Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.1 ) |
- 日時: 2012/10/21 21:50
- 名前: tamb
*****きっとそれを乗り越えて*****
赤木レイ、という女の子がアルバイトに来ていた。仕事は素早く正確で、頭も切れるし飲み 込みもいいし、貴重な戦力だったが、どことなく取っつきにくい感じがしておれは敬遠してい た。ルックスは、異常なほどの美人、とまでは言わないが十二分に可愛かったのだが。整った 顔立ちがかえって冷たさを感じさせるのかもしれなかった。 だが、転勤になる同僚の送別会――正確に言えば同僚の転勤を口実にした飲み会――で話を してから印象ががらりと変わった。基本的には静かでやたらと喋る方ではないが、実はアニオ タだったのだ。もちろんおれと彼女は親子ほども歳が離れているわけで、アニメ的な共通項は さほどなかったが、二人で知識を突き合わせるとアニメの進化の歴史がわかるような気がした。 セカンドインパクトと使徒戦争で失われた人材と技術の回復にはまだまだ時間がかかる、で もその萌芽はすでに見えていると彼女は言った。いくつか作品名を上げてもらい、おれは脳内 にそのタイトルを焼き付けた。
「わたし、ああいうお母さんになりたいんです」
彼女はある作品の名を上げながら唐突にそう言った。それは話題の作品で、おれも実に久し ぶりに劇場に行ったアニメだった。
「ああいう生き方は、実際問題としてはとても難しいし、リアリティがないのもわかります。 でも、なんていうか……」 「人はみな孤独だけれど、だからこそ絆を求めて――」 「そうです!」
彼女はおれの言葉を遮り、瞳を輝かせて言った。
「それが言いたかったんです」
おれは苦笑して言った。
「ああいう生き方は難しいかもしれないけど、赤木さん、可愛くて素敵な奥さんになれると思 うよ」 「それ、わたしの彼氏に言ってくれませんか」 「いくらでも言うよ。連絡先教えてよ」
彼氏がいるのか、とおれは思う。そりゃいるだろう。彼女くらい可愛ければ。おれも男だし 確かに一発やりたいくらいは思わないでもないが、どちらかと言えば娘を見ているような気持 ちの方が強く、それほど嫉妬心は浮かんでこなかった。
「わたし、お料理が上手じゃないんですよね」 「料理なんか練習すれば大丈夫だよ」 「ずっと練習してるんですけど。っていうか、彼がすっごく上手なんです」 「そうか。そりゃ困ったな」 「困らないで下さい」 「じゃあ困らない」
彼女は笑ってくれた。
程なくおれも転属になり――フロアが変わっただけだが――彼女とも疎遠になった。慣れな い仕事でストレスは溜まる一方だったが、廊下で彼女とすれ違って手を振ってくれたりすると、 それだけで気持ちを切り替えることができた。おれが彼女のために何かできるわけでもないし、 おれが何かしたから彼女がどうということもないのだが。
昼休みも終わりかける頃、机の前でぼーっとしていたおれの所に彼女がやって来た。
「お、珍しいね。どうしたの」 「結婚することになりまして。そのご報告に」 「おおっ!」
おれは思わず立ち上がった。彼女はおれの勢いに笑顔でのけぞった。
「例の料理が上手な彼氏?」
黙ってうなずく。
「赤木さんは、ちょっとは上手になったの?」 「だめです」 「だめじゃん」 「だめなんです」
おれたちは笑う。
「このままじゃ一生無理だから、環境を変えて一挙に事態の解決を図ろうかと思って」 「なんだよ、それ」 「妊娠したかもって、嘘ついたんです」 「嘘かよ」 「嘘です。でも、かも、だから厳密には嘘じゃないですけど」 「うむ」 「そしたら話が一気に進んじゃって。いまさら妊娠してなかったって言いにくくなって。どう したらいいでしょう」 「生理来たって言えばいいんじゃない? 普通に」
彼女は一瞬驚いたような顔になり、それから笑顔で答えた。
「あ、そうですね」 「なにはともあれ、おめでとう」 「ありがとうございます」 「仕事はどうするの」 「今月いっぱいで辞めようかと思ってます」 「そうかあ。寂しくなるな。でもしょうがない。とにかくおめでとう」 「ありがとうございます。なんか下さい」
アドレスを交換し、送別会をやり、彼女は恥ずかしそうな笑顔と少しの涙を見せて会社を去 って行った。
彼女――赤木レイが、あの綾波レイだとわかったのは数週間後のことだった。昼のニュース で流れたのだ。チルドレン、碇シンジと綾波レイが結婚。記者会見の場面も流れた。
「おい!」
課長が叫んだ。
「ありゃあ、赤木さんじゃねえか!」
フロアは色めき立った。彼女は明るい栗色の髪で、瞳もきれいな黒だった。あの綾波レイと は違う。だが画面の中の彼女はその姿だった。会社で仕事をしていた、赤木レイの。
「綾波さん、髪の色は」 「はい、あの、普通に生きて行くにはあんまり目立たない方がいいかなと思いまして」 「目はコンタクトを?」 「はい」 「碇さん、プロポーズの言葉は」 「はい、えっとその、結婚して下さいって土下座を、いてっ」
一瞬、彼女が碇シンジを横目で見た。机の下で蹴ったのか。
「えっとあの、綾波がに、あつっ」
今度は彼女もにこやかに正面を見たままだった。先が思いやられる。
異常に恥ずかしそうな彼女と、心ここにあらずな碇シンジがおかしかった。
