「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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fld_nor.gif 『AngelRing』(6)/クロミツ
投稿日 : 2009/05/31 00:00
投稿者 tamb
参照先
【タイトル】『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482330 (2147483647)
【 日時 】06/01/10 01:51
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

作品はこちら。

http://tamb.cube-web.net/cont/kuromitsu/kuromitsu11f.htm

 切ないけど面白かった。こういう話が来るからサイトはやめらんないしこっちも書いちゃるぜという気にもなる。ま、読めてるかは不安なんだけど(^^;)。導入部に繋がるラストは凄い。ちょっとだけデビルマンを思い出したりもした。やり直しはできないんだろうけど、それでも未来を変える力はあるんだというか。この「世界」の二人が幸せになれるように祈りたい。

 冒頭部の詩的な雰囲気はいい。文章の形式としては詩じゃないんだろうけど、雰囲気はすごくある。詩を書こうとする人は、このくらいは頑張って欲しい。漢字の使い方ひとつでも雰囲気はすごく変わる。語順とか読点とか、考えることはたくさんあるよ。

 私はレイに対して、生きて幸せになろうという意識を持て、幸せになる権利はあるし、幸せになっていい、と言い続けてるつもりなんだけど、この話ではレイが「薫」に対してそう言っているように思えて、そこはちょっと唸った。その意味で、この話は彼の物語にも読める。彼はこれからどう生きて、どんな風に彼女の力になるのだろうか。シンジに変なことをしてはいけません(笑)。


 これは話の出来不出来には関係なくて、だからほんとは書かない方がいいのかもしれないけど、

>「―――悪かった。試すような真似をして。」
>謝罪の言葉とともにゆっくり開いた双眸には、あの冷たい光は無かった。

 散々無茶してきて、こんなセリフで許されると思ったら大間違い(笑)。少なくとも私は絶対に許さない。その意味で後半の会話にリアリティが感じられなくて残念だった。まぁそういう意見もあるということでひとつ。
 ちなみに相手を挑発して怒らせて本音を引き出すというのはジャーナリストの常套手段で、前に筑紫哲也がニュースのインタビューで外人相手に英語で思いっきりこれをやってた。さすがにびっくりした。オリエンタルスマイルを浮かべながらの挑発(笑)。筑紫さんには相手と仲良くしようという意志はないというか、目的は本音を引き出すだけだからそれでもよし。テレビという頭があったからか、相手は挑発に乗ってこなかったけど。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482317 (-2147482330)
【 日時 】06/01/10 20:11
【 発言者 】牙丸

ラストは凄いの一言。
こんなラストになるなんて、誰にも想像出来なかったと思います。
そして、世界観と文章がとても美しいです。
自分は受け入れられないとわかった上で、彼らの幸せを願って死を受け入れるアルミサエルが切ない。
この世界で、彼らはどうなるのか。想いを託された薫はどうなるのか。
でも、きっと人と使徒は共存出来ると思う。
なにより彼女がそう望んだ世界ですから。

>たとえわたしのすべてが借りものだとしても、心だけは・・・・・・この心は、わたしだけのもの。

このセリフが一番、心に響きました。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482316 (-2147482330)
【 日時 】06/01/11 10:45
【 発言者 】北並

最後のほうのレイ(もといアルミサエル)が宇宙をみるシーンの表現がすばらしいです。
銀河鉄道の沿線の風景なのだと思いますが、緩やかな流れにそって現れる星々の姿が目に浮かびます。

そのあとの地球、空を見下ろす場面では、最初からずっと出てきていた賢治の詩が、ここでつながっているんですね。
自分は童話の賢治作品しか知らなかったのですが、透明な雰囲気と感覚には感動させられました。
クロミツさんはそのあたりをよく読みとっていると思います。
だから、それをこうもうまく話の中に読み込めるのでしょう。

ヒトではなく、使徒でもないカヲルのことを「MissingLink」と表現したのはすばらしいと思います。
生物学的には種と種の間の種(例えば、サルとヒトの間の類人猿)という意味で
使われるので、ヒトも使徒であるということにも合致している、まさに的を射た表現だと思いました。

