叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 |
- 日時: 2009/05/31 00:00
- 名前: tamb
- 【タイトル】叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸
【記事番号】-2147481318 (2147483647) 【 日時 】07/02/09 21:51 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
待望の秋章でございます。
さりげない残酷さは健在で、トウジは義足を鳴らしながら近づいてきたりする。それを 踏まえると、「この道に二つの足音が響くのは久しぶりだ。」が「二人の足音」でないの は脅威ですらある。まぁ直前の「二人で歩く」との被りを避けたのかもしれんけど。
それはそれとして。
シンジが「元に戻す」ことを選んだということの結果としてレイが眠りつづけていると するならば、未来はないわな。でも、「目の前にいるのが、僕が知っている綾波だという ことが」わかって、「それが解ったということを伝えたくて」、でも伝えられなかったが ために二人の距離が生じたのだとすれば、まだ可能性はある。 ならば、シンジはレイにそれを伝えなければならん。本当に会いたかったのが誰なのか ということを。前に向かって歩くことがそれに繋がると、シンジは信じるしかない。誰を どんなに傷つけても。
というように読んだんだけど、ほんとに読めてるか?
まぁしかしあれだ。アスカにしてもそうだし、その山城さんって女の子がどんなに可愛 かったとしても、レイが好きでレイを待つと決めているのなら、「待つべき人がいるんだ」 って言った方が結果的には傷つけないって事だよな。よくある話だけど。
でもって。「叙情詩篇」というだけに、詩を意識しているのはわかるんだけど、行間使 いすぎのような気がする。 例えば、
> ――僕はずっと君を待っているから、彼女の気持ちには応えられないんだよ。
で、なんで急にレイに向かって言うんだって思った。これは少し上の「……そう、君を 忘れるなんて、僕には無理だ。」に対応してて、山城さんに「待つべき人がいるんだ」っ て言いながらレイに語りかけてるってことなんだけど(確認済み)、それなら「……そう、 君を忘れるなんて」は「――そう、君を忘れるなんて」にして、下の行間を狭めるべきな んじゃないかと思うんだけど、それは私の読解力の問題ですかそうですかorz まぁでもあれよ。前回の隠し文字とあいまって、行間があいてるとついつい全選択をし てしまうということもあって(爆)、なかなかすらすら読めないというか、そこで呼吸が止 まるんだわな。もちろん止めるために行間を使うわけだけど、そこはもう少しメリハリか なと思った次第であります。
作品はこちらどす。 http://tamb.cube-web.net/cont/kibamaru/kibamaru02b.htm
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481317 (-2147481318) 【 日時 】07/02/10 01:31 【 発言者 】のの
どもです。 感想メール書こうかな、久々に。でもなんだかおっさんくさいこと言いそうだし、 そのときフォロワーがいないのもキツいのでこっちに書きます(^^;
まず。 わかるけどわからない、わからないけどわかる。そういう印象です。 SSの典型例という気もするし、そういうものからは一歩出たことをしているのかもしれません。 ただまあ、トウジが「もったいない」というのはなあ……と思うけど(^^; tambさんも言っているけど、待ってるんだから、シンジ君は。 というか、それに一々「浅くない傷」がつくというのも、ピンとこないというか。
でも、こうした経過からシンジ君を一歩前進させたのは、良いなあ。 僕にはできない芸当です。手法も含めて。 ただ、行間はものっそい空いてますね(^^; 数えてみたけど、7000字ですが、使ってる行数は僕が72000字書いた SS(未発表ですが)より多かった。まあ両極端だし手法ちがうんだから、どうとも 言いにくいけど、やっぱりちょっと空けすぎの感はあります。 詩を読まない(このあいだはじめて萩原朔太郎読んだけど)ので言及しづらいですが、 詩的な空気を出すために行間を空けているなら、それはちがうかなという気がします。 さらに言えば、これが詩的かどうかわかりかねますが、断片を切り取って表現するのが 詩ではないと思いますが、今回に関して言えば、そういうふうに感じてしまいました。 エヴァを見て、SSというシロモノを読んでいないと詩的表現であるかもわからない、という意味です。
