有限の日々3(前編・後編)/tokia |
- 日時: 2009/05/31 00:00
- 名前: tamb
- 【タイトル】有限の日々3(前編・後編)/tokia
【記事番号】-2147481454 (2147483647) 【 日時 】06/11/01 20:42 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
上手いよな。すごくすらすら読めるけど、「すらすら読める」ものを書くのがどんなに大変か、わかる人にはわかるはず。 ほとんどカヲルの心理描写だけど、丁寧にしっかり書かれていて、気持ちの変化が良くわかる。心理描写をしたいと思う人は参考にするように。
ここで描かれるカヲルの姿に――本人もそう思っているように――レイとの強い類似性を感じる。正しく言えば、感じたいと思う。 つまり、人と人との間で人間として生きて、それを楽しいと感じられるということ。そして、いつまでもそうしてはいられないと知っている寂しさ。もしもレイに > 「淹れます!」 みたいな積極性(と言っていいのかどうか)があったら、彼女もまた違った道を歩んだかもしれない。でもそこが彼女の居場所ではないという事実に変わりはない。カヲルと同様に。希望を知ってしまったがための絶望。親しくなれば、その分だけ辛くなる。 でもまぁ、あらかじめ敷かれたレールの上を走らないといけないというわけでは、必ずしもないんだよな。きれいな景色が見えたら、その駅で降りてもいいかもしれないし。
というわけで動き出したカヲル。予定では残り二話。レイは「私はあなたの人形じゃない」と言った。カヲルはどう動くか。期待して待ちましょう。
> 恋人というのは、唇を重ねたり、抱き合ったり、互いの肉体を一つに結び付けたり……そういうことをする関係の > はず。
中二でそこまでしなくてもいいかなとは思うんだが(^^;)。
作品はこちら http://tamb.cube-web.net/cont/tokia/tokia01c1.htm http://tamb.cube-web.net/cont/tokia/tokia01c2.htm
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【タイトル】Re: 有限の日々3(前編・後編)/tokia 【記事番号】-2147481453 (-2147481454) 【 日時 】06/11/03 00:22 【 発言者 】tokia
折り返しとなる第3話なのですが……漫画版がああいうことになっているのにこういう話を書くのは、非常にやりにくいものがあり ますな(苦笑)。
アニメ24話の中でも私にとって特に印象的なのが、リリスの前でカヲルが初号機を振り返った時に見せた無表情。彼の本質はこの 表情なんじゃないかと思っています。 シンジを好きだとは言いましたが、そもそもアニメの彼はシンジ以外とはほとんど接触していません。レイにも一方的に言葉を投げ 掛けただけ。たくさんいる人間の中から、シンジのみに特別な好意を寄せたというわけではないはずです。あの時点では唯一エヴァを 動かせる人間だったシンジが、必然的にカヲルにとっては特別な存在になったというだけで。他の人間とも交流していれば、果たして どうだったことか。
別に優しいわけでも、包容力があるわけでもない。人間ではないからこそ人間を肯定し、その弱さや愚かさをも許容することが出来 るだけ――。 この作品を書くに当たって、あらためて24話を見返してみたりするうちに、カヲルというのはそういうキャラなんじゃないかなぁ と私の中で固まっていきました。それを土台にして、少し子供っぽくて「好きってどういう気持ち?」な漫画版のカヲルや、学校に通っ たりしてヒトとの生活を楽しんでいるエヴァ2のカヲルを混ぜていった結果が、この第3話で描いたカヲルです。 しかしイメージは出来ていても、実際に書くとなると全く別であって。「君なら何を言うのか分からないよ、カヲル君!」と何度シ ンジばりに嘆いたことか……(遠い目)。掘り下げ甲斐はあるけれど難しいキャラです、本当に。人間的な部分と使徒的な部分、大人っ ぽさと子供っぽさ、温かさと冷たさ、足掻きと達観……そうしたものを上手く表現出来ていればいいのですが。
■tambさん
>> 恋人というのは、唇を重ねたり、抱き合ったり、互いの肉体を一つに結び付けたり……そういうことをする関係の >> はず。 > 中二でそこまでしなくてもいいかなとは思うんだが(^^;)。
中学生らしい交際とはどういうものかまで考えが及ばないほど、恋人というものを字義的にしか捉えられていないんですよ。……と いうことで一つ、お願いします(笑)。 そもそもカヲルのこの捉え方というのは、根本的な部分が間違っているんですよね。恋人だからキスなどをするのではなくて、好き な相手だからキスなどをしたくなり、するものなんですから。基本的には。 その人が好きだから求めもするし、目が合ったり手が触れ合ったりするだけでも幸せな気持ちになれる――。一般的な中学生なら、 幼い初恋や年上の異性に対する淡い慕情などを経て、そういう感覚を少なからず理解出来ているものでしょうが、カヲルにはそれがな い。レイにとってのゲンドウのような存在もいない。そして誰かを特別に思うとはどういうことなのかを知った時には――絶望が待っ ている、と。
【タイトル】Re: 有限の日々3(前編・後編)/tokia 【記事番号】-2147481447 (-2147481454) 【 日時 】06/11/04 21:55 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
> 漫画版がああいうことになっているのに
ああいうことになってますね……。 ちなみにテキスト版は鋭意作成中。二話同時にお届けします。待ってる方はもうちょっと待ってください。
