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Shall we drink ?
日時: 2009/05/31 00:00
名前: tomo

【タイトル】Shall we drink ?
【記事番号】-2147481283 (2147483647)
【 日時 】07/03/12 04:16
【 発言者 】tomo

「あれ、ミナ、どーしたの? 今日」


わかっていたことだけど、改めてこうやって認識すると、むかつく。


「別に。どーもしてない」


だったら、やめておけばよかったじゃない。
その言葉が、私の頭の中をぐるぐる回る。


「……でも……なんか、今日、いつもと違わない?」


そういった友人の顔を見れば。
その視線は、私の姿を頭から足元まで確認してる。
私のことを見ている相手に気づかれないように、相手の視線を探るのは、ちょっとコツがいる。

彼女だって悪気はないのだ。
だったら、彼女に変な気を使わせる必要は、ない。


「そうかしら? ふつーよ、ふつう」


言われてる時点で決して普通じゃないってわかってるのに。
私はあくまでそうやって切りかえす。
それは、たぶん、私の小さな小さなプライドなのだ。


「ふぅ〜ん、そ」


友人は、少しだけ名残惜しそうに、この話題を締めくくることに同意する。
彼女は悪い子じゃないんだって、改めて認識する。


そう。


彼女は悪くない。


誰かが悪いのだとすれば。
こんな気持ちを抱いてる、自分自身にあるんだから。


きっかけは、どこかのCMソング。


『クーリスマスは〜誰にもやあってくる〜♪』


どういうわけか、私の地元の駅では、その歌が12月に入ってひっきりなしにかかっていた。

はじめは気にしていなかった。
けど。
仕方なく、というべきか。それとも、やっぱり、というべきか。
『その日』が近づくにつれて、私はほとんど暴力的に耳に響いてくるその歌に、いらいらするようになっていった。


(私には来ないわよ。クリスマスなんて)


心の中でそう思いつつ、でも、暦の上のクリスマスなら誰にでもやってくるわね、なんて思い直し。
結局、ここで問題となっているのは、クリスマスの意義、よね、なんて、いかにもロースクールの学生らしいことを考えながら。
そう考えてしまう自分にほとほとげんなりして。
げんなりする自分に、嫌気がさして。

そんな、わけのわからない『負の連鎖』に陥りながら、私は結局、『その日』を迎えてしまった。


だから。


何かをほんの少しだけ期待して。
今日のこの日、私はちょっとだけ『本気』を出して、着飾ってみたんだけど。


「結局、なにか起こるはずなんて、ないのよね」


キャンパス内にあるベンチに腰掛けて、私は一人、そうつぶやく。
寒いのと、日が落ち始めたのとで、周りにはほとんど誰もいない。


「そりゃそうよね。こんな日に大学で勉強してるなんて、司法試験受験生くらいなもんだもの、ね」


自分でも、最近独り言が多いなぁって思いつつ、私はまたつぶやいた。
私の間違いは二つ。

一つ。そもそも、私にはそーいう男の人がいないって事を黙殺したこと。
一つ。たとえ、どんなに着飾ったって、受験勉強で精神をすり減らしてる男どもが、それに気づくはずがないって事を忘れたこと。


「それと……何かを期待してしまったってことも間違いかもしれないわね」


致命的な間違いに後から気づく、このいい加減な間抜けさは、たまに自分でも惚れ惚れしちゃう。
それでよい気持ちになったことは一度だってないけど。


「……はぁ〜ぁ、な〜にやってんだろ。私……」


まるでぜんまいの切れた人形のように、私は頭をおもいっきり後ろに傾ける。
頬にかかっていた髪の流れるふわっとした感覚と、血が逆流していく少し不快な感覚が同時に襲ってくる。
それが、今のネガティブ・スパイラルに陥っている私にちょっとした快楽を感じさせた。


「……うら若き女性が、そういうことをするものではないわ」


はっとして。
私はすぐさま頭を持ち上げる。
その声には聞き覚えがあったから。


「あ…綾波センパイ……」


透けるような白い肌と、深みを持った紅い瞳と、晴れ晴れとした空を思わせる葵い髪と。
その、どれもが、私を魅了してやまない。
私がどんなにがんぱっても、絶対にかなわないと思う、唯一の人。
その人が、ベンチの目の前に立って、私を見つめていた。


「……となり、いいかしら?」


「え…? あ、は、はい。」


突然のことで私は思いっきり動揺しながら、かばんをひざに乗せて、綾波センパイの座るスペースを作り出す。


(おちつけ……私……)


