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浪漫、郷愁
投稿日
: 2009/05/31 00:00
投稿者
:
みれあ
参照先
:
【Date:】 23 Jan 2008 18:41:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 浪漫、郷愁
だだっ広いカタパルトに、碇シンジは立ち尽くしていた。このカタパルトはどれくらい広いんだろうか。ロボットでも発進させるつもりなのだろうか。どんなロボットなら似合うだろう。あの怪獣の大きさなら…
「ちょっと、シンジ君、聞いてる?」
「あ、はい、すいません!」
この声はあの金髪の人だろうか。染めてない黒い眉毛が吊り上がっている気がして背筋をぞっと正す。果たして司令部の赤木リツコ博士の眉はキッと吊り上がっていて、彼女はチラリとモニタの隅の使徒接近表示に目をやって小さく舌打ちするとさっきよりは少し声色を和らげて続ける。
「あなたに世界の運命がかかっているわ。貴方ならきっとできる。任せたわよ」
プチン、と通信のスイッチを切ったリツコはMAGIの出す計算結果を睨み、また僅かな時間を惜しみ新たに数式を叩き込む。横にいた葛城ミサト一尉は使命感に俄然燃えた表情をしてーーはおらず、やる気の欠片も感じられない様子で訊く。
「本当にうまくいくの?」
訊かれたリツコの目が爛々と輝く。
「マルドゥック機関が選出した文句なしのサードチルドレンよ? 少なくとも彼に最も可能性があることは確かだわ」
言う彼女の手に力が入る。手に持ったペンがきしむ。
「漢の浪漫が懸かっているのよ。退くわけにはいかないの」
ぎゅっと握りしめられた拳の中でペンが折れる音がする。すでに戦意を失ってしまったミサトはリツコの言う浪漫に気圧されてやむなく言う。
「シンジ君、出撃よ」
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。僕は懐からペンライトのようなよくわからない小道具を取り出して目に当てる。周りが突然光に包まれて一瞬パニックに陥りかけたけれども赤木博士に言われたとおりに大声で名前を呼ぶ。
「エヴァァァンゲリオォォォォン!!」
「おおっ!」
「なんだ!?」
「いったか?」
光の中心から紫色の輝く巨大な球体が飛び出す。カタパルトを通過し第三使徒サキエルの目の前へと飛び上がった球体は、人型に姿を変える。そして巨人のシルエットは、昭和生まれには懐かしい少し猫背のファイティングポーズをとり叫ぶ。
「ジュワッ!!」
発令所のリツコの机がガタンと鳴る。
「やったわ!!」
呆れかえって声も出ないミサトと対照的に、リツコは頬の紅潮を隠しもせず感嘆の声を上げる。
「セカンドインパクトを乗り越え生きてきたのも、中年髭面変態の猥褻を我慢してご機嫌を取ってきたのも全てはこの時の為!!」
中年髭面変態、もといゲンドウの眉が一瞬動いたがリツコは気にする素振りもなく、
「身長40メートル!体重3万5千t!」
どこからともなく古めかしい特撮風BGMが流れ、握った拳を高々と掲げる。
「一市民としての日常は世を忍ぶ仮の姿!真の姿は光の国からやってきた戦士、その名もウルト…エヴァンゲリオォォン!!」
そう、誰が見ても紫色のエヴァンゲリオン初号機だが、髪を振り乱して絶叫する赤木リツコ博士の目に浮かんでいるのはまぎれもなく銀と赤のボディの光の巨人なのである。
「母さん、私は遂に成し遂げたわ…」
浪漫を成し遂げた感慨に耽り、リツコは滝のように涙を流す。
然れども。
一同、沈黙。
ブリッジのほぼ全員にとってリツコの情熱は理解できず、無言の時間が過ぎる。唯一、副司令冬月コウゾウは脳裏に幼少の記憶がフラッシュバックして手に汗を握っていたが。
長い、長い沈黙が場を支配する。
永遠かとも思われた沈黙の後、ようやく青葉シゲル二尉が口を開く。彼はどちらかといえばウルトラ派ではなくライダー派だがでもそんなの関係ねぇ。地球防衛のプロたる誇りを持って彼は言う。
「初号機、沈黙しました」
無理もない。変身したものの戦い方を何一つ教わらなかった碇シンジは為す術なくサキエルに粉砕され玉砕してしまったのである。大喝采である。
「目標、本部に侵入します」
「「「「「「あ」」」」」」
暗転。若しくは終劇。
【Date:】 23 Jan 2008 18:42:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
やっちまいました。
復帰作がこんなカオスになったのに深い意味はありません。
つか、ウルトラマン世代の人はこの近辺にいるのでしょうか…?
多分そうでないとネタが分からない。
ちょっと人生の考え直しが必要ですねorz
【Date:】 24 Jan 2008 10:28:00
【From:】 "Cooper"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
にやり!
