『Kimiの名は』加筆訂正版/Seven Sisters |
- 日時: 2009/05/31 00:00
- 名前: tamb
- 【タイトル】『Kimiの名は』加筆訂正版/Seven Sisters
【記事番号】-2147481634 (2147483647) 【 日時 】06/08/01 19:56 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
綾幸5周年に合わせ、LRS史にその名を轟かせる『Kimiの名は』が大幅に加筆修正され て帰ってまいりました。 文章量二割増、キミちゃん萌え度も二割増(笑)。
どこが変わったのか旧版と比較検討されたい方もおられるかと思いますが、既に削除さ れております(笑)。リンクを切っただけでなく、サーバから完全に削除されておりますの で、アドレス直打ちしても無駄です。
内容的には細かく萌え度が上がってます。キミちゃんもそうだけど、レイも。編集チェ ックもかなり楽しく読めました。皆様も新たな気持ちで読めるかと思います。まぁでも同 じ話だって言えばその通りですが(爆)。
作品はこちら。 http://tamb.cube-web.net/cont/seven/kimi_contents_new.htm
ちなみに旧スレはこちらでした。 http://tamb.cube-web.net/cgi-bin/bbs4c/read.cgi?no=179
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【タイトル】危うく公開しそうになった解説あるいは序文 【記事番号】-2147481629 (-2147481634) 【 日時 】06/08/03 20:07 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
Seven Sisters氏と会ったときのことを記しておこうと思う。 あれは七月の中旬だったと記憶している。Seven Sisters氏から久しぶりにメールが入 った。それには「お久しぶりです。会って渡したい物があるのですが、時間は取れますか」 とだけ書いてあった。唐突な内容に私は困惑した。時間は作って作れないことはないが、 氏は国外にいると聞いている。帰国する予定があるならそう書くだろう。わざわざ私と会 うためだけに帰国するのだろうか。ましてや私とSeven Sisters氏は初対面である。 だが、そうまでして渡したいという物には興味があった。私はこう返事を書いた。「大 丈夫だと思いますが、どこで会います?」 翌日になって返事が来た。「電話を入れたいと思います。電話番号と、電話してもいい 時間を教えて下さい」
翌日、私が指定した時間に電話が入った。
「Seven Sistersです」氏の声は低く、それでいて澄んだ声だった。「お忙しいところ、 すいません」 私はひとつ深呼吸をしてから答えた。 「いえ」 「思った通りの声だ」氏は小さく笑いながらそう言った。長いタイムラグが国際電話であ ることを示していた。帰国しているわけではないのだ。 「私も下らない雑用が多くてなかなか時間が作れないのですが」氏は改まった口調で言っ た。「申し訳ないのですが、明後日、成田まで出てこられますか?」 私は手帳を開いて答えた。日曜日だった。「午後以降なら、時間が取れます」 「それはよかった」氏は安心したような声で、成田にある某ホテルの名をあげ、そこのラ ウンジに午後一時に来てくれるように言った。 「わかりました。私は――」私が自分の容姿を告げようとすると、氏はそれを遮った。 「大丈夫です。あなたのことは把握していますから」 「把握……?」困惑する私の反応を楽しむかのように、氏はこう言って電話を切った。 「それでは、明後日に」
指定された日、私がホテルのロビーに入ると、ダークスーツにサングラスという、まる で映画の中から出てきたような人物が私に近づいて来た。 「tamb様、ですね?」 「……ええ、そうですが」 男は私の答えに頷き、「Seven Sisters様がお待ちです。こちらへ」と言って歩き出し た。私がついて来ることに、露ほどの疑いも持っていないようだった。 私は混乱した。Seven Sisters氏とはいったい何者なのか? 把握しているとは何のこ とだ? このダークスーツの男は何だ? なぜ私を知っている……?
