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サイト開設十周年カウントダウン企画・一月
日時: 2011/01/07 20:19
名前: tamb

月々のお題に沿って適当に書いて投下して頂こうという安易な企画です。作品に対するものは
もちろん、企画全体に対する質問や感想等もこのスレにどうぞ。詳細はこちらをご覧下さい。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/10y_anv_cd/10y_anv_cd.htm

今月のお題は

・好きだと顔に書いてある
・肉が足りない
・クロスロード

です。
八月〜十二月の企画及び1111111ヒット記念企画も鋭意継続中です。

Cube-Web.net終了騒動でスレ立てんの忘れてたぜよ(爆)。
メンテ

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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.7 )
日時: 2011/02/25 21:31
名前: JUN

お題はクロスロードです。一応
正しくはきっと“cross road”でしょうが、ここでは“cloth road”ということで。無性にこのネタで書きたくなったものですから。
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.8 )
日時: 2011/03/10 06:15
名前: tamb

■タイトルなし/JUN
( No.6 )

 中島みゆきの「糸」です。
 「仕合わせ」については前にもどこかで書いたような気がする。互いに仕え合うことのでき
る幸せ。
 曲を聴きながら読んでいたのだけれど、あっと思ったのは「いつか誰かの傷を庇うかもしれ
ない」というフレーズ。布は傷をかばうかもしれないけれど、決して癒すわけではない。それ
は自分自身で行わなければならない。これの意味するところは重要なのではないだろうか。
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.9 )
日時: 2011/03/31 01:55
名前: calu


「……遅いわ」

 はらはらと黒い澱が雪のように沈殿をはじめた。それを薄めるように切っ先を入れる陽射しだけが光源
となっている。そんな茫漠とした空間で、独りごちた少女の髪は煌めきを放つプラチナブルー。
 今、少女はどこかで見たローバックチェアに深く腰をかけ、前傾姿勢を保ったたおやかな身体を机上に
ついた両肘で支え、両手の指を深海の鍵のように組んでいた。寛ぎとは程遠い環境の中で、先の呟きに具
現化されているように、少女の機嫌はよろしくはない。

「……案ずるには及ばん。直にやって来る」スポットが当てられたように幽玄とした姿を現したのは司令
の碇ゲンドウだ。樹海のような陰鬱さを隠すことも無く、コツコツとレイに歩を進めた。

「……レイ」
「……何でしょうか?」
「……おまえが座ってる椅子だが」
「…………」
「私の椅子なのだが――」
「あまりいい椅子ではない、と思います」
「そう…いや、そうでは無い」
「…………」
「長年私が――」
「碇くん、遅いわ」
「……そうか」

 そのコメントとは裏腹に、さほど悪い椅子ではない、とレイは思った。体重を絶妙のバランスで受け止
めるスタンダードな形状ながら、長時間ゲンドウフォームを続けても、腰に負担が掛らない精妙な作りな
のだ。わざわざドイツから取り寄せたワーキングチェアだけのことはある、と思った。だが、何かが足り
ない、足りないのだ。そうだ、オットマンだ。ワーキングチェアだから百歩譲ってセダスのワークアシス
トか。でも、ふんぞり返るには不安が残る。となれば、やはりハイバックがベストチョイス、というのが
レイの最終結論だった。
 こうした試行錯誤を怠る者のお尻が肥えることはないのだ。絶えざる熟慮が究極の結論へのトビラを開
放するのだ。

 沈思黙考に沈むレイ。副司令の定位置でバケツを持たされた少年のように屹立するゲンドウは鬱陶しい
が、今は腰を上げる気にはなれない。せめて、その到着を心待ちにしている少年が来るまでは。司令も健
康のためには、偶には立ちっぱなしもいいものだ。筋力の増強により基礎代謝はその時計の針を逆行させ
ることもある。健康は爪に火を灯すような地道な努力でのみ涵養されるものなのだ。

「おはようございまーす!」
「遅くなってごめん! 間に合ったかしら!?」
「いやー悪い。ご婦人方の身支度に時間が掛っちまって」
「おっはよー。あれ? シンジまだ来てないの?」

 ディラックの海でたっぷんたっぷん小舟に揺られていたレイの意識は、総司令室に突如としてなだれ込
んだ闖入者達によって強制的にサルベージされた。まるで夕立に降りしだかれた騒然さに支配されたエア
ロックドア周辺に微塵の感情も見えない目を向けた。
 ハッキリ言って、煩い葛城ミサトに長門マキ。相も変わらず加持リョウジに纏わりつく惣流・アスカ・
ラングレーはお約束のツンデレ一直線だ。闖入者達の名を指でなぞる様に呟いたレイは、妙な既視感に囚
われた。更には不吉なさきぶれにも。ちょっと待って、このパターンは…。

