TOP
> 記事閲覧
またも誕生日
件名 | : Re: またも誕生日 |
投稿日 | : 2012/08/16 03:49 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
カニが食いたい。なんかずいぶん長いこと食ってないような気がする。カニカマばっかで。
> 当面仕事が無い農業従事者と有給の有り余った科学者だ。
加持とリツコか!w
> 当面仕事が無い農業従事者と有給の有り余った科学者だ。
加持とリツコか!w
件名 | : Re: またも誕生日 |
投稿日 | : 2012/08/13 21:05 |
投稿者 | : 何処 |
参照先 | : |
【-シンジ君誕生日後日談-ひしょと野球(+甲殻類)】
プシュン
「おい碇、一寸いい…か…」
“ワァー――ッッ”“ドンドンドン!ドンドンドン!”
“バッター、◇◇に代わりまして代打、〇〇〇・代打、〇〇〇”
“ウヲォォォー―ッ!!”
“♪チャッチャーララッ♪チャッチャーララッ♪チャッチャーララッ♪チャッチャーララッ♪かっ飛ばせ~〇〇〇♪”
【パンダヒーロー】http://www.youtube.com/watch?v=Sy3y7UrAgyo&sns=em
「…何を見ておる碇。」
「甲子園だ。」
「そんな事は分かっておる。碇、今は執務中だぞ?」
「問題無い。初の第三新東京選抜高の試合だ、学校関係者や役所からも職員の応援を認可せよとの依頼が来ている。Aシフト以外は特別な事情が無い職員の有給は許可する様通達も出した。」
「しかしなぁ…お!打った!入るぞこれは!」
「…ああ、間違いない。勝ち越しホームランだ。」
***
「勝ったな…」
「ああ…ところで何の用件だ冬月?」
「おっといかん、用件を忘れておった。実はな碇、又葛城君がとんでも無い申請を出して来おったぞ。」
「…」
「申請名目はチルドレン達の実地視察兼研修旅行だそうだが…どう考えてもこれは通らんな。大体前回は箱根保養所だと言うのに今回は北海道だ、理由が判らん。」
「…続けろ」
「何よりふざけとるのがこの行動予定だ。二泊三日で長万部に登別?旭川生物研究所に富良野農場に硝子館!?これの何処が研修旅行だ!全く非常識にも程があるわい。」
「…構わん。」
「碇?」
「視察団の研修旅行などそんなものだ…いや、役立たずの議員やら役人の視察や友好交流に比べればその程度未だマシだろう。」
「むう…確かにそうだが…」
「少なくともチルドレン達のガス抜き程度の効果は在る…巧く行けばチルドレン同士の結束も強まるかもしれん。」
「…考え様か。例え僅かでも効果と収穫を期待できる分確かにやらんよりはマシだな。それに役人の研修会や議員視察団派遣よりは遥かにコストも安く付く。では…」
「反対する理由は無い。許可する。」
「うむ…(…だが碇…甘過ぎでは無いか?)」
「…不満そうだな。では監視役も付けよう。」
「監視役?」
「暇を持て余している連中だよ冬月。当面仕事が無い農業従事者と有給の有り余った科学者だ。」
「成る程…どちらも放っておけば暇に任せて何を仕出かすか判らんか。」
「…(ニヤリ)」
「しかし…この悪党め、突発企画のどさくさ紛れに厄介払いとはな。ではこの申請、通して良いんだな?」
「無論だ。」
***
フォンフォンフォンフォン…
“機体側よりコントロールへ、給油作業完了、同乗者搭乗全員確認、搭乗口閉鎖”
“コントロール及びパイロットに連絡・発進前点検終了、サブパワーユニット、機体各部、計器表示共にオールグリーン、メインエンジンアイドリングにて異常無し”
「ほう、貴様が見送りとは珍しいな。家族愛に目覚めたか碇?」
「…視察先の旭川生物研究所養魚研究室から甲殻類の冷凍生体サンプルを宅配で送って来るらしい…」
「…」「…」
「…蟹か…」
「ああ…」
“離陸1分前、作業員は待機スポットへ退避、繰り返す、作業員は待機スポットへ退避”
“退避完了”
フイィー―…ボッ!ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…カィーーン…キィィィィィ~~ン…
「…」
「…行ったな。」
「…ああ…」
「…北海道か…遠いな…」
「…ああ…」
「…北海道は…」「…でっかいどう…」
「…」「…」
ヒゥ~~
「「…」」
【パンダヒーロー(フリーダムに歌ってみた)】
http://www.youtube.com/watch?v=y6EYV2yPY98&sns=em
「…さて、帰るか。」
「ああ…(美女な秘書が避暑に飛翔…)」
「?何か言ったか碇?」
「…いや…」
*皆様に暑中お見舞い申し上げます…*
プシュン
「おい碇、一寸いい…か…」
“ワァー――ッッ”“ドンドンドン!ドンドンドン!”
