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Why don't you skip a class?
日時: 2009/05/31 00:00
名前: tomo

【タイトル】Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147482022 (2147483647)
【 日時 】06/04/15 01:52
【 発言者 】tomo

「……それでは、今日はここまでにしましょう。来週は、今日の続きから、そうですね………」

教授の言葉を僕は最後まで良く聞き取ることができなかった。
終了の5分ほど前から教室全体がどことなく浮ついた雰囲気だったのが、教授が終了を示唆する言葉を発した瞬間、爆発的にざわつきだし

てまったために。

(……せめて教壇から降りるまで待てばいいのに……)

それが礼儀ってものだと思うけど。
必ずしも伝わらない言葉を発し終えて、教授は教壇を降りてくる。
なんとなく、その姿を視線でおってしまう僕。
教授が出口のドアに手をかけたときには、既に5分の1近くの人間がこの教室から退出していた。

「……そんなに急いでどうするんだろ……」

小さくそう口にしながらも、なんとなく、その理由は察しがついてた。
今日は土曜日。そして、今の授業は午前の最終授業。現在の時刻は12時ちょっとすぎ。おまけに、外は麗らかな春の日差しに包まれてい

る。
こんな日はどこかに行きたくなるのが普通ってものだろう。

「……いいなぁ……」

今度は独り言にしては若干大きめにつぶやいてみる。
結果的にただでさえ億劫だった気分を余計に憂鬱なものにしてしまう。

「……ま、仕方がない、よね」

これ以上ここにいても余計気分がめいってきそうだったので、僕は早々に荷物をまとめて教室を出た。


校舎の外に出てみると、そよそよとそよぐ風が、ますます今が春の真っ盛りである事を告げてくる。

「……………ッ」

なんとなく思いっきり伸びをしてしまう僕。
90分近く座りっぱなしだった肩や腰が穏やかでない音を立てていた。

(……これって、歳のせいなのかな、やっぱり……)

確かに僕はあの頃よりも歳をとっている。
成長期を経験した体には、もうあのときの面影はあまりない。
そして、体の変化は心にも微妙な変化をもたらしていく。
人生で一番過酷だったであろう日々の経験は、もう感覚でしか思い出せない。
その感覚ですら、もはや薄れてゆくのみ運命だ。
でも。
それでいいのだと思う。
その後、彼女と一緒に過ごしてきた時間が僕にそんな風に思わせてくれる。

(……だからって、こういう歳のとり方はやだけどさ……)

未だ違和感を感じる肩を2,3度大きく回しながら、僕は苦笑する。
今なら、かつてたびたび聞かされたミサトさんの愚痴も良くわかってあげられるような気がする。
そんな事を思いながら、授業が終わったばかりで人の溢れているキャンパスの中を僕は一人、歩き出す。
右へ左へ。がやがやと喧騒に包まれたキャンパスを縦横無尽に移動する。
まだ入学して一年しか経っていないけれど、僕はもうこのキャンパスの事ならたいていの事はわかるようになっていた。
そんな風にしてどんどんと進んでいくと、やがて人の姿もまばらになり、あたりの雰囲気も静かものへと変っていく。
やがて、キャンパスの中心からだいぶ遠くまで来たときには、僕の視界に入る人影は、2、3人にまで減っていた。

(………あれ?……)

視界に一瞬だけ入った人影に妙な感覚を覚える。
僕は立ち止まり、もう一度ゆっくりと周りを見回してみる。
確認できた人の姿は2つ。
一つは、校舎を背後にして携帯電話をかけている人。
もう一つは、ベンチに腰掛けて本のようなものに目を落としている人。
それだけで自分の感覚の意味を理解する事ができた僕は、再びゆっくりと歩み始めた。


「お嬢さん、何を読まれているのですか?」

自分でも少し作りすぎかもしれないと思いつつ、僕は精一杯、自分の中の『紳士』な部分を出しながら声をかける。
ライトグレーのメガネの奥の、紅い瞳が小さく動き、僕を捕らえる。

