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硝子の檻の中のラムネ玉 110606
件名 | : Re: 硝子の檻の中のラムネ玉 110606 |
投稿日 | : 2011/06/13 23:57 |
投稿者 | : aba-m.a-kkv |
参照先 | : |
■ののさん
もう、なんというか、とてつもなく嬉しいです。
いやはや、まさか書いていただけるなんて夢にも思っていませんでしたので、破壊力抜群です!!
感想のほうは「夏の音色」のほうに。
今回の「ラムネ」というアイデアは、じつは私から生まれたものではなく、
私の友が「糖度の高いオリジナル読んでみたい」とリクエストをくれたので、
「ならお題をちょうだいな」と私。
「じゃあラムネで、もうすぐ夏だし」というようなやり取りがありまして。
その時点で0606のネタに窮していた私は、じゃあSSもこれをテーマに書いてみよう、ということで出来たのがこのお話なのです。
(この場を借りて友に感謝、あなたのおかげでこのお話が生まれましたよ)
さて、少しはラムネのように甘かったでしょうか?
直接描写したくなかったので、最後の一文に甘さを込めてみました。笑
こちらこそ、また一年、どうかよろしくお願いします。
■tambさん
おお、tambさんがラムネを!
いや、なんというか、私の話を読んで、ああ、ラムネ飲みたいな、と思ってもらえたらなんて素敵だろう、
と思っていたので、すごく嬉しいです。
いな、ラムネというノスタルジックな存在の威力なのかもしれませんが。
私は、もしかすると繋ぎのない硝子のラムネを飲んだことがないかもしれません。
一度くらいはあるのかな、くらい、思い出せないくらいのものです。
この話を書くにあたって少し調べてみたのですが、硝子だけのラムネのビンというのは日本ではもう製造していないそうで、あるのは再利用品なんだそうです。
ますます割れなくなりました。笑
そして、感想ありがとうございます。
もはや感想を超越してプロットのようですが。笑
そしてtamaさんの絵!
よく見つけましたね、私はすっかり忘れておりました。
なんというか、tamaさん、ののさん、私のシンクロ率がとても高いような気がします。笑
もう、なんというか、とてつもなく嬉しいです。
いやはや、まさか書いていただけるなんて夢にも思っていませんでしたので、破壊力抜群です!!
感想のほうは「夏の音色」のほうに。
今回の「ラムネ」というアイデアは、じつは私から生まれたものではなく、
私の友が「糖度の高いオリジナル読んでみたい」とリクエストをくれたので、
「ならお題をちょうだいな」と私。
「じゃあラムネで、もうすぐ夏だし」というようなやり取りがありまして。
その時点で0606のネタに窮していた私は、じゃあSSもこれをテーマに書いてみよう、ということで出来たのがこのお話なのです。
(この場を借りて友に感謝、あなたのおかげでこのお話が生まれましたよ)
さて、少しはラムネのように甘かったでしょうか?
直接描写したくなかったので、最後の一文に甘さを込めてみました。笑
こちらこそ、また一年、どうかよろしくお願いします。
■tambさん
おお、tambさんがラムネを!
いや、なんというか、私の話を読んで、ああ、ラムネ飲みたいな、と思ってもらえたらなんて素敵だろう、
と思っていたので、すごく嬉しいです。
いな、ラムネというノスタルジックな存在の威力なのかもしれませんが。
私は、もしかすると繋ぎのない硝子のラムネを飲んだことがないかもしれません。
一度くらいはあるのかな、くらい、思い出せないくらいのものです。
この話を書くにあたって少し調べてみたのですが、硝子だけのラムネのビンというのは日本ではもう製造していないそうで、あるのは再利用品なんだそうです。
ますます割れなくなりました。笑
そして、感想ありがとうございます。
もはや感想を超越してプロットのようですが。笑
そしてtamaさんの絵!
