の光柱を気味悪がる。四人の乗組員達がヒソヒソと対談するものの一人の乗組員はイーストサイド近海をパトロールする。 (鬱陶しい奴等だな…パトロール中なのに…) 武装警察員の【ストライダー】であり武装警察隊では一匹狼と揶揄される。非常に生真面目であり任務は確実に遂行させるのが彼にとってのモットーである。ヒソヒソと対談し続ける乗組員達に苛立ったのかピリピリする。すると直後である。遠方の海面上より女性らしき物体を直視する。 「なっ!?」 (女性なのか?) ストライダーは即座に警備艇を急停止させる。 「ん?ストライダー…何事かな?」 「如何して警備艇を急停止させた?」 乗組員達はストライダーの目線を直視するなり…。 「うわっ!」 「彼奴は水死体なのか!?」 彼等は驚愕したのである。 「貴様達…談笑しないで女性を救出しろ…」 ストライダーの目力に圧倒されたのか彼等は女性を救出する。 「女の子みたいだな…」 女性は小柄の美少女であり全裸だったのである。彼女の両目は瞑目した状態であるものの…。突発的に深呼吸したのである。 「生存者だったのか…」 彼等は少女の様子に一安心する。すると少女は両目が開眼するなり恐る恐る周囲を警戒した様子で警備艇の乗組員達を凝視したのである。ストライダーは恐る恐る少女に名前を問い掛ける。 「貴様の…名前は?」 「私は…アルセイス…レムリア女学園の…女学生です…」 「あんたは女学生だったのか…」 アルセイスは無事に救出されたものの…。彼女は精神的に可笑しくなりサウスサイドの精神科にて入院したのである。翌日…。ウエストサイドのレムリア解放軍総本部からイーストサイド突撃隊が出動するなり電撃的にゴーストタウンのイーストサイドへと進軍したのである。イーストサイドは武装警察隊の駐留地であり今回のケラウノス発射によって武装警察隊駐留軍は全滅…。レムリア解放軍はノーダメージでイーストサイド全域を攻略出来たのである。イーストサイドが占拠されてよりレムリア解放軍の快進撃が本格化する。今回の大事件は五月十七日事件と呼称されたのである。五月十七日事件の後日…。ウエストサイドのレムリア解放軍総本部にてローブの人物が訪問したのである。ローブの人物がコンッとブラッドフォードの専用室の鉄扉をノックする。 「失礼する…」 「誰かと思いきや…ハイドマンでしたか…」 「如何やら俺の提供したケラウノスでイーストサイドは死滅したみたいだな…」 「ケラウノスの殺傷力は予想外でしたよ…是非ともハイドマンには感謝しなければ♪」 ハイドマンとは極悪非道の武器商人であり彼自身の詳細を熟知するのは契約者のブラッドフォードと補佐官のルーヴェルハルトのみである。もちろんハイドマンは偽名でありブラッドフォードとルーヴェルハルトのみがハイドマンの本名と正体を熟知する。 「武装警察隊もパニック状態だからな♪ブラッドフォードにとっても好都合だろ…」 今回の五月十七日事件により武装警察隊は混乱の状態である。自国内の経済的ダメージも莫大であり物流も一時的にストップ…。国全体が混乱したのである。 「所詮武装警察隊の首脳陣も無能で無責任だからな…」 「ですがハイドマンからこんなにも無尽蔵の新型兵器を提供されましたが…私は負担金を提供しなくても大丈夫なのでしょうか?」 ハイドマンは即答する。 「安心しろ…負担金は不要だ…俺は腐敗した武装警察隊総本部を徹底的に破滅させたかったからな…」 「私達は是非とも武装警察隊総本部を失脚させますよ♪」 「俺はあんたを見届けるよ♪レムリア共和国の主導権を掌握しろよ♪」 「勿論ですとも♪」 ブラッドフォードは笑顔で返答したのである。 「本来私の血族は王族ですからね…」 「あんたは王族の末裔だったのか?」 「勿論ですとも♪私は王政復古によって君主制のレムリア王国を復活させたいのですから…」 三百年前のレムリア共和国は君主制のレムリア王国であったが…。大勢の民衆達と逆賊の軍人達によって組織された義勇軍によりレムリア王国は事実上滅亡する。民衆達を圧制した王族達は過半数が自国民により処刑され…。ブラッドフォードは唯一国外へと亡命した王族の末裔だったのである。 「今現在のレムリア共和国の国民性なら…あんたみたいな独裁者が必要不可欠なのかも知れないな…誰一人として歴史学と政治学には無関心だからな…」 「所詮は愚民ですからね…レムリア共和国をリニューアルしなくては…」 ブラッドフォードは内心ワクワクする。ハイドマンは恐る恐る発言したのである。 「心配なのは…実験体の小娘だな…」 「実験体の小娘ですと?」 「不老長寿の戦闘員育成化プランで実際体に利用した小娘だよ…」 「彼女ですか…彼女が如何されたのですか?」 「事件当日だが…あんたが実際体に利用した小娘がイーストサイド近海で武装警察隊に救出されたぞ…」 「なっ!?救出ですと!?」 ハイドマンの発言にブラッドフォードは驚愕する。 「彼女はイーストサイドの居住者ですよね?ケラウノスを照射されても生還したのでしょうか…」 純血の魔女の血液に適合した人間はケラウノスでも殺せなかったのである。今回の事例で判明する。 「魔女の生命力は予想外だな…」 「ですが本当に彼女だったのですか?偵察用のドローンでは誰一人として生存者は確認出来ませんでしたが…」 ブラッドフォードは疑問視したのである。 