Re: 夏の音色 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/06/09 02:43
- 名前: のの
- どもです。
えー、これはですね、ちゃんと読んでればわかると思いますが、aba_m.a-kkvさんの『硝子の檻の中のラムネ玉』を読んで書きました。
シンジくんの誕生日に素敵なFFを書いたabaさんのために、というのもヘンですけど、呼応して再び。ふたたびって言っても前回は 僕が「勝手に書き換えた」だけですし、今回は「勝手に乗っかった」だけですけども(汗) しかも今回は完全ゲリラですから、abaさんも未読のまま掲載というなんとも失礼なことかもしれないけど、abaさん、そこんとこは 穏やかに許して貰えると助かります(笑)
これは二人の、というか『硝子の〜』の14歳当時。ここまで長くする気もなかったけど、もっとブラッシュアップしてきちんとした 短編で発表してもよかった気がする。
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Re: 夏の音色(aba-m.a.kkvさんへ) ( No.2 ) |
- 日時: 2011/06/13 23:59
- 名前: aba-m.a-kkv
- ■ののさん
もう、どこまでも、ありがとうございます!! うれしいです、サプライズでお話をいただけるというのはいつでも素晴らしいものです。
しかも、さすがののさん、うまいですね〜。 最初の三文の引き込みから。 文章の繋ぎ、心理描写、背景描写まで、いまさらいうのもなんですが、重ね重ね凄いなーとおもいます。 個人的に「夏休みほど「することがない」時間はない 〜 膨大な無が広がる未来に押しつぶされそうになる」の一文が好きです。 あと、「そんなもの知らないぞ」からの長文、素晴らしすぎます。笑 ところどころに、「硝子の〜」の内容を反映してくださっていて、書き手として、くふふ、と喜んでいました。 アスカとの会話がメインで、ミサトとの会話がそれなりにあって、その二人に比べてレイとの会話は凄く短いのに、シンジにとっては、 一番鮮やかさと深さを持つように描いているのがまたいいです。
ああ、なんというか、「硝子の〜」を書いてよかったなあ、っと思います。 私のSSで、こんな素敵なお話を読めたのですから。
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Re: 夏の音色(aba-m.a.kkvさんへ) ( No.3 ) |
- 日時: 2011/06/25 07:05
- 名前: tamb
- ラムネ玉が欲しいと思ってラムネ瓶を割ってしまったとき、ラムネ玉はもうそこにはなく、
あるのはビー玉である、というアナロジーあるいはメタファーをどう解釈するべきなのか。
> ――僕は手に入れられない。 > 「ああなんだ、結局つまりは、そういうことか」 > ――僕には、壊せない。
でも瓶を割ってまで手に入れたラムネ玉がビー玉だったとしても、それで本質的な何かが変 わるわけではない。かつてラムネ玉だったビー玉が一歩踏み出しただけなのだから。それは小 さな一歩ではあるけれど、勇気のある大きな一歩でもある。ガラス瓶の中にあってこその輝き を捨てるということなのだから。でも、違うガラス瓶の中に入って違う輝きを放つことはでき る。その意思があるならば。 レイはアスカに呼ばれてプールに行く。シンジが来ると来ないとに関わらず。それでもシン ジに電話をした彼女にその意思を感じてしまうのは妄想に過ぎるだろうか。
というわけで、ラムネ瓶がまだ私の目の前にある。中身はもう飲んだ。新しいタイプのラム ネ瓶だから、スクリューキャップを外せばラムネ玉を取り出すことは容易だけれど、まだ取り 出せないでいる。軽く振ると、かりん、という涼しげな音がする。
ののさんのお家芸ともいえる、ほぼ時間的進行のない思考とわずかな会話のみで成立してい るこの話、例えばのろくさ、ちりちり、という関連性のない擬音のようなものを使ってしまえ るというセンスはすごい。のろくさっていうのは前にも使ってたけど、その時はのろのろとく らいの意味だった(「ジェンガ」です)。 わずかなことで気分は上を向ける、というこの話が、ブラッシュアップされるとどうなるの かには興味がある。薄くならずに、ということを考えるとかなり別の話になるような気もする けれど、そうでもないのかもしれないし。
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Re: 夏の音色(aba-m.a.kkvさんへ) ( No.4 ) |
- 日時: 2011/06/26 19:56
- 名前: tamb
- ラムネ瓶というのはラムネ玉を閉じ込めている牢獄そのものである。
それだけならそれこそユングの龍退治のごとく瓶を割って宝物を手に入れれば丸く収まるの だけれど、だがラムネ玉はラムネ瓶の中でしかラムネ玉ではいられないという部分に問題はあ る。
> 「そう、閉じ込められてるのね」 > 彼女がそう言ったことに少し安心する。 > 彼女自身はもうそこにはいない、その自覚を滲ませていたから。 (硝子の檻の中のラムネ玉)
彼女はすでにラムネ瓶の中にはいない。つまり、既にラムネ玉ではない。そのラムネ瓶を割 ったのは
> 結局ビンを割ることが出来ずに捨ててしまっていたんだよね。 > やろうと思えば、出来ないことはなかったはずなのにね (硝子の檻の中のラムネ玉)
と語ったシンジだ。
> ――僕は手に入れられない。 > 「ああなんだ、結局つまりは、そういうことか」 > ――僕には、壊せない。 (夏の音色)
ラムネ瓶はラムネ玉がなければその機能を果たせず、ラムネ玉はラムネ瓶をラムネ瓶として 機能させる。両者は補完関係にあり、余人の立ち入る事を許さない。ラムネ玉がラムネ玉であ り続けるためにはラムネ瓶が必要なのだ。だから「壊せない」。 この呪縛から逃れるためには、ラムネ玉に自分がいつまでもラムネ玉である必要はなく、な りたい自分になれる可能性を示唆しなければならない。 その意味で、
> こんな日には炭酸を飲みたくなる。スーパーでラムネかサイダーを買っておこう。グラ > スに氷をたくさん入れて、泡立つそれを皆で飲んでみよう。そうすれば、あの頃の子ども > 達の嬌声にも負けずに済む気がする。
ラムネを、ラムネ瓶を使わずに飲むという方法を提示したこの部分は重要に思える。屈託な く瓶を壊した子ども達を、青ざめることなく見る事のできる場所に立てる。
シンジとレイの会話を聞く限り、シンジがレイの可能性を示唆するにはまだ時間がかかる。 彼女自身もまだ瓶越しに外を見始めたばかりだ。それは大きな一歩ではあるけれども。
こう解釈すると、「夏の音色」が「硝子の檻の中のラムネ玉」の前日譚であることが明確に なる。
いずれにしろ重要なのは、レイがシンジのラムネ玉になった時、そこにレイの意思が介在し ているという部分にあると思う。繰り返すが、両者は補完関係にある。
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