リツコさんの気持ちが手に取るように……
カレーのたびにスプーンを高々と天井にかざし、
直後に2本のスプーンを両の目に当てて「じゅわっ!!」っと
叫んでいたひと手をあげて!
ただ、私は怪しげな赤いメガネの赤い宇宙人のほうが好きです。
どちらもリアルタイムでは見てないですが(数年のずれあり)、ネタとしては直撃です(笑)
あの頃は再放送が本当に多かったんですよね。
【Date:】 24 Jan 2008 14:38:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
■Cooperさん
> ただ、私は怪しげな赤いメガネの赤い宇宙人のほうが好きです。
私も実を言うと赤いメガネで変身する方が好きですw
当初の予定ではシンジ君にメガネを使ってもらう予定でしたが、赤と言えばもう一人適任者が居たので赤は譲りました(意味不明
補足しておくと、私は昭和ウルトラマン世代ではありませんので悪しからずw
【Date:】 15 Mar 2008 05:57:00
【From:】 "tamb"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
超遅レス。と思ったけど二ヶ月もたってないんだな。いや、十分遅いけど。
> 僕は懐からペンライトのようなよくわからない小道具を取り出して目に当てる。
ここが違うと思うんだけど、そういう突っ込みは無粋というものなのか(笑)。
めんどくさいからそのまま書くけど、私もセブンの方が好き。そしてセブンの最高傑作
といえばやはり「ノンマルトの使者」です。この作品の異様な後味の悪さは凄すぎます。
脚本の故・金城哲夫の沖縄への想いを併せて見ると鬱になれます(^^;)。どう考えても子
供向けじゃない。
そして監督といえば故・実相寺昭雄。「ノンマルトの使者」は違うけど。この人の映像
は今見ても素晴らしい。勉強になります。ちなみにウルトラマン(セブンじゃない)のス
プーンを高々と掲げてしまう話はこの監督の作品でございます。
と、ほとんど誰にもわからないことを書き殴り、作品にはほとんど触れることなくさよ
うなら(爆)。
【Date:】 15 Mar 2008 20:43:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
■師匠
> ここが違うと思うんだけど
校正ミスという奴ですね。セブン→マンの変更に際して見逃したという奴ですか。
まぁ、ペンライトを目に当てるシンジ君を想像すると愉快ですが(ぉぃ
いやー、セブンは名作でしたよ。平成ではティガもかなりよかったんだけれど、やっぱりセブンが一番だ。
と、このサイトが何のサイトだったか分からなくなったところで失礼します。
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【Date:】 23 Jan 2008 18:41:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 浪漫、郷愁
だだっ広いカタパルトに、碇シンジは立ち尽くしていた。このカタパルトはどれくらい広いんだろうか。ロボットでも発進させるつもりなのだろうか。どんなロボットなら似合うだろう。あの怪獣の大きさなら…
「ちょっと、シンジ君、聞いてる?」
「あ、はい、すいません!」
この声はあの金髪の人だろうか。染めてない黒い眉毛が吊り上がっている気がして背筋をぞっと正す。果たして司令部の赤木リツコ博士の眉はキッと吊り上がっていて、彼女はチラリとモニタの隅の使徒接近表示に目をやって小さく舌打ちするとさっきよりは少し声色を和らげて続ける。
「あなたに世界の運命がかかっているわ。貴方ならきっとできる。任せたわよ」
プチン、と通信のスイッチを切ったリツコはMAGIの出す計算結果を睨み、また僅かな時間を惜しみ新たに数式を叩き込む。横にいた葛城ミサト一尉は使命感に俄然燃えた表情をしてーーはおらず、やる気の欠片も感じられない様子で訊く。
「本当にうまくいくの?」
訊かれたリツコの目が爛々と輝く。
「マルドゥック機関が選出した文句なしのサードチルドレンよ? 少なくとも彼に最も可能性があることは確かだわ」
言う彼女の手に力が入る。手に持ったペンがきしむ。
「漢の浪漫が懸かっているのよ。退くわけにはいかないの」
ぎゅっと握りしめられた拳の中でペンが折れる音がする。すでに戦意を失ってしまったミサトはリツコの言う浪漫に気圧されてやむなく言う。
「シンジ君、出撃よ」
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。僕は懐からペンライトのようなよくわからない小道具を取り出して目に当てる。周りが突然光に包まれて一瞬パニックに陥りかけたけれども赤木博士に言われたとおりに大声で名前を呼ぶ。
「エヴァァァンゲリオォォォォン!!」
「おおっ!」
「なんだ!?」
「いったか?」
光の中心から紫色の輝く巨大な球体が飛び出す。カタパルトを通過し第三使徒サキエルの目の前へと飛び上がった球体は、人型に姿を変える。そして巨人のシルエットは、昭和生まれには懐かしい少し猫背のファイティングポーズをとり叫ぶ。
