「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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想うということ。
投稿日
: 2005/03/27 00:00
投稿者
:
のの
参照先
:
想うということ。 - のの 04/08/06-23:53 No.187
「想うということ。」について - のの 04/08/06-23:56 No.188
Re: 「想うということ。」について - tamb 04/08/07-01:58 No.189
Re^2: 「想うということ。」について - Kazu 04/08/07-10:08 No.191
Re^2: 「想うということ。」について - みれ 04/08/07-10:23 No.192
Re^3: 「想うということ。」について - tamb 04/08/09-22:19 No.205
Re^4: 「想うということ。」について - みれ 04/08/10-10:13 No.219
Re^5: 「想うということ。」について - tamb 04/08/11-20:27 No.227
Re: 想うということ。 - tamb 04/08/09-22:18 No.204
一括レス - のの 04/08/10-00:29 No.212
Re: 一括レス - tamb 04/08/11-20:26 No.226
Re^2: 一括レス - あいだ 04/08/12-18:08 No.236
Re^3: 一括レス - tamb 04/08/12-20:29 No.238
でだ。 - のの 04/08/14-00:20 No.242
Re: でだ。 - tamb 04/08/14-13:00 No.243
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タイトル : 想うということ。
記事No : 187
投稿日 : 2004/08/06(Fri) 23:53
投稿者 : のの
「ねえ、空の色って、なんで微妙に変化するのかな」
ぼくは、彼女に問いかけた。教室の窓から眺める空は、冗談みたいに真っ青だった。まだ5時をすぎたばかりなのに。
「さあ?」
彼女はそっけない。言外に「少しは手伝ってくれてもいいのに」と訴えかけているのは想像に難くない。けれど、それをわかって、すこし意地悪してみる。ぼくは無視してつづけた。
「白っぱけたり、今みたいに紺色に近かったり。季節によるよね。夏にこんな濃い青空は拝めないしさ」
がたん、と音がしたので振り向くと彼女がもうすぐ後ろにきていて、さっきまで書いていた日誌でぼくの頭をこづいた。
「それより、ゴミ箱ひとつ持ってくれる?」
「OK」
ふたつ並んでるゴミ箱の軽いほうを迷わず持ち上げると、彼女はまた日誌を武器に使った。しかも今度は背表紙のところでだ。
「んがっ」
「やさしくないんだから」
「冗談だよ、冗談」
「わかってるけど」
「でも今のシャレにならない痛さだったんだけど」
「わかってるけど」
「悪いヤツだなあ」
「悪くないけど」
廊下を歩きながら、くだらないやりとりをつづけた。にやにや笑いながらそんなことを言いあう僕らは、実にわかりやすい組み合わせだ。
「日誌、届けてくるから」
「じゃあ先行ってるよ」
ぼくは彼女が持っていた方のゴミ袋を持ち上げ(なんて軽い!)、先に廊下の先のごみ捨て場に向かった。ドアをあけて外に出て、細道を曲がった先がゴミ捨て場。ゴミ袋を結んでいると彼女が追いついてきた。ゴミを捨てて、そのまま学校を出た。もちろん手をつないで。
「ねえ」
「ン?」
「今日はこの冬初の鍋にしようと思ってるんだけどさ」
「うん」
「ひとりでやる気にもなんないし、ウチに来る?」
「いいの?」
「そっちこそ」
「わたしは是非」
「じゃあ決まりだ」
「よかった、助かるわ」
「なにが」
「今月あと五日で千円しかないから」
「はあ?らしくもない」
「色々あるの、わたしにだって」
「ふーん……ま、ぼくもこの時期はかなりギリギリだけどね」
「の割には余裕ありそう」
「見えっぱりだからね。あ、豆腐と白菜だけ買ってくから、こっち」
商店街へ行くため、ふつうはまっすぐ行くところを左に曲がった。
「ねえ」
「ン?」
今度は彼女の方から話しかけてきた。
「さっきの、空がどうして色んな青空になるかっていう話だけど」
「ああ、あれ」
「うん」
「知ってんの?」
「知らない」
「は?」
「知らないけど。でも、ひとつ言えるのは、きれいな色ねってこと」
「……うん、それは間違いないや」
「でしょ?ならいいじゃない」
彼女が強く手を握ってきた。少し、体も寄せて。
なるほど、よくはわからないや、女性ってのは。
でもまあ、そんなことわかってるけど、ぼくはこの子が好きなんだよな。
