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日時: 2026/07/29 20:17
名前: 黒狼武者 ID:eSd4Sxzo

>>1

第一話

隕石
太平洋の中央には小大陸〔エルピスコロニア〕と呼称される辺境の絶島が存在する。此処は自然が豊富であり大勢の原住民達が安住したのである。世界暦五千七百二十一年六月中旬の時期…。小大陸エルピスコロニアでの出来事である。島内の中心部に聳え立つ最高峰ギガントロックの頂上にて一人の青年が広大無辺の青空を眺望する。
『やっぱり此処は長閑だな…』
地上は大戦争によって世界各地の彼方此方が荒廃化したのである。世界全体は空前絶後の大混乱期であったが…。文明やら科学技術とは無縁のエルピスコロニアだけは平和だったのである。
『宇宙の彼方には何が存在するのかな?』
青年の名前は【ストレイダス】…。体格は男性としては比較的小柄であり頭髪が黒髪なのが特徴的である。年齢は二十九歳であるが…。常日頃から自由自在に広大無辺の大空を浮遊したいと夢見る。
『俺も鳥類みたいに大空を飛行したいな…』
ストレイダスは村落一番の力自慢であり力仕事のみなら彼に拮抗する人物は存在しない。上記の理由により次期村長候補に任命されるのだが彼自身は非常に大雑把であり面倒に感じる。
『北方地帯に戻らないと村長の野郎が口煩いからな…』
生真面目の村長とは性格が不一致であり落胆したのである。
「はぁ…」
ストレイダスが一息した直後…。
「ん?」
突如として頭上から轟音が響き渡る。
『轟音か?』
ストレイダスは恐る恐る上空を直視したのである。
「えっ…」
上空の光景に絶句…。脳内が白色化したのである。
『一体何が!?』
上空には三十センチメートルサイズの隕石が超高速で急接近…。対するストレイダスは目前の光景に絶句する。
『隕石なのか!?』
上空の物体が小型の隕石であると認識した直後…。小型の隕石はギガントロックの頂上へと落下したのである。小型隕石の爆発音は近辺の村落は勿論…。エルピスコロニア全域へと響き渡ったのである。
「うわっ!」
ストレイダスの現在地は小型隕石の落下地点から数メートル程度の近距離とされ…。爆風と衝撃波が彼を強襲したのである。ストレイダスは隕石の落下地点から十数メートル程度吹っ飛ばされ…。
「ぐっ!」
全身が地面に激突する。
「ぐっ…」
『畜生が…』
ストレイダスは地面の激突により全身を骨折したのである。
『身動き出来ないか…』
全身の苦痛により身動き出来なくなる。
「はぁ…」
すると目前の視界が黒化し始め…。
『俺は…こんな場所で死んじまうのか?』
次第に意識が遠退き始める。
『正直…もう少しだけ…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟したのである。
『もう少しだけでも…長生きしたかったな…』
数秒間が経過…。ストレイダスの意識が消失したのである。

第二話

治癒
最高峰ギガントロックの頂上へと落下した小型の隕石はエルピスコロニア全域へと響き渡る。
「一体何が…」
「轟音は…頂上からだったよな?」
登山中の二人の村民達は畏怖するも頂上へと移動したのである。
「うわっ…」
「クレーターか…一体如何してこんな状態に?」
頂上の光景に驚愕する。頂上には直径二十メートル前後のクレーターが形作られ…。クレーターの中心部には三十センチメートルサイズの岩石が確認出来る。
「此奴は隕石なのか?」
「ん!?誰だ!?」
クレーターの近辺にて地面に横たわった状態の怪我人を発見する。
「怪我人だぞ!大丈夫か!?」
怪我人は小柄の成人男性だったのである。上半身は血塗れ…。全身の衣服はボロボロであり瀕死の状態だったのである。
「隕石で吹っ飛ばされたのか?」
「不運だったな…こんな状態では…」
生存は絶望的であり二人は瀕死の成人男性を気の毒に感じる。すると直後…。
「えっ…」
「現実なのか?」
成人男性は瀕死の状態であったが突如として全身の外傷が治癒し始める。外傷は数秒間で完治…。成人男性は目覚めたのである。
「うっ!俺は…死んじまったのか?此処は天国なのか?」
成人男性は記憶が曖昧なのか周囲をキョロキョロさせる。
「誰かと思いきや…あんたは力自慢のストレイダス!?」
「大丈夫なのかよ!?」
成人男性は誰であろう力自慢のストレイダスだったのである。
「えっ?大丈夫そうだが…」
ストレイダスは自身の全身を確認すると絶句し始める。
『衣服がボロボロだな…上着は血塗れだし…』
鮮血により白色の上着が赤化したのである。
「戻って入浴しないと…」
ストレイダスが歩行する直前…。
「ストレイダス?歩いて大丈夫なのか?」
「血塗れだし…」
二人の村民達はストレイダスを心配する。
「大丈夫だよ…外傷は無さそうだし手足はピンピンに動けるからさ…」
ストレイダスはピンピンした様子であり下山したのである。
「ストレイダス…本当に元気だな…」
「彼奴は不死身なのか?」
小柄の村民が恐る恐る…。
「先程のストレイダスの治癒力…異常だったよな?全身血塗れの状態だったのに…数秒間で治癒するなんて…」
すると大柄の村民も小声で発言する。
「ストレイダスは人一倍元気だけど…普通は失血死しても可笑しくないよ…彼奴は如何しちまったのやら…ストレイダスは本当に不死身だったのか?」
ストレイダスは幼少期から免疫力は人一倍根強く怪我も一日で治癒したのである。二人の村民達はストレイダスの様子に愕然とする。

第三話

次期村長候補
同日の夕方…。ストレイダスは自宅でゴロゴロする。
「はぁ…」
『今日は草臥れたぜ…隕石で吹っ飛ばされるなんて予想外だな…』
すると誰かがコンコンッと自宅のドアをノックしたのである。
「ん?こんな時間帯に誰だろう?」
ストレイダスは玄関へと移動するとドアを開放させる。
「ストレイダスよ…体調は如何なのだ?」
「えっ…村長!?」
訪問者は村長のウィルフィールドでありストレイダスは驚愕する。
「村民達の噂話では隕石で吹っ飛ばされたとか…其方は大丈夫なのか?」
ウィルフィールドはストレイダスの状態を心配したのである。
「俺なら大丈夫ですよ♪俺は肉体だけなら人一倍頑丈なので石ころなんかで死にませんよ!村長は心配性ですね♪」
ストレイダスは自負する。
「ストレイダスが元気なのは周知の事実だが…無理するなよ…何たって其方は次期村長候補なのだからな…」
「えっ?はぁ…」
ストレイダスは次期村長候補の発言に苦笑いしたのである。
『やっぱり村長の口癖は面倒臭いな…次期村長なんて御免だよ…』
彼にとってウィルフィールドの口癖はストレスに感じる。するとウィルフィールドは小声で…。
「偶然にも…天空世界から隕石が落下するとは…恐らく今後…世界各地で天変地異が発生するかも知れないな…」
「天変地異ですって?」
ストレイダスはウィルフィールドの小声に反応したのである。
「近頃…感じるのだよ…」
時たまであるが…。ウィルフィールドは未来を予知出来る。契機としては幼少期の海水浴で事故に遭遇…。海中に溺れ掛けるも両親に救助されたのである。事故から数日後…。未来の出来事を予見出来る能力が発現したのである。
「村長?一体…世界では何が発生するのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「非常に曖昧かも知れないが…世界各地に怪物らしき巨体が暴れ回り…各国は停戦するだろう…」
「えっ…停戦ですって!?」
今現在世界各国は経済の不景気により戦争中である。世界各地の彼方此方が戦争の影響で荒廃化…。戦争による被害は拡大化する。
「怪物を相手に奮闘中の戦士らしき存在も認識出来たのだ…ひょっとして世界の救世主だろうか?」
「怪物と…戦士ですって?」
ウィルフィールドの表現は非常に曖昧であり現実味は皆無である。
『本当に曖昧だな…怪物とか戦士って何だろう?』
一方のストレイダスは内心珍粉漢粉であり苦笑いする。
「少なくとも世界全体で異変が発生するのは事実だろう…」
数秒間が経過するとウィルフィールドは自宅へと戻ったのである。
「世界全体で天変地異なんて…」
『本当に発生するのかな?巨体の怪物とか…世界の救世主とか…古代の神話みたいな内容だよな…』
先程のウィルフィールドの発言は非現実的であり大昔の神話みたいに感じられる。