「アスカ、碇くん、見なかった?」
「見なかったも何も、アイツ、先に家を出たわよ」
「…そう」

 また忘れ物でもして購買部で油を売ってるのだろう、とぼそりと呟いたゲンドウは、レイの紅い視線に
睨み据えられるや、雑巾を絞られるように器用に背筋を伸ばした。

(…このパターンは)

 飛び出しナイフを抜くような切れ味で懐から携帯を取り出したレイに何故か激しく反応しているゲンド
ウを尻目に、躊躇無く守秘回線を使い、レイは目的の相手を呼び出した。

「赤木博士。碇くんが行方不明、です。二課の杉一尉に確認を依頼してください」
 ――レイ。心配には及ばないわ。今、シンジ君は購買部よ。
「…こうばいぶ、ですか?」
 ――そう、こうばいぶ、よ。

 だから言ったではないか、と不敵に言い放ったゲンドウをATフィールドで黙らせる。

「購買部に何か、あるのでしょうか?」
 ――あるわ、当然だわ、と、リツコは言った。

 だからそれを何だと聞きたいのだ、という言葉をグッと堪えて、いつもの抑揚の無い口調でレイは質問
を重ねた。

 ――決ってるわ。ネルフ購買部と言えば『物産展』よ、と、やけに大仰な抑揚をつけてリツコは言った。
「ぶっさんてん?」と、うろ覚えの呪文を唱えるようにレイは言った。
 ――そう、ぶっさんてん、よ。そこの催事コーナーにシンジ君はいるわ。

 チリと嫌な予感が、レイのこめかみを焼いた。いつの世も、二度あることは三度あるものだ。

「……また、たこ焼きでも焼いているのでしょうか?」
 ――今回は大阪からの出展は、無いわ。だからたこ焼きもない。だから、シンジ君がたこ焼きを焼くこ
ともないの。
「そお…ですか」

 何がそうなのかよく解らないが、表情を緩め少し可愛らしい笑顔を浮かべたレイに、ここぞとばかりに
ケンスケがシャッターを切っている。いつからいたんだ。

 ――あと、マキの妹も一緒よ、と、リツコは言った。

 レイの携帯電話がメキリと嫌な音を立てた。あの女はダメだ。前科がある。珍しく絶句しているレイの
耳に、また余計なタイミングでフッと鼻で笑ったゲンドウの声が刺さった。特別にATフィールドをハリ
セン状に展開し、思い切りその髭面をしばき倒した。誰の顕性遺伝だと思っているのだ。シーツを変える
ように浮気をする男によって、どれだけの女が泣かされているか解っているのか?

「何故、碇くんは女の人と一緒なのでしょうか?」
 ――あら、彼女はシンジ君のガードじゃない。
 いや、だから…でも、そう。「でも…どうしてそんなに物産展が、頻繁にあるのでしょうか?」
 ――総務局三課の楠三佐の嗜好に尽きるわ。購買主任もあの体格だから食べることについては協力を惜
しまないしね。
「…………」
 ――まあもう少し待ってなさい、レイ。シンジ君、そこであなたの為になにか作ってるのよ、きっと。
本番前の腹ごしらえにって、ね。
「…わたしの為に、ですか?」
 ――そうよ。あなたの為によ…たぶん。
「わたしだけの為に?」
 ――そうよ……たぶんね。だから待てるわね。
「……はい」

 ぽかぽかしながら電話を切ったレイに向かって、ふたたびケンスケが激しくシャッターを切っていた。
油断も隙もないが、まあいいわ、と大らかにやり過した。何といっても月より焦がれる少年が食べものを
拵えてくれてるというのだ…わたしの為に。繰り返された『…たぶん』は気にはならないといえば嘘にな
るが、まあいい。女のガードと一緒というのも、今回は不問にしよう。恩赦、そう恩赦だ。いい響きでは
ないか。

「ねえファースト、台本見せてよ」
「これ」
「えーとっ、タイトルは『伝えたいW』だったっけ? どんなプロットだったっけ? アタシの出番いつ?」
「知らない。まだ読んでないもの」
「はあー、相変わらずのぶっつけ本番ってヤツね……」
「作者が作者だもの」
「なんだか今回、あんたの出番、多そうね…」ぱらぱら台本を捲りながらアスカ様は少々不満なご様子。
「綾幸だもの」
「綾幸でも赤幸でもいーんだけど、次のクールもあんたがメインなのよね……。ま、いっけどさ。ところ
で、バカシンジほんっとに遅いんだけど、購買部で何やってんのかしら?」