そして、自分が死ぬということがわかっていてそれでも、レイの幸せを願うアルミサエルが強いと思いました。
そういう自分の身を省みない想いというのが、最後の「慈愛に満ちた笑み」につながっているんですね。

レイに(つまり、自分の合わせ鏡のような存在に)幸せになってほしいという思いが
彼女を動かしているという意味においては、この話は我々自身の思いをも
あらわしているのではないかと、そう思いました。

レイが薫をからかうというのはなかなか斬新な感じがしました。
最初のつかみどころの無いタブリスが、くるくると表情の変わる年相応の少年に
なったのは面白かったです(笑)。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482310 (-2147482330)
【 日時 】06/01/11 22:44
【 発言者 】なお。

 まずは完結おめでとうございます。このあとに言葉を付けようとしても、さすがですの一言につきてしまいます。
 ほんとうにお疲れさまでした。

 私は素敵な作品を読むとよく嫉妬します。自分にもこれだけ書ける才能が欲しいと。その場合の大半は、よし、自
分も負けないように頑張ってみよう、となるのですが今回はそうはならず、ライバル心を抱くなんておこがましいと
打ひしがれる思いでした。とくにこの最終話での宇宙に広がる星座の描写は素晴らしく、読んでいて溜息が出る程に
美しかった。ここだけでもいいからコピーして持ち歩きたいくらい。恋人の写真を財布あたりに忍ばせるのと同じで
すね(笑)

 読んでからは驚きの連続でした。まずはレイはレイでなく、レイの心を持った使徒アルミサエルだったということ。
更には世界が滅んでいる。ジャンルとしては逆行系なのでしょうが、エヴァFFの常識となりつつある流れをぶち壊し、
読み手の意表を付くのは容易なことではないでしょう。
 既に数々の作品が発表され、しかもFFといった性格上、枠に囚われてしまいがちで方向としてはマンネリ可が進む
エヴァFF界。そこに一石を投じた作品だとさえ私は思っています。想像力を働かせればまだまだ発展の可能性がある
のだという希望を与えてくれました。実に見事で感謝さえしています。

「使徒」「ヒト」。言葉にすれば一文字違い。設定としては遺伝学上大差ないとされています。肉体の構成を除けば
大きな違いは心の有る無し、かと思えば心を持つ可能性は十分に秘めており、それは本編のカヲルが証明しています。
 とはいえどのようにして心を持つに至ったのかは明らかでなく、元々心を持っている特別な存在だったのかもしれ
ません。
 しかし後半に出てきたアラエルやアルミサエルに代表される、人との接触を試みた使徒が居たことから、それらを
介してカヲルは心を持ちえたという説もあります。一応ですが、公式にどうなのかは知らないと書いておきます。で
すからそこは想像の域を出ないもので、後にこじつけられほぼ定説に至った仮説ではないかと私は思っています。
 それなのにその説について語ったものは今まであまりお目にかかっておりませんでした。無くもないけど少ししか
触れていないか、作品上でも仮説とした扱いのものが多かったような気がしています。
 その盲点ともいえるところに着目して掘り下げ、新たな一つの説(それも説得力のある)を作り上げ、更にはスト
ーリーとして完成させたのですからその想像力たるや凄まじく恐るべし(A^-^;
 私の中ではこれがもう真実となっており、それだけの影響を受けてしまいました。責任取って下さい(爆)


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482306 (-2147482330)
【 日時 】06/01/12 20:47
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

 MissingLinkって、進化の系統において存在が予想されるのにもかかわらず未発見なことをいうんじゃなかったっけ。サルから人なら、類人猿が見つかってないみたいな感じで。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482302 (-2147482330)
【 日時 】06/01/14 13:19
【 発言者 】クロミツ