“バッター、◇◇に代わりまして代打、〇〇〇・代打、〇〇〇”
“ウヲォォォー―ッ!!”
“♪チャッチャーララッ♪チャッチャーララッ♪チャッチャーララッ♪チャッチャーララッ♪かっ飛ばせ~〇〇〇♪”
【パンダヒーロー】http://www.youtube.com/watch?v=Sy3y7UrAgyo&sns=em
「…何を見ておる碇。」
「甲子園だ。」
「そんな事は分かっておる。碇、今は執務中だぞ?」
「問題無い。初の第三新東京選抜高の試合だ、学校関係者や役所からも職員の応援を認可せよとの依頼が来ている。Aシフト以外は特別な事情が無い職員の有給は許可する様通達も出した。」
「しかしなぁ…お!打った!入るぞこれは!」
「…ああ、間違いない。勝ち越しホームランだ。」
***
「勝ったな…」
「ああ…ところで何の用件だ冬月?」
「おっといかん、用件を忘れておった。実はな碇、又葛城君がとんでも無い申請を出して来おったぞ。」
「…」
「申請名目はチルドレン達の実地視察兼研修旅行だそうだが…どう考えてもこれは通らんな。大体前回は箱根保養所だと言うのに今回は北海道だ、理由が判らん。」
「…続けろ」
「何よりふざけとるのがこの行動予定だ。二泊三日で長万部に登別?旭川生物研究所に富良野農場に硝子館!?これの何処が研修旅行だ!全く非常識にも程があるわい。」
「…構わん。」
「碇?」
「視察団の研修旅行などそんなものだ…いや、役立たずの議員やら役人の視察や友好交流に比べればその程度未だマシだろう。」
「むう…確かにそうだが…」
「少なくともチルドレン達のガス抜き程度の効果は在る…巧く行けばチルドレン同士の結束も強まるかもしれん。」
「…考え様か。例え僅かでも効果と収穫を期待できる分確かにやらんよりはマシだな。それに役人の研修会や議員視察団派遣よりは遥かにコストも安く付く。では…」
「反対する理由は無い。許可する。」
「うむ…(…だが碇…甘過ぎでは無いか?)」
「…不満そうだな。では監視役も付けよう。」
「監視役?」
「暇を持て余している連中だよ冬月。当面仕事が無い農業従事者と有給の有り余った科学者だ。」
「成る程…どちらも放っておけば暇に任せて何を仕出かすか判らんか。」
「…(ニヤリ)」
「しかし…この悪党め、突発企画のどさくさ紛れに厄介払いとはな。ではこの申請、通して良いんだな?」
「無論だ。」
***
フォンフォンフォンフォン…
“機体側よりコントロールへ、給油作業完了、同乗者搭乗全員確認、搭乗口閉鎖”
“コントロール及びパイロットに連絡・発進前点検終了、サブパワーユニット、機体各部、計器表示共にオールグリーン、メインエンジンアイドリングにて異常無し”
「ほう、貴様が見送りとは珍しいな。家族愛に目覚めたか碇?」
「…視察先の旭川生物研究所養魚研究室から甲殻類の冷凍生体サンプルを宅配で送って来るらしい…」
「…」「…」
「…蟹か…」
「ああ…」
“離陸1分前、作業員は待機スポットへ退避、繰り返す、作業員は待機スポットへ退避”
“退避完了”
フイィー―…ボッ!ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…カィーーン…キィィィィィ~~ン…
「…」
「…行ったな。」
「…ああ…」
「…北海道か…遠いな…」
「…ああ…」
「…北海道は…」「…でっかいどう…」
「…」「…」
ヒゥ~~
「「…」」
【パンダヒーロー(フリーダムに歌ってみた)】
http://www.youtube.com/watch?v=y6EYV2yPY98&sns=em
「…さて、帰るか。」