そうか、とおれは思った。 サードインパクトの真実にまつわる本はおれもずいぶん読んだし、その時代に生きていたと いう意味ではおれも当事者の一人だ。すんでの所で阻止されたサードインパクトが何だったの かはよくわからないままだった――わかっている人などいないのかもしれない――が、彼女た ちの苦悩はわかるような気がしていた。本当のところは他人にはわからないものなのだろうが。 それでも彼女たちは、それを乗り越えて幸福を掴もうとしている。自分を諦めずに。
画面は友人たちのコメントに変わった。アスカがカメラをびしっと指さし「いいことバカシ ンジ、ファーストを不幸にしたら許さないからね」などと言っている。
フロアはまだ騒然としていた。サインもらっとけば良かった、などと言う奴がいる。なんで チルドレンがうちの会社なんかでバイトを、と部長が言った。確かにそうだ。人事の連中は把 握していたのだろうか。
おれは携帯を出し、迷った末にメールを打った。
『ニュース見たよ。びっくりした。とにかくおめでとう。お幸せに』
返事は即座に来た。
『ありがとうございます。隠しててすいません』 『いいよ。問題ないです。頑張って料理上手になって、幸せを掴んで下さい』 『厳しいですけどなんとか頑張ります。ありがとうございます(^_^)v』
最後の顔文字が似合うような似合わないような、不思議な感じだった。
おめでとう。君が幸せの入り口に立つことができて、本当によかったと思う。
心から言うよ。本当におめでとう。どうかお幸せに。
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.2 ) |
- 日時: 2012/10/28 18:22
- 名前: tamb
*****プロポーズなんて*****
わたしは本当にプロポーズされたのだろうか。
碇くんが幼い娘とほっぺをつねくりあいながら、遊んであげているのか遊んでもらっている のか、洗い物の手を止めずそんな姿を見ながら、今でもそんなことを思う時がある。 碇くんはちゃんと言ったよと主張するし、わたしも全く憶えていないわけではない。
その時のわたしはえっちな女の子で、碇くんはエッチな男の子だった。散々に触られ、思う 存分にほぐされて、めちゃめちゃになってわけがわからなくなって、最後はまるでボロ雑巾の ようにぐったりとなって、彼の腕の中でまどろんでいた。優しく頭や背中をなでられながら。 彼とえっちなことをするといつもこうなる。ボロ雑巾というのは良く言われる言葉だけれど、 正鵠を得ていると思う。そのまま眠ってしまって、たいていは十分くらいで目が覚めるけれど、 朝になってしまうこともあるし、その日が休みの時はお昼まで眠ってしまうこともある。夕方 だったこともあった。さすがに恥ずかしかった。 彼がプロポーズしたのは、わたしがそんなボロ雑巾状態の、眠りに落ちる直前のまどろみの 中にいる時だった。 綾波、結婚しよう。必ず幸せにする。 碇くんはそう言ったという。 はい。 わたしは一言そう答えたらしい。 そんな記憶がうっすらとある。 お昼になって目が覚めて、確認しようと思ったけれど、夢だったら恥ずかしいし、碇くんも あまりに普通な感じだったから聞けなかった。 でも彼は翌日からすごいスピードで動き出して、あっという間に段取りをつけてしまったか ら、やっぱり夢ではなかったんだと思う。 こんなどさくさまぎれみたいなプロポーズなんてずるい。 プロポーズなんて一回すれば十分じゃないか。二回も三回もするなんて変だよ。 それはそうかもしれない。でも。やっぱり。
碇くんは娘を抱き上げ、たかいたかいをする。娘は無邪気に笑う。やがて軽く放り上げたり する。
「碇くん、危ないからやめて」 「大丈夫だって」 「落として怪我させたら、碇くんが病院に連れて行ってね」 「心配性だなあ、綾波は。大丈夫だよ、落とさないって」
娘がもう少し大きくなったら、碇くん綾波って呼び合うのはやめようと話をしている。なん て呼ぶかはその時までお互いに秘密。わたしはシンちゃんにしようかなと思っている。彼はな んて呼んでくれるだろう。やっぱりレイだろうか。レイちゃんだったりして。どきどきする。 レイちゃんなんて言われて、自分が呼ばれていると気づくだろうか。 でもやっぱりずっと碇くんと綾波のような気もするし、いきなりお父さんお母さんになって しまうような気もする。 一度くらいは名前で呼ばれてみたい。レイでもレイちゃんでも。ほっぺがぽかぽかする。つ ねってもらいたい。
碇くんが娘と遊んでいる。 あと十何年かしたら、きっとこの子も素敵な男の子を見つけてめちゃめちゃにされて、ボロ 雑巾みたいになってしまうのだろう。それは素敵なことだけれど、碇くんは心中穏やかではな いに違いない。でもそれは仕方のないこと。 だって碇くん、自分が何をしてきたかを思い出してみて。 そう考えるとおかしかった。
「ねえ、綾波」
わたしは笑いをかみ殺して顔を上げる。
「綾波、幸せ?」
わたしは小さく、でもはっきりとうなずいた。
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.3 ) |
- 日時: 2012/11/12 21:34
- 名前: 何処
【あなたへあげるはじめてあげる】
「コロッケうどん?」
碇くんは不思議そうな顔で私を眺めた。
「そ。コロッケうどん。」
当然のように私は言い切る。 碇くんは食事には保守的なのだが、言い切られると反論出来ない性格。無駄な論議より食べて貰う方が判る筈だし。 話を打ち切り、私はテキパキ(…あくまでも私なりに…)料理をする。
「…なんかミサトさんがやりそうな料理…」
ザクン!