「……放送の特殊性は、市場で取引されている普通のサービスと異なり、消費の排除性も競合性も有しないという点にある。この特殊性と

、放送サービスが持ち合わせている、『社会にとっての基本的情報』の提供という社会的役割を考慮すれば、受信料という広告料とは別の

財源を基礎とする放送企業を設営する事もあながち不合理な事であるとは言い切れない……」

聞いていてもさっぱりわからなくなるような内容の文章をスラスラと読む彼女。

「それ、言ってる意味、わかってる?」

思わず聞き返してしまう僕。

「だいたいは」

彼女はそういうってコトは、たぶん、彼女の頭の中ではほとんど理解されているのだろう。
僕は何も言わず彼女の横に腰掛けた。

「それで、どうしてこんなところで長谷部恭男なんて読んでるの?」

「この時間、ここが一番静かだからよ」

たしかに。ここはさっき僕がいた場所に比べれば、驚くほど静かだった。
それもそのはず。
土曜の12時過ぎに学食の周辺にいる人物なんて、僕のように運悪く午後の授業を採る羽目になった人間くらいだ。
僕は背もたれに深々と体を預けると、顔を上に向けてみる。
空はとても澄んでいて、流れる雲一つない。

(……どこからどうみても、非の打ち所ない小春日和だなぁ)

