「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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罪と罰
投稿日
: 2009/05/31 00:00
投稿者
:
あいだ
参照先
:
【タイトル】罪と罰
【記事番号】-2147481860 (2147483647)
【 日時 】06/06/18 00:29
【 発言者 】あいだ
歩き出す。
あと少しで、黄金の輝きが顔を出す、その前に。
もう幾たび繰り返したのだろう。
治ってはかさぶたを剥がす、この無為な行為を。
自分に忘れることを禁じる。
誰が許しても、僕が許さない。
だからおまえは、安心して罰せられていいのだと。
そう自分に課す。
寒い。
吹き抜ける風が、容赦なく体温を奪っていく。
眼下に、凍てつきそうな白い波濤がいくつも見える。
コートの襟に叩かれる頬の痛みが、僕を思索から現実へと帰らせる。
こんな程度じゃダメだ。
失われていった体温の、冷たさはこんなものの比じゃなかった。
傍らにもう一人立っていた時の温もりを忘れることのないように。
空気の冷たさを我が身に刻みつける。
ここが君と共に歩いた、そして屈託のない笑顔を見た最後の場所だ。
何ヶ月かかったかな。
仕事の合間を縫って、覚えてる限りの全ての場所に、足を運んできたよ。
記憶を手繰るように、君が僕にくれたモノを、もう一度確認するために。
縁日の綿菓子を美味しそうに、宝物のように目を細めて食べていたね。
河原で、小さな野良犬を相手に、走り回っていたっけ。
蝶々の羽化を見るんだって、眠い目を擦りながら、朝まで話したよね。
どこまでも果てしなく見える砂丘を前に、呆然と二人して立ちすくんだね。
時々、日差しの下で、疲れたといって、木陰で休んだね。
なんでその時に僕は気付けなかったんだろう。
なんて僕は愚かで目の前の幸せしか見えてなかったんだろう。
少しずつ、出かけることが、少なくなっていったね。
僕はそれでも幸せだった。
時々、駄々っ子のように、遊びに行こう、って行ってしまって、本当にごめん。
幸せの形が変わっていくことに、恐れていたのかもしれない。
ごめんね、今日は外には行きたくないの。
そう言って本当に申し訳なさそうに目を伏せた君の姿に、僕は何も言い返せなかったけれど。
でもね、君と過ごせるなら、僕はそれだけで本当に幸せだったんだ。
樹海を、ほんの数十メートルだけ、探検したね。
怖がって、変なモノを見つけたらどうしよう、っていいながら、まるで子供のようにやめようとはしなかったね。
春に、お決まりの、花見にも行ったね。
満開の桜の下で、君の頬も微かに桜色に染まっていて、僕の胸がどれだけ高鳴ったか、判るかなあ?
誕生日、奮発して、ちょっと大きめのホテルのレストランで食事をしたね。
そっと渡したプレゼント。包みを開いて、驚いた顔。直後に溢れた大粒の涙。とても綺麗だった。
君は、さほど逞しくもない僕の腕が好きだったよね。
首から回した手で頭を撫でていると、くしゅ、ってはにかんだように笑いながら、子猫のように丸まって眠りに落ちていったね。
変な癖だ、って翌朝笑ったら、貴方だって私の人差し指だけ掴んで離さない癖に、って悪戯っぽく笑われたっけ。
デートのたびに、ほとんど一日中部屋にこもっていることにも、この頃にはもう慣れていたよ。
君が、朝日をみよう、って言い出した時には、だからびっくりしたんだ。
元旦に、初日の出。
なんてありきたりなイベント。
それが最後になるなんて、思いもしないで。
久しぶりのお出かけに、僕はただ無邪気に喜んでた。
少しずつ、闇が払拭されていく。
夜の帳が、開かれていく。
そして水平線の向こうに、輝く生命の息吹の色。
今年も一年、ヨロシクね、これからもずっと。
そう言って僕を見上げ。
今これを言うために、年が明けてもずっと黙ってたんだから。
君は照れくさそうに笑ったね。
そしてそれが、君の最後の、曇りのない笑顔だった。
膝から崩れ落ちていく。ゆっくりと、スローモーションのように。
トサ。
軽い、乾いた音を立てて、生命の象徴が勢いを増すのと引き換えに大地に這う君を、僕は唖然として見ていた。
真白な病室の中で、ただただ衰弱していく。
点滴と、検査の日々。
それでも、僕の顔を見るたびに、無理して微笑んでたね。
僕はそれを見たくなくて、だけど、逃げることも出来なくて、幾たびも足を運んだよ。
正直恨まなかったと言えば嘘になる。
もっと早く何故教えてくれなかったのかと。
教えて貰っていたら・・・僕は何が出来たのかな。
でも、今なら、少しだけ判る。
心配させたくないとかじゃなく、ただ幸せな時間を、自分の胸の中に刻みたかったのだと。
利己的で、まっすぐで、否定することの出来ないその思い。
若芽の萌える頃、この世界とサヨナラをしたね。
握りしめた手からすぅっと力が抜けていき、心電図がフラットを示す。
・・・まだ、こんなに暖かいのに!
次に君に出会った時には、もう身体は冷えきってた。
信じられなくて、そっと手を取って、何度もさすってみた。
僕から君に移った体温は、すぐに空気に奪われて。
涙が溢れた。
君の後ろ姿を追いかけたこの数ヶ月の旅も、ここで終わる。
だけど、僕は僕を許さない。
大事なものを見ているようでただ幸せに甘えていただけの僕を。
罪と、罰。
生涯君を忘れない。
忘れそうになる前に、この身を刻むよ。想い出の刃で。
君が幸せを胸に刻みつけた、その方法で。
これは君への最後の約束。
――僕は君を
一生愛しています――
---------------------
はてさて、ごめんなさいー(逃げ腰
プロットはあって、エヴァにするかオリジナルにするか迷った挙げ句、オリジナルで書いたものを投下してみます。
(え、罪ですか、そうですか。。。
まずかったら削除しますんで、仰ってください>tambさん
とりあえず、生存証明までに。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481859 (-2147481860)
【 日時 】06/06/18 01:03
【 発言者 】なお。
ただ一言、すっげー。
> 握りしめた手からすぅっと力が抜けていき、心電図がフラットを示す。
> ・・・まだ、こんなに暖かいのに!
これなー。実際だったらたまらんだろうな。
もう意識なくて、手を繋いでも握り返してはくれなくて、生命維持装置を外された瞬間から、ただただ冷たくなっていく様を感じるだけでも酷なのに、途切れる瞬間がわかっちゃうんだよ。壊れちゃうよね、普通。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481856 (-2147481860)
【 日時 】06/06/24 00:26
【 発言者 】あいだ
なお。さん、いつもなお。さんの姿勢には頭が下がります。
全ての作品に、きちんとコメントを付けていく、その姿勢に。
もちろん、その分析力も私の羨むところではありますが。
ぶっちゃけですね、これ、だいぶ前にミクシィで公開したヤツなんですが、その時にオリジナルとして書く事になったんですね。
だから、プロットはあっても、その場所ではエヴァでは書けなかった、って言うのが正しいですけども^^;
その時からは、改行と、僅かな修正しか入れていないので、割と当時のままです。
新作ではない事を書くのを忘れてたのは申し訳ありません。
生存証明として何か投下したかったもので。。。
しかもエヴァじゃないので、どんな言葉も受け入れます、はい。。
>壊れちゃうよね、普通。
壊れるでしょうね。関係ない話ですが、「泣ける○ちゃんねる」とかの泣き系まとめサイトとか読んでても、体験を読んでいるだけの私ですら、涙が溢れてきますもん。
現実を目の前にして、最愛の人を亡くしたら、どうなる事か。。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481855 (-2147481860)
【 日時 】06/06/25 03:29
【 発言者 】クロミツ
>エヴァにするかオリジナルにするか迷った挙げ句、オリジナルで書いたものを投下してみます。
>
オリジナルと言われても、やはり、ココに書かれるとどうしても ”あの”二人を連想してしまうわけで。^^;)
悲しい御話ですが、僕はこういう話もけっこう好きです。
ただ、あまり『僕』に対しての『罰』という印象は受けなかったんですよね。彼にとって最大の悲劇だったことは間違い
ないんだろうけど、どこか過ぎてしまった事のようで。
>忘れそうになる前に、この身を刻むよ。想い出の刃で。
たぶんこの一文が、そう感じた原因かもしれない。放っておいたら忘れるの?みたいな。
『罪』の部分としては、彼女はもともと病弱だったんだろうか、一度も大病を患ったことのない人が
急な病に襲われたんだろうか、彼女は自分の死期を、いつ頃から予兆していたんだろうか、などという
点が気になりました。
もちろんこれは書かれて無い部分なので、想像するしかないんですけど、
>プロットはあって、
>
知りたいです。とっても(爆)
【タイトル】Re: 罪と罰論考1
【記事番号】-2147481844 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:07
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
以下はあいださんの「罪と罰」に関する論考ですが、あまりにも長くなりすぎたので、
ダイジェスト版としてお送りいたします(笑)。それでもクソ長いぜ。
めんどくさい人は最期の段落だけ読めばOK。
小説には大きく三つの要素がある。世界、物語、キャラである。作家性を加えて四つに
してもいいかもしれないが、それはまあいいだろう。
基本的に世界とキャラは表裏一体である。つまり、綾波レイがいるならセカンドインパ
クトがあってエヴァのある(あった)世界であるということである。基本的にというから
には例外があるということで、つまり異世界ものである。これについてはスペースの関係
上省略させて頂く。
何を以て二次創作と見なすかというのは、非常に難しい問題である。
プロットがあって、二次創作にするかオリジナルにするか迷うというのはどういうこと
か。あいださんは「エヴァにするかオリジナルにするか迷った挙げ句」と書いているので、
ここではストレートに捉え、世界としてエヴァか、それともオリジナルか、の選択を迷っ
たものと考える。
世界としてエヴァかオリジナルかを迷うということは、どちらがベストかの迷いがある
ということで、逆に言えばどちらでも成立するということだ。成立しないことが明らかな
ら迷う余地はない(成立しているのかどうか悩むという可能性はある)。
例えばだ。男の子が女の子を部屋に連れ込んで押し倒したら親父に見つかって怒鳴られ
た、などという話があったとしよう。この男の子がシンジで女の子がレイなら、それだけ
で意味を見いだすことができる。親父というのはゲンドウであろうし、これがサードイン
パクト後なら、シンジ君頑張ってるしレイちゃんも元気でと思わず涙する。
これが例えば、そうだな、薫君と由美ちゃんだったりしたら(元ネタのわかる奴はいる
か?)、誰なんだそいつらってところから話を始めなければ成立しない。これがオリジナ
ルな世界だ。
簡単に言えば、物語に世界を当てるのか、世界に物語を当てるのかということだ。
今回の場合、エヴァかオリジナルか迷った、つまり世界をどうするか迷ったということ
だから、物語は世界に依存しないということである。では、世界に依存しない物語とは何
か。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰論考2
【記事番号】-2147481843 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:08
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
作品を受け止めようとするとき、正反対の立場がある。
ひとつはキャラに思い入れてしまうという見方で、もうひとつは物語やメッセージ性を
正面から受け止める見方である。
実際には無数の中間点があり、うまくバランスを取っている人の方が多いだろう。