 皆様、最後までお付き合い下さりありがとうございました。m(_ _)m
まだ自宅からネットが繋がらないので、漫喫でこのページを見たあと、自宅に帰ってオフラインで
返信を書いております。
 リアルタイムの書き込みではないので、ひょっとしたら全員への返信が出来てないかもしれませんが、
ご容赦ください。


■ tambさん
> 散々無茶してきて、こんなセリフで許されると思ったら大間違い(笑)。少なくとも私は絶対に許さない。
>
 (笑)やられた方としてはたまったものではないですな。エヴァ本編でもゲンドウの
「すまなかった、シンジ」
で、おいおいそれだけかよと思ったので、気持ちは分かります。
 ま、もとより薫にも、許してもらおうというつもりはまったく無かったということでひとつ。


■ 牙丸さん
 今回、冒頭とラストを三人称で繋げ、間に一人称を挟みこむという案は最初からあったので、
そう云って戴けて嬉しいです。

>>たとえわたしのすべてが借りものだとしても、心だけは・・・・・・この心は、わたしだけのもの
>このセリフが一番、心に響きました。
>
 ありがとうございます。心の在り方はこの話のテーマの一つでもあり、だからこそ最後、自分は綾波レイ
ではなくアルミサエルだとの結論にもっていきました。5話までは(改変している範囲内で)レイの性格を
考慮した上での台詞を心掛けましたが、この最終話は多少イメージを逸脱しても気にせず書きました。


■ 北並さん
 お恥ずかしい話ですが私、これを書くまで宮沢賢治の作品はよく知らなくて(^^;)、「銀河鉄道の夜」すら
話の中に宮沢賢治を取り入れようと思ってから購入して読んだほどです。
 もともと詩を取り入れるというのは後付けで思い立ったので、そのときは賢治よりむしろ、「薫」つながり
で丸山薫などにしようかとも思いましたが、例の「青ぞらのはてのはて」を見て、ああなんかピッタリだなと
勝手な(笑)思い込みのまま話に組み込みました。
 そんな有り様なので本当に賢治について何の知識もなかったのですが、いろいろ調べたりするうち、今まで
漠然しかなかった彼のイメージとまた違った側面が見えたのが楽しかったです。


■ なお。さん
 いつも欠かさず書き込みを戴いて、こちらこそ感謝感激です。
ここまで誉めて戴くと、かえって恐縮してしまう・・・。アルミサエルが星を見る場面はもともと、彼女の
目のよさ(”みえる”という表現)をアピールする目的があったのですが、単純に「~万光年先の星が」と
書くのも面白くないので、銀河鉄道の風景に沿ってみました。なんとか三行以内で納めようと何度も書き直し
た結果の文章なので、気に入っていただいて嬉しいです。
 しかし、書いてる途中でしまったと思ったのが、賢治の詞を一、二行でも引用しただけで、途端に自分の
文章がくすんでしまう(苦笑)。ま、偉大な詩人と文章を較べるのもおこがましいですが。(A^_^;

>私の中ではこれがもう真実となっており、それだけの影響を受けてしまいました。責任取って下さい(爆)
>
 なお。さんが更なる新説を披露したFFを書けば無問題。(爆)


 ところでmissing linkですが、goo辞書などでは

・ミッシングリンク [missing link]
 〔失われた環(わ)の意〕進化において、生物の系統を鎖の環に見立て、その欠けた部分(間隙)に想定される未発見の化石生物。始祖鳥(鳥類と爬虫類との間)・アウストラロピテクス(人類と類人猿との間)の化石などの発見は、その間隙をつなぐ例。(三省堂提供「大辞林 第二版」より)

 とのこと。今回の話では、特に『失われた環』という意味で使いました。決して、カヲルが化石生物と
言いたいわけではありません。(笑)
どうでもいい話ですが、私がmissing linkという言葉を最初に知ったのは、RAGEというHMバンドのアルバム
タイトルから(同名の曲もあり)。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482277 (-2147482330)
【 日時 】06/01/24 01:35
【 発言者 】なお。

 指名されちゃったら、しゃあないか(笑)