第四話

停戦
隕石事故から半年後の十二月中旬の時期である。世界各国は依然として戦争中であったが…。十二月が経過した時期から海中より正体不明の移動物体の目撃情報が世界各地に伝播したのである。同年の十二月十三日…。とある大国の大型潜水艦が正体不明の巨大移動物体と衝突する大事故が発生したのである。大型潜水艦は沈没こそ免れたが…。艦体は大破したのである。正体不明の巨大移動物体による大型潜水艦の衝突事故から二日後…。今度は別の国軍の艦隊が作戦行動中に正体不明の巨大移動物体と遭遇する。魚類らしき背鰭と尾鰭が確認出来…。正体不明の巨大移動物体は全長数十メートル規模の魚類であると判明したのである。艦隊は回避行動を開始するのだが…。一隻のミサイル艦が魚類らしき移動物体と衝突したのである。巨大移動物体と衝突した影響によりミサイル艦は沈没…。艦隊は即座に対潜戦闘を開始するのだが巨大移動物体は想像以上に高速であり行方を見失ったのである。以後も各海域で各種船舶が魚類らしき巨大移動物体と遭遇…。場合によっては衝突する事故が多発したのである。一連の超常現象から月日が経過…。世界暦五千七百二十二年五月七日未明の出来事である。午前八時半…。
「各国の停戦って本当なのかよ!?」
「えっ…長期化した戦闘がこんなにもピタッと停戦するなんて…」
各国間の停戦の情報は辺境のエルピスコロニア全域にも知れ渡ったのである。エルピスコロニアは各国の停戦の動向により各村落が騒然とする。
「開戦から七年以上経過したけれど…各国が停戦するとは何が契機で?」
各村落は突然の朗報により騒然としたものの…。大勢の村民達は各国の停戦にホッとしたのである。すると一人の村民が恐る恐る…。
「各国が停戦した理由だけど…如何やら規格外の怪物が戦場に出現したらしいぞ…」
「えっ!?規格外の怪物だって!?」
周囲の者達は怪物の一言に反応する。
「世界各地の戦場で巨体の怪物が何体も出現したらしいぞ…」
各国が戦争中に規格外の巨大不明生物の出現で各国軍の損害が増大化したのである。対する各国軍も通常兵器で巨大不明生物に応戦するのだが…。巨大不明生物には各国軍の如何なる兵器も通用しなかったのである。各国の首脳陣は巨大不明生物の出現により停戦を決行…。各国軍は巨大不明生物の排除を優先したのである。
「非現実的だな…怪物の出現なんて本当なのかよ?」
「怪物の出現で終戦なんて皮肉だよな…」
「本当に怪物が出現するなんて…村落に出現しないか心配だよ…」
「やっぱりウィルフィールド村長の未来予知は本当だったのか…」
大半の者達がウィルフィールドの予言を単なる妄言程度の認識であったが…。今回の超常現象から怪物の存在を確信したのである。
『怪物か…やっぱり村長の予言は本当だったな…』
村道を通り掛かったストレイダスは村民達の噂話を盗み聞きする。
『村長の予言では地球上に救世主が出現するらしいけれど…一体誰なのかな?』
ストレイダスは救世主の存在が何者なのか気になったのである。

第五話

恐竜型
全世界各国の停戦表明から五日後の深夜帯…。エルピスコロニア北方地帯での出来事である。村民達はスヤスヤと睡眠中だったのだが…。突如として北方の海岸から爆発音と猛獣らしき咆哮が北方地帯全域に響き渡ったのである。
「うわっ!」
一方のストレイダスは自宅の寝室にて熟睡中であったが…。突然の爆発音と猛獣らしき轟音により飛び起きたのである。
『一体何が!?』
今度は大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。気になったストレイダスは恐る恐る外部へと移動したのである。大勢の村民達が村道を逃走…。反対方向から弓矢を装備した義勇兵達が総動員で海岸へと急行中だったのである。
「えっ…」
ストレイダスは外部の光景に愕然とする。
『前代未聞の光景だな…』
ストレイダスは村道へと移動…。義勇兵達に追尾したのである。移動中…。再度爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡る。
『咆哮だ…海岸には何が出撃したのかな?』
義勇兵達を追尾してより数分後…。ストレイダスは海岸へと到達したのである。
「なっ!?」
ストレイダスは海岸の光景に驚愕…。現実の出来事なのか理解出来なくなる。
『此奴は…恐竜なのか!?』
海岸の砂浜には体高十二メートル前後の恐竜らしき怪物が直立…。全身が凸凹の岩石らしき皮膚が特徴的である。
「狼狽えるな!此処で怪物を仕留めろ!」
義勇兵の部隊長が攻撃を指示…。数十本もの毒矢が発射されたのである。多数の毒矢が怪物の皮膚に命中するのだが…。
「畜生…ビクともしないな…」
怪物の皮膚は岩石みたいに硬質であり毒矢は非力だったのである。
「部隊長殿…駄目です…」
「こんな装備では…」
周囲の義勇兵達は毒矢が通用しない怪物に畏怖し始め…。絶望する。現実問題としてエルピスコロニアは外界の科学技術とは無縁の排他的社会である。当然として科学技術は未発達であり外界では主流とされる近代的装備は皆無…。武器は時代錯誤の棍棒やら弓矢が関の山だったのである。
「駄目だ!此処で怪物を仕留めなければ村落が壊滅するのだぞ!」
部隊長は怒号するのだが…。
「怪物が!?」
直後である。恐竜型の怪物が口部を開口し始め…。口内から高熱の火球を放射したのである。
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
火球は義勇兵達に直撃…。彼等の肉片が一瞬で炭化したのである。海岸の砂浜には炭化した義勇兵達の肉片が彼方此方に散乱する。
「えっ…」
ストレイダスは彼等の惨劇に恐怖したのである。一方恐竜型の怪物がストレイダスの方向を直視し始め…。ギロリと睥睨したのである。
「ひっ!」
ストレイダスは極度の恐怖心により身動き出来なくなる。
『畜生…逃げたいのに逃げられない…』
すると恐竜型の怪物は再度口部を開口…。ストレイダスを標的に口内から高熱の火球を放射したのである。
「はぁ…」
『今日が…俺の命日か…』
ストレイダスは自身の最期を覚悟する。