 ふん、おおかた肉でも焼いてるのだろう、とぼそりと呟いたゲンドウは、三度目のATフィールドに身
体を震わせた。この男やはり基本的に打たれ強いのだ。

「え、お肉? だったらアタシ、脂だらけの霜降りよりガッツリ赤身がいい!」
「お肉の筈ない。碇くん、わたしが食べれないこと知っているもの」
「それにしても遅いな、シンジ君。カチンコまであと十分か……。間に合えばいいんだが」
「リツコも多分一緒ね」
「やっぱ碇、携帯に全然出ないや」
「携帯なんか鳴らさんでええ。いまシンジは、丹精込めて肉を焼いとんのやで。焼き過ぎたらどないすんねやー」
「ちょっとぉ、ドサクサに紛れてあんたら二バカが何でまた来てんのよ。今回なんて、ぜんっぜん出番無いじゃ
ないのよ」
「じゃかあしゃあー、このアマぁ。ワイかてチルドレンや言うとんねんやろ。何回ゆうたら解んねん! ――と、
何やこのええ匂いは?」

「すいません、お待たせしました!」

 エアロックの向こうから姿を現したのは、白衣のポケットに手を突っ込みながら悠然と闊歩するリツコ、
そしてその後ろには両手に大皿を抱えた長門ミキが従っている。

「待たせたかしら?」
「赤木博士」

 コツリと革底を響かせ、睥睨するように辺りを見回したリツコに鋭い一瞥を向けたレイ。 

「レイ、何?」
「碇くんは一緒では無かったのでしょうか?」
「シンジ君はもうじき姿を現すわ」
「そうなの、レイちゃん。それで先にこれを持って行ってって頼まれて、あたし」

 何の予兆無くミキが手に持つ大皿からブワッとナプキンを取り除いたリツコ。その下から現れた中身を
見て、レイは卒倒しそうになった。にくニク肉。お肉でいっぱい。豪快に盛られたサイコロステーキから、
ガーリックとソースの芳香が三百年の封印を解かれた悪霊のように辺り一面に湧き出した。
 瞬時に数メートルも飛び退いたレイに代わり、突撃してきたのは勿論トウジだ。すでに餓鬼憑きとなっ
た顔と飛びかからんばかりの勢いに、ミキはドン引いた。  
 
「これや、これやがなっ! ワイが待ってたんはああああ!」
「オッ、これは旨そうだな。絶妙な焼き加減は流石にシンジ君だな」
「そおなんです。物産コーナーで但馬牛が出展されてたんですけど、あたし主任さんに勧められるままに
挑戦したんですけど、焼き過ぎちゃって…見てられないって、シンジ君が交代してくれたんです」
「これはすごい霜降りだな。…おお、これは旨いじゃないか」
「はい副司令。塩はシンジ君秘蔵のバリ島の天然塩だそうです。みなさんもどうぞ。あれ? どうしたの、
レイちゃん?」

 さっきまで隣にいたレイが、いつのまにか部屋の隅で何やら口を押さえている。どうしたの?

「……わたし、要らない」
「え? でもシンジ君が――」
「レイ、あなたがお肉を苦手なのはよく理解しているわ。でも、どうかしら、一度挑戦してみては?」
「……赤木博士、無理だと思います」
「でも、シンジ君は若しかしてあなたも食べてくれるんじゃないかって、気持ちを籠めて焼いたんだと思うの」
「…わたしのことを想って、ですか?」
「そうよ。あなたを想ってよ…たぶん」
「わたしだけを想って?」
「そうよ……たぶんね。だから挑戦できるわね?」
「…でも」
「それに、お肉、そう、動物性タンパク質を摂取すると、胸が大きくなるっていうわ。ねえ、ミキちゃん」

 え? と顔をあげたレイの目の先で、タイミング良く、はあい、と振り返ったミキの胸がぶるるんと
果実のように弾んだ。

「食べます。赤木博士」

 一連のやり取りを後方で観察しながら肉を咀嚼していたゲンドウの口の端が上がった。今まさにレイは
肉汁滴る但馬牛をその小さな口に近づけている。歴史的瞬間でもあるのだ。

「…………」
「どお、美味しいでしょ? レイ?」
「…………」
「レイ?」
「…………」
「…頑張って飲みこむのよ」

 お肉を飲み込むため、眉根を寄せなぜか下腹部を押さえながら身を捩らせるレイは例えようもなく艶め
かしい。後方ではパシャリパシャリとシャッターを切る音が水面を跳ねる水鳥のように舞っている。

「……赤木…博士」
「レイ?」
「………変身、しそうです」
「あら、じゃあ、もう一つどう? これで左右バランスが取れるわね」

 思わずシャックリが出た。つまり、たった今、死ぬ思いで飲みこんだのは、左胸のぶんで、次のが右胸
のぶんとでも言うのだろうか? えらい事になってきた。しかし、それでもレイは健気に思うのだ。胸が
大きくがなれば、きっとシンジだって喜んでくれるにちがいない、なにより他の女に目が行くことなど無
くなるんだ、と。そしてその為には、目のまえの但馬牛――脂のてらてら輝く、この肉を、何としてでも
征服する必要があるのだ……何としてでも、わたしは――。