男に連れられるままにラウンジに入ると、そこには誰もいなかった。ただひとりの人物 を除いては。 座っていたその男性は立ち上がり、真っ直ぐに私を見た。この男性がSeven Sisters氏 なのだろう。我々の他に誰もいないということは、ここを貸し切ったということだ。日曜 の昼間に、ホテルのラウンジを平然と貸し切ることができるという人物。把握していると いう言葉――。 私は恐怖した。
「Seven Sistersです」氏は人なつっこい笑顔を浮かべ、私に椅子を勧めながら言った。 「すいません。気分を害されたでしょう? 私も派手なことは嫌いなんですがね。あの男 たちは――」氏は入り口付近に立っているダークスーツにサングラスの男を横目で見た。 「ああいう姿でいることにある種のアイデンティティを持ってるようなんですよ。確かに、 ボディガード――っていうんですかね――がいるということを明示する意義は認めるんで すがね……」やや苦い表情で言う。 「はぁ……」私は曖昧に答えた。 「こんな所も」氏はラウンジを見渡す。「貸し切る必要はないんですよ。本当は。ただセ キュリティ上、急なことでチェックが間に合わないからどうしてもと言われるとね」 私は何と答えていいかわからず、黙り込んだ。 「空港のVIPルームで済ませられないかとも言われたんですよ。さすがにそれは勘弁し てもらいましたけどね。……こんな話をしていても仕方がない。tambさん、食事は?」 「いえ、まだですが」 「それは良かった。私もまだなんです。付き合ってもらえますか?」 「え、ええ。喜んで」 Seven Sisters氏は嬉しそうに頷くと、軽く片手を上げた。ベテランとおぼしきウェイ ターが素早くやって来た。緊張に顔をこわばらせている。 「tambさん、好き嫌いは? メニューは任せてもらっていいですか?」 「はい、お任せします」 私の答えを聞いて、Seven Sisters氏はウェイターを振り向いて言った。 「頼んでおいたもの、できますね?」 「はい。準備ができてございます」 「まだ明るいですけど、軽くビールくらいどうです?」氏は私に向かって言った。 「いいですね」ビールくらい飲まないと気が狂う。 「ビールを二つ頼む」 「かしこまりました」 ウェイターは深く腰を折り、下がって行った。
「どうも妙な話でね」グラスを合わせた後、Seven Sistersが口を開いた。「くだらない 付き合いが多くて、外でする食事といえば何かのフルコースか、日本なら料亭ばかりだ。 気取った料理より普通の和食がいいんです。でも今住んでいる場所では、日本の新鮮な食 材は手に入らない。無理すれば何とでもなりますが、目の玉が飛び出るような金がかかる。 それでいて、日本で食べるよりも美味しくない」氏は少し寂しそうに笑った。 「そうですか」 「ええ」氏は深くうなずいた。「日本の食材は日本で食べないとね。食べ物っていうのは 気候とも関わっているんです。海外で長く暮らしていると、本当にそう思いますよ。日本 はいい。もちろん、欠点もあるし間違いもある。それは直していかないといけませんが、 それも含めていいなと思えるんです」 「はぁ」 「ちょっと話が固くなりましたね」Seven Sisters氏は照れたように笑った。「日本に来 ることが決まって、急に食べたくなったものがありましてね。思いついてしまうと、どう してもっていう気分になってしまって。せっかくだからtambさんにも付き合ってもらおう と思いましてね。一人でする食事は味気無いですから」 「何でしょうか。その食べ物は」 「ああ、来ましたよ」 鰻のかば焼きだった。 「天然物です。日本でもそうそう口にはできないでしょう?」氏は相好を崩して箸を手に 取った。
私はすぐに酔ってしまい――Seven Sisters氏は顔が少し赤くなっただけだったが―― Seven Sisters氏が何者かなどどうでもよくなった。Seven Sisters氏はSeven Sisters氏 なのだ。 日本酒に切り替え、刺身を肴に私たちの話は弾んだ。もっとも、私はほとんど聞き役だ った。新作のアニメから国際情勢――製作会社内部の者でしか知り得ないような企画の情 報や、国家機密に属するのではないかと思われるものもあった――そしてプロレスまで、 Seven Sisters氏の話は機知とウィットに富み、とても興味深いものだった。
何時間か経ったころ、ダークスーツの男が我々の隣に立った。 「何ですか?」その丁寧な口調とは裏腹に、Seven Sisters氏の声は冷たいもので、絶対 的な上下関係を伺わせた。 「時間です」 「もうそんな時間ですか」 「はい。もう大統領は向かっておられるそうです」 「そうですか」Seven Sisters氏は私に向かって言った。「そろそろ行かなければならな いようです」 「何事にも終わりはあるものです」 「そうですね」氏は微笑を浮かべた。「今日は会えて嬉しかったです。わざわざありがと うございます」 「私もです。久しぶりに楽しい時間を過ごせました」 我々は握手を交わした。強いグリップだった。 「離れがたいですね」 「ええ」Seven Sisters氏の意見に私も同意した。「すぐですが、空港まで一緒に行きま しょうか」 「嬉しいですね」 僅かな距離だったが、我々はリムジンに乗った。