【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU 【記事番号】-2147482679 (-2147482681) 【 日時 】05/09/28 20:07 【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
何というか、ブランクはあってもやっぱりののさんのテイスト。
ちょっと前の雑談掲示板での流れでいえば、まぁ世界観だの背景だのの説明はない。人が成長して変わるということを考慮に入れれば異世界といってもいいかもしれない。「I love you babyと叫べる素晴らしさに感動してしまう」んだからね。これを違和感として感じるかどうかがポイントになるかもしれない。個人的には面白いと思うけど、このワンカット以外の部分を読みたいところではあるかな。
>しかしまあ、書いてみると楽しいものですねー。
だよな。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU 【記事番号】-2147482655 (-2147482681) 【 日時 】05/09/28 23:03 【 発言者 】D・T
【記事番号】-2147482681 (2147483647)
【 日時 】05/09/28 00:32
【 発言者 】のの
酷い有り様だ。
時代の声で耳鳴りが。
手なずけたはずの心も、すでに。
それでもまさか、歩けるなんて。
CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU
「夏が似合うひと、っていうのがいると思うんだけど、綾波はそうじゃなかったね」
時代に相応しいグランジ系ミュージックを他所に呟いた。
「夏が似合わないなら、どこにいればよかったのだろう?」
耳をやられたと嘆いていた彼が首をかしげた。「100wのマーシャルアンプ全開にしたみたいだったよ」と言いながら五分前にここにきた彼が。
「そこにいればよかったんだ。僕はそういうことを気にしすぎる。しすぎるあまりに、なにが相応しいかの判断もわからなくなったんだ」
端から見れば、教室から校庭を見下ろして出演バンドを見ている学生二人。
話の中身はどんな唄よりも風に似ていた。気分次第で心地よくも悪くもなるもの。
「秋風のなかで話をしたかったね」
珍しく淋しそうな顔で彼が言う。机に腰かけて、片方の足を机に乗せるその姿はそれだけで絵葉書になれる。
ぼくはロッカーに腰を下ろし、足をブラブラさせている。後ろを振り向いて校庭を眺めつづけるのはさすがにつらい。
「一緒に冬の匂いの夜空を見上げたかった。桜の季節に歩きたかった。唄を歌ったりして」
今やそれをかなえるにはタイムマシンが必要だ。それでも無理かもしれないけれど。
オカリナでも吹きたい気分だ。吹き方をしらないけれど。
「ダウナー気分だから帰る」と僕。
「おやおや!」と彼。
「それじゃあ僕も帰るとしよう」
彼はひょいと机から下りて、てきぱきと帰りの支度をはじめる。
「ミスコンに女装して出るっていう噂を聞いたけど?」
「勝っちゃうと申し訳ないからやめたよ」
さらりと言ってのけるのがすごいし、まったく冗談に聞こえないのがこわい。
「女の子とは違う立場でいなきゃ楽しくないからね」
それには納得できる。
僕も男だから、あの子のことがいつだって気になったりする。
「今日も病院へ?」
彼が訊ねる。「あのアルバム買った?」っていうのと同じトーンで。
頷く僕に満足げな顔を浮かべると、つづけて言う。「じゃあ僕は冷蔵庫を空にする努力をしよう」
「あの大量のビールを?」
「なに、赤い海に比べれば微々たるものさ。シンジ君の分はとっておくよ。Samuel Adams」
「光栄です」
「彼女によろしく言っておいてくれるかい?」
「うん」
玄関に出ると、クラスメートのバンドのヘビメタシャウトが聞こえた。ファックファックと五月蝿えファック野郎。
「無駄に垂れ流されてるなあ……」
苦笑いを浮かべながら上履きを履き替える。彼は「その時点で腐ってる」とさらりと言ってのける。「もう夜だね」というのと同じトーン。
「夕方だ」
と校門を出た僕が言った。
「夕方だねえ」
と校門を出ていた彼が言った。
「面会時間は大丈夫なんだろ?」
「嫌なフリーパスなもので」
「じゃあいってらっしゃい」
「いってきます」
僕は彼とは反対方向の道を歩き出す。先に暗くなってゆく方角へと歩き出す。
赤信号を無視して渡る。渡りながらイヤホンを装着する。滅多にやらないランダムモードで再生ボタンを押す。
「君の瞳に恋してる」が流れた。
I love you babyと叫べる素晴らしさに感動してしまう。
歩調が少し早くなった。
【タイトル】 CAN'T TAKE MY EYES OFF YOUについて
【記事番号】-2147482680 (-2147482681)
【 日時 】05/09/28 00:31
【 発言者 】のの
恒例の裏話(?)的解説。書きわすれてた。
えーと、書きかけのSSを数ヶ月放置していまして、それを読み返し終えて、