…危うく指切る所だった。危ない危ない。
「…気が散るから、TVでも見て待ってて。」
「え?あ、でも…」
「…」
「…はい。」
…よし、碇くんは行った。集中集中。
ラードを敷いた鍋に今みじん切りにしたばかりの玉葱を入れ、塩胡椒して中火でじっくり炒める。
傍らに並んだ2つのボウルには既にマッシュポテトとパン粉、丼には溶き卵が用意されている。
良く炒めた玉葱をマッシュポテトのボウルに入れ、杓文字で混ぜる。
小判の形にして、溶き卵を潜らせパン粉を付ける。
紙を敷いたパレットに楕円が八つ。
さあて、これからが問だ…ん?
…あ、忘れてた。
掛けっぱなしだった水中眼鏡を外して深呼吸を二回。改めて…準備開始。
手順はわかっている、天ぷら鍋にサラダ油を入れて、箸から泡が出るまで加熱。天ぷら鍋にサラダ油を入れて、箸から泡が出るまで加熱。天ぷら鍋にサラダ油を入れ、箸から泡が出るまで加熱…復唱良し。作業開始…
… … … … … … …菜箸、エントリー…離脱…未だ早い…
…
…
よし。練習通り。
それでは本番に…何故かしら、エヴァのシンクロ試験より緊張するわね。
大丈夫、練習では上手くいった。大丈夫、大丈夫。 火力を中火にして鍋の縁から滑らせるようにそっと…中火にして…縁から…縁から…滑らせる…ように…そっと…そっ…そ…
あ
ジュワワッ!
「!?!」
せ…成功…危なかった…
さて、後七つ…大丈夫、一個目は成功した。この調子でこれを全部揚げれば良いの。それで、次の手順は…
◇◆◇
「いただきます。」
「い…いた…ねえ綾波、どうしてもコロッケ入れ」 「どうしても入れて。」
「…ハァ…ぃ、いただきます…」
ズルズルかぷっ、もぐもぐ
「…あ、綾波、それ…本当に美味しい?」 「とっても。」
「うぅ…え、ええい!」
ズルズルがぶっ…
「…」
「?どうしたの?」
もぐもぐゴックン
「…本当に美味しい…」
「だからそう言ったのに…」
「い、いやコロッケはずっと千切りキャベツと一緒にソース浸けて食べてたからさ、せ、先入観って凄いね、あ、あはは…ん?でも綾波良くこんな食べ方知ってたね?どうして?」
「…内緒。」
「でもさ…結婚して最初の綾波の料理がまさかコロッケだなんて思わなかったよ。コロッケうどんも初めてだし…」
「…おかわりあるわよ。」
「うん、これ食べてからお願いするよ。」
◆◇◆
空の丼を二つ持ち台所へ向かう。
…碇くんには内緒だが、私がコロッケうどんを初めて食べたのは碇司令と入った立ち食い蕎麦屋だ。 今まで食べた物の中で碇くんの味噌汁に匹敵するのはこれ位だった。
…本当よ?私でも作れそうな物の中で一番美味しい物だった訳じゃないのよ?
…でも碇司令と食べたあのコロッケうどんは本当に美味しかった…
あの味には未だ未だ敵わないが、いつかは私もあの味を再現したい。そうしたら、碇くんを連れてあの店に行こう。 「どっちが美味しい?」って笑顔で悪戯に聞く為に。
…その頃にはお互いの事姓じゃ無くて名前で呼べるようになってるかしら?それとも他の呼び方してるの?アナタとかダーリンとか…
…駄目、想像出来ない。
軽く頭を振り、私は碇くんの分のうどんをコロッケをかじりながら茹でだした。
…鍋の中泳ぐうどんより薬指の銀色がなんだか良く目に映るのは何故かしら?
