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貞本エヴァ STAGE.66「心届かず」/貞本義行
日時: 2009/05/31 00:00
名前: tamb

【タイトル】貞本エヴァ STAGE.66「心届かず」/貞本義行
【記事番号】-2147483279 (2147483647)
【 日時 】05/04/27 22:39
【 発言者 】tamb

 私の心……

 こんなにも
 狂おしいほど
 人と繋がりたい
 私の心

 いつの間にか
 震え
 もがき
 血を流し

 息づいていた

 最後のこんな
  瞬間に気づくなんて

 碇くん


 驚きの表情を見せるシンジ、カヲル、冬月、ゲンドウ、リツコ、そしてミサト。

 眩い光と爆風。

「綾…波…?」

 初号機の中でシンジが呟く。


「目標、消失」
「現時刻をもって作戦を終了します。第一種警戒態勢へ移行」

 青葉が顔を歪めて告げた言葉に、ミサトが静かに命じる。

「了解……状況イエローへ速やかに移行」

 日向が答える。その表情は眼鏡に隠されて伺えない。

「――零号機は……?」
「エントリープラグの射出は確認されていません……」

 ミサトの問いに、マヤが涙ぐみながら答える。

「生存者の救出、急いで!」
「もしいたら――の話ね」

 リツコの冷たい声にミサトは表情を変えて振り向くが、リツコの沈痛な表情に黙り込む。


 シンジはロッカールームで座り込んでいる。

「着がえないの?」

 入ってきたカヲルが話し掛けても反応はない。

「おーい。人が話しかけてんのに、ムシ?」

 カヲルが静かに言う。

「ファーストのことなら仕方ないよ……。彼女がバカだったんだ」

 シンジは気色ばみ、カヲルの胸倉を掴んで壁に叩きつけ、叫ぶ。

「もう一度言ってみろ! ……もう一度言え。前歯全部折ってやる」

 怒りの表情をあらわにしてなおも叫ぶ。

「言えよ!」

 驚きとも戸惑いともつかない表情を見せるカヲルにシンジは殴りかかる。

「言えっ……って」

 が、その拳が届く前にシンジは失神してしまう。

「ちょ……おい……」

 カヲルは荒い呼吸をするシンジを抱きとめ、戸惑う。

 ――どうすりゃいいんだ?


 爆心地を調査する、防護服に身を固めたリツコ。

「赤木博士」

 部下の声のした先には、加熱し、煙を吐き、変形し破れたエントリープラグがある。
 リツコは中を覗き見る。そこには炭化したような、はっきりとは分からない何かがある。

「このことは極秘とします。プラグは回収、関係部品は処分して」
「了解。急ぐぞ」

 ――レイ……


「では、私はこれで」

 医者と、点滴を持った看護婦がカヲルの部屋から出る。

「お大事に」
「どうも」

 カヲルが答え、部屋を振り向く。シンジがベッドで上半身を起こしている。

「どう? 楽になった?」

 シンジは答えず、カヲルは軽くため息を漏らす。

「……びっくりしたよ。息の吸いすぎで倒れるなんてこと、あるんだね」

 冷蔵庫に歩き、エビアンを取りながら話しつづける。

「医者がしばらく休んだほうがいいって言ってた。一応葛城三佐には僕の部屋にいるって
連絡しといたから好きなだけ休んでっていいよ」
「――綾波、は……?」

 シンジはカヲルの言葉を聞いていなかったかのように言う。カヲルが重い表情で答える。

「まだ何も連絡ないけど……」
「…この前の自爆の時とは違う……」

 シンジはカヲルを遮るように言う。

「この目で見た……。A.T.フィールドの内側で使徒といっしょにふっとんだんだ」

 シーツを掴み、一瞬目を閉じて涙ぐむ。そして目を開いて言う。

「死んだのかな。綾波」

 その瞳からは大粒の涙がこぼれた。

 カヲルはそれをじっと見つめる。


――フラッシュバック――

 碇くん……

 碇くんの手……
 初めて触れた時は
 何も感じなかった

 2度目は
 少し気持ち悪かった。

 3度目は
 暖かかった

 4度目は
 嬉しかった

 もう一度、触れてもいい?


 ――あれが、君に触れた最後だった。

 5度目は……
   どうだった?
 5度目は
  どう思ったの?
 綾波……

「綾波……」

 ――いっしょに生きようって、約束した。

 ヤシマ作戦のことが思い出される。

「僕は君を、失いたくない……」

 右手で顔を覆い、左手でシーツを掴んで泣くシンジ。


――つづく


【タイトル】Re: 貞本エヴァ STAGE.66「心届かず」/貞本義行
【記事番号】-2147483278 (-2147483279)
【 日時 】05/04/27 22:39
【 発言者 】tamb

消耗するわ(^^;)。
シンジ、泣いてる場合じゃないぜ。
今言えるのはそれだけ。


【タイトル】Re: 貞本エヴァ STAGE.66「心届かず」/貞本義行
【記事番号】-2147483272 (-2147483279)
【 日時 】05/04/29 00:52
【 発言者 】パッケラ

>最後のこんな
>瞬間に気づくなんて

これでナニゆえ前回でゲンゲンのイメージが出たんだろう・・・・

>「僕は君を、失いたくない……」

この後三人目と会ってリッちゃんがラボに連れて行くんだろうけどシンジは何を思うのか・・・いやぽんげ

カヲルとの関係も微妙だし今後どうなるのでしょう?


【タイトル】Re: 貞本エヴァ STAGE.66「心届かず」/貞本義行
【記事番号】-2147483271 (-2147483279)
【 日時 】05/04/29 21:57
【 発言者 】tamb

>これでナニゆえ前回でゲンゲンのイメージが出たんだろう・・・・

これはほんとにわからん。あんまり考えてないのかもしれん(^^;)。

>カヲルとの関係も微妙だし

僕の気持ちを裏切ったなにならないんだよな。このままじゃ。もともと信頼関係がないん
だし。


【タイトル】Re: 貞本エヴァ STAGE.66「心届かず」/貞本義行
【記事番号】-2147483268 (-2147483279)
【 日時 】05/04/30 02:11
【 発言者 】なお。

レイの心の中心にいる人物がゲンドウからシンジに変わった。それでいいんじゃないですか?

>これでナニゆえ前回でゲンゲンのイメージが出たんだろう・・・・
>これはほんとにわからん。あんまり考えてないのかもしれん(^^;)。

前回の引きは、読者にこう思わせる狙いだったんじゃないかと。
カヲルとの関係も今後の展開で親密になっていく可能性も出てきますね。

ますます目が離せない。でも、Aは読んでないんだよな(^^;)

メンテ

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