手を握り返し、空を見上げるなにかを想う彼女を見た。
それはもう、きれいだった。
「うん、それも間違いないや」
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タイトル : 「想うということ。」について
記事No : 188
投稿日 : 2004/08/06(Fri) 23:56
投稿者 : のの
いま思いつきで書いただけですが……。
20分くらいかな。
いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
右側走って行きたいのさ(古いよ表現が)。
まあ別に甘くないよって言われても、ぼくの中ではかなりの高密度であるのでこれでいいのである(強引)。
いま超マジなシンレイもの書いてるから、肩の力を抜くために書いたというのが本音だが、まあ軽い気持ちで楽しんでいただければ。
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タイトル : Re: 「想うということ。」について
記事No : 189
投稿日 : 2004/08/07(Sat) 01:58
投稿者 : tamb
> いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
実力の裏打ちがあるとは言え、このプライドは凄まじい。
閲覧者中推定5人(くらいしかいない)の作家たちは、失意のどん底に叩きつけられたであろう。無論、私を含む(笑)。
コメントは月曜日にでも。
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タイトル : Re^2: 「想うということ。」について
記事No : 191
投稿日 : 2004/08/07(Sat) 10:08
投稿者 : Kazu <sasuke1412○yahoo.co.jp>
> いま思いつきで書いただけですが……。
> 20分くらいかな。
思いつきでしかも二十分でこれだけ・・・・・・・・・「流石です」の一言に尽きます・・・
> いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
・・・・・・・ガギッ!・・おっと!顎が外れた
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タイトル : Re^2: 「想うということ。」について
記事No : 192
投稿日 : 2004/08/07(Sat) 10:23
投稿者 : みれ
> > いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
> 実力の裏打ちがあるとは言え、このプライドは凄まじい。
> 閲覧者中推定5人(くらいしかいない)の作家たちは、失意のどん底に叩きつけられたであろう。無論、私を含む(笑)。
含むわたし(死
--
「空の色が青いのは、そこに人がいるから」
いつか彼女が言っていた。
あれからもう、どれだけ月日がたったかもわからない。
夢だったのだろうか。
「ねえ、綾波?」
「なに?」
ふと呼んでみただけの僕に、彼女は振り向いて答えた。
その笑顔が妙に恥ずかしくて、僕は上に顔をそらした。
「……どうしたの?」
「空……青いね」
彼女も立ち止まって空を見た。
空は綺麗だった。
でも、僕が見ていたのは空ではなかった。
隣で見とれている、彼女の顔。
この隣から彼女を見るこの一瞬が、僕は何よりも好きで。
この時がずっと、続けばいいと。
「空の色が青いのは、そこに人がいるから」
「え?」
ふとこちらに顔を向けた彼女が、突然呟いた。
「人は空からやってきて、ここにいて、そしてきっとまた……空に還るの。きっと」
他のやつが言えば、「なに言ってんだよ」の一言で片付いたかもしれないけれど、彼女が言うそれには不思議なものがあった。
「行きましょう。テスト、遅れるわ」
「あ……そうだね」
もう、あのころには戻れない。
それだけは、確かなものとして感じていた。
以上、触発でした。
ネタはともかく、話のノリが最近こんなのばっかりか;
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タイトル : Re^3: 「想うということ。」について
記事No : 205
投稿日 : 2004/08/09(Mon) 22:19
投稿者 : tamb
「空からきて空に還る」ってのはすごくいいかも。こういうアイディアって、筆力と
かとは全然関係ないんだよな。より大事なのはアイディアで、文章はそれを表現
する手段だから。まぁ手段に難があれば伝わらないんだけどね(爆)。