ご結婚おめでとうございまーす
《メロディーライン》 http://www.youtube.com/watch?v=sHkuK9hpdJQ&sns=em
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.4 ) |
- 日時: 2012/12/03 01:36
- 名前: aba-m.a-kkv
I want be with you.
Even 10 years after and 20 years after.
I want you to be in my side, to the end of the world.
ノンギブス aba-m.a-kkv
十年前の写真立ての中に入っているのは、同じく十年前に写した写真。
写っているのは若い男女二人。
銀色の髪をたたえた男性はフロックコートに身を包み、亜麻色の長い髪をたたえた女性は純白のウエディングドレスを着ていた。
そこには微かな緊張と、それを上回る幸福感が溢れている。
元は白っぽかった写真立ての木枠は日に焼けて、今では綺麗な飴色に変わっている。
中の写真も同じ。
角が取れて丸くなった薬指の指輪に目を向けながら私は思う。
十年は長い期間だ、と思う。
現に、この十年で世界は大きく変わった。
私たちが世界中を駆け回って見てきた中でもそうだし、いま居を置いているこの街もそうだ。
ほぼ何もない、更地同然まで荒廃させられてしまった多くの街が急速な復興を遂げている。
紛争の調停、再建復興、世界的なシステム構築、行き詰ったかに見えた人類も、サードインパクトを乗り越えて懸命に生き続けている。
世界が変わるのに十分なら、人が変わるのにも十分な歳月だ。
でも、変化とは、進化や向上、前進だけに限らない。
朝の光の中、手を伸ばして写真立てを取り、その中に固定された二人を見る。
初々しさに溢れている、幸せに溢れている。
懐かしい、そう思った私の顔は自然に微笑を浮かべていた。
カシャッ
空間と時間を切り取る音が響いた。
音のほうに振り向くと、エプロン姿でカメラを構えた渚カヲルの姿があった。
「いい表情だよ」
満面の笑みを浮かべて彼は言う。
でも、私は膨れっ面を作った。
「やめてよ、写真なんて」
「ん? なんでだい、綺麗なのに」
私が突然不機嫌になったので彼はキョトンとした。
「だって、十年前の写真を見てる姿を写すなんて。
カヲルはいつも写真を撮りたがるけど、なんか嫌じゃない、あたしが古くなるみたいで」
視線を逸らす私に、カヲルはそっとカメラを置いて私の傍に近寄ってくる。
優しく落ち着いた雰囲気が、ベッドの上の私の隣に腰をおろした。
「僕は、いつだって今のアスカが好きだよ。
何でだと思う?」
「何でよ?」
ぶっきらぼうに聞く私は、カヲルの方を見れなかった。
ただ、肩と腕にぬくもりが伝わる。
「僕たちが出会った頃、君も僕も空っぽだった、真っ白だった。
個体生命として若くみずみずしくても、その中身は何もない空洞だった」
カヲルが私の髪に触れる。
耳に掛かる髪を梳きわけて、囁く。
「美しい宝石は、時間を掛け少しずつ結晶していく
何もないものを美しいとはいえない
僕は君に存在意義を預けた、僕は君から欠けた心を預けてもらっている。
そして、いままで僕は、ずっと君の心に僕の存在を刻み込んできたつもりだ。
何もないところから始まって十年分、僕と君が結晶となったのが今の君だ。
それは大きく輝いてる」
カヲルが私の肩に触れる。
それは優しく私を押し倒した。
もう目を逸らすことは出来ない、私の目の前に紅い綺麗な瞳が私を捉えて離さない。
「それを僕は美しいと思う。
今のアスカは、十年前のアスカより確実に美しいんだよ」
こいつは、本当に……なんていうことを言ってのけるんだろう。
日の光よりも熱いものが、私の中で込み上げてくるのを感じる。
頬は夕日に染まったような色をしているんだろうと思うと恥ずかしかった。
でも、恥ずかしさなんか、カヲルの前ではどうでもいい。
「いつだって、今の僕の傍にいるアスカが一番美しいし、一番好きだ。
じゃあ、十年たった僕は今、君にとってどうなのかな?」
カヲルが笑顔で言う。
意地悪な質問だと思う。
自分が言葉を紡いだことで、それを聞いた私を見ることで、もう聞く必要なんてないことを分っているはずなのに。
でも、私はカヲルの頬に手を伸ばす。
「もし十年前のあたしが、いまのカヲルに会っていたら、カヲルを恐れたと思う。
だって、こんなに優しくて、こんなにも愛してくれるんだもの、昔のあたしなら耐えられなかったと思う。
でも、今のあたしはカヲルに染まってる、そしてカヲルも私に染まってる、だから大丈夫」
私はカヲルの頬を引っ張る。
カヲルが少し情けない顔をした。
それを見て、私は笑いながら、私とカヲルの距離を一つにした。
「カヲルを刻み込んで、あたしはもっと綺麗になってやるわ。
だから……
十年後も二十年後も、そう言って私の隣にいて」
角が研がれて丸くなった指輪。
日焼けした写真立て。
褪せた写真。
時がたつ。
でも、私たちは美しくなっていく。
一緒に手を繋ぎ、共に時を重ね。
その肌に皺を刻み。
その齢に年月を刻み。
その欠けた心に互いを刻みこんで。
ののさん、ご結婚おめでとうございます!!