なんか9:1くらいの割合で批判的になってしまった…。 面白かったんですよ。シンジっぽくて。でも、折角ここまで書けるんだったら、もっと克明に書くべきでは、ということです。 自分の耳も痛くなることを書いて終わります(爆)
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481316 (-2147481318) 【 日時 】07/02/11 00:43 【 発言者 】tokia
シンジとトウジの間に横たわる、微妙な空気が上手いですね。相手を傷つけたいわけじゃないのに傷つけてしまう、悲しさと後悔、それで も思いやる気持ち……そういうものが伝わってきます。 そして、描写そのものは短いのにアスカがとても魅力的です。あれほど気遣ってくれていた彼女を振る、シンジが恨めしくなるほどに。 夏章の鮮烈さも相まって、アスカの幸せを願わずにいられません。
ただ、シンジに関しては少し引っ掛かるところがありました。
>「……ごめん。待つべき人がいるんだ」
「待ちたい人」ではなく「待つべき人」と称しているため、待ちたくて待っているのではなく、義務でレイの目覚めを待っているような 感じがし、その次の
>――僕はずっと君を待っているから、彼女の気持ちには応えられないんだよ。
も、レイに責任転嫁をしているような印象を受けてしまいました。 牙丸さんとしてはおそらく、シンジの強い意志を表すために「待つべき人」と言わせたのだとは思うのです。素直に書けば、
>「……ごめん。待ちたい人がいるんだ」 >――僕はずっと彼女を待っているから、君の気持ちには応えられないんだよ。
になるでしょうから。でもこれだとやはり書き方が素直過ぎて、シンジの意志の強さを表すには物足りない感じもしますからね。 あえて「会いたい人」にしてみるとか……う〜ん、難しいです(汗)。
夏章、秋章と、レイを待つ二人について語られたところで、次の冬章でどう話が展開するのか楽しみにしています。
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481315 (-2147481318) 【 日時 】07/02/11 22:15 【 発言者 】牙丸
こっちは久しぶりに覗いた気がする(汗) とりあえず、感想ありがとうございます。
>行間使いすぎ
詩的な雰囲気うんぬんよりは、たんに自分の好みです(^^;) 空白感というか、そういうものがです。 昔読んだ二次創作で、行間空きまくりなんだけど、その余白部分が美しいというか絶妙というか、そんな作品を読んでかなり気に入ったので。 まあ今回は、久しぶりに書いたので加減間違ったみたいですけど……(滝汗)
>「待ちたい人」ではなく「待つべき人」と称している
願望か、義務かというところですか。 うーん、これはちょっと難しい。 シンジがレイを待っているのは、願望がほとんどでしょうが、義務感も少し入っているだろうからです。 というのもtambさんが仰っているとおり、シンジはレイに気持ちを『伝えなければ』ならないのです。 シンジとレイの心のすれ違いから、こんな中途半端な状況になっているわけです。 もし気持ちをハッキリと伝えていればレイは完全に戻ってたかもしれないし、逆に完全に拒絶していればレイは肉体すらも現実に戻ってきてなかったでしょう。 夏章でアスカが語っているとおり、シンジもアスカも『レイに縛られている』状態なのです。 レイ=自分たちの過去であり、レイを何とかしない限りは、彼らは完全には前に進めないからです。 そこら辺の微妙な感情が、シンジが素直に「待ちたい」と言えない原因なんだと思います。
書いている私が仮定形で話しているのもちょっと変な気がしますが、登場人物の感情については完全に筆者でも予測であり、計算で書ける物じゃないと思うんです。 私とこのシンジは、同じであって違うわけですから。 彼らは形を変えて、一人一人の中で『生きている』 生きている以上、人によって捉え方が違うだけで、本質的に『彼』は一人しかいないのですから。 言ってしまえば、登場人物が勝手に物語の上を一人歩きしていってしまう感覚だと思います。 まあ、何だか自分の想像以上に、このシンジはヘタレの方向に歩んでいる気もしますが(汗)
これは私の創作全般に対しての捉え方によるものなので、意見が合わない方はスルー推奨。 議論も有りですけど、正解無いですからね、この手のものは。