「ジュワッ!!」
発令所のリツコの机がガタンと鳴る。
「やったわ!!」
呆れかえって声も出ないミサトと対照的に、リツコは頬の紅潮を隠しもせず感嘆の声を上げる。
「セカンドインパクトを乗り越え生きてきたのも、中年髭面変態の猥褻を我慢してご機嫌を取ってきたのも全てはこの時の為!!」
中年髭面変態、もといゲンドウの眉が一瞬動いたがリツコは気にする素振りもなく、
「身長40メートル!体重3万5千t!」
どこからともなく古めかしい特撮風BGMが流れ、握った拳を高々と掲げる。
「一市民としての日常は世を忍ぶ仮の姿!真の姿は光の国からやってきた戦士、その名もウルト…エヴァンゲリオォォン!!」
そう、誰が見ても紫色のエヴァンゲリオン初号機だが、髪を振り乱して絶叫する赤木リツコ博士の目に浮かんでいるのはまぎれもなく銀と赤のボディの光の巨人なのである。
「母さん、私は遂に成し遂げたわ…」
浪漫を成し遂げた感慨に耽り、リツコは滝のように涙を流す。
然れども。
一同、沈黙。
ブリッジのほぼ全員にとってリツコの情熱は理解できず、無言の時間が過ぎる。唯一、副司令冬月コウゾウは脳裏に幼少の記憶がフラッシュバックして手に汗を握っていたが。
長い、長い沈黙が場を支配する。
永遠かとも思われた沈黙の後、ようやく青葉シゲル二尉が口を開く。彼はどちらかといえばウルトラ派ではなくライダー派だがでもそんなの関係ねぇ。地球防衛のプロたる誇りを持って彼は言う。
「初号機、沈黙しました」
無理もない。変身したものの戦い方を何一つ教わらなかった碇シンジは為す術なくサキエルに粉砕され玉砕してしまったのである。大喝采である。
「目標、本部に侵入します」
「「「「「「あ」」」」」」
暗転。若しくは終劇。
【Date:】 23 Jan 2008 18:42:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
やっちまいました。
復帰作がこんなカオスになったのに深い意味はありません。
つか、ウルトラマン世代の人はこの近辺にいるのでしょうか…?
多分そうでないとネタが分からない。
ちょっと人生の考え直しが必要ですねorz
【Date:】 24 Jan 2008 10:28:00
【From:】 "Cooper"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
にやり!
リツコさんの気持ちが手に取るように……
カレーのたびにスプーンを高々と天井にかざし、
直後に2本のスプーンを両の目に当てて「じゅわっ!!」っと
叫んでいたひと手をあげて!
ただ、私は怪しげな赤いメガネの赤い宇宙人のほうが好きです。
どちらもリアルタイムでは見てないですが(数年のずれあり)、ネタとしては直撃です(笑)
あの頃は再放送が本当に多かったんですよね。
【Date:】 24 Jan 2008 14:38:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
■Cooperさん
> ただ、私は怪しげな赤いメガネの赤い宇宙人のほうが好きです。
私も実を言うと赤いメガネで変身する方が好きですw
当初の予定ではシンジ君にメガネを使ってもらう予定でしたが、赤と言えばもう一人適任者が居たので赤は譲りました(意味不明
補足しておくと、私は昭和ウルトラマン世代ではありませんので悪しからずw
【Date:】 15 Mar 2008 05:57:00
【From:】 "tamb"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
超遅レス。と思ったけど二ヶ月もたってないんだな。いや、十分遅いけど。
> 僕は懐からペンライトのようなよくわからない小道具を取り出して目に当てる。
ここが違うと思うんだけど、そういう突っ込みは無粋というものなのか(笑)。
めんどくさいからそのまま書くけど、私もセブンの方が好き。そしてセブンの最高傑作
といえばやはり「ノンマルトの使者」です。この作品の異様な後味の悪さは凄すぎます。
脚本の故・金城哲夫の沖縄への想いを併せて見ると鬱になれます(^^;)。どう考えても子
供向けじゃない。
そして監督といえば故・実相寺昭雄。「ノンマルトの使者」は違うけど。この人の映像
は今見ても素晴らしい。勉強になります。ちなみにウルトラマン(セブンじゃない)のス
プーンを高々と掲げてしまう話はこの監督の作品でございます。
と、ほとんど誰にもわからないことを書き殴り、作品にはほとんど触れることなくさよ
うなら(爆)。
【Date:】 15 Mar 2008 20:43:00
【From:】 "みれあ"
【Subject:】 Re: 浪漫、郷愁
■師匠
> ここが違うと思うんだけど
校正ミスという奴ですね。セブン→マンの変更に際して見逃したという奴ですか。
まぁ、ペンライトを目に当てるシンジ君を想像すると愉快ですが(ぉぃ
いやー、セブンは名作でしたよ。平成ではティガもかなりよかったんだけれど、やっぱりセブンが一番だ。
と、このサイトが何のサイトだったか分からなくなったところで失礼します。