 チャットで主に話題になったのは、シンジの扱いについてだったかな。世界が崩壊したときシンジも
一緒に死んでしまったんじゃないかって。そしてtambさんはそれが忍びないって。
 私は、擁護になってしまうのだろうけど、このシンジは見た目こそシンジであれどアルミサエルの想
像(理想とでもいうのか)で造り出した世界の一部であって、つまりは実体化とも違う立体映像みたい
なものだという結論を出しました。生きているのとも違う、夢のようなもの。
 ですからちょっとした切っ掛けで世界はあっけなく崩壊してしまった。もちろんシンジも一緒に。

 付け足しはしましたが、だいたいこんな感じでしたかね。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482276 (-2147482330)
【 日時 】06/01/24 03:17
【 発言者 】なお。

 簡単に読み返してみたらシンジは望まれて再生されたとあったので、やはりシンジ本人
なのかもしれません。だからレイは世界と一緒にシンジが消えてしまうのに謝罪していた
とも取れます。でもこれは世界の成り立ち上しかたがない。
 アルミサエルが真実を知ってしまい、その上でこの世界を望まなくなれば世界は崩壊す
るのが自然の成り立ちのようだから、これは彼女にも止められなかったのでしょう。だか
らできたのは謝罪だけだったとか。
 それにこのシンジは自我を持たない操り人形ともいえる存在だったでしょう。あったと
してもアルミサエルを妄信して愛することしか許されない。それが自我といえるかどうか
は疑問ですが、少なくとも自由はない。奴隷と一緒か考えようによってはそれ以下で、ロ
ボットと同じ。しかし指を切ったときに痛みを感じているようなので、やはりロボットと
同一に考えてしまうのは早計で、感情はあるのだろうから人として扱わなければならない
でしょう。不要になったからと廃棄する訳にはいかないのです。
 そう考えるとこの世界で消えてしまったシンジへの償いは謝罪だけで済むのかというta
mb さの疑問というか納得の行かないという感情も尤ものような気がします。仕方がなかっ
たとはいえこのシンジの最後はあまりにも悲しい。最後までアルミサエルをレイだと信じ、
彼女を悲しませないようにと笑って消えていったのですからね。それが存在理由でそのた
めだけに生かされていたと考えると確かに救いはありません。
 まあ、でも世界は再生されますよね。そこでシンジはまた生き返っているようです。生
き返ったというのは語弊がありますでしょうが、シンジとして生きてます。だから結果オ
ーラーイ……とはいかんだろうな(爆)
 でもさ、そうじゃないと最初にアルミサエルに貫かれて死んでしまったシンジも救いが
ないという話にもなってきてしまうw


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482274 (-2147482330)
【 日時 】06/01/25 22:02
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>指名されちゃったら、しゃあないか(笑)

 すまん(^^;)。
 話してる(ちなみに「はなししてる」のつもりで書いてるw)時に、これはこの掲示板でやったら面白いかもなーと思ってたまさにそのタイミングで、なお。さんが「四人目でやったら面白い」みたいなことを言ってくれたもんで。真っ先に書こうと思ったんだけど、ちょっと時間が取れなくて。あんまり時間を空けるのもあれかなと思ったし。

 まぁでもあれです。掲示板に書くとなると、もう一回読み直して良く考えたりして、良く分かんないと「わかんね」とか言って書くのやめたりするけど、チャットだとみんな思いつきでばんばん言うから、思考が意外な方向に向かうのは面白いわな。

 でもって本論。

>そしてtambさんはそれが忍びないって。

 そう。忍びない(笑)。ポイントは(5)で消えてしまったシンジの存在をどう捉えるかにある。その世界が不完全で無理のある世界だとしても、私にはシンジが「生きている」ように思えた。だから消してしまってそれでいいのかと。

 なお。さんの意見としては、上にもあるように

>このシンジは見た目こそシンジであれどアルミサエルの想像(理想とでもいうのか)で造り出した
>世界の一部であって、つまりは実体化とも違う立体映像みたいなものだという結論を出しました。
>生きているのとも違う、夢のようなもの。