二次創作などしようとするのはどっちのタイプ、という傾向は、そんなにはないように
思える。どちらにしても過剰になっていることに間違いはない。
私はと言えば、残念ながらと言うべきか、やはりキャラに思い入れてしまっていると言
わざるを得ない。物語のメッセージはそれなりに受け止めているつもりだが(それなりに、
という注は入れざるを得ないのだが)、綾波レイに対する思い入れが過剰なのだ。物語の
メッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。私は綾波レイが不幸にな
ることに耐えられない。厳密に言えば、幸福を追おうとしない彼女に苛立つ。その意味で
私は間違いなくオタクである。
エヴァンゲリオンという物語のメッセージは、当然だがそんな部分にはない。物語全体
のメッセージの中にあって、例えば登場人物の死そのものはそう大きな問題ではない。登
場人物の死が意味するものが大きいのだ。従ってより重要なのは、登場人物の死(あるい
は生)にどのような意味が付与されているか、それをどう受け止めるのか、ということだ
(これはエヴァに限った話ではない)。
こういう立場に立つ二次創作作家は少なくない。というより、優れていると言われてい
る作品を書いている作家はほとんどこのスタンスのように思える。
物語を正面から受け止め、そのメッセージを反復することは、二次創作作品として重要
な要素である。それがなければ、単にキャラの名前が同じであるという以上の意味がない
からである。
一方、例えばレイとシンジをひたすらくっつけているようなケース。そんなんエヴァで
やんなくてもいいじゃん、といったような批判を浴びがちである。やたらとラヴラヴして
るだけなら他でやれと。私もそういう批判を受けたことがある。だが私は単にラヴラヴし
てる話を書きたいのではなく、シンジとレイがラヴラヴしてる話を書きたいのである。つ
まりオリジナル作品化すると意味を失うのだ。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰論考3
【記事番号】-2147481842 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:08
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
そろそろ頭が混乱してきたと思われるので、結論を書こう。
メッセージそのものは世界に依存せず、普遍的に成立し得る。エヴァの影響下にあるオ
リジナル作品という存在を認めるならば、ある作品が二次創作と言うべきかどうかは、そ
の世界がエヴァンゲリオンの世界かどうかに依存する。
暴論である(爆)。だがこれ以外の結論は、理論的に導き得ないように思われる。つまり
私は、あるエヴァっぽい作品の登場人物の名前をシンジなりレイなりに変えても即二次創
作にはならないという立場を、現時点では取るということである。念のために言っておく
が、それがオリジナルか二次創作かは作品の優劣とは何ら関係がない。
ということは、だ。
繰り返しになるが、あいださんが「エヴァかオリジナルか迷った」ということは、あい
ださんはエヴァから「罪と罰」のようなメッセージを受け取ったということになる。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰論考4
【記事番号】-2147481841 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:09
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
「僕」は何を何故「罪」だと感じているのか、それは、
>なんでその時に僕は気付けなかったんだろう。
に尽きると思う。気付いたら何か変わったかどうかは、恐らく問題ではない。「君が幸
せを胸に刻みつけた、その方法」を選択したのと同様に、「想い出の刃で」「この身を刻
む」ことによってのみ、「僕」は生きていけるのだから。
この話の途方もないやり切れなさは、ここにある。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481840 (-2147481860)
【 日時 】06/06/28 21:23
【 発言者 】あいだ
◆クロミツさん
>オリジナルと言われても、やはり、ココに書かれるとどうしても ”あの”二人を連想してしまうわけで。^^;)
仰る通り(笑)
哀しいかな、自身がエヴァ者なので、ネタ -> プロット化の際には、どうしてもあの二人を意識せずにはいられないわけで^^;
プロットの段階ではエヴァ色が強いですが、オリジナルとして描く際には削ったつもりなんですけどね(笑)
>ただ、あまり『僕』に対しての『罰』という印象は受けなかったんですよね。彼にとって最大の悲劇だったことは間違いないんだろうけど、どこか過ぎてしまった事のようで。
ここは力不足を認めざるを得ませんね。
あえて説明すると、
>>忘れそうになる前に、この身を刻むよ。想い出の刃で。
>たぶんこの一文が、そう感じた原因かもしれない。放っておいたら忘れるの?みたいな。
この部分が説明不足だったかと。
人の記憶は曖昧なもので、どうやっても記憶は風化していくし、日常の出来事の中で、出会いの中で、埋没していくものだと私は思っています。
そうやって忘れていくのが当然な人間の性に抗うように、楽しい時間に出会うたびに、「彼女と過ごした時間を思い出す」事を自分に課している、それは罰に等しいと思うのです。
うーん、うまく言えないなぁ。。
> 『罪』の部分としては、彼女はもともと病弱だったんだろうか、一度も大病を患ったことのない人が
>急な病に襲われたんだろうか、彼女は自分の死期を、いつ頃から予兆していたんだろうか、などという
>点が気になりました。
これはエヴァで描くなら、間違いなく描いてたでしょうね。
「僕」サイドだけではなく、「私(女性)」サイドの視点も込みで、3部作ぐらい。(予想
今の5~10倍ぐらいの分量にはなるはず。
◆tambさん
とてつもなくお仕事がお忙しいであろう時に、こんな分量の文章を書いてくださってもうホントに恐縮です(縮
▽罪と罰論考1について。
>世界としてエヴァか、それともオリジナルか、の選択を迷ったものと考える。
ニアリーイコールであるかどうか、と言う判断は人それぞれ異なるし難しいところだと思いますが、正確に言うなら、罪を体現する人間と、罪を背負い罰を体現する人間の二人に、エヴァでいう綾波とシンジを当てはめるか、オリジナルな「女性」と「僕」を当てはめるか、に迷ったというのが正しいかも知れません。これを同じだという人もいれば全然違うという人もいるだろう事は横に置いておきます。
> 簡単に言えば、物語に世界を当てるのか、世界に物語を当てるのかということだ。
これは間違いなく私は前者です。ただし当てる世界がエヴァである場合がほとんどなだけで(笑)
▽罪と罰論考2について。
> ひとつはキャラに思い入れてしまうという見方で、もうひとつは物語やメッセージ性を正面から受け止める見方である。
tambさんは「物語のメッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。」と仰られたが、私はまるで反対で、「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは体験して貰いたい何か」を描く。
良い悪いでも優劣でも敵味方でもなんでもなく、スタンスの違いは厳然としてあり、しかしそれは相容れないものでもないのはアヤナミスト故か。
ちなみに、前述の「物語に世界を当てる」と正反対の事を言ってるじゃないか、と思われる方もおられると思いますが、両方すなわち「物語に世界を当てる」事と「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは体験して貰いたい何か」を描く事は等量なのだと思って頂ければ幸いです。しかし等量だからといって、「世界に物語を当てる」「物語のメッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。」にはなり得ない事は明言致します。
▽罪と罰論考3について。
この段はもはや語る必要もないほどに絶妙。
▽罪と罰論考4について。
まさしくそこが全てです。
故に、プロットの段階では暗黙的にシンジであり、綾波であったわけですが、形にする段に於いてオリジナルとして表現するしか道はなく、しかしそれはねじ曲げることなくオリジナルに収まっています。(あくまで自分の中では、という注釈が付きますが。
読み手の体験や感覚から、「罪」と「罰」の重みは変わってくると思いますが、シンジというキャラを中核に据えるならば、まさしく彼はこの役柄にふさわしい、自分を傷つけることでのみ生きられる人物なのだと。
これを反転するならば、オリジナルとして描くに当たって、明確に足りなかったのは、「僕」の人為を説明し切れていない事であると、言えるかも知れません。
長々と書いてきましたが、こうして読んで頂けて、なおかつ反応が頂ける、これに勝る喜びは無いと思いました。
故に、我々は幾たびと無くキーボードに向かい、頭を掻きむしりながらいくばくかの文を物するのかも知れません。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481836 (-2147481860)
【 日時 】06/06/29 19:42
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
思うところはあるんでレスは書きますが、とりあえずなお。さんの論評を待ってみようかなと思ってみたり(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481835 (-2147481860)
【 日時 】06/06/30 23:34
【 発言者 】なお。
論評ってほどのもんじゃないですけど。
■ オリジナルかそうでないか。
私もそうだったのですが、彼と彼女に見えてしまうのは、そうでないという要素が
見えにくいからだと思います。
エヴァという作品ですけど、設定は近未来です。今となっては携帯の液晶が小さかっ
たりモノクロだったり、シンジの使っている携帯プレーヤーがDATだったりと逆に古
くも見えてしまいますが、基本的には現代の日本と差ほど変わりがありません。
で、この話の場合。登場人物は若者らしき男女。そして特別な個性(外見だけでな
く話し言葉などにも)はないが、どちらかというとおとなしめの性格っぽい。それに
内罰的である。回想はあれどこれといった背景はないからイメージするなら現代の日
本もしくはそれに準じた世界になるでしょう。
それで読んだ私達がどう思ったかとなると、ここに(綾幸)来ているからには彼と
彼女が好きなわけで、だからそう思ってしまうし、見てしまうのもある意味仕方がな
い。楽しむという上でも結び付けた方が感情移入もしやすいし。
だから後にオリジナルと言われても「あっ、そうだったんだ」ってくらいで、別に
彼と彼女の話しでもいいんじゃないかとも思ってしまう訳ですな。李下に冠を整さず
とも言いますから、オリジナルであってそう見て欲しいなら最初に断っておかなかっ
たのがそもそもの失敗なんです。余計なツッコミが増えてしまうのも、仕方のない事
でしょうなw
でもね。
> しかもエヴァじゃないので、どんな言葉も受け入れます、はい。。
とあるので、むしろ望んでいるんだと思います(エ
■ 物語について。
この彼は、彼女を失った悲しみを背負って生きていきたいんだと思う。悲しいよ、
悲しいよ、と嘆いているのは、悲しければ悲しいだけ、いなくなってしまった彼女に
対する愛の深さの証明になるからだ。要するに追悼ですよ。
ただ端からみると少々病的ではあります。罪とか罰とか刃とか。それはまだ彼女の
死を冷静に受け入れていないからとも推測出来てしまう。そうでないとしたら、やは
り病的な精神の持ち主である。放っておけば僕もそっちに行くよ、となってもおかし
くない。悲しいくせに妙に冷静なんだよね。
で、さらに思ったんだけど。