「近海では全裸の状態だったらしいからな…ケラウノスに直撃したのは確実だな…」 ハイドマンは恐る恐る…。 「ひょっとするとケラウノスに照射された直後だが…」 「直後に?」 「バラバラの肉体が元通りに戻ったのかも知れない…」 「純血の魔女の血液ですからね…肉体がバラバラに粉砕されても元通りに戻りそうですね…」 (如何やら彼女は無事みたいですね♪) 不思議がるブラッドフォードであるが内心ホッとしたのである。 「ん?」 (ブラッドフォードの様子が可笑しいな…) ハイドマンはブラッドフォードの様子に一瞬不思議がるものの…。ソッとしたのである。するとハイドマンは恐る恐るブラッドフォードに警告する。 「警告するぞ…ブラッドフォード…」 「警告ですか?」 ハイドマンは一息するなり…。 「実験体の小娘は要注意だからな…」 「要注意って…如何してハイドマンは彼女を警戒するのですか?」 問い掛けられたハイドマンは恐る恐る返答する。 「復讐されるかも知れないからな…今回のケラウノスの攻撃によって四百万人以上の人間達を虐殺した…彼女の家族だって同条件だろう…」 「ですが彼女は女学生ですし…魔女の実験体だったとしても私に復讐するなんて出来るのでしょうか?」 「レムリア解放軍のノータリンが情報を漏洩しなければ大丈夫だろうが…」 ブラッドフォードはピクッと反応したのである。事実…。彼にとって信頼出来る人間は唯一補佐官のルーヴェルハルトのみでありレムリア解放軍の志願兵には誰一人として信用出来なかったのである。 「今現在彼女の所在は?」 「彼女ならサウスサイドの精神科で入院中らしいが…」 「サウスサイドでしたか…」 今現在サウスサイドにはレムリア解放軍の工作員は皆無でありブラッドフォードは一安心する。 「サウスサイドには武装警察隊の革命派が配備中だからな…彼等が小娘に接触したら非常に厄介ですね…」 革命派とはレムリア共和国武装警察隊所属であるものの…。武装警察隊総本部を陥落させたい過激派勢力である。ブラッドフォードのレムリア解放軍とは利害が一致…。彼等とは事実上協力関係である。 「正直彼等も信用出来ませんね…」 「奴等も信用出来ないなら…実験体の小娘を暗殺するか?」 ハイドマンは恐る恐るボソッと発言したのである。 「暗殺って…」 暗殺の一言によりブラッドフォードはビクッと反応する。 「ん?彼女を暗殺したら…ブラッドフォードにとって不都合でも?」 「失礼…ですが今現在国全体が混乱中ですし…サウスサイドで暗殺事件を頻発させれば私達にとっても不都合でしょう…」 現段階でも戦力的には武装警察隊が数倍上回る。こんな状態からサウスサイドでテロ事件を頻発させれば敗走するのは確実である。 「現段階では軍備を増強化させましょう…」 「軍備を増強化させたいなら自国内だけではなく…他国の軍需産業にも協力させなければ…」 レムリア共和国は歴史的に他国でも不信感が根強い。レムリア共和国の武装警察隊総本部を陥落させるなら他国の軍需産業も大喜びで協力するのではと想定する。 「海外の軍需産業には俺が説得する…あんたは自身の財力でレムリア解放軍の軍備を増強化しろ…」 「承知しました…」 レムリア解放軍の軍備の増強化が推進される。
第三話
夜襲
五月十七日事件から一年後の出来事である。勢力を拡大化させたブラッドフォードのレムリア解放軍は世界各国に宣戦布告…。第二次世界戦争が勃発したのである。レムリア解放軍は大量生産したケラウノスにより世界各地の大都市部を総攻撃…。推計五十億人以上の人間達が死滅したのである。世界各地の大都市部は荒廃…。ゴーストタウンへと変化する。第二次世界戦争はケラウノスの大量投入によるレムリア解放軍の圧倒的勝利に終結…。レムリア共和国を除外する各国は弱体化したのである。事実上全世界の覇権を牛耳った大富豪のブラッドフォードであるが…。レムリア共和国国内にはブラッドフォードに抵抗する勢力が各地で活動したのである。第二次世界戦争が終結してからもレムリア共和国国内ではレムリア解放軍とレムリア共和国武装警察隊の内戦が頻発する。大量破壊兵器ケラウノスによる五月十七日事件から十五年後…。国全体が内戦状態であり大勢の国民達がレムリア解放軍の襲撃に戦慄したのである。サウスサイドのとある教会堂にて一人の修道女が教会堂を清掃する。 「着実に清掃しないと神父様に怒号されるからね♪」 修道女はルンルンした気分で教会堂を清掃したのである。一時間後…。 「終了♪終了♪」 清掃が終了する。時間帯は真夜中であり教会堂は彼女のみである。 「真夜中かしら…」 彼女は事務室へと移動するなり日程表を確認する。 「明後日は定休日だけれども…」 (近頃はテロ事件で物騒だからね…旅行も出来ないわよね…) 不機嫌であるものの…。修道女は自宅へと戻ったのである。彼女は両親との家族写真を凝視するなり涙腺から涙が零れ落ちる。 「パパ…ママ…」 (私のパパとママは…) 彼女の両親は十五年前の五月十七日事件にて死去したのである。結局両親の遺体は区別出来なかったものの…。イーストサイドでは生存者は皆無であり彼女の両親は即死と断定される。彼女にとって五月十七日事件は修道女として活動する人生最大の契機だったのである。 