 なんですが、

>納得の行かないという感情も尤ものような気がします。

 の前後で、私の気持ちも代弁して下さってます。はっきり言って付け加えることはあまりありません(笑)。
 深く考えていくと、生きているというのはどういうことか、そして意志があるというのはどういう状態かという哲学的な領域に突入し、まさにエヴァの根幹に関わる問題になってきます。仮にこのシンジがレイの中の無意識の意志によって行動し、「妄信して愛することしか許され」ず、「彼女を悲しませないようにと笑って消えていった」のだとすると、彼女は自分の中にいる彼を殺してしまったということになり、これまた救いがありません。

> まあ、でも世界は再生されますよね。そこでシンジはまた生き返っているようです。生
>き返ったというのは語弊がありますでしょうが、シンジとして生きてます。だから結果オ
>ーラーイ……とはいかんだろうな(爆)

 救いはここに見いだしたい。つまりアルミサエルは、レイではなくアルミサエルとして、レイとシンジを救うために、ある意味で命をかけたわけだ。後を薫に託し、恐らく殲滅されたんだと思う。だとすれば、これは消してしまったシンジに対する謝罪になり得る。

 ある意味では悲劇だけど、未来の見える美しい話だ。なんかまとまったな(笑)。
 それでもやっぱり忍びないことに変わりはないわけだが。


 ちなみに、酒の飲めない人に酒飲みの人の肝臓を移植すると酒飲みになるそうですが(爆)、この場合、酒飲みになってしまった元酒の飲めない人は、果たして酒好きになるのかどうか。
 この話、アルミサエルがどうレイなのか、という話から出てきたんじゃなかったかな。つまりアルミサエルはシンジが好きなのかどうか。シンジ好きなレイが入ってきたから好きになったのかどうか。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482273 (-2147482330)
【 日時 】06/01/26 00:38
【 発言者 】なお。

> つまりアルミサエルはシンジが好きなのかどうか。シンジ好きなレイが入ってきたから好きになったのかどうか。

 これも話したよね。(はなししたw)
 レイの記憶を引きずっての感情かなのか、それともレイの記憶からシンジを感じ取ってアルミサエル自身の心で愛
しているのかどうか。

 これは考えるのが難しい。アルミサエルは初めは心を持っていなくて持つに至るにレイの心が流れ込みそれがアル
ミサエルの心となった。

 それはレイ? それともアルミサエル?

 アルミサエルがアルミサエルである部分は薫と接触したあたりからだと思う。それまではレイとして考えて行動し
ていたからレイであって、そして自分が何者かを知ったとき始めてアルミサエル足り得たんじゃないかって。
 基本はレイと同じでもレイの記憶にないアルミサエル自身の経験は彼女のものだから、そこからアルミサエルはレ
イではなくなりアルミサエルになったのかって考えた。

 おそらくレイがアルミサエルの立場だったら同じ結論を出したんじゃないかとも思うけど、経験により人は変わっ
ていくもので、もし自分という存在が分裂して違う未来を歩んだとしたら、共有している過去は同じ自分であっても
経験により培ったものから過去を違うように捕らえる事も考えられ、そうなるとそれはもう互いに他人といえる存在
なのかもしれない。レイとアルミサエルの関係ってこんな感じだと思う。

 チャットではシンジだけでなくアルミサエルにも救いがないとも話した。彼女を補完する話が書きたいってtamb
さんは言った。

> 言葉で伝える必要はない。わたしの心を見せるだけでいい。いまはあの時より、自分の力を上手く使えるだろう。

 どうだろう、心を見せるとは記憶を移すとも考えられる。完全でないかもしれないけどアルミサエルの心を移され
たレイは、前述した、

> 共有している過去は同じ自分であっても経験により培ったものから過去を違うように捕らえる事も考えられ、そう
> なるとそれはもう互いに他人といえる存在なのかもしれない。

 この理論でいくと、アルミサエルは消えてしまうけど心はレイと同化して生き続けると考えられます。押し付けっ
ぽいですけどアルミサエルの心は元々はレイであるからレイ自身がアルミサエルと同じ経験をしていれば同じ成長を
したでしょうから、心を移されたとしてもそれは押し付けとは違う経験の上積みみたいなもので、レイにとってもき
っと悪いものにはならない。

 と救いがないとされていたアルミサエルにとっての救いを考えてみましたがどうでしょう(爆)


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482265 (-2147482330)
【 日時 】06/01/27 18:58
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>それはレイ? それともアルミサエル?