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481314 (-2147481318) 【 日時 】07/02/11 23:53 【 発言者 】tokia
>シンジがレイを待っているのは、願望がほとんどでしょうが、義務感も少し入っているだろうからです。 >というのもtambさんが仰っているとおり、シンジはレイに気持ちを『伝えなければ』ならないのです。
それだとやはり、「待ちたい人がいるんだ」とは言えないですね。 待たなければいけないのはとても辛いのだけれど、それでもレイはシンジが「一番会いたかった」相手だから、「春風のような君」とい う言葉が出てくるのだと思います。
私だったら、シンジがレイを待つのは願望半分、義務感半分くらいの割合にしてしまう気がします。下手をすると3:7で義務感の方が 遥かに上回るくらいに。レイの目覚めを望む一方で、今すぐその細い首を絞め上げてしまいたくも思っている――そういうドロドロとした 話にしそうです。 ですが、牙丸さんは義務感を混ぜつつも願望の方を強めに押し出されたわけでして。それがこの話の透明感や、せつないながらも未来へ の希望を感じさせる空気に繋がっているんでしょうね。 ……自分がいかに黒い人間かを、あらためて自覚してしまいました(遠い目)。
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481304 (-2147481318) 【 日時 】07/02/17 14:49 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
どっかで前に書いたか、書こうとして書かなかったか忘れたけど。
こういうスタイルの文章って、スタイルとしてのいわゆる「小説」からは離れつつある と思うのです。私が一番小説を読んでいた時代、いわゆる「小説」っていうくびきから離 れようとした小説は実験小説って呼ばれてて、例えば主人公が失神してる間は空白になっ てたりした(行間がどーっと空いてる)。大声を出すと字がでかいとかいうのも、このあ たりが最初かなと思う。いわゆるアスキーアートみたいな話もあるし、活字が渦を巻いて るみたいな作品もあった。
そうなると、これって小説なの? っていう議論は当然出てくるわけだ。
二次創作ってのを読みはじめた頃の話だけど、ネット上にあふれている作品を読んで、 多くの人たちは別に小説を書こうとはしてないんだなってのは思った。この辺の話はタッ チさんとかaba-m.a-kkvさんの解説に書いたかな。これはいい意味で言うんだけど、スタ イルとしての小説にこだわる必要は、別にないんですよね。それは好みの問題で。 好きなスタイルの音楽やってて、お前それはロックじゃないだろって批判されても、そ れが素晴らしい音楽であればそれでOKで、ロックだろうがジャズだろうが、あるいはそ れ以外の何かであろうが関係ないのと同じ。
で、実験が進むと前衛になるわけだ。例えばピアノの前でじっと座って、お辞儀をして 帰る。無音という演奏。白い紙を展示する。タイトルは「無」。これが仮に芸術だったと しても、音楽や絵画とは認め難い。で、話が戻って、音楽なり絵画なりというスタイルに こだわる必要はない、ということになると。 それはそれでいいんですが、最大の問題は、それは受け手に伝わるのか? ということ かなと。
更に問題を難しくしてるのは、もしかするとジャズミュージシャンはロックができなく てロックンローラーはジャズはできないのかもしれないけど、例えばポエティックな作品 を書く人が小説スタイルで書けないとは思えないということ。というか、ポエティックな スタイルで書くのは難しいよ。制約が多すぎて。
で、ようやく本題に入るわけですが(爆)、行間空きまくりの空白感の美しさがいいです よねーってのは当然ありで、それはロックギターは音が歪んでなきゃダメだみたいなもん です(たぶん)。ただ、一般的にスタイルとして確立してるわけではないだけに、一歩間 違えるとアコースティックギターやピアノやドラムが歪んでいるのと同じようなことにな り、それはそれでありですが、難解になります。つまり、自分はどういう部分に美しさを 感じるのかには意識的である必要があります。作者が書き方として確立するのはずっと先 でいいと思いますが。
