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日時: 2026/07/29 20:17
名前: 黒狼武者 ID:eSd4Sxzo

>>1

第一話

隕石
太平洋の中央には小大陸〔エルピスコロニア〕と呼称される辺境の絶島が存在する。此処は自然が豊富であり大勢の原住民達が安住したのである。世界暦五千七百二十一年六月中旬の時期…。小大陸エルピスコロニアでの出来事である。島内の中心部に聳え立つ最高峰ギガントロックの頂上にて一人の青年が広大無辺の青空を眺望する。
『やっぱり此処は長閑だな…』
地上は大戦争によって世界各地の彼方此方が荒廃化したのである。世界全体は空前絶後の大混乱期であったが…。文明やら科学技術とは無縁のエルピスコロニアだけは平和だったのである。
『宇宙の彼方には何が存在するのかな?』
青年の名前は【ストレイダス】…。体格は男性としては比較的小柄であり頭髪が黒髪なのが特徴的である。年齢は二十九歳であるが…。常日頃から自由自在に広大無辺の大空を浮遊したいと夢見る。
『俺も鳥類みたいに大空を飛行したいな…』
ストレイダスは村落一番の力自慢であり力仕事のみなら彼に拮抗する人物は存在しない。上記の理由により次期村長候補に任命されるのだが彼自身は非常に大雑把であり面倒に感じる。
『北方地帯に戻らないと村長の野郎が口煩いからな…』
生真面目の村長とは性格が不一致であり落胆したのである。
「はぁ…」
ストレイダスが一息した直後…。
「ん?」
突如として頭上から轟音が響き渡る。
『轟音か?』
ストレイダスは恐る恐る上空を直視したのである。
「えっ…」
上空の光景に絶句…。脳内が白色化したのである。
『一体何が!?』
上空には三十センチメートルサイズの隕石が超高速で急接近…。対するストレイダスは目前の光景に絶句する。
『隕石なのか!?』
上空の物体が小型の隕石であると認識した直後…。小型の隕石はギガントロックの頂上へと落下したのである。小型隕石の爆発音は近辺の村落は勿論…。エルピスコロニア全域へと響き渡ったのである。
「うわっ!」
ストレイダスの現在地は小型隕石の落下地点から数メートル程度の近距離とされ…。爆風と衝撃波が彼を強襲したのである。ストレイダスは隕石の落下地点から十数メートル程度吹っ飛ばされ…。
「ぐっ!」
全身が地面に激突する。
「ぐっ…」
『畜生が…』
ストレイダスは地面の激突により全身を骨折したのである。
『身動き出来ないか…』
全身の苦痛により身動き出来なくなる。
「はぁ…」
すると目前の視界が黒化し始め…。
『俺は…こんな場所で死んじまうのか?』
次第に意識が遠退き始める。
『正直…もう少しだけ…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟したのである。
『もう少しだけでも…長生きしたかったな…』
数秒間が経過…。ストレイダスの意識が消失したのである。

第二話

治癒
最高峰ギガントロックの頂上へと落下した小型の隕石はエルピスコロニア全域へと響き渡る。
「一体何が…」
「轟音は…頂上からだったよな?」
登山中の二人の村民達は畏怖するも頂上へと移動したのである。
「うわっ…」
「クレーターか…一体如何してこんな状態に?」
頂上の光景に驚愕する。頂上には直径二十メートル前後のクレーターが形作られ…。クレーターの中心部には三十センチメートルサイズの岩石が確認出来る。
「此奴は隕石なのか?」
「ん!?誰だ!?」
クレーターの近辺にて地面に横たわった状態の怪我人を発見する。
「怪我人だぞ!大丈夫か!?」
怪我人は小柄の成人男性だったのである。上半身は血塗れ…。全身の衣服はボロボロであり瀕死の状態だったのである。
「隕石で吹っ飛ばされたのか?」
「不運だったな…こんな状態では…」
生存は絶望的であり二人は瀕死の成人男性を気の毒に感じる。すると直後…。
「えっ…」
「現実なのか?」
成人男性は瀕死の状態であったが突如として全身の外傷が治癒し始める。外傷は数秒間で完治…。成人男性は目覚めたのである。
「うっ!俺は…死んじまったのか?此処は天国なのか?」
成人男性は記憶が曖昧なのか周囲をキョロキョロさせる。
「誰かと思いきや…あんたは力自慢のストレイダス!?」
「大丈夫なのかよ!?」
成人男性は誰であろう力自慢のストレイダスだったのである。
「えっ?大丈夫そうだが…」
ストレイダスは自身の全身を確認すると絶句し始める。
『衣服がボロボロだな…上着は血塗れだし…』
鮮血により白色の上着が赤化したのである。
「戻って入浴しないと…」
ストレイダスが歩行する直前…。
「ストレイダス?歩いて大丈夫なのか?」
「血塗れだし…」
二人の村民達はストレイダスを心配する。
「大丈夫だよ…外傷は無さそうだし手足はピンピンに動けるからさ…」
ストレイダスはピンピンした様子であり下山したのである。
「ストレイダス…本当に元気だな…」
「彼奴は不死身なのか?」
小柄の村民が恐る恐る…。
「先程のストレイダスの治癒力…異常だったよな?全身血塗れの状態だったのに…数秒間で治癒するなんて…」
すると大柄の村民も小声で発言する。
「ストレイダスは人一倍元気だけど…普通は失血死しても可笑しくないよ…彼奴は如何しちまったのやら…ストレイダスは本当に不死身だったのか?」
ストレイダスは幼少期から免疫力は人一倍根強く怪我も一日で治癒したのである。二人の村民達はストレイダスの様子に愕然とする。

第三話

次期村長候補
同日の夕方…。ストレイダスは自宅でゴロゴロする。
「はぁ…」
『今日は草臥れたぜ…隕石で吹っ飛ばされるなんて予想外だな…』
すると誰かがコンコンッと自宅のドアをノックしたのである。
「ん?こんな時間帯に誰だろう?」
ストレイダスは玄関へと移動するとドアを開放させる。
「ストレイダスよ…体調は如何なのだ?」
「えっ…村長!?」
訪問者は村長のウィルフィールドでありストレイダスは驚愕する。
「村民達の噂話では隕石で吹っ飛ばされたとか…其方は大丈夫なのか?」
ウィルフィールドはストレイダスの状態を心配したのである。
「俺なら大丈夫ですよ♪俺は肉体だけなら人一倍頑丈なので石ころなんかで死にませんよ!村長は心配性ですね♪」
ストレイダスは自負する。
「ストレイダスが元気なのは周知の事実だが…無理するなよ…何たって其方は次期村長候補なのだからな…」
「えっ?はぁ…」
ストレイダスは次期村長候補の発言に苦笑いしたのである。
『やっぱり村長の口癖は面倒臭いな…次期村長なんて御免だよ…』
彼にとってウィルフィールドの口癖はストレスに感じる。するとウィルフィールドは小声で…。
「偶然にも…天空世界から隕石が落下するとは…恐らく今後…世界各地で天変地異が発生するかも知れないな…」
「天変地異ですって?」
ストレイダスはウィルフィールドの小声に反応したのである。
「近頃…感じるのだよ…」
時たまであるが…。ウィルフィールドは未来を予知出来る。契機としては幼少期の海水浴で事故に遭遇…。海中に溺れ掛けるも両親に救助されたのである。事故から数日後…。未来の出来事を予見出来る能力が発現したのである。
「村長?一体…世界では何が発生するのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「非常に曖昧かも知れないが…世界各地に怪物らしき巨体が暴れ回り…各国は停戦するだろう…」
「えっ…停戦ですって!?」
今現在世界各国は経済の不景気により戦争中である。世界各地の彼方此方が戦争の影響で荒廃化…。戦争による被害は拡大化する。
「怪物を相手に奮闘中の戦士らしき存在も認識出来たのだ…ひょっとして世界の救世主だろうか?」
「怪物と…戦士ですって?」
ウィルフィールドの表現は非常に曖昧であり現実味は皆無である。
『本当に曖昧だな…怪物とか戦士って何だろう?』
一方のストレイダスは内心珍粉漢粉であり苦笑いする。
「少なくとも世界全体で異変が発生するのは事実だろう…」
数秒間が経過するとウィルフィールドは自宅へと戻ったのである。
「世界全体で天変地異なんて…」
『本当に発生するのかな?巨体の怪物とか…世界の救世主とか…古代の神話みたいな内容だよな…』
先程のウィルフィールドの発言は非現実的であり大昔の神話みたいに感じられる。

第四話

停戦
隕石事故から半年後の十二月中旬の時期である。世界各国は依然として戦争中であったが…。十二月が経過した時期から海中より正体不明の移動物体の目撃情報が世界各地に伝播したのである。同年の十二月十三日…。とある大国の大型潜水艦が正体不明の巨大移動物体と衝突する大事故が発生したのである。大型潜水艦は沈没こそ免れたが…。艦体は大破したのである。正体不明の巨大移動物体による大型潜水艦の衝突事故から二日後…。今度は別の国軍の艦隊が作戦行動中に正体不明の巨大移動物体と遭遇する。魚類らしき背鰭と尾鰭が確認出来…。正体不明の巨大移動物体は全長数十メートル規模の魚類であると判明したのである。艦隊は回避行動を開始するのだが…。一隻のミサイル艦が魚類らしき移動物体と衝突したのである。巨大移動物体と衝突した影響によりミサイル艦は沈没…。艦隊は即座に対潜戦闘を開始するのだが巨大移動物体は想像以上に高速であり行方を見失ったのである。以後も各海域で各種船舶が魚類らしき巨大移動物体と遭遇…。場合によっては衝突する事故が多発したのである。一連の超常現象から月日が経過…。世界暦五千七百二十二年五月七日未明の出来事である。午前八時半…。
「各国の停戦って本当なのかよ!?」
「えっ…長期化した戦闘がこんなにもピタッと停戦するなんて…」
各国間の停戦の情報は辺境のエルピスコロニア全域にも知れ渡ったのである。エルピスコロニアは各国の停戦の動向により各村落が騒然とする。
「開戦から七年以上経過したけれど…各国が停戦するとは何が契機で?」
各村落は突然の朗報により騒然としたものの…。大勢の村民達は各国の停戦にホッとしたのである。すると一人の村民が恐る恐る…。
「各国が停戦した理由だけど…如何やら規格外の怪物が戦場に出現したらしいぞ…」
「えっ!?規格外の怪物だって!?」
周囲の者達は怪物の一言に反応する。
「世界各地の戦場で巨体の怪物が何体も出現したらしいぞ…」
各国が戦争中に規格外の巨大不明生物の出現で各国軍の損害が増大化したのである。対する各国軍も通常兵器で巨大不明生物に応戦するのだが…。巨大不明生物には各国軍の如何なる兵器も通用しなかったのである。各国の首脳陣は巨大不明生物の出現により停戦を決行…。各国軍は巨大不明生物の排除を優先したのである。
「非現実的だな…怪物の出現なんて本当なのかよ?」
「怪物の出現で終戦なんて皮肉だよな…」
「本当に怪物が出現するなんて…村落に出現しないか心配だよ…」
「やっぱりウィルフィールド村長の未来予知は本当だったのか…」
大半の者達がウィルフィールドの予言を単なる妄言程度の認識であったが…。今回の超常現象から怪物の存在を確信したのである。
『怪物か…やっぱり村長の予言は本当だったな…』
村道を通り掛かったストレイダスは村民達の噂話を盗み聞きする。
『村長の予言では地球上に救世主が出現するらしいけれど…一体誰なのかな?』
ストレイダスは救世主の存在が何者なのか気になったのである。