 区別をつけることが可能か、あるいは区別することに意味があるのかという部分まで含めて、これは非常に難しい問題です。

 急に私の「離れて~」の外伝の話をネタバレしつつ書きますが(爆)、レイが転生した少女(ちなみに名前はアヤちゃんです)が、ある日突然自分がかつてレイだったことを思い出すわけですな。自分の魂はかつてレイのものであって、自分は転生したんだと気づく。当然ながら碇くん好き好きです(笑)。そうなると、自分はいったい誰なのかと悩まざるを得ない。レイだと気づく前に生きてきた時間は何なのかと。まぁ記憶喪失の人が急に記憶を取り戻したみたいなもんですが、彼女にも両親や友達がいるわけですから、急に私はレイですと言われても、はいそうですかとはならんわけだ。

 みたいなことを思い出したのでした。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482264 (-2147482330)
【 日時 】06/01/28 01:30
【 発言者 】なお。

ふと思ったのだけど、アルミサエルとシンジだけの世界ってどれくらいの時間、あるいは年月、続いたのでしょうね。
実は無限とも思えるほどの時間だったとか。それでも問題はない訳ですよね。そういう概念がなかったとも考えられるけど、昨日今日くらいの区別はあるみたいだし、どうなんだろ。

> 急に私はレイですと言われても、はいそうですかとはならんわけだ。

スレ違いになるけど、だったらシンジに泣きつくってのも面白かったかもしれないですね。まだ混乱の内にいるレイが、自分がわからなくて恐いって。
これは両親にも話せない悩みとしてシンジにだけ話すの。繋がりがあるシンジだからってのも理由になるかな。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482263 (-2147482330)
【 日時 】06/01/30 21:12
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

>そういう概念がなかったとも考えられるけど、昨日今日くらいの区別はあるみたいだし、どうなんだろ。

どうでしょうね。昨日、今日、明日くらいはあっても、一昨日とか明後日はないかも。つまり時間が流れてないとか。

>スレ違いになるけど、だったらシンジに泣きつくってのも面白かったかもしれないですね。

書き上がってないからスレがないのだ(笑)。泣きつくのはいいアイディアだと思ったんだけど、オチの部分はエピローグで公開済みだから、そういうわけにはいかんのだな。でもいいアイディアではあるんで、別の話で使いたいわな。なお。さん書いて下さい(爆)。

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482262 (-2147482330)
【 日時 】06/02/01 00:32
【 発言者 】なお。

> つまり時間が流れてないとか。

時間ってこの世界ではあっても意味がないんですよね。たぶんアルミサエルが願ったとおりに時間も推移していくのでしょうから。でもその時間の流れは「時間よ進め!」と願って早まるものでなく、アルミサエルの中の常識によって作られた枠の中で進むものだと思います。

> なお。さん書いて下さい(爆)。

無理です。余裕ないもの……。

まあしかし記憶が戻った時点で2つの人格が存在してしまうわけで、そのときどちらを主観にして現状を判断するかによって納得できたりできなかったり。

レイであると納得したとしてアヤは、
「わたしって不幸少女だったのね」ウルウル
なんて思ったりするんだろうな(爆)


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482258 (-2147482330)
【 日時 】06/02/07 02:48
【 発言者 】クロミツ

ようやくネットが繋がる環境になりました。(^o^)
その間、せっかくレスして戴いたのに放置状態になって御免なさい。
お二方の指摘はとても興味深く、自分も言葉が足りない部分があったので、長くなりますがお赦しを。

