ペストロマン |
- 日時: 2022/07/16 07:04
- 名前: 黒狼武者
- 参照: http://darkten.pa.land.to/cgi-bin/patio2/patio10.cgi?mode=view&no=3142
- 目標文字数50000字以上
第一話
隕石 太平洋の中央には小大陸〔エルピスコロニア〕と呼称される辺境の絶島が存在する。此処は自然が豊富であり大勢の原住民達が安住したのである。世界暦五千七百二十一年六月中旬の時期…。小大陸エルピスコロニアでの出来事である。島内の中心部に聳え立つ最高峰ギガントロックの頂上にて一人の青年が広大無辺の青空を眺望する。 『やっぱり此処は長閑だな…』 地上は大戦争によって世界各地の彼方此方が荒廃化したのである。世界全体は空前絶後の大混乱期であったが…。文明やら科学技術とは無縁のエルピスコロニアだけは平和だったのである。 『宇宙の彼方には何が存在するのかな?』 青年の名前は【ストレイダス】…。体格は男性としては比較的小柄であり頭髪が黒髪なのが特徴的である。年齢は二十九歳であるが…。常日頃から自由自在に広大無辺の大空を浮遊したいと夢見る。 『俺も鳥類みたいに大空を飛行したいな…』 ストレイダスは村落一番の力自慢であり力仕事のみなら彼に拮抗する人物は存在しない。上記の理由により次期村長候補に任命されるのだが彼自身は非常に大雑把であり面倒に感じる。 『北方地帯に戻らないと村長の野郎が口煩いからな…』 生真面目の村長とは性格が不一致であり落胆したのである。 「はぁ…」 ストレイダスが一息した直後…。 「ん?」 突如として頭上から轟音が響き渡る。 『轟音か?』 ストレイダスは恐る恐る上空を直視したのである。 「えっ…」 上空の光景に絶句…。脳内が白色化したのである。 『一体何が!?』 上空には三十センチメートルサイズの隕石が超高速で急接近…。対するストレイダスは目前の光景に絶句する。 『隕石なのか!?』 上空の物体が小型の隕石であると認識した直後…。小型の隕石はギガントロックの頂上へと落下したのである。小型隕石の爆発音は近辺の村落は勿論…。エルピスコロニア全域へと響き渡ったのである。 「うわっ!」 ストレイダスの現在地は小型隕石の落下地点から数メートル程度の近距離とされ…。爆風と衝撃波が彼を強襲したのである。ストレイダスは隕石の落下地点から十数メートル程度吹っ飛ばされ…。 「ぐっ!」 全身が地面に激突する。 「ぐっ…」 『畜生が…』 ストレイダスは地面の激突により全身を骨折したのである。 『身動き出来ないか…』 全身の苦痛により身動き出来なくなる。 「はぁ…」 すると目前の視界が黒化し始め…。 『俺は…こんな場所で死んじまうのか?』 次第に意識が遠退き始める。 『正直…もう少しだけ…』 ストレイダスは自身の最期を覚悟したのである。 『もう少しだけでも…長生きしたかったな…』 数秒間が経過…。ストレイダスの意識が消失したのである。
第二話
治癒 最高峰ギガントロックの頂上へと落下した小型の隕石はエルピスコロニア全域へと響き渡る。 「一体何が…」 「轟音は…頂上からだったよな?」 登山中の二人の村民達は畏怖するも頂上へと移動したのである。 「うわっ…」 「クレーターか…一体如何してこんな状態に?」 頂上の光景に驚愕する。頂上には直径二十メートル前後のクレーターが形作られ…。クレーターの中心部には三十センチメートルサイズの岩石が確認出来る。 「此奴は隕石なのか?」 「ん!?誰だ!?」 クレーターの近辺にて地面に横たわった状態の怪我人を発見する。 「怪我人だぞ!大丈夫か!?」 怪我人は小柄の成人男性だったのである。上半身は血塗れ…。全身の衣服はボロボロであり瀕死の状態だったのである。 「隕石で吹っ飛ばされたのか?」 「不運だったな…こんな状態では…」 生存は絶望的であり二人は瀕死の成人男性を気の毒に感じる。すると直後…。 「えっ…」 「現実なのか?」 