びっくりしました、沈んでいる間にこんな素晴らしいことが起きているとは。 ののさんと最初に接触したのはXXXsさんの『エヴァに取り憑かれし心…その容れ物』の掲示板だったような気がします。 2003年のことですから、9年前。 なんかすごい感慨深いし、とても嬉しいことです。 お幸せに、の言葉と共に、これからもよろしくです。
aba-m.a-kkv
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.5 ) |
- 日時: 2012/12/11 19:38
- 名前: のの
- ええと、恐れ多くて書き込めなかったし、照れくさくってしょうがないので、ひとまず一言。
こそばゆいったらないなあ、もう!
みなさん、ありがとう!近々わしも書きますふがー!
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.6 ) |
- 日時: 2012/12/18 18:04
- 名前: のの
- 『笑ったり、泣いたり、ばかな君が好きさ』
そんな歌がラジオから流れる。
どちらからとも失笑が漏れる、素敵な午後のおはなし。
リズムと音が
『はい、お送りしましたのはThe TimesでSo much in Loveでした。この曲、皆さんのお耳にもおそらく馴染みがあるかとは思いますけれども、どちらかと言えばカバーされた……』 日曜午後に流れるラジオを小耳に、そこまで熱心に洗う必要があるとはどうしても思えないざるうどんの皿と蕎麦猪口を泡立てたスポンジで磨く彼女を尻目に食後に淹れるお茶をどれにしようかと悩みながら外の天気を気にしつつ湯飲みの汚れ具合を確認する。自分の動作を説明すると結構複雑だ。でもそれをいちいち言うのはばかばかしいことで、もっともっと話は簡単なはずなのに、ついついこうして御託を並べてしまう癖がある。 「玄米茶とほうじ茶、どっちがいい?」 「んー、いえ、ここはシンジさんのお好きな方で」 即答の中身は「おまかせで」。はいよ、と返事だけして玄米茶の缶を選んで大目の茶葉を急須に投入。結婚祝いでもらった電気ポットが湯を沸かすのに一分とかからない。沸騰手前で台から外してお湯を注いでお盆を持って食卓へ移動しながら窓の向こうの毛布とベッドのマットをちらりと確認。そろそろ布団を取り込んだほうがいいだろうか、なにしろ師走だ、簡単に世界を真っ暗にしてしまえる力が空にはある。今日は空と君との間に冷たい雨を降らせることはないかと思うけれど、日が翳るまでいくらもないことも確かだ。 「晩御飯はどうしよう」 お昼ごはんの荒いものをしながらしてくる相談かどうかはさておき、確かに大事な問題だ。何の予定もないのだから、さっさと買いに行った方が良いのも間違いない。 「いっそ出前的なものを取るとか」 「だめ、お給料日前だから無駄はだめ」 ばさりと斬り捨てられると無念さも残らない。 「冷蔵庫には何があるのかしら」 「玉ねぎ、じゃがいも、白菜くらいかな。あと冷凍庫にベーコンとご飯少し」 冷蔵庫の中身は憶えているので諳んじてみせると、彼女はいつも呆れ気味に感心する。彼女も憶えてないわけではないけれど、こういうときは必ず確認してから言う。何故わかっていることをいちいち、と一緒に暮らし始めたばかりの頃は気分次第でいらつくこともあった。不思議なものだ、そんなことが気になっていただなんて。ちなみに彼女からは最近「みかんの皮は直接ゴミ箱に捨てて欲しい」と言われた。駄目ではないけど気になるらしい。 「ありものの野菜をつかったけんちん汁とかはどうでしょう」 「でも、おかずがない」 エプロンを脱いだ彼女もこたつに入った。 「でも、買いに行くのもめんどうかも……」 お茶を啜った彼女は言いながらゆっくり横に倒れて、僕の脇に頭を倒した。相変わらずの髪の色に、相変わらず僕は一瞬見惚れてそれがばれないように湯飲みを見つめ直した。 「寝そうだね」 「寝そうですっ」 さっきまできびきび動いていたはずなのに、一気にまどろむ様な声で彼女は訴えかけた。 「なんなら買い物行ってこようか?適当に買ってくるよ」 「ええっ、そんなの悪いわ……」 「ありがたいと素直に言ってくれれば本当に行ったのに……」 「感謝は、尽きません」 はいもうだめ、時間切れ。人でなし、それはそっちだろ、もう人だもん……そんな感じで会話が弾むうちに、ラジオの音が再び耳に入る。 『それでは来週もまたこの時間、最高の音でお届けします』 音楽のボリュームが再び大きくなる。カーニバルのパレードについての歌がゆるりと流れる。 ああ、なんか最高だ。なんだかよくわかんないけど。
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.7 ) |
- 日時: 2012/12/23 02:48
- 名前: 何処
- 本日只今世間一般平日午後2時、通常運転の皆様午後のお仕事ご苦労様。
ま、世間一般とは違う昼夜逆転生活の俺にはあまり関係無いが。
あくび一つ落としながら朝飯兼昼飯を求める欠食親父が、ふらりといつもの洋食屋にいつもの調子でふらふら入れば、何故か今日に限ってえらい混み具合だった。
「すいませんね、今日は立て込んでて。申し訳無いんですが相席でお願いできますか?」
いつもの店主の苦笑い混じりの台詞に何も考えず頷いたが、その事を心底後悔する羽目に陥るなどとは神ならぬこの身が予想出来た訳も無く。 つまり俺は運命の如く何かに誘われた様にその席に…否、罠へと自ら足を向けていたんだ。
【ーラブテロー10/12/2025ー格差社会の縮図ー】
対面の二席には先客の一昔二昔前はお嬢様でした風奥様方がいた。
二人が出す高周波音…あいや甲高い笑い声に辟易しながら着座、お冷やを持って来たアルバイトのにーちゃんに注文をして渡されたおしぼりで手を拭く。 と、不意に携帯のアラームが…俺じゃねーな。向かいの眼鏡バ…げふんげふん。 携帯を見てやや慌てた様子の元お嬢様方が又高周波音で…勘弁してくれ…何やらもう一人の元お嬢様と交信している。その距離でその声量…ひょっとしておまいら耳悪いのか?