「ああ…(美女な秘書が避暑に飛翔…)」
「?何か言ったか碇?」
「…いや…」
*皆様に暑中お見舞い申し上げます…*
件名 | : Re: またも誕生日 |
投稿日 | : 2012/06/26 04:30 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
「碇くん誕生日記念」にぶら下げる勇気がなかったのでここにw
お下劣です。
書いては見たものの詰める気力はなかったので書きなぐり。詰めたところでどうなるわけで
もないし(^^;)。
----------
続いて行動を起こしたのはアスカであった。
「めええ」
シンジは硬直し、続いて深くため息をついた。
「アスカ……」
「めえ?」
「百歩譲って言えば、アスカはメイドでもいいと思うんだ」
「めえ」
「アスカのそれは執事でもなければ羊でもない。山羊だ。全く意味がないんだよ」
山羊アスカは背後に隠し持っていた皿を得意げに差し出した。そこにはクレープらしきもの
が紙状に展開されている。続けてチョコレートらしきものの入ったチューブを出した。何かを
期待するような、可愛い笑顔でシンジを見つめる。
シンジはやむを得ず彼女の期待に応えた。それしかないじゃないか。チューブを取り、クレ
ープに字を書く。
『アスカはどんな格好でも可愛いね』
山羊アスカはクレープを取るとぱくぱくむしゃむしゃと一気に食べた。
「しろやぎさんたらお手紙食べた~♪」
歌いながら去って行く山羊アスカを呆然と見送る。
いずれにしろ意味が無いことに変わりはないのではないかと思うシンジであった。
次に行動を起こしたのはミサトである。
それはその日の夜、シンジが宿題を片付けている時のことであった。
コンコン、とドアをノックする音がした。彼は最初、それがノックの音だとは気づかなかっ
た。シンジの部屋の入り口はふすまであるため、ノックしてもコンコンという澄んだ音はせず、
ばすばすというような間の抜けた音がするだけなのである。
再びコンコンと音がし、シンジはようやく顔を上げた。
「は、はい?」
「碇さん、コーヒーをお持ちしました」
静かにふすまが開かれ、入ってきたのはビシッとスーツに身を固めたミサトである。
ミサトは、硬直すると言うよりあっけにとられているシンジを尻目に、正座して(シンジの
机は座り机のためこうするしかない)机の上にコーヒーを置くと、トレイを胸に当て、柔らか
な、それでいて少女のようないたずらっぽい微笑みを浮かべてシンジを見た。これまた何かを
期待している目だ。
いったいこれは何なのか。
ただ考えていてもわかるはずがない。やはりこれは流れだ。流れがあるのだ。
メイド、執事(羊)、山羊と来て……。
シンジは脳汁を振り絞って考えた。
苦しい。異常に苦しいが、他には考えられなかった。
やはりこれは有能な……。
「……秘書、ですか?」
「もちろんですわ」
ミサトは満足そうな笑顔を浮かべた。
「ミサトさん」
「はい」
「なんなんですか、秘書っていうのは」
「碇さん、まさか秘書をご存じない――」
「そんなことを言ってるんじゃありません!」シンジは思わず叫んだ。「メイド、執事で秘書
ですか! あまりにも関係がなさ過ぎます! まだ山羊の方がわかりやすい! 秘書? 意味
がわかりませんよ! なんで秘書なんですか。どうして秘書なんですか! なにが秘書なんで
すか!」
「碇さん、ひしょひしょと連呼しないで下さい。恥ずかしくてドキドキしてしまいます。これ
ではセクハラですわ」
シンジは再び考え込んだ。恥ずかしい? ドキドキ? セクハラ?