しばらくの間、そうやってボーッと空を見つめる。

「授業は?」

ふいに、彼女が声をかける。

「……著しくやる気が減退してるんですけど」

そのままの姿勢で僕は答えた。

「だめよ、サボっちゃ」

短く叱責する彼女。

「……そういう綾波は受けるの? 授業」

「……野口の刑法は嫌いなの」

「そりゃまた、何で? 綾波さんともあろう方がめずらしい」

「あの人、授業であげる具体例が刑法177条の事例ばかりなんだもの」

言われてみれば、友人の一人がそんなこと言っていたような気もする。
僕は授業中、野口が177条の事例を真面目に説明している姿を思い浮かべてみた。

「……なんというか、それはそれで、滑稽な感じがするね」

「セクハラよ、あれは」

そこまでの悪意はないとは思うけど。実際に聞いた事がないのでなんとも言いがたい。

「じゃぁ、僕もサボタージュの方向で」

そう言って彼女を見る。
ネイビーのデニムジャケットに、 幾何柄のプルオーバー、そして、ホワイトのクロップドパンツを穿いている彼女は、颯爽とした感じを受

ける。

「試験前になって私に泣きついてきても知らないわよ」

あくまで本を読みながら彼女は答える。
器用だよね、やっぱり。

「ま、そのときはそのときということで」

そういって、僕はまた空を見上げた。
かすかに香る春の香りが心地よい。

パタン。

突然、隣で音がした。
見れば彼女は本を閉じ、僕と同じように空を見上げていた。
ライトグレーのメガネが光を受け、淡い濃淡をみせている。

「そういえば」

そのままの姿勢で彼女がつぶやく。

「あのときも、こんな陽気だったわね」

「あのとき?」

「中学時代、あなたが掃除当番をサボったときよ」

「ああ、あのとき」

言いながら記憶を辿る。
たしかに、あの日もこんな風にとてもいい陽気だった。

「たしか、あのときって、結局、綾波も僕と一緒にサボったんじゃなかったっけ?」

僕の記憶に間違いがなければ、そのはずだ。

「そうよ。おかげで、アスカに私まで怒られてしまったわ」

そう言うと、彼女は僕の顔を見て笑った。その瞳は『あなたのせいよ』と暗に訴えているようだった。

「でも、サボったのは綾波の意思だろ?」

だから僕はそう反論してやる。

「かもね」

曖昧な口調で答えたあと、彼女は再び、空を見上げる。
なんとなく、僕もつられて顔を上げる。

「ねえ?」

「うん?」

「あのとき、もう私のこと、好きだったの?」

唐突な彼女の問いに、僕は反射的に彼女を見た。
僕の心臓が一気にヒートアップする。

「い、いきなりまた、すごいコト聞くね」

「そうかしら?」

『本当はそのずっと前から君の事を見ていたんだ。双子山で君が僕に微笑んでくれたそのときから』

そんな事は天地がひっくり返ってもいえないわけで。

「あ、綾波はどうなのさ」

苦し紛れに質問を質問で返してしまう。

「私?」

「そ、そうだよ。綾波は僕のこと……」

「もちろん」

僕が最後まで言い終わるより早く、彼女は答える。

「え……っ」

「きっと、あなたが零号機のエントリープラグから私を助け出してくれたそのときから、私はあなたのことを見ていたのだと思う」

空を見上げたまま、静かに彼女が告白する。
その姿が、たまらなくいとおしく思えてくる。

「僕もだよ」

思わず、そう口にしていた。

「え?」

彼女がこちらを振り向く。自然と、心臓の音は聞こえなかった。

「綾波が僕に微笑みかけてくれたあのときから、僕もずっと綾波のことを見ていたんだ」

「シンジ……」

彼女の顔がかすかに紅く染まっていく。
僕はそんな彼女の顔を真正面から見つめ返す。
どちらからともなくゆっくりと近づいていく僕と綾波。
僕の視界には、ゆっくりと目を閉じた綾波の顔が広がっていき………


「その辺でやめといたほうがいいと思うぞ」

唐突に第三者の声が響き渡る。

ドン。

わけがわからぬまま、僕はベンチに倒れこんだ。

「いつからそこにいたの?」

したたかに打った顔の痛みにもだえている僕の頭の上で声がする。

「えっと、二人で顔を向き合ったときあたりかな」

何とか体を起こすと、ケンスケがベンチから立った彼女と話している。
……というか、いつの間に彼女は立ち上がったのだろう。
彼女のすばやすぎる動きを把握できなかったおかげで、僕はベンチにキスすることになってしまった。

「別に、出歯亀するつもりはないけれど、一応、ここ大学だしね。誰が見てるかわからないわけだしさ」

「そう。わかったわ」

何がわかったのかわからないが、彼女はそういうと僕を置いてさっさと行ってしまった。
跡に残される僕とケンスケ。
しばしの間。
ヒューっと風が吹く音がしたのは断じて気のせいではあるまい。


「……なぁ?」

「うん?」

「俺ってやっぱりすっげー邪魔だった?」

「当然」

結局、僕はその後、ケンスケと学食でご飯を食べる羽目になったのだった。


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147482021 (-2147482022)
【 日時 】06/04/15 01:55
【 発言者 】tomo

すいません。立て続けに三つ目の投稿です。
さすがに三つ続けるともうネタ切れに近い感じです。文章も似通った表現が多くなってきてる気もしますし。
マンネリ気味かもしれませんがよろしかったらどうぞ。

PS
それぞれ他のスレッドへの返信はまた今度という事で。
とりあえず、今日は寝ます(爆)明日はバイトなのでした。
ごめんなさい、デス


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147482015 (-2147482022)
【 日時 】06/04/15 16:55
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>確かに僕はあの頃よりも歳をとっている。

 事実だとは思うけど、まだまだ甘いと言っておこう(笑)。まぁでも学生の頃って、妙に年寄りを気取りたくなる季節ではあるんだよな。

 それはそれとして、基本的な感覚が共有できない(笑)。受信料を財源とする放送は、受信しないという選択肢がありえるなら可だと思う。刑法177条ってのをぐぐってみた。萎えた。

 基本的にはいい話だと思う。わりと萌える。特に

>彼女はそういうと僕を置いてさっさと行ってしまった。

 このあたり(笑)。「What is what you cannot do?」もそうだけど、去って行く姿に萌えるのかな。まぁ頬はほんのり染まってないと駄目なわけだが。

>「シンジ……」

 やっぱここは「碇くん」だろ(爆)。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481997 (-2147482022)
【 日時 】06/04/16 23:18
【 発言者 】tomo

tambさん、三つ目もお読みくださってありがとうございました♪

>事実だとは思うけど、まだまだ甘いと言っておこう(笑)。

たしかに。バイト先でも腰が痛い〜もう歳かしら〜
見たいな事を言ったら、同じコトを職場の人に言われました。
4月に新入生をみているので、なんとなくそんな風に感じてしまうのデス。
やっぱり、比較の問題なんですね(?)


