石像と猫2 |
- 日時: 2009/05/31 00:00
- 名前: なお。
- 【タイトル】石像と猫2
【記事番号】-2147482792 (2147483647) 【 日時 】05/09/15 22:18 【 発言者 】なお。
夕食は終わり、満腹にもなって皆思い思いにまったりとくつろぐリビング。 食後に煎れたお茶は熱く心地よく咽を灼き、夕方に降った雨はひんやりとした風を生んでこの部屋にも自然の涼を与えていた。 窓際では、硝子でできた風鈴がチリン、チリンと鳴っている。 こんな何でもない時間は誰にでも優しくて、いつのまにか夢の事はもうどうでも良くなっていた。
腹が落ち着いた頃、綾波が壁の時計を気にし始めた。
「そろそろ帰る? だったら送っていくよ」
ミサトさんはまだ帰っていないから僕が。 夜道を一人で歩かせる訳にはいかないし、夕方一緒に歩いて無視してしまった償いも兼ねて。 正直なところは僕がそうしたいという口実。 正論だろうけどあさましい。 僕のこんな考えを知られたらどう思われるだろうか。 すくっと立ち上がった彼女と目が合わせられない。 逸らした先で合ってしまったアスカの瞳は僕を責めているようで。
「いってらっしゃい」
心がチクリと痛んだ。 それでも玄関から一歩外に出て彼女と二人夜風に吹かれて歩くと、わだかまりは消え心踊る僕は酷く単純で滑稽だと思った。
「今日はほんとうに助かったよ」
さり気なく話題を振ったつもり。 助かったのは事実で感謝もしている。 しかしそれを材料に会話を楽しもうとする僕は、やはりどうかしているのだろうか。
「……ぱい…たん……ら」
上の空だったので、彼女のか細い声はしっかり聞き取れなかった。 ありがとう、と適当に相づちを打つ。一応は気持ちをしっかりと込めて。 ほんと何をしているんだろう。
そこにゴロゴロと転がる音。 なんだ? 立ち止まって音の正体に警戒すると、それは前方から近付いてきている。 咄嗟に彼女を後ろに庇う。 少し先にある自動販売機の灯りが先の闇を色濃くさせ見えない。 ゴロゴロ。 もう、すぐそこまで……。 ゴロ……ゴロリ。 音が止まった、ちょうど灯に照らされたところで。
「なんだろう?」 「さあ?」
まさか爆弾か何か! 彼女の手を曳き後ろへ。 しかし彼女は動こうとしない。
「何してるんだよ!」 「何って……」 「爆弾かもしれないじゃないか!」 「あれ、缶詰め」 「缶詰め?!」
彼女が指差したそれは、確かにそのようにも見える。だからといって爆弾じゃないとは言い切れない。
「確かにそう見えるけどさ!」 「痛い」
つい曳いていた手を放してしまう。 すると彼女はそれを取りに前へ。 なんて事を! 絶望。後悔。無念。 すべてが綯い交ぜになった感情。 追いかけて走る。 一瞬躊躇した自分を恥じながら。
「あやなみ!」
もう失いたくない。 爆弾の前にしゃがみ込んだ彼女に悲しみの記憶を垣間見た気がする。 でも、夢中で映像は不鮮明に像を結ばず。
「はい」
はい、って! そんなもの渡さないでよ! 早く捨てて!
「これ、いかりくんの?」 「なんで僕が爆弾なんか!」
思わず手を出し受け取ってしまう。 あわわ、爆弾! 驚いて、あろうことか手を滑らしてしまう。 スローモーションで落ちてゆく爆弾。 ああ、もうだめだ……。
ガゴン、コン、ゴロゴロ……。
「た、助かった……」
かろうじて爆発はしなかった。 急死に一生とは、まさにこういう状況だろう。
「ここでいかりくんが倒れていて、拾い忘れたのかも」
拾い忘れたって何を? ここで僕が?
