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予告投下SS
日時: 2009/05/31 00:00
名前: のの

【タイトル】予告投下SS
【記事番号】-2147482640 (2147483647)
【 日時 】05/10/09 01:20
【 発言者 】のの

仮タイトル 2017年の少年

 三年前に第三新東京市を離れた<神の射手>碇シンジの生活習慣に関して口を出すものはだれ一人いなかったが、だれもが訝しんだり、非難がましい目を向けるのをやめなかった。かれらがみな碇シンジという少年の経歴を知っているわけではなかったが、数少ないかれの過去を知るもの、それを知らないにせよかれと知人、あるいは友人関係にあるものもまた、いまのかれの態度からはおよそ親近感を感じることができず、表面的なつきあいにとどまってしまう。
 碇シンジはそのことをあまり気にかけなかったが、三年前の方がいまよりもいい世界だったのでは、ということだけは気になった。そんなことを考えたところでどうにもならないのだけれど。きっと、14歳のころの自分は住みよいと感じるだろう。あのときの自分はそれを望んでいた。だから文句を言うつもりもない。ほんの少し自分が変わっただけだ。
「えー、それじゃあ碇君」
 いきなり名指しされて驚いたかれは顔をあげると、世界史の教師がこっちをじっと見ていた。右手でいまどき使うひとも珍しい教鞭を、ひゆん、としならせている。パワーポイントで表示されたアジアの地図となにかの分布図が目に入った。シンジは考えごとをしながらも頭の片隅で聞こえていた教師の説明を思い出し、さらに地図の右上に書かれた「緑茶の原産地」という文字が目に入った。そうだ、そうだ――
「中国南部の……」
「今で言うと?」
「広東国」
 去年できたばかりの新興国家の名前を挙げ、教師が「よろしい」と言った。そのことに安心すると同時に、授業に集中し直す。ひまがあると考えごとをしてしまうのはあまりいい癖ではないな、とシンジは自戒をこめてかすかなため息をついた。ちら、と机のパソコンの右上を見る。十一時五十分。あと二十分で昼休みになる。
 世界史の教師はかん高い声とつり上がった目が特徴的な男で、セカンドインパクトのまっただ中にもそれなりのコネがあったらしく(そのあたりを正確に言ったわけではないけれど)寝食が保証された生活をおくれたことが自慢の、いわゆる「鼻持ちならない野郎」だった。生徒からの評判はすこぶる悪い。口の悪さは高慢さがそうさせるのだろう。シンジはサードインパクト以後、そうしたにんげんをいやというほど見てきたのでその程度ならまだかわいげがあると思っている。
 とはいえ、生徒から最も悪口を言われるのは、三年生の女子とたいそういい仲らしいという理由からだった。その女の子というのが真っ黒い髪を肩まで伸ばし、背が低く、体の線が細い、なかなかかわいい女の子なものだからますますたちが悪い。なるほどそれはよくないなとシンジも思う。もちろんそれは倫理観から思うのではない。
 昼休みになると、友人が二分も待たせずにやってくる。<介添人>と冗談で自称する上級生で、友人の渚カヲル。彼は授業が終わると、男女と問わずかれと昼休みの時間をすごしたがる同級生を尻目に階下のシンジがいる教室に顔を出す。そのためこのクラスの女子の人口密度は他より高くなり、男子は下がる。
「やあ」
 彼はいつもどおりのあいさつでやってきた。制服をだらしなく着る(そうしている人たちからすれば「着こなして」いるのだろう)感覚がないため、彼はやたらと優等生にみえる。銀色の髪すら似合わせる容姿には、女子ならずともくらくらするのはシンジにもよくわかる。
「眠たそうだね」
 カヲルが困り笑いのような顔を作る。
「よくわかるね」
 シンジはもう少し困った顔をした。
「眠れない?」
「すぐに目が醒めちゃうんだ」
 弁当の包みをほどきながらカヲルが訊く。「どうして?」
「夢を見るからね」と<神の射手>は言う。
 答えのわかっていた質問にカヲルはまじめな顔で頷く。心配している、という様子ではなかった。かわりに弁当をみて、眉を寄せた。
「しまった」
「どうしたの?」
「今日の夜はまぐろ丼にするつもりだったのに」
 と、そぼろ弁当をシンジに見せて、かれは不満足そうに弁当に手をつけはじめた。
「仕方ないよ」
「それはそうさ。でもそういう問題じゃない。わかるだろ?」
「お弁当をつくってくれる人がいるだけマシと思わなきゃ」
 一人暮らしのシンジからすればそれだけで羨ましい話だった。
「まあね」
 渚カヲルに恋人がいないわけがない。しかしそれでも教室の空気はすこし止まった。かれに対して真剣に恋心をいだくものも、そうではないにせよなんとなく不快なものも、あるいは「おれにはどうせそんな子いねえよ」というやっかみの感情を隠さない男子たちがいっせいに口の中だけでため息をついたのだった。あいかわらずだなあ、と緊張した空気をおかしく思うシンジはマイペースに自分でつくった弁当に箸をつける。