>それはそれとして、基本的な感覚が共有できない(笑)。

ぐはぁ。そ、そうですか。
え〜と、一応、私としても自分の世界をひた走っているという意識は感じてはいたのですが……
(そのため、三つの連作のなかで一番自信はなかった)
すいません。精進してきます。


>やっぱここは「碇くん」だろ(爆)。

「碇君」はある時期を境に卒業(?)したわけです。だから、このお話のときは「シンジ」なわけです。私的には、付き合ってるのにいつまでも「碇君」は変じゃないかと思っていたりするのですが。
「碇君」派は多いですね。


>受信料&刑法177条

ここは作者のお遊びです。(爆)以下、ネタをそれぞればらしますね。

・長谷部恭男……実在の憲法学者で、東大の先生です。リアルに私が尊敬している方の一人です。

・受信料のお話……皆さんお察しの通り、とある公共放送を意味しています。レイが論じている内容は、実際に長谷部先生の主張なさっていることの一部です。ここだけじゃ、まるで意味わかりませんけどね(壊)

・刑法177条……tambさんがぐぐってみてなえてしまったようですが(すいません)、一応、どんな犯罪かあげておくと、「強姦罪」です。
法学部では、刑法総論でこの罪についての話があるのですが、男子のなかに必ず騒ぐ(?)おバカさん
がいるわけで。(って私の大学だけかしら?)
たぶん、男子が一番覚ている条文なのではないでしょうか(笑)

・野口先生……現実には存在しない先生ですが、モデルは、私の大学の刑法の先生。本当に177条の事例が多かった。
一応、理由を挙げると、実際、177条関連の問題で論点となるところが多いので事例が挙がることはしょうがないのです。なので、実際の先生方は悪気はないと思います。

以上、ネタの説明でした。
長々とすいませんでした。
それでは、また。


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481989 (-2147482022)
【 日時 】06/04/17 17:31
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>「碇君」はある時期を境に卒業(?)したわけです。

いや、たとえ結婚しても「碇くん」「綾波」なのです(碇くん原理主義)

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481986 (-2147482022)
【 日時 】06/04/17 22:42
【 発言者 】牙丸

平和な学園ライフですねぇ。

>「……放送の特殊性は〜

シンジじゃないが、ここはまったくもってさっぱり。
何を言っているのか、そもそも日本語なのか?(爆)
凄いです。レイさん。

>「だめよ、サボっちゃ」

ツボが違う気がするが、このセリフに何故か萌えた。
こう言われるとサボるのをやめようと思える半面、一緒にいたいからサボると(笑)

>刑法177条

調べました。苦笑ということで。
これは完全にセクハラです。不潔です(笑)

>「きっと、あなたが零号機のエントリープラグから〜

きっぱりと言い切れるレイさんに拍手。
普通ならシンジのように言えません。
でもお互いに好きになった瞬間が同じだというのは、本当に凄いことだよなぁと改めて思います。

>「俺ってやっぱりすっげー邪魔だった?」

当然です。(断言)
友達なら、優しく見守っておいて、後で本人に見たぞ〜と……(爆)

>>「碇君」はある時期を境に卒業(?)したわけです。

>いや、たとえ結婚しても「碇くん」「綾波」なのです(碇くん原理主義)

私もtambさんのほうに同意。結婚してまで「綾波」はどうかと思うけど。
1000歩譲って「シンジ君」ぐらいまで。

なんかシンジって言うと、アスカのようにシンジを尻に敷いてるレイの姿が……(爆)


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481985 (-2147482022)
【 日時 】06/04/17 23:56
【 発言者 】なお。

ケンスケの登場が唐突で、それはまあいいんだけど、ベンチに倒れ込むシンジの様子がぱっと想像できなかった。
そのまま未遂で終わらせてもいいんじゃないかなーって思った。と言っても、多少の脚色は欲しいけど。


> 未だ違和感を感じる肩を2,3度大きく回しながら、僕は苦笑する。
> 今なら、かつてたびたび聞かされたミサトさんの愚痴も良くわかってあげられるような気がする。
> そんな事を思いながら、授業が終わったばかりで人の溢れているキャンパスの中を僕は一人、歩き出す。
> 右へ左へ。がやがやと喧騒に包まれたキャンパスを縦横無尽に移動する。
> まだ入学して一年しか経っていないけれど、僕はもうこのキャンパスの事ならたいていの事はわかるようになっていた。
> そんな風にしてどんどんと進んでいくと、やがて人の姿もまばらになり、あたりの雰囲気も静かものへと変っていく。
> やがて、キャンパスの中心からだいぶ遠くまで来たときには、僕の視界に入る人影は、2、3人にまで減っていた。