「今現在私に出来るのは…」 (十五年前の五月十七日事件で死去された犠牲者達のレクイエムよね…) すると腹部がググっと響き渡る。 「空腹かしら…」 (出勤中は何も食事しなかったからね…) 彼女は冷蔵庫からハンバーグステーキとロゼワインを用意する。数分間で平らげる。 (食事したし…入浴しないとね…) 即座に入浴したのである。入浴してから彼女は即座に睡眠する。翌朝の早朝…。彼女は出勤したのである。すると教会堂にて神父と対面するなり挨拶する。 「お早う御座います…神父様…」 「お早う御座います…クリスティーヌさん…」 修道女とはアルセイスと同級生であったクリスティーヌであり精神科に退院後…。今迄のアルセイスに対する悪行と両親の死別によって修道女の勉学をスタートしたのである。 「如何されたのですか?神父様?」 神父は戦慄した表情で…。 「今現在は各地で内戦が継続中ですが…近頃は何者かによって資産家達が暗殺される連続殺人事件が頻発しましたからね…」 各地でレムリア解放軍と武装警察隊との内戦は継続中であるものの…。レムリア解放軍に関係する資産家達が何者かによって暗殺される連続殺人事件も頻発したのである。 「暗殺ですって?誰が彼等を…」 「武装警察隊も調査中ですが…殺人犯が誰なのかは不明みたいです…」 (一体誰かしら?) クリスティーヌは気になる。 「正直私は心苦しいのです…如何して人間達は殺し合うのでしょうか?」 神父がクリスティーヌに問い掛ける。問い掛けられたクリスティーヌは一瞬ビクッと反応するものの…。恐る恐る返答したのである。 「所詮人間は強欲だからでは?今迄の歴史学でも人類史は戦乱の時代ばかり…欲深い人間が指導者だったから殺し合うのでしょうかね?貧困とかも戦乱の原因かしら…正直私には何が何やらサッパリですが…」 クリスティーヌは非常にビクビクするものの…。神父は微笑む。 「クリスティーヌさん…感謝しますよ♪クリスティーヌさんは誰よりも人格者ですからね!是非とも荒廃した世界にピースワールドを実現させましょう♪」 (私みたいな陰湿人間が人格者って…神父様は大袈裟ね…) クリスティーヌは苦笑いする。真夜中…。クリスティーヌは着実に教会堂を清掃したのである。 「清掃したら…即刻戻りましょう…」 ルンルンした気分で清掃するものの…。直後である。 「きゃっ!」 近辺から爆発音が響き渡る。 「爆発音かしら!?」 (ひょっとして内戦かしら!?) クリスティーヌは戦慄したのか全身がガクガクして身動き出来なくなる。すると外部から大勢の住民達の悲鳴が響き渡ったのである。 (外部では一体何が…) クリスティーヌは一歩ずつドアに近寄るなり…。恐る恐る外部を直視する。直後…。彼女は戦慄したのである。 「如何してこんな…」 近辺の建造物が火災により燃焼する。 (私も…) すると燃焼する建造物のドアより火達磨の人間が出現したのである。 「何よ…」 (ゴースト!?) 最早老若男女の区別は不可能でありズルズルと教会堂のドアへと近寄る。戦慄したクリスティーヌは即座にドアをロックするなり教会堂の隅っこへと移動したのである。 「私は如何すれば…」 突然…。何者かによって左側のステンドグラスが粉砕される。 「きゃっ!誰よ!?」 ステンドグラスを粉砕したのはバズーカ砲らしき装備品を武装した大柄の兵隊であり灰白色の迷彩服…。ヘルメットは非常に近未来的である。 「武装警察隊かしら?」 「武装警察隊だと?人違いだな…俺はレムリア解放軍のレジスタンスだよ♪」 「レムリア解放軍ですって!?」 彼女はレムリア解放軍に反応する。 (レムリア解放軍って…第二次世界戦争を勃発させた奴等ね…) 「あんたはテロリストね!?」 「なっ!?テロリストだと!?貴様…」 敵兵はカチンとしたのかクリスティーヌに近寄るなり…。 「薄汚い修道女が…死滅しやがれ!」 バズーカ砲をクリスティーヌの顔面に密着させる。 (私…殺されちゃうのね…) クリスティーヌは覚悟する。すると突然…。右側のステンドグラスが何者かによって粉砕されたのである。 「なっ!?」 「今度は誰かしら!?」 背後の人物に敵兵は勿論…。クリスティーヌも反応する。 (ひょっとして女性かしら?) 周囲は真夜中であり人物が何者なのかは不明であったものの…。シルエットから小柄の女性であると認識したのである。彼女の左手には銀色の刀剣が確認出来る。 「貴様は一体何者だ?」 すると小柄の女性が発言する。 「レジスタンスの兵隊さんが…修道女の女性を相手に手出しするなんてね…本当に外道だわ…」 彼女の発言に敵兵はピリピリしたのである。 「誰かと思いきや小娘か…如何やら貴様も打っ殺されたいらしいな…」 「出来るかしら?テロリストの分際で…」 「テロリストだと?」 小柄の女性は超音速のハイスピードで敵兵の背後に急接近するなり…。敵兵の背中にポンッと接触したのである。 「なっ!?貴様一瞬で!?」 「えっ!?一体何が!?」 敵兵とクリスティーヌは彼女のハイスピードを直視…。驚愕したのである。 「貴様…怪物なのか!?」 「私を怪物なんて…失礼しちゃうわね…私は普通の人間よ…」 刀剣で敵兵を斬撃…。瞬殺したのである。 「ぐっ!」 斬殺された敵兵はグッタリと横たわる。戦慄するクリスティーヌであるもの…。