「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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fld_nor.gif プレゼント
投稿日 : 2009/05/31 00:00
投稿者 tamb
参照先
【タイトル】プレゼント
【記事番号】-2147481266 (2147483647)
【 日時 】07/03/30 19:21
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

「碇くん、起きてる?」

 ほんの少し前まで甘く切ない時間を共に過ごし、今は優しく自分を抱き締めている相手
に向かって、レイは小さな声で言った。

「ああ、起きてるよ」
「アスカと渚君、幸せそうだったわね」
「うん。それにすごく素敵な笑顔だった。二人のあんな笑顔見るのは随分久しぶりだし」
「アスカのウェディングドレス姿も、すごく奇麗だったわ」
「ああ、奇麗だったね。綾波と同じくらい奇麗だったよ」
「……バカ」
「いてて」

 背中に爪を立てられ、シンジはわざとらしい悲鳴をあげた。

「でも、あの二人はもっと早く結婚すると思ったけどな。僕らより後になるなんて思わな
かったよ」
「アスカのご両親に会いにドイツに行ったときのこと、聞いてない?」
「いや、知らない」
「渚君、アスカのお父さんにお酒を相当飲まされたあと、僕は人間じゃなくて使徒ですっ
て言ったらしいの」
「なんてことを」
「アスカのお父さんもかなり酔ってたみたいだけど、そんな人間でもないどこの馬の骨か
もわからんような奴に娘はやれんって激怒して」
「まぁ当然だね」
「そしたら渚君、僕は馬の骨じゃないし、お父さんと結婚するんじゃなくてアスカと結婚
するんですって、言ったらしいの」
「うーん、それはダメだなぁ」

 シンジはレイの背中を優しくなでながら先を促す。

「交渉決裂。わたしは空港に迎えに行ったんだけど、アスカはまだ怒り狂ってたし、渚君
は青くなってたわ」
「それで、どうやって許してもらったの? アスカのご両親も、今日はにこにこしたり泣
いたりしてたけど」
「五年間、毎月毎月ドイツに行って土下座したんですって。アスカのご両親も根負け――」

 レイは言葉を途切れさせた。背中を撫でるシンジの手に込められた愛情の質が変化した
のだ。細波が走った。すぐに手のひらで胸が包み込まれ、口唇が重なった。


 狂おしく幸せな時間のあと、レイがささやくように言う。

「ね、碇くん。碇くんは、わたしと初めて会ったときのこと、覚えてる?」
「もちろん覚えてるよ。ひどい怪我だったよね」
「あのとき、わたしがどう思ったか、言ってなかったわよね」
「というより、あの時の綾波が僕を見て何か思ったっていうこと自体がちょっとびっくり
だな」
「……」
「ご、ごめん」
「……無理もないとは思うけど」
「……」
「わたしね、碇くんを見て、あ、わたしはこの人と結婚するんだなって、思ったの」
「ほんとに?」
「一目ぼれって言うのよね。こういうの」

 レイはシンジの目を見ずに続ける。耳が少し赤いのは、切ない時間の余韻のせいだけで
はない。

「戸惑ったし、腹立たしかったわ。そんなことを考えてる余裕なんかなかったはずだし、
そもそも誰かと結婚なんて、想像もしたことなかったから」
「それ、ほんとなの?」
「嘘よ」
「なんなんだよ」
「……碇くんは、わたしのこと、好き?」
「好きだよ」
「好きだって思うようになったのは、いつ?」
「そうだなぁ、僕はこの娘が好きなんだってはっきり意識したのは……みんなでラーメン
食べたときかな。覚えてる? ほら、綾波がニンニクラーメンチャーシュー抜きっていう
のを頼んだとき」
「覚えてるけど……あの時、特に何かあったかしら」
「いや、別に」
「変なの」
「普通だよ」
「どっちにしても、碇くんが先にわたしのことを好きになったのね。わたしが碇くんを好
きになったの、サードインパクトのあとだから」
「嘘つかなくてもいいんだよ。一目ぼれしたってさっき言ってたじゃないか」
「だからあれは嘘って、あ、ちょっと――」