ここ、もうちょっとスッキリさせるといいね。丁寧ではあるんだけど、その分無駄も多くなっちゃってる。
これはtomoさんの生真面目さが悪い方向で出てしまっているパターンだろう。

> 僕はもうこのキャンパスの事ならたいていの事はわかるようになっていた。
僕はこのキャンパスの、たいていをもう知っている。

> 授業が終わったばかりで人の溢れているキャンパスを〜
まだ人のごった返すキャンパスを〜

なんて感じ、どうですか? 多少雑にはなるけど、悪くないでしょ?
最後の二行に使ってる「やがて」は、ちょっと近いから、最低限そこはなんとかしたいですよね。たぶんここはtomoさんも気付いてるんじゃないかな。


> 結局、僕はその後、ケンスケと学食でご飯を食べる羽目になったのだった。

ついでなんで、ここも(笑)


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481984 (-2147482022)
【 日時 】06/04/18 00:08
【 発言者 】あいだ

ぶっちゃけ私には書けそうにない。萌えです(笑)

>彼女がこちらを振り向く。自然と、心臓の音は聞こえなかった。

自然と、ではなく、不思議と、って言う表現になるんじゃないかと思ったのだけど、私の想定外の意図があってのものかなぁ?

あ、私も「碇くん原理主義者」である事を宣言しておきます(笑)


【タイトル】Re: Why don't you skip a class
【記事番号】-2147481975 (-2147482022)
【 日時 】06/04/20 09:10
【 発言者 】なお。

 前回私がしたレスですけど、あまり感想になってませんでしたね。ですので補足しておきます。

 3部作となった最後のこの作品。tomoさんは自信のある順番で発表したと仰ってます。
 私の中ではこの作品は二番目になりました。それはトータルバランスとして見た場合です。単純に完成度だけであげればtomoさんのあげた順番と同じです。そして、伝えているものとその発展性から見た場合、可能性としては一番になりえる作品だとも思いました。何てったって伝えているものの深さではダントツで一番ですから。

 今のところ他の二作品と比べどうも推敲不足を感じる作品ですので発展性からして大穴を空ける一番になってくれるんじゃないかと密かに期待してますが、どうなるか?


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481971 (-2147482022)
【 日時 】06/04/22 22:35
【 発言者 】tomo

牙丸さん、なお。さん、あいださん、感想ありがとうございます♪
でも。
やっぱり、というか、いろいろ突っ込まれてますね(壊)。

>彼女がこちらを振り向く。自然と、心臓の音は聞こえなかった。

自分では意味が通るつもりで書いていましたが、
辞書を調べてみて意味が通らないことを確認しました。
あ、意味は「不思議と」であっています。
指摘されるまで思いもよらなかったのですが、私の勘違いだったみたいです。
ごめんなさい、デス。

なお。さんの指摘してくださった部分は、文章をつむぐのがかなり辛かった部分でした。
シンジがキャンパスを動きながら、その辺りの風景を描写するという意図で書き始めたのですが、どうにもうまくいかず。
改訂時には、なお。さんのご指摘を参考にしながら、もうちょっとがんばってみるつもりです。

?碇君
みなさん、碇君派ですねぇ。私はマイノリティですか(笑)
なんか、私の中で恋人以上になってるのに、苗字で呼ぶっていうのがあんまりイメージできないんですよね〜リアルでも。
だから、やっぱり、親しくなったら、名前で呼ぶっていう方向になります。


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481970 (-2147482022)
【 日時 】06/04/23 10:07
【 発言者 】C.Angel

僕はまだ高校生なわけですが…
こんな大学生活は……期待しよう(爆)
レイwithメガネが流行なんでしょーか?笑


碇くんorシンジくん
僕的には、どっちでもいいですね。状況で変えますw
普段は「シンジくん」で、甘えるときは「碇くん」とか
レイの言葉の中では「くん」が平仮名なのが個人的ポリシーです笑