どうやら奥様方は食後の珈琲を長時間堪能していたらしい。湯気すら立たない冷めきった泥水を二人一気に流し込み、席を立った…レシート片手に一人はペーパーナプキンを、一人はスティックシュガーを鷲掴みにしながら。
…ま、俺はブラックで飲むから関係無いが…
漸くカラミティなジェーンだかキャサリンだか知らんが嵐が過ぎ去り、漸く何時もの店の空気が戻りつつある時、奴等が来たんだ。
「相席になりますけど構いませんか?」
「どうする?」「…任せます…」
「ええっとぉ…じゃあお願いします。」「…ます…」
「はい、じゃご案内しますので少々お待ち下さい…あ、すいません。相席お願いしたいんですけどぉ」
「え?ああ、構わないよ。」
「有難うございます。じゃあ失礼して…と。お客様こちらへどうぞー」
「…あ、綾波こっち。」 「…どうも…」
…カップルか…
…にしてもにーちゃん顔色悪いなー彼女は艶々してんのに…
「綾波、何にする?」 「…碇君と一緒なら何でも…」
…イラッ…
「な、何でもって…綾波お肉大丈夫なの?」「駄目。」
「…」「…」
…それ何でも良く無いよなぁ…
目の前のリア充共のやり取りに内心で突っ込みながらチラリ観察…あ、ペアリング双方の薬指に発見。
「駄目でしょ?なら」「碇君と一緒がいい。」
「…」「…」
目の前の俺なぞアウトオブ眼中に二人の世界展開する恐らく新婚夫婦はお互いを違う意味で沈黙の中見詰め合ってて
…イライラッ…
「…ねえ、綾波。僕の選択肢ってその条件だともの凄く狭いと…」「…」 「思…う…」「…」
…なあ男の方、そこで何故黙る?
「…」「…駄目なの?」 「その上目遣い止めて綾波。」「いや。」
…イライラッ…
「碇君…信じているわ…」 「いや、そんな潤んだ目で…」 「…」
「…」 「…」
「「…」」
「…はい。」「…有り難う…感謝の言葉…そう、私、嬉しいのね…」
…イライライラッッ…
「えっとぉ…じゃあこのトマトプレーンピザとモッツァレラチーズバジルソース掛けにしようか。それとシーザーサラダに…」 「…これがいい。」
「はいはい、これね…ってえええっっ!?」 「?どうしたの碇君?」 「ここここれって、コレぇっ!?」 「そう。これ。」
「…マジですか?」「です。」
「…」 「…」
「「…」」
?