> 君の後ろ姿を追いかけたこの数ヶ月の旅も、ここで終わる。
> だけど、僕は僕を許さない。
> 大事なものを見ているようでただ幸せに甘えていただけの僕を。
この旅ってさ、死ににいったんじゃないの? 状況としたらそうなんですよ、これっ
て。死んだら忘れなくて済むんだよ。
でもさ、死に切れなくって自分を許せなかったとかね。また死のうと思った自分も
許せなかったりとか。だったら忘れないように身を斬る憶いに浸りながら生きていこ
うって決めたようなね。
だから一番最初の『 歩き出す。』
これが生を意味しているように思えたの。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481834 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 00:45
【 発言者 】あいだ
◆tambさん
何を思ったのか判りませんが、怖いなぁ(笑)
◆なお。さん
二度目のレス有り難うございます^^;
> だから後にオリジナルと言われても「あっ、そうだったんだ」ってくらいで、別に
>彼と彼女の話しでもいいんじゃないかとも思ってしまう訳ですな。
コレ関連。
うむ、別にこう読んで欲しい、というのは無いのですよ。(エヴァかオリジナルかという点について)
読み手がそう思った通りでいいと思うのですね。
作者にとってのそれはオリジナルであるだけで、受け手がどう捉えようとそれは自由だと思うわけです。
ある意味これは突き放しであり、見方によっては裏切りとも取れる話だけども、そもそも物語等というものに
答えはなくて、皆がどう感じたか、それだけが全てなワケで。
だから、失敗ではなく、またツッコミも全然OKなわけです。
>■ 物語について。
そも、彼は何を望んでいるのか。
書き手としての回答ではなく、一つの見方として。
読み手の人の数だけ、いろんな見方があると思うのですよー。
彼は、きっと、まずもって記憶を整理したかったのだ。整理とはいらないものを捨てることではなく、
出来事全てに順番とタグを付ける、そんな行為。
「君」として語られる存在の、全てを忘れないために。間違わないために。
生きることに一歩も引かなかった「君」のためには、彼が死を選ぶことは考えられない。
死を選ぶならば、足跡を辿る意味がないから。
生きることは時間の積み重ねで苦痛だが、その記憶だけを追想して生きることは、人生に於いては叶わぬ夢。
楽しかったことだけを繰り返して何が悪いんだ、と叫んだシンジも、大人になればそれだけではないことを知るだろう。
いやが応にも世界と関わっていく中で積み重ねられる時間はすなわち堆積する記憶。
故に、生からは逃れられず、ただただ記憶が埋没していくことが事が怖くて、忘れ得ぬ術を模索した結果が。
記憶を整理し、いつでも取り出せる状態に置いておくこと。
想い出の刃で、身を刻むこと。
なのだろうなと思うわけです。
> だから一番最初の『 歩き出す。』
> これが生を意味しているように思えたの。
それはきっと、生そのものですよ。
廃人にならないように生きるために、生きるための方法を身につけおわった瞬間です。
しかし、こうやって私がここに何度も顔を出してごちゃごちゃ書くのって、プロの場合後書きで語る、に
相当する行為だと思うのだけど、普通プロだと忌避される行為だよな。
でも私はプロじゃないからいいのだろうか。
おい、語り手としての矜持はどうなんだ、とか色々問題があるような気もするけど、非論理思考のクセに
議論するのは好きだったりするので、これは作者としての発言ではなく、一視聴者としての発言と言う事で
受け取ってもらうか(爆)
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481833 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 11:28
【 発言者 】なお。
> 生きることに一歩も引かなかった「君」のためには、彼が死を選ぶことは考えられない。
これが最終的な結論だとすると、私の考えと一致します。
しかし次が違う。
> 死を選ぶならば、足跡を辿る意味がないから。
ほんとうに意味はないのでしょうか。確かに後を追うならそんなことしないで(どうせあ
の世で逢えるのだから)早い方がいいって考え方もできるかもしれないけど、最後に思い出
に浸りたいという気持ちになったり、思い出の地を死地に選ぶという発想もできると思うん
ですよね。
この考え方の違いは解釈の違いになってきます。
>生きることは時間の積み重ねで苦痛だが、その記憶だけを追想して生きることは、人生に
>於いては叶わぬ夢。
これ、『よつばと!』という漫画で子供の『よつば』が歌ってました。『僕らはみんな、
生きている。生きているから、つらいんだ』って。まさにそのとおり。
>楽しかったことだけを繰り返して何が悪いんだ、と叫んだシンジも、大人になればそれだ
>けではないことを知るだろう。
これはちょっと読めませんでした。楽しかったことだけを繰り返しているというのがいつ
の時点ことを差すのかわかりません。思い出を振り返る旅の最中ことをいっているのでしょ
うか?
これは辛い作業だと思ったのだけれど、思いを固めるまでは楽しかった思い出に逃げて浸っ
ていたという事にもなります。覚悟が違えば自分を傷つけない。彼女の死を受け入れずに閉
じこもっていた状態ともいえます。
そもそもシンジと限定して書いてあるので、この物語とは直接関係のない事を言っている
のかもしれませんね。彼女の死を乗り越え子供だった自分から一つ成長したという話だった
なら、心に刻みつける作業を介さなくともいずれ思い出として一生残るものへと変化し、彼
女の存在に頼らなくとも生きていけるように、もう一段の成長ができますようにと願ってし
まいます。
> 記憶を整理し、いつでも取り出せる状態に置いておくこと。
これは思い出をスクラップしていたって事で、旅はその作業の資料集めだったということ
ですね。
> 廃人にならないように生きるために、生きるための方法を身につけおわった瞬間です。
こうなると病的だというのは否定できなくなります。精神的なものだけどやっているのは
自傷行為。思い出しては傷付いてしまう、かといって忘れたいわけではない。というのが普
通のところ、わざわざ傷付くように思い出すのですから。
思い出に浸りたいだけならそういう事もあるでしょうが、一生そうしていこうとしてます。
一時の感情に任せた完遂できると信じた覚悟。それも若さ故といったところでしょうか。
猟奇的な話だけど愛した人の死体をミイラにしていつまでも手元に置いていたって人がい
ました。これって自殺とは逆の発想なんですよね。自分が逝くか、相手を引き止めるか。こ
の話の主人公もエスカレートするとそれに近いものの匂いがしてくるんです。今に本当に傷
をつけていくんじゃないかって。流れる血を見ては喜ぶんですよ。恐いけどこれも愛なんで
す。
この話の30年40年後、彼がどういう考えをしているか知りたい。もしくは振り返って
考えた話とかをね。色褪せた心のスクラップを開きながら、というのが理想だけど、実はまっ
たく色褪せていない、あのときのまま新品のスクラップブックを抱えていたり、なんてのも
気持ち悪くて面白いかもしれない。
エヴァじゃないってことだけど、エヴァだったとしたらゲンドウの言葉と対比させて欲し
いとか思った。「人は思い出を忘れる事で生きていける~」ってやつ。これは外せない。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481829 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 12:54
【 発言者 】あいだ
>思い出の地を死地に選ぶという発想もできると思うんですよね。
コレならば、全部を辿る必要はなくて、最後の彼女の微笑みだけを胸に、逝くような気もします。
つまり、逝くべきは最後の地だけでいいんじゃないかと。
> そもそもシンジと限定して書いてあるので、この物語とは直接関係のない事を言っている
>のかもしれませんね。
イエス、その通り。前段の「想い出にのみ浸っては生きていけない」を補強するために使っています。
>もう一段の成長ができますようにと願ってしまいます。
私も願います。彼が新しい境地にたどり着いてくれることを。
> 思い出に浸りたいだけならそういう事もあるでしょうが、一生そうしていこうとしてます。
>一時の感情に任せた完遂できると信じた覚悟。それも若さ故といったところでしょうか。
若さ故かな。どうだろう。今私に恋人がいて、それを失ったなら、多分同じ気持ちなんじゃないだろうか。
私が若いかオッサンかは意見の分かれるところだと思うけれど(笑)
なんにしても、一時の感情にまかせた覚悟である、という指摘は、多分正しい。
> この話の30年40年後、彼がどういう考えをしているか知りたい。もしくは振り返って
>考えた話とかをね。色褪せた心のスクラップを開きながら、というのが理想だけど、実はまっ
>たく色褪せていない、あのときのまま新品のスクラップブックを抱えていたり、なんてのも
>気持ち悪くて面白いかもしれない。
面白いね。これはいつか書いてみてもいいかもしれない。
今は多分書けないかな。現在進行形で彼に感情移入してるし。
書き手が登場人物に感情移入してるのはどうなんだろう、とは思うが。
> エヴァじゃないってことだけど、エヴァだったとしたらゲンドウの言葉と対比させて欲し
>いとか思った。「人は思い出を忘れる事で生きていける~」ってやつ。これは外せない。
うはw
これもものすごく面白そうではあるw
エヴァで同じテーマでフルスケールで書き直してみたい気がしてきた(笑)
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481827 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 20:53
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>罪を体現する人間と、罪を背負い罰を体現する人間の二人に、エヴァでいう綾波とシンジ
>を当てはめるか、オリジナルな「女性」と「僕」を当てはめるか
私の理屈では(笑)、「本的に世界とキャラは表裏一体である。つまり、綾波レイがいる
ならセカンドインパクトがあってエヴァのある(あった)世界であるということである」
ということなので、やはり
>>世界としてエヴァか、それともオリジナルか、の選択を迷ったものと考える。
ということになります。
>tambさんは「物語のメッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。」
>と仰られたが、私はまるで反対で、「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、
>或いは体験して貰いたい何か」を描く。
この辺は良くわからなかったり。
私の論考2を読み返すと確かにわかりにくいんだけど(^^;)、「物語に世界を当てる」
というのは、あるストーリーがあった時に(例えば男の子が女の子を部屋に連れ込んで押
し倒す)、それをエヴァの世界にするか、それともオリジナルな世界にするか考えるとい
うことで、「世界に物語を当てる」というのは、まずエヴァの世界があって、その中でス
トーリーを考えるということ。のつもりで書いた。
つまり、前述の私の理屈を踏まえると、綾波レイに「感じて貰いたい」何かを書くので
あれば、それはエヴァ世界で書く以外に方法はないということになる。つまり
>「物語に世界を当てる」事と「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは
>体験して貰いたい何か」を描く事は等量
にはなり得ない。どこかに解釈のすれ違いがある。
と思ったんだけど(^^;)、主軸はあくまでも「感じてもらいたい何か」であって、それ
を物語の中で綾波レイ以外の人物に感じさせるという選択肢は当然あるわな。つまり彼女
に感じて欲しいことが書いてある小説を彼女に差し出すというか、いわゆる「綾なんでる
小説」ってことになるんだろうけど、そういうこと?