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481767 (-2147482022)
【 日時 】06/07/09 22:53
【 発言者 】みれあ

たとえ付き合っていようがなんであろうがお互いのことを苗字で呼ぶカップルが存在してもまったく問題ないと思います。むしろ呼べないカップルだってあちらこちらにいるわけで。学生だし。


異常、私も原理主義者であります。

とまぁおいといて。
やっぱりこれだなぁ、と。リナレイも本編もいいんすが、こーゆーレイが個人的には一番だよね、と痛感いたしました。これは勝手なフィーリングなのですが、私が昔三人目に投下してたのと同じ空気がしてます。つまり、こーゆーノリは好きなわけです(意味不明

最近時たま何か書こうともがくのですが、発想力も文章力も低下しているようでリハビリは進みません。

やっぱり、継続は力ですね。(汗

と、感想以外が長くなりましたが、(細かい部分は抜きに)すっごい楽しめました。ビバ大学。


【タイトル】Re: Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147481607 (-2147482022)
【 日時 】06/08/11 01:07
【 発言者 】tama

シンジくん原理主義者です(爆
ちなみにメガネはレイよりもシンジにかけてほしい主義でもあります。リアルでも普段メガネかけていない人がふとメガネをかけると2割増しハンサムに見えて直視できません(病気)

ちなみに私にはこんな爽やかな大学生活の記憶がありません(一大事
周りにいた人がおかしな人だったので、おかしな記憶ばかり、青春の周回遅れ(泣)
でも大学懐かしいなぁ。この空気は学生ならではだなと読んでて思いました。
どうにもケンスケのつっこみといっしょにごはんを〜の下りが、とくに学生ぽいなっと思います。
いいですよね、こういう感じ。
あとは双子山からといえないシンジときっぱりといえるレイの対比が良かったです。すごくシンジだなぁとおもいました。

メンテ

Page: 1 |

Re: Why don't you skip a class? ( No.1 )
日時: 2009/05/31 00:00
名前: tomo

【タイトル】Why don't you skip a class?
【記事番号】-2147482022 (2147483647)
【 日時 】06/04/16 01:41
【 発言者 】tomo

「……それでは、今日はここまでにしましょう。来週は、今日の続きから、そうですね………」

教授の言葉を僕は最後まで良く聞き取ることができなかった。
終了の5分ほど前から教室全体がどことなく浮ついた雰囲気だったのが、教授が終了を示唆する言葉を発した瞬間、爆発的にざわつきだしてしまったために。

(……せめて教壇から降りるまで待てばいいのに……)

それが礼儀ってものだと思うけど。
必ずしも伝わらない言葉を発し終えて、教授は教壇を降りてくる。
なんとなく、その姿を視線でおってしまう僕。
教授が出口のドアに手をかけたときには、既に5分の1近くの人間がこの教室から退出していた。

「……そんなに急いでどうするんだろ……」

小さくそう口にしながらも、なんとなく、その理由は察しがついてた。
今日は土曜日。そして、今の授業は午前の最終授業。現在の時刻は12時ちょっとすぎ。おまけに、外は麗らかな春の日差しに包まれている。
こんな日はどこかに行きたくなるのが普通ってものだろう。

「……いいなぁ……」

今度は独り言にしては若干大きめにつぶやいてみる。
結果的にただでさえ億劫だった気分を余計に憂鬱なものにしてしまう。

「……ま、仕方がない、よね」

これ以上ここにいても余計気分がめいってきそうだったので、僕は早々に荷物をまとめて教室を出た。


校舎の外に出てみると、そよそよとそよぐ風が、ますます今が春の真っ盛りである事を告げてくる。

「……………ッ」

なんとなく思いっきり伸びをしてしまう僕。
90分近く座りっぱなしだった肩や腰が穏やかでない音を立てていた。

(……これって、歳のせいなのかな、やっぱり……)