 いつも通りの昼休みをすごし、午後の授業をうとうとしながら聞いていると終わった。特に部活動をいそしむということがないシンジとカヲルだが、すぐに帰るということはあまりない。ホームルームが終わるとシンジがカヲルのいる教室に行って、小一時間話をすることが多い。今日もとくにそうしない理由がないのでカヲルのいる3年F組の教室に入った。昼休みはカヲルが、放課後はシンジがおたがいの教室にむかうことから、実のところふたりは同性愛者じゃないかという憶測が本気で飛び交ったこともある。カヲルに恋人がいるということが発覚する前までは。
「あ、またきた」
 教室に入るなり、そう言った西田アヤノが言葉とは裏腹に手を振ってきた。一番ドアに近い席にいる彼女とシンジは文化祭実行委員という同じ肩書きを持っているためにつながりがあった。
「どうも」
 シンジはそれだけあいさつして通りすぎようとしたが、「ねえねえちょっと」と呼び止められてできなかった。
「あのさ、予算のことなんだけど」
「予算……?ああ、模擬店の」
「そう。あのね、やっぱり各クラスが自腹切るしかないんだって」
「ああ……でも、仕方ないですよ。去年より一店舗増やすんだから、そのぶん……」
「そうなんだけど、余るクラスが出るならさー、最初から模擬店に回せばいいじゃん」
「僕に、言われても……」
「だって碇君、委員会の財布のヒモ握ってるじゃん」
「ううん……まあ、そうなんです、けど。でも、別に問題ないと思いますよ。だって、売上金で帳尻合わせればいいんですから」
「そういう適当なのって、あんまりよくないと思うけど……特にお金のことはさー」
「そんな厳密にやったって、どうせクラスの実行委員次第ですよ、すみずみまで均等なんて」
 言い捨てて、でも、と食い下がる西田を無視してシンジは窓際のカヲルに「今日は?」ときこうとした。しかしカヲルがくすくすと笑っているので、
「どうしたの?」
「いや、べつに」
「そう……?」
「まあまあ、いいじゃないか、べつに」
「まあ、いいけど」
「土曜日の練習がなくなったから、今日は部活だって言われちゃってね」
「アスカ?」
「そう。僕としてはまったく了承しかねるところなんだけれども、仕方ないね」
 さも残念そうにため息をつくカヲルがおかしかった。この自称<介添人>は恋人のこととなるといつもの伊達男ぶりが彼方へいって、らしからぬ子供っぽさをみせる。
「シンジくんは今日、予定はないのかい」
「ないよ」
「デートのひとつでもすればいいのに、男なんだから」
 かれはからかう目つきで言った。向かいに座るシンジよりも奥を見ている気がしたが、シンジは照れて気づけなかった。
「そんなこと、できないよ」
「悪くないよ、自分を想ってくれるひとと一緒にいるというのはね」
「そりゃそうだろうけど」
「想像じゃわからないものさ」
「だからって、できないよ。わかってるだろ?」
「結婚するまで操を守るなんて考えてるわけじゃないんだから、いいじゃないか。愛があればね。それとも――」
 一泊間を作り、小声で「なくなるのが怖いかい?」と言った。シンジはむっとしながら「今日は攻撃的だね」
「気分屋なだけさ。あっちへふらふら、こっちへふらふら……」
 彼は唄うように言葉を使う。それがシンジをはじめ、多くのものを引き寄せるが、それが眩しすぎる場合があることをなにより知っているのがシンジだった。今日の気分からすれば、そういうカヲルとは距離を置きたくなる。
「僕は忘れられないんだ」
「だったらなおのこと、ちょっと遊ぶくらいはねえ?」
「趣味じゃない」
 きっぱりと言い返し、自分の言葉に間違いがないことを確認するように頷き、もう一度言った。「趣味じゃない」
「やれやれ、お堅いことだ!」
 わざとらしい仕草で話を一区切りさせたカヲルが席を立ち、後ろのロッカーに腰をかけた。足、長いなあ。シンジはぼんやり考える。と、窓の向こうに見える校舎の一部にかかった垂れ幕が見えた。「黎明祭まであと30日」と書かれたそれをながめ、ため息をついた。
「どうかした?」
「学園祭が面倒くさい」
「実行委員がそんなこと言ってはいけないな。ましてや運営に直接かかわることをやっているんだし」
「だからだよ」
「ならやめればいい」
「一度こうなっちゃった以上、しかたないだろ?」
「まあ確かにね。人づきあいというのは必要だ」
「それに……僕には一緒に楽しむひともいないんだ。くらーい気分になるだけだよ」
「だからそこは女の子を誘うんだよ」
「他のだれかとなんて、カヲル君も無茶苦茶いうね」
「そうかな」
「そうだよ」
「僕はわりと、ありえる話だと思うよ」