小柄の女性を凝視した直後である。 「えっ…あんたって…」 彼女にとって非常に衝撃的であり全身がプルプルと身震いする。 「ひょっとしてアルセイス…アルセイスなの!?」 赤色のロングドレスと茶髪のストレートロングと金剛石のイヤリング…。赤色の口紅と紅色のレッドアイズから彼女が同年齢のアルセイスであると再認識したのである。クリスティーヌにとっては非常にギスギスした雰囲気であったものの…。アルセイスは笑顔で微笑む。 「久し振りね♪クリスティーヌちゃん♪大丈夫?」 笑顔のアルセイスに一安心したのかクリスティーヌは内心ホッとしたのである。 (アルセイス…) すると涙腺から涙が零れ落ちる。 「アルセイス…私は女学園時代に…あんたを…本当に御免なさいね…」 「クリスティーヌちゃん…気にしないで♪」 アルセイスは特段気にならなかった様子である。 「所詮大昔の出来事だし…」 「アルセイス…」 (アルセイスは人一倍大らかなのね…) クリスティーヌは大らかなアルセイスに感心する。 (アルセイスの先程の身動きは人外だったわ…女学園時代では勉学は勿論…運動さえも人一倍苦手だった彼女が如何して?) クリスティーヌは恐る恐るアルセイスに問い掛ける。 「先程のアルセイスの身動きは常人とは桁違いだったけど…ひょっとしてあんたはドーピングしたの?」 「ドーピングって…」 ドーピングの一言にアルセイスはプスッと苦笑いする。 「正直私にも何が何やらサッパリなのよ♪」 アルセイス自身も如何してこんなにも規格外にパワーアップしたのか正直不明だったのである。 「五月十七日事件の数日後かしら?全身の違和感を自覚し始めたのよね…」 「違和感ですって?」 「外傷が一瞬で治癒するとか…超音速で移動出来るとか…」 非常に曖昧であり正直クリスティーヌは理解出来ない。 「五月十七日事件って…イーストサイドに在住した人間達は無数の肉片と血液に変化したみたいだけど…事件当日アルセイスは?」 アルセイスは即答する。 「当日の私は自宅で休眠中だったのよ…事件当日は体調不良で女学園を欠席しちゃったからね…」 クリスティーヌは驚愕したのである。 「欠席ですって!?」 (アルセイスはイーストサイドで…如何してアルセイスだけが無事なのかしら?) 世間ではイーストサイドの住民達は全滅したとの認識であったが…。如何してアルセイスのみが無事だったのかクリスティーヌは非常に不思議がる。クリスティーヌは恐る恐る質問したのである。 「如何してアルセイスは無事だったの?」 アルセイスは非常に困惑する。 「御免なさい…正直私にも…」 「返答出来なかったら…返答しなくても大丈夫だからね…気にしないで…」 クリスティーヌは無理強いしなかったのである。 「御免なさいね…クリスティーヌちゃん…」 するとアルセイスの表情が険悪化する。 「本題だけどね…私は奴等に復讐するの…」 「えっ?奴等に復讐?」 アルセイスは一息するなり…。 「五月十七日事件はね…レムリア解放軍のテロリスト達は勿論…武装警察隊の革命派の陰謀らしいのよ…」 「えっ…武装警察隊の革命派ですって!?」 クリスティーヌはゾッとする。 「全世界の覇権を牛耳りたいブラッドフォードのレムリア解放軍と…レムリア共和国を牛耳る武装警察隊総本部を陥落させたい武装警察隊の革命派がレムリア解放軍に寝返って…両勢力は一致団結…密集地のイーストサイドをケラウノスって大量破壊兵器で殺戮したのよ…奴等にとって五月十七日事件は単なるデモンストレーションだったのよ…」 「デモンストレーションですって…」 「結局私のパパとママは…奴等のデモンストレーションによって虐殺されたのよ…」 「彼等のデモンストレーションで…アルセイスのパパとママが?」 クリスティーヌは混乱したのである。 「如何してアルセイスが武装警察隊の裏事情を?」 イーストサイド海域にて漂流中だったアルセイスは武装警察隊に救出されてよりサウスサイドの武装警察隊駐屯地にて保全される。駐屯地の密室にて革命派らしき武装警察員達が悪巧みする場面を目撃…。彼等の裏事情を入手したのである。 「私はレムリア解放軍に関係する武装警察隊の革命派と…資産家達の暗殺を決意したのよ…」 クリスティーヌはピクッと反応する。 「ひょっとして最近噂話の暗殺者って…アルセイスだったの!?」 アルセイスは真顔で即答したのである。 「勿論私よ…パパとママを惨たらしく殺した関係者とテロリスト達を私が徹底的に全滅させるの!」 (アルセイス…) 普段は人一倍大人しそうなアルセイスのイメージが大幅に変化する。するとクリスティーヌがボソッと一言…。 「アルセイスも…パパとママが殺されちゃったのね…」 「ひょっとしてクリスティーヌちゃんも?」 「私もパパとママがイーストサイドで殺されたのよ…私が修道女として活動し始めたのはパパとママの死去が契機だからね…勿論女学園時代に悪友達と一緒にアルセイスを揶揄したのも一因だけれども…」 「クリスティーヌちゃん…」 「こんな私に唯一出来るのは…五月十七日事件で死去された犠牲者達のレクイエムかしらね…」 「クリスティーヌちゃんは私とは真逆だね…えっ!?」 「アルセイス?」 アルセイスは警戒するなり周囲をキョロキョロさせる。