第六話

協力者
ストレイダスは火球に直撃…。意識が消失したのである。火球が直撃してより時間が経過…。
「ん?えっ…此処は?」
ストレイダスはとある密室にて目覚める。
『俺は恐竜みたいな怪物に遭遇してから殺されて…此処は死後の世界なのか?』
ストレイダスは周囲をキョロキョロさせる。すると目前のドアが開放され…。背広姿の男性が入室する。
「目覚められましたか…ストレイダス様…」
背広姿の男性は頭髪が金髪…。瞳孔は碧眼であり大柄の白人男性だったのである。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは状況が理解出来ず返答に困惑する。
『誰だろう?天使なのか?姿形だけなら人間みたいだな…』
目前の白人男性が天使なのか思考したのである。
「私の名前は【フィルドルク】です♪突然の出来事なので貴方が理解出来ないのは当然でしょう♪」
フィルドルクと名乗る白人男性は満面の笑顔で発言する。一方のストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「俺は怪物に殺されて…此処は死後の世界の天国ですか?貴方は天使ですか?」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けにクスクスと微笑し始める。
「こんなにも連続的に超自然的現象と遭遇すれば混乱するでしょうね♪此処は潜水艇の内部ですよ♪天国とは無縁の世界です♪」
「潜水艇の…内部?」
「貴方は正真正銘完全なる生者なのですから♪」
「えっ…俺が…生者ですって!?」
『俺は怪物の火球で吹っ飛ばされたのに…命拾い出来たのか!?』
ストレイダスは自身が生者である事実に驚愕し始め…。再度混乱したのである。
「貴方は地上の怪物と遭遇してから…」
ストレイダスは先程の恐竜型の怪物に攻撃され…。海面上へと吹っ飛ばされたのである。一方のフィルドルクは潜水艇で航行中…。暗闇の海中にてストレイダスを発見したのである。
「俺は貴方に救助されたのですね…感謝します…」
ストレイダスは命拾い出来…。フィルドルクに感謝したのである。
「私の正体は民間の宇宙開発企業の社長とでも♪当然として貴方の協力者なのは断言出来ますが♪」
「えっ…宇宙?開発企業の…社長?」
『俺の協力者だって?失礼かも知れないけれど…』
ストレイダスはフィルドルクに警戒する。
『正直胡散臭い雰囲気だな…』
フィルドルクは見ず知らずの人物であり内心胡散臭いと感じる。
「貴方が俺を此処に移送したのですか?」
「無論ですね♪」
フィルドルクはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。
「貴方は唯一無二の地球の救世主なのですから♪ストレイダス様が死去されたら一体誰が地球を守護されるのでしょうか?」
「俺が…地球の救世主ですって?」
「貴方は去年の六月頃…隕石で大怪我されたでしょう?私は後日…隕石の落下地点で落下した隕石と…貴方の血液を入手したのですよ♪」
去年の六月…。隕石の落下を察知したフィルドルクは単独調査を目的にエルピスコロニアへと上陸したのである。最高峰のギガントロック頂上にて隕石とストレイダスの血液を入手…。独自で隕石の詳細とストレイダスの血液を調査したのである。
「調査の結果…世紀の大発見ですよ♪人類の歴史が変化するでしょうね♪」
フィルドルクは大喜びする。
「えっ…はぁ…」
ストレイダスは珍粉漢粉であり再度苦笑いしたのである。
「ギガントロックに落下した隕石はペストロと命名される深宇宙の特殊性物質なのですよ♪」
「ペストロ?」
ストレイダスは専門用語に困惑する。
「ペストロは惑星の爆発によって発生する物質なのですよ♪恐らく辺境の宙域で惑星が爆発したのでしょう…」
特定の惑星の爆発によってペストロと呼称される特殊性の物質が発生…。隕石として地球上に落下したのである。
「ですがペストロって物質と落下地点の血液が如何したのですか?」
ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。
「隕石の落下地点の血液を調査した結果…ペストロの物質が検出されたのです…今現在のストレイダス様の血液と一致したのですよ…」
フィルドルクはストレイダスの身体髪膚を検査した結果…。ストレイダスの血液がギガントロックで発見した血液と一致したのである。
「えっ…」
ストレイダスは絶句する。
「今現在の貴方の肉体は常人とは比較出来ない領域へと進化したのです…」
ストレイダスは隕石の影響から全身がペストロの細胞へと変異したのである。
「えっ…進化?」
「貴方は隕石の影響により…細胞レベルで変異したのでしょう…」
ストレイダスは恐る恐る全身の皮膚に接触し始める。皮膚に接触すると筋肉が金属類みたいに硬質だったのである。
「実際ストレイダス様は怪物に攻撃されても死にませんでした…貴方の生命力が超越的だと証明されたのです♪」
フィルドルクは満面の笑顔で銀色の密着性の全身スーツ…。携帯型の電子機器を手渡したのである。
「全身タイツと…小箱みたいな小道具ですね…一体何でしょうか?」
エルピスコロニアでは文明社会の電子機器が出回らずストレイダスは携帯型の電子機器に興味深くなる。
「本日より貴方はペストロの超人…【ペストロマン】なのです♪」
フィルドルクはストレイダスをペストロマンと命名する。
「ペストロマン!?」
「今現在の貴方であれば先程の怪物と互角以上に接戦出来るでしょう♪貴方は地球上で最強の戦士なのですから♪」
ストレイダスはフィルドルクの発言に動揺し始める。
「フィルドルクさん!無茶ですよ!先程の恐竜みたいな怪物に…真正面から接戦なんて正気ですか!?」
「ストレイダス様は心配性ですね♪」
対するフィルドルクは動揺し続けるストレイダスに断言する。
「心配しなくてもストレイダス様のデータを計算した結果…今現在の貴方はペストロの効果によって常人の三百人分のパワーは発揮出来ましょう♪」
「三百人分って…」
『大袈裟だし…胡散臭いな…』
フィルドルクの発言が信用出来なかったのである。
「先程貴方に手渡した必須アイテムですが…一つ目はペストロマンが着用するので〔ペストロスーツ〕とでも命名しましょうか♪」
ペストロスーツは宇宙で発見された特殊繊維で製造…。密着性の全身スーツである。本来は宇宙空間での活用を目的に製造された代物とされ…。太陽型の恒星内部でも活動出来るとされる。
「二つ目のアイテムは怪物を発見するのに必須の〔ハイパーセンサー〕です♪」
ハイパーセンサーとは近年発生した巨大未確認不明生物の出現に対応する目的で開発された代物である。地球上であれば巨大未確認不明生物があらゆる場所に出現しても生体反応を正確にキャッチ出来…。瞬時に出現地点を特定出来る。
「当然としてペストロスーツとハイパーセンサーは無料で提供しますからね♪」
すると直後…。ハイパーセンサーの中心部のレンズが点滅したのである。
「うわっ!中心の硝子が点滅した!?」
ストレイダスは突然のハイパーセンサーの点滅に驚愕する。
「如何やらハイパーセンサーが怪物の生体の居場所をキャッチしたみたいですね♪」
「一体如何すれば…」
ストレイダスは困惑したのである。
「貴方が出動する以外に選択肢は存在しません…早速ストレイダス様は怪物を退治するべきかと…」
フィルドルクは携帯型のホログラム装置を作動させる。
「えっ…一体何が!?」
ストレイダスはホログラム装置に反応したのである。するとホログラム装置の上部にて立体化された恐竜型の怪物が映写される。
「怪物だ…」
恐竜型の怪物は村里を襲撃…。大勢の村民達が逃亡する光景がホログラム装置から鮮明に確認出来る。
「ストレイダス様…此処で長居し続ければ村落の被害が拡大する一方ですよ…」
ストレイダスは両目を瞑目し始め…。沈黙したのである。
『一か八かだな…』
一息する。
「承知しました…俺は…怪物を退治しますよ…」
ストレイダスは決意したのである。
「ストレイダス様♪決断されたのですね♪」
フィルドルクはストレイダスの決意に大喜びする。一方のストレイダスはペストロスーツを凝視し続ける。
『神話の…英雄みたいな衣装だけど…』
ペストロスーツの着用には抵抗を感じるのだが…。
『止むを得ないな…』
ストレイダスはペストロスーツを着用したのである。数分後…。
「少しだけチクチクしますが…やっぱり動き易いですね…」
ペストロスーツは全身にフィット…。全体的に動き易いと感じる。
「ですがやっぱりストレイダス様は屈強の体格ですね…」
ストレイダスは全体的に筋肉質であり余計に屈強さが際立ったのである。
「実際俺は村里では一番の力自慢ですからね…」
「であれば怪物相手でも大丈夫でしょう♪」
ストレイダスは恐る恐る…。
「早速此処から脱出したいのですが…一体如何すれば?」
「心配しなくても大丈夫ですよ♪ストレイダス様♪」
フィルドルクはストレイダスをとある密室へと案内したのである。
「床下の装置は…何ですか?」
床下には円形の装置が確認出来る。
「床下の装置は最新型のテレポート装置ですよ♪円内であればあらゆる物体を目的地にワープさせられます♪」
密室の装置はオーバーテクノロジーによって開発されたテレポート装置である。円形の内部に特定の物体を設置…。目的地を設定すると数秒間で物体をワープさせられる。