見つめ合うこと三十秒。ついに思い当たったシンジは思わず立ち上がって叫んだ。
「違う! 秘所じゃない! 秘書だ!」
「碇さん」
「なんです!」
「暑いですし、避暑などいかがでしょうか」
「あ、いいですね」
「近場ですが、箱根に会社の保養所があります。みんなで行きましょう。予約を入れてきます」
「よろしくお願いします」
「失礼いたします」
ミサトは退室した。
誕生日に避暑、というプレゼントのためにわざわざ秘書のコスプレで来たのか。
果たして喜ぶべきなのかどうか、シンジには判断がつかないのであった。
お下劣です。
書いては見たものの詰める気力はなかったので書きなぐり。詰めたところでどうなるわけで
もないし(^^;)。
----------
続いて行動を起こしたのはアスカであった。
「めええ」
シンジは硬直し、続いて深くため息をついた。
「アスカ……」
「めえ?」
「百歩譲って言えば、アスカはメイドでもいいと思うんだ」
「めえ」
「アスカのそれは執事でもなければ羊でもない。山羊だ。全く意味がないんだよ」
山羊アスカは背後に隠し持っていた皿を得意げに差し出した。そこにはクレープらしきもの
が紙状に展開されている。続けてチョコレートらしきものの入ったチューブを出した。何かを
期待するような、可愛い笑顔でシンジを見つめる。
シンジはやむを得ず彼女の期待に応えた。それしかないじゃないか。チューブを取り、クレ
ープに字を書く。
『アスカはどんな格好でも可愛いね』
山羊アスカはクレープを取るとぱくぱくむしゃむしゃと一気に食べた。
「しろやぎさんたらお手紙食べた~♪」
歌いながら去って行く山羊アスカを呆然と見送る。
いずれにしろ意味が無いことに変わりはないのではないかと思うシンジであった。
次に行動を起こしたのはミサトである。
それはその日の夜、シンジが宿題を片付けている時のことであった。
コンコン、とドアをノックする音がした。彼は最初、それがノックの音だとは気づかなかっ
た。シンジの部屋の入り口はふすまであるため、ノックしてもコンコンという澄んだ音はせず、
ばすばすというような間の抜けた音がするだけなのである。
再びコンコンと音がし、シンジはようやく顔を上げた。
「は、はい?」
「碇さん、コーヒーをお持ちしました」
静かにふすまが開かれ、入ってきたのはビシッとスーツに身を固めたミサトである。
ミサトは、硬直すると言うよりあっけにとられているシンジを尻目に、正座して(シンジの
机は座り机のためこうするしかない)机の上にコーヒーを置くと、トレイを胸に当て、柔らか
な、それでいて少女のようないたずらっぽい微笑みを浮かべてシンジを見た。これまた何かを
期待している目だ。
いったいこれは何なのか。
ただ考えていてもわかるはずがない。やはりこれは流れだ。流れがあるのだ。
メイド、執事(羊)、山羊と来て……。
シンジは脳汁を振り絞って考えた。
苦しい。異常に苦しいが、他には考えられなかった。
やはりこれは有能な……。
「……秘書、ですか?」
「もちろんですわ」
ミサトは満足そうな笑顔を浮かべた。
「ミサトさん」
「はい」
「なんなんですか、秘書っていうのは」
「碇さん、まさか秘書をご存じない――」
「そんなことを言ってるんじゃありません!」シンジは思わず叫んだ。「メイド、執事で秘書
ですか! あまりにも関係がなさ過ぎます! まだ山羊の方がわかりやすい! 秘書? 意味
がわかりませんよ! なんで秘書なんですか。どうして秘書なんですか! なにが秘書なんで
すか!」
「碇さん、ひしょひしょと連呼しないで下さい。恥ずかしくてドキドキしてしまいます。これ
ではセクハラですわ」
シンジは再び考え込んだ。恥ずかしい? ドキドキ? セクハラ?