 まずはあの世界のシンジについて、
> チャットで主に話題になったのは、シンジの扱いについてだったかな。世界が崩壊したときシンジも
>一緒に死んでしまったんじゃないかって。そしてtambさんはそれが忍びないって。
>

> そう。忍びない(笑)。ポイントは(5)で消えてしまったシンジの存在をどう捉えるかにある。その世界が不完全で無理のある世界だとしても、私にはシンジが「生きている」ように思えた。だから消してしまってそれでいいのかと。
>
 今回、アルミサエルの世界で登場するシンジの位置付けとしては、(5)で書いたように、
『綾波レイの持つ記憶と、わずかな侵蝕で得た情報を基に再構築された』かりそめの存在であり、
『彼の肉体も魂も、はじめから此処に無い』。いわば、碇シンジという情報の集合体に擬似的な魂を
吹き込まれた存在で、そしてその中には、創造主の願望もかなり含んでいます。つまり、
『気軽に冗談を言い合ったり、会話したい。』『彼とおなじ時間を、おなじ感動を共有したい。』と
いうレイ(=アルミサエル)の希望を叶えられる存在であり、彼女の意表をつくような行動はとれても、
彼女を裏切ることはない(=出来ない)のです。
 なお。さんの ”ロボット” という指摘はまさにその通りで、喩えるとパーマンのコピーロボットの
ような(古ッ!)碇シンジの分身といえるでしょう。
 といって、泣きも笑いもしますし、仮に本物のシンジがこの世界に居たとすれば、(コピーロボットが
そうだったように)レイ(=アルミサエル)をめぐって奪い合いになったかもしれません。(笑)

 では、だからといって消してしまっていいのかどうかは、まさにあのシンジを ”生きている”と捉える
かどうかで分かれるでしょう。またコピーロボットを持ち出すけど、仮に鼻のスイッチを押して誰かの分身
になりきった状態で壊すのと、のっぺらぼうの状態で壊すのでは印象が変わるというか、前者は ”壊した”
というより ”殺した” と思われても仕方がないかと。
因みに(5)の序盤でシンジが消えるのは「消した」のではなく、本物のシンジを殺してしまったことに
自らを責める創造主を目のあたりにし、「消えるしかなかった」。哀れといえば哀れな存在ですが、今回
の登場人物は、そんな人たちばかりです。^^;)
 だからせめて、最後に希望を残したかった。”希望” が必ずしも ”救い” ではないにしろ、ね。


> つまりアルミサエルはシンジが好きなのかどうか。シンジ好きなレイが入ってきたから好きになったのかどうか。>

> これは考えるのが難しい。アルミサエルは初めは心を持っていなくて持つに至るにレイの心が流れ込みそれがアルミサエルの心となった。
> それはレイ? それともアルミサエル?
>
 これはこの話でも重要なポイントで、意識しつつも明確な結論を出さないよう書きました。(爆)
なぜならそのまんま、レイの二人目と三人目に当て嵌まる、と個人的に思うからです。
 以前、拙作の「夏祭り」「祭りのあと」で同じテーマを扱いましたが、あれも掘り下げてないというか、
シンジと三人目のレイが惹かれあっていく部分をさらっと流してしまったんですよね。でないと、長編に
なってしまうから。
(まだ貞本版はどうなるかわからないが)アニメ版では水槽のレイを見てしまってから、シンジはレイと
最終話まで接触はなかっただろうけど、それでも最後にレイがシンジを選んだのは二人目であった頃の感情が
優ったのだろうし、では、三人目としての彼女の自我は?と思う。
 自分としてはあの時点ではあれでいいけど、EOE後はやはり三人目としてシンジとの時間を積み重ねて欲しいな、
と希望します。