第七話

開戦
ストレイダスはテレポート装置によって海岸の砂浜へとワープする。
『此処は海岸の砂浜だな…』
先程の出来事を想起…。
『フィルドルクさんもだけど…』
先程の数多くの未来的道具に愕然とする。
『やっぱり外界の文明レベルは桁違いだな…』
すると直後…。頭部がズキズキする。
「うっ…」
『何だろう?遠方から気配を感じる…』
何故なのかは不明だが…。村落から気配を察知出来たのである。
『ひょっとするとペストロって隕石の影響なのかな?』
ストレイダスは自身の肉体の異変を自覚し始める。
『先程の怪物…仕留められるのかな?』
正直不安であったが…。村落へと急行したのである。移動中…。爆発音やら大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。
『物凄い騒音だ…やっぱり怪物は村落に進攻したみたいだな…』
移動してより数分後…。
「えっ…」
北方地帯の彼方此方が火炎の地獄であり各家屋が炎上したのである。
『北方地帯が…』
ストレイダスは非日常的光景に絶句…。真夜中の深夜帯なのに火災の影響で北方地帯全域が赤色に染色する。
『怪物を発見し次第仕留めないと…』
すると近辺の山奥より…。怪物の咆哮が響き渡る。
『怪物か…』
ストレイダスは山奥へと急行する。急行してより数分後…。山道にて先程の恐竜型の怪物を発見したのである。
「怪物だ!」
一方の恐竜型の怪物は反応し始め…。背後のストレイダスを凝視したのである。怪物は殺気立った形相でギロリと睥睨する。
「うっ…」
『こんな怪物…本当に俺だけで仕留められるのか?』
ストレイダスは恐怖…。全身がプルプルと身震いしたのである。すると携帯式のハイパーセンサーがピピッと作動し始める。
「ん?ハイパーセンサーか?」
恐る恐るハイパーセンサーを起動…。
「何だろう?」
すると画面より怪物の名称と危険度が表示されたのである。
「【ギガントサウルス】?危険度は…中度?」
恐竜型の怪物は高熱恐竜ギガントサウルスと表示され…。危険度は中度と表示されたのである。
『怪物はギガントサウルスって名前なのか…』

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メガラニカ大事変 ( No.95 )
日時: 2021/09/16 22:16
名前: 月影桜花姫

