このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
『涙』ver.REI/H.Y
日時: 2009/05/31 00:00
名前: tamb


【Date:】 22 Nov 2008 06:13:00
【From:】 "tamb"
【Subject:】 『涙』ver.REI/H.Y

 戦慄のH.Yさん、第二弾は『涙』ver.REIです。

 ストイックに視点を固定して書くと、つまり例えば厳密にシンジ君視点で話を書くと、
別バージョンでも話を書きたくなるものです。それは、書く時には当然「この時レイはど
う思ったか」を想定しているためで、それを書きたいという欲求によるものです。
 この手の試みは大抵失敗に終わります(笑)。それは――書き手の技量にもよるのかもし
れませんが――ストーリーがあらかじめ割れている、というのが主な理由によるものかと
思います。ストーリーのわかっている話を面白く読ませるのは並大抵ではありません。

 ver.REIを書いてると聞いたとき、どうかなと正直思いました。H.Yさんの技量なら問題
ないかもと思う反面、体操着とブルマで萌え萌えレイちゃんをレイ視点で書かれたら――
それはそれで読みたくもありますが(笑)――『涙』までぶち壊しになるのではないかと。

 結果どうだったかというと、杞憂でした。それは技量による部分ももちろんありますが、
読んだ方はにはおわかりの通り、時間軸が異なっていたからでした。つまり別バージョン
を書きたいという欲求そのものの出発点が違っていたからです。

 ひたすらシンジを探し、何度も何度も彼の名を呼び、願う彼女の姿は健気で、チェロに
触れるシーンはエロティックですらある。でも不思議と違和感はない。
 そして再会直前の衝撃。なぜ二人が逢えたのかという解釈は正直言って難しい。ここは
ちょっと、今日は保留したい。

 解釈で保留したい部分は他にもあって、-5.02の
> 増えることもない私の部屋。

-4.02の
> 半分になった逢瀬。


 レイを描くのに現代詩の素養は有利に働くのかな、と読みながら思ったけど、結局それ
は現代詩に限った話ではなく、視点を広げようということではないかと思ったりも。

 ver.REIを読んだ後に『涙』を読むと、また違った読後感が得られます。

 というわけで今回もベタ誉めでしたが、

-5.02
> 紅い海に居た時から何も身につけていなかった私の身体は

 全裸だったのか!


作品はこちら。

http://tamb.cube-web.net/cont/hy/hy02a.htm
http://tamb.cube-web.net/cont/hy/hy02b.htm



【Date:】 22 Nov 2008 06:22:00
【From:】 "tamb"
【Subject:】 Re: 『涙』ver.REI/H.Y

忘れてた。

> 一度伸びをしてから

ゲロ萌え(笑)。



【Date:】 23 Nov 2008 00:13:00
【From:】 "H.Y"
【Subject:】 Re: 『涙』ver.REI/H.Y


こんばんは、H.Yです。

tambさん、感想をありがとうございます。
メールで「ストイックに視点を固定」とあった意味がようやく分かりました(爆)
ストイックというより、それしか書けなかったというほうが正しいのですが……。
というか、戦慄って何ですか(笑)

今回のver.REIですが、最初は別の形で書いていました。
本編の時間軸で途中まで進めていたのです。
でもある日、チェロを弾くレイのイメージがスコーンと来たので、方向転換しました(笑)
元々が「むせかえるほどレイを表現してみたい」という気持ちからはじまったので、
すでにある程度の説明をしてある「涙」の世界でなら可能だと思ったのです。
それと、レイに「新しいほうの涙」をどうしても流してほしかった。

で、肝心のレイですが。
私の中にある彼女は限りなく本編に近いレイですので、なにせ動きません(笑)
チェロシーンのイメージがすでに「会えない碇君に胸キュン状態」だったので、
そこまで持っていくには、詩の書き方じゃないと無理だろうなと思いました。
というわけで、でっかい詩のようなものを作ってみました。 
これまではせいぜい2KBか3KBのものしか書いたことがなかったので、約20倍の大きさ。
自分でもビックリです。
ストーリーと絡めるからこそ出来ることだと思いました。

このver.REIは、言葉選びもかなり詩に近いですが、構造自体が詩の感じになっています。
レイはあまり無駄な動きをしないというイメージがあるので、
シンジを探しながら歩き回ってはいますが、種類としては数少ないです。
考える、探す、シャワーを浴びる、夢を見る、を繰り返しています。
あと、言葉使いもかなり繰り返しが多いです。
なので、行動と言葉の繰り返し二重構造になっています。
簡単に例えるなら、パッヘルベルのカノンのような感じです。
……解説になってますかね? これ。
自分で書いてて良く分からなくなってきた(笑)

解釈で保留の部分、了解しました。
私の中で回答はありますが……後で書いたほうがいいですかね?