見つめ合うこと三十秒。ついに思い当たったシンジは思わず立ち上がって叫んだ。
「違う! 秘所じゃない! 秘書だ!」
「碇さん」
「なんです!」
「暑いですし、避暑などいかがでしょうか」
「あ、いいですね」
「近場ですが、箱根に会社の保養所があります。みんなで行きましょう。予約を入れてきます」
「よろしくお願いします」
「失礼いたします」
ミサトは退室した。
誕生日に避暑、というプレゼントのためにわざわざ秘書のコスプレで来たのか。
果たして喜ぶべきなのかどうか、シンジには判断がつかないのであった。
件名 | : Re: またも誕生日 |
投稿日 | : 2012/06/12 01:50 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
チュッ
淫靡な音と共にレイの口唇を奪ったのは、レイもシンジも、そして作者(現時点で約二名)す
らも想像だにしなかったことに、なんと突如割って入ったヒカリなのであった。
存分にレイの口唇を味わった後、ヒカリはレイを背中の後ろにかばうようにして叫んだ。
「あたしのレイを碇君なんかには渡さないわ!」
状況を全く理解できないレイは目を激しくしばたたかせる。シンジも金縛り状態だ。
「あたしはレイのためならメイドにだってなるわ! あなたにその決意があるの?」
「いやその……メイドって……」
-----
メイドを出したかったので書いてみた。
淫靡な音と共にレイの口唇を奪ったのは、レイもシンジも、そして作者(現時点で約二名)す
らも想像だにしなかったことに、なんと突如割って入ったヒカリなのであった。
存分にレイの口唇を味わった後、ヒカリはレイを背中の後ろにかばうようにして叫んだ。
「あたしのレイを碇君なんかには渡さないわ!」
状況を全く理解できないレイは目を激しくしばたたかせる。シンジも金縛り状態だ。
「あたしはレイのためならメイドにだってなるわ! あなたにその決意があるの?」
「いやその……メイドって……」
-----
メイドを出したかったので書いてみた。
件名 | : Re: またも誕生日 |
投稿日 | : 2012/06/08 23:05 |
投稿者 | : タン塩 |
参照先 | : |
数秒後、固唾を飲んでいた教室内が大きくどよめいた。
ゴンッ
シンジのこめかみに決まる、レイの強烈なヘッドバット。急所に直撃を喰らっ
たシンジはもちろん、かましたレイも額を押さえて言葉もなく悶絶。
「なんか見たことあるにゃー。ボボ・ブラジル?」
「側頭部を狙うのは大木金太郎じゃないかしら」
女子中学生にあるまじきマニアックな会話はさておき、なぜこうなったのかは
元老院並びにローマ市民諸君にはすでにお分かりであろう。故事に言う、騎虎の
勢い下るを得ず、の習いである。虎の背中に乗ったら降りられない、行くとこま
で行かにゃしゃーないのである。
「いてて…」
「うう……ご、ごめんなさい碇くん」
「だ、大丈夫だよ、あたた」
「わ、私……ごめんなさい!」
「待って!」
走り去ろうとしたレイの腕をつかんで引き止めるシンジ。のちの『今日のファイ
ンプレー』である。
「離して!」
「いやだ!」
「ごめんなさい!私…」
「僕はこんなことで綾波を嫌ったりしない!僕は…僕は…」
チュッ
ゴンッ
シンジのこめかみに決まる、レイの強烈なヘッドバット。急所に直撃を喰らっ