第一話

開戦

世界最終戦争終戦後の出来事である。世界最終戦争唯一の戦勝国『太平帝国』は戦前でこそ小規模国家であったが世界最終戦争の快進撃から勢力を拡大化…。終戦後は超大国としての地位と資源を牛耳ったのである。世界最終戦争の大勝利によって全世界の秩序と覇権を獲得した太平帝国であるが…。太平帝国の圧政に反対する一部の国連軍残存勢力と各地の反政府勢力が大南海に位置する孤島にて合流したのである。彼等によって大南海の孤島は自治領『メガラニカ自由区』と命名され覇権国家である太平帝国の支配圏から逃亡した移民者達が亡命…。メガラニカ自由区樹立から一年が経過すると領内の総人口は推計五十万人規模に増大化したのである。メガラニカ自由区の勢力拡大を危惧した太平帝国は世界暦五百二十二年七月十六日に宣戦布告…。翌日の七月十七日には大規模艦隊を派遣させ南方のメガラニカ自由区本土を攻撃目標に直進したのである。太平帝国海軍主力艦隊旗艦…。戦闘航空母艦セイバードラゴンには太平帝国国家元首であり総軍の最高指導者である大総統【ブラッドフォード】が総司令官として乗艦する。
「大総統!徹底的にメガラニカ自由区を撃滅しましょう!」
「当然だ【ルーヴェルハルト】…新世界の統治国である太平帝国に反抗するのが最大の愚行であるか…奴等には徹底的に理解させなければ…」
ルーヴェルハルトは副総統であり大総統のブラッドフォードにとって最高の右腕である。今回は旗艦セイバードラゴンの副艦長として抜擢される。今回のメガラニカ自由区本土攻略作戦ではセイバードラゴン級大型戦闘航空母艦が五隻投入され…。護衛艦隊にはミサイル巡洋艦十六隻…。二十四隻の防空駆逐艦が出撃する。補助用の魚雷艇二十九隻と八百人以上の上陸部隊を乗艦させた大型輸送艦十七隻が後方にて航行したのである。
「メガラニカ自由区の領海へは推定二時間で到達する予定です…」
「全軍を警戒態勢に移行させろ…」
「承知しました…」
ルーヴェルハルトは通信機にて各艦の乗組員達に警戒態勢を指示する。
「全軍…警戒態勢に移行せよ…」
すると各艦隊の戦闘要員達は戦闘配置に移動したのである。戦闘要員達が戦闘配置に移動してより三分後…。旗艦セイバードラゴンの艦橋に設置された最新型スーパーレーダーが反応したのである。
「本艦のスーパーレーダーが反応しました!」
スーパーレーダーは太平帝国海軍が開発した最新式の電波探知機であり地球全体を正確に索敵出来る。太平帝国軍では艦艇のみならず艦載機にも搭載され今現在太平帝国海軍と互角に交戦出来る国家は存在しない。
「何事だ?」
ブラッドフォードは偵察員に問い掛ける。
「南方…三百キロメートルの遠海より艦隊らしき艦影を無数確認…総数は推計四十隻程度です…」
スーパーレーダーには推計四十個もの光点が点滅したのである。
「ステルス機能を搭載させた艦艇か…」
すると直後…。
「無数の飛翔体が味方艦隊に接近中です!」
四十個の対象物である光点から数百個もの微小の光点が超音速で飛来するのを確認する。
「此奴は対艦ミサイル攻撃だ…迎撃態勢に移行しろ!」
ブラッドフォードは即座に迎撃を命令したのである。数秒後…。二十キロメートルの長距離より数百発もの飛翔体が味方艦隊に接近するのを確認する。
「各艦艇!飛翔体を迎撃せよ!」
各艦艇の迎撃システムが作動したのである。近年太平帝国海軍の各艦艇には対空戦闘用に開発された小型の全自動型パルスレーザー対空砲を設置…。超音速で飛来するミサイル迎撃に期待されたのである。数秒後各艦のパルスレーザー対空砲が炸裂…。蛍光色の光弾が各艦に接近する大型対艦ミサイルを迎撃したのである。全自動化によって大型対艦ミサイルは全弾迎撃…。敵艦から発射された大型対艦ミサイルは味方艦隊には一発も命中しなかったのである。通信兵が即座に報告する。
「通信です…敵軍の大型対艦ミサイルは全弾迎撃されました!味方艦隊への損害は皆無です!」
「最先端の科学技術の結晶である太平帝国海軍に旧型の対艦ミサイルで攻撃するとは…奴等は時代錯誤ですな♪」
ルーヴェルハルトは笑顔で発言したのである。
「当然の結果だな…所詮奴等は烏合の衆だ…」
総司令官のブラッドフォードも勝利を確信する。太平帝国軍の大艦隊はメガラニカ自由区近海へと直進したのである。十数分後…。メガラニカ自由区の防衛艦隊と遭遇したのである。ルーヴェルハルトはブリッジ正面の窓側にて恐る恐る双眼鏡を所持…。真正面の敵軍の中規模艦隊を確認する。
「大総統…敵軍の防衛艦隊です…」
メガラニカ自由区の防衛艦隊はミサイル巡洋艦八隻…。十九隻のミサイル駆逐艦と三十二隻の魚雷艇が確認出来る。
「中規模艦隊か…総攻撃せよ…」
ブラッドフォードは即刻中規模艦隊に対する総攻撃を指示…。各艦の大型対艦ミサイルと機関砲が炸裂する。太平帝国軍の先制攻撃によりメガラニカ防衛艦隊は二隻の大型ミサイル巡洋艦と六隻のミサイル駆逐艦が大型対艦ミサイルで撃沈され…。五隻のミサイル巡洋艦と十二隻のミサイル駆逐艦が大破したのである。海面上には九百人以上の乗組員達が吹っ飛ばされる。
「味方艦隊の圧倒的優勢です!」
旗艦セイバードラゴンのブリッジでは乗組員達が沈没する敵艦を眺望する。
「太平帝国軍の圧勝は確実だな…」
「奴等は腐敗した国民主権勢力の残党だ…所詮メガラニカ自由区なんて…」
乗組員達は太平帝国軍の優勢に安堵したのである。同時刻…。メガラニカ自由区防衛艦隊旗艦である航空大型ミサイル戦闘艦リトルヴィーナス艦内では味方艦隊の劣勢に騒然とする。
「多勢に無勢だ…こんな状態では防衛艦隊は全滅するぞ!」
「畜生…防衛艦隊が全滅すれば…太平帝国軍の本土上陸も時間の問題だ…」
乗組員達は騒然とするのだが…。艦長の【ウィンフィールド】は沈黙した様子であり冷静だったのである。乗組員の一人が恐る恐る…。
「ウィンフィールド艦長…如何されましょうか?こんなにも劣勢では味方の防衛艦隊は全滅しますよ…」
「狼狽えるな…」
ウィンフィールドは騒然とする周囲の乗組員達を制止させる。
「ですが艦長…今現在の戦況はメガラニカ防衛軍が圧倒的に不利ですよ…」
ウィンフィールドは沈黙した様子で腕時計を確認する。
「時間だな…」
周囲の乗組員達はハッとした表情で…。
「えっ…何が時間なのですか!?」
一人の乗組員が恐る恐るウィンフィールドに問い掛ける。
「作戦を開始する…」
ウィンフィールドは通信兵を直視するなり…。
「通信兵…即刻独立機動部隊に通信させるのだ…出撃の命令を…」
「はっ!」
周囲の者達はポカンとする。
「一体何を開始するのか?」
同時刻…。メガラニカ自由区西方地帯の軍港にて三隻の中型空母が出撃したのである。中型空母にはとある新型兵器が多数搭載される。西方地帯から独立機動部隊が出撃を開始してより五分後…。メガラニカ自由区南方地帯の防衛艦隊は壊滅状態であり撤退を余儀無くされる。壊滅寸前の防衛艦隊の光景に太平帝国軍総司令官のブラッドフォードは航空部隊の出撃を命令する。
「航空部隊を出撃させろ…メガラニカ自由区の南方地帯全域を空爆せよ…場合によっては非戦闘員への攻撃も許可する…徹底的に奴等を蹴散らせるのだ…」
「はっ!」
ブラッドフォードが命令すると五隻の大型戦闘航空母艦から推計三百機もの戦闘爆撃機が出撃したのである。航空部隊はメガラニカ自由区の南方地帯領空へと進入…。地上への空爆を開始したのである。南方地帯を防衛する地上部隊は必死に太平帝国軍の航空部隊を迎撃するも…。相手は超音速で飛行する戦闘爆撃機であり対空砲は通用せず対空ミサイルで攻撃しても機体に搭載されたパルスレーザーで簡単に無力化されたのである。攻撃開始から三分間が経過すると南方地帯の地上部隊は九割が壊滅…。数千人もの民間人が死傷したのである。旗艦セイバードラゴンではブリッジの乗組員達がモニターで戦況の映像を注視する。
「大総統♪太平帝国軍の圧倒的優勢です♪南方地帯の守備隊は壊滅状態ですよ…」
副艦長のルーヴェルハルトが笑顔で発言したのである。
「当然の結果だな…」
ブラッドフォードは現状であれば上陸作戦が可能であると判断…。
「敵軍は相当疲弊した状態だ…味方の上陸部隊に伝播させろ!」
「承知しました…」
ルーヴェルハルトは即座に各輸送艦に伝達する。上陸作戦を開始する直前…。スーパーレーダーが反応したのである。
「スーパーレーダーが反応しました!」
特殊無線技士がブラッドフォードに報告する。
「今度は何事だ!?」
ブラッドフォードが特殊無線技士に問い掛ける。
「西方の海域より無数の移動物体が出現…超音速で此方に急接近中です…」