「すいません。遅くなりました!」

 まるで効果音のような派手なエアの音を従え姿を見せたのは、紛うこと無き碇シンジだった。必死に走っ
てきたのか、切れ切れの息を波打たせた体で整えている。

「……いかり…くん」
「…あ、綾波?」
「…わ、わたし」
「ど、どうしたの、綾波!?」

 じわりと紅い瞳を潤ませたレイを前に、慌てふためくシンジ。よくよく見れば、目のまえの少女はその
指先にサイコロステーキの刺さった楊枝を、べそをかいた幼女が風船を持つように、いかにも心細げに持
っていた。

「…もう…もう」
「だ、ダメだよ。綾波はお肉は食べれないじゃないか!」
「…で、でも…お肉が足りないから……胸が…」
「無理をしちゃ、ダメだよ。綾波には、これを作ってきたんだ」

 はい、とシンジが差し出したトレーからふわりとナプキンを取り除くと、そこには見栄え良く盛られた
料理が微かな湯気と芳しい匂いと共に顔を出した。碇くんは、やっぱり魔法使い。

「綾波のために特別に作ったんだ。丹波産夏野菜のエスカリバーダだよ」
「…………」
「…好きじゃなかったかなぁ」
「…そんなこと、ない」

 ホッとした表情を浮かべたシンジは、ポケットからナプキンに包んだ銀のカトラリを手品のように取り
だした。

「よかったら少しでも食べてよ。その、綾波のことを考えながら作ったんだ…」
「…………て」
「へ?」
「食べさせ…て」
「へぇ、えええ!?」
「……だめ?」
「は、恥ずかしいし、みんな見てるよ…あ、綾波」
「もう、カチンコが鳴るわ」
「…で、でも」
「……そう」

 消え入りそうな声を洩らして顔を俯かせたレイに、シンジは冬眠明けの熊に出会ったように大いに慌てた。
 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃ――。
 
「…ひ、ひとくち位なら」
「いかり…くん」

 ふたたび顔をあげたレイの花びらを開いたような微笑に危うく頭をショートさせそうになったシンジだが、
頭を振ってスプーンに美味しそうな焦げ目のついた茄子を掬って、レイの口もとにそろそろと近付けた。

「……ど、どう?」
「おいしい。碇くん」

 ……よ、よかった…美味しいって言ってくれた……たった一口だけど。それでもよかった……綾波。

「これで…おあいこ」
 へ?「おあいこ…って何?」
「…何でも、ない」じきに解るもの「それで…碇くん」

 シンジの胸に顔を埋めるように体をすり寄せたレイに全身を硬直させたシンジ。

「どどどうしたの? あ綾波?」
「弐号機パイロットに試すように言われたの…」
「なな何を?」
「…浮気防止のおまじない、だと思う」
「う浮気防止って?」
「け・り・あ・げ・る」

 へ? とシンジが漏らした声に、レイの鈴のように可愛い声が、えい、と続いた。
 二階からコンクリートの地面に落とされたたこ焼きが潰れたような卑小な音に、大地の果てで迎えた
終局が如きシンジの叫び声が重なった。時を同じくして、小気味よく鳴ったカチンコとの相容れないユ
ニゾンは、この上なくシュールな和音を世界中に響かせた。


メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.10 )
日時: 2011/04/05 05:38
名前: tamb

■タイトル無し/calu
( No.9 )

 「彷徨う虹」の外伝。この作品は、『彷徨う虹』の「伝えたい / I wish I could be
with you」IVと併せて読むことを強くお勧めします。

 A.T.フィールド乱用のレイがなかなか素敵。
 ワーキングチェア、ほんと好きやね(笑)。
 そして「伝えたい3」で出てきた「蹴り上げる」がここで試されたわけだ。

 面白いけど、ぶち壊しな気も(笑)。

 しかし腹減ったなw
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.11 )
日時: 2011/04/15 01:23
名前: calu

tambさん

コメント有難うございました。

>A.T.フィールド乱用のレイがなかなか素敵。
ふと思ったのですが、ATフィールドを使って料理は出来ないものかと(笑)。
切ったり焼いたり刻んだり(爆)。ハリセンにもなるんですもの。

>ワーキングチェア、ほんと好きやね(笑)。
最近とみに腰が痛くて(笑)。ホントに欲しいっす。

>そして「伝えたい3」で出てきた「蹴り上げる」がここで試されたわけだ。
>面白いけど、ぶち壊しな気も(笑)。
恩赦は無かったようです、と言いますか乙女心は複雑なようです(笑)。


メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.12 )
日時: 2011/04/17 11:58
名前: 何処

「いただきます」

私は目の前で音を発てながら鋳鉄製の皿上に転がる肉塊に躊躇無くフォークとナイフを突き立てた。



【美容と健康の為その一、健全な食生活】



一口大に切り分けた肉を口に運び、咀嚼し、飲み込む。

…ミディアムレアにすれば良かったわね…余熱で焼けるのを計算してなかった…

そんな事を考えながら、私は二口目を切り分け…

「…何?」

目の前でポカンと口を空けた碇君と、その隣で同じ表情で座るアスカ。

「…冷めるわよ…お肉…」
二人に告げる。

碇君の前にはメンチカツとチキンソテーが一つの皿に乗っている。
アスカの前にはチーズハンバーグ…何故か爪楊枝にドイツの国旗が付いた物が刺さっている…が湯気を立てている。

