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天球帝国大戦
日時: 2022/07/16 07:04
名前: 戦艦零号
参照: http://darkten.pa.land.to/cgi-bin/patio2/patio10.cgi?mode=view&no=3142

第一話

奇襲作戦
人類史上最大級の大戦争…。旧世界最終戦争から二年後の出来事である。史上最悪の大量破壊兵器により旧世界の巨大産業文明は大崩壊…。世界各地の大都市部は荒廃したスラム街状態であり全世界の彼方此方が暴徒化した人間達の魔窟だったのである。当然として秩序は皆無であり生存者達は食糧品の争奪戦…。殺し合ったのである。世界全体が弱肉強食の大混乱期時代であったが…。〔ソロモンアース〕と命名される小大陸では大量破壊兵器の悪影響が皆無であり大勢の生存者達が小大陸ソロモンアースに移住したのである。半年間も経過すればソロモンアースの各地に無数の村里が形成され…。小規模の文明社会が再構築されたのである。とある某月某日の真昼…。
「外界は殺伐とした状態って噂話だけど…」
東方地帯の小村落にて一人の少年が村道を散歩する。
「僕の村里は平和だな…」
少年の名前は【ストレイダス】…。年齢十五歳の少年であり人一倍気弱の性格が要因なのか周囲の村人達からはヘタレやら小心者と揶揄される。彼自身は自身の気弱の性格が人一倍コンプレックスであり将来は旧世界で活躍した英雄達みたいに自身も大活躍したいと常日頃から夢見る。
「こんな僕でも…旧世界の英雄みたいに活躍したいな…」
すると道中…。
「弱虫ストレイダスが参上しやがったぞ♪」
「本当だ♪弱虫ストレイダスだな♪」
ストレイダスは三人の村里の子供達に包囲される。
「弱虫♪弱虫♪」
「えっ…」
ストレイダスは畏怖したのかビクビクし始める。
「ストレイダスの野郎…弱虫の分際で目障りだぜ!」
「ストレイダスは目障りだから村道へは出歩くなよ!苛立っちまうぜ♪」
大柄の少年がストレイダスに近寄る。
「俺が最初に此奴を打ん殴るわ…」
ストレイダスの力一杯頭部を殴打したのである。
「ぎゃっ!」
殴打されたストレイダスは地面に横たわる。
「情けないな♪此奴♪一発打ん殴られただけで打っ倒れるなんて♪」
彼等は横たわったストレイダスを冷笑する。
「俺も打ん殴るわ♪此奴で日頃のストレスを解消したいからな♪」
横たわったストレイダスは三人の少年達に集団暴行されたのである。数分後…。
「今日は勘弁するからな♪俺達に感謝しろよ♪弱虫ストレイダス♪」
「明日も覚悟しやがれよ♪」
彼等は自宅へと戻ったのである。
「如何して…」
『如何して僕ばっかり…』
ボコボコに殴打されたストレイダスは涙腺から涙が零れ落ちる。心情では自身の脆弱さに腹立たしくなる。
『僕は…誰よりも…』
「僕は誰よりも…強くなりたい…強くなりたいよ…」
ストレイダスは自宅へと戻ったのである。同時刻…。東方地帯沿岸の防波堤では一人の将兵が海面上を警備する。
「奇妙だな…」
青年将校の名前は【フィルドルク】…。年齢三十歳の青年将校であり普段は警備隊所属の警備兵として活動する。
「遠方の海域から無数の気配を感じる…一体何が出現する?」
フィルドルクは幼少期から人一倍気配に敏感であり視力は数百キロメートルもの長距離を正確に直視出来る特殊体質だったのである。
「嵐の前の静けさだろうか…」
フィルドルクは極度の胸騒ぎからか全身が身震いする。
「戦乱の予兆だろうか…」
同時刻…。遠方の海域から大型の軍艦一隻と四隻の大型輸送艦で構成された所属不明の大艦隊が小大陸ソロモンアースに急接近する。大艦隊の旗艦と思しき大型軍艦のブリッジでは一人の小柄の将兵が双眼鏡を所持…。遠方の水平線を眺望したのである。
「航海は順調だな…」
「勿論ですとも♪大将軍♪」
大将軍と呼称される人物の背後より部下と思しき乗組員が笑顔で発言する。
「ソロモンアースに潜伏中の臨時政府…旧世界連合の残党勢力を完膚なきまでに殲滅しましょう♪」
臨時政府とは小大陸ソロモンアースを統治する巨大政治団体であり数十年前の旧世界では世界連合として機能…。世界最終戦争終戦後は一部の残存勢力が臨時政府として存続したのである。今現在では安全地帯とされる小大陸ソロモンアースで旧世界連合再興を主目的に活動する。
「目的地へは二時間程度で到達するな…」