「それ、いかりくんのじゃないの?」
地面に転がる爆弾を指差して、彼女は再び僕に聞く。 凹んだ外装は……。 見覚えのある……。 黄桃シロップ漬け。
「はい、僕のかもしれません」
伏線を生かし切れないかもしれない。いいかげんに書いているからだ。
おそらくみんな疑問に思うだろうな。
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482787 (-2147482792) 【 日時 】05/09/16 21:06 【 発言者 】なお。
食後に出そうとして見当たらなくどこにいったのかと思っていたけど、こんなところにあったのか。 でも、なんでこれが転がってきたのだろう。 中身が詰まった缶は風くらいで転がるとは思えず、誰かが転がしたとしか……。 しかし辺りには誰の気配もなく、ただ自動販売機がヴーンと唸っているだけ。 妙だな。 今日はわからない事ばかりだ。 そこにある喫茶店での出来事だって……?!
自動販売機の隣には喫茶店などなかった。代わりに古びた祠が一つひっそりと存在し、中にはお地蔵様が一体と道祖神が、これもまた一つ。その屋根の下に白い猫が一匹、まるで見守られているかのよう静かに蹲まっていた。
「スズ!」
どこから出たのか声にした名前。 それが誰の名前だったのか自覚した時にはもういない。 走り去ったのではなく、最初からいたのかも定かでない程に、記憶さえも虚ろに幻のように見えなくなっていた。 懐かしさのあまり胸が詰まる。
「スズ……」
五歳になった頃、母さんがいなくなる少し前、僕は一匹の猫を拾った。真っ白な毛の猫だったけど、薄汚れていてそうは見えなかった。 だけどルビーの輝きを持った瞳はとても綺麗で、宝物にしていたお気に入りのビー玉がガラクタのように思えるほど魅力的だった。 餌も碌に食べていなかったみたいで、とても痩せっぽっちで、放っておいたら死んでしまっていただろう。抱きかかえてもまるで抵抗しないで弱々しく「ミヤー」と鳴くだけだった。 この時僕は初めて我が侭を言ったような気がする。家に持ち帰りこっそり飼おうとしていたのがばれて父さんに捨てられそうになったのを、飼いたいと泣いてお願いした。代わりの猫を買ってくれるとも言ったけど、僕は聞かなかった。 そんな僕を見かねた母さんが、ちゃんと世話をするならという条件で父さんを説得してくれた。
そして一緒に住む事になった。
それからというもの、僕はこの猫に付きっきりだった。元気になるまで傍を離れなかった。その甲斐があったのか三日もすると一人で歩き回れるまでに回復した。最初それを知らなくて、朝起きて隣で寝ていた猫が居なくなったのを捨てられたと勘違いして、両親に喰ってかかったのも思い出した。 そんな事があって、姿が見えなくても近くに居ればわかるようにと首に鈴を付けた。そのとき名前も一緒に付けた。 母さんは「よかったわねシンちゃんに妹ができて」と言った。 雌猫だったと始めて知った。
兄弟が欲しかった僕は母さんの言った妹という言葉が気に入って、スズを何より大切にした。あげちゃだめだって言われていたおやつも、ねだられたらあげないのはかわいそうだと半分あげた。 それがいけなかった。ある日突然ぐったりとしてしまいスズは動かなくなった。なんで動かなくなってしまったのか、そのときは何もわからなかった。でも母さんと一緒に動物病院に連れて行って、病気になったのは僕があげたおやつが原因だった事を知る。 胃洗浄をして点滴をされたスズに、ごめんね、ごめんねといくら謝っても元気だったときのように返事をしてくれなくて、泣きじゃくった覚えがある。思えば死というものが恐いと感じたのはこれが最初だった。 僕は神様に一生懸命お願いした。もう我が侭は言いません、良い子にしますからスズを助けて下さいって。 願いが通じたのかわからないけど、スズは僕のところに帰ってきてくれた。
嬉しかった。クリスマスにおもちゃを貰ったときよりも、元気になったスズと一緒に居られる事の方が何倍も嬉しかった。
彼女は気紛れだった。いつも一人でどこかに行ってはフラッと帰ってきた。ちょっと心配だったけど、心配されているのは僕の方だったみたいで、一人留守番を任されたりしたときには決まって傍にいてくれた。 おかげで淋しいと思った事は一度もなかった。