第五話

恐竜型
全世界各国の停戦表明から五日後の深夜帯…。エルピスコロニア北方地帯での出来事である。村民達はスヤスヤと睡眠中だったのだが…。突如として北方の海岸から爆発音と猛獣らしき咆哮が北方地帯全域に響き渡ったのである。
「うわっ!」
一方のストレイダスは自宅の寝室にて熟睡中であったが…。突然の爆発音と猛獣らしき轟音により飛び起きたのである。
『一体何が!?』
今度は大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。気になったストレイダスは恐る恐る外部へと移動したのである。大勢の村民達が村道を逃走…。反対方向から弓矢を装備した義勇兵達が総動員で海岸へと急行中だったのである。
「えっ…」
ストレイダスは外部の光景に愕然とする。
『前代未聞の光景だな…』
ストレイダスは村道へと移動…。義勇兵達に追尾したのである。移動中…。再度爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡る。
『咆哮だ…海岸には何が出撃したのかな?』
義勇兵達を追尾してより数分後…。ストレイダスは海岸へと到達したのである。
「なっ!?」
ストレイダスは海岸の光景に驚愕…。現実の出来事なのか理解出来なくなる。
『此奴は…恐竜なのか!?』
海岸の砂浜には体高十二メートル前後の恐竜らしき怪物が直立…。全身が凸凹の岩石らしき皮膚が特徴的である。
「狼狽えるな!此処で怪物を仕留めろ!」
義勇兵の部隊長が攻撃を指示…。数十本もの毒矢が発射されたのである。多数の毒矢が怪物の皮膚に命中するのだが…。
「畜生…ビクともしないな…」
怪物の皮膚は岩石みたいに硬質であり毒矢は非力だったのである。
「部隊長殿…駄目です…」
「こんな装備では…」
周囲の義勇兵達は毒矢が通用しない怪物に畏怖し始め…。絶望する。現実問題としてエルピスコロニアは外界の科学技術とは無縁の排他的社会である。当然として科学技術は未発達であり外界では主流とされる近代的装備は皆無…。武器は時代錯誤の棍棒やら弓矢が関の山だったのである。
「駄目だ!此処で怪物を仕留めなければ村落が壊滅するのだぞ!」
部隊長は怒号するのだが…。
「怪物が!?」
直後である。恐竜型の怪物が口部を開口し始め…。口内から高熱の火球を放射したのである。
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
火球は義勇兵達に直撃…。彼等の肉片が一瞬で炭化したのである。海岸の砂浜には炭化した義勇兵達の肉片が彼方此方に散乱する。
「えっ…」
ストレイダスは彼等の惨劇に恐怖したのである。一方恐竜型の怪物がストレイダスの方向を直視し始め…。ギロリと睥睨したのである。
「ひっ!」
ストレイダスは極度の恐怖心により身動き出来なくなる。
『畜生…逃げたいのに逃げられない…』
すると恐竜型の怪物は再度口部を開口…。ストレイダスを標的に口内から高熱の火球を放射したのである。
「はぁ…」
『今日が…俺の命日か…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟する。

第六話

協力者
ストレイダスは火球に直撃…。意識が消失したのである。火球が直撃してより時間が経過…。
「ん?えっ…此処は?」
ストレイダスはとある密室にて目覚める。
『俺は恐竜みたいな怪物に遭遇してから殺されて…此処は死後の世界なのか?』
ストレイダスは周囲をキョロキョロさせる。すると目前のドアが開放され…。背広姿の男性が入室する。
「目覚められましたか…ストレイダス様…」
背広姿の男性は頭髪が金髪…。瞳孔は碧眼であり大柄の白人男性だったのである。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは状況が理解出来ず返答に困惑する。
『誰だろう?天使なのか?姿形だけなら人間みたいだな…』
目前の白人男性が天使なのか思考したのである。
「私の名前は【フィルドルク】です♪突然の出来事なので貴方が理解出来ないのは当然でしょう♪」
フィルドルクと名乗る白人男性は満面の笑顔で発言する。一方のストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「俺は怪物に殺されて…此処は死後の世界の天国ですか?貴方は天使ですか?」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けにクスクスと微笑し始める。
「こんなにも連続的に超自然的現象と遭遇すれば混乱するでしょうね♪此処は潜水艇の内部ですよ♪天国とは無縁の世界です♪」
「潜水艇の…内部?」
「貴方は正真正銘完全なる生者なのですから♪」
「えっ…俺が…生者ですって!?」
『俺は怪物の火球で吹っ飛ばされたのに…命拾い出来たのか!?』
ストレイダスは自身が生者である事実に驚愕し始め…。再度混乱したのである。
「貴方は地上の怪物と遭遇してから…」
ストレイダスは先程の恐竜型の怪物に攻撃され…。海面上へと吹っ飛ばされたのである。一方のフィルドルクは潜水艇で航行中…。暗闇の海中にてストレイダスを発見したのである。
「俺は貴方に救助されたのですね…感謝します…」
ストレイダスは命拾い出来…。フィルドルクに感謝したのである。
「私の正体は民間の宇宙開発企業の社長とでも♪当然として貴方の協力者なのは断言出来ますが♪」
「えっ…宇宙?開発企業の…社長?」
『俺の協力者だって?失礼かも知れないけれど…』
ストレイダスはフィルドルクに警戒する。
『正直胡散臭い雰囲気だな…』
フィルドルクは見ず知らずの人物であり内心胡散臭いと感じる。
「貴方が俺を此処に移送したのですか?」
「無論ですね♪」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。
「貴方は唯一無二の地球の救世主なのですから♪ストレイダス様が死去されたら一体誰が地球を守護されるのでしょうか?」
「俺が…地球の救世主ですって?」
「貴方は去年の六月頃…隕石で大怪我されたでしょう?私は後日…隕石の落下地点で落下した隕石と…貴方の血液を入手したのですよ♪」
去年の六月…。隕石の落下を察知したフィルドルクは単独調査を目的にエルピスコロニアへと上陸したのである。最高峰のギガントロック頂上にて隕石とストレイダスの血液を入手…。独自で隕石の詳細とストレイダスの血液を調査したのである。
「調査の結果…世紀の大発見ですよ♪人類の歴史が変化するでしょうね♪」
フィルドルクは大喜びする。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは珍粉漢粉であり再度苦笑いしたのである。
「ギガントロックに落下した隕石はペストロと命名される深宇宙の特殊性物質なのですよ♪」
「ペストロ?」
ストレイダスは専門用語に困惑する。
「ペストロは惑星の爆発によって発生する物質なのですよ♪恐らく辺境の宙域で惑星が爆発したのでしょう…」
特定の惑星の爆発によってペストロと呼称される特殊性の物質が発生…。隕石として地球上に落下したのである。
「ですがペストロって物質と落下地点の血液が如何したのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「隕石の落下地点の血液を調査した結果…ペストロの物質が検出されたのです…今現在のストレイダス様の血液と一致したのですよ…」
フィルドルクはストレイダスの身体髪膚を検査した結果…。ストレイダスの血液がギガントロックで発見した血液と一致したのである。
「えっ…」
ストレイダスは絶句する。
「今現在の貴方の肉体は常人とは比較出来ない領域へと進化したのです…」
ストレイダスは隕石の影響から全身がペストロの細胞へと変異したのである。
「えっ…進化?」
「貴方は隕石の影響により…細胞レベルで変異したのでしょう…」
ストレイダスは恐る恐る全身の皮膚に接触し始める。皮膚に接触すると筋肉が金属類みたいに硬質だったのである。
「実際ストレイダス様は怪物に攻撃されても死にませんでした…貴方の生命力が超越的だと証明されたのです♪」
フィルドルクは満面の笑顔で銀色の密着性の全身スーツ…。携帯型の電子機器を手渡したのである。
「全身タイツと…小箱みたいな小道具ですね…一体何でしょうか?」
エルピスコロニアでは文明社会の電子機器が出回らずストレイダスは携帯型の電子機器に興味深くなる。
「本日より貴方はペストロの超人…【ペストロマン】なのです♪」
フィルドルクはストレイダスをペストロマンと命名する。
「ペストロマン!?」
「今現在の貴方であれば先程の怪物と互角以上に接戦出来るでしょう♪貴方は地球上で最強の戦士なのですから♪」
ストレイダスはフィルドルクの発言に動揺し始める。
「フィルドルクさん!無茶ですよ!先程の恐竜みたいな怪物に…真正面から接戦なんて正気ですか!?」
「ストレイダス様は心配性ですね♪」
対するフィルドルクは動揺し続けるストレイダスに断言する。
「心配しなくてもストレイダス様のデータを計算した結果…今現在の貴方はペストロの効果によって常人の三百人分のパワーは発揮出来ましょう♪」
「三百人分って…」
『大袈裟だし…胡散臭いな…』
フィルドルクの発言が信用出来なかったのである。
「先程貴方に手渡した必須アイテムですが…一つ目はペストロマンが着用するので〔ペストロスーツ〕とでも命名しましょうか♪」
ペストロスーツは宇宙で発見された特殊繊維で製造…。密着性の全身スーツである。本来は宇宙空間での活用を目的に製造された代物とされ…。太陽型の恒星内部でも活動出来るとされる。
「二つ目のアイテムは怪物を発見するのに必須の〔ハイパーセンサー〕です♪」
ハイパーセンサーとは近年発生した巨大未確認不明生物の出現に対応する目的で開発された代物である。地球上であれば巨大未確認不明生物があらゆる場所に出現しても生体反応を正確にキャッチ出来…。瞬時に出現地点を特定出来る。
「当然としてペストロスーツとハイパーセンサーは無料で提供しますからね♪」
すると直後…。ハイパーセンサーの中心部のレンズが点滅したのである。
「うわっ!中心の硝子が点滅した!?」
ストレイダスは突然のハイパーセンサーの点滅に驚愕する。
「如何やらハイパーセンサーが怪物の生体の居場所をキャッチしたみたいですね♪」
「一体如何すれば…」
ストレイダスは困惑したのである。
「貴方が出動する以外に選択肢は存在しません…早速ストレイダス様は怪物を退治するべきかと…」
フィルドルクは携帯型のホログラム装置を作動させる。
「えっ…一体何が!?」
ストレイダスはホログラム装置に反応したのである。するとホログラム装置の上部にて立体化された恐竜型の怪物が映写される。
「怪物だ…」
恐竜型の怪物は村里を襲撃…。大勢の村民達が逃亡する光景がホログラム装置から鮮明に確認出来る。
「ストレイダス様…此処で長居し続ければ村落の被害が拡大する一方ですよ…」
ストレイダスは両目を瞑目し始め…。沈黙したのである。
『一か八かだな…』
一息する。
「承知しました…俺は…怪物を退治しますよ…」
ストレイダスは決意したのである。
「ストレイダス様♪決断されたのですね♪」
フィルドルクはストレイダスの決意に大喜びする。一方のストレイダスはペストロスーツを凝視し続ける。
『神話の…英雄みたいな衣装だけど…』
ペストロスーツの着用には抵抗を感じるのだが…。
『止むを得ないな…』
ストレイダスはペストロスーツを着用したのである。数分後…。
「少しだけチクチクしますが…やっぱり動き易いですね…」
ペストロスーツは全身にフィット…。全体的に動き易いと感じる。
「ですがやっぱりストレイダス様は屈強の体格ですね…」
ストレイダスは全体的に筋肉質であり余計に屈強さが際立ったのである。
「実際俺は村里では一番の力自慢ですからね…」
「であれば怪物相手でも大丈夫でしょう♪」
ストレイダスは恐る恐る…。
「早速此処から脱出したいのですが…一体如何すれば?」
「心配しなくても大丈夫ですよ♪ストレイダス様♪」
フィルドルクはストレイダスをとある密室へと案内したのである。
「床下の装置は…何ですか?」
床下には円形の装置が確認出来る。
「床下の装置は最新型のテレポート装置ですよ♪円内であればあらゆる物体を目的地にワープさせられます♪」
密室の装置はオーバーテクノロジーによって開発されたテレポート装置である。円形の内部に特定の物体を設置…。目的地を設定すると数秒間で物体をワープさせられる。