「綾波…お肉嫌いじゃなかった?」

「ええ、嫌い。でも食べられない訳では無いわ。」

おずおずと聞く碇君に答え、私はフォークに刺さったままの二口目を口にする。

「…たまには外食でもって誘ったのは僕だけどさ…」

「…注文に驚いたわよ。“フィレステーキ180gミディアム、パン抜き、ミニサラダ、食後にコーヒーと焼きプリン”なんて」
「…予想外だ…」

咀嚼した肉を飲み込む。

「正しい食生活は適度なバランスを週単位トータルで取る事…」
「「はぁ」」

「私の食生活をマギに分析させたら、週二回の肉類摂取が必要と判断された…」

「あー、確かにあんた細いもんねー。」

「ま、まあ綾波がお肉も食べれるって解って安心したようん。」

「菜食でも健康と成長は守れる…だけど…」

「「けど?」」

「冷めるわよ…二人共。」

「あ!いっけない!折角ミサトから食事代GETしたのに冷めちゃう!」「い、いただきます!」

食事を開始した二人を見遣り、私は内心胸を撫で下ろしていた。


…この理由は言えない…


サラダのレタスを一口かじり、私は思いを巡らす。


…葛城三佐と赤木博士、あの二人は別格として…


付け合わせの温野菜を噛みながら、碇君の隣に座る金髪少女の服の下で揺れる肉塊をこっそり眺める。


「…」


続いて自分の胸元を…


「…」


…やっぱり私には肉が足りない…


私は三口目を切り分け、口に運んだ。




http://www.youtube.com/watch?v=cnfyFHlDEMA&sns=em



「司令…マギの使用許可レイに又出しましたね?」

「ああ。」

「…何か、豊胸体操とか矯正下着カタログとかのデータが入ってるんですが…」

「…ふっ…」

「…年頃ですわね…」

「ああ…」

◇◇◇

「碇、この書類だが…何をほのぼのしとるんだ?」

◇◇◇

「…先輩、何笑ってるんです?」

◇◇◇

「ちょっと加持、もう直ぐシンちゃん達帰って…ぁん!」





…皆様ごめんなさい。
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.13 )
日時: 2011/04/17 23:58
名前: tamb

■caluさん
> ふと思ったのですが、ATフィールドを使って料理は出来ないものかと(笑)。

 きっと出来る(笑)。書いてちょ。
 A.T.フィールドを使って料理を作るってのではないけど、ネタが浮かんだ。リレー小説みた
くなってるゲロ甘で書けるかな?


■美容と健康の為その一、健全な食生活/何処
( No.12 )

 これ、いい(笑)。こういう話は大好き。挿入かに歌われているごとく、私も単純です(呆)。
ラストもいい(爆)。その一ってことはその二もあるはずなのでそれにも期待。

 しかしこれのたこルカ(だよな?)もそうなんだけど、腕が胸に食い込んでるというか突き
刺さってるのは何とかならんのだろうか。

 ちなみに今さらですが、レイに肉を食わすというのは当サイトの記念すべき第一回企画でも
やってまして、私も書いてます。未読の方はぜひ。と宣伝。

> …皆様ごめんなさい。

 許す(爆)。
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.14 )
日時: 2011/04/19 14:54
名前: 何処

「…どうしたの皆?」

私は目の前で音を発てながら転がる女子一同に問い掛けた。



【美容と健康の為その一、健全な食生活0,5】

http://www.youtube.com/watch?v=5db9llZKLKU&sns=em
《連打ボタン》重音テト



「ど…」「どうしたのって…」「…痛い…」「あ、あんたねぇ〜…」

机ごと転がる女子一同に私は問い掛けた。

「何?」

私の問いに転がる椅子と机の間からアスカが答えた。

「何って…この惨状見て気付かない?」

改めて皆の様子を観察…

「…アスカが、今日は縞柄…」

いつものレース付き白と違うピンクの縞柄…霧島さんは緑の縞柄ね…

ガタガタガタタタタタッ!



私は又机ごと転がる女子一同に問い掛けた。

「…どうしたの皆?」

ガタガタと倒れた…と言うより倒した…椅子と机を直しながら彼女らは口々に何やら呟きつつ立ち上がり…

…雨後の筍…成る程…

…私は昼休みの間、アスカのお説教を正座で聞かされ続けた…


◇◆◇


次の日…

「ふーん、そぉんな事があったんだぁ。」

シンクロ試験の後、私はオペレートルームで赤木博士と葛城三佐に昨日の報告をしていた。
私の後ろではオペレーターの三人がデータの整理をしている。

「…で、一体原因は何?」

紙コップの珈琲片手に問い掛ける赤木博士に私は答える。
男性向け雑誌に写る女性達を見た感想だ。

「男の人は何故おっぱいが好きなのかしら?って聞いたのですが…」

「「ブハッ!?」」

ガタガタガタタタタタッ!