前回、変にコミカルにしてしまったのは失敗だったと思う。あまり意味がなかったし落ち着かないから書き直しも考えています。
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482772 (-2147482792) 【 日時 】05/09/19 18:11 【 発言者 】なお。
しかし別れは突然に訪れた。 あの日は今日のようにとても熱い日で、留守番を任された僕は冷蔵庫からアイスを取り出し扇風機の前に陣を構えテレビアニメを観て時間を潰していた。
アイスはあっというまになくなってしまいニ本を持ってこようかと迷っていると、明るかった空が急に曇り出し、煩かったセミの声が消えるとすぐさま土砂降りの雨となった。 「雨が降るかもしれないから、そのときは窓を閉めてね」との言い付けを守り、アイスの棒を放り投げ家中の窓を慌てて閉めに走る。 暇だった僕はそのときとてもワクワクしていた。いつにない緊急事態が起こったといった緊張感が僕を昂揚させていた。 全部の窓を閉め終わり息を切らせてリビングまで戻ってくると、テレビの画面が妙に明るくてなんだか虚しくなり照明のスイッチを入れた。 画面の明るさは元に戻ったけど、明るくなったはずの部屋はとても薄暗く感じた。 ボーン、ボーン、ボーン。 柱の時計の鐘が三回鳴った。 その音には慣れていたのにそのときは酷く驚いてしまい、急に一人でいるのが恐くなった。 キッチンとの境にあるドアの摺硝子の向こうの暗がりに得体の知れない何か息を潜めていそうな気がした。
カリカリ、カリカリ……。
硬い爪を立て、引っ掻く怪し気な物音がした。 妄想なんかじゃなく何かは間違いなく近くにいた。
「ねえ、だれかいるの?!」
確かめるにも、足が竦んで動けなかった。 逃げられもせず、虚勢を張り声を荒らげた。 何かの正体さえ掴めれば対処のしようもあると。 しかし返事はなく、余計無気味さが増してしまいブルブルと震えながらじっと気配を隠す。
カリカリ、カリカリ……。
恐いよ、誰か助けてよ。 ついさっき観ていたテレビのヒーローはこんなとき必ず助けにきてくれていたのに僕の元へは誰もやってはこなかった。 父さん、母さん! やっぱり僕を守ってくれるのはこの二人。 でも仕事をしていて帰ってくるはずがなかった。 他に縋れたのは……。
「スズー!」 「ミヤ〜」
スズ? なんだ、スズだったのか。 よく聞くと、物音は玄関からだった。
「もう、どこに行ってたんだよ! おどかしやがって!」
僕は自分がドアを閉めて彼女を締め出してしまったのを忘れ、一人にされて恐かった事を八つ当たりしていた。 一緒にいてくれて当たり前だと思っていたから。 感謝なんてした事なんてなかったから。
ドアを開けた。 ちょっとの隙間を作るとスルッと入ってくる……はずだった。 どうしたのか、そのときに限ってなかなか入ってこようとはしかった。
「スズ?」 「ミャ〜」
聞いた事のある弱々しい鳴き声でスズは答えた。 初めて会ったときと同じ生命力の欠片もない小さな鳴き声だった。
「ス…ズ?」
扉をしっかりと開けると足下には、声がそうだったように見かけも初めて会ったときと同じ、白い毛並みがわからない程に薄汚れてぐったりとしているスズがいた。 ただ、状態は更に悪く、薄汚れて灰色になった毛は所々赤黒く、錆にも似た匂いが濡れた埃の匂いに混じり辺りに漂っていた。 それを見た僕は呆然とした。 助ける以前にそこで諦めていた。 子供心にも、もう手後れだと一目でわかってしまったので諦めざるを得なかった。 随分ものわかりがいい子供だと思われるかもしれないけど、死んじゃ嫌だと騒ぎ立てたりする雰囲気じゃなかった。 半ば亡骸をなったスズを拾いあげるとまだ暖かかった。 抱き上げた瞬間「ミャ〜」と鳴いた。 鳴いたときスズが僅かに微笑んだ気がした。 スズの鳴き声を聞いたのはそれが最後だった。 そしてだんだん冷たくなっていった。
そのあと僕に記憶はない、恐らく雨の中、父さんか母さんが帰ってくるまで玄関の前に立ち尽くしていたのだと思う。 ちょうどその頃、酷い風邪をひいて入院したのは憶えている。 どうしたわけか熱が下がって退院したときには、スズの事は憶えていなかったと思う。 家族揃って退院祝いをした事は思い出せるのに、泣いていた記憶はないからだ。
そしてすぐ母さんもいなくなった。 父さんも……。
そろそろ終わり?