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タイトル : Re^4: 「想うということ。」について
記事No : 219
投稿日 : 2004/08/10(Tue) 10:13
投稿者 : みれ
> 「空からきて空に還る」ってのはすごくいいかも。
どうもです;レスないままスルーかと思ってたのでうれしかったですw
> こういうアイディアって、筆力とかとは全然関係ないんだよな。より大事なのはアイディアで、文章はそれを表現する手段だから。まぁ手段に難があれば伝わらないんだけどね(爆)。
なんか誉められてるのか絞められてるのか分かりませんw
思い付きです。
どうも本気でFFライターからポエム書きに転身しようかと一時期思っていたんですが(ぇ)時々こんな風に浮かぶ言葉が主な理由かもしれません;
筆力ないし(汗
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タイトル : Re^5: 「想うということ。」について
記事No : 227
投稿日 : 2004/08/11(Wed) 20:27
投稿者 : tamb
>なんか誉められてるのか絞められてるのか分かりませんw
誉めつつ絞めてます(笑)。まぁでもこの話に関しては充分伝わってきてます。
>ポエム書きに転身しようかと
当サイトではポエムは扱っておりませんので、自サイトでどうぞ(笑)。
つか、詩って善し悪しが分からんのよ。詩心ゼロなんで。
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タイトル : Re: 想うということ。
記事No : 204
投稿日 : 2004/08/09(Mon) 22:18
投稿者 : tamb
に対する悪意に満ちたコメント(爆)。
そうだなぁ。やっぱりののさんだなって感じがする。たとえ20分で書いたにしても、だ。
などとののさん風に(笑)。
この話の上にあるののさんの「理想」がどこにあるのか、つまり何が不満なのか
は良くわかりませんが、ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。これは好みの
問題。明確に気に入らないのは「今日はこの冬初の鍋に~」。「冬初」は何とかし
たいよね。
なんだかんだ言ってもいい雰囲気だ。正直、悔しいけどね。
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タイトル : 一括レス
記事No : 212
投稿日 : 2004/08/10(Tue) 00:29
投稿者 : のの <nono0203○po1.dti2.ne.jp>
レスありがとうございますみなさん。
どっちかと言うとあとがき&補足にツッコミがあつけど(笑)
まあ書かなきゃ後書きはないんだからいいのか。
順番にレス。
>kazuさん
思いつきと勢いだけでしかこういう軽いFFは書けんのですよ、ぼくの場合(^^;
補足すると、かなり昔HALさんという方がふたりが下校するだけの短いSSを書いたんですよ。
ぼくがこの世界い足を踏み込んでからけっこうすぐなんで、もう六年くらい前になると思いますが(汗)
それは余計な描写のない話で、すんげえ「いい感じ」なわけです。
それを目指して書いたものです。
空の色の変化についての話をするってこと以外はオチすら即興ですが、なんか読み返したらうまく書けてました(汗)
最初書いたときはそうでもなかった気がしたんだけど……。
理想うんぬんについてはまとめて書きます。そのほうがラク(笑)
>ミレアさん
「もう戻れない」というとこ。
どんな設定なのか気になるじゃあないですか。やっぱ。
>tambさん
どもです。
まず
>明確に気に入らないのは「今日はこの冬初の鍋に~」。「冬初」は何とかし
たいよね。
読み返したときに気づきました、確かにこれはよろしくないっす。
しかし単純に「、」をいれれば済むのか、それとも別の言い方にしたほうなのかがまとまんなくて修正してないんです。あんまり別の言い方したくないんだけども。
>ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。
これは書く寸前まで読んでた「BANANA FISH(吉田秋生)」のマネですな(^^;
綾波さんに使わせるにはあんましピタリとこなかったです。シンちゃんなら問題ないかなあ。
>この話の上にあるののさんの「理想」がどこにあるのか、つまり何が不満なのか
は良くわかりませんが、
強がりも含んでますが、100回書けば読み返せば必ず「もっとよくなると思うんだけどなあ」と思っちゃうので。これはでも比較的少ないかな、そういうとこが。
一年に一度か二度のフィーバー中なので、テンションが高いだけなのかもしれないけど。