「移動物体だと?敵機か?」
ブラッドフォードはモニターを作動させる。するとモニターの画面には無数の飛行物体が映写される。
「此奴は…」
飛行物体は軍用機の形状だが従来型の航空機とは異質的であり新型機であると認識する。
「大総統…敵軍の新型機でしょうか?」
「ひょっとすると無人兵器の戦闘用ドローンかも知れないな…」
「戦闘用ドローンですと?」
ブラッドフォードは一息するなり…。
「敵部隊の航空攻撃に警戒せよ…再度迎撃態勢に移行しろ…作戦中の航空部隊にもドローンの迎撃を急行させるのだ…」
「承知しました…大総統…」
戦闘艦隊と各輸送艦隊は上陸作戦を一時中止させ対空戦闘に移行する。数百機ものドローンが肉眼でも視認出来る位置へと到達…。
「大総統…敵軍のドローンです…」
「ドローンを撃墜せよ!味方艦隊には接近させるな!」
ブラッドフォードの命令と同時に各艦艇は対空戦闘を開始する。対空ミサイルと対空パルスレーザーが西方の上空にて炸裂したのである。対空パルスレーザーがドローンに直撃するのだが…。ドローンの機体内部には高エネルギー兵器を無力化する電磁防壁発生装置により対空パルスレーザーが無力化されたのである。旗艦セイバードラゴンのブリッジでは双眼鏡で副艦長のルーヴェルハルトが上空を直視する。
「なっ!?シールドでしょうか!?」
「シールドだと?」
「ドローンは高エネルギーのシールドで対空パルスレーザーを無力化しました…ひょっとして奴等…」
「電磁防壁だな…ドローンの機体に光学兵器を無力化するシールド装置を装備したのだな…」
電磁防壁発生装置とは高エネルギー兵器を無力化する補助装置である。近年では太平帝国軍にも同類の補助装置は保有するものの…。艦船用の大型装置であり小型航空機に搭載出来る小型の装置は開発中である。
「如何やら奴等…電磁防壁発生装置の小型化に成功したみたいだな…」
ドローン関連の科学技術ではメガラニカ自由区が太平帝国よりも数段階上回る。人員不足であり少数精鋭のメガラニカ防衛軍にとって無人兵器のドローンは最大の戦力であり戦闘に特化されたドローン兵器が多数開発される。一方の太平帝国軍にもドローン兵器は多数配備されるものの…。基本的に偵察用の警戒型ドローンであり戦闘に特化された戦闘用ドローンは試作機のみである。
「艦長…上空より敵機が接近中です!」
対空パルスレーザーの弾幕が太平帝国軍の艦隊周囲に炸裂するのだが…。ドローンは機体のシールド装置でパルスレーザーを潜り抜け味方艦隊の上空間近へと到達する。ドローンは即座に低空飛行…。高速航空魚雷を投下したのである。副艦長のルーヴェルハルトはドローンの高速航空魚雷を投下した瞬間を直視する。
「大総統!敵機は航空魚雷を投下しました…」
「航空魚雷だと?大昔の大戦か?」
本来パルスレーザーはミサイルやら敵機の迎撃を想定して開発された高エネルギー兵器であり水中の魚雷を迎撃するのは不可能である。
「大昔の大戦だな…」
太平帝国軍では魚雷は潜水艦と魚雷艇のみ搭載…。今現在航空魚雷は皆無である。
「艦長!右舷より魚雷が接近中です!」
特殊無線技士が報告する。
「即刻回避だ!」
ブラッドフォードは即座に回避を指示したのである。乗組員達の迅速の対応により旗艦セイバードラゴンは敵機の魚雷攻撃を回避する。旗艦セイバードラゴンの乗組員達はホッとするも…。直後である。対空戦闘中の一隻のミサイル巡洋艦と二隻の防空駆逐艦がドローンの魚雷攻撃により爆散…。轟沈したのである。
「大総統…戦闘中のミサイル巡洋艦ヘルフィッシュと二隻の防空駆逐艦が敵機の魚雷攻撃で撃沈されました…」
メガラニカ防衛軍のドローン兵器は潜水艦に搭載された大型魚雷であり大型艦をも撃沈出来る。今度は輸送艦五隻と魚雷艇八隻がドローンの魚雷攻撃で沈没…。輸送艦六隻と魚雷艇四隻が大破したのである。撃沈された輸送艦からは二千人以上の将兵が海面上に吹っ飛ばされる。作戦中だった航空部隊が味方艦隊上空に帰還…。ドローンを迎撃するもドローンの速度は戦闘爆撃機よりも高速であり反対に味方の戦闘爆撃機が反撃される。二分間の空戦で百八十機もの味方戦闘機が撃墜され…。百人以上のパイロットが戦死したのである。一方のドローン部隊も艦艇と艦載機の対空ミサイルにより三十四機撃墜される。副総統のルーヴェルハルトは上空の光景を直視するなり…。
「大総統…太平帝国軍の劣勢です…」
形勢は完全に逆転したのである。ブラッドフォードは沈黙した様子であるが…。自軍の劣勢に苛立ったのかピリピリし始める。すると直後…。主力の戦闘航空母艦にも被害が出始める。二隻の戦闘航空母艦はドローンの自爆攻撃によって飛行甲板が破壊され…。大破したのである。旗艦セイバードラゴンの同型艦であるレヴィアタンはドローンの魚雷攻撃で艦内の弾薬庫に引火…。一瞬で爆沈する。
「同型艦のレヴィアタンが撃沈されました!」
同型艦のレヴィアタンが爆沈したと同時に艦内の四十八機の艦載機は勿論…。五百人以上の乗組員達が一瞬で吹っ飛ばされる。旗艦セイバードラゴンの周辺海面上には無数の鉄屑やら乗組員達の死骸がプカプカと浮上する。艦隊の損害からルーヴェルハルトはブラッドフォードに撤退を要請したのである。
「大総統!現状では太平帝国軍が圧倒的に不利です!即刻撤退しなければ…味方の艦隊が全滅しますよ!」
撤退を要請するルーヴェルハルトにブラッドフォードはギロッと睥睨する。
「撤退だと?主力の戦闘航空母艦二隻は健在だ…ドローンは実弾の対空ミサイルで対応しろ…」
実際問題ドローンのシールド装置は対空パルスレーザーによる高エネルギー兵器は無力化出来る反面…。実弾兵器は無力化出来ない。
「ですが対空ミサイルのみでは…本数が…」
ドローンに実弾である対空ミサイルは通用するが…。ドローンに命中させるのは非常に困難であり発射された大半がドローンの機関砲で迎撃される。直後…。
「飛行甲板上空より敵機です!直上に急降下します!」
特殊無線技士が報告する。
「敵機だと?」
数秒後…。急降下したドローンは甲板の直上に対艦ミサイルを発射したのである。直後である。ドンッと艦内全体に爆発音が響き渡り…。旗艦セイバードラゴンの艦体全体がグラッと揺れ動いたのである。
「ぐっ!」
艦体が揺れ動いた衝撃にブラッドフォードは横たわる。
「大総統!大丈夫ですか!?」
副艦長のルーヴェルハルトは横たわったブラッドフォードに近寄る。
「私は大丈夫だ…本艦の被害状況は?」
先程のドローンの攻撃により旗艦セイバードラゴンの損傷は飛行甲板が大破…。艦内に収納された十八機の艦載機も破壊されたのである。反面…。飛行甲板以外の設備は健在だったのである。
「母艦としての機能は完全に阻害されたな…」
「飛行甲板は使用出来ませんが…旗艦としての機能は健在です…」
「であればダメージコントロールを急行せよ…」
乗組員達が飛行甲板を修理する最中…。三隻の大型輸送艦と六隻の防空駆逐艦がドローンと潜水艦の魚雷攻撃で撃沈されたのである。予想外の大損害にブラッドフォードは撤退を余儀無くされる。
(戦闘を続行し続ければ太平帝国軍の大艦隊でも確実に全滅するな…)
味方艦隊の全滅を危惧したブラッドフォードは不本意であるが…。撤退を決断する。艦内の通信機を所持するなり…。
「全軍に伝播する…戦闘続行は不可能だ…撤退を開始せよ…」
ブラッドフォードの判断に誰しもが反対しなかったのである。撤退を開始した太平帝国軍の艦隊にメガラニカ防衛軍のドローンは攻撃を停止…。本土へと戻ったのである。今回の大海戦で太平帝国軍は大型艦の戦闘航空母艦一隻とミサイル巡洋艦一隻…。小型艦の防空駆逐艦八隻と魚雷艇十二隻が撃沈される。損傷では三隻の戦闘航空母艦と二隻のミサイル巡洋艦が大破…。防空駆逐艦四隻と魚雷艇五隻が大破する。陸軍の上陸部隊は大型輸送艦が八隻撃沈され…。七隻の輸送艦が大破したのである。航空部隊は二百十九機の戦闘爆撃機を喪失…。五十四機の機体が損傷する。人的損害では合計六千九百四十二人が戦死…。合計三千五百六十一人が負傷したのである。一方のメガラニカ防衛軍はミライル駆逐艦二隻とミサイル駆逐艦六隻が撃沈され…。五隻のミサイル巡洋艦と十二隻のミサイル駆逐艦が大破したのである。陸軍の守備隊は五十八両の戦闘車両が破壊…。空軍は五十六機のドローンが撃墜される。人的被害では合計二千三百六十五人が戦死…。合計三千四百七十八人が負傷する。民間人への被害は合計三千五百八十九人が死亡…。合計四千七百三十二人が負傷したのである。今回の戦闘はメガラニカ南方海戦と命名される。今回の大敗北以降…。太平帝国の権威が失墜したのである。