警戒するアルセイスにクリスティーヌは非常に不安がる。 「レムリア解放軍の軍勢がサウスサイドに進行中だからね…奴等によってサウスサイドが占拠されるのは時間の問題だわ…」 「サウスサイドも!?」 サウスサイドは唯一の安全地帯として有名であったが本日の真夜中よりレムリア解放軍の軍勢が侵入する。 「勿論…」 レムリアは先程仕留めた敵兵のバズーカ砲をクリスティーヌに手渡したのである。 「私に!?」 「護身用よ…」 「バズーカ砲って…随分物騒ね…」 クリスティーヌはハンドガンの使用も未経験であり内心戦慄する。 「私はハンドガンでさえも未経験なのよ…バズーカ砲なんて…」 「大丈夫よ…『レーザーライフル』だから…」 「レーザーライフル?」 レーザーライフルとは別名光線小銃であり高火力の対人レーザーエネルギーを射出する携帯型高エネルギー兵器である。使用法は非常に単純であり非戦闘員でも容易に扱える。 「クリスティーヌちゃん…早速サウスサイドから脱出しましょう…」 クリスティーヌはビクビクした様子でアルセイスの背中に密着するなり…。恐る恐る教会堂から脱出したのである。レムリア解放軍の総攻撃によってサウスサイド全域が主戦場であり住民達は混乱する。武装警察隊の猛反撃により両陣営の死骸が散乱したのである。今迄平穏だったサウスサイドの変化にクリスティーヌは愕然とする。 「ひょっとしてサウスサイドなの…」 道路上には肉片やら血液が散乱したのである。 「きゃっ!」 遠方からは無数の爆発音が響き渡る。 「クリスティーヌちゃん…サウスサイドから脱出するの…最早サウスサイドは主戦場なのよ…」 不本意であるが…。 「アルセイス…承知したわ…」 すると彼女達が通過中の道路上から隣接する超高層型タワービル屋上より強烈なる殺気を感じる。 「えっ!?」 「アルセイス?」 アルセイスの表情が険悪化する。クリスティーヌはアルセイスの表情を直視するなり戦慄する。 (タワービルから殺気を感じるわ…) アルセイスは超高層型タワービルの屋上から蛍光色の発光体を直視するなり…。超音速で回避する。 「えっ!?一体何が!?」 (アルセイスは!?) クリスティーヌはハッとした表情であり何が発生したのか理解出来なかったのである。アルセイスは超音速で超高層型タワービル屋上へと移動するなり…。数秒間で到達する。タワービルの屋上には一人の狙撃兵が大型のレーザーライフルで道路上の歩行者達を狙撃したのである。狙撃兵は道路上の様子に無我夢中であり背後のアルセイスの存在には気付かない。 「畜生!ターゲットを見失っちまうとは!」 アルセイスは狙撃兵の背中をポンッと接触する。 「はっ?」 「御免あそばせ♪」 アルセイスは笑顔で挨拶したのである。 「なっ!?貴様一体!?」 狙撃兵は一瞬で超高層型タワービルの屋上へと移動したアルセイスに驚愕する。 「グッドナイト♪」 彼女は笑顔で挨拶するものの狙撃兵を斬撃…。 「ぐっ!」 瞬殺する。 「即刻戻らないとクリスティーヌちゃんが心配するわよね…」 アルセイスは一瞬で超高層型タワービルの屋上から道路上へと戻ったのである。 「クリスティーヌちゃん…」 「アルセイス!?」 「邪魔者は排除したわ…」 クリスティーヌはボソッと本音を発言する。 「女学園時代の弱虫だったアルセイスとは別人ね…」 「クリスティーヌちゃん…」 アルセイスは反応に困惑したのか苦笑いしたのである。
第四話
出撃
同時刻…。ウエストサイドのレムリア解放軍総本部では補佐官のルーヴェルハルトが総司令官のブラッドフォードの専用室へと入室したのである。 「失礼します…ブラッドフォード総帥…」 「誰かと思いきや…ルーヴェルハルト補佐官でしたか…一体如何されましたか?」 「サウスサイドですが…数時間で陥落するでしょう…」 「武装警察隊も弱体化しましたね♪」 ブラッドフォードは満足気の表情でニヤリとする。 「ですが気になるのは…」 「何が気になるのですか?」 「サウスサイドの武装警察隊は非常に手薄でして…現時点では彼等の目立った活動は皆無なのです…」 「ひょっとするとノースサイドの武装警察隊総本部に全軍を撤収中なのでしょう…本来なら即刻ケラウノスでノースサイド諸共武装警察隊総本部を死滅させるのが非常に合理的なのですが…」 「ケラウノスですと!?」 ブラッドフォードのケラウノスの一言にルーヴェルハルトはビクッと反応したのである。極度の戦慄により全身がプルプルする。 「大丈夫ですか?ルーヴェルハルト補佐官?」 「失礼しました…」 五月十七日事件は勿論…。第二次世界戦争の惨劇は当事者のルーヴェルハルトにとってもトラウマであり出来れば使用したくないのが本音である。 「ノースサイドには武装警察隊の革命派が潜伏中ですからね…」 ルーヴェルハルトは一安心したのか内心ホッとする。 「武装警察隊とは別問題なのですが…」 「別問題ですって?」 ルーヴェルハルトは恐る恐る室内のホログラムを作動させる。 「彼女は…」 ホログラムにはアルセイスが狙撃兵を斬殺する場面だったのである。 「上空より偵察用のドローンが彼女をキャッチしました…」 ブラッドフォードはピクッと反応する。 (ひょっとして彼女は…) 「実験体の…」 「予想外でしたよ…魔女の血液で常人だった彼女が十五年間でこんなにもパワーアップするなんて…」 「ですが所詮超人化した小娘一人が奮闘したとしてもレムリア解放軍を全滅させるなんて現実的に不可能でしょう…」 ブラッドフォードは余裕の様子であるものの…。ルーヴェルハルトは非常に不安視する。 「ルーヴェルハルト補佐官…空中母艦『スカイベース』を出動させましょう…」 「スカイベースですと!?」 スカイベースとは超弩級空中母艦でありレムリア解放軍の空中拠点型の無人機搭載型空中空母…。ブラッドフォードの財力と科学技術力を融合化させた象徴である。全長は百八十メートル…。全幅は百四十メートルと規格外のサイズであり六十機から二百機程度の艦載機を搭載出来る。兵装は対空用の垂直型ミサイル発射機を四基…。動力炉は最新式のスーパーリアクターでありエネルギー源を補給しなくとも無限に飛行し続けられる。基本的に上空の本拠地として活用されるものの…。海面上の大型水上艦としても活用出来る。本艦の装甲に使用された原材料は特殊超合金『エターナルメタル』であり核爆発をも無力化させる不沈空母である。エターナルメタルとはイーストサイド海底下にて採掘された不朽性のレアメタルであり硬質さのみなら金剛石をも上回る。大量のエターナルメタルが戦闘用に利用されたものの…。近年では民間型の各メーカーでも普及中である。ブラッドフォードがイーストサイドを占拠したのも大量のエターナルメタルを確保したかったからである。 「突撃隊によるノースサイドの武装警察隊総本部を総攻撃…本日でレムリア共和国全域を占拠するのです!」 「承知しました…ブラッドフォード総帥…」 ルーヴェルハルトは敬礼するなり恐る恐る退室する。 「ブラッドフォード総帥は本気だな…」 (世界一の資産家が今夜で全世界を牛耳るかも知れないな…レムリア王国が復活するか?) ルーヴェルハルトは地下壕の格納庫へと移動するなり超弩級空中母艦…。スカイベースを直視したのである。 「一個人の資産家の財力だけで…こんな規格外の代物が建造出来るなんて…」 スカイベースを直視したルーヴェルハルトは驚愕する。
第五話
暴徒達 同時刻…。移動中だったアルセイスとクリスティーヌは無人化したショッピングモールへと潜入したのである。 「休憩しましょう…クリスティーヌちゃん…」 彼女達はショッピングモールで一休みする。 「先程からレムリア解放軍の敵兵と遭遇しないわね…ひょっとして武装警察隊が片付けちゃったのかしら?」 「サウスサイドに配備された武装警察隊は予備隊ばかりよ…」 事実…。サウスサイドに配備された武装警察隊は訓練未経験の予備隊ばかりであり装備品も非常に貧弱である。 「弱腰の予備隊で大勢の志願兵で統率されたレムリア解放軍を撃退するなんて夢物語だわ…何しろ第二次世界戦争で全世界に勝利しちゃった勢力だからね…」 するとアルセイスはポケットから錠剤を入手するなり…。ペットボトルの飲料水で服薬する。 「アルセイス?何を服用したの?」 クリスティーヌは恐る恐る問い掛けたのである。 「単なるラムネよ…気にしないで…」 アルセイスはビクビクした様子で返答する。アルセイスの様子が可笑しいと察知するものの…。 (恐らくアルセイスが服用したのは抗精神病薬ね…) クリスティーヌはアルセイスに詮索しなかったのである。するとアルセイスがボソッと発言する。 「十年前の五月十七日事件から私は…イーストサイドで死滅した犠牲者達のゴーストが私に殺到するのよ…」 「ゴーストですって?」 「私はね…」 アルセイスは幼少期から誰よりも霊能力が非常に根強く超常現象には人一倍敏感である。五月十七日事件から数日後…。彼女は無数のゴーストと遭遇しては抗精神病薬を服用し続ける毎日だったのである。複数の抗精神病薬を服用しても血液を直視する場面に遭遇すると五月十七日事件のトラウマが再現化される。 「あんたも大変なのね…」 するとクリスティーヌの携帯式ホログラムがブルブルと反応したのである。 「えっ?何かしら?」 ポケットから携帯式ホログラムを入手するなり…。 「何よ…」 彼女達はゾッとしたのである。ホログラムの画面には十二月二十五日の首謀者であるブラッドフォードの立体映像が立体的に映写される。 「誰かと思いきや…ブラッドフォード!?」 アルセイスはホログラムに映写されたブラッドフォードを直視するなりピリピリする。同時刻…。レムリア解放軍はサウスサイドの通信社を占拠するなりスカイベース艦内からレムリア共和国全域にてホログラムによるブラッドフォードの演説を生放送で配信したのである。 「レムリア共和国の全国民に伝播します…私はレムリア解放軍総帥のブラッドフォード…世界一の大富豪です!今回私が不本意にもレムリア共和国全域を混乱させたのは生活困窮者達を圧制し続ける武装警察隊総本部を撃滅したいからなのです…私が無事にレムリア共和国の主導権を掌握すればレムリア共和国の全国民の生活を保障しますから!是非とも私に協力して下さい!私と一緒にノースサイドの武装警察隊総本部を殲滅しましょう!」 するとプチッと配信が遮断される。先程のブラッドフォードの演説にアルセイスがボソッと一言…。 「所詮テロリストの分際で何が全国民の生活を保障するよ…私のパパとママを惨殺した極悪非道の殺人鬼が…」 無表情だったアルセイスの表情が鬼神の表情へと変化する。 