「さてどうしよう」
と思った結果、つづきを書くよりリハビリにショートショートを書いてみました。
シンジをカヲルだけ、って書いたことないような……たぶんだけど。
わざとらしい言い回しを連発して文章を作ってみたいというのと、
D・Tさんが御自分のサイトの日記に書くようなフシギ文を書きたいというのとがあって、
結局前者にしつつもそれもそれほど徹底されてないあたりにやる気を感じないのだが(汗)
しかしまあ、書いてみると楽しいものですねー。
【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU
【記事番号】-2147482679 (-2147482681)
【 日時 】05/09/28 20:07
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
何というか、ブランクはあってもやっぱりののさんのテイスト。
ちょっと前の雑談掲示板での流れでいえば、まぁ世界観だの背景だのの説明はない。人が成長して変わるということを考慮に入れれば異世界といってもいいかもしれない。「I love you babyと叫べる素晴らしさに感動してしまう」んだからね。これを違和感として感じるかどうかがポイントになるかもしれない。個人的には面白いと思うけど、このワンカット以外の部分を読みたいところではあるかな。
>しかしまあ、書いてみると楽しいものですねー。
だよな。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU
【記事番号】-2147482655 (-2147482681)
【 日時 】05/09/28 23:03
【 発言者 】D・T
悲しくなっちゃう話でしたよ、ののさん。
読み込めば読み込むほど悲しさが湧き上がってくる物語です。
でも、そういうのを隠して、表面上はサラッと書いてるように見えるところが、すごく好きです。
すごくクールだ、と言い換えても良い。
【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU
【記事番号】-2147482654 (-2147482681)
【 日時 】05/09/28 23:05
【 発言者 】牙丸
何だか独特の世界観ですね。
それこそ、流れるようなって感じです。
詳しくはわからないけど、雰囲気が伝わって来るというか、クラスメートの会話をボーっと聞いているような感じがします。
これ以上は無理です。今の読解力じゃ難しいです。
【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU
【記事番号】-2147482650 (-2147482681)
【 日時 】05/09/29 22:32
【 発言者 】のの
レスポンスどうもアリガットさんです。
>tambさん
この程度の長さでなら書けますけど、これ以外の部分を書くにはこ
れ以上のエネルギーを費やす必要があるわけでして……(汗)
でもこういうノリを話を一度きちんと書いてみたいものです。
濃すぎないボリュームで。
>D・Tさん
冒頭の三行にあるように、この話は「それでもまさか、歩けるなんて」
がポイントになっています。
綾波さんがどうなっても、シンジくんは生きているのです。
友達と雑談して、酒を呑み、いやになるほど眠れなかったり丸太のように寝たり。
つらい人生のひとつの側面て感じに、結果的にはなりました。そこはわりと満足。
>牙丸さん
レスアリガットさんです。
僕がここに投下してきたショートショートはすべて雰囲気命なんです(笑)
普段ことばの多い文章を書いているので。
ほんとは普段もこういう雰囲気を持たせつつ長い文章を書きたいん
ですが……そうしないとやっぱりおっしゃる通り伝わりにくいとこ
ろもありますからね。
【タイトル】Re: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU
【記事番号】-2147482644 (-2147482681)
【 日時 】05/09/30 17:12
【 発言者 】なお。
精神的な辛さって、表面だけを見ても全然辛そうじゃなかったり。あからさまに苦悩の
表情を浮かべるのは最初か一人になって思い出したときくらいで、見せるとしたら信頼で
きる友や肉親にくらいだったり。
この話ではシンジがそんな感じで、でも精神的に強いのかというとそうでもなさそう。
それでも現実の厳しさを受け入れられる大人っぽさを感じます。
カヲルはシンジの気持ちはすべてわかっていて、酒を飲むのも、もしかしたらアルコー
ルに弱いのかもしれないシンジに代わってのような。
そんないかにも男同士の友情って感じがいいです。
それでいてむやみに男臭くないのもw
> I love you babyと叫べる素晴らしさに感動してしまう。
>
> 歩調が少し早くなった。
クッと歯を食いしばって、不意に込み上げてきた感情を殺すかのような。
たったこれだけの文章なんだけど、そんな姿が思い浮かびました。