>▽罪と罰論考3について。
>この段はもはや語る必要もないほどに絶妙。
ありがとうございます(笑)。ただ、ひっくり返しますが、基本的には作者が「これは二
次」と言えばそれでいいんだとも思います(爆)。作者的に二次であればそれは二次。でも
私はそれを二次とは思わない、と。つまり商業出版もされたあの作品は私的には二次では
ないということになるんですが、内容をちゃんと覚えてないのでこれ以上は何とも言えな
いというか、言う資格がない、と。じゃあ言うなと。すいません。
さて。
>ここに(綾幸)来ているからには彼と彼女が好きなわけで、だからそう思ってしまうし
これは割と普遍的にあることです。どんな小説にも綾波を見てしまうというのは(爆)。
まぁ冗談はともかく、やはりここに投下されたということを考えればそれが普通でしょう
ね。たとえそれが生存証明であってもね。
ついでに書いておくと、山川健一という作家の「真夏のニール」はモロにエヴァ。この
人は雑誌上で二次創作を書けみたいなことを言ってた人なんだけど、これを読んだ時は戦
慄した。間違いなくオリジナルなんだけど、魂はエヴァだと思った。出版は1988年なんで、
エヴァ以前。「山川健一の100字レビュー」
(
http://www.tabibun.net/review/jy/yamakawa2.html
)によれば、
「巨大なシェルターのようなニュー・シティで生存のために実験が繰り返される。動植物
をコントロールし、人の精神を管理する。記憶を消去されたサヤカを愛し彼女との融合を
求める男。魂の源泉に踏み込んだ傑作SF長編。」
というような話。ちなみに絶版(爆)。
物語についてだけど、
> この彼は、彼女を失った悲しみを背負って生きていきたいんだと思う。悲しいよ、
>悲しいよ、と嘆いているのは、悲しければ悲しいだけ、いなくなってしまった彼女に
>対する愛の深さの証明になるからだ。要するに追悼ですよ。
やっぱりそうなんだろうと思う。論考4でも書いたように、そうじゃないと生きていけ
ない。
ただこの生き方には、そういう生き方を選んだことに対して彼女はどう思うか、という
視点が決定的に欠ける。つまり彼の中で彼女は生きていない。
> 猟奇的な話だけど愛した人の死体をミイラにしていつまでも手元に置いていたって人がい
>ました。これって自殺とは逆の発想なんですよね。
ちょっと話がずれるんだけど、喰ってしまうという発想がありますよね。自分の血肉と
して一緒に生きていこうという発想。
蛇足。
>うむ、別にこう読んで欲しい、というのは無いのですよ。
こういう意見は良くあって、この掲示板でもそういうことが書かれたことはあったし、
一般的にも言われてたりします。上記引用は恣意的で(笑)、直後に
>エヴァかオリジナルかという点について
と書いてあるので事情は全く違う、ということは念頭に置いて欲しいんですが、つまり
あいださんを批判するわけではないんですが、作者自らがそう言ってしまうと、じゃあ何
を書きたかったの? と思うわけです。何か伝えたいことがあってそう書いたんじゃない
のかと。
>読み手の人の数だけ、いろんな見方があると思うのですよー。
これは一般論としてその通りでしょう。
>プロの場合後書きで語る、に
>相当する行為だと思うのだけど、普通プロだと忌避される行為だよな。
>でも私はプロじゃないからいいのだろうか。
プロじゃないからいいんです(笑)。というか、プロというからにはそれで喰ってるわけ
で、作品で伝えることで生きてるわけです。それが作品のみで伝わらなかったとすれば、
それはプロと呼ぶにふさわしい技量を持っていなかったということですから、あれこれ弁
解しながらひたすら恥じ入ればいい、と。
まぁでも一昔以上前の純文学の世界では、作家と文芸評論家が雑誌上で対談して作品の
解釈を巡って対立したり決別したりしてたみたいですから、何でもいいんじゃないでしょ
うか(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481825 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 21:33
【 発言者 】なお。
> 何か伝えたいことがあってそう書いたんじゃないのかと。
背景に左右されないストーリーというのもあっていいと思います。正しくは、
与えすぎない、で、それは不足とも取れるでしょう。
しかし共感するにはかえってそのほうがいい場合もあるでしょう。彼、または
彼女を自分に置き換えて物語りを読むには余計な情報がない方が都合がいいだろ
うという考えです。
これは言わば、彼と彼女をシンジとレイに置き換えても構わない、そうあいだ
さんは仰りたいのであって、そう考えているのでしょう。あいださん自身も共感
してるというところからも、敢えてエヴァという世界を与えなかったとも考えら
れます。
> 喰ってしまうという発想がありますよね。自分の血肉として一緒に生きていこ
> うという発想。
ミイラにせよ食人にせよ、宗教的な行事として世界に存在したことは、たぶん
間違いないわけで……
> 後書きで語る
ガンガン行きましょうよ。そもそもそういう場なんだし。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481824 (-2147481860)
【 日時 】06/07/03 01:35
【 発言者 】あいだ
◆tambさん
うぅん、確かのどこかに解釈のズレがあるような気はします。
が、あえて押し通すなら、
「感じて貰いたい何か」とは思いついたネタであり、それは基本的には綾波レイという少女に感じて貰うことが多い。
しかし、今回のように綾波レイのためのネタとして温存するか、使ってしまうか、というところで迷わざるを得ない場合も当然私に限らずあるだろうと思う。
それとは別に、綾波レイがいて、彼女のために物語をひねり出すのではなく、物語があって、それを感じて欲しいから書く、ということには代わりがないのです。
ラブラブして欲しいからとにかく書こう、は私のスタンスにはないので。
これはネタ或いはプロット以前の段階の話で、綾波レイのための物語を書くと決めたならば、エヴァ世界以外にない事には同意。
うまく言えないけど、物語(ネタ)ありき、で始まり、それを綾波に感じて欲しい何かであるならば綾波に感じてもらう、という流れであり、
綾波がいるから綾波のための物語をひねり出そう、ではない、ということなんだけど、これも何か論点がずれている気もします。
うぅん、困った。
これに関しては一旦投げ返し(笑)
>作者自らがそう言ってしまうと、じゃあ何を書きたかったの? と思うわけです。何か伝えたいことがあってそう書いたんじゃないのかと。
いやいや、こう読んで欲しい、というのはない、というのは、エヴァとして読んで欲しい/オリジナルとして読んで欲しい、というのはない、という意味ですよ。
主軸自体はあって、それを伝えたいとは思って書いているけれど、それが綺麗に伝わらないのは力量の問題であって、こう読め、通し付けるものでもない、という意味も含めてはいますが。
>上記引用は恣意的で(笑)
と仰ってますから、理解した上での話みたいなんでだからどうというわけではないんですが(笑)
◆なお。さん
> これは言わば、彼と彼女をシンジとレイに置き換えても構わない、そうあいだ
>さんは仰りたいのであって、そう考えているのでしょう。
イエス、その通りです。
受け取り方は自由なのですよー。書き手にとっての二次と読み手にとっての二次が違うのはtambさんも示した通り。
いや、御大と同列に語るつもりはなくて、気持ちの上で。。(笑)
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481819 (-2147481860)
【 日時 】06/07/03 14:10
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
てすと
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481819 (-2147481860)
【 日時 】06/07/03 20:18
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>「感じて貰いたい何か」とは思いついたネタであり、それは基本的には綾波レイという
>少女に感じて貰うことが多い。
――後略――
であるならば、「物語に世界を当てる」ということでいいんだと思います。そのネタは、
綾波レイに感じてもらうか、他の誰かに感じてもらうか考えるわけですから。
だから、これは文章の解釈の問題なんだけど、
>「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは体験して貰いたい何か」
ではなくて、「誰かに感じてもらいたい、或いは体験して貰いたい何かがあって、そこ
に綾波レイがいる」のではないかと思います。もう少し書くと、「エヴァという物語の中
に、誰かに感じてもらいたい、或いは体験して貰いたい何かがあって、そこに綾波レイが
いる」かなと。つまりエヴァという物語から受け取ったことを再度物語にするにあたって、
そのまま綾波レイをそこに置かず、他の誰かに感じさせるという場合を想定するという意
味で一度断絶させるわけですよね。
ここまでで間違いなければ、
>うまく言えないけど、物語(ネタ)ありき、で始まり、それを綾波に感じて欲しい何かであ
>るならば綾波に感じてもらう、という流れであり、
>綾波がいるから綾波のための物語をひねり出そう、ではない、ということなんだけど、こ
>れも何か論点がずれている気もします。
たぶんずれてないです。簡単に言ってしまえば、あるネタがあって、それを綾波レイに
感じさせるかそうでないかの判断があるということですよね。それは世界を選択するとい
うことで、即ち物語に世界を当てるということですから。
ということであれば、上の方であいださんが書いた通り、私とあいださんは正反対です。
私は綾波レイに感じて欲しいことを書くのであって、そうでなければ意味がない。最初に
物語(ネタ)ありきではなく、最初に綾波レイありきなのです。
まさにキャラ萌え(爆)。
>>上記引用は恣意的で(笑)
>と仰ってますから、理解した上での話みたいなんでだからどうというわけではないんですが(笑)
そういうことです(笑)。
もっと言えば、この話が仮に二次であったとしても、物語の持つメッセージは変わらない
ので、作者的にどう読んでもらっても構わないというスタンスに立つのは当然です。が、
これが二次だとすると、なんでレイが死ぬんじゃゴルァとかいうノイズが入る可能性が高
まるわけです(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481818 (-2147481860)
【 日時 】06/07/04 09:34
【 発言者 】あいだ
おお。なんだか話が綺麗に収束した(笑)
全文にわたって異論は特にありません。
一つ付け加えるならば、私のエヴァSSの原点(初めて読んだとかではなく、SSを書こうと思った作品)は、
「CREATORS GUILD」様にて掲載されていた(る?)、DARU様の「時が、走り出す」と言う作品です。
ゆえに、私にとっては、綾波と死のイメージは切り離すことができません。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481756 (-2147481860)
【 日時 】06/07/07 20:00
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>綾波と死のイメージは切り離すことができません。
おお。正しきアヤナミスト。だと思う(^^;)。
私はそれが嫌で「あやなまー」という言葉を考えたような気がするのだが、既に忘却の彼
方である(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
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WEB PATIO
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【記事番号】-2147481860 (2147483647)
【 日時 】06/06/18 00:29
【 発言者 】あいだ
歩き出す。
あと少しで、黄金の輝きが顔を出す、その前に。
もう幾たび繰り返したのだろう。
治ってはかさぶたを剥がす、この無為な行為を。
自分に忘れることを禁じる。
誰が許しても、僕が許さない。
だからおまえは、安心して罰せられていいのだと。
そう自分に課す。
寒い。
吹き抜ける風が、容赦なく体温を奪っていく。
眼下に、凍てつきそうな白い波濤がいくつも見える。
コートの襟に叩かれる頬の痛みが、僕を思索から現実へと帰らせる。
こんな程度じゃダメだ。
失われていった体温の、冷たさはこんなものの比じゃなかった。
傍らにもう一人立っていた時の温もりを忘れることのないように。
空気の冷たさを我が身に刻みつける。
ここが君と共に歩いた、そして屈託のない笑顔を見た最後の場所だ。
何ヶ月かかったかな。
仕事の合間を縫って、覚えてる限りの全ての場所に、足を運んできたよ。
記憶を手繰るように、君が僕にくれたモノを、もう一度確認するために。
縁日の綿菓子を美味しそうに、宝物のように目を細めて食べていたね。
河原で、小さな野良犬を相手に、走り回っていたっけ。
蝶々の羽化を見るんだって、眠い目を擦りながら、朝まで話したよね。
どこまでも果てしなく見える砂丘を前に、呆然と二人して立ちすくんだね。
時々、日差しの下で、疲れたといって、木陰で休んだね。
なんでその時に僕は気付けなかったんだろう。
なんて僕は愚かで目の前の幸せしか見えてなかったんだろう。
少しずつ、出かけることが、少なくなっていったね。
僕はそれでも幸せだった。
時々、駄々っ子のように、遊びに行こう、って行ってしまって、本当にごめん。
幸せの形が変わっていくことに、恐れていたのかもしれない。
ごめんね、今日は外には行きたくないの。
そう言って本当に申し訳なさそうに目を伏せた君の姿に、僕は何も言い返せなかったけれど。
でもね、君と過ごせるなら、僕はそれだけで本当に幸せだったんだ。
樹海を、ほんの数十メートルだけ、探検したね。
怖がって、変なモノを見つけたらどうしよう、っていいながら、まるで子供のようにやめようとはしなかったね。
春に、お決まりの、花見にも行ったね。
満開の桜の下で、君の頬も微かに桜色に染まっていて、僕の胸がどれだけ高鳴ったか、判るかなあ?