カヲルっていうのは基本的に何も語られていないキャラなんで(レイもそうですが)、書きにくいという反面、思い入れのある人には思い入れが深くなりやすいということもあるかもしれません。書いているうちに固まってくることも多いでしょうね。「淹れます!」なんていうのも想像の範囲外だけど、読んでると、これもあるかもしれない、とか思う。
> 恋人だからキスなどをするのではなくて、好きな相手だからキスなどをしたくなり
逆に、中学生くらいだからこそ「恋人同士なんだからキスくらいしてもいい」とか思うかも。
> 絶望が待っている、と。
待っているのは絶望だけではない、と信じたいです。
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【タイトル】Re: 有限の日々3(前編・後編)/tokia 【記事番号】-2147481439 (-2147481454) 【 日時 】06/11/08 23:57 【 発言者 】tokia
> 思い入れのある人には思い入れが深くなりやすいということもあるかもしれません。
ヒトの世界で生きる(生きざるを得ない)ヒトと異なる存在――というものには、色々と想像を巡らさずにいられません。作中で語 られている部分が少ないなら尚更。 ただの人外キャラ好きともいいますが(笑)。
> 逆に、中学生くらいだからこそ「恋人同士なんだからキスくらいしてもいい」とか思うかも。
あまりにも遠く懸け離れた世界であるために、そういう甘酸っぱい観点は思いつかずにいました(笑)。 少年少女の考え方というのは難しい。そんなことを呟く14歳の夜。
【タイトル】Re: 有限の日々3(前編・後編)/tokia 【記事番号】-2147481437 (-2147481454) 【 日時 】06/11/11 13:55 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
> あまりにも遠く懸け離れた世界であるために、そういう甘酸っぱい観点は思いつかずにいました(笑)。 > 少年少女の考え方というのは難しい。そんなことを呟く14歳の夜。
しかし私にしてもtokiaさんにしてもかつては間違いなくそういう時代を通り抜け、なおかつ今現在ド真中にいるという事実(あるいは虚像)に思いをめぐらせて遠くを見る土曜の昼下がり(笑)。
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【タイトル】Re: 有限の日々3(前編・後編)/tokia 【記事番号】-2147481412 (-2147481454) 【 日時 】06/12/04 01:15 【 発言者 】aba-m.a-kkv
tokiaさん、遅れながら読ませていただきました。 素晴らしい作品です。 カヲルの心理描写がなんとも上手です。 しかも、前話とリンクさせて内面を補完しているところなんてすごいと思いました。 ここまで細かく書き表されていて、しかもtambさんが言われるようにすらすらと読んでいけるというのはとても難しい。 素晴らしいです。
内容もまた引き込まれていきます。 カヲルの心の中の進展、なんとも切ないものがあります。 自分の存在ゆえ、いま歩いている道ゆえの寂しさ。 その道が途切れていることを知っているゆえの絶望や諦観。 でも、その中でくすぶり始めた赤い炎。 アスカという特別になり始めた赤い小さな炎がどうなっていくのか。 その炎が、カヲルの定められたシナリオを焼き尽くしてくれることを願ってやみませんが、 残り二話を楽しみに待っています。
しかし、渚カヲルというキャラクターは本当に興味深いです。 透明な色のようで、深みを持っているような。 いえ、逆かな。深い海のようで、でもコップですくってみると透明な水みたいな。 そんな(意味不明ですね、笑)感じがして、私はとても好きなキャラクターです。
【タイトル】Re: 有限の日々3(前編・後編)/tokia 【記事番号】-2147481397 (-2147481454) 【 日時 】06/12/14 23:09 【 発言者 】tokia
■aba-m.a-kkvさん
返事が遅くなってしまいましたが、感想をお寄せくださり、ありがとうございます。カヲルの心情をどんなふうに移ろわせ、またそれ をどんなふうに描写していけばいいのかは随分と悩んだので、評価していただけてホッとしています。正直、「カヲルはこんなキャラじゃ ない!」という批判を受けることも覚悟していましたし(苦笑)。 ただ、この第3話というのは読み返すたびに未だに「ここはああすればよかった」「ここはもう少し良い書き方があったんじゃ……」 と反省したり悩んだりしてしまう話です。カヲルの側の事情の説明的要素が強い、ある意味幕間に当たるような回なので、第3話単体で の小説としての面白さはどうなのか――を自問してしまいます。あるいは私の中では、永遠に未完成の作品なのかもしれません。 とりあえずは、こうして悩んだ経験を今後に生かしていきたいものです。
>しかし、渚カヲルというキャラクターは本当に興味深いです。 >透明な色のようで、深みを持っているような。 >いえ、逆かな。深い海のようで、でもコップですくってみると透明な水みたいな。
本人が意識的につくり出している部分と、無意識的に醸し出している部分。それが重なったり重ならなかったりで、不思議なアンバラン スさが生まれているのかなぁと思います。一方、漫画版のカヲルの方は、なりふり構わぬ必死さと、斜に構えた諦観ぶりとの奇妙な同居 が味わい深かったです。 どちらのカヲルにしても考えれば考えるほど奥が深くて、私もレイと甲乙付け難いくらい好きなキャラです。
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