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名案
件名 | : Re: 名案 |
投稿日 | : 2010/04/28 13:57 |
投稿者 | : のの |
参照先 | : |
■tambさん
誤変換多いですよね……久々にまったく読み返しませんでした(汗)
以後気をつけますー。
というわけで、ブログ更新してみました。超過疎地が更にすごいことに!
■caluさん
ども、おひさでーす。
僕の書く小話はすべて距離感だけを考えたものですが、実は携帯電話を使った話はなかった気がします。
そういう意味で、今回の会話はうまく出来たかなと思います。
■JUNさん
感想どもです。
小話はとにかく雰囲気重視なので、集中と勢いが肝心と思っています。それがうまく出たかなと。
だから余計「シンジと話すときの綾波さんが可愛いのだー!」という僕のこだわりが露骨に出るのでしょう(笑)
誤変換多いですよね……久々にまったく読み返しませんでした(汗)
以後気をつけますー。
というわけで、ブログ更新してみました。超過疎地が更にすごいことに!
■caluさん
ども、おひさでーす。
僕の書く小話はすべて距離感だけを考えたものですが、実は携帯電話を使った話はなかった気がします。
そういう意味で、今回の会話はうまく出来たかなと思います。
■JUNさん
感想どもです。
小話はとにかく雰囲気重視なので、集中と勢いが肝心と思っています。それがうまく出たかなと。
だから余計「シンジと話すときの綾波さんが可愛いのだー!」という僕のこだわりが露骨に出るのでしょう(笑)
件名 | : Re: 名案 |
投稿日 | : 2010/04/25 20:47 |
投稿者 | : JUN |
参照先 | : |
JUNです。
この鮮やかさが好きです。描写はけっこうシリアスというか硬質なのに、シンジとの会話で急に浮かび上がってくる。柔らかさがいいですね。
次作も楽しみにしております。
この鮮やかさが好きです。描写はけっこうシリアスというか硬質なのに、シンジとの会話で急に浮かび上がってくる。柔らかさがいいですね。
次作も楽しみにしております。
件名 | : Re: 名案 |
投稿日 | : 2010/04/25 00:17 |
投稿者 | : calu |
参照先 | : |
ののさん
ご無沙汰してます。
リハビリどころか、相も変わらず…お見事です。
>「いつ来たの?」
着実に距離を縮めていく二人を、何気ない演出でその心情描写に色を付けていくのは
まさしくののさんの作風だと思います。また近い内に拝読させて頂ければと思います。
"Not with you"も楽しみにしております。
ご無沙汰してます。
リハビリどころか、相も変わらず…お見事です。
>「いつ来たの?」
着実に距離を縮めていく二人を、何気ない演出でその心情描写に色を付けていくのは
まさしくののさんの作風だと思います。また近い内に拝読させて頂ければと思います。
"Not with you"も楽しみにしております。
件名 | : Re: 名案 |
投稿日 | : 2010/04/22 00:18 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
誤変換の多さもあの頃のののさんです(爆)。まぁ天才肌の人はそれでもいいのかなと最近は
思います。なんだかんだいって勢いって大事ですからね。結果的に作品が面白ければ、それで
いいのよ。
てなことで『Growing Comedian』待ってます(笑)。ブログの更新もね。
思います。なんだかんだいって勢いって大事ですからね。結果的に作品が面白ければ、それで
いいのよ。
てなことで『Growing Comedian』待ってます(笑)。ブログの更新もね。
件名 | : Re: 名案 |
投稿日 | : 2010/04/21 10:30 |
投稿者 | : のの |
参照先 | : |
どもでーす。
お褒めの言葉ありがとうございます。
最初は「雨が降って、傘の花が咲く」という景色を唄った歌から拝借して膨らませたお話です。
最初に浮かんだラストは「ゆっくり歩く→急いで帰る」の変化だけでした。シンジがいるらしい
から急いで帰ろう、という。そこから先を書けてよかったかな。
aba-mさんのお話も久々に読みましたが、今回、質感は似ているかも。
ただこっちは大分じめっとしている気もするなー。
さーてそろそろ、連載書こう!うをー!空元気だー。
お褒めの言葉ありがとうございます。
最初は「雨が降って、傘の花が咲く」という景色を唄った歌から拝借して膨らませたお話です。
最初に浮かんだラストは「ゆっくり歩く→急いで帰る」の変化だけでした。シンジがいるらしい
から急いで帰ろう、という。そこから先を書けてよかったかな。
aba-mさんのお話も久々に読みましたが、今回、質感は似ているかも。
ただこっちは大分じめっとしている気もするなー。
さーてそろそろ、連載書こう!うをー!空元気だー。
件名 | : Re: 名案 |
投稿日 | : 2010/04/18 20:48 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
数年前の、掲示板には先鋭的な断片を投下し、投稿として野心的だけれどどこかほっとする
ような作品を送って来ていた頃のののさんを思わせる作品。
aba-m.a-kkvさんと同じく透明度は高く硬質だけれども、軽く触れるだけでぐにゃりとその
姿を変えてしまうような、ともすれば曖昧になってしまいそうな存在感をギリギリの綱渡りで
維持している危うさを描く緊迫感がある。
脳から指先までは凄まじくダイレクトだけれど、恐らくそこから先は断絶している。それは
緊迫感にも繋がる。いわば天才肌。作者の指先には、努力しなければたどり着けない。流して
読むと別の場所に行ってしまう。あるいはどこにも行けない。指先にたどり着ければ、そこか
ら脳まではダイレクト。
今、どこにいる?
