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ある少女の破壊的二律背反
日時: 2009/05/31 00:00
名前: のの

【タイトル】ある少女の破壊的二律背反
【記事番号】-2147481912 (2147483647)
【 日時 】06/05/17 00:13
【 発言者 】のの

イメージ:乾いた血管。
     濡れた声。
     想像もつかないものを想像したせいで、それらを感じる。


ある少女の破壊的二律背反


 月夜の晩。第三新東京市内、再開発地区の団地の一室。

 402号室の少女、綾波レイ。病院服のような寝間着を着ている。半分だけ開いたカーテンから見える空を眺めている。

 ベッドの上に座る彼女に色気はなく、むしろ漂白された「白さ」が目立つ。それゆえに存在自体は希薄。

 舞台は薄暗く、正面やや下手に粗末なベッド。下手にチェスト。下手の手前に冷蔵庫。ただし重ならないように。(客席からきちんとメガネケースが見えるようにしておく。)

 照明は下手側と上手の舞台脇から弱めに白。他は紫と緑を用い、彼女のみが「染まっていない」ことを演出する。

 客席を向いてはいるが、顔は向けていない。


レイ:「ベッド……」


 布団のシーツをそっと撫で、彼女は呟く。喉が渇いているのか、声が乾いている。

 その動作を何度か繰り返すと、やはり喉が渇いていたらしく、立ち上がり、冷蔵庫を開ける。

 冷蔵庫の上にある4つのグラスのひとつに水を注いで、飲む。前々章でアスカと買い物に行ったときに買ったもので、そのときまではあったコップ代わりのビーカーはなくなっている。

 ゆっくり水を口に含み、喉を通る冷たい水を、目を閉じて、全身で感じている。

 どうやらそれでも満たされないらしく、首を振って彼女はベッドに戻る。さっきと同じように窓に向かって腰かけて。


レイ:「アンタ、ばか?」


 レイの知る少女の真似。口調を真似ているのではなく、意味を確認するように呟いている。

 レイはここで確かめるように腕をさする。組んだ腕をスライドさせるように腕の肌の質感を確かめている。怪我はしていない。

 ひとつ、ため息。


レイ:「……」


 彼女の頭の中では昼にネルフの食堂で流れていた昼間のドラマが思い出されている。舞台はここでそのときかかっていた音がかすかに流れる。

 ざわざわとした音からやがて、ドラマのセリフが大きくなる。


女:『あなたの腕にいられれば、夜をすごせるわ……』

男:『でも、おれは……』

女:『今までは、わたしの胸の中だけにしまっておけばいい想いだったけれど……最後に、あなたに伝えたかったの。わがままでごめんなさい』


 といった内容。照明、紫と緑が抑えめになり、白が際立つ。レイは乱れてもいないシャツの襟をいじり、再度ため息。

 そしてもう一度立ち上がり、同じように水を飲む。


レイ:「碇くん」


 声は最初より通っている。しかし、彼女は首を振る。


レイ:「わたし、じゃない」


 また、彼女は座る。音は一度なくなったが、再びなにやら話し声。客からも、かすかにシンジとレイの会話であることがわかる。


シンジの声:『笑えばいいと思うよ』

     :『お母さんの搾り方って感じがした』

     :『うん、でももう、大丈夫だよ』


 こういった要所では音が大きくなる。彼女がシンジのことを考えていることが明白に。その際、黄色とピンクの照明が若干灯る。

 レイ、立ち上がり、シャワー室。シャワー音。シンジの声はなくなり、再び昼間のドラマの音。


男:『雨に濡れたなら、温めるよ。』

女:『淋しい夜には』

男:『駆けつけるさ』


 レイ、服は着ているものの、髪はびしょ濡れで再度ベッドの上に座る。

 茶色いバスタオルに隠れて見えなかったが、櫛を持っていることがそこでわかる。レイ、ベッドに櫛を置き、髪を拭く。

 それからていねいに、ていねいに櫛をいれていく。照明、そこから黄色とピンクへ。

 それが一段落すると、彼女は枕をたてて寄りかかる。それからすこし、首と身体を傾けてみせる。何度か意図的にまばたき。

 身体を傾けた右側に、ひと一人分のスペースを空けてある。舞台手前。レイは右腕をさする。


レイ:「温かい……?」


 他人の体温、の想像がついていない。

 確かめようがないので、首をかしげることしかできない。


舞台、暗転。

『涙』へとつづく。


【タイトル】『ある少女の破壊的二律背反』について。
【記事番号】-2147481911 (-2147481912)
【 日時 】06/05/17 00:16
【 発言者 】のの