それから、最後に重要なこと。 牙丸さんとかはもうこんな話は通り過ぎてると思うけど、いわゆる小説っていうスタイ ルと、そこから一歩踏み出したスタイルの距離は、現段階ではすごく狭い。ジャズとロッ クの距離に比べれば無いに等しい。だから一歩踏み出したスタイルで書きたいと思う人は、 普通はこういう事はやらないけどそれでも私はやるっていうことと、なんでやるのかって ことは意識しといた方がいい。そういうのが好きだから、でもいいんだけど、そういうこ とをするとどんな効果があるのかっていうのは、距離が狭いだけに、わかってないと意味 不明なものになるですよ。 つまり、ロックはロックでかっこよくてジャズはジャズで素晴らしいという次元には、 一般的な認識では至っていないので、この作品はなぜこういうスタイルなのかという説得 力に欠ける可能性が高いわけです。それを補うのは「それでも私はこう書く」という意識 であろうと。
> 勝手に物語の上を一人歩きしていってしまう感覚だと思います。
こういう話、誰かとしたなぁ。誰だっけ。ここでしたような気がするんだけど。 で、こういう感覚、良く分かります。最初に考えてたよりずっとゲロ甘になったりとか ね(爆)。 えーと(^^;)、私は物語が書きたいので、登場人物が暴走をはじめたら修正を加えます。 例えばシンジ君がヘタレでどうしようもなかったら、どうにかしてヘタレではダメだと気 づかせます。何度でも。どうにもならなかったらそれは話がダメということなので削除で す。物語のコントロールは私がする。これは私にとっては絶対です。 ということは、男がヘタレでダメで彼女と堕ちて行く話が書きたくなったという場合な ら当然ながらOKということですが、私はそういう話はエヴァFFでは書きません。これ も絶対だw
もしかするとスルーした方が良かったのかもしんないけど、議論というよりは、私はこ うするって話ね。それこそ正解は無いし、善し悪しでもないしね。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481302 (-2147481318) 【 日時 】07/02/18 00:52 【 発言者 】あいだ
行間使いすぎ、は、私も初期の作品に顕著なのでどうこう言える立場ではないのですがw;;
今でも行間を空けるのは好きです。 使います。 ただ、ある種のルール付けはあって、そこに読み手にとっての意味はないかも知れないけど、書き手のこだわりはあるわけです。 逆にこだわりなく適当に好きな、雰囲気重視で行間を空けても結果は同じかも知れません。 でも、そこには何か意味を与えてあげたいとは思いますね。 ま、長兄が色々仰ってるので私は何も言うことはないですが(笑)
「待つべき人」 私もこっちの系統かな。 自由意志だけではなく、内罰的な、自分を自分で絡めてしまうような所がシンジの本質であり、成長はあれどもそれを大きく越えない、本編の延長線上のシンジを描きたいと思うからですが。
【タイトル】Re: 叙情詩篇・秋章 〜罪の意識〜/牙丸 【記事番号】-2147481278 (-2147481318) 【 日時 】07/03/16 21:09 【 発言者 】なお。
えっと、おひさしぶりですw
期待に答えてくれた、そんな印象です。とてもいいですね。言葉は稚拙で申 し訳ありませんがとても面白かったです。表現が豊かでとても自然。そのお かげで読んでいてスラスラと入ってくる。といっても全部ではありません。
肝心な部分、サードインパクトに触れているところ。あやなみれいはなぜ戻 って来ないのか。その部分の書き込みが良くも悪くも二次小説。ずっといい 感じで読めていたのに、その部分になってとたん理解しにくくなりました (笑)違っているかもしれませんが、ののさんがいうSSの典型例というのも そういうところだと思います。他が良いだけに目立ってしまい、残念な感じ でした。
話題になってる行間ですけど、確かに空きすぎな気がします。 私はこの作品を携帯で読みました。私の使っている携帯では空白部分を削除 して表示します。で、結果どう感じたかというと、まったく問題はなし。行 間がない事による不自然さは殆ど感じませんでした。行間がどうなのかはこ の掲示板を見るまでまったく気が付かなかったのです。
で、先程パソコンから拝見しまして、なるほど皆さん仰るとおり、言葉派乱 暴ですが、読むまでもなくぶつ切りな印象を受けました。読むまでもなくと 書いたとおりパソコンからは読んでませんが、これではせっかくの流れを中 断されストレスを受けそうだなと思いました。例えるなら処理落ちした動画 を見せられるような、いいところで一瞬止まってしまう、そんな感じです。
次で完結でしょうか『冬章』も期待してます。
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