確かに僕はあの頃よりも歳をとっている。
成長期を経験した体には、もうあのときの面影はあまりない。
そして、体の変化は心にも微妙な変化をもたらしていく。
人生で一番過酷だったであろう日々の経験は、もう感覚でしか思い出せない。
その感覚ですら、もはや薄れてゆくのみ運命だ。
でも。
それでいいのだと思う。
その後、彼女と一緒に過ごしてきた時間が僕にそんな風に思わせてくれる。

(……だからって、こういう歳のとり方はやだけどさ……)

未だ違和感を感じる肩を2,3度大きく回しながら、僕は苦笑する。
今なら、かつてたびたび聞かされたミサトさんの愚痴も良くわかってあげられるような気がする。
そんな事を思いながら、授業が終わったばかりで人の溢れているキャンパスの中を僕は一人、歩き出す。
右へ左へ。がやがやと喧騒に包まれたキャンパスを縦横無尽に移動する。
まだ入学して一年しか経っていないけれど、僕はもうこのキャンパスの事ならたいていの事はわかるようになっていた。
そんな風にしてどんどんと進んでいくと、やがて人の姿もまばらになり、あたりの雰囲気も静かものへと変っていく。
やがて、キャンパスの中心からだいぶ遠くまで来たときには、僕の視界に入る人影は、2、3人にまで減っていた。

(………あれ?……)

視界に一瞬だけ入った人影に妙な感覚を覚える。
僕は立ち止まり、もう一度ゆっくりと周りを見回してみる。
確認できた人の姿は2つ。
一つは、校舎を背後にして携帯電話をかけている人。
もう一つは、ベンチに腰掛けて本のようなものに目を落としている人。
それだけで自分の感覚の意味を理解する事ができた僕は、再びゆっくりと歩み始めた。


「お嬢さん、何を読まれているのですか?」

自分でも少し作りすぎかもしれないと思いつつ、僕は精一杯、自分の中の『紳士』な部分を出しながら声をかける。
ライトグレーのメガネの奥の、紅い瞳が小さく動き、僕を捕らえる。

「……放送の特殊性は、市場で取引されている普通のサービスと異なり、消費の排除性も競合性も有しないという点にある。この特殊性と、放送サービスが持ち合わせている、『社会にとっての基本的情報』の提供という社会的役割を考慮すれば、受信料という広告料とは別の財源を基礎とする放送企業を設営する事もあながち不合理な事であるとは言い切れない……」

聞いていてもさっぱりわからなくなるような内容の文章をスラスラと読む彼女。

「それ、言ってる意味、わかってる?」

思わず聞き返してしまう僕。

「だいたいは」

彼女はそういうってコトは、たぶん、彼女の頭の中ではほとんど理解されているのだろう。
僕は何も言わず彼女の横に腰掛けた。

「それで、どうしてこんなところで長谷部恭男なんて読んでるの?」

「この時間、ここが一番静かだからよ」

たしかに。ここはさっき僕がいた場所に比べれば、驚くほど静かだった。
それもそのはず。
土曜の12時過ぎに学食の周辺にいる人物なんて、僕のように運悪く午後の授業を採る羽目になった人間くらいだ。
僕は背もたれに深々と体を預けると、顔を上に向けてみる。
空はとても澄んでいて、流れる雲一つない。

(……どこからどうみても、非の打ち所ない小春日和だなぁ)