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482761 (-2147482792) 【 日時 】05/09/20 19:46 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
あえて上げる(笑)。
前スレだけど、
>一人残されたダイニングでもくもくと食べていた彼女
ここが萌え(笑)。
>「……ぱい…たん……ら」
これはわからん。
>「あれ、缶詰め」 >「缶詰め?!」
猫缶かと思った。
それから、歩いて帰ってきて「ミャ〜」と鳴けるなら、そう簡単に猫は死なない。少なくともうちの猫はしばらく入院して復活した。まぁ喧嘩だったんだけど。
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【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482760 (-2147482792) 【 日時 】05/09/20 21:16 【 発言者 】あやきち
白湯ラーメン(パイタンラーメン)ではないかと予想w
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482759 (-2147482792) 【 日時 】05/09/21 06:29 【 発言者 】なお。
> そう簡単に猫は死なない。
イヤですぜダンナ。それはダンナもどこかで言っていた「御都合主義」ってやつですぜ(爆) アニメやドラマなんかでも、最後にきっちりセリフを言って死んで行く人はたくさんいるじゃないですか。w
いや、ほんとうのところ、なんか元気っぱいなーって気付いてはいたんだけどね……。 でも、猫なんて飼ったことないし、飼うどころか撫でたりした事だってあんまり経験ないくらいだから弱っているときにどんな声出すのかとかなんてぜんぜんどころか想像も付かなかったんだもん (つД`)
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482758 (-2147482792) 【 日時 】05/09/21 19:51 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>白湯ラーメン(パイタンラーメン)ではないかと予想w
スルー(笑)
>それはダンナもどこかで言っていた「御都合主義」ってやつですぜ(爆)
納得(爆)。 例えば、カリカリでスズーでミヤ〜でドアを開けるともう完全に冷たくなっていた、だと怪奇色は強まるわな。いいかどうかは別なんだけど。
>最後にきっちりセリフを言って死んで行く人はたくさんいるじゃないですか。w
「待ってくれ、あいだ」って奴だな(笑)。と、不意にあいださんを召還(爆)。 なお。さんはこのネタ分かる?
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482757 (-2147482792) 【 日時 】05/09/21 22:51 【 発言者 】なお。
>>白湯ラーメン(パイタンラーメン)ではないかと予想w > スルー(笑)
おおっ。何に対しての予想なのかわかってなかった。確かにそのまま読めばそうなるw 関係ないけど私は味噌ラーメンが好き。 誰か奢りで食べに連れていってください。
> なお。さんはこのネタ分かる? > 侍ってくれ、あいだ
侍=身分のある人のそばに仕えて雑用を勤める人。おつきの人。 あいださんに従者をやってくれってことじゃないの〜?