「…大丈夫ですか?」

後ろの騒音に振り向いた私は、床に椅子ごと転がるオペレーター達に問い掛けた。

「だ…」「大丈夫だよ…多分…」「わ…私は駄目かも…」

「?」

ふと振り向くと、赤木博士は珈琲を溢しながら下を向いて肩を震わせ、葛城三佐は何かを堪える様な表情を真っ赤な顔で…あ、自分の足踏んでる…

笑いを堪えているのかしら?

…アスカは一般的には女性の胸部授乳器官を乳房と呼ばずおっぱいと呼称すると教えてくれた…それは間違い無い筈…では何か他に私はおかしい事を発言したのだろうか?

「え…N2爆弾並の破壊力ね…久々に効いたわ…」

「ど…」「同感…」「先輩…それはあまりに…ぷぷっ!」

「?私は間違ってますか?…男の人はおっぱい嫌いなんですか?」

「「「!ぷぷぷっっっ!」」」

「い、いえま、間違いないと思うわ…ぷっ!」

「あ、あのねレ…ぷっ…レ、レイ、そ、それシ…ぷぷっ!シンジ君にき…ぷっ!…き、聞いたの?…ぷぷっ…ぷっ!」

「…アスカに止められました…」

「よ…良かったわ…ぷっ!」

「リ、リツコ笑っちゃ…ぷっ!」

「?」

…何やらお互いの足を踏み合い、片手で口元を押さえ真っ赤な顔であらぬ方向を見上げる二人の様子に、私は只戸惑い立ち尽くした。


◇◆◇


…少女がオペレートルームを出てきっかり30秒後、完全防音の室内は爆笑に包まれた。


◇◆◇


…理由は兎も角、男の人がおっぱいが好きだと言うのは本当の様だ。
アスカは私に言った…このままでは碇君に嫌われると…

碇君は…

『綾波はそのままで良いんだよ。』って…

…碇君も稀におかしな事を言う。私は私、変わりようが無い。
…けれど肉体の成長により外見…つまり体型は変化する…増して私は今成長期…

…体型を男性の好みに成長させれば…

…碇君は私の胸を掴んだ時、真っ赤な顔をした…

…碇君も男…男はおっぱいが好き…

男性向け雑誌の写真に写る女性達はおっぱいとお尻の発育が素晴らしい。
ならば私もおっぱいとお尻を発育させ…させ…



どうやって?

…碇君は赤木博士や伊吹さんは常識擦れてるし、葛城三佐は非常識だと言った。アスカや霧島さんは、行動と発言が擦れているらしいし…

参考になるとすれば…





…そうだ、マギで検索解析してみよう…

私はマギの使用許可を得る為に碇司令のいる筈の司令室へ向かった。


◇◆◇


プシュッ!


「失礼します。」

「レイか…何の用だ?」

「マギの使用許可を頂きたいのですが。」

「…理由は?」

「自分の身体成長に必要かつ適正な栄養摂取量及び適正運動、ホルモンバランスを保つ為の薬剤等について調べたいのです。」

「…バイタルチェック及び健康管理は適正に行われている。必要は無い。」

「しかし私の成長は一部において明らかに周囲の同世代より遅れています。その理由を知りたいのです。」

「…一部とは?」

「胸部及び臀部における体脂肪蓄積率です。」

「…」

「…」

「…何故その部分の成長を気にする。」

「男の人はおっぱいが好きだと聞いたからです。」

「…」

「…」

「「…」」


プシュッ!

「おい碇、今市議会から陳情書が来てな…ん?レイか、どうした?」

「あの…」

「冬月、陳情書を見せろ。レイ、マギの使用を許可する。本日1800から1930までだ。」

「?」「はい。有り難うございます。」


プシュッ!


「…碇、何かあったのか?」

「いや…問題無い…」


◇◆◇


副司令と陳情書について話し合いが終わり、男は唯一人司令室内にいた。
ゆっくりと席を立ち、通信回線を留守電へ。続いて室内を極秘会議モードへ切り替える。

扉がロックされ、窓はマジックミラーモードへ、遮音空調と電波妨害発信が開始される。

一連の作動状況を確認した男はゆっくりと席に戻り、いつもの姿勢を取る…

…十二年振りの男の爆笑を、セフィロトの木のレリーフだけが聞いていた。


◇◆◇


マギにしては珍しく検索と解析には数分間かかった。
検索解析結果を印刷し、私はその情報を元に行動を開始する事にして端末を切った…
…何故か端末を切る寸前、画面に『Good Luck!!!』と表示が出た…

…何の事だろうか?