心の中で繰り返す。


(ほら、思い出せ。恥ずかしい姿を見られたときは、余計に普通にしたほうが良いんだ。なにやったって、恥の上塗りになるんだから。)


何度かそういう風に心の中でつぶやいて。
私はようやく平静を取り戻す。


「……その服」

「は、はい……?」


落ち着いた、と思ったその矢先。
綾波センパイのその声で、心拍数がまた少しあがる。
どれだけだめなのかしら。私って。


「初めて見かける服だけど?」

「え…ええ。この間、買ってみたんです」


な、何をいわれるの?
ひょっとして、ぜんぜんセンスなくてだめ、なのかな……


「……とっても似合っているわよ」


「えええ?!」


やば。
びっくりしすぎよ、私。
これじゃ、心底喜んでるって丸分かりじゃない。


「…………」


ほ、ほら。綾波センパイだってあきれてものも言えないって感じ……じゃない?


「…………」


あ、笑ってる。綾波センパイ。
そう。これは確かに笑顔。
注意深く見ていないとわからないほどの小ささだけど、見る者を確かに幸せにしてくれる、そんな笑顔。
私ならわかる。横顔しか見れなくたって。


「ねえ?」

「エッ?」


不意に、綾波センパイはこちらを向いた。
その顔には、先ほどの笑顔を面影が残っている。


「もしよかったら、なんだけど……」


すごく切り出しにくそうに言う。
なんだろう?


「この後、私と付き合ってくれないかしら?」


「えええええええ!!??」


さっきよりも大声で。
ほとんど絶叫に近い声で私は叫んでしまった。
今度ばかりは、綾波センパイもびっくりしたようだ。


「で、でも、碇センパイが……」


そうなのだ。
今日はクリスマスイブ。
そして、今は5時ちょっと前。
まさに、これからが恋人達の時間なわけで。
それを……よりにもよって綾波センパイが私と過ごすなんて道理が通らない。


「それは平気。ただ……」


まるでそれが当然であるかのように答える綾波センパイ。
いや、でも、ぜんぜん当然じゃないんですけど。


「ただ……?」

「上野さんに予定があるなら、無理にとは言わないわ。」


そんな予定、あるわけないじゃん。
あったら、こんなとこでこんなこと……
って、そうじゃなくて。


「ないのなら、私につきあってほしいの」


そういって、綾波センパイは真正面から私の瞳を見つめた。
ああ…ダメかも……私。


「ぜんぜんないです!」


思わず。
私の口はそう答えていた。


「そ。ならついてきて? ここ、寒いでしょう?」

「はい!」


優雅に立ち上がる綾波センパイの後に続いて。
私もそそくさと立ち上がった。


綾波センパイの後をついていくころには、さっきまで浮かんでいた疑問はまったくもって頭から消え去っていた。

自分でも、こういう性格をちょっといとおしいと思ってしまう私だった。


【タイトル】Re: Shall we drink ?
【記事番号】-2147481276 (-2147481283)
【 日時 】07/03/17 02:46
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

 こりゃ難しい話だね。書きたかったのは「綾波センパイ」の優しさなのかなと思うけど、
ちょっと良くわかんない。解説希望。

 ロースクールって良くわかんないんだけど、要するにみんな受験生なんだよね? ミナ
も「綾波センパイ」も含めて。
 「受験勉強で精神をすり減らしてる男どもが、それに気づくはずがない」くらいなんだ
から……やっぱ勉強した方がいいんじゃない?(爆)

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: Shall we drink ?
【記事番号】-2147481259 (-2147481283)
【 日時 】07/04/16 04:33
【 発言者 】tomo

まずは、設定がわかりにくくてごめんなさい、です。

私は、自分の体験や、聞いた話を元にしちゃうので、ちょっと、特殊な世界を題材にしてしまいました。

しかも、元来が説明不足な私の文章。
設定がわかりにくくて、ミナの気持ちに感情移入しにくかったですね。


tambさんのおっしゃる通り、この作品の主題は、ミナのやるせなさとレイのやさしさにあります。
二人の対比、が描きたかったんですが。

ちょっと、ミナの方の記述が多くて、レイの気持ちが伝わりにくいですね。

レイは、ミナの服装をみて、その気持ちがわかったんですよね。
だから、声をかけた、と。

ミナは明るくて、社交性もそれなりにあるんですけど、どこかこう、自分にはなにもない、って思ってるとこがあって、すごく、あきらめてるんですよね、いろいろと。

レイは、かつて自分にもそんなとこがあったからそれがわかるわけです。


まあ、そんな話が書きたかったわけですが。


やっぱり、失敗してます、ね(爆)

うーん、難しい(>_<)

メンテ

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