「…」「…駄目なの?」 「いやだからその上目遣い止めて綾波。」「…いや。」
…イライライライラッッ…
「碇君…信じているわ…」 「いや、だから何度もそんな潤んだ目で…」 「…」
「…」 「…」
「「…」」
「…はい。」「…有り難う…感謝の言葉…そう、私、嬉しいのね…」「だから何度も言わなくとも…」
…イライライライライライラッッ…
「お待たせしましたーランチのチキンカットレットザワークラウト寄せになりまーす」
「「!?」」
…なんだよその反応おまいらマジ俺の存在忘れてたのかよ…
舌打ちしたい気分の俺の前に空気読まないバイトのにーちゃんが料理を並べだした。
「…碇君、注文…」「え?あ、いやでも…」
「あ、ご注文ですねー、どうぞー。」
「え?あ、は、はい…え、えっとぉ…トマトプレーンピザとモッツァレラチーズバジルソース掛け。それとシーザーサラダに…」「…」
「ね、ねぇやっぱり…」「頼んで。早く。」「…」「早く。」
「ツ…ツインクリームソーダを…」「一つ」
「えーお飲み物は食前にしますかー食後にしますかー?」
「え?えっとぉ」「食前で。」「え?ええっ!?」「食前でお願いします。」
「はーい、ご注文繰り返しまーす。トマトプレーンピザとモッツァレラチーズバジルソース掛け。それとシーザーサラダにツインクリームソーダを一つ、お飲み物は食前でー。以上で宜しーですかー?」
「はい。」「綾波…こう言う時の返事だけはいつもいいよね…」
…何の罰ゲームでしょうか?今、俺の目の前でカップルが二つのストローが刺さったクリームソーダを仲良く飲みだしました。
お邪魔虫感半端無い空気の中で、湯気を発ててるポーランド風チキンカツにおれは黙って様々な思いを込めかじりついた。
◇◆◇
食後の珈琲をキャンセルしとっとと店を出たら街には浮かれたクリスマスソングが流れてた…
…クリスマス…
「…サンタ来ねーかな…」
ふと洩らした自分の呟きの余りの痛さに泣きそうになった。
…なぁ、それにしても…一つ言っていいかな?
http://www.youtube.com/watch?v=zbH24KFrNjc&sns=em
ジバク君vs地雷君ばりな自虐ネタ(笑)
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.8 ) |
- 日時: 2013/01/10 13:20
- 名前: 楓
- 『目に見える絆を』
本物の婚約指輪とかではなくて、 おもちゃや、雑貨屋さんとかの指輪の交換でも嬉しくなってしまうような二人がいいです。
-
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.9 ) |
- 日時: 2013/01/13 08:43
- 名前: 何処
- ―楓さんイラストに添えて―
【プレゼント・プレゼント】
「綾波、これ。」
「…え?」
「その…プレゼント。」
「…何故?」
「何故って…綾波に似合うかなって、その…」
「…綺麗…」
「何て石か知らないんだけど、見てたら何となく綾波の為にコレが有るような気がしてさ…」
「でも…いいの?」
「いいのって?」
「私…貰って良いの?」
「いや、その…め、迷惑だった?」
「迷惑じゃ、無い。けど…貰う理由が判らない…」
「貰う理由って…綾波に着けて欲しいから…って理由じゃ駄目かな?」
「?良く判らない…けど…どうやって着けるの?」
「え?」
「…」
「も、もしかして綾波、指輪ってした事無い?」
「ええ。」
「い、いやでもさ、み、みての通り指に填めるリングだから…って何で親指!?」
「…違うの?」
「う〜ん…じゃあさ、僕が嵌めてみるからさ…」
「?碇君指輪欲しいの?」
「そ、そうじゃなくて…はぁ〜、仕方無いか…綾波、手を出して。」
「?はい。」
「い、いやそうじゃなくてさ…ち、一寸ごめんよ、綾波ベッドに座っててくれない?」
「?ええ。」
「じゃ僕も…っと、一寸手を持たせてね。こう…あれ?サ、サイズ違って…この指なら…良し、入った。きつくないよね?」
「ええ…指輪…これが指輪…でも…本当に貰っていいの?」
「い、いやその為に買ったんだし…」
「…有り難う…指輪…私の…指輪…これが私の…碇君と私の……碇君、有り難う…」
「い、いやぁ喜んで貰って僕も嬉し…あ!」
「?どうしたの?」
「…その…指輪って、着ける指で意味が違っててさ、く、薬指に着けるとけ、結婚してるって意味なんだよね…」
「え?…」
「…つ、着け直そうか…」
「…ええ…でも…」
「でも?」
「もう少し、このままで…」
「…」「…」
―――
「ママー、これなぁにぃ?」
「え?あら…懐かしいわ…これは、パパが私に最初に買ってくれた指輪。」
「きれーだねー。」
「…もう私の指に入らないわね。小指なら入るかしら…ほら。」
「うわー、ママ似合うー!」
「そう?…でも…懐かしい…パパ覚えてるかしら?」
「おぼえてるよー。そーだもーすぐパパかえってくるよねー、ママおむかえする時それつけてて!」
「え?」
「パパぜーったいおぼえてるんだからぁ、みたらよろこぶよー。あ!パパかえってきた!ママはやくはやくぅ!」
「あ、ち、一寸待って、ま…」