【タイトル】これで最後ね 【記事番号】-2147482753 (-2147482792) 【 日時 】05/09/22 19:38 【 発言者 】なお。
「泣いて、いるの?」
一瞬で長いモノローグから醒めると涙が流れていた。 手のひらで拭う。 しかし後から後から溢れてきて、昔泣かなかった分の涙まで今流している、そんな気がした。
「これが大好きだったんだ」
足下に転がる缶詰めを拾う。これはスズが大好きだった黄桃の缶詰め。僕もこれが好きで、スズと一緒によく食べた。 黙って開けたのを母さんに見つかって、スズにあげたと言って罪をなすりつけたりもした。 もちえろんバレバレだったけど、なぜかそれで許してもらえた。 次に同じ事をした時には、スズに甘いシロップをたくさんあげた。
「誰が?」 「友達だよ、昔のね」 「そう」
彼女はそれきり何も言わない。黙って先を促しているとは思えない。 しかし、僕の口は勝手に動く。
「忘れていたんだ、大切な友達だったのに。僕はなんて冷たいんだろう」
きっとこの、石でできたお地蔵さまの方がよっぽど暖かいに違いない。 それと比べ僕は、打ち捨てられ朽ち果てた石像のように心なく冷たい存在。
彼女は僕の止まらない涙を細い指でそっと掬いあげる。 頬に触れた暖かさに戸惑う。 そして彼女はこう言った。
「そんなことない。ほら、あなたの涙はこんなにも暖かいのだから」
少し、救われたような気がした。 でも…。
「でも、忘れていたんだ……大切だった友達なのに。忘れていたんだよ!」
それは事実。もう取り返しの付かない過去の罪。 彼女に言っても何かが変わるはずもない。 ただの懺悔。 それでも許しを乞う僕は何かを期待しているのか。 彼女の紅い瞳が、思い出にあるスズのルビーの目と重なる。
「大丈夫、あなたはもう忘れないと思うから。いつでも思い出せるから」
肩を震わせ声もなく涙を流す僕を、彼女はそっと抱き締めてくれた。 その温もりはスズの温もりと似ていて、淋しくなりそうなときにいつも一緒にいてくれたあの頃に慰められているようで……。
ありがとう、スズ。
首に付けた鈴の音が今にも聞こえてきそうで、耳を澄ます。 でも、聞こえてきたのは綾波の心臓の音だけだった。 思い出にある鈴の音はもう聞こえるはずがなく、記憶に残る響きをできるだけ正確に頭の中で再生するのが精一杯だった。
チリン、チリンと鈴の音が聞こえたような気がした。
それから僕はだんだんと心が落ち着いてきて、抱き締められてるのが急に恥ずかしくなって慌てて離れた。
「ありがとう、もう大丈夫だから」 「あのお地蔵様、なんだかいかりくんみたい」
なんでいきなりそういう話しになるのだろう。 そんな気紛れな感じは、紅い瞳もそうだけどスズと良く似ている。 もしスズが人の姿をしていれば、こんな感じだろう。
「いかりくんって、笑うとこんな感じだと思うの」
暗くてよくわからないけど、彼女にはそのように見えるのだろう。
「笑ってみて?」
泣いた側から笑えって! とは思いつつ、それがおかしくて笑ってしまう。
「やっぱり似てる」 「そうかな?」 「うん」 「自分じゃわからないや」
でも、他人のようには思えないかも。 ちょっと愛嬌のある笑顔が可愛らしい。 綾波も僕の笑顔が可愛いと思っているのだろうか。 それは嬉しいとけど、ちょっと複雑な気分。
「これは、何?」
彼女が指差したのは、お地蔵様の足下の石。上は平たくなっていてお金が置いてある。
「お賽銭だよ」 「お賽銭? 神様なの?」 「まあ、そんなところかな」
ふと気になった、この金額ってまさか! 数えようとしたけれど、そんな罰あたりな事をできる訳もなく。 数えなくても、あの金額と一緒だろうとは想像が付いた。 そうじゃなくてもそうだと思えばいい。 すべては夢であって現実だったと。
僕は持っていた缶詰めをそこに置いた。
「もうお別れは済んだかね」 「ミャ〜オ」 「では参ろうか」
紳士は白猫に向けて杖を振る。すると眩い光に包まれ、中心に集まりだんだんと人の形を作ってゆく。 やがて光はおさまりそこから現われたのは、背中に天使の羽を持つ、蒼く輝く銀髪の少女。 地に一瞥を向けた瞳は、透き通った深紅。 その瞳を軽く閉じ、数回羽ばたいては体を包むように隠す。 しばらくして大きく広げると。
「さようなら」
言葉は、彼女に許された最後の願いだった。 そして紳士に手を曳かれると、黄桃の缶詰めを胸に大事そうに抱えて天へと昇ってゆく。
チリン、チリンと、鈴の音を残して。
最後まで付き合って頂いた方、どうもありがとう。 疲れてきてだんだんいい加減になってきているのがまるわかりで、まったく失礼なやつですみません。
手直しして正式投稿とか考えると気が思くなります。