しばらくの間、そうやってボーッと空を見つめる。

「授業は?」

ふいに、彼女が声をかける。

「……著しくやる気が減退してるんですけど」

そのままの姿勢で僕は答えた。

「だめよ、サボっちゃ」

短く叱責する彼女。

「……そういう綾波は受けるの? 授業」

「……野口の刑法は嫌いなの」

「そりゃまた、何で? 綾波さんともあろう方がめずらしい」

「あの人、授業であげる具体例が刑法177条の事例ばかりなんだもの」

言われてみれば、友人の一人がそんなこと言っていたような気もする。
僕は授業中、野口が177条の事例を真面目に説明している姿を思い浮かべてみた。

「……なんというか、それはそれで、滑稽な感じがするね」

「セクハラよ、あれは」

そこまでの悪意はないとは思うけど。実際に聞いた事がないのでなんとも言いがたい。

「じゃぁ、僕もサボタージュの方向で」

そう言って彼女を見る。
ネイビーのデニムジャケットに、 幾何柄のプルオーバー、そして、ホワイトのクロップドパンツを穿いている彼女は、颯爽とした感じを受ける。

「試験前になって私に泣きついてきても知らないわよ」

あくまで本を読みながら彼女は答える。
器用だよね、やっぱり。

「ま、そのときはそのときということで」

そういって、僕はまた空を見上げた。
かすかに香る春の香りが心地よい。

パタン。

突然、隣で音がした。
見れば彼女は本を閉じ、僕と同じように空を見上げていた。
ライトグレーのメガネが光を受け、淡い濃淡をみせている。

「そういえば」

そのままの姿勢で彼女がつぶやく。

「あのときも、こんな陽気だったわね」

「あのとき?」

「中学時代、あなたが掃除当番をサボったときよ」

「ああ、あのとき」

言いながら記憶を辿る。
たしかに、あの日もこんな風にとてもいい陽気だった。

「たしか、あのときって、結局、綾波も僕と一緒にサボったんじゃなかったっけ?」

僕の記憶に間違いがなければ、そのはずだ。

「そうよ。おかげで、アスカに私まで怒られてしまったわ」

そう言うと、彼女は僕の顔を見て笑った。その瞳は『あなたのせいよ』と暗に訴えているようだった。

「でも、サボったのは綾波の意思だろ?」

だから僕はそう反論してやる。

「かもね」

曖昧な口調で答えたあと、彼女は再び、空を見上げる。
なんとなく、僕もつられて顔を上げる。

「ねえ?」

「うん?」

「あのとき、もう私のこと、好きだったの?」

唐突な彼女の問いに、僕は反射的に彼女を見た。
僕の心臓が一気にヒートアップする。

「い、いきなりまた、すごいコト聞くね」

「そうかしら?」

『本当はそのずっと前から君の事を見ていたんだ。双子山で君が僕に微笑んでくれたそのときから』

そんな事は天地がひっくり返ってもいえないわけで。

「あ、綾波はどうなのさ」

苦し紛れに質問を質問で返してしまう。

「私?」

「そ、そうだよ。綾波は僕のこと……」

「もちろん」

僕が最後まで言い終わるより早く、彼女は答える。

「え……っ」

「きっと、あなたが零号機のエントリープラグから私を助け出してくれたそのときから、私はあなたのことを見ていたのだと思う」

空を見上げたまま、静かに彼女が告白する。
その姿が、たまらなくいとおしく思えてくる。

「僕もだよ」

思わず、そう口にしていた。

「え?」

彼女がこちらを振り向く。自然と、心臓の音は聞こえなかった。

「綾波が僕に微笑みかけてくれたあのときから、僕もずっと綾波のことを見ていたんだ」

「シンジ……」

彼女の顔がかすかに紅く染まっていく。
僕はそんな彼女の顔を真正面から見つめ返す。
どちらからともなくゆっくりと近づいていく僕と綾波。
僕の視界には、ゆっくりと目を閉じた綾波の顔が広がっていき………


「その辺でやめといたほうがいいと思うぞ」

唐突に第三者の声が響き渡る。

ドン。

わけがわからぬまま、僕はベンチに倒れこんだ。

「いつからそこにいたの?」

したたかに打った顔の痛みにもだえている僕の頭の上で声がする。

「えっと、二人で顔を向き合ったときあたりかな」

何とか体を起こすと、ケンスケがベンチから立った彼女と話している。
……というか、いつの間に彼女は立ち上がったのだろう。
彼女のすばやすぎる動きを把握できなかったおかげで、僕はベンチにキスすることになってしまった。

「別に、出歯亀するつもりはないけれど、一応、ここ大学だしね。誰が見てるかわからないわけだしさ」

「そう。わかったわ」

何がわかったのかわからないが、彼女はそういうと僕を置いてさっさと行ってしまった。
跡に残される僕とケンスケ。
しばしの間。
ヒューっと風が吹く音がしたのは断じて気のせいではあるまい。


「……なぁ?」

「うん?」

「俺ってやっぱりすっげー邪魔だった?」

「当然」

結局、僕はその後、ケンスケと学食でご飯を食べる羽目になったのだった。

メンテ

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