これもセキュリティの都合だとSeven Sisters氏は恐縮した。 ショーファーは、リムジンを空港ビルの裏口のような――それでいて手入れの行き届い た――目立たない場所にある入り口につけた。 ビルの中に入り、インジケーターのないエレベーターに乗った。それを降り、VIPル ームの前を通るとそこはもう滑走路だった。税関も抜けなかったし、イミグレーションも 通っていない。目の前にはジェット機がスタンバイしていた。Seven Sisters氏の物なの だろう。自家用ジェット機というやつだ。アメリカ大統領の専用機――いわゆるエアフォ ース・ワン――を見たことがあるが、それと同じサイズだ。私はもう驚かなかった。 Seven Sisters氏とはそういう人物なのだ。あるがままに受け入れればいい。現実にど ういう位置にいるかなど、どんなに調べても決してわからないだろう。知ろうとしてはな らない。知ってしまった時は、命がないかもしれない。そういう世界に住む人物なのだ。
高まるアイドリングの中、Seven Sisters氏は手を差し出しながらよく通る声で、もう 一度言った。 「お忙しいでしょうに、今日はわざわざありがとうございました。嬉しかったです」 「私もです」Seven Sisters氏の強いグリップに負けないよう、私も強く手を握り返しな がら答えた。 「また会いましょう。こんどはみんなで」 私は無言でうなずいた。氏はタラップを上がり、軽く手を振って機上の人となった。ジ ェット機はすぐにタクシングを開始し、飛び立って行った。それを待っていたかのように 他の旅客機のエンジン音が高まる。発着をホールドしていたのだろう。 「こちらへ」 私を促すダークスーツについて歩きながら、渡したい物というのを受け取らなかったこ とに気づいた。だがすぐに思い直した。恐らくこれはテストだったのだろう。私がどうい う人物か見極めるための。事前の調査は行われていた。ダークスーツが私の顔を知ってい たのもそのためだ。把握しているというのはそういうことだ。 だが果たして私は、最終チェックに合格したのだろうか――。
---------------------------- Seven Sistersさん、ダウンロードパックに入れなくて良かったでしょ?(^^;)
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【タイトル】Re: 『Kimiの名は』加筆訂正版/Seven Sisters 【記事番号】-2147481628 (-2147481634) 【 日時 】06/08/04 08:25 【 発言者 】Seven Sisters
これは、何? 私って誰?(^^; いかん、ここはボケるべきなのか、素でツッコむべきか、よう分からん。
>Seven Sistersさん、ダウンロードパックに入れなくて良かったでしょ?(^^;)
これ、入れるつもりだったんですか(^^; う〜むそれは、と正直思いました(爆)
>日本はいい。もちろん、欠点もあるし間違いもある。それは直していかないといけませんが、それも含めていいなと思えるんです」
その通り。日本はいいです。 今まで行ったことのある国で、一番よかったのはどこですか、と問われたなら、間違いなく日本と答えます。外にいると、やはり自分は日本人なんだというのを強く感じますね。
>でも今住んでいる場所では、日本の新鮮な食 材は手に入らない。無理すれば何とでもなりますが、目の玉が飛び出るような金がかかる。
「昨日の晩飯何食った?」 「いや〜、昨日は奮発して、ど○兵衛を」 「え、マジかよ?! 何でそんな贅沢してんのよ」
僕のいるとこではそんな会話が成立します(^^;
【タイトル】Re: 『Kimiの名は』加筆訂正版/Seven Sisters 【記事番号】-2147481624 (-2147481634) 【 日時 】06/08/05 13:32 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
> これ、入れるつもりだったんですか(^^; > う〜むそれは、と正直思いました(爆)
でしょう(爆)。
柾吾郎というサイバーパンクSFを書く人の文庫本にブルース・スターリングが序文を書 いてて(!)、内容はサイバーパンク風のホラ話だったんですよ。 それを真似して、もし書くならホラを書こうと思ってだーっと書いたんですけど、書い てみると、いくらなんでもこれは如何なものかと(^^;)。 どうしても載せるという話になったらこれを見せて、「う〜むそれは」という反応が来 たら普通に解説を書き直そうと思ってました。逆に言えば、そういう反応が来なかったら 入れたということです(爆)。
> いかん、ここはボケるべきなのか、素でツッコむべきか、よう分からん。
難しいですね。何かの拍子でSeven Sistersさんの素性がバレたら、綾幸なんて簡単に 潰されてしまいますからね(爆)。
> 「いや〜、昨日は奮発して、ど○兵衛を」 > 「え、マジかよ?! 何でそんな贅沢してんのよ」
明日の昼はどん○衛を食うかな(笑)。
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