>全裸だったのか!

もちろん全裸です(爆) 


>> 一度伸びをしてから

>ゲロ萌え(笑)。

……なんとなく萌えの概念を習得しつつある私です(笑)



【Date:】 30 Dec 2008 02:38:00
【From:】 "tamb"
【Subject:】 Re: 『涙』ver.REI/H.Y

 一ヶ月ぶりに宿題の回答を。というか、結局わかりませんでしたと書くだけなんですが(^^;)。

> 増えることもない私の部屋。

 これは-2.05の

> ――夢の中でまた知らない私が増えていく。

 に対応しているような気がする。あるいは一人目、二人目、三人目。いずれにしても、
私でない私がいたとしても私の部屋(シンジが来るべき場所)は増えたり変わったりする
ことなくここにある、ということではないだろうか。
 であるとするなら、夢の中で増えていく「知らない私」とは何なのかという問題がでて
くるわけだが。うーむ。

> 半分になった逢瀬。

 ストレートに読めば、

> 私の目にはっきりと映る、月、恒星、銀河、流れ星。
> それは街に明かりが一切ないから見える、壮大な逢瀬に思えた。

 だから、窓に切り取られて半分しか見えない逢瀬、のように思える。深読みをすれば、
なぜ碇君は私を探してくれないのか、になる。星たちは出逢っているのに、なぜ私たちは
逢えないのか。夜に星たちが逢瀬を重ねているなら、自分がシンジを捜し求めている昼間
には自分たちが逢えているべきなのではないか、でも逢えていない。半分。


 なぜ二人が逢えたのか。

 シンジは

> ……いつになるか分からないけど、また、後で――。

 と言い、レイは

> また彼の望みが叶うように。
> 私が私らしく生きるため。
> この世界で生きるために。

 と願い、祈る。
 だから逢えた。シンジが途中で止めたサードインパクトを、二人が望む形で再開したか
ら逢えた。だとすると、電気系統の復旧が作品にとって傷になる可能性がある。
 でもこう解釈したいなー(^^;)。

 というわけで、H.Yさんまだ見てる? 作者の回答を切望!



【Date:】 30 Dec 2008 23:37:00
【From:】 "H.Y"
【Subject:】 Re: 『涙』ver.REI/H.Y


こんばんは、H.Yです。

tambさん、こんな年の瀬にも話題にしていただいてありがとうございます。
新しい生活が始まって間もないので、涙シリーズを書いたのが早くも遠い昔に思えます(笑)

このver.REIは、「涙」のIFストーリーとして書いています。
もし、シンジがレイの存在を望んだらどうなるのか。
「涙」と条件が違うのは、その一点のみです。

tambさんが疑問に思った箇所はどちらもレイが夢を見る直前ですよね。
作中では夢のシーンを「心を掘り下げる場面」と位置付けていますので、
レイにとっての外界と、レイの内面の境界線にあたる一文なのです。
そして、どちらもの文も多重に意味を含ませています。
早くも解説として苦しくなってまいりましたが(笑)、
感覚としては、単音のリズムの間に和音を入れて展開を変えるような感じです。

> 増えることもない私の部屋。

このver.REIは、レイの使いそうな語彙で構築しているので、
似たような表現がいっぱい出て来ます。
結果としてtambさんを悩ませることになってしまったのですが(笑)
ここでの意味は大きく3つあります。

1.どこまでいってもレイはレイという暗喩。

欠けていない部屋に苦しんでいる=ヒトではないことへの葛藤に呼応しています。
誰もかも、何もかも崩れているのに、自分だけは変わらない。
欠けることもなく増えることもなく、「私は私」であるしかない、ということです。

2.シンジが来ることを期待していた痕跡。

この時点ではまだレイの中で気持ちが確定していないので、あくまで形跡です。
「来ればいいのに」「でも来なかった」くらいの感じです。

3.読み手の方への予告。

ある意味では、ここだけ軽くメタ視点なのかもしれません。 
増えない=シンジが来ない=これから「涙」とはまったく違った展開になりますよ、という予告です。


> 半分になった逢瀬。

次はこちらですが。

1.窓が半分しか開いていないから。

tambさんがおっしゃる通りの、ストレートな描写です。

2.微妙な不安感

この先、本当にシンジに会えるのだろうか?という疑問です。
でも、その気持ちはまだ無意識下にあるため、全面には出さずにいます。
この時点のレイは「ヒトでない私」を受け入れていないため、必然的に揺れることになります。
シンジの存在があって初めて受け入れられなくなっているのでもありますが。
窓を半分しか開けないのは、「私」を受け入れられない=心が半分という意味と、
シンジがいなくて自らの半身が居ない=存在が半分という意味と、
ヒトと使徒の掛け合わせ=身体の構造が半分、という意味がありますので、もう全部半分です。

