小さな点 |
- 日時: 2009/05/31 00:00
- 名前: aba-m.a-kkv
- 【タイトル】小さな点
【記事番号】-2147481876 (2147483647) 【 日時 】06/06/06 22:06 【 発言者 】aba-m.a-kkv
僕にとって君は小さな点。
そして、あらゆるすべて。
小さな点 aba-m.a-kkv
僕は耳にイヤホンをして、君は本を読む。
お互い一つのソファーに座って、並んで、寄り添って。
目の前の丸テーブルにはお揃いのマグカップが同じく並んで、紅い色が微かに白く湯気をくゆらせている。
静かな空間、その中で、クラシック音楽が漏れる音も、本のページがめくられる紙擦れの音も聞こえない。
僕はただ、イヤホンをしているだけ。
君はただ、本を開いているだけ。
腕に、肩に伝わる君のぬくもりを、そして僕のぬくもりを互いに感じあって、それを心地よく楽しんでいる。
そんな、静かで幸せなひと時。
互いの存在を一つに感じれるようなひと時。
喧騒の中ではなく、静穏の中で、愛しい人と何をするわけでもなく、時を刻む幸せ。
互いに互いを感じつつ生きていることを知れる、そんな時間。
「賑やかに楽しく過ごす時間も幸せだということを私は知れた。
でも、静かな私たちの家で、貴方と二人きりで過ごす時間はもっと幸せ。
それは、貴方が私にとって小さな点で、あらゆる全てだから」
そう、いつか君は言っていたけど、それは僕も同じだった。
ふと、肩にかかる力が増して、君の蒼銀の髪纏う頭が僕に寄りかかってくる。
君は本を開いて膝の上に置いたまま、綺麗な紅い双眸を瞼の奥に隠していた。
そんな姿に僕は微笑み、イヤホンをしたまま、君に寄りかかる。
そして、君と同じように瞼を瞑った。
また、一つに溶け合うぬくもり。
欠けた心なんて感じないくらいに。
溶け合い、寄り添い合う。
君の微かな寝息に導かれて、僕も君と同じところへ。
君と年を重ねるごとに。
君と月日を過ごしていくごとに。
君とこうして寄り添って今日という日を越えるごとに。
いままで、僕を形作っていたのは何だったんだ?っていうくらい、君という小さな点が僕の存在を満たしていく。
僕にとって、君は小さな点。
そして、あらゆるすべて。
幸せのすべて。
シンジ君へ、一年間お世話になりました。
また一年、よろしく。
【タイトル】Re: 小さな点 【記事番号】-2147481875 (-2147481876) 【 日時 】06/06/07 02:11 【 発言者 】tama
本当にまた一年(といわず何年も)よろしくお願いいたします。
この作品、誕生日には温かくてよいですね。 シンジくん、お誕生日おめでとう!
PS.メール確認しました;気がつくの遅くてすみません。忙殺されています(泣 なんとか6月中にお礼を・・・!
【タイトル】Re: 小さな点 【記事番号】-2147481871 (-2147481876) 【 日時 】06/06/07 23:33 【 発言者 】なお。
とりあえず、シンジくん誕生日おめでとうw
前もそうだったけど、これも一枚絵的な作品ですね。 ソファーから動いていないからそれはそうなんだけど。こういう絵があってイーメジを膨らませると、こんな想像をできるかも知れません……が、ここまでは難しいかも。
もし、こういう絵が存在して、受け取ったイメージを表現したものだったら完璧だと思います。 (というか、絵のように思わせるところがまず凄いんだけど)
やっぱ雰囲気重視で書かせたら、綾幸の中ではaba-m.a-kkvさんが一歩抜きん出てますよね。まあ張り合える人も少ないんだけど。(私は足元にも及びません) それに執筆速度もで。これだってきっと数時間で書いたんだろなあ、なんて考えると、まったくやる気がなくなりますw
【タイトル】Re: 小さな点 【記事番号】-2147481868 (-2147481876) 【 日時 】06/06/08 20:10 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
いいですね。非常にいい。これはtamaさんの「幸せの場所。」からインスパイアと予想。
君は僕にとって空気みたいなものだ、みたいな惚気セリフがあるけど、そういう感じかな。
にしても、こういう切り取り方はホントに上手いよなぁ。こういうのは日本では片岡義男がトップだと思ってるんだけど、ちょっと傾向が違うとはいえ、匹敵するかもしれないな。困ったな(爆)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 小さな点 【記事番号】-2147481854 (-2147481876) 【 日時 】06/06/25 03:29 【 発言者 】クロミツ
>前もそうだったけど、これも一枚絵的な作品ですね。 > 絵に喩えるなら静物画でしょうか。動線も躍動も無く、そこから生まれるドラマもない。 でも、対象が存在しているという事実が、周囲へスタティックな影響を及ぼし、一幅の景色として描かれてる…といった感じ。 そんな印象を受けたのは、背景がまっ白だから。悪い意味じゃなくて、対象からじんわり滲み出る空気の色合いを、最も忠実に映し取る無垢のカンヴァス。 そこに描かれる絵は、十年後二十年後もずっと同じ風景…であって欲しいと、願ってやみません。
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