第七話

開戦
ストレイダスはテレポート装置によって海岸の砂浜へとワープする。
『此処は海岸の砂浜だな…』
先程の出来事を想起…。
『フィルドルクさんもだけど…』
先程の数多くの未来的道具に愕然とする。
『やっぱり外界の文明レベルは桁違いだな…』
すると直後…。頭部がズキズキする。
「うっ…」
『何だろう?遠方から気配を感じる…』
何故なのかは不明だが…。村落から気配を察知出来たのである。
『ひょっとするとペストロって隕石の影響なのかな?』
ストレイダスは自身の肉体の異変を自覚し始める。
『先程の怪物…仕留められるのかな?』
正直不安であったが…。村落へと急行したのである。移動中…。爆発音やら大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。
『物凄い騒音だ…やっぱり怪物は村落に進攻したみたいだな…』
移動してより数分後…。
「えっ…」
北方地帯の彼方此方が火炎の地獄であり各家屋が炎上したのである。
『北方地帯が…』
ストレイダスは非日常的光景に絶句…。真夜中の深夜帯なのに火災の影響で北方地帯全域が赤色に染色する。
『怪物を発見し次第仕留めないと…』
すると近辺の山奥より…。怪物の咆哮が響き渡る。
『怪物か…』
ストレイダスは山奥へと急行する。急行してより数分後…。山道にて先程の恐竜型の怪物を発見したのである。
「怪物だ!」
一方の恐竜型の怪物は反応し始め…。背後のストレイダスを凝視したのである。怪物は殺気立った形相でギロリと睥睨する。
「うっ…」
『こんな怪物…本当に俺だけで仕留められるのか?』
ストレイダスは恐怖…。全身がプルプルと身震いしたのである。すると携帯式のハイパーセンサーがピピッと作動し始める。
「ん?ハイパーセンサーか?」
恐る恐るハイパーセンサーを起動…。
「何だろう?」
すると画面より怪物の名称と危険度が表示されたのである。
「【ギガントサウルス】?危険度は…中度?」
恐竜型の怪物は高熱恐竜ギガントサウルスと表示され…。危険度は中度と表示されたのである。
『怪物はギガントサウルスって名前なのか…』

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アルセイス ( No.93 )
日時: 2021/09/15 15:27
名前: 月影桜花姫