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タイトル : Re: 一括レス
記事No : 226
投稿日 : 2004/08/11(Wed) 20:26
投稿者 : tamb
>>明確に気に入らないのは「今日はこの冬初の鍋に~」。「冬初」は何とかしたいよね。
>読み返したときに気づきました、確かにこれはよろしくないっす。
>しかし単純に「、」をいれれば済むのか、
「今日はこの冬、初の鍋にしようと思ってるんだけどさ」
いいと思う。ちょっと考えたけど、「冬」と「初」は離したくない。となれば他に手は
ないです。
例えば、
「今日はさ、この冬、初の鍋にしようと思ってるんだけど」
とかいう手はあるのかもしれないけれど。
>>ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。
>これは書く寸前まで読んでた「BANANA FISH(吉田秋生)」のマネですな(^^;
こういうケースでの返事は私的にも迷う部分でありまして、今のところは「うん?」
を多用してますが、もう少しまともな解があるような気もします。
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タイトル : Re^2: 一括レス
記事No : 236
投稿日 : 2004/08/12(Thu) 18:08
投稿者 : あいだ
>>ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。
>
>これは書く寸前まで読んでた「BANANA FISH(吉田秋生)」のマネですな(^^;
>
> こういうケースでの返事は私的にも迷う部分でありまして、今のところは「うん?」
> を多用してますが、もう少しまともな解があるような気もします。
これは私なら、「なに?」と返事させる所かな。
「ン?」とか「うん?」は綾波が柔らかくなってていいんだけど、でもどこか綾波ではない感じがしてしまうので。
私の中では、綾波はどこか人を寄せ付けない冷たさを外面に纏っているんですよね(^^:
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タイトル : Re^3: 一括レス
記事No : 238
投稿日 : 2004/08/12(Thu) 20:29
投稿者 : tamb
>これは私なら、「なに?」と返事させる所かな。
あ、レイの話だったっけ(爆)。彼女なら間違いなく「なに?」ですね、私も。
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タイトル : でだ。
記事No : 242
投稿日 : 2004/08/14(Sat) 00:20
投稿者 : のの <nono0203○po1.dti2.ne.jp>
「この冬初の」ってとこ。
もういっそ「今日の夕飯は鍋にしようと想ってるんだけど」
とかにしちゃったほうがいい気がしてきた(汗)
でもぼくのなかでは「初の」っていれることで具体的じゃないけどなんとなく12月だよってことを教えたかったりするんだよなあ。
ちなみに綾波さんが金欠なのはクリスマスプレゼントを買うお金を確保してあるからという裏設定があるのだから、それを言うには時機を逸しているな(爆)
んで、さっきまた全部読み返して修正個所を把握したんですが。
「ン?」
についてはもっといいのがあるなというのはあります。
所詮とってつけた人マネだしなあ(爆)
やっぱ「なに?」ですかな。一番レイらしい言い方になると。
この「想うということ」では話かたそのものはほとんど原作をスムーズにさせた程度のイメージなので、それがいいかもしれないです。
しかしそもそも「ねえ」って呼びかけたときにあんまり人の返答を待たないし、唐突に「ねえ」って話しかけられたらという理屈を言えば「ン?」でもかまわないような。しかし並んで歩いてんだから唐突でもないのか。
結局どっちだ?(汗)
でもたぶん「なに?」だな。
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タイトル : Re: でだ。
記事No : 243
投稿日 : 2004/08/14(Sat) 13:00
投稿者 : tamb
>「この冬初の」ってとこ。
>もういっそ「今日の夕飯は鍋にしようと想ってるんだけど」
「思う」ね(爆)。
これはこれでいいような気がします。「冬」と「初」をどうしても使うとなると悩ましい
んだけど。
「今日は初鍋にしようと思うんだけど」
「はつなべ?」
「この冬に初めての鍋ってこと」
とか会話でごまかすか。何かもう少しあるような気もするんだけど。
>やっぱ「なに?」ですかな。一番レイらしい言い方になると。