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482639 (-2147482640)
【 日時 】05/10/09 02:12
【 発言者 】D・T

村上春樹っぽい(と言っても良いものか)。初期の、『僕』と『鼠』の頃を思い出させる。
こういう雰囲気がとても好きなので、ののさんのFFを読むたびにたまらない気持ちになる。
この話は『CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU』と同じ世界なのでしょう。『彼女』はきっとこの世界にはいない。
世界に思いを馳せるほど切ない気持ちです。


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482638 (-2147482640)
【 日時 】05/10/09 21:59
【 発言者 】なお。

 ほんとうに予告してから書き始めたのだろうかと疑ってしまうほど早いですね。ののさんらしいサラリとした雰囲気がとても印象的でした。
 どう例えてよいのかうまい言葉が見つかりませんが、少女漫画なんかででてくるイケメン2人の会話みたいな(爆)一言で表すとクールで済むのかもしれないw

 カヲルってちょっと感性が外れたイメージが強いのだけど、このカヲルはとても人間臭いです。割と識っているというのか。
 それなのに違和感がないのです。とても、らしい。

 切なさはもちろん感じるのだけど、私としては「かんばれ!」って応援したくなる気持ちでした。


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482637 (-2147482640)
【 日時 】05/10/10 02:14
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

 文体が変わった。というか、エスカレートしたような気がする。初期村上春樹の文体ってすぐには思い出せないけど、一人称にすればまさにそんな感じかもしれない(「鼠」の頃って全部「僕」だったよね?)。文章に熱を感じないところなんかはまさにそんな感じ。これは誉め言葉ね。

 でも、とりあえずこれがそのまま投稿で来たとしたら大量に突っ込みます、とは言っておこう(笑)。長いと大変だけど、ちゃんと推敲はしてね(はぁと)。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482636 (-2147482640)
【 日時 】05/10/10 02:28
【 発言者 】のの

どもでーす。
いまも書いてます。
みなの反応を聞きながら書けるというのはいいかも。
反面「わー聞きたくねえ」ということもあるかもしれないけどね(笑)

>D・Tさん
じつは村上春樹氏の作品はエッセイしか読んだことないです。
でも最近読みたいひとのひとり。これ終わったら読んでみようかしら。
この話のオチをどうするか悩んでます。
暗くしてもね……とか。でもなあ……って。

>なお。さん
イケメンすか(爆)
でもたしかにそうなってる。
EOEのカヲルをどう書くかはいつも悩みます。
今回は意図的に人間くさく書いてます。どう転ぶやら。

>tambさん
文体、変えようとしてます。ちょっと言葉の多い文章に飽きてきたというか、満足できないというか……。
なんというか、ちょっと技巧的に書いてる感じです。
ただちょっと、おっしゃるとーり熱がない。これはどうなんだと思ったりもする(^^;
そして大量に突っ込まれる予告をされた(爆)
推敲、しますよ……セリフもたぶんけっこうばっさり切ったり。
これがちゃんと形になればいいなー。