誕生日、奮発して、ちょっと大きめのホテルのレストランで食事をしたね。
そっと渡したプレゼント。包みを開いて、驚いた顔。直後に溢れた大粒の涙。とても綺麗だった。
君は、さほど逞しくもない僕の腕が好きだったよね。
首から回した手で頭を撫でていると、くしゅ、ってはにかんだように笑いながら、子猫のように丸まって眠りに落ちていったね。
変な癖だ、って翌朝笑ったら、貴方だって私の人差し指だけ掴んで離さない癖に、って悪戯っぽく笑われたっけ。
デートのたびに、ほとんど一日中部屋にこもっていることにも、この頃にはもう慣れていたよ。
君が、朝日をみよう、って言い出した時には、だからびっくりしたんだ。
元旦に、初日の出。
なんてありきたりなイベント。
それが最後になるなんて、思いもしないで。
久しぶりのお出かけに、僕はただ無邪気に喜んでた。
少しずつ、闇が払拭されていく。
夜の帳が、開かれていく。
そして水平線の向こうに、輝く生命の息吹の色。
今年も一年、ヨロシクね、これからもずっと。
そう言って僕を見上げ。
今これを言うために、年が明けてもずっと黙ってたんだから。
君は照れくさそうに笑ったね。
そしてそれが、君の最後の、曇りのない笑顔だった。
膝から崩れ落ちていく。ゆっくりと、スローモーションのように。
トサ。
軽い、乾いた音を立てて、生命の象徴が勢いを増すのと引き換えに大地に這う君を、僕は唖然として見ていた。
真白な病室の中で、ただただ衰弱していく。
点滴と、検査の日々。
それでも、僕の顔を見るたびに、無理して微笑んでたね。
僕はそれを見たくなくて、だけど、逃げることも出来なくて、幾たびも足を運んだよ。
正直恨まなかったと言えば嘘になる。
もっと早く何故教えてくれなかったのかと。
教えて貰っていたら・・・僕は何が出来たのかな。
でも、今なら、少しだけ判る。
心配させたくないとかじゃなく、ただ幸せな時間を、自分の胸の中に刻みたかったのだと。
利己的で、まっすぐで、否定することの出来ないその思い。
若芽の萌える頃、この世界とサヨナラをしたね。
握りしめた手からすぅっと力が抜けていき、心電図がフラットを示す。
・・・まだ、こんなに暖かいのに!
次に君に出会った時には、もう身体は冷えきってた。
信じられなくて、そっと手を取って、何度もさすってみた。
僕から君に移った体温は、すぐに空気に奪われて。
涙が溢れた。
君の後ろ姿を追いかけたこの数ヶ月の旅も、ここで終わる。
だけど、僕は僕を許さない。
大事なものを見ているようでただ幸せに甘えていただけの僕を。
罪と、罰。
生涯君を忘れない。
忘れそうになる前に、この身を刻むよ。想い出の刃で。
君が幸せを胸に刻みつけた、その方法で。
これは君への最後の約束。
――僕は君を
一生愛しています――
---------------------
はてさて、ごめんなさいー(逃げ腰
プロットはあって、エヴァにするかオリジナルにするか迷った挙げ句、オリジナルで書いたものを投下してみます。
(え、罪ですか、そうですか。。。
まずかったら削除しますんで、仰ってください>tambさん
とりあえず、生存証明までに。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481859 (-2147481860)
【 日時 】06/06/18 01:03
【 発言者 】なお。
ただ一言、すっげー。
> 握りしめた手からすぅっと力が抜けていき、心電図がフラットを示す。
> ・・・まだ、こんなに暖かいのに!
これなー。実際だったらたまらんだろうな。
もう意識なくて、手を繋いでも握り返してはくれなくて、生命維持装置を外された瞬間から、ただただ冷たくなっていく様を感じるだけでも酷なのに、途切れる瞬間がわかっちゃうんだよ。壊れちゃうよね、普通。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481856 (-2147481860)
【 日時 】06/06/24 00:26
【 発言者 】あいだ
なお。さん、いつもなお。さんの姿勢には頭が下がります。
全ての作品に、きちんとコメントを付けていく、その姿勢に。
もちろん、その分析力も私の羨むところではありますが。
ぶっちゃけですね、これ、だいぶ前にミクシィで公開したヤツなんですが、その時にオリジナルとして書く事になったんですね。
だから、プロットはあっても、その場所ではエヴァでは書けなかった、って言うのが正しいですけども^^;
その時からは、改行と、僅かな修正しか入れていないので、割と当時のままです。
新作ではない事を書くのを忘れてたのは申し訳ありません。
生存証明として何か投下したかったもので。。。
しかもエヴァじゃないので、どんな言葉も受け入れます、はい。。
>壊れちゃうよね、普通。
壊れるでしょうね。関係ない話ですが、「泣ける○ちゃんねる」とかの泣き系まとめサイトとか読んでても、体験を読んでいるだけの私ですら、涙が溢れてきますもん。
現実を目の前にして、最愛の人を亡くしたら、どうなる事か。。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481855 (-2147481860)
【 日時 】06/06/25 03:29
【 発言者 】クロミツ
>エヴァにするかオリジナルにするか迷った挙げ句、オリジナルで書いたものを投下してみます。
>
オリジナルと言われても、やはり、ココに書かれるとどうしても ”あの”二人を連想してしまうわけで。^^;)
悲しい御話ですが、僕はこういう話もけっこう好きです。
ただ、あまり『僕』に対しての『罰』という印象は受けなかったんですよね。彼にとって最大の悲劇だったことは間違い
ないんだろうけど、どこか過ぎてしまった事のようで。
>忘れそうになる前に、この身を刻むよ。想い出の刃で。
たぶんこの一文が、そう感じた原因かもしれない。放っておいたら忘れるの?みたいな。
『罪』の部分としては、彼女はもともと病弱だったんだろうか、一度も大病を患ったことのない人が
急な病に襲われたんだろうか、彼女は自分の死期を、いつ頃から予兆していたんだろうか、などという
点が気になりました。
もちろんこれは書かれて無い部分なので、想像するしかないんですけど、
>プロットはあって、
>
知りたいです。とっても(爆)
【タイトル】Re: 罪と罰論考1
【記事番号】-2147481844 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:07
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
以下はあいださんの「罪と罰」に関する論考ですが、あまりにも長くなりすぎたので、
ダイジェスト版としてお送りいたします(笑)。それでもクソ長いぜ。
めんどくさい人は最期の段落だけ読めばOK。
小説には大きく三つの要素がある。世界、物語、キャラである。作家性を加えて四つに
してもいいかもしれないが、それはまあいいだろう。
基本的に世界とキャラは表裏一体である。つまり、綾波レイがいるならセカンドインパ
クトがあってエヴァのある(あった)世界であるということである。基本的にというから
には例外があるということで、つまり異世界ものである。これについてはスペースの関係
上省略させて頂く。
何を以て二次創作と見なすかというのは、非常に難しい問題である。
プロットがあって、二次創作にするかオリジナルにするか迷うというのはどういうこと
か。あいださんは「エヴァにするかオリジナルにするか迷った挙げ句」と書いているので、
ここではストレートに捉え、世界としてエヴァか、それともオリジナルか、の選択を迷っ
たものと考える。
世界としてエヴァかオリジナルかを迷うということは、どちらがベストかの迷いがある
ということで、逆に言えばどちらでも成立するということだ。成立しないことが明らかな
ら迷う余地はない(成立しているのかどうか悩むという可能性はある)。
例えばだ。男の子が女の子を部屋に連れ込んで押し倒したら親父に見つかって怒鳴られ
た、などという話があったとしよう。この男の子がシンジで女の子がレイなら、それだけ
で意味を見いだすことができる。親父というのはゲンドウであろうし、これがサードイン
パクト後なら、シンジ君頑張ってるしレイちゃんも元気でと思わず涙する。
これが例えば、そうだな、薫君と由美ちゃんだったりしたら(元ネタのわかる奴はいる
か?)、誰なんだそいつらってところから話を始めなければ成立しない。これがオリジナ
ルな世界だ。
簡単に言えば、物語に世界を当てるのか、世界に物語を当てるのかということだ。
今回の場合、エヴァかオリジナルか迷った、つまり世界をどうするか迷ったということ
だから、物語は世界に依存しないということである。では、世界に依存しない物語とは何
か。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰論考2
【記事番号】-2147481843 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:08
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
作品を受け止めようとするとき、正反対の立場がある。
ひとつはキャラに思い入れてしまうという見方で、もうひとつは物語やメッセージ性を
正面から受け止める見方である。
実際には無数の中間点があり、うまくバランスを取っている人の方が多いだろう。
二次創作などしようとするのはどっちのタイプ、という傾向は、そんなにはないように
思える。どちらにしても過剰になっていることに間違いはない。
私はと言えば、残念ながらと言うべきか、やはりキャラに思い入れてしまっていると言
わざるを得ない。物語のメッセージはそれなりに受け止めているつもりだが(それなりに、
という注は入れざるを得ないのだが)、綾波レイに対する思い入れが過剰なのだ。物語の
メッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。私は綾波レイが不幸にな
ることに耐えられない。厳密に言えば、幸福を追おうとしない彼女に苛立つ。その意味で
私は間違いなくオタクである。
エヴァンゲリオンという物語のメッセージは、当然だがそんな部分にはない。物語全体
のメッセージの中にあって、例えば登場人物の死そのものはそう大きな問題ではない。登
場人物の死が意味するものが大きいのだ。従ってより重要なのは、登場人物の死(あるい
は生)にどのような意味が付与されているか、それをどう受け止めるのか、ということだ
(これはエヴァに限った話ではない)。
こういう立場に立つ二次創作作家は少なくない。というより、優れていると言われてい
る作品を書いている作家はほとんどこのスタンスのように思える。
物語を正面から受け止め、そのメッセージを反復することは、二次創作作品として重要
な要素である。それがなければ、単にキャラの名前が同じであるという以上の意味がない
からである。
一方、例えばレイとシンジをひたすらくっつけているようなケース。そんなんエヴァで
やんなくてもいいじゃん、といったような批判を浴びがちである。やたらとラヴラヴして
るだけなら他でやれと。私もそういう批判を受けたことがある。だが私は単にラヴラヴし