「アルセイス!?」 クリスティーヌはアルセイスの表情を直視するなり戦慄したのである。 「アルセイス…」 「何よ…クリスティーヌちゃん?」 クリスティーヌはビクビクした表情で…。 「ジュースでも如何かなって?私が購入するから…」 クリスティーヌは即座にフードコートの自販機へと移動する。 「クリスティーヌちゃん…随分ビクビクした様子だったけれども…」 (何にビクビクしたのかしら?) アルセイスは理解出来なかった様子である。同時刻…。クリスティーヌは自販機にてグレープジュースとオレンジジュースを購入する。戻ろうかと思いきや…。 「えっ?」 (こんな場所に親子かしら?) フードコートにて幼女を抱き抱える女性が気になったのかクリスティーヌは恐る恐る近寄る。 「大丈夫ですか?私達と一緒に脱出しませんか?」 女性の様子は非常に不可解でありクリスティーヌが近寄ってもテーブルを凝視し続ける状態で恐る恐る問い掛けるクリスティーヌには無関心である。クリスティーヌはムッとするものの恐る恐る幼女を直視するなり…。彼女は戦慄したのである。 「きゃっ!」 (下半身が…) 幼女を凝視すると下半身が消失した状態であり女性の足場にはポトポトと鮮血が流れ出る。すると女性が無表情でクリスティーヌを凝視したのである。 「如何して…私の愛娘は目覚めないの?」 無表情だった女性は涙腺から涙が零れ落ちる。 「如何して目覚めないのよ…」 クリスティーヌは恐る恐る返答する。 「如何してって…あんたの愛娘は下半身が…」 すると直後…。 「あんたが…あんたが私の愛娘を殺したのね!?」 「えっ!?私は何も!」 豹変した女性に戦慄する。 (えっ!?此奴…サイコパス!?) 女性は右手にテーブルナイフを所持…。 「あんたが…あんたが私の…」 スタスタとクリスティーヌに近寄る。クリスティーヌは一歩ずつ後退りする。 (畜生…如何すれば…) クリスティーヌは恐怖心により全身がプルプルしたのである。 「死になさい!」 テーブルナイフでクリスティーヌを斬撃する寸前である。 「クリスティーヌちゃん!」 猛スピードでアルセイスが殺到するなり…。即座に刀剣で女性の所持するテーブルナイフを屈折させる。 「あんた!クリスティーヌちゃんに何するのよ!?」 「アルセイス!?」 女性はアルセイスの目力により後退りしたのである。 「彼女は…私の愛娘を…」 アルセイスは反論する。 「彼女は無関係よ…あんたの愛娘が誰に殺されたのかは不明だけどね…無関係のクリスティーヌちゃんに手出しするなら…私は手加減しないからね…」 「アルセイス…」 (アルセイスが恋人だったら見惚れるかも♪) クリスティーヌは一瞬アルセイスに見惚れる。女性は涙腺から涙が零れ落ちる。 「御免なさい!御免なさいね…」 女性はクリスティーヌに謝罪したのである。 「私は…別に…」 クリスティーヌは困惑する。数分後…。女性は平常心に戻ったのである。 「私の愛娘は…テログループに殺されたのよ…」 「テログループですって?」 「ブラッドフォードのレムリア解放軍ね…」 「私は…」 女性は逃走中にてレムリア解放軍の兵士達に拘束され…。親子諸共暴行されたのである。彼等は面白がった様子であり全身を暴行された愛娘にレーザーライフルで下半身を狙撃…。愛娘を即死させたのである。目前にて愛娘を惨殺された悲痛さから…。自暴自棄によって部外者であるクリスティーヌに斬撃しそうになったのである。 「レムリア解放軍は極悪非道ね…」 「本当に御免なさいね…私は…」 女性はクリスティーヌに謝罪する。クリスティーヌは笑顔で返答したのである。 「気にしないで下さい♪娘さんが亡くなられたのは大変心苦しいかも知れませんが…即刻避難所に避難して下さい…天国の娘さんも母親である貴女様の無事を希望されますよ…」 女性の顔色が変化する。 「感謝しますね…」 クリスティーヌは一安心したのかホッとしたのである。すると無口だったアルセイスが発言する。 「私達は移動するわね…」 「移動ですって?目的地は?」 女性は恐る恐る質問したのである。アルセイスは即答する。 「ノースサイドよ…武装警察隊総本部にブラッドフォードのレムリア解放軍が進行中らしいから…」 すると女性はポケットからスカイカーのスマートエントリーを入手するなりアルセイスに手渡したのである。 「何かしら?」 「私のスカイカーのスマートエントリーです…役立つかなと…」 クリスティーヌが恐る恐る…。 「スマートエントリーって…貴女様のスカイカーですよね!?私達が乗車しても大丈夫なのですか?」 女性は即答する。 「大丈夫ですよ♪私は一人なのでスカイカーは不要です…」 「であれば頂戴するわね…」 「私も出来るなら協力したいけれども…私では足手纏いですからね…」 「承知したわ…あんたのスカイカーは?」 「ショッピングモールの駐車場よ…銀色のスカイカーよ…」 「感謝するわ♪クリスティーヌちゃん!早速移動しましょう!」 「勿論よ!」 彼女達は即刻ショッピングモールの駐車場へと移動する。アルセイスは銀色のスカイカーへと近寄るなりスマートエントリーを作動させる。数秒後…。ピカッとスカイカーのヘッドライトが点滅したのである。 