第七話

ノースサイド
同時刻…。ノースサイドの武装警察隊総本部ではレムリア解放軍のサウスサイド総攻撃に混乱する。総司令部にて武装警察隊の通信兵が入室する。
「ストライダー本部長!大変です!」
ストライダーとは十年前にイーストサイドの海域にて漂流中のアルセイスを救出した武装警察員である。数多くの功績により武装警察員から武装警察隊総本部の本部長へと昇級する。
「何事だ?」
「ノースサイド上空よりレムリア解放軍の巨大空中空母が到達しました!」
「巨大空中空母だと?即刻迎撃しろ…」
通信兵は困惑した様子で発言する。
「上空の空中母艦は迎撃したいのですが…陸地にはレムリア解放軍の突撃隊が進撃中です…」
(畜生が…俺は一体如何すれば…)
ストライダーは困惑したのである。
「非戦闘員は避難させたか?」
通信兵はストライダーの問い掛けに即答する。
「大丈夫です…非戦闘員の避難は無事完了しました!」
「上出来だ…」
一安心したのかホッとする。
「武装警察隊本隊を出動させろ!陸地の敵兵を総攻撃せよ!」
「承知しました!」
同時刻…。スカイカーでノースサイドに進行中のアルセイスとクリスティーヌはノースサイドの区域内へと到達したのである。彼女達は上空の超弩級空中母艦を直視するなり…。
「えっ?何かしら?」
「母艦っぽいわね…」
「空中のタンカーかしら…」
レムリア解放軍がノースサイドに到達したのであると再認識する。彼女達は駐車場にてスカイカーを駐車させる。
「レムリア解放軍の敵兵と遭遇したら即刻仕留めましょう…」
「承知したわ…」
クリスティーヌは護身用にレーザーライフルを所持する。
「ケルベロスよ!」
上空から十数機のケルベロスが急降下するなり武装警察隊の駐屯地を爆撃したのである。各区域内から無数の爆発音が響き渡る。
「主戦場だわ…」
するとアルセイスは殺気を感じる。
「殺気!?誰かしら?」
駐車場に一人の敵兵が進入する。敵兵の装備品はレーザーライフルである。ヘルメットのデザインからレムリア解放軍であると再認識する。
「レムリア解放軍だわ!」
「ん?」
敵兵は彼女達に気付いたのである。
「二人組の小娘と遭遇するとは…俺はラッキーだな♪」
「気付かれたわ…」
「アルセイス…如何するのよ!?」
クリスティーヌは非常に動揺する。敵兵は余裕の様子であり一歩ずつ彼女達に近寄る。
「死滅しな♪小娘♪」
レーザーライフルでアルセイスに狙撃するもののアルセイスは即座に刀剣を抜刀するなり…。刀剣でレーザーライフルから射出された蛍光色の発光体を無力化したのである。
「刀剣でレーザーライフルを無力化しやがるとは…」
「私の刀剣はエターナルメタルだからね…」
アルセイスは超音速で敵兵の背後へと移動する。
「なっ!?貴様!?一瞬で…」
敵兵はアルセイスのハイスピードに戦慄したのである。
「あんたを瞬殺するわ…」
アルセイスは敵兵を斬殺…。瞬殺する。
「クリスティーヌちゃん…即刻武装警備隊総本部に移動しましょう…上空の空中母艦も気になるけど…陸地の敵兵を殲滅しないと…」
「承知したわ…」
彼女達は駐車場から脱出したのである。すると駐車場に隣接する敷地にて瀕死状態の敵兵と遭遇する。
「ぐっ!」
「レムリア解放軍の敵兵だわ!?」
クリスティーヌは恐る恐る近寄る。
「クリスティーヌちゃん?」
「大怪我したのね…」
敵兵は全身が血塗れであり失血死しても可笑しくない状態だったのである。
「姉ちゃんよ…即刻俺を病院に…」
アルセイスは表情が険悪化するなりギロっと睥睨する。
「殺しちゃいましょう…テロリストだし…」
クリスティーヌはアルセイスの発言に戦慄したのである。
「えっ!?アルセイス!?」
「所詮テロリストなのよ…テロリストは殺さないと…」
クリスティーヌは彼女の発言に納得出来ない。
「テロリストでも人間よ…こんなにも衰弱化した状態で放置するのは…私には出来ないよ…」
「パパとママを殺した奴等だよ…クリスティーヌちゃんだってパパとママを殺されたのよね?」
「アルセイス…」
クリスティーヌはアルセイスの発言に困惑する。
(私には何も出来ないのね…)
アルセイスは内心ピリピリするものの…。刀剣で左手の手首をリストカットしたのである。
(えっ!?)
「アルセイス!?一体何を!?」
クリスティーヌはアルセイスのリストカットに驚愕する。アルセイスは手首から出血した血液を敵兵の外傷に注入したのである。直後…。敵兵の外傷が一瞬で治癒したのである。アルセイスの手首も元通りに治癒される。
「魔法みたいだわ…」
クリスティーヌは勿論…。敵兵も外傷の治癒に愕然とする。
「外傷が…一瞬で…」
「私の血液は治療薬にも利用出来るみたいだからね…」
「如何してこんな超能力を…あんたは一体何者なのよ?」
摩訶不思議の超常現象にクリスティーヌは非常に興味深くなる。
「アルセイスは本当に魔法使いみたいね…」
「魔法使いって…」
アルセイスは魔法使いの一言に一瞬苛立ったものの…。沈黙したのである。
「私にも正直何が何やらサッパリだけどね…」
五月十七日事件後…。彼女は大怪我しても一瞬で治癒する肉体へと変化したのである。何よりも驚愕したのは癌腫によって衰弱化した愛犬がアルセイスの血液に接触…。体内の癌腫が一瞬で消滅したのである。すると敵兵がアルセイスに一礼する。
「茶髪の姉ちゃんよ…感謝するよ♪」
アルセイスは無表情で…。
「勘違いしないでよね…私があんたの外傷を治癒したのは気紛れだから…感謝するなら修道女のクリスティーヌちゃんに感謝するのね!」
(アルセイス…ツンデレっぽいわね…)
クリスティーヌはアルセイスの反応に苦笑いしたのである。するとアルセイスは敵兵に質問する。
「あんた達の総大将の居場所は?」
「ブラッドフォード総帥か?ブラッドフォード総帥なら今頃スカイベースのブリッジだよ…」
「スカイベースって?」
「上空の空中母艦だよ…」
彼女達は上空のスカイベースを凝視したのである。
「上空の空中母艦にブラッドフォードがね…」
敵兵は恐る恐るアルセイスに問い掛ける。
「如何して茶髪の姉ちゃんはブラッドフォード総帥に?」
アルセイスは即答したのである。
「私はブラッドフォードに復讐したいの…私のパパとママはあんた達レムリア解放軍のケラウノスで殺されたからね…」
「ケラウノスか…」
敵兵はピクッと反応する。
「俺はブラッドフォード総帥に忠誠心なんて皆無だが…ブラッドフォード総帥に対面したとしてもブラッドフォード総帥は誰にも殺せないぜ…魔法使いのあんたでも…」
「殺せないって?」
「実際にブラッドフォード総帥を直視すれば驚愕するだろうよ♪」
彼女達は敵兵の発言に疑問視するものの…。
「私自身で確認するわ…あんたは如何するの?」
「俺は即刻逃走するよ…今更レムリア解放軍へは戻りたくないからな…」
「如何して戻りたくないのよ…」
アルセイスの質問に敵兵は即答する。
「俺は戦友に裏切られちまったからよ…」
レムリア解放軍は大勢の無頼漢達によって組織されたエゴイストのグループであり仲間内の内輪揉めは勿論…。脱走兵の続出は頻繁である。
「所詮レムリア解放軍のメンバーは過半数がエゴイストだからな…雇用主のブラッドフォード総帥でさえも金蔓としか認識しない破落戸ばかりだ…」
「金蔓って…」
「あんたも大変そうね…」
アルセイスも苦笑いする…。
「あんた達もスカイベース上空に到達するのは正直困難だが…精一杯頑張れよ…」
敵兵は逃走したのである。すると突然…。逃亡中の敵兵が両手で頭部を接触した直後である。敵兵の頭部がパンっと破裂する。
「きゃっ!」
「えっ!?一体何が!?」
先程敵兵と接触した直後の出来事であり彼女達は戦慄したのである。
「如何して兵隊さんの頭部が…」
地面には敵兵の脳味噌が散乱する。
「私にも何が何やら…」
アルセイスはポケットからペットボトルの飲料水と抗精神病薬を入手するなり服用したのである。
「クリスティーヌちゃん…私達は超特急で武装警察隊総本部に移動しましょう!武装警察隊の有人機を強奪するわよ…」
アルセイスの発言にクリスティーヌはビクッと反応する。
「強奪ですって!?」
「上空のスカイベースに到達するには有人機が必要不可欠だからね♪」
「武装警察隊の総本部よ!私達みたいな民間人が容易に潜入出来るかしら?」
クリスティーヌは不安視するものの…。
「武装警察隊総本部も攻防戦に必死よ♪レムリア解放軍と戦闘中だから容易に潜入出来るわ♪」
(こんな状況下でも…誰かの所有物を強奪するのは…)
クリスティーヌは不本意であるが承諾する。彼女達は武装警察隊総本部へと直行したのである。すると中心街にて暴徒化した数人の武装警察隊と遭遇する。彼等は友軍の武装警察員を殺害したのである。
「仲間内で…」
「ひょっとすると奴等は武装警察隊の革命派かも…」
彼等はアルセイスとクリスティーヌに気付くなり…。
「姉ちゃん達か…暇潰しに姉ちゃん達も殺そうかな?」
アルセイスは恐る恐る問い掛ける。
「如何してあんた達は仲間内で殺し合いなんか?あんた達が本来討伐するべき相手はレムリア解放軍でしょう?」
彼等は即答したのである。
「俺達はレムリア解放軍に寝返ったのさ♪」
「今更弱体化しちまった武装警察隊に貢献しても無意味だし…」
最早国全体が内戦状態であり敵味方の識別が出来なくなる。
「アルセイス…こんな現状では武装警察隊も信用出来ないわね…」
「こんな状態では両勢力とも共倒れだわ…」
アルセイスは即座に抜刀する。
「あんた達を瞬殺する…」
「刀剣で何が出来る?」
彼等は余裕の様子であるものの…。アルセイスは超音速で移動するなり彼等の背後から斬撃する。
「うわっ!」
「ぐっ!」
一瞬で二人の武装警察員を瞬殺したのである。
「ひっ!」
アルセイスに戦慄した武装警察員達は一目散に逃走する。
「片付いたわね…」
すると近辺より爆発音が響き渡る。
「爆発音だわ…」
「爆撃かしら?」
彼女達の背後より近未来型の重戦車が出現する。
「重戦車?」
「レムリア解放軍の代物ね…」
重戦車の正式名はロボット型試作重戦車『ジャガーノート』でありレーザーキャノン搭載型の無人型重戦車である。タンク型の履帯によって不整地でも容易に走破出来る。車体の動力炉は超小型化されたスーパーリアクターであり燃料油は不要である。
「レムリア解放軍は無人兵器ばかりね…」
ジャガーノートに搭載された人工知能がアルセイスとクリスティーヌを確認するなり戦車砲を照準させる。
「標的ヲ確認シマシタ…即刻殲滅シマス…」
アルセイスは恐る恐るクリスティーヌに合図する。
「クリスティーヌちゃん!撤退しましょう!」
「撤退ですって!?」
「相手は重戦車だからね…装甲もエターナルメタルだから私の刀剣でも斬撃出来ないわ…」
ジャガーノートは戦車砲のレーザーキャノンでアルセイスに砲撃するものの…。アルセイスは即座に超音速で砲撃を回避する。ジャガーノートの砲撃によりコンクリートの地面が抉れる。
「クリスティーヌちゃん!」
「アルセイス!?」