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482627 (-2147482640)
【 日時 】05/10/10 23:15
【 発言者 】なお。

> でも、とりあえずこれがそのまま投稿で来たとしたら大量に突っ込みます、とは言っておこう(笑)。長いと大変だけど、ちゃんと推敲はしてね(はぁと)。

 私にはどこがどうなのかサッパリ。
 もしこれを私が書いたものとして(ののさん、失礼)突っ込みが来たら、対処のしようがありませんw
 自分のレベルが窺い知れるというものです。


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482626 (-2147482640)
【 日時 】05/10/11 00:43
【 発言者 】牙丸

予告にして、結構満足出来る内容です。
スラスラと読めるところが凄い。
何だか、文章を読んでいると言うよりは空気を読んでいるような気分です。
上手く説明出来ませんが、文章中の世界観は一つの世界として成り立っているものですが、これはその世界を覗いているって感じよりは、こっちの世界にその世界が広がっているという感じです。
分かりやすく言えばとてもリアル。でも、その言葉ともちょっと違う気もするんですよね。
とにかく、本編楽しみに待ってます。


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482625 (-2147482640)
【 日時 】05/10/11 02:39
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>ただちょっと、おっしゃるとーり熱がない。これはどうなんだと思ったりもする(^^;

 私的にはどうなんだとは思わないけど(笑)。これは作者の領分だわな。
 文章的には恐らく読みにくい部類に属すると思うけど、だからちゃんと読もうという気にさせる文章でもある。これは計算でやってるならすごい。まぁ少なくとも読みやすくないのは前からだけど(笑)、それは必ずしも悪い事じゃない。でもよい子はやたらとマネしないように。単に読みにくいだけの文章になるでしょうから(笑)。マネするなら決意を持ってどうぞ。

>私にはどこがどうなのかサッパリ。

 少なくともこの段階でストーリーがどうのとかはないし、文体に文句を付ける気もないので、突っ込むのは誤字関連だけなんですが(笑)。
 とりあえず気になったのは「彼」と「かれ」の使い分け。もしかしてカヲルだけ「彼」かと思ったけどそうでもなかったので、これは何とかするべきかと。
 「口を出すものはだれ一人いなかったが」とかも「口を出す者は誰一人いなかったが」の方が妥当かも。まぁこれは微妙だけど。ただ、続きの文章が「だれもが訝しんだり」なんで、「口を出す者は一人もいなかったが」にするかもしれない。「だれ」の重なりで強調したいならやっぱり漢字を使って「口を出すものは誰もいなかったが、誰もが訝しんだり」にするかもしれない。「口を出すものは誰一人いなかったが、誰もが訝しんだり」もアリ。でも推敲時に戻すかも(爆)。私なら「口を出す者は一人としていなかったが、誰もが訝しんだり」にするかな。

>彼はやたらと優等生にみえる。

 この「彼」は不要と見た。「やたらと優等生に見える」だけでいいでしょう。

>一泊間を作り

 「一拍」でしょうな。

 まぁこんな感じ(爆)。指摘の是非はともかく(^^;)、異なるケースの指摘をいくつか出してみました。投稿作家の皆様は思い当たるフシがおありかと思われます(笑)。対処できるでしょ?

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482624 (-2147482640)
【 日時 】05/10/11 21:38
【 発言者 】のの

どもです、ののです。
レスアリガットさんですみなさん。

>牙丸さん
できれば控えめに待っていただけると幸いです……(汗)
SSに関して、ひとりで書いてるときのテンションはそれはそれは高いのだけど、ひとから言われると途端に恐縮してしまう(^^;
そのくせ多くのひとに読んでもらいたいと思ってはいるのだから困ったものです。

>tambさん

>文章的には恐らく読みにくい部類に属すると思うけど、だからちゃんと読もうという気にさせる文章でもある。これは計算でやってるならすごい。

計算というか「ふだんとちょっと違う空気になればいいな」くらいのものです。すべてを計算してたらむしろイヤミな野郎だ(笑)

>まぁ少なくとも読みやすくないのは前からだけど(笑

ぐはっ(爆)