てる話を書きたいのではなく、シンジとレイがラヴラヴしてる話を書きたいのである。つ
まりオリジナル作品化すると意味を失うのだ。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰論考3
【記事番号】-2147481842 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:08
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
そろそろ頭が混乱してきたと思われるので、結論を書こう。
メッセージそのものは世界に依存せず、普遍的に成立し得る。エヴァの影響下にあるオ
リジナル作品という存在を認めるならば、ある作品が二次創作と言うべきかどうかは、そ
の世界がエヴァンゲリオンの世界かどうかに依存する。
暴論である(爆)。だがこれ以外の結論は、理論的に導き得ないように思われる。つまり
私は、あるエヴァっぽい作品の登場人物の名前をシンジなりレイなりに変えても即二次創
作にはならないという立場を、現時点では取るということである。念のために言っておく
が、それがオリジナルか二次創作かは作品の優劣とは何ら関係がない。
ということは、だ。
繰り返しになるが、あいださんが「エヴァかオリジナルか迷った」ということは、あい
ださんはエヴァから「罪と罰」のようなメッセージを受け取ったということになる。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰論考4
【記事番号】-2147481841 (-2147481860)
【 日時 】06/06/26 20:09
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
「僕」は何を何故「罪」だと感じているのか、それは、
>なんでその時に僕は気付けなかったんだろう。
に尽きると思う。気付いたら何か変わったかどうかは、恐らく問題ではない。「君が幸
せを胸に刻みつけた、その方法」を選択したのと同様に、「想い出の刃で」「この身を刻
む」ことによってのみ、「僕」は生きていけるのだから。
この話の途方もないやり切れなさは、ここにある。
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【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481840 (-2147481860)
【 日時 】06/06/28 21:23
【 発言者 】あいだ
◆クロミツさん
>オリジナルと言われても、やはり、ココに書かれるとどうしても ”あの”二人を連想してしまうわけで。^^;)
仰る通り(笑)
哀しいかな、自身がエヴァ者なので、ネタ -> プロット化の際には、どうしてもあの二人を意識せずにはいられないわけで^^;
プロットの段階ではエヴァ色が強いですが、オリジナルとして描く際には削ったつもりなんですけどね(笑)
>ただ、あまり『僕』に対しての『罰』という印象は受けなかったんですよね。彼にとって最大の悲劇だったことは間違いないんだろうけど、どこか過ぎてしまった事のようで。
ここは力不足を認めざるを得ませんね。
あえて説明すると、
>>忘れそうになる前に、この身を刻むよ。想い出の刃で。
>たぶんこの一文が、そう感じた原因かもしれない。放っておいたら忘れるの?みたいな。
この部分が説明不足だったかと。
人の記憶は曖昧なもので、どうやっても記憶は風化していくし、日常の出来事の中で、出会いの中で、埋没していくものだと私は思っています。
そうやって忘れていくのが当然な人間の性に抗うように、楽しい時間に出会うたびに、「彼女と過ごした時間を思い出す」事を自分に課している、それは罰に等しいと思うのです。
うーん、うまく言えないなぁ。。
> 『罪』の部分としては、彼女はもともと病弱だったんだろうか、一度も大病を患ったことのない人が
>急な病に襲われたんだろうか、彼女は自分の死期を、いつ頃から予兆していたんだろうか、などという
>点が気になりました。
これはエヴァで描くなら、間違いなく描いてたでしょうね。
「僕」サイドだけではなく、「私(女性)」サイドの視点も込みで、3部作ぐらい。(予想
今の5~10倍ぐらいの分量にはなるはず。
◆tambさん
とてつもなくお仕事がお忙しいであろう時に、こんな分量の文章を書いてくださってもうホントに恐縮です(縮
▽罪と罰論考1について。
>世界としてエヴァか、それともオリジナルか、の選択を迷ったものと考える。
ニアリーイコールであるかどうか、と言う判断は人それぞれ異なるし難しいところだと思いますが、正確に言うなら、罪を体現する人間と、罪を背負い罰を体現する人間の二人に、エヴァでいう綾波とシンジを当てはめるか、オリジナルな「女性」と「僕」を当てはめるか、に迷ったというのが正しいかも知れません。これを同じだという人もいれば全然違うという人もいるだろう事は横に置いておきます。
> 簡単に言えば、物語に世界を当てるのか、世界に物語を当てるのかということだ。
これは間違いなく私は前者です。ただし当てる世界がエヴァである場合がほとんどなだけで(笑)
▽罪と罰論考2について。
> ひとつはキャラに思い入れてしまうという見方で、もうひとつは物語やメッセージ性を正面から受け止める見方である。
tambさんは「物語のメッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。」と仰られたが、私はまるで反対で、「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは体験して貰いたい何か」を描く。
良い悪いでも優劣でも敵味方でもなんでもなく、スタンスの違いは厳然としてあり、しかしそれは相容れないものでもないのはアヤナミスト故か。
ちなみに、前述の「物語に世界を当てる」と正反対の事を言ってるじゃないか、と思われる方もおられると思いますが、両方すなわち「物語に世界を当てる」事と「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは体験して貰いたい何か」を描く事は等量なのだと思って頂ければ幸いです。しかし等量だからといって、「世界に物語を当てる」「物語のメッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。」にはなり得ない事は明言致します。
▽罪と罰論考3について。
この段はもはや語る必要もないほどに絶妙。
▽罪と罰論考4について。
まさしくそこが全てです。
故に、プロットの段階では暗黙的にシンジであり、綾波であったわけですが、形にする段に於いてオリジナルとして表現するしか道はなく、しかしそれはねじ曲げることなくオリジナルに収まっています。(あくまで自分の中では、という注釈が付きますが。
読み手の体験や感覚から、「罪」と「罰」の重みは変わってくると思いますが、シンジというキャラを中核に据えるならば、まさしく彼はこの役柄にふさわしい、自分を傷つけることでのみ生きられる人物なのだと。
これを反転するならば、オリジナルとして描くに当たって、明確に足りなかったのは、「僕」の人為を説明し切れていない事であると、言えるかも知れません。
長々と書いてきましたが、こうして読んで頂けて、なおかつ反応が頂ける、これに勝る喜びは無いと思いました。
故に、我々は幾たびと無くキーボードに向かい、頭を掻きむしりながらいくばくかの文を物するのかも知れません。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481836 (-2147481860)
【 日時 】06/06/29 19:42
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
思うところはあるんでレスは書きますが、とりあえずなお。さんの論評を待ってみようかなと思ってみたり(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481835 (-2147481860)
【 日時 】06/06/30 23:34
【 発言者 】なお。
論評ってほどのもんじゃないですけど。
■ オリジナルかそうでないか。
私もそうだったのですが、彼と彼女に見えてしまうのは、そうでないという要素が
見えにくいからだと思います。
エヴァという作品ですけど、設定は近未来です。今となっては携帯の液晶が小さかっ
たりモノクロだったり、シンジの使っている携帯プレーヤーがDATだったりと逆に古
くも見えてしまいますが、基本的には現代の日本と差ほど変わりがありません。
で、この話の場合。登場人物は若者らしき男女。そして特別な個性(外見だけでな
く話し言葉などにも)はないが、どちらかというとおとなしめの性格っぽい。それに
内罰的である。回想はあれどこれといった背景はないからイメージするなら現代の日
本もしくはそれに準じた世界になるでしょう。
それで読んだ私達がどう思ったかとなると、ここに(綾幸)来ているからには彼と
彼女が好きなわけで、だからそう思ってしまうし、見てしまうのもある意味仕方がな
い。楽しむという上でも結び付けた方が感情移入もしやすいし。
だから後にオリジナルと言われても「あっ、そうだったんだ」ってくらいで、別に
彼と彼女の話しでもいいんじゃないかとも思ってしまう訳ですな。李下に冠を整さず
とも言いますから、オリジナルであってそう見て欲しいなら最初に断っておかなかっ
たのがそもそもの失敗なんです。余計なツッコミが増えてしまうのも、仕方のない事
でしょうなw
でもね。
> しかもエヴァじゃないので、どんな言葉も受け入れます、はい。。
とあるので、むしろ望んでいるんだと思います(エ
■ 物語について。
この彼は、彼女を失った悲しみを背負って生きていきたいんだと思う。悲しいよ、
悲しいよ、と嘆いているのは、悲しければ悲しいだけ、いなくなってしまった彼女に
対する愛の深さの証明になるからだ。要するに追悼ですよ。
ただ端からみると少々病的ではあります。罪とか罰とか刃とか。それはまだ彼女の
死を冷静に受け入れていないからとも推測出来てしまう。そうでないとしたら、やは
り病的な精神の持ち主である。放っておけば僕もそっちに行くよ、となってもおかし
くない。悲しいくせに妙に冷静なんだよね。
で、さらに思ったんだけど。
> 君の後ろ姿を追いかけたこの数ヶ月の旅も、ここで終わる。
> だけど、僕は僕を許さない。
> 大事なものを見ているようでただ幸せに甘えていただけの僕を。
この旅ってさ、死ににいったんじゃないの? 状況としたらそうなんですよ、これっ
て。死んだら忘れなくて済むんだよ。
でもさ、死に切れなくって自分を許せなかったとかね。また死のうと思った自分も
許せなかったりとか。だったら忘れないように身を斬る憶いに浸りながら生きていこ
うって決めたようなね。
だから一番最初の『 歩き出す。』
これが生を意味しているように思えたの。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481834 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 00:45