アルセイスはクリスティーヌの背後へと移動したのである。クリスティーヌの左手に接触すると即座に撤退…。彼女達は全力疾走したのである。数分後…。無人化した商店街へと到達する。
「商店街かしら…」
「危機一髪だったわね…」
周囲を警戒するものの…。人気は感じられない。
「人気は無さそうね…」
「無人機に襲撃されたら厄介よ…」
すると近辺より無数の爆発音が響き渡る。
「きゃっ!」
「爆発音だわ…」
彼女達は恐る恐る商店街から脱出する。するとアルセイスは笑顔で…。
「ラッキーだったわね♪」
幸運にも彼女達は武装警察隊総本部の近辺に到達したのである。
「目的地も間近よ♪」
「目的地が間近でも…無人機の襲撃が…」
上空には十数機ものケルベロスが武装警察隊総本部を爆撃…。武装警察隊総本部周辺には大勢の敵兵達が包囲する。外部から武装警察隊総本部に近寄るのは非常に困難である。
「中世期の攻城戦みたいね…」
「私でも奴等全員を仕留めるのは正直困難だわ…」
すると背後より先程遭遇したロボット型試作重戦車…。ジャガーノートが彼女達を追撃する。
「標的ヲ再確認…標的ヲ再確認…即刻殲滅シマス…」
「ロボットよ!」
戦慄したクリスティーヌはジャガーノートを直視するなりアルセイスの背後に密着したのである。絶望的状況下であるもののアルセイスは笑顔で…。
「好都合だわ♪」
「何が好都合なのよ…」
「此奴を利用するのよ♪」
するとアルセイスは超音速で疾走するなりジャガーノートの砲塔の背後に密着したのである。
「コントロール不能…コントロール不能…」
ジャガーノートの砲塔はグルグルと回転するものの…。アルセイスは力強く密着した状態である。グニャグニャと走行するなりレーザーキャノンを乱射する。
「うわっ!ジャガーノートだと!?」
「誤作動しやがったのかよ!?」
武装警察隊総本部を包囲した敵兵達は背後の異常音に気付くなりパニック化したのである。ジャガーノートの戦車砲の乱射によって十数人の敵兵を爆死…。数人を轢死させる。ジャガーノートの暴走によってレムリア解放軍の突撃隊は総崩れ…。武装警察隊総本部を包囲した敵兵達は撤退したのである。
「緊急停止装置…発動シマス…」
ジャガーノートは緊急停止装置を自動で作動させるなり全機能を遮断…。スリープモードにより停車したのである。アルセイスは恐る恐る地面に着地する。
「単独で敵軍を撤退させるなんて…アルセイスは本当に命知らずね♪」
「余裕よ♪」
アルセイスは笑顔で返答したのである。
「外部の敵兵は撤退させたけれど…内部に潜入したレムリア解放軍を蹴散らさないと…」
アルセイスは再度抜刀する。彼女達は恐る恐る武装警察隊総本部に潜入したのである。内部では武装警察隊の守備隊とレムリア解放軍の銃撃戦により無数の肉片やら血液が室内全域に散乱する。アルセイスは恐る恐る敵兵達に近寄るなり…。
「御免あそばせ♪」
笑顔で挨拶したのである。
「なっ!?貴様は…」
アルセイスはレムリア解放軍の背後より五人の敵兵を斬殺したのである。彼女達の存在に気付いた守備隊は恐る恐る彼女達に近寄る。
「貴様達は…」
アルセイスの刀剣を直視するなり…。
「貴様は敵兵を斬撃したのか?」
「彼女が武装警察隊総本部を包囲する敵兵を撤退させたのよ…彼女に感謝するのね…」
クリスティーヌの発言に守備隊はハッとする。
「内部の敵軍が少人数だったのは…外部の敵兵を撤退させたからか…」
「彼女が一人で…」
彼等はアルセイスに一礼したのである。
「貴女様の…孤軍奮闘を感謝します…」
クリスティーヌはボソッと発言する。
「武装警察隊も弱体化したわね…」
「クリスティーヌちゃん…」
アルセイスは苦笑いするものの…。武装警察員達はクリスティーヌに反論しなかったのである。するとアルセイスは恐る恐る問い掛ける。
「あんた達の総大将は?」
「ストライダー本部長ですかね?ストライダー本部長なら守備隊と一緒に地下豪に避難しました…」
「ストライダー本部長に対面させてよ…」
「本部長と対面ですと?」
彼等は一瞬困惑するものの…。
「承知しました…」
アルセイスとクリスティーヌを地下豪へと案内する。地下豪には本部長のストライダーと三人の守備隊が彼を防備する。
「ん?貴様達は?」
クリスティーヌはストライダーを直視するなり表情が赤面したのである。
(ストライダー本部長って意外と男前なのね♪)
クリスティーヌの様子にアルセイスは微笑む。
(クリスティーヌちゃん…ストライダー本部長に見惚れちゃったのね♪)
すると武装警察員の一人がストライダーに報告したのである。
「ストライダー本部長…彼女達の奮闘によってレムリア解放軍の突撃隊を撃退出来ました…」
「奴等を撃退したのか!?」
ストライダーは驚愕する。アルセイスを直視するなり…。
「貴様は…」
「私はアルセイスです…」
「アルセイスだったか!」
ストライダーは大喜びする。
「アルセイス?知人なの?」
「ストライダー本部長は十年前の五月十七日事件で漂流中の私を救出して下さった恩人なのよ♪」
「アルセイスも大変だったな…」
アルセイスは今迄の経緯を一部始終ストライダーに告白したのである。
「ブラッドフォードが上空の空中母艦に…」
「私達に武装警察隊の有人機をレンタル出来ないかしら?」
ストライダーは恐る恐る返答する。
「武装警察隊総本部の格納庫に俺の専用機が整備中だが…滑走路上空にはレムリア解放軍のドローンが爆撃中だからな…」
ストライダーは非常に困惑するものの…。
「滑走路のドローンさえ撃退出来れば…」
すると無口だったストライダーが発言する。
「サイバーライフルで滑走路のドローンを撃墜出来ないかしら?」
「サイバーライフルですって?」
サイバーライフルとはレムリア解放軍のケルベロスを対処出来る唯一のドローン対策兵器であり特殊性電磁波を射出するショットガンである。人間やら動植物には無害であるものの電磁波に接触したドローンは全機能を停止…。機体を無力化出来る。
「サイバーライフルは試作品だからな…サイバーライフルはドローンを無力化出来るが単独で無数の無人機を撃墜するのは…」
クリスティーヌは笑顔で…。
「ストライダー本部長♪アルセイスだったら出来るわよ♪こんなヘタレの私が今迄生存出来たのは彼女が粉骨砕身したからなのよ…アルセイスの屈強さは常人を超越するわ♪彼女は百人力だからね!」
クリスティーヌは断言する。
「アルセイスが百人力とは…承知した…」
ストライダーは承諾…。地下壕のシークレットエリアから試作型のサイバーライフルをアルセイスに手渡したのである。
「私が外部の無人機を蹴散らせるわね…」
アルセイスは滑走路へと移動する。滑走路には十六機のケルベロスが配備された状態でありレムリア解放軍の守備隊が武装警察隊の滑走路を占拠したのである。
「滑走路は奴等に占拠されたのね…」
(好都合だわ♪)
アルセイスは右手に刀剣を抜刀…。左手にはサイバーライフルを所持するなり超音速でレムリア解放軍の防衛網に突入する。
「なっ!?敵襲?」
「ぐっ!」
アルセイスは一瞬で四人の敵兵を仕留める。停止中のケルベロスにサイバーライフルを作動させたのである。するとサイバーライフルの特殊性電磁波によりケルベロスの全機能を妨害…。無力化したのである。
「小娘はモンスターなのか!?」
アルセイスのハイスピードを直視した敵兵達は彼女に戦慄する。
「モンスターなんて失礼しちゃうわね…」
アルセイスは逃走する敵兵も斬殺したのである。停止中の十五機のケルベロスをサイバーライフルで無力化させる。
「畜生が…」
隠密中の敵兵がリモートコントローラーでケルベロスを操作するものの…。各機体が作動しない。
「コントロール不能…コントロール不能…コントロール不能…」
「故障なのか!?」
すると誰かが背中をポンッと接触する。
「なっ!?貴様は!?」
「残念ね♪」
アルセイスを直視するなり敵兵は戦慄したのである。
「あんた達のドローンは無力化したわ♪」
「無力化だと!?」
「グッドナイト♪」
アルセイスは敵兵を斬撃する。
「ぎゃっ!」
滑走路に待機中のケルベロスとレムリア解放軍を全滅させたアルセイスは地下豪へと戻ったのである。
「アルセイスだわ!」
「アルセイス!無事に戻れたか!」
クリスティーヌとウィズラエルは一安心したのかホッとする。
「滑走路は無事に奪還したわ♪」
「単独で滑走路を制圧するとは…アルセイスは本当に百人力だな…」
ウィズラエルは驚愕したのである。
「であれば奴等に猛反撃出来ますね!ストライダー本部長!」
「俺達でレムリア解放軍を撃滅しましょう!」
「早速航空隊を再編制して上空の敵艦を撃沈するのです!」
武装警察員達は意気投合により団結するものの…。
「折角だけど…今回は私達だけで敵陣を攻略させてよ…私は個人的にブラッドフォードに復讐したいの…」
アルセイスの発言に武装警察員達は猛反対する。
「俺達はレムリア解放軍の猛攻撃によって一方的に圧倒されたのです…奴等に仕返ししなければ!」
「民間人の役目は終了しました…レムリア解放軍は俺達が撃滅しますよ!」
「ストライダー本部長!即刻航空隊を再編制して…」
ストライダーは一息するなり…。
「俺はアルセイスを信頼する…精一杯ブラッドフォードに復讐しな…」
「ストライダー本部長…」
すると武装警察員達はストライダーに猛反発する。
「如何してなのですか!?ストライダー本部長!」
「俺達を信用出来ないのですか!?」
「奴等に猛反撃する絶好のチャンスですよ!即刻各部隊を再編制して…」
「好い加減にしろ!貴様達!」
ストライダーの怒号に一同は一瞬で沈黙したのである。
「貴様達が敵軍の親玉を仕留めたいのも理解出来るが…貴様達は陸地の残党達を殲滅…拘束せよ…奴等は非戦闘員を襲撃するかも知れないからな…貴様達は極悪非道のテロリスト達から全国民を防備せよ!」
「承知しました!ストライダー本部長!」
彼等は即刻退室するなり任務に没頭する。
「アルセイスと…相方は誰だっけ?」
「私は修道女のクリスティーヌです♪」
クリスティーヌは笑顔で名前を名乗る。
「クリスティーヌか…ブラッドフォードを仕留めよ…」
ウィズラエルは専用機用のスマートエントリーをアルセイスに手渡したのである。
「無事に戻れよ…アルセイス…クリスティーヌ…」
「勿論よ…」
アルセイスとクリスティーヌは地下壕から退室するなり滑走路の格納庫へと移動する。格納庫にはウィズラエルの専用機が確認出来る。
「新品だわ…ウィズラエル本部長の専用機ね…」
するとアルセイスは笑顔でクリスティーヌに専用機用のスマートエントリーを手渡したのである。
「スカイカーを運転出来るなら大丈夫よね♪クリスティーヌちゃん♪」
「アルセイス…」
クリスティーヌは苦笑いするなり…。
「承知したわ…」
彼女達は恐る恐るストライダーの専用機に乗機したのである。コックピットにはクリスティーヌ…。アルセイスは客席にてシートベルトする。
(こんな飛行機を操縦出来るなんてね♪)
クリスティーヌは内心ワクワクしたのである。数秒後…。専用機が滑走路へと高加速化するなり上空へと急上昇する。