「彼女のスカイカーね♪人騒がせな母親だったけれど…彼女に遭遇してラッキーだったわね♪」 「ラッキーなのかな?」 クリスティーヌは苦笑いする。するとアルセイスはボソッとクリスティーヌに質問したのである。 「クリスティーヌちゃんはスカイカーの運転免許証は?」 「私が無免許だとでも?」 クリスティーヌは断言する。アルセイスは笑顔でクリスティーヌにスマートエントリーを手渡したのである。 「何よ…アルセイス?」 「私は無免許だから…運転してよ♪」 「はっ?あんたは無免許だったの!?」 クリスティーヌはポカンとした表情で呆れ果てる。 「御免あそばせ♪」 アルセイスは笑顔で謝罪したのである。 (仕方ないわね…) 「承知したわ…私が運転するから…」 クリスティーヌは承諾したのである。すると近辺からガヤガヤと人間達の怒号が響き渡る。 「えっ?何かしら?」 気になったアルセイスは怒号の響き渡る現場へと移動したのである。 「アルセイス!?」 (彼女は本当にマイペースね…) クリスティーヌはマイペースのアルセイスに困惑するものの…。恐る恐るアルセイスに追尾する。近辺の道路上には横たわった一人の武装警察員に暴徒化した五人組の青少年達がサンドバッグしたのである。 「愚連隊かしら?」 武装警察員は全身血塗れであり即死した状態であるものの…。青少年達は面白がった様子で横たわる武装警察員を暴行し続ける。残虐非道の彼等にクリスティーヌは勿論…。アルセイスもハッとした表情で愕然とする。クリスティーヌは恐る恐る…。 「あんた達!大勢で暴行するなんて下劣だわ…」 彼等はギロッとした目力でクリスティーヌを睥睨する。 「部外者は口出しするな!姉ちゃんも殺されたいか?」 「俺達はレムリア共和国のレジスタンスだからな!全国民を圧制する武装警察隊を撃退するのがレジスタンスである俺達の任務なのさ♪」 「俺達の任務を妨害するなら姉ちゃん達も惨殺するよ…」 アルセイスは一息するなり…。 「何が任務よ…あんた達はブラッドフォードの演説にマインドコントロールされたのね…気の毒に…」 ブラッドフォードの演説によって武装警察隊を敵対視する人間が続出したのである。暴力団は勿論…。失業者やら生活困窮者達も武装化するなり暴徒化したのである。最早レムリア共和国全域が無警察状態であり国全体がスラム化する。アルセイスとクリスティーヌは暴徒化した青少年達に包囲される。 (畜生…如何すれば…) クリスティーヌは戦慄したのか隣接するアルセイスに密着したのである。 「茶髪の姉ちゃんは大人しそうで可愛らしいな♪」 彼等はアルセイスに見惚れるものの…。アルセイスは無表情で断言する。 「あんた達みたいな愚連隊はノーサンキューだわ…」 即座に抜刀したのである。 (こんな雑魚なら数人相手でも楽勝ね…) 「私に斬殺されたいのは誰かしら?」 強気のアルセイスに彼等はポカンとする。 「一人で俺達を斬殺するのか?」 「俺達を軽蔑しやがって…姉ちゃん一人で何が出来る?」 「多勢に無勢だよ♪装備品も刀剣だけだし…」 彼等の装備品は旧型のハンドガンやら軍事用のクロスボウである。刀剣のみでは圧倒的に不利であるが…。アルセイスは余裕の様子であり平常心である。 「あんた達を瞬殺する…」 「俺達を瞬殺するって…寝惚けやがったか?」 彼等は余裕の様子であるものの…。直後である。アルセイスは超音速で移動するなり愚連隊の一人を斬撃…。頭首を斬首したのである。一瞬の出来事により愚連隊の四人は勿論…。クリスティーヌも愕然とする。 「ひっ!」 「本当に瞬殺しやがった…」 「人間のスピードなのか…」 先程は余裕だった愚連隊であるがアルセイスの超人化したハイスピードを直視するなり戦慄したのである。 「私は有言実行だからね…今度は誰が私に殺されたいのかしら?」 無表情のアルセイスに四人はプルプルする。恐る恐るハンドガンで彼女に射撃するもののピキンと弾丸を一刀両断…。 「弾丸が…」 「斬鉄剣かよ…」 「私の刀剣はエターナルメタルなのよ…大抵の金属は簡単に両断出来るわ…」 アルセイスの刀剣はエターナルメタルで製造された代物であり正真正銘斬鉄剣である。あらゆる物体を切断出来る。 「あんたは…人間なのか!?」 アルセイスは即答する。 「勿論私は人間よ…」 「うわっ!殺されちまうよ!」 アルセイスの目力に戦慄したのか彼等は一目散に逃走したのである。 「所詮はヘタレだわ…」 「撃退出来たわね…アルセイス♪」 クリスティーヌは一安心したのかホッとする。するとアルセイスはポケットからペットボトルの飲料水と抗精神病薬を入手するなり服用したのである。 「アルセイス…大丈夫?」 「御免なさい…」 アルセイスは無表情であるものの…。全身がプルプルする。 (アルセイスも戦慄したのね…) 「クリスティーヌちゃん…早速ノースサイドに移動しましょう…」 「承知したわ…」 彼女達はショッピングモールの駐車場へと戻ったのである。スマートエントリーを作動させるなりスカイカーへと乗車する。クリスティーヌは運転席…。アルセイスは助手席に乗車するなりシートベルトを着用する。 「移動するわよ…」 スカイカーは目的地のノースサイドへと直行したのである。
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