ストーリー物にチャレンジ(嘘) |
- 日時: 2009/05/31 00:00
- 名前: D・T@電波の方
- 【タイトル】ストーリー物にチャレンジ(嘘)
【記事番号】-2147483260 (2147483647) 【 日時 】05/05/09 03:08 【 発言者 】D・T@電波の方
前回までのあらすじ
地方の小国をまとめ上げ、急速に力を伸ばすネルフ王国。
ネルフの躍進に覇道の危機を感じた大陸の覇者、ゼーレ公国の公王キール・ローレンツはネルフがこれ以上力を蓄える前に国軍の半分以上、10万の戦力を投入してこれを壊滅に追いやる。
ネルフ王、碇ゲンドウは妻を失いながらも、赤子の王子シンジを連れて王都を落ち延びる。
14年の歳月が流れ、時に、大陸暦2015年。
14歳のシンジは独りで生きていた。
父から託された聖剣『エヴァンゲリオン』を背負い、王家復興を目指すシンジ。旅を続けるうちに、仲間が一人、また一人と加わる。
「爆炎の魔法使い」アスカ。「静かなる精霊使い」レイ。そして父の懐刀であった最強の兵士。
辛く苦しい戦いを経て、公王キールに打ち勝つシンジ達だったが、キールの最後の言葉に戦慄を感じる。
『わしが公王になったんは、神さんにそそのかされてん。わしは本当は、何の力も無いただのじじいやねん。ほんまやで。嘘やと思うんやったら、後ろの神さんの使いに聞いてみぃ?』
キールを影から操っていたのは、使徒と呼ばれる十七の魔人達だったのだ! 使徒達は二千年以上に渡って、人の歴史を操作してきたのだった!
辛くも最初の魔人『串刺しのサキエル』に勝利するシンジ達だったが、サキエルの最後の言葉に背筋が凍る。
『わしゃあ魔人達の中でも、一番下っ端の使徒じゃけんのぉ。これからワレらが戦うんは、もっと強い使徒やけぇ、タマとられんようにのぉ』
色々あって、最後の使徒と魔界で戦うことに。諸々あって、シンジの最大呪文が発動します。
ブレード・ランナー
最終話 まごころを、君に
『我は呼ぶッ! 闇を統べる虚無の王! 殺戮と破壊の化身!』
シンジの魔力が高まっていく。この詠唱、シンジの最大呪文か!
「みんなシンジから離れろ、消し飛ぶぞ!」
俺はありったけの声で叫んだ。
「馬鹿シンジ、外すんじゃないわよ!」
「碇君!」
「なにやってんの、さっさと伏せなさい!」
『その十二枚の翼を羽ばたかせ、我が敵を消し去れ!』
シンジの持つ聖剣『エヴァンゲリオン』が術者の魔力を取り込み、増幅していく。聖剣の柄に埋め込まれた紅い宝玉『コア』がS2機関を解放しているのだ。シンジの紫色をした鎧が力の渦に巻き込まれてバキバキと音を立てて吹っ飛んでいく。
「やはり、こうなるか。わかっていたさ」
最後の魔人、『タブリスと呼ばれる少年』がそう呟いた気がした。その顔は笑っているのか?
『貫け咎人の槍ロンギヌス! 最終究極福音呪文、ジ・エンド・オブ・エヴァンゲリオン!』
「さようならシンジ君。君に会えて、嬉しかったよ」
奔流する無尽蔵の魔力。俺はとっさに防護障壁を展開する。さっき食らったわき腹が痛い。
シンジから最大呪文が放たれた。世界が白く染まっていくのを見た。
「これは、ちょっとやりすぎだな」俺は呆れて言った。
俺たちの目の前に広がっていたのは、かつての『魔界』と呼ばれていたものだった。今はただの紅い海。白い砂浜。
「何にも無いじゃな〜い! 馬鹿シンジッ、あんたほんと馬鹿!」
「ご、ごめん」
「……碇君、やりすぎ」
「あ、綾波まで」
「皿洗い一年分だな」
「そんなあ〜」
みんな笑っていた。
二千年続いた長い戦いが終わり、世界に平和が戻ったのだ。
第三新東京市の郊外にコンフォートマンションという建物がある。十二階建てでそこそこランクの高いマンションだ。エレベーターに乗って十一階に昇り、廊下を進んでいくと表札に葛城と書かれた部屋がある。そこに碇シンジという十四歳の少年が住んでいる。
彼は毎朝五時五十五分にベッドから起き上がる。普段と変わらない足取りでまず洗面所にいき顔を洗い、歯を磨く。もし悪夢などを見て汗を沢山かいていた場合にはそのまま浴室に入ることもある。よって毎朝シャワーの音が朝の静寂に響くことになる。
浴室から出てきた少年はバスタオルを腰に巻いただけの格好で自分の部屋まで帰る。学校の制服に着替えて出てくる。バスタオルを洗濯籠に放り込んでキッチンに向かう。
制服の上に緑色のシンプルなデザインのエプロンをつける。その仕草は手馴れていて、エプロンが異常に似合う。その姿には誰だって萌えることが可能だ。とくに後ろ手でエプロンの紐を結ぶ様などには堪らないものがある。と保護者の葛城ミサトが言っていた。