最終話

大動乱時代
同時刻…。スカイベース艦内では突撃隊の悪戦苦闘に混乱したのである。
「ブラッドフォード総帥…突撃隊が武装警察隊の猛反撃で圧倒されました…武装警察隊総本部の滑走路を占拠したケルベロスも全機…機能停止状態です…」
「ルーヴェルハルト補佐官…」
アルバードの目力に戦慄する。
「突撃隊がこんな状態では武装警察隊総本部は陥落出来ませんな…」
全身をプルプルさせるなり…。
「最早ケラウノスで敵味方諸共ノースサイド全域を無人化させなければ…」
「ですがアルバード総帥…こんな状況下でケルベロスを使用すればノースサイドは勿論…スカイベース艦内も…」
ブラッドフォードは笑顔で発言する。
「心配しなくても大丈夫ですよ♪ルーヴェルハルト補佐官…本艦にはケラウノスを無力化させる特殊エネルギーシールド装置が搭載されたのです…」
スカイベースはケラウノスを無力化させる特殊エネルギーシールド装置の搭載により成層圏からケラウノスを照射したとしてもスカイベース艦内の人間にはケラウノスの影響は皆無である。
「私達は無事ですからね…」
ルーヴェルハルトは内心ホッとしたのか一安心する。すると地球上全域を観測出来るスーパーレーダーがピピッと反応したのである。
「ブラッドフォード総帥!スーパーレーダーが反応しました!」
通信兵の報告にブラッドフォードとルーヴェルハルトが反応する。
「何事ですか?」
「敵機です!本艦に急接近中です!」
「武装警察隊ですかね?」
ルーヴェルハルトは艦内のホログラムで確認したのである。
「非武装です…如何やら民間機かと…」
「民間機が単機でスカイベースに急接近するなんて…」
ブラッドフォードは困惑するものの…。
「早速ケルベロスを出撃させるのです!折角なので民間機が相手なら小型ケラウノス搭載型のケルベロスで迎撃させましょう♪」
スカイベースには超小型化されたケラウノス搭載型のケルベロスを数機搭載する。スカイベースの飛行甲板より四機のケルベロスが出撃したのである。同時刻…。
「えっ?何かしら?」
クリスティーヌは上空のスカイベースから四機の艦載機が出撃する場面を直視する。
「ひょっとして艦載機かしら?」
「ケルベロスだわ!」
四機の艦載機が専用機に殺到したのである。
「敵機ヲ確認…撃墜シマス…」
ケルベロスの底部に搭載された砲塔から虹色の発光体を射出する。
「敵機の砲撃だわ!」
クリスティーヌは即座に虹色の発光体を回避したのである。
「虹色の発光体だわ…一体何かしら?」
アルセイスは窓側から恐る恐る虹色の発光体を直視するなり…。
(虹色の発光体…)
「ひょっとしてケラウノス?」
「ケラウノスって…五月十七日事件の…」
彼女達は戦慄したのである。
「クリスティーヌちゃん!ケラウノスがコックピットに照射されたら絶体絶命よ!確実に回避して!」
「承知したわ!」
背後からもケラウノスを射出するものの…。クリスティーヌは着実にケラウノスの狙撃を回避したのである。すると四機のケルベロスが光学迷彩システムを作動させる。
(厄介だわ…透明化するなんて…)
クリスティーヌは防空用スペースレーダーで確認するものの…。ケルベロスは確認出来ない。
(畜生…ステルスモードなのね…)
「アルセイス?ケルベロスはステルスモードみたいなのよ…ケルベロスの居場所を察知出来ないかしら?」
アルセイスは困惑するものの…。両目を瞑目させる。
(風音を利用して…)
機内は密閉された状態であり風音を感じられない。
(畜生…風音が利用出来ないわ…私は如何すれば…)
アルセイスは混乱する。パニックによりポケットの抗精神病薬を服薬したいが手首がプルプルしたのか入手出来ない。
「アルセイス!?大丈夫なの!?」
「殺されちゃう…」
「えっ…」
彼女はパニック状態であり脳内が狂乱する。
「私達は…殺される…殺されるのよ…」
「如何しちゃったのよ!?アルセイス!?確りしてよ!」
クリスティーヌは精神的に可笑しくなったアルセイスに困惑したのである。するとコックピットの真正面より一機のケルベロスが光学迷彩システムを解除…。専用機に殺到したのである。
「きゃっ!敵機が!」
衝突するかと思いきや…。ケルベロスは底部に搭載された捕獲用のアンカーで専用機を鹵獲したのである。
「如何して?私達を殺さないの?」
クリスティーヌは混乱する。
「敵機ヲ鹵獲シマシタ…即刻母艦ニ連行シマス…」
専用機を鹵獲したケルベロスは専用機諸共スカイベースの飛行甲板へと着艦する。
(如何してケルベロスは私達を殺さなかったのかしら?)
クリスティーヌは疑問視したのである。無事に飛行甲板へと着艦したものの…。アルセイスは脳内が狂乱した状態でありクリスティーヌは嫌気を感じる。
(鬱陶しいわね…)
クリスティーヌは恐る恐る客席へと移動したのである。
「私達は殺される…私達は殺される…」
「アルセイス?」
アルセイスは無表情でクリスティーヌを凝視する。
「何よ…クリスティーヌちゃん?」
謝罪するなり…。
「御免なさい!」
クリスティーヌは力一杯彼女の腹部を殴打したのである。
「ぐっ!」
アルセイスはグッタリと横たわる。
「アルセイスを沈黙させないと私自身が可笑しくなりそうだわ…」
すると数秒後…。アルセイスは恐る恐る目覚める。
「私は…今迄何を?」
「平常心に戻ったかしら?」
アルセイスは挙動不審みたいにキョロキョロしたのである。
「アルセイス…あんたは人騒がせだね…」
「御免なさいね…クリスティーヌちゃん…私自身パニック状態だったのよ…本当に殺されるかと…」
「パニックなのは私も一緒よ…あんたは抗精神病薬でも服用しなさい…」
アルセイスは再度ペットボトルの飲料水と抗精神病薬を服用する。
「アルセイス…ブラッドフォードに復讐するのよね?」
「勿論よ…」
アルセイスは即答したのである。即座に刀剣を所持する。
「私も…アルセイスに協力するよ♪」
(大変だったけれども…アルセイスには大助かりだからね…)
クリスティーヌは護身用にレーザーライフルを所持したのである。彼女達は警戒するなり恐る恐る専用機の機内から脱出する。スカイベースの飛行甲板には人気は皆無であり専用機と四機のケルベロスのみが確認出来る。
「人気は感じられないわね…」
彼女達は甲板に設置されたハッチへと近寄る。
「艦内に潜入出来そうね…」
ハッチを作動させたのである。彼女達は恐る恐る艦内へと潜入する。不可解にも艦内では人気が感じられない。
「艦内でも人気が感じられないわ…」
同時刻…。スカイベースのブリッジでは総司令官のブラッドフォードが監視用ホログラムにて移動中のアルセイスとクリスティーヌを観察する。
「如何やら彼女達は無事艦内に潜入したみたいですね…」
ルーヴェルハルトはホログラムのクリスティーヌを直視するなり…。
「金髪の女性は…私が十年前にイーストサイドのシークレットエリアで見逃した女学生っぽいですね…」
ルーヴェルハルトがボソッと発言したのである。
「ですが如何してブラッドフォード総帥は民間機の撃墜を断念されたのですか?奴等を仕留める絶好のチャンスだったのでは?」
ブラッドフォードはルーヴェルハルトの質問に即答する。
「茶髪の女性は非戦闘員なのに…単独で大勢の戦友達を殺害しました…本来なら処刑するのが妥当ですが…彼女の屈強さなら戦力的にも百人力でしょう…何よりも…」
一息するなり…。
「彼女は原因不明の難病で死去した私の恋人に酷似するのです…」
「彼女が…ブラッドフォード総帥の恋人に酷似するのですか?」
ブラッドフォードの予想外の返答に驚愕する。十年前にブラッドフォードがアルセイスを実験体として利用したのは戦闘員の育成化は勿論であるが…。半永久的に若齢の肉体を維持させたかったのである。数秒後…。
「ブラッドフォード総帥!侵入者です!」
通信兵がビクビクした様子でブラッドフォードに報告したのである。するとブリッジの鉄扉から二人の女性が出現する。
「貴様達は!?」
七人の乗組員達はアルセイスとクリスティーヌを包囲したのである。
「雑魚が…」
アルセイスは目力によって威嚇する。
「ひっ!」
すると彼等はアルセイスの目力に圧倒されたのか一歩ずつ後退りしたのである。
「ブラッドフォード…」
アルセイスはブラッドフォードを睥睨するなり…。
「ブラッドフォード…私はあんたを…」
アルセイスは目力によりブラッドフォードに威嚇するものの…。ブラッドフォードは無表情の様子である。ブラッドフォードの様子にクリスティーヌは一瞬戦慄する。
「此奴は一体何者なの!?ブラッドフォードはロボットみたいだわ…」
クリスティーヌの失言にルーヴェルハルトはピリピリしたのである。
「貴様!ブラッドフォード総帥を侮辱するな!殺されたいか!?」
「ひゃっ!」
ルーヴェルハルトを直視したクリスティーヌは後退りする。
「えっ?ひょっとしてあんたは…イーストサイドの心霊スポットで遭遇した兵隊さんかしら?」
クリスティーヌはハッとしたのである。クリスティーヌの発言にルーヴェルハルトもピクッと反応する。
「貴様だったのか…十年前は人一倍意地汚い女学生っぽかったが…雰囲気が随分変化しやがったな…」
「誰が意地汚いよ!」
クリスティーヌはルーヴェルハルトの発言にムスッとしたのである。するとアルセイスは恐る恐るブラッドフォードに問い掛ける。
「ブラッドフォード…如何してあんたは無人機のケルベロスで私達を殺さなかったのよ?専用機諸共鹵獲するなんて…私達を殺せる絶好のチャンスだったのに…」
「鹵獲したのはスーパーレーダーで専用機の客室で貴女様を確認したからなのです…」
スーパーレーダーは有人機と無人機を識別出来るだけではなく内部のパイロットが何者なのかも正確に特定出来る。
「私が…」
「貴女様は誰よりも絶世の女神様を想念させる女性です…病死した私の恋人に酷似する…私は貴女様を殺したくない…」
ブラッドフォードはアルセイスを殺したくないと断言するものの彼女は無表情で…。
「あんたが私を殺したくなくても…私はブラッドフォード…あんたを殺したい…私のパパとママを殺したあんたを…」
ブラッドフォードは恐る恐る返答する。
「私が貴女様の両親を?」
「あんたが十年前にケラウノスでイーストサイドの人間達を死滅させたのよね?」
ルーヴェルハルトがピクッと反応したのである。
「貴様!?如何してケラウノスの存在を!?」
ケラウノスは事実上極秘でありケラウノスの存在を熟知するのはブラッドフォードとルーヴェルハルトは勿論…。関係者である上級兵士と武装警察隊の革命派のみである。ケラウノスの存在を熟知するアルセイスに驚愕する。
「誰が貴様に漏洩しやがった!?」
「武装警察隊の革命派の奴等から盗み聞きしたのよ…」
アルセイスは即答したのである。アルセイスは一息するなり…。
「結局は彼等も役立たずの手駒でしたね…」
するとブラッドフォードは窓側上空を直視する。
「本日でノースサイドの人間達は全滅…レムリア共和国の主導権は私が掌握して…レムリア王国は再興されるでしょう…」
「如何するのよ!?」
クリスティーヌはビクビクしたのである。
「無論ケラウノスを照射します…」
「ケラウノスなんて照射させたら…私達は勿論!あんた達だって…」
「極度の心配性ですね…スカイベースにはケラウノスを無力化させる特殊エネルギーシールド装置が搭載されたので本艦は大丈夫ですよ…」
「大丈夫なのね…」
クリスティーヌはホッとしたのか一安心する。するとアルセイスが恐る恐るブラッドフォードに再度問い掛けたのである。
「私を超人化させたのは…あんたなの?」
「何を質問するかと思いきや…」
ブラッドフォードは笑顔で即答する。
「勿論私ですよ♪イーストサイドの地下豪で気絶した貴女様を実験体として利用したのです…」
「地下豪って…墓場の?」