【 発言者 】あいだ
◆tambさん
何を思ったのか判りませんが、怖いなぁ(笑)
◆なお。さん
二度目のレス有り難うございます^^;
> だから後にオリジナルと言われても「あっ、そうだったんだ」ってくらいで、別に
>彼と彼女の話しでもいいんじゃないかとも思ってしまう訳ですな。
コレ関連。
うむ、別にこう読んで欲しい、というのは無いのですよ。(エヴァかオリジナルかという点について)
読み手がそう思った通りでいいと思うのですね。
作者にとってのそれはオリジナルであるだけで、受け手がどう捉えようとそれは自由だと思うわけです。
ある意味これは突き放しであり、見方によっては裏切りとも取れる話だけども、そもそも物語等というものに
答えはなくて、皆がどう感じたか、それだけが全てなワケで。
だから、失敗ではなく、またツッコミも全然OKなわけです。
>■ 物語について。
そも、彼は何を望んでいるのか。
書き手としての回答ではなく、一つの見方として。
読み手の人の数だけ、いろんな見方があると思うのですよー。
彼は、きっと、まずもって記憶を整理したかったのだ。整理とはいらないものを捨てることではなく、
出来事全てに順番とタグを付ける、そんな行為。
「君」として語られる存在の、全てを忘れないために。間違わないために。
生きることに一歩も引かなかった「君」のためには、彼が死を選ぶことは考えられない。
死を選ぶならば、足跡を辿る意味がないから。
生きることは時間の積み重ねで苦痛だが、その記憶だけを追想して生きることは、人生に於いては叶わぬ夢。
楽しかったことだけを繰り返して何が悪いんだ、と叫んだシンジも、大人になればそれだけではないことを知るだろう。
いやが応にも世界と関わっていく中で積み重ねられる時間はすなわち堆積する記憶。
故に、生からは逃れられず、ただただ記憶が埋没していくことが事が怖くて、忘れ得ぬ術を模索した結果が。
記憶を整理し、いつでも取り出せる状態に置いておくこと。
想い出の刃で、身を刻むこと。
なのだろうなと思うわけです。
> だから一番最初の『 歩き出す。』
> これが生を意味しているように思えたの。
それはきっと、生そのものですよ。
廃人にならないように生きるために、生きるための方法を身につけおわった瞬間です。
しかし、こうやって私がここに何度も顔を出してごちゃごちゃ書くのって、プロの場合後書きで語る、に
相当する行為だと思うのだけど、普通プロだと忌避される行為だよな。
でも私はプロじゃないからいいのだろうか。
おい、語り手としての矜持はどうなんだ、とか色々問題があるような気もするけど、非論理思考のクセに
議論するのは好きだったりするので、これは作者としての発言ではなく、一視聴者としての発言と言う事で
受け取ってもらうか(爆)
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481833 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 11:28
【 発言者 】なお。
> 生きることに一歩も引かなかった「君」のためには、彼が死を選ぶことは考えられない。
これが最終的な結論だとすると、私の考えと一致します。
しかし次が違う。
> 死を選ぶならば、足跡を辿る意味がないから。
ほんとうに意味はないのでしょうか。確かに後を追うならそんなことしないで(どうせあ
の世で逢えるのだから)早い方がいいって考え方もできるかもしれないけど、最後に思い出
に浸りたいという気持ちになったり、思い出の地を死地に選ぶという発想もできると思うん
ですよね。
この考え方の違いは解釈の違いになってきます。
>生きることは時間の積み重ねで苦痛だが、その記憶だけを追想して生きることは、人生に
>於いては叶わぬ夢。
これ、『よつばと!』という漫画で子供の『よつば』が歌ってました。『僕らはみんな、
生きている。生きているから、つらいんだ』って。まさにそのとおり。
>楽しかったことだけを繰り返して何が悪いんだ、と叫んだシンジも、大人になればそれだ
>けではないことを知るだろう。
これはちょっと読めませんでした。楽しかったことだけを繰り返しているというのがいつ
の時点ことを差すのかわかりません。思い出を振り返る旅の最中ことをいっているのでしょ
うか?
これは辛い作業だと思ったのだけれど、思いを固めるまでは楽しかった思い出に逃げて浸っ
ていたという事にもなります。覚悟が違えば自分を傷つけない。彼女の死を受け入れずに閉
じこもっていた状態ともいえます。
そもそもシンジと限定して書いてあるので、この物語とは直接関係のない事を言っている
のかもしれませんね。彼女の死を乗り越え子供だった自分から一つ成長したという話だった
なら、心に刻みつける作業を介さなくともいずれ思い出として一生残るものへと変化し、彼
女の存在に頼らなくとも生きていけるように、もう一段の成長ができますようにと願ってし
まいます。
> 記憶を整理し、いつでも取り出せる状態に置いておくこと。
これは思い出をスクラップしていたって事で、旅はその作業の資料集めだったということ
ですね。
> 廃人にならないように生きるために、生きるための方法を身につけおわった瞬間です。
こうなると病的だというのは否定できなくなります。精神的なものだけどやっているのは
自傷行為。思い出しては傷付いてしまう、かといって忘れたいわけではない。というのが普
通のところ、わざわざ傷付くように思い出すのですから。
思い出に浸りたいだけならそういう事もあるでしょうが、一生そうしていこうとしてます。
一時の感情に任せた完遂できると信じた覚悟。それも若さ故といったところでしょうか。
猟奇的な話だけど愛した人の死体をミイラにしていつまでも手元に置いていたって人がい
ました。これって自殺とは逆の発想なんですよね。自分が逝くか、相手を引き止めるか。こ
の話の主人公もエスカレートするとそれに近いものの匂いがしてくるんです。今に本当に傷
をつけていくんじゃないかって。流れる血を見ては喜ぶんですよ。恐いけどこれも愛なんで
す。
この話の30年40年後、彼がどういう考えをしているか知りたい。もしくは振り返って
考えた話とかをね。色褪せた心のスクラップを開きながら、というのが理想だけど、実はまっ
たく色褪せていない、あのときのまま新品のスクラップブックを抱えていたり、なんてのも
気持ち悪くて面白いかもしれない。
エヴァじゃないってことだけど、エヴァだったとしたらゲンドウの言葉と対比させて欲し
いとか思った。「人は思い出を忘れる事で生きていける~」ってやつ。これは外せない。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481829 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 12:54
【 発言者 】あいだ
>思い出の地を死地に選ぶという発想もできると思うんですよね。
コレならば、全部を辿る必要はなくて、最後の彼女の微笑みだけを胸に、逝くような気もします。
つまり、逝くべきは最後の地だけでいいんじゃないかと。
> そもそもシンジと限定して書いてあるので、この物語とは直接関係のない事を言っている
>のかもしれませんね。
イエス、その通り。前段の「想い出にのみ浸っては生きていけない」を補強するために使っています。
>もう一段の成長ができますようにと願ってしまいます。
私も願います。彼が新しい境地にたどり着いてくれることを。
> 思い出に浸りたいだけならそういう事もあるでしょうが、一生そうしていこうとしてます。
>一時の感情に任せた完遂できると信じた覚悟。それも若さ故といったところでしょうか。
若さ故かな。どうだろう。今私に恋人がいて、それを失ったなら、多分同じ気持ちなんじゃないだろうか。
私が若いかオッサンかは意見の分かれるところだと思うけれど(笑)
なんにしても、一時の感情にまかせた覚悟である、という指摘は、多分正しい。
> この話の30年40年後、彼がどういう考えをしているか知りたい。もしくは振り返って
>考えた話とかをね。色褪せた心のスクラップを開きながら、というのが理想だけど、実はまっ
>たく色褪せていない、あのときのまま新品のスクラップブックを抱えていたり、なんてのも
>気持ち悪くて面白いかもしれない。
面白いね。これはいつか書いてみてもいいかもしれない。
今は多分書けないかな。現在進行形で彼に感情移入してるし。
書き手が登場人物に感情移入してるのはどうなんだろう、とは思うが。
> エヴァじゃないってことだけど、エヴァだったとしたらゲンドウの言葉と対比させて欲し
>いとか思った。「人は思い出を忘れる事で生きていける~」ってやつ。これは外せない。
うはw
これもものすごく面白そうではあるw
エヴァで同じテーマでフルスケールで書き直してみたい気がしてきた(笑)
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481827 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 20:53
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>罪を体現する人間と、罪を背負い罰を体現する人間の二人に、エヴァでいう綾波とシンジ
>を当てはめるか、オリジナルな「女性」と「僕」を当てはめるか
私の理屈では(笑)、「本的に世界とキャラは表裏一体である。つまり、綾波レイがいる
ならセカンドインパクトがあってエヴァのある(あった)世界であるということである」
ということなので、やはり
>>世界としてエヴァか、それともオリジナルか、の選択を迷ったものと考える。
ということになります。
>tambさんは「物語のメッセージを受け止めて、それでもなお綾波レイに思い入れる。」
>と仰られたが、私はまるで反対で、「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、
>或いは体験して貰いたい何か」を描く。
この辺は良くわからなかったり。
私の論考2を読み返すと確かにわかりにくいんだけど(^^;)、「物語に世界を当てる」
というのは、あるストーリーがあった時に(例えば男の子が女の子を部屋に連れ込んで押
し倒す)、それをエヴァの世界にするか、それともオリジナルな世界にするか考えるとい
うことで、「世界に物語を当てる」というのは、まずエヴァの世界があって、その中でス
トーリーを考えるということ。のつもりで書いた。
つまり、前述の私の理屈を踏まえると、綾波レイに「感じて貰いたい」何かを書くので
あれば、それはエヴァ世界で書く以外に方法はないということになる。つまり
>「物語に世界を当てる」事と「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは
>体験して貰いたい何か」を描く事は等量
にはなり得ない。どこかに解釈のすれ違いがある。
と思ったんだけど(^^;)、主軸はあくまでも「感じてもらいたい何か」であって、それ
を物語の中で綾波レイ以外の人物に感じさせるという選択肢は当然あるわな。つまり彼女
に感じて欲しいことが書いてある小説を彼女に差し出すというか、いわゆる「綾なんでる
小説」ってことになるんだろうけど、そういうこと?