成人男性は瀕死の状態であったが突如として全身の外傷が治癒し始める。外傷は数秒間で完治…。成人男性は目覚めたのである。 「うっ!俺は…死んじまったのか?此処は天国なのか?」 成人男性は記憶が曖昧なのか周囲をキョロキョロさせる。 「誰かと思いきや…あんたは力自慢のストレイダス!?」 「大丈夫なのかよ!?」 成人男性は誰であろう力自慢のストレイダスだったのである。 「えっ?大丈夫そうだが…」 ストレイダスは自身の全身を確認すると絶句し始める。 『衣服がボロボロだな…上着は血塗れだし…』 鮮血により白色の上着が赤化したのである。 「戻って入浴しないと…」 ストレイダスが歩行する直前…。 「ストレイダス?歩いて大丈夫なのか?」 「血塗れだし…」 二人の村民達はストレイダスを心配する。 「大丈夫だよ…外傷は無さそうだし手足はピンピンに動けるからさ…」 ストレイダスはピンピンした様子であり下山したのである。 「ストレイダス…本当に元気だな…」 「彼奴は不死身なのか?」 小柄の村民が恐る恐る…。 「先程のストレイダスの治癒力…異常だったよな?全身血塗れの状態だったのに…数秒間で治癒するなんて…」 すると大柄の村民も小声で発言する。 「ストレイダスは人一倍元気だけど…普通は失血死しても可笑しくないよ…彼奴は如何しちまったのやら…ストレイダスは本当に不死身だったのか?」 ストレイダスは幼少期から免疫力は人一倍根強く怪我も一日で治癒したのである。二人の村民達はストレイダスの様子に愕然とする。
第三話
次期村長候補 同日の夕方…。ストレイダスは自宅でゴロゴロする。 「はぁ…」 『今日は草臥れたぜ…隕石で吹っ飛ばされるなんて予想外だな…』 すると誰かがコンコンッと自宅のドアをノックしたのである。 「ん?こんな時間帯に誰だろう?」 ストレイダスは玄関へと移動するとドアを開放させる。 「ストレイダスよ…体調は如何なのだ?」 「えっ…村長!?」 訪問者は村長のウィルフィールドでありストレイダスは驚愕する。 「村民達の噂話では隕石で吹っ飛ばされたとか…其方は大丈夫なのか?」 ウィルフィールドはストレイダスの状態を心配したのである。 「俺なら大丈夫ですよ♪俺は肉体だけなら人一倍頑丈なので石ころなんかで死にませんよ!村長は心配性ですね♪」 ストレイダスは自負する。 「ストレイダスが元気なのは周知の事実だが…無理するなよ…何たって其方は次期村長候補なのだからな…」 「えっ?はぁ…」 ストレイダスは次期村長候補の発言に苦笑いしたのである。 『やっぱり村長の口癖は面倒臭いな…次期村長なんて御免だよ…』 彼にとってウィルフィールドの口癖はストレスに感じる。するとウィルフィールドは小声で…。 「偶然にも…天空世界から隕石が落下するとは…恐らく今後…世界各地で天変地異が発生するかも知れないな…」 「天変地異ですって?」 ストレイダスはウィルフィールドの小声に反応したのである。 「近頃…感じるのだよ…」 時たまであるが…。ウィルフィールドは未来を予知出来る。契機としては幼少期の海水浴で事故に遭遇…。海中に溺れ掛けるも両親に救助されたのである。事故から数日後…。未来の出来事を予見出来る能力が発現したのである。 「村長?一体…世界では何が発生するのですか?」 ストレイダスは恐る恐る問い掛ける。 「非常に曖昧かも知れないが…世界各地に怪物らしき巨体が暴れ回り…怪物を相手に奮闘中の戦士らしき存在が認識出来たのだ…ひょっとして世界の救世主だろうか?」 「怪物…戦士?」 『本当に曖昧だな…』 ウィルフィールドの表現は非常に曖昧である。一方のストレイダスは内心珍粉漢粉であり苦笑いする。 「少なくとも世界全体で異変が発生するのは事実だろう…」 数秒間が経過するとウィルフィールドは自宅へと戻ったのである。 「世界全体で天変地異なんて…」 『本当に発生するのかな?巨体の怪物とか…世界の救世主とか…古代の神話みたいな内容だよな…』 先程のウィルフィールドの発言は非現実的であり大昔の神話みたいに感じられる。
