このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
テンプの振動の音と共に
日時: 2009/06/06 22:27
名前: aba-m.a-kkv






僕の時計のゼンマイを巻いたのは、蒼銀の髪の彼女。

彼女と出逢ったそのときから、僕のテンプは振動を始めたんだと思う。





テンプの振動の音と共に  aba-m.a-kkv





「心地いい音ね」


僕の左手首に耳を寄せながら彼女がうっとりした声で呟いた。

僕がずっと嵌めている腕時計。

機械式の腕時計。

それが刻む振動の音。


「ずっと聞いていたい音だわ」


そういって微笑んで、彼女は瞼を閉じる。

僕の掌と腕を掴んで離さないでいる彼女の手のぬくもりが心地いい。

触れる蒼銀の髪の感触が、とても優しい。

そんな彼女の一つ一つが、僕のゼンマイを巻いていく。


「でも、ゼンマイを巻いていないと、ずっとは聞けないよ」


僕に時計をくれたのは彼女。

生きることを刻むという時計を、前へ前へと前進するという時計を。

それまでの僕の時計は止まっていたから。

否、戻れない時をさえ後戻りしようとしていたから。

彼女が時計をくれた。

そして、ゼンマイを巻いてくれた。

だから、僕はここにいる。

ここで振動し続けている。

この腕時計と同じように。


「なら、私が巻くわ。

 止まることの無いように。

 忘れることなく、ずっと、ずっと。

 だから、もっと、もっと、聞かせて?」


紅い眸が、驚いて目を見開く僕を覗き込む。

それから、微笑を一つ、僕の心に映しこんで、またテンプの振動に耳を傾けた。

僕の中のゼンマイが、また一つ巻かれる。

ずっと、振動していようと、そう思った。

ずっと、聞いていて欲しいと、そう思った。





僕の時計のゼンマイを巻いたのは、紅い眸の彼女。

彼女が隣にいるから、僕のテンプは振動し続けているんだと思う。





シンジ君へ、一年間お世話になりました。

また一年、よろしく。

メンテ

Page: 1 |

Re: テンプの振動の音と共に ( No.1 )
日時: 2009/06/11 00:58
名前: tamb

今回はレゾンデートルがどうとかいう話じゃないな(笑)。

機械式の時計は、ネジを巻く他に定期的な清掃等のメンテナンスが必要です。
綾波さん、大変かもしれないけど頑張って。まぁ苦にはならないかな(笑)。
メンテ

Page: 1 |