この話に合うかどうかはあれですが、ちょっとリナレイ化したるんるん(死語)レイ
ちゃんなら「はいはい」ってのも私はわりと好きです。
-
WEB PATIO
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想うということ。 - のの 04/08/06-23:53 No.187
「想うということ。」について - のの 04/08/06-23:56 No.188
Re: 「想うということ。」について - tamb 04/08/07-01:58 No.189
Re^2: 「想うということ。」について - Kazu 04/08/07-10:08 No.191
Re^2: 「想うということ。」について - みれ 04/08/07-10:23 No.192
Re^3: 「想うということ。」について - tamb 04/08/09-22:19 No.205
Re^4: 「想うということ。」について - みれ 04/08/10-10:13 No.219
Re^5: 「想うということ。」について - tamb 04/08/11-20:27 No.227
Re: 想うということ。 - tamb 04/08/09-22:18 No.204
一括レス - のの 04/08/10-00:29 No.212
Re: 一括レス - tamb 04/08/11-20:26 No.226
Re^2: 一括レス - あいだ 04/08/12-18:08 No.236
Re^3: 一括レス - tamb 04/08/12-20:29 No.238
でだ。 - のの 04/08/14-00:20 No.242
Re: でだ。 - tamb 04/08/14-13:00 No.243
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タイトル : 想うということ。
記事No : 187
投稿日 : 2004/08/06(Fri) 23:53
投稿者 : のの
「ねえ、空の色って、なんで微妙に変化するのかな」
ぼくは、彼女に問いかけた。教室の窓から眺める空は、冗談みたいに真っ青だった。まだ5時をすぎたばかりなのに。
「さあ?」
彼女はそっけない。言外に「少しは手伝ってくれてもいいのに」と訴えかけているのは想像に難くない。けれど、それをわかって、すこし意地悪してみる。ぼくは無視してつづけた。
「白っぱけたり、今みたいに紺色に近かったり。季節によるよね。夏にこんな濃い青空は拝めないしさ」
がたん、と音がしたので振り向くと彼女がもうすぐ後ろにきていて、さっきまで書いていた日誌でぼくの頭をこづいた。
「それより、ゴミ箱ひとつ持ってくれる?」
「OK」
ふたつ並んでるゴミ箱の軽いほうを迷わず持ち上げると、彼女はまた日誌を武器に使った。しかも今度は背表紙のところでだ。
「んがっ」
「やさしくないんだから」
「冗談だよ、冗談」
「わかってるけど」
「でも今のシャレにならない痛さだったんだけど」
「わかってるけど」
「悪いヤツだなあ」
「悪くないけど」
廊下を歩きながら、くだらないやりとりをつづけた。にやにや笑いながらそんなことを言いあう僕らは、実にわかりやすい組み合わせだ。
「日誌、届けてくるから」
「じゃあ先行ってるよ」
ぼくは彼女が持っていた方のゴミ袋を持ち上げ(なんて軽い!)、先に廊下の先のごみ捨て場に向かった。ドアをあけて外に出て、細道を曲がった先がゴミ捨て場。ゴミ袋を結んでいると彼女が追いついてきた。ゴミを捨てて、そのまま学校を出た。もちろん手をつないで。
「ねえ」
「ン?」
「今日はこの冬初の鍋にしようと思ってるんだけどさ」
「うん」
「ひとりでやる気にもなんないし、ウチに来る?」
「いいの?」
「そっちこそ」
「わたしは是非」
「じゃあ決まりだ」
「よかった、助かるわ」
「なにが」
「今月あと五日で千円しかないから」
「はあ?らしくもない」
「色々あるの、わたしにだって」
「ふーん……ま、ぼくもこの時期はかなりギリギリだけどね」
「の割には余裕ありそう」
「見えっぱりだからね。あ、豆腐と白菜だけ買ってくから、こっち」
商店街へ行くため、ふつうはまっすぐ行くところを左に曲がった。
「ねえ」
「ン?」
今度は彼女の方から話しかけてきた。
「さっきの、空がどうして色んな青空になるかっていう話だけど」
「ああ、あれ」
「うん」
「知ってんの?」
「知らない」
「は?」
「知らないけど。でも、ひとつ言えるのは、きれいな色ねってこと」
「……うん、それは間違いないや」
「でしょ?ならいいじゃない」
彼女が強く手を握ってきた。少し、体も寄せて。
なるほど、よくはわからないや、女性ってのは。
でもまあ、そんなことわかってるけど、ぼくはこの子が好きなんだよな。