「ただいまー。ビールビールっとぉ」
「「おかえりなさーい!」」
【SPiCa】 http://www.youtube.com/watch?v=nyEGvJavG1U&sns=em
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Re: 「婚約・結婚・新婚」企画 ( No.10 ) |
- 日時: 2013/01/13 09:39
- 名前: 何処
- ―そして、通常運転へ((笑))―
【ただし〇〇な意味で】
「綾波。一寸話がある。」
碇君が何故か怒った様子で私を呼んだので、私は首を傾げながらコンロの火を止め碇君の座るちゃぶ台の向かいに座った。
ら
…何故か碇君は耳まで真っ赤になり口元を押さえ…あ、鼻血。
「?どうしたの碇君?」
「ど、どぶじだどだだぐで…てっすてっす…」
「はい。」
「あ、あびがど…」
手元に有った箱テッシュを渡すと、碇君は片手でテッシュを顔に当てながら垂れた鼻血を拭いている
「…仰向けで横になった方がいいわ。後は私が…」
「…い゛や゛、大゙丈゙夫゙…」
鼻に紙撚を入れ、上を向いた碇君にふと聞いてみた。
「…又ナッツの食べ過ぎ?」
「違うよ…あ、収まってきた…それより…綾波、一つ聞きたい。」
鼻に紙撚を入れたまま碇君が真面目な顔で私を見る。
「何?」
「…その格好は…何?」
…?見れば判るのに碇君は何を聞いてるのかしら? まあ、一応聞かれた事には答えておこう。
「裸エプロン。新婚のみに許される由緒ある日本の伝統的服装…」
ゴン!と音を立てちゃぶ台に臥せた碇君が潰れた姿勢のままこう言った。
「綾波…騙されてるよそれ…」
「…え?」
―――
襖の向こうから現れた綾波が『お夕飯作るわね』と後ろを向いた瞬間、思わずほうじ茶を吹いてしまった僕は彼女を呼び付けて…
“向かいに綾波が座る瞬間、捲れたエプロンの中をもろ目撃してしまった衝撃で鼻血を噴く”
なんてお前年幾つだよ的に恥ずかしい反応をしてしまった僕は、その服装な理由を聞いた途端にちゃぶ台へ頭突きを盛大に咬ましていた。
「え?だって葛城一佐が…違うの?」
頭をちゃぶ台に押し付けたまま、盛大に溜め息を漏らす。
「…はぁぁー―――…。」
(ま、又あの人はぁぁっ…)
…そうでなくても寝不足気味なのに…
「まさか…あの…私…又…やっちゃっ…た?」
のろのろとちゃぶ台から身を起こして正面の綾波を見る…ホッ、正面からなら何とか服着てる様に見える…
「ねぇ綾波、良く考えてみて。料理の時エプロンや割烹着を着る理由を。」
「油跳ねや湯飛沫で汚れたり火傷しないようにする為。」
「ね、エプロンだけじゃ危ないでしょ?」
綾波になんとか服を着せようとする僕の努力を理解したのか、綾波は頷き…疑問を口にした。
「…じゃあ、汚れたら一緒にお風呂に入ればいいとか火傷したら優しい手当てと濃厚な看病して貰えるってのも…」
「へ?」
(い、一緒にお風呂?やらしい手当てと濃厚な〇〇〇?…違う違う何考えてんだよ僕は!優しい手当てだろ!でも濃厚な看病って何だよ一体!)
「そ、それは…」
「…え?駄目なの?」
駄目とかって意味じゃ無くてさぁ…
「だ、だからさ、その…」
ぼ、僕の身体が持たないって言うか自制心とかがさ…
「?違うの?」
「い、いやそのち、違わないけどさ、一緒におおお風呂とか手当てとか看病とか一体誰…」
「?」
「(い…一緒にお、お風呂…交互に浸かるしかないよなぁ湯船小さいから…絶対密着するし…我慢できそうに無いよな…洗うのも背中流すとか…だけで済まないなぁ…)」
「…」
「(料理中に『熱い!』とか言った綾波の手を取って『ど、どこ火傷したの!?』って…駄目だ、火傷跡冷やしながらふと見れば至近距離に綾波の谷間とか…鍋焦がしそうだよな…)」
「…碇君?」
「(…『ごめんなさい…』って言う綾波に『気を付けてね』とか言いながら薬を塗っ…ぬ…っ…駄目だ!絶対綾波のエプロンの隙間チラチラ眺めちゃうよ!て言うか押し倒すよ!僕に気を付けてだよ綾波!)」
「あの…碇君?」
「え?あ!な、何綾波?」
しまった…つ、ついうっかり自分の世界に入って変な想像してた…妄想癖あるのかな僕…
「あの…やっぱりこの格好…間違ってる?止めた方がいい?」
「!止めちゃ駄目だ止めちゃ駄目だ止めちゃ駄目だ止めちゃ駄目だ絶対止めちゃ駄目だあっ!」
「…え?」
「その服装に間違いありません正しく正しい正装です!」
「え?だって…え?」
「多少方向性と意味が違うけどその服装は正解です!正義です!正常です!ナイスでジャスティスでビューティフル且つワンダフルなグッドジョブ的に何かです!」
「は…はい…」
「…けど、平日は夜9時以降にして下さいお願いします。」
「え?お夕飯には少し遅くない?」
「夕飯と言うか…夜食かな?」
「?」
http://www.youtube.com/watch?v=lhHtEa_YVB0&sns=em
―あ、謝らないんだからね!(爆)だって間違ってないしー!(但し〇○な意味で)
…嘘ですごめんなさい…
lhHtEa_YVB0
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