シンジはまず小さな手鍋に水を張り火にかける。そこに昆布の切れ端をいくつか沈める。かつお節を少量キッチンペーパーに包んで紐で縛る。大きさはゴルフボールより少し大き目になる。それも鍋の中に入れる。
冷蔵庫から大根とニンジンとネギを取り出す。それらは小さな塊で丁寧にラップされている。一食分の量をきちんと把握して時間のあるときに切り分けているのだ。
鮭を焼く匂い。海苔をあぶるパチパチという火の音。昨夜セットしておいた炊飯器が出すいい匂いの煙。そして野菜を切るトントントンという気持ちのいいリズム。
昆布とかつお節を取り除き、ダシが出来上がっている。そこに味噌を溶かす。
リビングに面したふすまが開く。同時に、シンジの向かいの部屋のふすまも開く。中から夢遊病者の目つきと足取りでミサトとアスカが匂いに釣られて出てくる。おとなしく食卓の椅子に座って待つ。女たちの前にどんどんと皿が置かれていく。
茶碗に盛られた白い飯。湯気を立てる味噌汁。良い匂いを立ち上らせる焼き鮭。
「いただきます」
飯をかき込み、味噌汁をすすり、鮭を頬張る。二人の女はどちらも至福の表情。それを見たシンジも幸せそうな顔になる。
「ごちそうさま」
アスカは浴室に向かい、ミサトは缶ビールのプルトップをあける。シンジは皿洗い。
ふと気付いてシンジはもう一つの冷蔵庫に歩み寄る。屈んで冷蔵庫をノックする。返事は無い。シンジは皿洗いに戻る。
ノックの音に俺は目覚める。扉を開けて外に出る。皿を洗っているシンジがいた。
「おはよう、ペンペン」とシンジが言った。
「クア」と俺は答えた。
温泉ペンギンは同居人の夢を見るか? 終わり
【タイトル】Re: ストーリー物にチャレンジ(嘘) 【記事番号】-2147483259 (-2147483260) 【 日時 】05/05/09 03:14 【 発言者 】D・T
ディックの小説のタイトルから思いついて書いて封印していたもの。 一生出す機会が無さそうなので、こんな深夜に書き込んでみる(笑)。
【タイトル】Re: ストーリー物にチャレンジ(嘘) 【記事番号】-2147483258 (-2147483260) 【 日時 】05/05/10 12:59 【 発言者 】あやきち
面白い。 「俺」がぺんぺんとは思わなかったw ギャグだとは思ったけど、夢落ちとは思わせないほど最初の部分がしっかり作られていると思った。 特にサキエルのセリフとかわろうたw
もちっと書き足せばHPで掲載しても問題ないと思われ。てか、すげえ時間に起きてるなw
にしてもやっぱり嘘かよw
【タイトル】Re: ストーリー物にチャレンジ(嘘) 【記事番号】-2147483253 (-2147483260) 【 日時 】05/05/11 02:05 【 発言者 】なお。
>夢落ちとは思わせないほど最初の部分がしっかり作られていると思った。
それそれ。異世界ファンタジーかと思ったら「やねん」とか「じゃけん」だものw どうせだったらキールには最後の最後に「もう、アカン…」と言わせて欲しかった(爆)
>とくに後ろ手でエプロンの紐を結ぶ様などには堪らないものがある。
ここで萌えてしまったのだがw とりあえず首吊ってきます…
【タイトル】Re: ストーリー物にチャレンジ(嘘) 【記事番号】-2147483252 (-2147483260) 【 日時 】05/05/13 02:26 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
キールが大阪弁(京都弁?)、サキエルが広島弁なのがすごくいい。 しかし朝から魚焼きたくないよな(笑)。
>ディックの小説のタイトルから思いついて書いて封印していたもの。
私、実はディック信者でして――でもレイに出会う前からアヤナミストだったわけではな い。この辺はPiece of Dream内のRei Ayanami Supplement Committee -ANNEX- の「mal氏 とvtinos氏との往復書簡(グノーシス主義から見る綾波レイ)」あたりを参照。小谷真理 氏の「聖母エヴァンゲリオン」とかも面白いと言えば面白い――ヴァリスからパクって書 いたことがあります。公開されてます。気づく人は気づく。
>「もう、アカン…」と言わせて欲しかった(爆)
これ、なんだっけ。バイオハザード?
mailto:tamb○cube-web.net
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