「無論です…墓場の地下豪は私達レムリア解放軍のシークレットベースだったのです…」
「シークレットベースですって!?イーストサイドの心霊スポットの正体はあんた達の実験場だったのね!」
クリスティーヌも反応したのである。
「シークレットベースで貴女様を実験体として利用しました…純血の魔女の血液で貴女様を不老長寿の肉体に変化させたのです…」
「魔女の血液?如何してアルセイスに魔女の血液なんかを?」
クリスティーヌの質問にアルセイスは即答する。
「不老長寿の戦闘員育成化プランですよ…今迄大勢の実験体を利用しましたが…実験体は全員が即死…純血の魔女の血液を注入された人間は肉体が破裂したのです…結局誰一人として適合出来なかった…」
「肉体が破裂って…」
ブラッドフォードの説明にクリスティーヌは気味悪くなる。
「アルセイスさん…彼女こそが唯一の成功例なのですよ…」
「私が唯一の…成功例?」
「アルセイスの外傷が数秒間で治癒するのは…魔女の血液が影響したのね…」
「ですが採血したアルセイスさんの血液でも不老長寿の戦闘員育成化プランは失敗したのです…」
「失敗ですって!?」
アルセイスは純血の魔女の血液と適合出来たものの…。アルセイスの血液を各戦闘員に注入するものの全員の肉体が破裂したのである。結果的に不老長寿の戦闘員育成化プランは白紙化される。
「結果的に不老長寿の戦闘員育成化プランは断念しました…」
「あんたは今迄何人の人間を実験体に利用したのよ…残虐非道だわ…」
アルセイスに残虐非道と発言されたものの…。ブラッドフォードは無表情で返答する。
「私がレムリア共和国の主導権を掌握するには必要不可欠でしたからね…結果的に断念しましたが…」
アルセイスは一息するなり…。
「最後の質問だけどね…あんたは如何して私達の故郷…イーストサイドにケラウノスを照射したのよ…あんたのケラウノスで私達のパパとママは…」
ブラッドフォードは無表情で返答する。
「イーストサイドの海底下には大量のエターナルメタルが採掘出来ますし…大量の新型兵器を製造出来る製造所も入手出来ますからね…」
ブラッドフォードにとってイーストサイドの占拠は一石二鳥だったのである。
「私達にとってイーストサイドは宝島でしたからね…ノーダメージで攻略したかったのですよ…ですが何よりも…」
「何よ?」
無表情だったブラッドフォードの表情が険悪化する。
「イーストサイドには…私の大嫌いな富裕層の密集地でしたらかね!彼等によって大勢の貧困者達が続出したのです!」
「富裕層が大嫌いって…あんたなんて世界一の大富豪でしょう?」
アルセイスに反論されたブラッドフォードであるが…。
「私は世界一の大富豪だからこそ堕落したレムリア共和国の主導権を掌握したいのです!私がレムリア共和国の主導権を掌握出来れば全国民に最低限の生活を保障しますよ…」
ブラッドフォードは断言したのである。
「パパとママ達を虐殺した殺人鬼の分際で…何が全国民の生活を保障するよ…所詮世界一富裕層のあんたは武力と財力でレムリア共和国の主導権を掌握したいだけよ!」
ルーヴェルハルトはアルセイスの発言に苛立つなり…。
「小娘が!ブラッドフォード総帥に侮辱するとは!」
「ルーヴェルハルト補佐官…平常心ですよ…」
ブラッドフォードはピリピリするルーヴェルハルトを制止させる。
「ですがブラッドフォード総帥…」
するとブラッドフォードは軍服のポケットからリモートコントローラーを入手したのである。
「面談会は終了しました…早速ケラウノスを作動させますかね…」
(ケラウノスを!?)
戦慄したアルセイスは即座に超音速でブラッドフォードの背後へと移動するなり…。
「ケラウノスは作動させないわよ!」
ブラッドフォードの背中をバッサリと斬撃したのである。
「ブラッドフォード総帥!?貴様!」
ルーヴェルハルトはアルセイスに狙撃する直前…。アルセイスは即座にクリスティーヌの佇立する位置へと戻ったのである。
「アルセイス!?大丈夫!?」
心配するクリスティーヌにアルセイスは返答する。
「大丈夫よ…クリスティーヌちゃん…」
背後から斬撃されたブラッドフォードはガクッとするものの…。ブラッドフォードの表情は無表情であり佇立した状態で身動きしなくなる。ブラッドフォードの不自然さにクリスティーヌは気味悪がる。
「斬撃されたのに…如何してブラッドフォードは何も反応しないのよ?」
「私にも何が何やらサッパリだけどね…手応えは感じられなかったわ…」
刀剣を直視すると流血は皆無である。
「ブラッドフォードは一体何者なのよ…本当に人間なの!?」
すると背中を斬撃されたブラッドフォードは無表情でアルセイスを凝視する。
「誰であっても私は殺せません…魔女の血液と適合出来たアルセイスさんでも…」
ブラッドフォードの右腕から蛍光色の発光体が照射されたのである。
「クリスティーヌちゃん!」
アルセイスはクリスティーヌに接触…。超音速でクリスティーヌと一緒に左側へと移動したのである。
「狙撃を回避しましたか…」
彼女達はブラッドフォードの右腕を直視するなり驚愕する。
「義手かしら?」
「ブラッドフォードの正体って…本当にロボットだったの!?」
ブラッドフォードは無表情で即答したのである。
「ロボットデスト?私ハ…サイボーグ…最早生身ノ肉体ハ脳細胞ノミデスヨ…」
ブラッドフォードの正体とは全身がエターナルメタルで製造された正真正銘サイボーグの肉体であり体内には最新式の超小型スーパーリアクターを内蔵する。
「サイボーグね…あんたが流血しなかったのも納得だわ…」
(ブラッドフォードが誰にも殺せないって理由は…彼自身がサイボーグだったからね…用意周到ね…)
アルセイスはブラッドフォードが誰にも殺せない理由を熟知する。するとクリスティーヌがプルプルするなり…。
(相手がサイボーグなら…ヘタレの私でも!)
彼女はレーザーライフルでブラッドフォードを狙撃したのである。蛍光色の発光体がブラッドフォードに直撃…。ブラッドフォードの人工性の皮膚を燃焼させられたが本体であるエターナルメタルのエンドスケルトンはノーダメージだったのである。
「畜生…本体はビクともしないのね…」
「私ハ不老不死ノ肉体デスカラ…レーザーライフルハ通用シマセン…」
右腕の砲口に高エネルギーを収縮させる。
「同行者ハ不必要デス…同行者デアル貴女ハ即刻死滅シナサイ…」
「えっ…」
内蔵されたレーザーキャノンでクリスティーヌに狙撃する寸前…。
「クリスティーヌちゃん!」
アルセイスが即座にクリスティーヌの真正面へと移動したのである。ブラッドフォードのレーザーキャノンを刀剣でガードするものの…。ブラッドフォードに内蔵されたレーザーキャノンはジャガーノートに匹敵する威力でありアルセイスとクリスティーヌは背後の鉄壁にて吹っ飛ばされたのである。
「きゃっ!」
「ぐっ!」
彼女達は衝撃波により横たわる。アルセイスは負傷するものの…。即座に治癒したのである。
「クリスティーヌちゃん!?」
「彼女ハ気絶シマシタカ…」
クリスティーヌは衝撃波により気絶した状態であり口先から吐血する。
(気絶したのね…)
するとブラッドフォードが横たわる彼女達に近寄る。彼が移動するとガシャンガシャンと機械音が響き渡る。
(クリスティーヌちゃんが殺される!)
アルセイスでもサイボーグのブラッドフォードを相手に徹底抗戦は非常に困難である。力一杯クリスティーヌを背負った状態からブリッジから逃走する。ブリッジから無事脱出するものの…。クリスティーヌを背負ってからの逃走は非常に困難だったのである。艦内通用口のハッチへと到達するものの…。艦内のハッチはロックされた状態であり脱出出来なくなる。
「如何してロックされたのよ!?」
(畜生…如何すれば…)
クリスティーヌの装備品であるレーザーライフルで艦内のハッチを狙撃するもハッチはビクともしない。
「エターナルメタルかしら…レーザーライフルではビクともしないわ…」
すると背後よりガシャンガシャンと機械音が響き渡る。アルセイスは恐る恐る背後を警戒するなり…。
(ブラッドフォードだわ…)
「アルセイスサン…鬼ゴッコハ終了シマシタ…」
アルセイスは一歩ずつ後退りする。するとハッとしたのである。
「ン?」
アルセイスはポケットからサイバーライフルを入手する。
「玩具ノショットガンデスカ…私ノ装甲ハエターナルメタルナノデス…私ニ玩具ノショットガンハ通用シマセンヨ…」
余裕のブラッドフォードであるがアルセイスは無表情で…。
「ショットガンはショットガンでも…サイバーライフルなら如何かしら?」
サイバーライフルの銃口をブラッドフォードの胸部中心部に接触させる。
「サイバーライフルデスト?」
「一か八か…」
アルセイスは恐る恐るサイバーライフルを作動させたのである。するとブラッドフォードの体内の全機能が停止…。身動き出来なくなる。
「グッ!全身ガ…身動キ出来ナクナルナンテ…」
アルセイスは内心ホッとする。
「サイバーライフルは武装警察隊が開発したドローンをスリープ出来るアイテムらしいけど…サイボーグであるブラッドフォードにも通用したみたいね…」
サイボーグのブラッドフォードは不老不死の肉体であるものの…。機械類を無力化させるサイバーライフルは想定外であり体内の全機能をスリープモードに強制させられたのである。
「思う存分あんたを殺せないのが残念だわ…」
するとブラッドフォードの背後よりスタスタと何者かが近寄る。
「えっ?誰かしら?」
「ブラッドフォード総帥…」
ブラッドフォードの背後の人物とは補佐官のルーヴェルハルトである。
「誰カト思イキヤ…ルーヴェルハルト補佐官デシタカ…ルーヴェルハルト補佐官…即刻アルセイスサント同行者ノクリスティーヌヲ拘束スルノデス…私ノ体内ノシステムガ故障シマシタ…即刻整備員ヲ…」
するとルーヴェルハルトの表情が豹変する。
「鬱陶しい…」
「ナッ!?」
豹変したルーヴェルハルトの発言にブラッドフォードは勿論…。アルセイスも驚愕する。
「如何してよ…」
「ルーヴェルハルト補佐官…一体如何サレタノデスカ?冗談デスヨネ?」
動揺するブラッドフォードに失笑したのである。
「俺は誰よりも…ブラッドフォード…あんたを殺したかった!何が王族の末裔だよ!所詮あんたの主目的である王政復古なんて…夢物語だからな♪俺があんたの野望を粉砕するから覚悟しろ…」
ルーヴェルハルトの発言にピクッと反応する。
「ルーヴェルハルト補佐官…ルーヴェルハルト…貴様!」
「本日より俺があんたのレムリア解放軍を牛耳るからよ♪安心しろ…」
「一体何が?如何して仲間内で内輪揉めを…」
アルセイスは混乱したのである。
「ブラッドフォード…あんたはエターナルメタルの完全無欠のサイボーグだが…」
ブラッドフォードはポケットからハンドガンらしきアイテムを入手したのである。
「貴様!?」
ブラッドフォードはルーヴェルハルトのアイテムを直視するなり戦慄する。
「携帯式の超小型ケラウノスだよ♪あんたの脳味噌を狙撃すればサイボーグのあんたでも確実に殺せる…」
ルーヴェルハルトのアイテムは超小型化された携帯式のケラウノスである。
「貴様…恩人ノ私ヲ裏切ルノカ…」
「金蔓が…何が恩人だよ!」
ブラッドフォードにとって補佐官であるルーヴェルハルトはブラッドフォードの右腕であり軍内部では誰よりも信頼出来る側近であったが…。ルーヴェルハルトの本性に愕然とする。ルーヴェルハルトはケラウノスの銃口をブラッドフォードの後頭部に密着させたのである。
「アルセイス…死にたくなかったら回避しろ…」
アルセイスは即座に左側へと移動する。
「死滅しろ…ブラッドフォード総帥…」
「ルーヴェルハルト!貴様!」
ルーヴェルハルトは携帯式のケラウノスを作動させたのである。するとケラウノスの銃口から虹色の発光体が射出される。虹色の発光体はブラッドフォードの後頭部を貫通…。ブラッドフォードの頭部からドロドロと血液が流血する。