>突っ込むのは誤字関連だけなんですが(笑)
「彼」「かれ」は途中からルールを変えてしまいましてごっちゃになってます……。
ワープロで打つ原稿は漢字が多くなる(僕の今までの経験からして普段使わない、知らない字をおおく使ったりする)
ことへの疑問から、不要と思われる漢字変換をやめていたんですけど、「彼」は許されるなと思いまして。
でないと「かのじょ」って打つことになるし、それは変だなと。
「一泊」は完全にミスですが(爆)
「口を出すものはだれ一人いなかったが」も同じ理由でひらがなにしてます。
が、まあこれらは暫定的なものなので書き上げたらまた考える必要があるでしょう。
誤字脱字の王サマであるワタクシはこういうところまで気をつけてるとそれらはさらに増える気がするのだけど(爆)


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482623 (-2147482640)
【 日時 】05/10/12 00:43
【 発言者 】なお。

> 対処できるでしょ?

なるほど、そういったところでしたか。
それは確かに長いと大変。しかも書きかけで放りっぱなしだったのを再開したりすると、それまでのルールがわからなくなってるし。
コロコロと変えずにいつも同じように書いていれば良いのだろうけど、良い意味で同じように書ける程、安定した物は書けないからそれも難しい。

> だからちゃんと読もうという気にさせる文章でもある。

しっかり理解しておかないとわからなくなっちゃうから、ちゃんと読もうと気合いが入るんですよねw
つまらない作品だったらそれも願い下げなんですが(爆)
というか、わからないやつはどう読んでもわからない罠w


【タイトル】Re: 予告投下SS
【記事番号】-2147482615 (-2147482640)
【 日時 】05/10/12 20:00
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>「彼」「かれ」は途中からルールを変えてしまいましてごっちゃになってます……。

 そうだと思った(笑)。投下だからね。個人的には「彼女」は漢字でも「かれ」って平仮名でも許されるとは思う。見た目の問題としての全体の漢字のバランスにもよるけど。

>「口を出すものはだれ一人いなかったが」も同じ理由でひらがなにしてます。

 個人的には「誰一人」を推奨するけど、作者の意思があればOK。良く言ってるんだけど、基本的には意思があればいいんですよ。あまりにもと思う場合は揉めることになるんでしょうけど(笑)。

>ワープロで打つ原稿は漢字が多くなる

 これは本当にそう思う。私もこれには比較的意識的で、ここは漢字を使うべきかどうかとかよく悩む。最近はプロ作家でも漢字使いすぎって感じることが多い。逆にちょっと昔の作品だと、驚くほど平仮名を多用している。ただ、例えば「これはどうかな」という文章に「これは如何かな」と使うと、あ、タッチさんだと分かるので(笑)、それはそれでアリかとは思う。

 私は登場人物にわけのわからんことを言わせるときに漢字を多用したりする。セリフそのものも漢字の多用しやすいセリフに変えたり。
 漢字の多用はそれなりな雰囲気を出してしまうことが多いので、ちゃんと生かせればいいんだけど、当然危険性もある。硬さが出ると言うか。例えば、

「霧となった水しぶきが降りそそぐ水面は炭酸のように泡立って水の輪を作っている。地下から吹き上げる曹達水の雨を浴びながら、蜜蜂は飛び交う蛍星の燈下で雪花石膏のように浮かび上がる塑像を眺めていた」

なんて文章に対して

「漢字はそこでたんに、噴水の水から、<「炭酸のように」→「曹達水の雨」>という<直喩→暗喩>を移行を経て、「曹達水」を導くだけで、肝腎の水の官能性を描く事もできず、そもそも、この種の擬似マニエリスムではそれは描きがたいのだ」

 という批評もありえるわけだ。それで? という気もするんだけど(笑)。

 ちなみにこれは「それでも作家になりたい人のためのブックガイド」110Pから引用。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872331435/249-9450746-9580304
私は100円で買いました(笑)。この本、小説を書くための助けになるとは全く思わないけど、そこそこ面白い。100円なら買ってもOKかと(笑)。。


>しかも書きかけで放りっぱなしだったのを再開したりすると、それまでのルールが
>わからなくなってるし。

 そーゆーときは最初っから書き直す(笑)。

>というか、わからないやつはどう読んでもわからない罠w

 正しい(爆)。

mailto:tamb○cube-web.net

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