第二話

大艦巨砲主義

メガラニカ南方海戦の大敗北以降…。メガラニカ自由区の猛反撃が開始されたのである。メガラニカ防衛軍はドローン兵器の大量投入と国内の反政府勢力の協力により太平帝国の領土の約半分を攻略…。占領したのである。メガラニカ南方海戦から一週間後の五月二十四日…。各自治領の戦闘で推計九百万人もの民間人が死亡したのである。同日…。太平帝国首都イーストサイドの大総統官邸会議室では大総統のブラッドフォードとルーヴェルハルトが対談する。
「大総統…一週間の短期間で太平帝国の統治領の約半分がメガラニカ防衛軍の猛反撃により占拠されました…太平帝国軍は劣勢の状態です…」
「一週間で領土の約半分が奴等に占拠させるなんて…ドローン兵器の威力を見縊らなければ…こんな状態には…」
ブラッドフォードは後悔したのである。後悔するブラッドフォードにルーヴェルハルトは前向きな姿勢で…。
「ですが大総統!今現在でこそ劣勢ですが…今迄の戦闘でメガラニカ自由区は太平帝国以上に消耗した状態です!」
今現在のメガラニカ自由区と太平帝国の国力は一対十八でありメガラニカ自由区は圧倒的に不利である。メガラニカ防衛軍はドローン兵器の有効活用から各地の戦場で圧倒的物量の太平帝国軍を圧倒する。メガラニカ防衛軍の快進撃により太平帝国は領土の約半分を占拠されたものの…。短期間で戦線を拡大させたメガラニカ防衛軍は国力が貧弱であり兵站の遅滞から膠着し始める。
「メガラニカ防衛軍は膠着状態ですからね!劣勢を挽回出来る絶好のチャンスですよ!」
するとブラッドフォードは恐る恐る問い掛ける。
「訓練中の【ホムンクルス】だが…正規軍の将兵として実戦に配属出来るのか?」
「訓練中のホムンクルスの将兵達ですが…三日後には実戦配属出来るみたいです…」
ホムンクルスとは二十年前から研究…。開発されたクローン人間達の総称である。度重なる戦争やら内戦によって人間の将兵が不足…。世界最終戦争以前の太平帝国は小規模の新興国であり人員不足の観点からクローン人間の兵士の開発が浮上したのである。通常クローン人間の開発は倫理的問題点から民主主義の国家では法律で禁止されるのが通例であるが…。人権を尊重しない独裁政治の太平帝国ではクローン人間の開発も容易に実現出来るのである。今現在は推計三百万人ものホムンクルスが大量生産され…。正規軍の将兵として実戦に参加出来そうなホムンクルスは推計二十万人である。
「彼等が正規軍の将兵として実戦に参加出来れば…今後の作戦では人間の兵士は不要だからな…」
ロボット技術やら人工知能が格段に発達した近年では総兵力の縮小が開始される。数年後…。太平帝国軍はホムンクルスと人工知能搭載型兵器のみの軍事組織に変化すると予測されたのである。
「であれば今後は理想の戦争が実現しそうですな♪人間の兵士が直接戦闘しなくても…ホムンクルスの将兵を最前線の兵士として代替出来るのですから♪」
近日では太平帝国の劣勢から脱走兵やらメガラニカ防衛軍に加勢する勢力が続出…。両勢力の力関係は完全に逆転し始める。人員確保が難化し続ける太平帝国軍にとってホムンクルス将兵の投入は非常に好都合だったのである。
「本題ですが…開発部が新型兵器を提案しました…」
開発部が提案した数種類の新型兵器の設計図をブラッドフォードに提出する。
「戦闘用ドローン…『ケルベロス』だと?」
「ケルベロスは…」
ケルベロスとは太平帝国軍が開発した無人戦闘機である。従来型の有人戦闘機よりは一回り小型であるがマッハ八以上の最高速度を発揮出来…。機体底部には対地対艦武装は大型ミサイルを搭載する。対空装備は対空プラズマレーザー機関砲と実弾の対空機関砲を両方搭載…。
「ケルベロスが量産化に成功出来れば…メガラニカ防衛軍のドローン兵器『グリフォン』にも対抗出来ましょう…」
メガラニカ南方海戦で太平帝国軍艦隊を撃退させたドローン兵器の正体はグリフォンと判明する。本機は南方海戦で太平帝国海軍部隊が鹵獲したグリフォンを研究…。設計された機体でありメガラニカ防衛軍のグリフォンに対抗出来る戦闘用ドローン兵器として提案されたのである。
「ケルベロス…試作機の完成を見届けるか…」
二枚目の設計図を直視する。
「ん?此奴は…」
「二枚目の新型兵器は超砲撃型戦艦…『アプセラス』です…」
「超砲撃型戦艦…アプセラス?」
正式名は超砲撃型戦艦アプセラスであり海軍直属の開発部が提案したのである。今現在では完全に過去の遺産である超弩級戦艦であるが戦艦アプセラスは最先端の科学技術と過去のロストテクノロジーを結集…。現代型大艦巨砲主義の象徴である。艦体の全長は三百メートルサイズと巨体であり全幅は五十メートルサイズ…。全備総重量は前代未聞の推定七十万トンクラスの超弩級戦艦である。
「今時大艦巨砲主義なんて…時代錯誤だろ…」
ブラッドフォードは時代錯誤であると感じるのだが…。
「戦艦アプセラスは現在開発中の超大型電磁投射砲を搭載する予定なのです…所謂実験試作型の試験戦艦ですね…」
「電磁投射砲か…」
電磁投射砲は現在太平帝国軍が開発中の実弾電磁兵器である。高額のミサイルよりも安価であり高威力を発揮出来ると期待される。
「海軍開発部の大計画では戦艦アプセラスの装甲は『エターナルメタル』を使用するとの情報です…」
「エターナルメタルだと?」
エターナルメタルとは月面で採掘された不朽性の鉄鉱石である。非常に軽量であるが硬度は金剛石以上であり半永久的に原物を維持出来る。
「エターナルメタルを使用すれば…メンテナンスも非常に安価ですからね♪」
「であれば建造を急行するべきだな…」
直後である。
「大総統!緊急事態です!」
通信兵がソワソワした様子で会議室に入室したのである。
「緊急事態だと?一体何事だ?」
ブラッドフォードが問い掛けると通信兵はビクビクした様子で…。
「南方のメティス諸島…メティス基地が敵軍の攻勢で占拠…基地を防衛する守備隊は必死に交戦しましたが…守備隊は玉砕したとの情報です…」
「なっ!?メティス基地の守備隊が…玉砕だと!?守備隊は全滅したのか!?」
ルーヴェルハルトは驚愕したのである。
「残念ですが…」
メティス基地とは強固の大規模要塞が構築された本土防衛用の第二防衛ライン…。推計三万人もの太平帝国陸軍守備隊が配置されたが本日未明にメガラニカ防衛軍の強襲で全滅したのである。
「メティス基地が陥落したか…恐らく今度の攻撃目標は最終防衛ラインの…パシフィスアイランド基地だな…」
パシフィスアイランド基地とは最南端に位置する離島…。パシフィスアイランド本島を防衛する太平帝国軍守備隊の本拠地である。太平帝国本土を防衛する最重要防衛拠点であるものの…。推計八十万人もの民間人も安住する。ルーヴェルハルトは恐る恐る…。
「大総統…即刻パシフィスアイランド本島に援軍を派遣させますか?」
「援軍は不要だ…」
「えっ!?」
ブラッドフォードの返答にルーヴェルハルトと通信兵は絶句したのである。
「本気ですか!?大総統!?」
「私は本気だよ…ルーヴェルハルト…」
「如何して援軍を派遣しないのですか!?パシフィスアイランドが陥落すれば…今度は本土が攻撃対象なのですよ!?」
ブラッドフォードは再度無表情で返答する。
「パシフィスアイランドの守備隊には陽動作戦に利用する…」
「陽動作戦ですと?」
「味方の戦闘機に特殊弾頭を搭載…パシフィスアイランドに侵攻中のメガラニカ防衛軍を特殊弾頭ミサイルで殲滅する…」
パシフィスアイランド基地は陸海軍の大部隊が駐屯…。基地内の兵力も推計十四万人であり基地を陥落させるには相当数の部隊が必要である。パシフィスアイランドを攻防する両軍に特殊弾頭ミサイルで攻撃…。当然として味方の部隊は全滅するが敵軍の侵攻を阻止するには非常に好都合である。
「特殊弾頭ミサイルですと!?パシフィスアイランドに特殊弾頭なんて使用すれば味方の守備隊は勿論…大勢の民間人にも被害が…」
特殊弾頭ミサイルは所謂核兵器の一種であり一発のミサイルで十数キロメートルもの広範囲を焦土化させられる。非人道的でありイエスマンのルーヴェルハルトも特殊弾頭ミサイルの使用には躊躇する。
「今更何を躊躇するのだ?ルーヴェルハルト…特殊弾頭なら二年前の大戦争で無尽蔵に使用しただろ…」
小規模国家であった太平帝国が世界最終戦争で勝利出来たのは特殊弾頭ミサイルの多用である。
「特殊弾道ミサイルで敵味方諸共…殲滅されるのですか?」
「最早多少の犠牲は止むを得ない…」
ルーヴェルハルトの問い掛けにブラッドフォードは即答する。
「特殊弾頭は極秘だぞ…兎にも角にもパシフィスアイランドの守備隊には本島の防衛を徹底させろ…」
「承知しました…」
ルーヴェルハルトは不本意であるが…。ブラッドフォードの提案する殲滅作戦に承諾したのである。