……書けば書くほど自分で分からなくなる解説っていったい何でしょう(爆)

3.気持ちの高まりと、次の展開への布石。

シンジへの気持ちが恋に変わっていく予兆です。
次の夢で「切ない」という気持ちを知ることになるので、その前段階としてのクッションです。
いきなり碇君に胸キュン状態に持っていくと不自然なので、逢瀬の下りを利用して軽く乙女っぽい視点を入れました。

この他にも、ひとつの文にふたつ以上の意味を持たせている箇所は幾つかあります。
なので、どの意味でストーリーが繋がっていくのかは、読み手によって違うと思います。
もしかしたら、私の意図したものとは違う解釈がなされているかもしれません。
でも、個人的にはそれでいいと思っています。
言葉ひとつをとっても人によって意味合いは異なるのですから、すべてが伝わることはありません。
たとえば、書き手=私が思う「嬉しい」と、読み手=tambさんをはじめとしたみなさんの「嬉しい」は違うもの。
どんな状況下でどんな表現を使えば「今、レイが嬉しいと感じている」と伝わるのか。
書くことの難しさは尽きませんが、だからこその面白さなのだと思います。


>なぜ二人が逢えたのか。

これもまたうまく解説出来るかどうか微妙なのですが……(笑)

> ……いつになるか分からないけど、また、後で――。

実はこれも二重構造になっていまして。
まずひとつ目に、シンジ自身として感じていたのは「死」なのです。
それを解説するためには「シンジの声」の説明から始まるのですが、
あの声は途中からシンジの遺言になっています。
「……周りが暗くなってきた。 エントリープラグ?」がその開始です。
シンジの思考としては、暗いエントリープラグ→ディラックの海に飲み込まれた時と似ている
→生命維持出来ない、になるわけです。
なので、望んでも駄目かも→僕が居なくても生きていてね綾波、という展開にしています。
「……いつになるか〜」は、さよならに代わる言葉として書きました。
直前に沈黙が入るのは、言葉を探している時間としての表現です。

ただ、レイにとってシンジは死んでいませんし、作中の設定でも死ではありません。
ヒトとして曲がりなりにも普通に生活してきたシンジと、
ヒトとしての倫理観や常識をすっ飛ばして自己流で生きてきたレイとの死生観の違いを出したかったのです。
シンジにとっての死は肉体の死、それにまつわる先入観とイメージであり、
レイにとっての死はシンジの不在という絶望、という設定です。

どちらの立場から見ても、一瞬の絶望とその後に光差す希望という状態にしました。

本編でのレイの自爆の涙を書き換えたかったという私のエゴも入っています。

長々と書きましたが、要はサードインパクトも種別も死生観をも乗り越える二人の愛の物語です(爆)



【Date:】 3 Jan 2009 04:57:00
【From:】 "tamb"
【Subject:】 Re: 『涙』ver.REI/H.Y

難解だー(爆)。
そもそも

> このver.REIは、「涙」のIFストーリーとして書いています。

これがわかってなかった。「ver」でわかるべきだったか。うーむ。



【Date:】 3 Jan 2009 20:55:00
【From:】 "H.Y"
【Subject:】 Re: 『涙』ver.REI/H.Y

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
解説すればするほど難解になっていくという罠に陥っているH.Yです(爆)

ストーリー自体は、「碇君を探して三千里」というシンプルなものですが、
そこに含めた意図や意味、仕掛けなどはかなり多いです。
でもそれは、完全に書き手側のエゴイスティックかつ自慰的なものだと考えています。

たとえて言うなら、刺繍のようなものです。
布地の表側では何かの図柄になっていても、その裏側は糸が複雑に絡み合ってすごいことになっている。
でも、使用する人=読み手にとってそれは意味のないことで、表の図柄が綺麗であればいい。

この掲示板は刺繍の方法や裏側を語る場所なので、何とか解説しようと頑張っているのですが……。
もう完全に泥沼状態にはまってしまって、どうしましょう(爆)

とりあえず、難解なものを難解に書いたら負けだと思っているので、私もまだまだ未熟者です。

2009年も、書くぞー!




メンテ

Page: 1 |