◇◆◇


「…現在のサイズ、ほぼ標準の値…アンダーがマイナス?何の事かしら…改善点、私の食生活…週二回の肉類摂取が必要と判断…他に豊乳体操と特製野菜ジュースレシピ…形が大事?補正下着一覧と…パットは不要?睡眠時間は…」

…お肉…か…

葛城三佐と赤木博士の豊かな胸と立派なお尻を思う…

「…」

続いて自分の胸元を見る…

「…」

…掴んでみる。

「…」

…それなりには存在を主張している…

目を瞑り、もう一度葛城三佐と赤木博士の豊かな胸と立派なお尻を思う…

「…」

目を開け、再び自分の胸を見…

…やっぱり私には肉が足りない…

「…好き嫌いはいけない…嫌いでもアレルギーが無いならば必要量の摂取は最低限必要…」

…私は行動を開始した。


◇◆◇


夕食をいつも取るネルフ食堂…

…今日のA定食は…見た目肉が判り辛いひき肉のカレーか…これにしよう…

食券を自動販売機で購入、セルフの盆に皿を載せて会計する。

…さて…

席に着き、私は勇気を出して目の前のカレー…

に付いて来たサラダの向こうが透けるハムから…

から…

から…





…食べてみた。


…やっぱり美味しくはない…けど、まあ食べられない事は…



多分無い…筈。


◇◆◇


数日後…

「だから綾波に妙な事吹き込むの止めろって言っただろ!」

「妙な事ですってえ!?あんたがあんまりだらしないから面倒見てやってるんじゃないの!」

「何だと!」「何よ!」

ガラリ!

「あーもー!あんたらあたしのきちょーな睡眠時間を奪うの止めなさい!