「であれば…早速演説を♪【ウィルフィールド】大将軍♪」
ウィルフィールドとは万民解放軍の創設者であり総軍の最高指導者として万民解放軍全軍を統率する。大勢の部下達からは絶大なる統率力とカリスマ性から大将軍として崇拝される一方…。旧世界連合臨時政府からは新枢軸の大魔王として畏怖されたのである。今現在でこそウィルフィールドは随一の軍人であるが…。二年前に勃発した世界最終戦争では新枢軸勢力の義勇兵として参戦したのである。彼自身は最前線で孤軍奮闘…。義勇兵であるものの数多くの主戦場で大活躍した歴戦の猛者として認識される。ウィルフィールドは携帯用の通話機を所持すると各輸送艦に通信したのである。
「全軍に通達する…私達万民解放軍の宿敵…旧世界連合の残党達は今現在小大陸ソロモンアースに潜伏中である…今回の作戦は極悪非道の彼等の圧制から…守護すべき民衆達を解放させる正義の聖戦なのだ!今日で奴等を…旧世界を牛耳った極悪非道の残党達を完膚なきまでに殲滅するぞ!」
ウィルフィールドの演説に全軍の士気が高揚する。
「大将軍の演説で将兵達の士気が高揚しました♪」
「相手が残存勢力だとしても油断は出来ない…」
演説から十三分が経過…。ウィルフィールドは艦内の時計を確認したのである。
「予定の時間だな…」
ウィルフィールドは側近の部下に指示する。
「四隻の大型輸送艦に伝播しろ…爆撃用のドローンを出撃させるのだ…攻撃目標は東方地帯全域…」
「東方地帯ですか…」
「冥土の土産だ…手始めに東方地帯全域を完膚なきまでに焦土化させろ…」
「承知しました…大将軍…」
側近の部下は即座に四隻の大型輸送艦に通信させる。通信から三分後…。各輸送艦の甲板より合計五十機前後の爆撃用ドローンが配備され飛翔し始める。万民解放軍のドローン部隊が出撃した同時刻…。ソロモンアース東方地帯沿岸では警備隊所属のフィルドルクが上空の飛行物体を多数確認する。
「なっ!?爆撃用のドローンだと!?」
『万民解放軍の奇襲部隊なのか!?』
フィルドルクは超越的視力により上空の飛行物体が万民解放軍の爆撃用ドローンであると認識する。
「奴等の奇襲作戦か…」
フィルドルクは即座に沿岸の駐屯地へと移動すると基地内に設置された緊急警報機を作動させたのである。緊急警報機の発令に東方地帯各地の軍人達は勿論…。村里の民衆達が騒然とする。爆撃用ドローンは急降下したかと思いきや…。東方地帯の軍施設やら村里の各家屋敷に攻撃したのである。数分間の奇襲攻撃で各地の村里は壊滅…。多数の居住地が大火災により焼失したのである。東方地帯全域にて大勢の村人達の悲鳴が響き渡り…。数千人もの村人達が死傷したのである。軍施設も甚大なる被害により防衛機能は麻痺する。上空の爆撃用ドローンに対する反撃も出来ず防衛部隊は一方的に攻撃されたのである。万民解放軍の旗艦ブリッジでは通信兵が総司令官のウィルフィールドに戦況を伝達する。
「大将軍…ドローン部隊の空爆によって東方地帯は壊滅状態の模様です…敵軍からの反撃も軽微との情報です…」
「作戦は順調か…作戦の第一段階は成功だな…」
ウィルフィールドは数秒間沈黙するも…。
「であれば上陸部隊を出撃させるのだ…各輸送艦に伝播せよ…」
「はっ!」
通信兵は即座に四隻の輸送艦に上陸作戦開始を伝播させたのである。各輸送艦から十数隻もの上陸用舟艇が出撃を開始する。一隻の上陸用舟艇には武装した十数人もの戦闘員達が乗艇…。彼等は東方地帯へと上陸したのである。東方地帯内陸部では残存した守備隊との銃撃戦が展開されるも…。銃撃戦は数時間で鎮静化したのである。総司令官のウィルフィールドは再度島内の様子を双眼鏡で確認する。
「如何やら戦闘が鎮静化したみたいだな…」
「大将軍!今回も万民解放軍の大勝利ですね!」
旗艦の艦内では自軍の圧倒的大勝利によって乗組員達が大喜びしたのである。一人の乗組員がウィルフィールドに近寄る。
「こんなにも短時間で上陸作戦が成功するとは予想外でしたね♪大将軍♪」
笑顔の乗組員にウィルフィールドは無表情で返答する。
「今回作戦が成功したとしても計画の第一段階なのだ…臨時政府の奴等を投降させなくては何もかもが無意味であるからな…」
数十分後…。東方地帯全域が鎮静化する。上陸作戦の成功により東方地帯は万民解放軍の勢力圏として占拠されたのである。臨時政府軍守備隊は万民解放軍の奇襲攻撃に対応出来ず本拠地である南方の総本部へと一時撤退…。現地の残存部隊は万民解放軍の捕虜として拘束されたのである。