よく見つけましたね、私はすっかり忘れておりました。
なんというか、tamaさん、ののさん、私のシンクロ率がとても高いような気がします。笑
件名 | : Re: 硝子の檻の中のラムネ玉 110606 |
投稿日 | : 2011/06/12 11:17 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
件名 | : Re: 硝子の檻の中のラムネ玉 110606 |
投稿日 | : 2011/06/11 01:59 |
投稿者 | : のの |
参照先 | : |
>さっきラムネを買ってきて、ただいま飲んでおります(笑)。
まあかわいらしい(笑)
まあかわいらしい(笑)
件名 | : Re: 硝子の檻の中のラムネ玉 110606 |
投稿日 | : 2011/06/09 02:55 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
まともなラムネ――ガラス瓶に入っていてラムネ玉で密閉されているという意味で――とい
うのは、たぶん小学生の頃に縁日で飲んだ切りだと思う。店のおじさんにぶしゅっと開けて貰
って飲んだ。自分で開けた記憶はない。
あのビー玉は欲しかったなぁ。夜店の白熱灯のせいもあるのだろうか、なんだかすごく綺麗
だった。かりん、という涼やかな音も良かったよね。でもビンを割ってはいけないような気が
して、結局はそのままビンを返していた。
ラムネ玉はあのガラス瓶の中にあってこそラムネ玉で、出してしまえばたぶん普通のビー玉
なんだろうと思う。
だから、君は僕のラムネ玉、と思ったとき、シンジ君はラムネ玉を閉じ込めているガラス瓶
になっている。大切なものは閉じ込めておきたいからね。「僕はもうラムネ玉を持ってる」と
いうのはそういうことだと思う。
でもきっと、この新しいガラス瓶に入ってゆくことを決断した彼女は、自分の意志で外に出
て行くこともできる。抱き締めている彼の腕の中からするりと抜けていくように。そして彼女
は、ガラス瓶の中にあっていつもとは違う輝きを見せる自分にも気づくようになる。かりん、
という涼やかな音を立てて。
だからもう、ガラス瓶を割る必要はない。
全然感想になってませんが、夏とラムネのイメージが鮮烈な、素敵な話でした。好きです、
こういう話。
うのは、たぶん小学生の頃に縁日で飲んだ切りだと思う。店のおじさんにぶしゅっと開けて貰
って飲んだ。自分で開けた記憶はない。
あのビー玉は欲しかったなぁ。夜店の白熱灯のせいもあるのだろうか、なんだかすごく綺麗
だった。かりん、という涼やかな音も良かったよね。でもビンを割ってはいけないような気が
して、結局はそのままビンを返していた。
ラムネ玉はあのガラス瓶の中にあってこそラムネ玉で、出してしまえばたぶん普通のビー玉
なんだろうと思う。
だから、君は僕のラムネ玉、と思ったとき、シンジ君はラムネ玉を閉じ込めているガラス瓶
になっている。大切なものは閉じ込めておきたいからね。「僕はもうラムネ玉を持ってる」と
いうのはそういうことだと思う。
でもきっと、この新しいガラス瓶に入ってゆくことを決断した彼女は、自分の意志で外に出
て行くこともできる。抱き締めている彼の腕の中からするりと抜けていくように。そして彼女
は、ガラス瓶の中にあっていつもとは違う輝きを見せる自分にも気づくようになる。かりん、
という涼やかな音を立てて。
だからもう、ガラス瓶を割る必要はない。
全然感想になってませんが、夏とラムネのイメージが鮮烈な、素敵な話でした。好きです、
こういう話。
子供の頃、真夏の暑い時期に飲んだラムネのことが忘れられなかった。
忘れられないのはラムネの味ではなく。
砕こうと思いながら砕けなかった、檻のようなラムネのビンと、手に入れたいと思いながら手に入れられなかった囚われのラムネ玉。
砕こうと、手に入れようと、思いながら時が過ぎ、失ってしまったラムネのことが、忘れられなかった。
硝子の檻の中のラムネ玉 aba-m.a-kkv 110606
氷を目一杯詰め込んだバケツの中に水を張り、そこにラムネを二本差し込む。
一つは僕の分、一つは彼女の分。
暑い六月の日の昼下がり。
久々に晴れた青空の下に布団を干し終えて、そのままベランダに足を投げ出して雲を眺めていた彼女のもとに向かう。
僕の青空は、やっぱり青空の下にいるのが似合う、そんなふうに思いながらキンキンに冷やしたラムネを彼女に手渡した。
「これ、なに?」
受け取った彼女の紅い眸が珍しそうに見つめる。
恐らく初めて見る飲み物なんだろう。
ラムネの硝子のビンの形は他にない特有のものだ。
「ラムネっていうんだ。
子供の頃には好きで飲んでてさ、買い物に行ったら売ってたから、懐かしくて買ってきたんだ」
僕は彼女の隣に腰を下ろし、同じようにベランダに足を投げ出した。
足に当たるジリジリした太陽の光と、その上を撫でる風が心地いい。
「これ、どうやって飲むの?」
数拍して彼女が僕の方に振り向き少し怪訝そうに尋ねる。