台本ぽいというか絵コンテ風にしてみた。
舞台でこういう演出あったらおもろいのではという思いつきから。
「だかこういうワンシーンだけじゃなくてちゃんと書け」という意見はまったく耳が痛いが、
許してくださいホント。


「涙」直前の夜。人肌ってなんぞやと思うレイちゃん。
少女の妄想、ということなのだが……未経験だろうがそうじゃなかろうがみんなやるよな、コレ(爆)


【タイトル】Re: ある少女の破壊的二律背反
【記事番号】-2147481910 (-2147481912)
【 日時 】06/05/18 00:00
【 発言者 】なお。

 染まっていないという表現をライトするとう発想は舞台ならではの表現だろうけど、そういう感じだって書き表す事も不可能じゃないんだよな。

 誰かFrashでやってくれないかなw


【タイトル】Re: ある少女の破壊的二律背反
【記事番号】-2147481909 (-2147481912)
【 日時 】06/05/18 05:43
【 発言者 】クロミツ

この話を読んで真っ先に菊池寛の『父帰る』を思い出した。
 『父帰る』も台本風だが、文学小説としても立派に認知されてる。本来は役者の演技で表現されているであろう部分の描写がバッサリ抜けてるのが、かえって、想像力をかき立てられる。

ののさんのこの話は、台本と呼ぶには情景描写が多いけど(絵コンテ "風" だしね)、プロローグ、予告編としての見せ方は面白いと思う。
この方向を追求すれば、斬新なものが出来るかも。

とにかく、本編を楽しみに待ってます。


【タイトル】Re: ある少女の破壊的二律背反
【記事番号】-2147481908 (-2147481912)
【 日時 】06/05/18 19:42
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

 何か話を書こうとする時というのは、普通はいきなり文章が浮かんでくるんじゃなくて、その状況とかストーリーとかが浮かんでくるんだと思うんだけど(脈絡なく会話が浮かぶということはあるかもしれんけど)、ということは、ある意味では作者は脳裏に浮かんだ絵を文字に変換し、読者はその文字を絵に再変換するということになるんだけど、何らかの文章を読んでこの絵を想像することの困難さを思うと、いわゆるノヴェライズの困難さも想像に難くないんだけど、例えばこれに原作があってそれを絵コンテにしたと考えると、原作を一旦映像化してそれを更に文章化するということになり、それは無い話では無いとはいえ、本来あったはずの作者のメッセージはどこに行くのかとかその辺はどうなのって感じもするけど、それを全部同一の作者が作業するということは、なかなか前向きなのかもしれない。以上、ワンセンテンス(笑)。

 絵としてはなかなか面白い。文章としてどう表現するのかに期待。

>この話を読んで真っ先に菊池寛の『父帰る』を思い出した。

 私はゴーリキーの「どん底」を(爆)。ベタですいません。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: ある少女の破壊的二律背反
【記事番号】-2147481907 (-2147481912)
【 日時 】06/05/18 23:18
【 発言者 】のの

夜中の走り書きにレスありがとうございますm(__)m
現在この話の本編(?)は鋭意執筆中です。
とはいえ舞台が2015年ではないのが問題ですが、そのあたりはつまりイメージの話ということで。

(妄想する)綾波レイの象徴的な映像ってこういう感じです。
母親の温もりを本能的にすら知らない人間ってどんなんだろう?
といったところでしょうか。
いずれにせよそういう人間であると思われる綾波レイを書くつもりっす。
主人公がレイ、なのかシンジなのかというのは実は非常に大きな問題で、
つまりよほどギミックがないかぎりレイ視点ならレイの思考は解ってて然るべきものだから、
レイ視点で書くとなると碇シンジには基本的に喋ってもらうしかないわけです。
まあ実際は作中で視点変えちゃえば済むし、よくある話なんだけど。

今は外堀を埋めてる最中です。この外堀がまた深い深い。
いつ終わるんだって感じもしますが、がむばります。


【タイトル】Re: ある少女の破壊的二律背反
【記事番号】-2147481910 (-2147481912)
【 日時 】06/06/09 19:19
【 発言者 】なお。

 染まっていないという表現をライトするとう発想は舞台ならではの表現だろうけど、そういう感じだって書き表す事も不可能じゃないんだよな。

 誰かFlashでやってくれないかなw

メンテ

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