それは彼女の現在位置を確認しない。
シンジは自分の居場所を告げる。だが彼女に「どこにいるのか」とは聞かない。「外?」と
聞くだけ。彼女はただ「ええ、そうよ」と答えるだけ。それでも彼女は自分の居場所を確認し
た。
aba-m.a-kkvさんの「ウィンドアンカァ」を読みコメントを書いた直後であることから受け
るバイアスは意識している。でも私にはそうとしか読み取れない。
私はののさんの指先にたどり着いているであろうか。
というわけでののさん、お帰りなさい。
ような作品を送って来ていた頃のののさんを思わせる作品。
aba-m.a-kkvさんと同じく透明度は高く硬質だけれども、軽く触れるだけでぐにゃりとその
姿を変えてしまうような、ともすれば曖昧になってしまいそうな存在感をギリギリの綱渡りで
維持している危うさを描く緊迫感がある。
脳から指先までは凄まじくダイレクトだけれど、恐らくそこから先は断絶している。それは
緊迫感にも繋がる。いわば天才肌。作者の指先には、努力しなければたどり着けない。流して
読むと別の場所に行ってしまう。あるいはどこにも行けない。指先にたどり着ければ、そこか
ら脳まではダイレクト。
今、どこにいる?
それは彼女の現在位置を確認しない。
シンジは自分の居場所を告げる。だが彼女に「どこにいるのか」とは聞かない。「外?」と
聞くだけ。彼女はただ「ええ、そうよ」と答えるだけ。それでも彼女は自分の居場所を確認し
た。
aba-m.a-kkvさんの「ウィンドアンカァ」を読みコメントを書いた直後であることから受け
るバイアスは意識している。でも私にはそうとしか読み取れない。
私はののさんの指先にたどり着いているであろうか。
というわけでののさん、お帰りなさい。
傘を差す。
花が咲く。
顔は見えなくなりました。
名案
Written By NONO
雨が降っている。その中を歩いているので、必然的に服が濡れている。鞄も濡れている。髪の毛は言うまでもなく。
わたしは雨が嫌いではない。
雲が町を霞ませて、透明の雨が景色を不透明にしている様子は、事象の必然性を静かに具体的に見せてくれる。学校
を午前中で帰って濡れずに済んだのに、それを見たくてまた外に出た。すれ違う人は皆傘を差している。足下が不安定
な中、出来うる限りの早さで歩いている。足下に気を配りながら、たぶん天気を呪いながら。
大きな交差点を信号待ちしている間も渡り終えてもわたしは気にしていないので、ゆっくり歩いている。ハンバーガ
ー屋の前で立ち話をしている、目に煩い服を着ている人達が口を動かすのを止めて、視線でだけわたしを追う。
「ああいうのが激しいのが理想じゃね?」
日常茶飯事の事だけど、こういう、解析不可能な呟きが聞こえる時もある。わたしに対しての評価を下しているのも
理解しているけれど、わたしと彼らは無関係なので、無意味だと思う。
見上げた空は灰色で、信号機をぶら下げた電柱と似ていた。視界に入った電柱が曲がって、横向きであるべきなのに
縦になっていた。先日の戦いがもたらした非日常の現象を、どの車も問題なく解釈している。使徒の存在もエヴァの存
在も公に知らされていなくても皆生きている。明日からハンバーガーの肉が鼠になっても、知らなければ問題ないのか
もしれない。異物が存在しても知らなければ問題ないことを、わたしは知っている。
電話が鳴った。着信音が鳴るのは、あの人からの電話だから。
「私だ」
電話の声はいつも通り低く、重たい。この人の声には重みがあると、わたしは思う。この人はひとりだから重いので
はないかと、わたしは思う。同じ重さだと思ったのは、他に一人だけ。重さを感じさせない顔で、重い声を。
「はい」
わたしと碇司令のやりとりは、この会話から始まる。司令が「私」だと述べ、わたしはそれを承認する。「私」
があなたであることを了承する。