>ふと思ったのだけど、アルミサエルとシンジだけの世界ってどれくらいの時間、あるいは年月、続いたのでしょうね
>
 時間の感覚としては夢と同じ、つまり「昨日今日」「ちょっと前」「だいぶ前」などの認識はあっても、
何年何月何日まで厳密に知覚できない、という設定にしました。
ぶっちゃけいうと、自分が夢の中で感じる日にちの感覚がその程度なんですね。(笑)
夢の中で「何時」という感覚はあっても「何月何日」って思ったことないんですよ。忘れてるだけかもしれんけど。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482252 (-2147482330)
【 日時 】06/02/07 23:24
【 発言者 】なお。

ども~クロミツさん。
わざわざ解説をしていただきありがとうございます。

うん、だいたい合っていたみたいだ。
こう読んだのは、こうであって欲しいという希望的な要素が強かったからだけどw

でもなあ、シンジは望まれて『再生された』と薫が言ってるんですよね。ニュアンスとしては、『再生された』じゃなく『造られた』とかだったら納得のしようも……。

『再生された』となると生き返ったみたいでどうも紛らわしいのです。揚げ足取りでしょうかね?


時間の観念は、やはりなかったようで。
実は悠久とも思える時間過ごしていた、なんて可能性もあるんですよね。
映画であったんだけど、自縛霊が同じ時間をくり返すっての。これに似ているかもしれない。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482225 (-2147482330)
【 日時 】06/02/20 03:37
【 発言者 】クロミツ

■なお。さん
返事が遅くなってすみません。

>『再生された』となると生き返ったみたいでどうも紛らわしいのです。揚げ足取りでしょうかね?
>
 あ~確かに。「碇シンジの再生を望んだ~」って自分で書いてるわ。^^;)
あのセリフのニュアンスとしては「再生を望んだ→やってみたけど魂まで還らなかった」と自分の脳内では
変換されてたのですが、第三者が読んだら文字通りに受け取って当然ですね。(滝汗)
失礼しました。

時間についてはそのとおりです。夢の中での時間の流れは本当に不思議で、一瞬なのか永遠なのか、
自分が何ものなのか、分からないときがあります。
荘子の「胡蝶の夢」を思い出しますね。


【タイトル】Re: 『AngelRing』(6)/クロミツ
【記事番号】-2147482220 (-2147482330)
【 日時 】06/02/21 04:15
【 発言者 】なお。

> 第三者が読んだら文字通りに受け取って当然ですね。(滝汗)

 再生にも度合いというものがありますでしょうから、説明が不足だったかもしれませんね。読み取れなかったといった可能性もありますけど、クロミツさん自身が認めてますので紛らわしいとはしておきましょう。誤解しやすい。

 今さら嫌らしいとは思いますが、ここまで書くのもここってかなり重要な部分だと後になって気がついたからです。シンジの成り立ちがしっかりとわかっていないと(5)の以下の文から続くレイが謝罪するときの心情が僅かながらぼやけてしまうんです。わかっていればなおに切ない。


> 「・・・・・・・・・っ!!」
>
> みしり、と音を立て、記憶の底が軋む。
> 亀裂から洩れ覗く封じられた光景に慄然とし、引き裂くように身体を剥がした。
> 腕を抱いて震える私に、呆然とした視線が投げかけられる。
>
>
>「・・・どうして・・・?」

 シンジの呆然とした視線なんてのは当たり前の事なんですよね。そういった態度一つが真実を知ってしまったレイには辛いものでしかないのです。

> 私のこの態度が、どれほど彼を傷付けてるのだろう。
>
> 「・・・御免・・・なさい・・・。」
>
> 漏れそうになる嗚咽をこらえながら、ようやく、その言葉だけを振り絞った。

 ここのあたり「御免なさい」の一つの重みが理解しているのとしていないのではまったく違う。シンジがこの世界に存在しているのでさえアルミサエルにとっては謝罪ではすまされないくらいの問題なんでしょうからね。さらには消す事になり罪の意識は更に深くなる。
しかしそのわりに(6)に入るとそのあたりは結構さっぱりとしてしまう。この長さで纏めるとそうなってしまうのだろうけど少し惜しいような気もしました。

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