手を握り返し、空を見上げるなにかを想う彼女を見た。
それはもう、きれいだった。
「うん、それも間違いないや」
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タイトル : 「想うということ。」について
記事No : 188
投稿日 : 2004/08/06(Fri) 23:56
投稿者 : のの
いま思いつきで書いただけですが……。
20分くらいかな。
いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
右側走って行きたいのさ(古いよ表現が)。
まあ別に甘くないよって言われても、ぼくの中ではかなりの高密度であるのでこれでいいのである(強引)。
いま超マジなシンレイもの書いてるから、肩の力を抜くために書いたというのが本音だが、まあ軽い気持ちで楽しんでいただければ。
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タイトル : Re: 「想うということ。」について
記事No : 189
投稿日 : 2004/08/07(Sat) 01:58
投稿者 : tamb
> いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
実力の裏打ちがあるとは言え、このプライドは凄まじい。
閲覧者中推定5人(くらいしかいない)の作家たちは、失意のどん底に叩きつけられたであろう。無論、私を含む(笑)。
コメントは月曜日にでも。
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タイトル : Re^2: 「想うということ。」について
記事No : 191
投稿日 : 2004/08/07(Sat) 10:08
投稿者 : Kazu <sasuke1412○yahoo.co.jp>
> いま思いつきで書いただけですが……。
> 20分くらいかな。
思いつきでしかも二十分でこれだけ・・・・・・・・・「流石です」の一言に尽きます・・・
> いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
・・・・・・・ガギッ!・・おっと!顎が外れた
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タイトル : Re^2: 「想うということ。」について
記事No : 192
投稿日 : 2004/08/07(Sat) 10:23
投稿者 : みれ
> > いや、これくらいだったらなんぼでも書けるが、理想はもうちょっと上なのよ。
> 実力の裏打ちがあるとは言え、このプライドは凄まじい。
> 閲覧者中推定5人(くらいしかいない)の作家たちは、失意のどん底に叩きつけられたであろう。無論、私を含む(笑)。
含むわたし(死
--
「空の色が青いのは、そこに人がいるから」
いつか彼女が言っていた。
あれからもう、どれだけ月日がたったかもわからない。
夢だったのだろうか。
「ねえ、綾波?」
「なに?」
ふと呼んでみただけの僕に、彼女は振り向いて答えた。
その笑顔が妙に恥ずかしくて、僕は上に顔をそらした。
「……どうしたの?」
「空……青いね」
彼女も立ち止まって空を見た。
空は綺麗だった。
でも、僕が見ていたのは空ではなかった。
隣で見とれている、彼女の顔。
この隣から彼女を見るこの一瞬が、僕は何よりも好きで。
この時がずっと、続けばいいと。
「空の色が青いのは、そこに人がいるから」
「え?」
ふとこちらに顔を向けた彼女が、突然呟いた。
「人は空からやってきて、ここにいて、そしてきっとまた……空に還るの。きっと」
他のやつが言えば、「なに言ってんだよ」の一言で片付いたかもしれないけれど、彼女が言うそれには不思議なものがあった。
「行きましょう。テスト、遅れるわ」
「あ……そうだね」
もう、あのころには戻れない。
それだけは、確かなものとして感じていた。
以上、触発でした。
ネタはともかく、話のノリが最近こんなのばっかりか;
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タイトル : Re^3: 「想うということ。」について
記事No : 205
投稿日 : 2004/08/09(Mon) 22:19
投稿者 : tamb
「空からきて空に還る」ってのはすごくいいかも。こういうアイディアって、筆力と
かとは全然関係ないんだよな。より大事なのはアイディアで、文章はそれを表現
する手段だから。まぁ手段に難があれば伝わらないんだけどね(爆)。
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タイトル : Re^4: 「想うということ。」について