「今、どこにいる? 18時半から食事にしよう」
「わかりました」
携帯電話を持ち替え、腕時計で確認する。ちょうど一時間前だった。
「18時には迎えを寄越す」
「わかりました」
わたしは了承だけをつづけ、電話は切れた。十五分あれば帰れる距離だった。わたしの頭は高速で回転し、最短距
離を確認する。渡ってきた交差点を避けるために反対の通りに渡り、歩道橋を目指した。
雨足は急がず、緩まず。すれちがう人が傘のないわたしに奇異の目を向けるか、傘で視界を遮られ続ける程度には降
り続けている。高層ビルのてっぺんは見えなくて、木々の緑は濃く映る。それでいいと、何故か思った。
ぶうん。
電話が震えた。あの人ではないので、出るのは義務ではない。でも確認は必要なので液晶画面を確認した。あの人から
だった。たぶん、電話がかかってきたのは初めてだった。歩く速度が、遅くなった。
「はい」
『綾波?』
雨の音で少し遠い、細い、なのに何故だか力んだ声。
「なに?」
彼がわたしに電話をかけてくる理由が見あたらなかった。
『いや、大したことじゃないんだけど……その、委員長にプリント届けるよう頼まれて、行ったらいなかったから……
ポストに入れても読まないと思ったんだけど、持って帰るわけにもいかないからさ……あの、結局ポストに入れたんだ
けど、それを言っておかなきゃと思って、だから電話したんだけど……』
「けど、なに?」
『いや、別に、それだけなんだけど……』
ちゃんとした用件だったので、わたしは納得した。納得したけど、訊ねた。
「いつ来たの?」
『いや、あの、今、部屋の前にいるよ。途中で帰ったから、ネルフにいるのかと思ったけど……外?』
「ええ、そうよ」
ここからだと、まだ、十五分近くかかる。
『そうなんだ……雨、気をつけてね』
彼の声が、最初より緩んだ。彼は時々、緩んだ声を出す。その声はとても耳障りがよいのだけど、雨の中を走る車の
音にほとんどかき消されてしまった。
「どうして?」
『風邪引いたら大変だしさ』
「そう……そうね」
『じゃあ、あの、入れておいたからさ、ちゃんと見てよ』
「ええ」
『じゃああの、また明日』
ここから少しの距離にいるのに?そんな考えが頭に浮かんだ。急げば十分とかからない。そんな考えも浮かんできた。
雨のせいで歩きづらい。雨さえ降っていなければ、そもそも外に出ていなかった。
「明日は学校行かないから」
『そうなの?』
「ええ、軌道試験が午後から」
「ああ、そっか……」
また、考えたことのないことを思いついた。
「でも……午前中だけなら、行ける」
『来るの?』
来たことないでしょ、そういう時。言外にそう言っていた。
「行くわ」
間延びした会話だった。その間、わたしの両脚はどんどん回転を速めていた。あと五分の距離まで迫っていた。彼が歩
き出した気配はない。
『じゃあ明日、学校で』
「……ええ」
会話の終着点だとわかった。
電話も切れ、急ぐ理由を失った脚の動きは途端に鈍った。食事の前に着替えてシャワーを浴びるのには都合が良い時
間に帰れそうだった。ちょうどいい。それなのに。
「びしょ濡れだ!」
反対側の通りのコンビニから、シマウマのような格好をした男の人が叫んでいた。視線をちらりと向けると、明らか
にわたしに向けて叫んでいて、その人の周りもとても於かしそうに笑いながら彼を注意していた。
びしょ濡れのわたしは、笑われている。確か、テレビで流れる映像でもよくある光景だった。それを体験している自
分がいるらしいけれど、感慨はない。満たされていないと感じる自分でいっぱいだった。
気がつくと、雨足が急速に弱まっていた。視界は悪いし傘を差している人ばかりだけど、歩きやすさが違った。傘
がない、下を向いていないわたしにはわかった。
それでもわたしはゆっくり歩くことにした。
碇くんにとっても歩きやすくなった空の下を、ゆっくり帰ることにした。