第三話

攻防戦

七月二十七日早朝…。メガラニカ防衛軍の大艦隊が太平帝国最終防衛区域パシフィスアイランドへと進行を開始したのである。同時刻…。パシフィスアイランド基地総司令部では拠点防衛用のスーパーレーダーが反応したのである。
「一体何事だ!?」
パシフィスアイランド基地陸軍総司令官【ウィグノール】が偵察員に問い掛ける。
「スーパーレーダーが反応しました!」
即座に立体映像のホログラムで領海を確認する。ホログラムには数十隻もの艦艇が確認出来る。
「此奴はメガラニカ防衛軍の大艦隊だな…総力戦でパシフィスアイランドを攻略するみたいだ…」
「如何しましょう…総司令官…」
「即刻防衛戦を開始する!各戦闘員は戦闘配置だ!パシフィスアイランドは徹底的に死守しろ!」
ウィグノールは各員に防衛戦を指示したのである。
「はっ!」
パシフィスアイランドは本土防衛の最終防衛ラインでありパシフィスアイランドが陥落すれば本土が攻撃される。
「通信兵…本土にも援軍の要請を伝達しろ…」
「はっ!」
通信兵は即座に総本部に通達したのである。三十分後…。メガラニカ防衛軍の大艦隊がパシフィスアイランドの防衛区域へと到達したのである。
「総司令官…メガラニカ防衛軍の大艦隊が防衛区域に到達しました…」
「防衛戦を開始するか…」
ウィグノールの攻撃開始の合図と同時に海面上からは百二十隻ものミサイル警備艇…。滑走路からは百三十機もの戦闘爆撃機が飛来したのである。同時刻…。メガラニカ防衛軍の大艦隊旗艦である航空大型ミサイル戦闘艦レヴィアタンはスーパーレーダーで太平帝国軍のミサイル警備艇と戦闘爆撃機を確認する。
「艦長…敵部隊を確認しました…」
旗艦レヴィアタンの艦長はメガラニカ南方海戦で活躍したウィンフィールドである。
「即刻ホログラムを作動させろ…」
乗組員は艦内のホログラム装置を作動させる。するとホログラムには百隻以上のミサイル警備艇と戦闘爆撃機が立体映像として映写される。
「敵部隊は旧型の兵器ばかりか…」
「如何されますか?」
乗組員の問い掛けにウィンフィールドは即答する。
「即刻迎撃せよ…母艦からはドローン兵器を発進させろ…」
「承知しました…」
旗艦のレヴィアタンから二十八機のグリフォン型ドローン兵器が発進する。旗艦レヴィアタンは全長二百四十メートルサイズ…。全幅三十メートルサイズの大型艦であり満載排水量は推定五万トンである。ミサイル戦闘艦としての機能は勿論…。航空機用の母艦としても使用出来る。所謂現代型の航空戦艦である。艦載機はドローン兵器であり合計五十機以上搭載出来る。旗艦のレヴィアタンは勿論…。レヴィアタン級航空大型ミサイル戦闘艦六隻と最新鋭のドローン空母艦隊から合計四百機以上ものグリフォン型ドローン兵器が発進したのである。ドローン部隊が発進してより十五分後…。最前線のパシフィスアイランド防衛部隊と遭遇したのである。両軍が遭遇した直後に戦闘が開始され…。パシフィスアイランド防衛部隊はミサイル警備艇と戦闘爆撃機による対空ミサイル攻撃で十四機のドローンを撃墜したのである。ドローン撃墜に防衛部隊の将兵達は戦意が向上するも…。相手は新型のドローン兵器であり二分も経過すればドローンの反撃で八十三隻のミサイル警備艇が撃沈され七十六機の戦闘爆撃機が一瞬で撃墜されたのである。旗艦レヴィアタンの乗組員達は艦橋から戦況を確認する。
「艦長…味方の優勢です…」
「上出来だな…」
厳格の軍人であるウィンフィールドだが…。ドローン部隊の大戦果に上出来と判断したのである。
「ドローン部隊には攻撃を続行させろ…パシフィスアイランドを防衛する陸上部隊に空爆を仕掛けるのだ…」
ドローン部隊の攻撃の続行を指示する。
「承知しました!」
するとウィンフィールドは恐る恐る…。
「当然として無関係の非戦闘員への被害は最小限に努力せよ…」
「承知です…」
ドローン部隊の猛反撃からパシフィスアイランド防衛部隊は総崩れ…。海上の防衛網は簡単に突破されたのである。
「総司令官…海上の防衛部隊が壊滅…敵軍に突破されました…」
通信兵の報告にパシフィスアイランド総司令部は混乱する。
「海上の防衛部隊が壊滅だと…」
「敵軍はドローン部隊を使用したのか…」
総司令官のウィグノールは一瞬沈黙するも…。
「地上の守備隊に伝播せよ…陸上の防衛戦を開始すると!」
「承知しました…」
基地内の将兵達は承諾したのである。
「非戦闘員は緊急用シェルターに避難させろ…」
陸上の防衛部隊は即座に行動を開始する。緊急警報システムが作動され…。民間人は即座に各地域の地下壕に設置された避難用の緊急用シェルターへと移動したのである。民間人の避難終了から三分後…。メガラニカ防衛軍のドローン部隊がパシフィスアイランド領空へと到達する。
「メガラニカ防衛軍のドローンだ!」
「海上の防衛部隊は全滅したのか?」
「兎にも角にも敵機を迎撃するぞ!」
陸上の守備隊は迎撃を開始…。上空のドローンを目標に攻撃したのである。数千発もの機関砲と対空ミサイルが上空に炸裂する。守備隊の攻撃で二十二機のドローンを撃墜するも…。ドローンの空爆で三十六両の戦闘車が破壊され百三十七人の将兵が戦死する。三分間の空爆で陸上部隊の八割が壊滅したのである。
「陸上部隊の八割が壊滅しました…」
守備隊の劣勢に総司令部は混乱する。
「なっ!?八割も!?」
「全滅だな…」
「ドローンの空爆で守備隊の八割が壊滅したのか!?」
総司令部の将兵達は予想外の事態に恐怖したのである。直後…。スーパーレーダーが反応する。
「スーパーレーダーが反応したぞ…今度は何事だ?」
ホログラムを作動させるとメガラニカ防衛軍の大艦隊が映写される。
「敵軍の大艦隊だぞ…パシフィスアイランドの領海に到達したのか!?」
メガラニカ防衛軍の大艦隊は航空大型ミサイル戦闘艦が七隻と正規空母四隻…。ミサイル巡洋艦が十三隻と三十一隻の防空駆逐艦が確認出来る。後方には上陸部隊を乗艦させた大型輸送艦が十八隻…。補助用の魚雷艇が十五隻確認出来る。メガラニカ防衛軍はドローンの投入で海上の防衛部隊を撃退…。メガラニカ防衛軍艦隊はノーダメージでパシフィスアイランドの領海へと到達出来たのである。
「本土から援軍は出動したのか!?」
ウィグノールは再度通信兵に問い掛ける。
「無線では…本土から味方の潜水艦が一隻…出撃したとの情報です…」
「はっ?」
ウィグノールは絶句する。
「こんな状況で援軍が潜水艦一隻だと!?何故海軍の主力艦隊を出動させない!?」
「主力艦隊は本土を防衛するのが手一杯であると…」
現実問題…。メガラニカ南方海戦の大敗北から太平帝国軍主力艦隊は艦隊の再建に手一杯であり主力の大艦隊は派遣出来なかったのである。
「畜生が…」
通信兵の報告にウィグノールはピリピリする。
(パシフィスアイランドは陥落しろと?総本部は本土での戦闘を決断したのか?)
総本部の意向に疑問視するが…。ウィグノールは決断したのである。
「総員…太平帝国本土からの援軍は期待出来ないが…精一杯パシフィスアイランドを死守するぞ!」
「はっ!承知しました…」
絶望的状況下であるが守備隊の将兵達は一致団結…。残存部隊による徹底抗戦を決意したのである。同時刻…。メガラニカ防衛軍大艦隊は上陸作戦を開始したのである。十八隻の大型輸送艦から三十六隻の上陸用舟艇が出動…。陸上部隊によるパシフィスアイランド上陸作戦が開始されたのである。上陸部隊の戦力は主力戦車五十二両…。装甲車と軽量の戦闘車が六十四両投入される。二万人の海兵隊が上陸したのである。今回の上陸作戦では最新型の地上用ドローンである無人小型戦車を五機投入…。試作段階であるが実験目的で無人小型戦車が実戦配備されたのである。
「奴等…メガラニカ防衛軍の上陸部隊です…」
最前線に位置する陸軍の残存部隊が無傷のトーチカから恐る恐る…。上陸中の敵部隊を確認する。
「俺達は一先ず撤収するぞ…敵軍への反撃は本隊と合流してからだ…」
「はっ!」
最前線の残存部隊は総司令部へと撤収したのである。メガラニカ防衛軍上陸部隊は無傷で上陸地点を制圧…。後方支援部隊も上陸地点への上陸を開始したのである。同時刻…。太平帝国南方地帯軍港から出航した新型潜水艦アスピドケロンは国家元首であるブラッドフォードが艦長として乗艦したのである。
「航海は順調そうだな…」
アスピドケロンは順調に深度七百メートルの海底下を潜航し続ける。
「パシフィスアイランドの戦況は?」
ブラッドフォードは乗組員に問い掛けるとホログラム装置を作動…。地形の様子を小型立体映像で映写させたのである。
「現状では太平帝国軍の劣勢ですね…」
「好都合だ…最低でも敵部隊の五割程度は中心地に侵攻させたい…」
同時刻…。陸地の残存部隊は必死に応戦するも最新兵器を多数投入するメガラニカ防衛軍の侵攻を阻止するのは実質不可能であり後退したのである。最早パシフィスアイランドは本拠地に残存した守備隊以外は壊滅…。パシフィスアイランドが陥落するのは時間の問題でありメガラニカ防衛軍の勝利は目前だったのである。

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