 レイは再び胸を包み込んで来たシンジの手を押さえた。

「また、するの?」
「するさ」シンジはそっと口づけて言った。「嘘つきには、おしおきしないとね」


 呼吸さえままならず、短く叫ぶしかない時間が過ぎた。

「綾波って、変わったよね。あの頃の綾波しか知らない人が見たら、びっくりすると思う
よ。でも――」
「……」
「僕はあの頃と同じように、今の綾波が好きだ。それを不思議に思うときもあるけど、や
っぱり変わらないところがあるんだよね」
「碇くんだって、変わったわ」
「そうかな」
「そうよ。あの頃もこんなにえっちだったの?」
「さ、さあ。どうだろう」
「思い当たる節があるのね?」
「ないよ」
「嘘がつけないところは変わってないわ」
「そういうことを言う口は塞いであげる」

 長いキスのあと、シンジはレイの細い髪を撫でながら、耳元でささやく。

「綾波、もうすぐ誕生日だね」

 レイは顔を上げ、黙ったままうなずいた。

「何が欲しい? 今年も僕にお任せにする?」
「……今年はね、欲しいものがあるの」
「珍しいね。初めてかな? 言ってごらん」
「赤ちゃんが、欲しい」
「よし、わかった」
「待って!」

 レイは乗しかかってきたシンジを押しとどめた。

「誕生日に、プレゼントして」

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: プレゼント
【記事番号】-2147481265 (-2147481266)
【 日時 】07/03/30 19:22
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

最近こんなんしか書いてない気がするんだが、
気のせいではないんだな、これがorz

mailto:tamb○cube-web.net


【タイトル】Re: プレゼント
【記事番号】-2147481258 (-2147481266)
【 日時 】07/04/15 04:09
【 発言者 】tama

・・・アスカはなんとなく、両親がなにをいおうと結婚しちゃうような気がします。私の自由でしょって。
だから、謝りにいくというのは結構古風だと思ったり。
きっとカヲルがそうしたかったんだろうなと読んでて思いました。とにかく祝福されて幸せになってほしいふたりです。はい。

しかし参照が129を超えているのに、コメント0ってすごいですね!
半分が大人ネタだからでしょうか・・・〔^^;
それともみんなが大人だから、あえてスルーなのかorz


【タイトル】Re: プレゼント
【記事番号】-2147481257 (-2147481266)
【 日時 】07/04/16 04:11
【 発言者 】tomo

そうですよね。みんなスルーなんですよね~

かく言う私も、スルーの一人、でした(爆)

でも、この作品、すごく面白いですよね。私、好きです。


以下、ちょっと大人なコメント(笑)
子供な人は、みないでね(^_-)-☆


この作品、『そーいう描写』が三回あるけど、どれもうまいです。直接的な描写はさけつつ、しっかり(?)その内容の激しさが伝わります(笑)

しかも、どんどん、激しくなると。
すごいぞ、シンちゃん!


そうやってもりあがるから、最後のオチが綺麗にきまるんですよね~
いや~うまいです、ホント。

私、こういう、正当派なお笑い的な話、大好きです。
要するに、フリは短く、しかし効果的に。そして、オチは大きく。ってやつですね。

しかも、題材は、笑いとしては、定番な、Hネタ(笑)

やっぱり、すごいですね、tambさん!


【タイトル】Re: プレゼント
【記事番号】-2147481245 (-2147481266)
【 日時 】07/04/16 16:58
【 発言者 】tamb <tamb○cube-web.net>

■tamaさん
 ご無沙汰です! 三月に一度くらいは顔出してくださいよ。生きてるかどうか心配にな
ります。

> アスカはなんとなく、両親がなにをいおうと結婚しちゃうような気がします。私の自由でしょって。

 最終的にはそうなんでしょうけど、義理とはいえ親の了解も得てみんなに祝福されたい、
という気持ちの現われかと思います。
 いきなりドイツに連れて行かれて、目の前にアスカの両親がいて、父親は笑顔だけど目
は笑ってないのを見て直立不動になるカヲル、みたいなのを投下用に途中まで書いてるん
で、出来たら投下します。出来るかどうか謎ですが(^^;)。

> 半分が大人ネタだからでしょうか・・・〔^^;

 でしょう。コメント付けにくいかと(^^;)。


■tomoさん
> すごいぞ、シンちゃん!

 絶倫シンジ君w
 個人的には「また、するの?」とポロリと言ってしまうレイちゃんに萌え(爆)。って、
自分で萌えてどうするって気もしますがー。
 他にも解説したい部分はありますが、この掲示板は18禁不可だし、実際にリアル高校生
も見てると思うと書けない(^^;)。

mailto:tamb○cube-web.net
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