記事No : 219
投稿日 : 2004/08/10(Tue) 10:13
投稿者 : みれ
> 「空からきて空に還る」ってのはすごくいいかも。
どうもです;レスないままスルーかと思ってたのでうれしかったですw
> こういうアイディアって、筆力とかとは全然関係ないんだよな。より大事なのはアイディアで、文章はそれを表現する手段だから。まぁ手段に難があれば伝わらないんだけどね(爆)。
なんか誉められてるのか絞められてるのか分かりませんw
思い付きです。
どうも本気でFFライターからポエム書きに転身しようかと一時期思っていたんですが(ぇ)時々こんな風に浮かぶ言葉が主な理由かもしれません;
筆力ないし(汗
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タイトル : Re^5: 「想うということ。」について
記事No : 227
投稿日 : 2004/08/11(Wed) 20:27
投稿者 : tamb
>なんか誉められてるのか絞められてるのか分かりませんw
誉めつつ絞めてます(笑)。まぁでもこの話に関しては充分伝わってきてます。
>ポエム書きに転身しようかと
当サイトではポエムは扱っておりませんので、自サイトでどうぞ(笑)。
つか、詩って善し悪しが分からんのよ。詩心ゼロなんで。
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タイトル : Re: 想うということ。
記事No : 204
投稿日 : 2004/08/09(Mon) 22:18
投稿者 : tamb
に対する悪意に満ちたコメント(爆)。
そうだなぁ。やっぱりののさんだなって感じがする。たとえ20分で書いたにしても、だ。
などとののさん風に(笑)。
この話の上にあるののさんの「理想」がどこにあるのか、つまり何が不満なのか
は良くわかりませんが、ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。これは好みの
問題。明確に気に入らないのは「今日はこの冬初の鍋に~」。「冬初」は何とかし
たいよね。
なんだかんだ言ってもいい雰囲気だ。正直、悔しいけどね。
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タイトル : 一括レス
記事No : 212
投稿日 : 2004/08/10(Tue) 00:29
投稿者 : のの <nono0203○po1.dti2.ne.jp>
レスありがとうございますみなさん。
どっちかと言うとあとがき&補足にツッコミがあつけど(笑)
まあ書かなきゃ後書きはないんだからいいのか。
順番にレス。
>kazuさん
思いつきと勢いだけでしかこういう軽いFFは書けんのですよ、ぼくの場合(^^;
補足すると、かなり昔HALさんという方がふたりが下校するだけの短いSSを書いたんですよ。
ぼくがこの世界い足を踏み込んでからけっこうすぐなんで、もう六年くらい前になると思いますが(汗)
それは余計な描写のない話で、すんげえ「いい感じ」なわけです。
それを目指して書いたものです。
空の色の変化についての話をするってこと以外はオチすら即興ですが、なんか読み返したらうまく書けてました(汗)
最初書いたときはそうでもなかった気がしたんだけど……。
理想うんぬんについてはまとめて書きます。そのほうがラク(笑)
>ミレアさん
「もう戻れない」というとこ。
どんな設定なのか気になるじゃあないですか。やっぱ。
>tambさん
どもです。
まず
>明確に気に入らないのは「今日はこの冬初の鍋に~」。「冬初」は何とかし
たいよね。
読み返したときに気づきました、確かにこれはよろしくないっす。
しかし単純に「、」をいれれば済むのか、それとも別の言い方にしたほうなのかがまとまんなくて修正してないんです。あんまり別の言い方したくないんだけども。
>ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。
これは書く寸前まで読んでた「BANANA FISH(吉田秋生)」のマネですな(^^;
綾波さんに使わせるにはあんましピタリとこなかったです。シンちゃんなら問題ないかなあ。
>この話の上にあるののさんの「理想」がどこにあるのか、つまり何が不満なのか
は良くわかりませんが、
強がりも含んでますが、100回書けば読み返せば必ず「もっとよくなると思うんだけどなあ」と思っちゃうので。これはでも比較的少ないかな、そういうとこが。
一年に一度か二度のフィーバー中なので、テンションが高いだけなのかもしれないけど。
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タイトル : Re: 一括レス