第四話
停戦 隕石事故から半年後の十二月中旬の時期である。世界各国は依然として戦闘中であったが…。十二月が経過した時期から海中より正体不明の移動物体の目撃情報が世界各地に伝播したのである。同年の十二月十三日…。とある大国の大型潜水艦が正体不明の移動物体と衝突する事故が発生したのである。大型潜水艦は沈没こそ免れたが…。艦体は大破したのである。大型潜水艦の衝突事故から二日後…。今度は別の国家の艦隊が作戦行動中に正体不明の移動物体と遭遇する。魚類らしき背鰭と尾鰭が確認出来…。正体不明の移動物体は全長数十メートル規模の魚類であると判明したのである。艦隊は回避行動を開始するのだが…。一隻のミサイル艦が魚類らしき移動物体と衝突したのである。巨大移動物体と衝突した影響によりミサイル艦は沈没…。艦隊は即座に対潜戦闘を開始するのだが巨大移動物体は想像以上に高速であり行方を見失ったのである。以後も各海域で各種船舶が魚類らしき巨大移動物体と遭遇…。場合によっては衝突する事故が多発したのである。一連の超常現象から月日が経過…。世界暦五千七百二十二年五月七日未明の出来事である。午前八時半…。 「各国の停戦って本当なのかよ!?」 「えっ…長期化した戦闘がこんなにもピタッと停戦するなんて…」 各国間の停戦の情報は辺境のエルピスコロニア全域にも知れ渡ったのである。エルピスコロニアは各国の停戦の動向により各村落が騒然とする。 「七年以上経過したけれど…各国が停戦するとは何が契機で?」 各村落は突然の朗報により騒然としたものの…。大勢の村民達は各国の停戦にホッとしたのである。すると一人の村民が恐る恐る…。 「各国が停戦した理由だけど…如何やら規格外の怪物が戦場に出現したらしいぞ…」 「えっ!?規格外の怪物だって!?」 周囲の者達は怪物の一言に反応する。 「世界各地の戦場で巨体の怪物が何体も出現したらしいぞ…」 各国が戦争中に規格外の巨大不明生物の出現で各国軍の損害が増大化したのである。対する各国軍も通常兵器で巨大不明生物に応戦するのだが…。巨大不明生物には各国軍の如何なる兵器も通用しなかったのである。各国の首脳陣は巨大不明生物の出現により停戦を決行…。各国軍は巨大不明生物の排除を優先したのである。 「非現実的だな…怪物なんて本当なのかよ?」 「怪物の出現で終戦なんて皮肉だよな…」 「本当に怪物が出現するなんて…村落に出現しないか心配だよ…」 「やっぱりウィルフィールド村長の未来予知は本当だったのか…」 大半の者達がウィルフィールドの予言を妄言程度の認識であったが…。今回の超常現象から怪物の存在を確信したのである。 『怪物か…』 村道を通り掛かったストレイダスは村民達の噂話を盗み聞きする。 『村長の予言では救世主が出現するみたいだけど…一体誰なのかな?』 ストレイダスは救世主の存在が何者なのか気になったのである。
第五話
恐竜型 各国の停戦表明から五日後の深夜帯…。エルピスコロニア北方地帯での出来事である。村民達はスヤスヤと睡眠中だったのだが…。突如として北方の海岸から爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡ったのである。 「うわっ!」 一方のストレイダスは自宅の寝室にて熟睡中であったが…。突然の爆発音と猛獣らしき轟音により飛び起きたのである。 『一体何が!?』 今度は大勢の村民達の悲鳴が響き渡る。気になったストレイダスは恐る恐る外部へと移動したのである。大勢の村民達が村道を逃走…。反対方向から弓矢を装備した義勇軍が総動員で海岸へと急行中だったのである。ストレイダスは外部の光景に愕然とする。 『前代未聞の光景だな…』 ストレイダスは村道へと移動…。義勇軍に追尾したのである。移動中…。再度爆発音と猛獣らしき咆哮が響き渡る。 『咆哮だ…海岸には何が出撃したのかな?』 移動してより数分後…。ストレイダスは海岸へと到達したのである。 