「ミサト…」「…もうお昼ですよ…」

「ぅつっさいわね〜、あたしゃ夜勤明けなの!大体そんな大声で怒鳴り合えば…あり?ペンペンは?」

「あ、今洞木さんとこ」「ノゾミちゃんがペンペン大好きなのよねー。」

「…んじゃ二人でペンペン引き取って来てね…あたしゃも少し寝るわ…起こされたら堪らんから三時間は帰って来ないでね…ふわわわゎぁ〜…」

「そ、そんなぁ…」「ミサト昼ご飯は?」

「パースー…」

「「ミサト(さん)の事じゃなくて私(僕)達の分!」」

「…チッ、最近知恵が付いて扱い辛いったら…はい!一枚おっきーの!」

「やりぃ!ラッキー!」「うわぁ!?ミサトさん太っ腹ぁ」「さっすがミサトビールっ腹ぁ!」

「とっとと出ていけこの馬鹿ガキ共ぉ!」

「「うわわわわわわっっっ!い、行って来まーす!!」」


◇◆◇


「…っかしーわねー、何でミサトあんなに怒ったのかしら?」

「…本気でそう思うんだ…」

「え?」

「…多分アスカのビールっ腹発言が不味かったんじゃないかな…」

「?太っ腹ってビールっ腹の事でしょ?」

「うわ…アスカマジボケ…」

「?…ねえ、それよりこれからどうする?」

「…ほとぼり冷めるまで暫く時間潰すしかないかなぁ…」

「…ホトボリ?」

「あれ?綾波!」

「あ、碇君。」

「め、珍しいね、こ、こんな時間に…」

「え、ええ…」

「…」「…」

「(ホトボリ…変な日本語よね…でも意味知らないなんてシンジに言いたく無いし…)」

「そ、そうだ、よ、良ければ皆で一緒に食事でもど、どうかな?」

「え…いいの?」

「う、うん!当然じゃないか!ねぇアスカ!?」

「(ホトボリ…穂と堀?)」

「?」「ね、ねえアスカ、アスカ?」

「…へ?うぇっ!な、何でいつの間にレイがこここ此処にいる訳!?」

「?」「何言ってるのアスカ?今会った処じゃないか?」

「え?あ、ああそ、そう言えばそ、そうだったわね!あ、それよりあんた今暇?」

「え、ええ。」

「じゃあ皆で豪華昼食でも食べに行きましょ!奢りよ奢り!」

「い、いやアスカ綾波は今僕が」「さ!行くわよ二人共!」「了解…」「ア、アスカぁ!?あ、綾波ぃ?ま、待ってよぉ〜…」


◇◆◇


「よっ、葛城…って何だぁその格好?」

「…何だ加持か…」

「随分ご機嫌斜めじゃないか…何かあったのか?」

「べぇぇぇっぅぅにぃぃぃ〜〜。たぁだ睡眠不足なだけでぇっすよぉぉっだ!プシッ!ゴッゴッゴッゴッ…ぷわっっっふぅうっっあぁぁぁー!」

「こりゃ大荒れだな…」

「はっ、ピッッチピチ女子高生から見ればどおおっっせ三十路のビールっ腹なオバサンでぇすよをぉぉぉっっつ!せーいぜい三時間の自由を満喫させて貰うわよー―っだ!」

「?そうか?その割には随分と魅力的な格好で…」

「は?」

「いやいや、タンクトップにショーツと言う刺激的な格好が良くお似合いで…ひょっとして誘ってる?」

「!?ち、ち、ちょい待ち加持!ああああんたなな何か、か、考えてるの!」

「いやいや、据え膳喰わぬは何とやらってね…三時間ありゃ充分かなと…」

「や!止めなさいって馬鹿加持!」

「男と車は急には止まらないんだぜ葛城。じゃ、頂きます。」

「じ、冗談ムグッ!?ば、馬鹿な事ムムムムムムッッ!?!!」

「!」「!」「…!」「…!」「…」「…」

「…」

「…馬鹿…」「…仰せの通りで…」


http://www.youtube.com/watch?v=3Ws26LNmFzE&sns=em
《脱げばいいってモンじゃない》初音ミク


◇◆◇


「お冷やどうぞー、ご注文はお決まりになりましたかぁ?」

「ええと…僕はこのグリル…メンチカツとチキンソテーの方で。」

「あ!あたしこのチーズハンバーグセット!ドイツの国旗が刺さっている奴!」

「…」

「あ、綾波は決まった?」

「…フィレステーキ180gミディアム、パン抜き、ミニサラダ、食後にコーヒーと焼きプリン…」

「「は!?」」





《貧乳クエスト》
http://www.youtube.com/watch?v=ZS_i9z4eKsY&sns=em

…いいのかなぁ…
YouTube 動画ポップアップ再生
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.15 )
日時: 2011/05/12 19:04
名前: tamb

■美容と健康の為その一、健全な食生活0,5/何処
( No.14 )

 No12の「美容と健康の為その一、健全な食生活」の前段にあたる話。
 作者的には本意ではないかもしれないが、この話の私的なハイライトは画面に

『Good Luck!!!』

 と表示するマギである。マギかわいいよマギ。
 検索と解析に時間がかかったのは、科学者・母・女の葛藤や論争があったためであろうか。
 男はなぜおっぱいが好きなのかという点については、デズモンド・モリスという有名な動物
学者の仮説がある。検索すると出てくる「お尻の代わり説」と、記憶が曖昧だけど、とてもこ
こには書けないような説を提唱してたような気がする。私は穏健左派なのであんまりでかくな
い方がいいけど、まあでかくてもかまわん。つか、私の好みはどうでもいいんだよなw

◇脱げばいいってモンじゃない》初音ミク
 こういうサウンドは嫌いじゃない。詞がというか男がバカすぎて笑える。引用したいけどそ
れは避けよう(笑)。
メンテ
Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・一月 ( No.16 )
日時: 2011/06/25 07:04
名前: tamb


 ***** Traveling *****


 あの時、わたしは十字路に立っていた。
 今にして思えば、わたしはあの時、悪魔に出会っていたのだ。

 悪魔は人間の魂を欲している。理由はわからない。
 そして、悪魔はわたしの魂に目をつけた。ずっと気づかなかったけれど、つまり悪魔はわた
しを人間だと思ったということになる。何を根拠にそう思ったのだろうか。

 悪魔が魂を奪うための手口は実に緻密で用意周到、まさに悪魔的としか言いようのないもの
だった。

 わたしが部屋に鍵を掛ける習慣のないことを調べあげ、シャワーを浴びているタイミングを
見計らって勝手に部屋に上がり込み、わたしの裸体をじっくりと観察したあげく不自然に転ん
で押し倒す。
 わたしを怒らせ、平手打ちにさせる。
 笑顔を見せ、手を差し伸べる。
 美味しいご飯を食べさせる。
 さりげない一言で動揺させる。

 悪魔はそれと悟られないように、じっくりとわたしを絡め取っていった。

 そして最後に、強引な言葉でわたしを導いた。

 その時にはもう他に選択肢などなかった。

 わたしは悪魔の差し伸べた手をつかみ、魂を売り渡した。私を虜にした、優しくて、誰より
も素敵な悪魔に。


 今日もわたしは十字路に立っている。悪魔と待ち合わせで、十字路に立っている。
 神様、わたしを助けて。
 でもやって来たのは、やっぱり悪魔だった。わたしをきゅんとさせる笑顔を浮かべた悪魔。

「碇くん、それはなに?」

 手に持った包みを見てわたしが言う。

「フルーチェ。レモン味だよ。帰ってきたら食べよう」

 今すぐ食べたい。学校なんか休んでしまいたい。
 やっぱりわたしは悪魔に魂を奪われているのだ。
 ならば、悪魔の魂も奪ってしまおう。それがおあいこというものだ。

 わたしは眼を閉じ、軽く口唇を閉じて少しだけ上を向いた。

メンテ

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