付属している上蓋を片手に、ひっくり返したり口許を回そうと試みる彼女がなんだかかわいい。
知っていれば何ということもないのかもしれないが、初めてでは戸惑うかもしれない。
「こうやってやるんだよ」
バケツの中から自分の分のラムネを抜き出して付属している上蓋を乗せ、掌で覆って押し抜いた。
小気味いい音がして蓋になっていたラムネ玉が炭酸の中に落ち込む。
「押し込んですぐ手を離すと炭酸が溢れてくるから、少しの間押さえておくのがコツなんだ」
それから彼女の分も、一緒にその掌を重ねて蓋を落とす。
開いたビンの口元からしゅわしゅわと音が弾けた。
「おもしろい作りね、硝子の玉で蓋をしているなんて。
どうやって入れたのかしら」
空にかざしながら、彼女は興味深そうに見仰いだ。
空の色よりもずっと淡い、どちらかといえば彼女の髪の色に近い色。
その中を上る細かい泡がきらきら輝いている。
ビンから見通した先が空から水の中に変わったようだった。
「その真ん中に落ちたのがラムネ玉っていうんだよ。
口が広いうちにラムネ玉を入れて、それから口元を熱して閉じるんだ」
そうなの、と声を漏らした彼女は幾許かの間見つめて、それからおずおずとビンを傾けた。
炭酸が湧き踊る中、淡い青が彼女の中に滑り込んでいく。
「炭酸が刺激的、でもとても甘くてさわやかな味。
はじめて飲むのに、不思議ね、なんだか懐かしい気がする」
少し驚きの表情を浮かべたあと目を細めて彼女がいう。
彼女の小さい頃に、こういうもので懐かしいと思えるものはなかったはずだ。
だから、それが記憶に結び付かない感覚的なノスタルジーだとしても、そう感じてもらえたのが嬉しかった。
彼女はもう一口飲み込んで、それから僕の方に眸を向け、そして――
「おいしい」
そう微笑んだ。
太陽さえ霞むような笑顔に、僕は刹那頬を染める。
それはよかった、僕は笑って、懐かしさを感じる味を一緒に楽しんだ。
「綺麗ね、ラムネ玉。
これはとれないものなの?」
ビンを青空に透かして彼女が尋ねる。
ほとんど空になったラムネのビンは幻想を抜き取られた現実のように思えた。
そうであるなら、ラムネ玉は取り残されたものなのかもしれない。
「いまは蓋がとれるのが多いみたいけど、昔ながらのビンは割らない限りとれないんだ」
そう答えながら透かしたビンに、昔訪れた海洋研究機構で水槽の中の魚たちを二人見つめた時の記憶がふと甦った。
この中でしか生きられない、そうであるにしては狭すぎる世界を。
「そう、閉じ込められてるのね」
彼女がそう言ったことに少し安心する。
彼女自身はもうそこにはいない、その自覚を滲ませていたから。
だから僕は口唇に結わえていた封を解く。
このラムネを見たときに思ったことを。
懐かしさだけではない過去と今の想いを。
「僕も子供のころ欲しかったんだ」
彼女が僕の方を向く。
手に持っていたビンを床に静かに置き、真っ直ぐな紅い眸が僕を見つめる。
そんな彼女に僕は一つ笑みを返した。
「でも子供のころは割れなかったんだ。
このラムネ玉を取り出して、自分のものにしたかったんだけど。
結局ビンを割ることが出来ずに捨ててしまっていたんだよね。
やろうと思えば、出来ないことはなかったはずなのにね」
彼女はただ静かに聞いてくれている。
わかっているんだ、今話していることがただのラムネの話や懐かしい子供の頃の話じゃないことに。
そして、僕たち二人がいた世界が同じだったんだということも。
「でも、僕はあの夏の終わりに、この硝子の檻を割れたような気がするんだ」
それまでの時と機会を自ら諦めてきたのは、僕も彼女も同じだった。
それぞれが一人で歩んできた道はその繰り返し。
でも、僕たち二人が出会ったとき、出来ないと思い込んできた術を見つけ、やれないと思っていた心に意志を見出した。
だからいまこうして、二人隣り合ってここにいる。
僕は最後の一口を飲み終えると、ラムネのビンをバケツの中に戻した。
それを目で追って、彼女が口を開く。
「割らなくていいの?」
いまなら、物理的にビンの中のラムネ玉を取り出すことも出来る。
それは子供の頃の夢なのかもしれないし、置いてきてしまった記憶なのかもしれない。
でも、それらも含めて、あの時砕いた硝子の檻だったんだろう。
それに、このラムネを見たときに強く想ったのは硝子の檻のことじゃない。
「いいんだ、僕はもうラムネ玉を持ってるから。
宝物みたいに大切なラムネ玉を、僕はもう持ってるから」
そして僕は彼女の紅い眸を見つめ、その手に指を絡めて寄り添った。
いま触れているものがそうなのだと、ありったけの想いを込めて。
「君のことだよ」
ラムネを見たときに想ったのは、砕いた硝子の檻じゃなかった。
それよりも何よりも、そこから取り出したラムネ玉そのもの。
大切なものは目の前にある。
それだけでいい。
たった一度砕いて、たった一度手に入れた、目の前のたった一つだけで。
だからラムネを飲んで残るのは心地いい懐かしさと。
彼女の口唇に残るほのかなラムネの甘みだけ。
シンジ君へ、一年間お世話になりました。
また一年、よろしく。