記事No : 226
投稿日 : 2004/08/11(Wed) 20:26
投稿者 : tamb
>>明確に気に入らないのは「今日はこの冬初の鍋に~」。「冬初」は何とかしたいよね。
>読み返したときに気づきました、確かにこれはよろしくないっす。
>しかし単純に「、」をいれれば済むのか、
「今日はこの冬、初の鍋にしようと思ってるんだけどさ」
いいと思う。ちょっと考えたけど、「冬」と「初」は離したくない。となれば他に手は
ないです。
例えば、
「今日はさ、この冬、初の鍋にしようと思ってるんだけど」
とかいう手はあるのかもしれないけれど。
>>ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。
>これは書く寸前まで読んでた「BANANA FISH(吉田秋生)」のマネですな(^^;
こういうケースでの返事は私的にも迷う部分でありまして、今のところは「うん?」
を多用してますが、もう少しまともな解があるような気もします。
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タイトル : Re^2: 一括レス
記事No : 236
投稿日 : 2004/08/12(Thu) 18:08
投稿者 : あいだ
>>ちょっと気に入らないのは「ン?」ですな。
>
>これは書く寸前まで読んでた「BANANA FISH(吉田秋生)」のマネですな(^^;
>
> こういうケースでの返事は私的にも迷う部分でありまして、今のところは「うん?」
> を多用してますが、もう少しまともな解があるような気もします。
これは私なら、「なに?」と返事させる所かな。
「ン?」とか「うん?」は綾波が柔らかくなってていいんだけど、でもどこか綾波ではない感じがしてしまうので。
私の中では、綾波はどこか人を寄せ付けない冷たさを外面に纏っているんですよね(^^:
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タイトル : Re^3: 一括レス
記事No : 238
投稿日 : 2004/08/12(Thu) 20:29
投稿者 : tamb
>これは私なら、「なに?」と返事させる所かな。
あ、レイの話だったっけ(爆)。彼女なら間違いなく「なに?」ですね、私も。
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タイトル : でだ。
記事No : 242
投稿日 : 2004/08/14(Sat) 00:20
投稿者 : のの <nono0203○po1.dti2.ne.jp>
「この冬初の」ってとこ。
もういっそ「今日の夕飯は鍋にしようと想ってるんだけど」
とかにしちゃったほうがいい気がしてきた(汗)
でもぼくのなかでは「初の」っていれることで具体的じゃないけどなんとなく12月だよってことを教えたかったりするんだよなあ。
ちなみに綾波さんが金欠なのはクリスマスプレゼントを買うお金を確保してあるからという裏設定があるのだから、それを言うには時機を逸しているな(爆)
んで、さっきまた全部読み返して修正個所を把握したんですが。
「ン?」
についてはもっといいのがあるなというのはあります。
所詮とってつけた人マネだしなあ(爆)
やっぱ「なに?」ですかな。一番レイらしい言い方になると。
この「想うということ」では話かたそのものはほとんど原作をスムーズにさせた程度のイメージなので、それがいいかもしれないです。
しかしそもそも「ねえ」って呼びかけたときにあんまり人の返答を待たないし、唐突に「ねえ」って話しかけられたらという理屈を言えば「ン?」でもかまわないような。しかし並んで歩いてんだから唐突でもないのか。
結局どっちだ?(汗)
でもたぶん「なに?」だな。
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タイトル : Re: でだ。
記事No : 243
投稿日 : 2004/08/14(Sat) 13:00
投稿者 : tamb
>「この冬初の」ってとこ。
>もういっそ「今日の夕飯は鍋にしようと想ってるんだけど」
「思う」ね(爆)。
これはこれでいいような気がします。「冬」と「初」をどうしても使うとなると悩ましい
んだけど。
「今日は初鍋にしようと思うんだけど」
「はつなべ?」
「この冬に初めての鍋ってこと」
とか会話でごまかすか。何かもう少しあるような気もするんだけど。
>やっぱ「なに?」ですかな。一番レイらしい言い方になると。
この話に合うかどうかはあれですが、ちょっとリナレイ化したるんるん(死語)レイ
ちゃんなら「はいはい」ってのも私はわりと好きです。