『此奴は…恐竜なのか!?』 海岸の砂浜には体高十五メートル前後の恐竜らしき怪物が直立…。全身が凸凹の岩石らしき皮膚が特徴的である。 「狼狽えるな!此処で怪物を仕留めろ!」 義勇兵の部隊長が攻撃を指示…。数十本もの毒矢が発射されたのである。多数の毒矢が怪物の皮膚に命中するのだが…。 「畜生…」 怪物の皮膚は岩石みたいに硬質であり毒矢は非力だったのである。 「部隊長殿…駄目です…」 周囲の義勇兵達は毒矢が通用しない怪物に畏怖し始め…。絶望する。現実問題としてエルピスコロニアは外界の科学技術とは無縁の排他的社会である。当然として科学技術は未発達であり外界では主流とされる近代的装備は皆無…。武器は時代錯誤の棍棒やら弓矢が関の山だったのである。 「駄目だ!此処で怪物を仕留めなければ村落が壊滅するのだぞ!」 部隊長は怒号するのだが…。 「怪物が!?」 直後である。恐竜型の怪物が口部を開口し始め…。口内から高熱の火球を放射したのである。 「うわっ!」 「ぎゃっ!」 火球は義勇兵達に直撃…。彼等の肉片が一瞬で炭化したのである。海岸の砂浜には炭化した義勇兵達の肉片が彼方此方に散乱する。 「えっ…」 ストレイダスは彼等の惨劇に恐怖したのである。一方恐竜型の怪物がストレイダスの方向を直視し始め…。ギロリと睥睨したのである。 「ひっ!」 ストレイダスは極度の恐怖心により身動き出来なくなる。 『畜生…逃げたいのに逃げられない…』 すると恐竜型の怪物は再度口部を開口…。ストレイダスを標的に口内から高熱の火球を放射したのである。 「はぁ…」 『今日が…俺の命日か…』 ストレイダスは自身の最期を覚悟する。
第六話
協力者 ストレイダスは火球に直撃…。意識が消失したのである。火球が直撃してより時間が経過…。 「ん?えっ…此処は?」 ストレイダスはとある密室にて目覚める。 『俺は恐竜みたいな怪物に遭遇してから殺されて…此処は死後の世界なのか?』 ストレイダスは周囲をキョロキョロさせる。すると目前のドアが開放され…。背広姿の男性が入室する。 「目覚められましたか…ストレイダス様…」 背広姿の男性は頭髪が金髪…。瞳孔は碧眼であり大柄の白人男性だったのである。 「えっ…はぁ…」 ストレイダスは状況が理解出来ず返答に困惑する。 『誰だろう?天使なのか?姿形だけなら人間みたいだな…』 目前の白人男性が天使なのか思考したのである。 「私の名前は【フィルドルク】です♪突然の出来事なので貴方が理解出来ないのは当然でしょう♪」 フィルドルクと名乗る白人男性は満面の笑顔で発言する。一方のストレイダスは恐る恐る問い掛ける。 「俺は怪物に殺されて…此処は死後の世界の天国ですか?貴方は天使ですか?」 フィルドルクはストレイダスの問い掛けにクスクスと微笑し始める。 「こんなにも連続的に超自然的現象と遭遇すれば混乱するでしょうね♪此処は天国とは無縁の世界です♪貴方は正真正銘完全なる生者なのですよ♪」 「えっ…俺が…生者ですって!?」 『俺は怪物の火球で吹っ飛ばされたのに…命拾い出来たのか!?』 ストレイダスは自身が生者である事実に驚愕し始め…。再度混乱したのである。 「私の正体は単なるビジネスマンとでも♪貴方の協力者なのは断言出来ますが♪」 「単なるビジネスマンですって?」 『俺の協力者だって?失礼かも知れないけれど…正直胡散臭い雰囲気だな…』 フィルドルクは見ず知らずの人物であり内心胡散臭いと感じる。 「貴方が俺を此処に移送したのですか?」 「無論ですね♪」 フィルドルクはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。 「貴方は唯一無二の地球の救世主なのですから♪ストレイダス様が死去されたら一体誰が地球を守護されるのでしょうか?」 「俺が…地球の救世主ですって?」

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