「ブラッドフォードは?」
アルセイスは恐る恐るブラッドフォードの頭部にコンッと接触したのである。
「安心しろ…ブラッドフォードはケラウノスで即死したよ…」
「あんたは…如何して恩人のブラッドフォードを裏切ったのよ?ブラッドフォードは極悪非道だけど…あんた達の恩人でしょう?」
アルセイスはルーヴェルハルトに問い掛ける。
「本来私はブラッドフォードに忠誠心なんて皆無だからな…私は私自身でレムリア共和国を牛耳る…」
ルーヴェルハルトの主目的とはレムリア共和国の主導権掌握でありブラッドフォードの存在は目の上のたん瘤であり目障りだったのである。ルーヴェルハルトは微笑むなりアルセイスに一礼する。
「貴様には感謝するよ♪アルセイス♪あんたがサイバーライフルを使用しなければブラッドフォードは殺せなかったからな…」
アルセイスは無表情で…。
「勘違いしないでよね!本来私がブラッドフォードに復讐したかったのに…」
ルーヴェルハルトは笑顔で質問する。
「ツンデレみたいだな…アルセイスちゃんよ♪表向きはブラッドフォードの協力者である俺にも復讐したいか?」
アルセイスは困惑するものの…。
「本来私達のターゲットはブラッドフォードだけよ…勿論あんたが私とクリスティーヌちゃんに手出しするなら手加減しないけどね…」
「あんたは本当に十年前とは別人だな…」
「十年前ですって?」
「シークレットベース…イーストサイドの墓場の地下壕であんたを気絶させたのは俺だよ…」
アルセイスはハッと反応したのである。
「あんただったのね…」
シークレットベースでの出来事を想起する。
「あんたが地下壕で遭遇した兵隊さんだったとはね…」
「奇遇だな♪」
するとルーヴェルハルトの表情が険悪化するなり…。
「アルセイスよ…あんたの本当の復讐相手は…ハイドマンだよ…」
「ハイドマンですって?誰なのよ?」
アルセイスは混乱したのである。
「ハイドマンって名前は通称名だからな…レムリア共和国武装警察隊総本部のストライダーだよ…」
「ストライダーって…ストライダー本部長!?」
ルーヴェルハルトは即答する。
「勿論…」
「ストライダー本部長が…私の復讐相手ですって?」
アルセイスはポカンとした反応であり理解出来ない。
「突然だから信用出来ないかも知れないが…レムリア解放軍に大量の新型兵器を提供したのは彼だよ…」
「如何してストライダー本部長があんた達に高額の新型兵器を提供するのよ!?」
「ストライダーはレムリア共和国武装警察隊総本部の総司令官であり…極悪非道の武器商人だからな…如何して彼が私達に高性能型の新兵器を大量に提供したのかは不明だが…」
「不明なのね…」
「ストライダーとの密約だからな…事実を熟知したければストライダー本人に接触するのが得策だよ…」
アルセイスは本当なのか如何なのかを確認したくなる。
「艦内から脱出したければ脱出しろ…」
「大丈夫なの?背後から狙撃しないでよ…」
アルセイスは非常に不安がる。
「俺を信用しろ…あんたはブラッドフォード暗殺の協力者だからな♪ケラウノスも作戦中のケルベロスもスリープさせたから安心しろ…」
ブラッドフォードが逃走中のアルセイスを追撃中に艦内の制御用メインコントローラーをシャットダウン…。成層圏のケラウノスとレムリア共和国上空作戦中のケルベロスとジャガーノートをスリープさせる。
「精一杯頑張れよ…アルセイス…」
ルーヴェルハルトはブリッジへと戻ったのである。すると数秒後…。気絶したクリスティーヌがピクッと目覚める。
「えっ?私は一体何を?」
「クリスティーヌちゃん?大丈夫?」
「アルセイス?」
クリスティーヌはハッとするなり…。
「ブラッドフォードは!?」
通路の中心部に佇立するブラッドフォードのエンドスケルトンを直視するなり戦慄したのである。
「きゃっ!」
「クリスティーヌちゃん…大丈夫よ…ブラッドフォードは殺されたの…」
「殺されたって?誰に?」
「彼を殺したのはルーヴェルハルト補佐官よ…」
アルセイスは先程の出来事を一部始終クリスティーヌに告白する。
「ルーヴェルハルト補佐官がね…ストライダー本部長がブラッドフォードに大量の新兵器を提供したなんて本当なの?」
「彼に確認したいの…クリスティーヌちゃん!即刻武装警察隊総本部に戻りましょう!」
「承知したわ…」
彼女達は艦内から脱出するなりスカイベースの飛行甲板に着陸したストライダー専用機で武装警察隊総本部へと戻ったのである。数分後…。ストライダー専用機は無事に武装警察隊総本部の滑走路へと着陸したのである。
「無事に戻れたわね…」
「アルセイス?如何するの?」
「クリスティーヌちゃん…ストライダー本部長とは私が一人で対面するわ…場合によってはストライダー本部長を…」
「アルセイス…」
不本意であるものの…。承諾する。
「無事解決したら…エントランスで合流しましょう…」
「承知したわ…」
アルセイスは覚悟するなり…。恐る恐る武装警察隊総本部へと潜入する。不自然にも室内は沈黙した状態であり人気は感じられない。
「人気が感じられないわ…」
総司令部へと到達する。アルセイスは鉄扉をノックするなり恐る恐る入室したのである。室内の中心部にはストライダーが佇立する。
「アルセイスだったか!」
ストライダーは笑顔で出迎える。
「無事に戻れたみたいだな♪念願のブラッドフォードには復讐出来たのか?」
ストライダーは笑顔で出迎えるものの…。アルセイスは無表情でありストライダーは困惑する。
「不機嫌そうだな…アルセイス…大丈夫か?」
「ストライダー本部長…」
無表情だったアルセイスの表情が険悪化するなり…。恐る恐るストライダーに問い掛ける。
「ストライダー本部長が武器商人で…ブラッドフォードに大量の新型兵器を提供したのは本当ですか?」
するとストライダーはピクッと反応したのである。
「突然何を!?俺がテロリストのブラッドフォードに新型兵器を提供するなんて…アルセイスは冗談が稚拙だな♪」
ストライダーは必死に誤魔化したものの…。アルセイスに誤魔化しは通用しない。アルセイスはジーッとストライダーを睥睨する。
「畜生が…」
(此奴には誤魔化しは通用しないな…)
ストライダーは白状したのである。
「俺だよ…俺がレムリア解放軍に大量の新型兵器を提供したのさ…」
「本当に売国奴だったのね…如何してあんたはテログループなんかに!?」
ストライダーは無表情で…。
「俺は武装警察隊総本部を見限ったのさ…」
「見限ったって…」
「レムリア共和国を牛耳る武装警察隊総本部の奴等は誰しもが無能で無責任…汚職は無論…総本部の首脳陣はこんな奴等ばかりだからな…俺も出来るなら自力で改善させたかったが…ぐっ!」
「ストライダー本部長!?」
するとストライダーは吐血したのである。
「俺は幼少期から…病弱だからな…何方にせよ長生きは出来ない…」
ストライダーの表情が険悪化する。
「俺は自国内の軍需産業は勿論…多種多様の海外の軍需産業と密談して…自国内だけでは開発出来ない近未来型の新型兵器を製造して…必要悪であるレムリア解放軍に大量の新型兵器を提供したのさ…」
「ひょっとしてケラウノスも?」
ストライダーは即答したのである。
「勿論だ…戦略兵器であるケラウノスでイーストサイドに照射させたのも提案者は俺だからな…イーストサイドは武装警察隊の兵器製造所であり…何よりも大量のエターナルメタルが採掘出来るからな…」
「結局あんたはブラッドフォードのスパイだったの?」
「武装警察隊の奴等にとってはスパイっぽいな…レムリア解放軍の主導権掌握に協力したのは事実だからな…」
一息するなり…。
「何よりも国民達も総本部の奴等と同様に無能で無責任…弱者への差別は常識化…殺されて当然だろ…」
ストライダーはレムリア共和国の人間達に憎悪する。大勢の人間達に不幸を拡散させたかったのである。
「所詮あんたもブラッドフォードと一緒ね…異端者だわ…」
「俺が異端者ね…如何するアルセイスちゃんよ?俺に復讐したいか?俺を打っ殺したければ思う存分打っ殺せよ…所詮俺は長生きしたくても長生き出来ない肉体だからな…」
アルセイスは反論する。
「何が復讐よ…あんたみたいな病弱の売国奴に復讐したって無益だわ…衰弱死するのね…」
すると突然…。ストライダーの通信機がピピッと反応したのである。
「ん?」
「何かしら?」
通信機を作動させるとホログラムが映写される。
「大胆不敵だな…」
「何よ…」
ストライダーは勿論…。アルセイスもゾッとする。ホログラムに映写されたのはレムリア解放軍の敵兵であり左手には殺害したルーヴェルハルトの生首を見せびらかしたのである。
「ルーヴェルハルト…補佐員だわ…」
「レムリア解放軍のサブリーダーが殺されちまったか…」
ホログラムの敵兵が発言する。
「俺達の金蔓を殺しやがって!金蔓が殺されちまったのは残念だったが…俺達は新政府軍を組織した!金輪際俺達新政府軍がレムリア共和国を牛耳るからよ♪覚悟しろよ♪愚民達…」
プチッと配信が遮断されたのである。
「何が新政府軍よ…」
「如何やらレムリア解放軍も総崩れらしいな…武装警察隊も分裂状態…結果的に両陣営とも共倒れしちまったか…」
「分裂ですって…」
最早レムリア共和国は内戦の泥沼化によって無政府化した状態であり各区域内では暴徒化した無数のテログループが衝突…。殺し合ったのである。レムリア共和国全域が弱肉強食の大動乱時代へと突入する。
「最早レムリア共和国全域が暴徒化しちまったからな…こんなにも泥沼化した状態では武装警察隊でも鎮圧出来ない…」
アルセイスは抜刀したのである。
「レムリア共和国全域が暴徒化しちゃったから何よ?愚民達が私達に手出しするなら…私は猛反撃するから…」
ストライダーはニヤリと微笑むなり…。
「今現在のアルセイスだったら…大丈夫かも知れないな♪」
するとストライダーは恐る恐る軍服のポケットから護身用のハンドガンを所持したのである。
「ハンドガンかしら?」
「アルセイス…精一杯長生きしろよ…」
アルセイスは即答する。
「勿論よ…」
アルセイスは総司令部から退室したのである。すると数秒後…。バンッとハンドガンの実弾による銃声が響き渡る。
「ストライダー本部長…」
アルセイスは沈黙した様子でありエントランスにてクリスティーヌと無事再合流したのである。
「アルセイス!?」
「クリスティーヌちゃん…」
クリスティーヌは恐る恐る…。
「ストライダー本部長は?」
クリスティーヌに問い掛けられたアルセイスは無表情で即答する。
「私が殺したわ…」
「本当に復讐したのね…」
(ストライダー本部長は自殺だけどね…)
アルセイスは険悪化した表情で発言したのである。
「クリスティーヌちゃん…最早国全体の内戦が泥沼化しちゃったみたい…」
「泥沼化ですって?」
「レムリア共和国は無政府化しちゃったのよ…国内全域が主戦場なのよ…」
「無政府化って…レムリア共和国の全国民が敵対者って意味なのよね…」
普段の彼女であれば人一倍絶望視するものの…。クリスティーヌは平常心だったのである。アルセイスは断言する。
「クリスティーヌちゃん…今後は大変かも知れないけれど…私達でレムリア共和国を再復興させましょう…」
クリスティーヌは一息するなり…。
「アルセイス…こんな私でもあんたと一緒だったら大丈夫かも知れないわ♪勿論私も精一杯協力するからね!」
クリスティーヌは笑顔で断言したのである。
「感謝するわね…クリスティーヌちゃん♪」
彼女達は一致団結…。前代未聞の大動乱時代へと突入したレムリア共和国の再復興を決意したのである。
完結

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