第二話

実験体
万民解放軍による東方地帯攻略作戦から二日後…。万民解放軍は空襲によって焦土化した地上の瓦礫撤去作業に尽力する。数人の兵士達が瓦礫撤去中…。
「ん?」
半壊した家屋より全身黒焦げの遺体を発見する。
「うわっ…此奴は子供の焼死体か…」
遺体の体格から小柄であり子供であると認識出来る。全身が黒焦げであり性別の区別は不可能である。
「体格的には子供の遺体だろうよ…気の毒だな…」
兵士達も人間であり戦争の悲惨さを痛感する。
「埋葬しないか?こんな状態では気の毒だし…」
「仕方ないな…」
彼等は遺体に接触した直後…。
「ん!?」
直後である。突如として火傷の外傷が治癒し始めたのである。
「現実なのか!?」
遺体は火傷部分が再生…。人間らしい素肌へと戻ったのである。
「全身の…火傷が…」
「再生するなんて…」
兵士達は目前の光景が現実なのか認識出来なくなる。再生した肉体は十五歳前後の少年だったのである。
「うっ…僕は…」
少年は意識が戻ったのか恐る恐る目覚める。
「えっ?僕は…一体何を?」
少年は警戒した様子で周囲を警戒したのである。一方の兵士達も警戒する。
「貴様は…何者だ?人間の…子供なのか?」
一人の兵士が少年に問い掛ける。
「僕の名前は…ストレイダス…人間だよ…」
ストレイダスはムッとした表情で返答したのである。
「如何して孤児院がこんな状態に?一体何が?」
ストレイダスは兵士達に問い掛ける。兵士達は非常に気まずくなるものの…。一人の兵士が返答する。
「奴等の…臨時政府軍による空爆だ…奴等の残虐非道の空爆によってソロモンアースの東方地帯が焦土化しちまったのさ…」
「えっ?空爆?」
「俺達が臨時政府軍を撃退したから東方地帯は安全だ…」
「何しろ俺達は正義の万民解放軍だからな…」
彼等は自身を正義の万民解放軍と自負したのである。
「こんな場所で長居し続けても仕方ないからな…ストレイダスは安全地帯に移動するべきだ…」
正直何が何やら不明であったが…。ストレイダスは抵抗せず大人しく彼等に連行されたのである。ストレイダスは捕虜として一隻の輸送艦へと連行され…。艦内のとある密室にて一休みしたのである。一方艦内の通路では総大将のウィルフィールドが数人の兵士達と会話する。
「人外の少年とやらが艦内の密室に…」
「全身火傷だったのに一瞬で治癒しましたからね…人外の生命力ですよ…」
「恐らくは彼が…」
「であれば彼こそが行方不明だった〔ポストヒューマン〕の一体なのか…」
ポストヒューマンとは旧世界最終戦争戦前…。万民解放軍の特殊研究機関が新開発した生体兵器であり所謂人造人間である。姿形こそ人間であるが戦況を一変させる超能力を所持…。戦略兵器の一種とされる。すると一人の兵士が携帯式ホログラム装置を作動…。
「先程の少年と瓜二つですね…」
ホログラム装置にはストレイダスと瓜二つの人物が映写されたのである。
「ストレイダスと名乗る少年は特殊研究機関が開発したポストヒューマンなのは確実であるな…一度彼と対面するか…」
ウィルフィールドは恐る恐る密室のドアをノックする。
「失礼する…」
「えっ…貴方は?」
ストレイダスは警戒した様子で恐る恐るウィルフィールドに問い掛ける。
「私は万民解放軍の総司令官…ウィルフィールドだ…」
ストレイダスは緊張した様子であり尻込みし始める。
「心配するな…大人しくするなら私は何も手出ししない…」
するとストレイダスは緊張が緩和したのである。
「ストレイダスとやら…質問なのだが…」
ウィルフィールドはストレイダスの出身地は勿論…。東方地帯に移住した以前の経緯を質問したのである。
「僕の出身地は…」
ストレイダスは幼少期の記憶が皆無であり返答出来ない。
「御免なさい…出身地は不明です…」
ストレイダスは自身の出身地は勿論…。東方地帯に移住する以前の記憶は何もかもが不明であり返答出来なかったのである。
「ストレイダスは過去の記憶が皆無なのだな…実際見ず知らずの人間から突然こんな質問されても返答出来ないよな…」
『此奴の正体が特殊研究機関の開発したポストヒューマンの一体なのは確実だな…』
ウィルフィールドはストレイダスがポストヒューマンの一体であると確信する。
『此奴を洗脳出来れば自軍の戦力として活用出来るかも知れないな…』
するとウィルフィールドはボソッと小声で発言し始める。
「村里の子供達からは怪物だって揶揄されたよ…」
「村里の奴等から怪物呼ばわりされたのか…気の毒だな…」
メンテ

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桜花姫〔4月7日〕二周年記念 ( No.8 )
日時: 2024/04/07 09:35
名前: 戦艦零号
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桜花姫〔4月7日〕二周年記念
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