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灰色の人生
日時: 2019/09/05 22:16
名前: tomo


 一日が24時間以上あればいいのにと思ったことがあるわ。

 例えば、一日が32時間になれば、増えた8時間で何をやろうかと考えてみたの。

 でもね、たぶん、増えた8時間は、今と同じ行為で埋め尽くされるんだと思う。
 
 だって、一日32時間が一般的になれば、それに応じて、できる仕事も増えるって考えちゃう
だろうから。
 
 結局、私は仕事をやってしまうのだろうってね。

 べつに仕事が好きなわけじゃない。

 仕事なんて生きるために必要だからやっているだけ。

 そのはずなのに。

 どういうわけか、仕事ってやつは私の時間を奪いまくるのよね。

 私的には、目の前にきた作業を何とか終わらして、右に流してるだけなんだけどね。

 流れてくる仕事が多すぎるのが理由なのでしょうね、やっぱり。


 ……あー何を考えていたんだっけ。

 今日も今日とて、一日12時間以上の労働を繰り返し、終わらない作業の合間に少しだけ
ネットサーフィン(この言葉ももう死語なのかしらね)して、昔なじみの掲示板を見たんだっけ?

 それで、いつの間にかぼーっとして……

 あーそうか。私、昔を思い出していたのね。


 
 私の人生の中で、もっとも充実していた時代は、「綾波レイ」と過ごせたあの1年。
 
 もちろん私はモブで、舞台の袖の隅っこに存在していただけだけど。
 
 それでも、きちっと舞台に参加していたのよね。

 彼女と同じ年齢で、彼女と同じ空間を過ごして、彼女と同じものを見ていられた。

 あの時間が、きっと、私の人生のすべてだったんじゃないかと思う。

 けれど。 

 いつのまにか、綾波レイはどこかに行って、私は舞台からおろされた。

 エピローグにしては長すぎる時間を、ただただ無為に過ごしてる。

 恋もした。友達も少しはいる。それなりの仕事に、それなりの生活をしている。
 
 でも。

 あのころに比べたら、無為だと思えてしまう。

 それはないものねだりで、ただの望郷で、妄想なんだろうけど。

 思ってしまうものは仕方がない。そう、仕方がないのよ。

 ときどき思う。

 もう、あれだけ何かに熱中できることはないんじゃないかって。

 私は、もう結構な歳になってしまったのだから。

 思い知る。私が綾波レイと過ごした1年間は、もう20年も前のことなのだと。

 時間が心の傷を癒すこともあるというわ。

 だったら、その逆もあるんだと思う。

 20年。長いわよね、20年。

 私は、たしかに、あのとき、熱中していたの。

 綾波レイとの時間に。

 でも、もう。

 きっと忘れているんだと思う。

 あの頃の私自身の姿とともに。

 だからこそ。そう、だからこそ。

 私は会いたいわ。また綾波レイに。 

 あっていうのよ。

 あなたが 私の人生の 最高のときだった と。

 
 
 これは、妄執というのかしらね?

 まあ、いいわ。思うだけなら自由でしょう?


 ………‥


 時間ね。今日中にこれをやらないと帰れないわ。

 さあ、戻りましょう。

 仕事に彩られた、灰色の人生に。
  
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Re: 灰色の人生 ( No.1 )
日時: 2021/05/09 23:49
名前: tamb

 井上陽水に「灰色の指先」という曲がある。78年発表の「"white"」というアルバムに入っている。井上陽水はこのアルバムか、あるいは次の「スニーカーダンサー」からリアルタイムで聴き始めた。
 この曲は当時ローティーンだった私にとって実に強烈な曲で、まさに夢も希望もない物に思えた。陽水は大麻で逮捕されていて、このアルバムは執行猶予期間中に発売された。よほどきつかったのかな、と思ったのを覚えている。それでもわたしはこの曲をよくギターを抱えて家庭内ミュージシャンとして歌っていたので、当時のわたしにはかなりのインパクトがあったはずだ。

 人生で最高の時というのは、それがいつなのかはともかく少なくとも振り返れば必ずあるはずで、だからどうだということもない。わたしにしてもこれから上がっていくことはないだろうなという実感はある。どちらかと言えば、どうやって周囲に迷惑をかけずに死ぬかという点に主眼はある。

 彼女と共に歩いた頃は、つらくもあったけれど幸せだった。それは間違いない。その頃に感じたことや得たことは今も身体の中にあって、だから今の自分がある。

 ひとは幸せになるために生きている。生きてさえいればどこでも天国になる。幸せになるチャンスはどこにでもある。

 そうでも思わないと、やってらんないよ。
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