I'm glad it's your birthday |
- 日時: 2012/06/07 00:00
- 名前: タン塩
- 「HAPPY BIRTHDAY!」
18本のロウソクを見事吹き消したシンジに祝福の声が上がり、クラッカーが鳴る。 「ほらシンジもコップ出しなさいよ」 「あ、どうも。って、だ、だめだよアスカ、ビールなんて」 「あーらシンちゃん、堅いこと言わないの。高校三年にもなればビールぐらいサ イダー程度よ」 「ミ、ミサトさん!」 「相変わらず堅いのうセンセは。一杯ぐらいどうってことないやろ」 「トウジもやめてよ…」 「碇くん、飲んで」 「あ、綾波ィ!綾波まで……」 「今、葛城三佐に言われたの。ビールぐらい飲めなければ、立派な大人になれな いって。私、碇くんに立派な大人になってほしい…」 「ミサトさん!綾波に変なこと吹き込まないで下さいよ。本気にするじゃないで すか」 「飲んで」 「じゃ、じゃあ一杯だけ」 「なーによ。ファーストのお酌なら飲むわけ? 現金過ぎよバカシンジ」 「まあいいじゃないか。乾杯しようよシンジ君」 「カ、カヲル君もビールなの?」 「本当はシャンパンと行きたい所だけどね」 「はあ……。カヲル君ならシャンパン似合うかもね」 「碇くん。私にも注いで……」 「注いでって、ビ、ビール!?」 「私も立派な大人にならなきゃいけないから…」 「い、一杯だけにしといてね。はい」 「みんなグラス持った?では乾杯の音頭は、不肖葛城ミサトが務めさせていただ きます!」 「シャレになんないわよね不肖って」 「そこ、うるさい! えー本日は碇シンジの18歳の誕生パーティにご参列頂き」 「『ご参列』は葬式だぞ葛城」 「う、うっさいわね加持くん! えーご参加頂き真にありがとうございます。思 えば第三使徒が暴れ回る中、シンジ君を迎えに行ってから早四年。こんなひ弱で 頼りない子にパイロットが務まるのかしらと不安ばかりが先に立つ出会いでした が、なんだかんだでどうにかなってしまった結末、これもわたくし葛城作戦部長 の指導の賜物と…」 「長いわよ、ミサト!」 「うっさい! 私が子供の頃好きだったお笑いの人が言ってました。『生きてる だけで丸儲け』ってね。生きててよかった!カンパーイ!」 「「「「カンパーイ!」」」」
「はい、これ食べて鈴原」 「おお、すまんのイインチョ」 「碇くん、これ、私が作ったの……」 「サラダだね。いただくよ」 「あ、あたしの作ったグラタン残したら承知しないからね、カヲル!」 「程よく真っ黒に焦げた表面……小麦粉がダマになって粉っぽい中身……弔意に 値するね。死にそうってことさ……ウゲッ」 「だ、大丈夫?カヲル君」 「ありがとう。やっぱり僕はシンジ君が好きだよ」 「こら、男同士でくっつくな!」 「フィフス……殲滅ね」 「ええから渚、惣流のグラタンはよ食わんかい。彼女の作ったもんは、どんだけ まずくても残さず喰うのが男の修行やで」 「しゅ、修行なのかい? リリンの文化はまだまだ奥が深いよ……」 「修行で悪かったわね!」 「料理が得意な彼女を持った者の驕り、慢心だな」 「だあっとけケンスケ!」 「うっ、ヒック、ぐすっ」 「ど、どうしたの綾波、泣いてるの!?」 「ぐすっ、碇くんのバカ…」 「な、なんでバカ!?」 「バカバカバカ、碇くんのバカバカバカ、ふえーん」 「このビールの空き瓶は…まさか綾波が飲んじゃったの!?」 「泣き上戸かいな」 「酔っ払いの面倒はお願いね、碇君」 「そ、そんなぁ」 「バカバカバカ、ふえーん」 「あ、綾波、抱き着かないで、あわわ」 「気持ち悪い……うっ」 「うわああああああ」 「あっ、ゲロった」 「ゲロはまずいわね。みんな、撤収よ!」 「そんなああああああ」
【ゲロ終】
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