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482743 (-2147482792) 【 日時 】05/09/22 21:51 【 発言者 】牙丸
石像と猫の意味がようやくわかりましたよ。 最初の頃には、こんな風に仕上がるとは予想もつかなかったですね。
最後までお疲れ様でした。
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482739 (-2147482792) 【 日時 】05/09/23 20:12 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>疲れてきてだんだんいい加減になってきているのがまるわかりで
集中力の持続しないタイプやね(爆)。私もそうですが(^^;)。ほんとに集中できる時間って、三分くらいのような気がします。
それはそれとして、面白かったと思いますよ。牙丸さんと同じく、こうなるとは思わなかったです。ラストの感じはいいです。 不満と言えば、なお。さんも自分で書いてる通りコミカルな部分が浮いてるのかなってところと、最初の方に出てきた「赤い瞳の猫」をもう少しちゃんと扱いたかったというか生かしたかったかな。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482722 (-2147482792) 【 日時 】05/09/23 23:58 【 発言者 】なお。
牙丸さん 石像と猫の意味、わからなくて当然w 構想もなかったのに無理矢理こじつけて繋げましたから(爆)
tambさん ツッコミの嵐を予想していたのに、なんか思ったよりもあっさりとしたコメントで拍子抜けw あんまし考えてないって表明しておいたからそれを見越してなんでしょうが、暗にちゃんと書き直して出直して来いって言われてるような気が……。
そのうちにってことで。
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482721 (-2147482792) 【 日時 】05/09/24 13:30 【 発言者 】北並
最後にすべてが解けるタイプの文を好むのはミステリをよく読むからなのでしょうか(聞くな)。
結局最後までシンジ君は綾波さんにペースを握られたままでした、と(笑)。
不満は・・・ないと言えば嘘になりますが、今さら若輩者がわざわざあげつらうことでもない気がするので・・・。
ただ、夢の中だけで十分完結している気もします(核爆)。
>「……ぱい…たん……ら」
ここが知りたい!教えてください(笑)。
それでは、お疲れ様でした。
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482720 (-2147482792) 【 日時 】05/09/25 01:22 【 発言者 】なお。
>> 「……ぱい…たん……ら」 > ここが知りたい!教えてください(笑)。
白湯ラー……じゃない! 心配したんだから、と言っています。 確かにこれじゃわかんないよね。参考になります。
> 若輩者がわざわざあげつらうことでもない気がするので・・・。
と、いうわけで。ささ、気にせずにどぞ。 こちらも歳は喰ってても若手らしいんでw
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482719 (-2147482792) 【 日時 】05/09/25 01:54 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>心配したんだから、と言っています。
わからんわな(笑)。
>こちらも歳は喰ってても若手らしいんでw
私も若手ですんでよろしくどぞ。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482718 (-2147482792) 【 日時 】05/09/25 08:46 【 発言者 】あやきち
とりあえず、きちんとした形でアップされるのを待ちます。
年末までによろw
【タイトル】Re: 石像と猫2 【記事番号】-2147482717 (-2147482792) 【 日時 】05/09/26 00:25 【 発言者 】パッケラ
長くなり過ぎて読んでる暇ないよん まとめて作品にして投稿すれ(鬼 感想はそれから(屑
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