>▽罪と罰論考3について。
>この段はもはや語る必要もないほどに絶妙。
ありがとうございます(笑)。ただ、ひっくり返しますが、基本的には作者が「これは二
次」と言えばそれでいいんだとも思います(爆)。作者的に二次であればそれは二次。でも
私はそれを二次とは思わない、と。つまり商業出版もされたあの作品は私的には二次では
ないということになるんですが、内容をちゃんと覚えてないのでこれ以上は何とも言えな
いというか、言う資格がない、と。じゃあ言うなと。すいません。
さて。
>ここに(綾幸)来ているからには彼と彼女が好きなわけで、だからそう思ってしまうし
これは割と普遍的にあることです。どんな小説にも綾波を見てしまうというのは(爆)。
まぁ冗談はともかく、やはりここに投下されたということを考えればそれが普通でしょう
ね。たとえそれが生存証明であってもね。
ついでに書いておくと、山川健一という作家の「真夏のニール」はモロにエヴァ。この
人は雑誌上で二次創作を書けみたいなことを言ってた人なんだけど、これを読んだ時は戦
慄した。間違いなくオリジナルなんだけど、魂はエヴァだと思った。出版は1988年なんで、
エヴァ以前。「山川健一の100字レビュー」
(http://www.tabibun.net/review/jy/yamakawa2.html)によれば、
「巨大なシェルターのようなニュー・シティで生存のために実験が繰り返される。動植物
をコントロールし、人の精神を管理する。記憶を消去されたサヤカを愛し彼女との融合を
求める男。魂の源泉に踏み込んだ傑作SF長編。」
というような話。ちなみに絶版(爆)。
物語についてだけど、
> この彼は、彼女を失った悲しみを背負って生きていきたいんだと思う。悲しいよ、
>悲しいよ、と嘆いているのは、悲しければ悲しいだけ、いなくなってしまった彼女に
>対する愛の深さの証明になるからだ。要するに追悼ですよ。
やっぱりそうなんだろうと思う。論考4でも書いたように、そうじゃないと生きていけ
ない。
ただこの生き方には、そういう生き方を選んだことに対して彼女はどう思うか、という
視点が決定的に欠ける。つまり彼の中で彼女は生きていない。
> 猟奇的な話だけど愛した人の死体をミイラにしていつまでも手元に置いていたって人がい
>ました。これって自殺とは逆の発想なんですよね。
ちょっと話がずれるんだけど、喰ってしまうという発想がありますよね。自分の血肉と
して一緒に生きていこうという発想。
蛇足。
>うむ、別にこう読んで欲しい、というのは無いのですよ。
こういう意見は良くあって、この掲示板でもそういうことが書かれたことはあったし、
一般的にも言われてたりします。上記引用は恣意的で(笑)、直後に
>エヴァかオリジナルかという点について
と書いてあるので事情は全く違う、ということは念頭に置いて欲しいんですが、つまり
あいださんを批判するわけではないんですが、作者自らがそう言ってしまうと、じゃあ何
を書きたかったの? と思うわけです。何か伝えたいことがあってそう書いたんじゃない
のかと。
>読み手の人の数だけ、いろんな見方があると思うのですよー。
これは一般論としてその通りでしょう。
>プロの場合後書きで語る、に
>相当する行為だと思うのだけど、普通プロだと忌避される行為だよな。
>でも私はプロじゃないからいいのだろうか。
プロじゃないからいいんです(笑)。というか、プロというからにはそれで喰ってるわけ
で、作品で伝えることで生きてるわけです。それが作品のみで伝わらなかったとすれば、
それはプロと呼ぶにふさわしい技量を持っていなかったということですから、あれこれ弁
解しながらひたすら恥じ入ればいい、と。
まぁでも一昔以上前の純文学の世界では、作家と文芸評論家が雑誌上で対談して作品の
解釈を巡って対立したり決別したりしてたみたいですから、何でもいいんじゃないでしょ
うか(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481825 (-2147481860)
【 日時 】06/07/01 21:33
【 発言者 】なお。
> 何か伝えたいことがあってそう書いたんじゃないのかと。
背景に左右されないストーリーというのもあっていいと思います。正しくは、
与えすぎない、で、それは不足とも取れるでしょう。
しかし共感するにはかえってそのほうがいい場合もあるでしょう。彼、または
彼女を自分に置き換えて物語りを読むには余計な情報がない方が都合がいいだろ
うという考えです。
これは言わば、彼と彼女をシンジとレイに置き換えても構わない、そうあいだ
さんは仰りたいのであって、そう考えているのでしょう。あいださん自身も共感
してるというところからも、敢えてエヴァという世界を与えなかったとも考えら
れます。
> 喰ってしまうという発想がありますよね。自分の血肉として一緒に生きていこ
> うという発想。
ミイラにせよ食人にせよ、宗教的な行事として世界に存在したことは、たぶん
間違いないわけで……
> 後書きで語る
ガンガン行きましょうよ。そもそもそういう場なんだし。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481824 (-2147481860)
【 日時 】06/07/03 01:35
【 発言者 】あいだ
◆tambさん
うぅん、確かのどこかに解釈のズレがあるような気はします。
が、あえて押し通すなら、
「感じて貰いたい何か」とは思いついたネタであり、それは基本的には綾波レイという少女に感じて貰うことが多い。
しかし、今回のように綾波レイのためのネタとして温存するか、使ってしまうか、というところで迷わざるを得ない場合も当然私に限らずあるだろうと思う。
それとは別に、綾波レイがいて、彼女のために物語をひねり出すのではなく、物語があって、それを感じて欲しいから書く、ということには代わりがないのです。
ラブラブして欲しいからとにかく書こう、は私のスタンスにはないので。
これはネタ或いはプロット以前の段階の話で、綾波レイのための物語を書くと決めたならば、エヴァ世界以外にない事には同意。
うまく言えないけど、物語(ネタ)ありき、で始まり、それを綾波に感じて欲しい何かであるならば綾波に感じてもらう、という流れであり、
綾波がいるから綾波のための物語をひねり出そう、ではない、ということなんだけど、これも何か論点がずれている気もします。
うぅん、困った。
これに関しては一旦投げ返し(笑)
>作者自らがそう言ってしまうと、じゃあ何を書きたかったの? と思うわけです。何か伝えたいことがあってそう書いたんじゃないのかと。
いやいや、こう読んで欲しい、というのはない、というのは、エヴァとして読んで欲しい/オリジナルとして読んで欲しい、というのはない、という意味ですよ。
主軸自体はあって、それを伝えたいとは思って書いているけれど、それが綺麗に伝わらないのは力量の問題であって、こう読め、通し付けるものでもない、という意味も含めてはいますが。
>上記引用は恣意的で(笑)
と仰ってますから、理解した上での話みたいなんでだからどうというわけではないんですが(笑)
◆なお。さん
> これは言わば、彼と彼女をシンジとレイに置き換えても構わない、そうあいだ
>さんは仰りたいのであって、そう考えているのでしょう。
イエス、その通りです。
受け取り方は自由なのですよー。書き手にとっての二次と読み手にとっての二次が違うのはtambさんも示した通り。
いや、御大と同列に語るつもりはなくて、気持ちの上で。。(笑)
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481819 (-2147481860)
【 日時 】06/07/03 14:10
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
てすと
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481819 (-2147481860)
【 日時 】06/07/03 20:18
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>「感じて貰いたい何か」とは思いついたネタであり、それは基本的には綾波レイという
>少女に感じて貰うことが多い。
――後略――
であるならば、「物語に世界を当てる」ということでいいんだと思います。そのネタは、
綾波レイに感じてもらうか、他の誰かに感じてもらうか考えるわけですから。
だから、これは文章の解釈の問題なんだけど、
>「綾波レイという人物がいて、彼女に感じて貰いたい、或いは体験して貰いたい何か」
ではなくて、「誰かに感じてもらいたい、或いは体験して貰いたい何かがあって、そこ
に綾波レイがいる」のではないかと思います。もう少し書くと、「エヴァという物語の中
に、誰かに感じてもらいたい、或いは体験して貰いたい何かがあって、そこに綾波レイが
いる」かなと。つまりエヴァという物語から受け取ったことを再度物語にするにあたって、
そのまま綾波レイをそこに置かず、他の誰かに感じさせるという場合を想定するという意
味で一度断絶させるわけですよね。
ここまでで間違いなければ、
>うまく言えないけど、物語(ネタ)ありき、で始まり、それを綾波に感じて欲しい何かであ
>るならば綾波に感じてもらう、という流れであり、
>綾波がいるから綾波のための物語をひねり出そう、ではない、ということなんだけど、こ
>れも何か論点がずれている気もします。
たぶんずれてないです。簡単に言ってしまえば、あるネタがあって、それを綾波レイに
感じさせるかそうでないかの判断があるということですよね。それは世界を選択するとい
うことで、即ち物語に世界を当てるということですから。
ということであれば、上の方であいださんが書いた通り、私とあいださんは正反対です。
私は綾波レイに感じて欲しいことを書くのであって、そうでなければ意味がない。最初に
物語(ネタ)ありきではなく、最初に綾波レイありきなのです。
まさにキャラ萌え(爆)。
>>上記引用は恣意的で(笑)
>と仰ってますから、理解した上での話みたいなんでだからどうというわけではないんですが(笑)
そういうことです(笑)。
もっと言えば、この話が仮に二次であったとしても、物語の持つメッセージは変わらない
ので、作者的にどう読んでもらっても構わないというスタンスに立つのは当然です。が、
これが二次だとすると、なんでレイが死ぬんじゃゴルァとかいうノイズが入る可能性が高
まるわけです(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481818 (-2147481860)
【 日時 】06/07/04 09:34
【 発言者 】あいだ
おお。なんだか話が綺麗に収束した(笑)
全文にわたって異論は特にありません。
一つ付け加えるならば、私のエヴァSSの原点(初めて読んだとかではなく、SSを書こうと思った作品)は、
「CREATORS GUILD」様にて掲載されていた(る?)、DARU様の「時が、走り出す」と言う作品です。
ゆえに、私にとっては、綾波と死のイメージは切り離すことができません。
【タイトル】Re: 罪と罰
【記事番号】-2147481756 (-2147481860)
【 日時 】06/07/07 20:00
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>
>綾波と死のイメージは切り離すことができません。
おお。正しきアヤナミスト。だと思う(^^;)。
私はそれが嫌で「あやなまー」という言葉を考えたような気がするのだが、既に忘却の彼
方である(笑)。
mailto:tamb○cube-web.net