たシンジはもちろん、かましたレイも額を押さえて言葉もなく悶絶。
「なんか見たことあるにゃー。ボボ・ブラジル?」
「側頭部を狙うのは大木金太郎じゃないかしら」
女子中学生にあるまじきマニアックな会話はさておき、なぜこうなったのかは
元老院並びにローマ市民諸君にはすでにお分かりであろう。故事に言う、騎虎の
勢い下るを得ず、の習いである。虎の背中に乗ったら降りられない、行くとこま
で行かにゃしゃーないのである。
「いてて…」
「うう……ご、ごめんなさい碇くん」
「だ、大丈夫だよ、あたた」
「わ、私……ごめんなさい!」
「待って!」
走り去ろうとしたレイの腕をつかんで引き止めるシンジ。のちの『今日のファイ
ンプレー』である。
「離して!」
「いやだ!」
「ごめんなさい!私…」
「僕はこんなことで綾波を嫌ったりしない!僕は…僕は…」
チュッ
いのか。
お弁当を済ませたお昼休みだった。
おでこにリボンを巻いてわたしをプレゼントー! というのは周囲に幾多の玉砕例を見てい
たし、実はわたしもかつて決行直前に思いとどまったことがある。手料理は前にやったし。
彼は物欲が薄いというのも困難性に拍車をかけていた。さりげなく――などという高等話術
を駆使して――何か欲しい物はないか探りを入れてみたが、別にないなぁ、というそっけない
答えが帰ってきただけだった。もっともその後で、みんなが元気で幸せでいてくれるのが一番
だよ、それから綾波がぼくのそばにいてくれたらね、などと言ってわたしをきゅんとさせたの
だけれど。
でもそれは誕生日プレゼントとは違う話だ。
クラスの女の子たちが、たまに男の子の性欲について話している。水泳の時間にこっちを見
ていていやらしい、とか。碇くんといえども男の子なのだから性欲くらいあるだろう。キスも
してくれないけれど。
ならば。
わたしは思わず立ち上がった。
――碇くん、誕生日おめでとう。おっぱい触ってもいいよ。
だめだ。考えただけで顔が赤くなる。おでこにリボンより恥ずかしい。そもそもわたしのお
っぱいにそんな価値はない。アスカくらいたぷたぷのふわふわならいいのかもしれないけれど。
わたしは自分の胸を見下ろしてため息をついた。
それに、前に一度思いっきり掴まれてるし。
「おっぱいチェック!」
いきなり真希波さんが後ろからわたしの胸を鷲掴みにする。いつものことだけれど、わたし
は棒立ちになってしまう。
彼女が転校してきてから、クラスでおっぱいチェックが大流行した。もちろん女子の間だけ
で。今はさすがに少し下火になったけれど。わたしがアスカのおっぱいはたぷたぷのふわふわ
のふるふるだと知っているのは、彼女のおっぱいをチェックしたからだ。チェックしたからど
うということもないと思っていたけれど、わたしのおっぱいよりアスカのおっぱいの方がたぷ
たぷのふわふわのふるふるのふにふにで素敵ということはわかった。でも、それがわかったか
らといってどうすることも出来ない。
たぷたぷのふわふわのふるふるのふにふに。
あこがれる。
棒立ちになりながらそんなことを考えていると、真希波さんがわたしの身体を引き寄せ、耳
元に甘い吐息を漏らしながらささやく。
「レイちゃん、ワンコくんの誕生日におっぱい触らせようとしてるの?」
わたしは驚愕した。この人は超能力者か。
「ど、どうしてわかったの!?」
「だって、さっきからずっとブツブツ言ってたよ? 碇くん、誕生日、リボン、性欲、おっぱ
い、ふわふわのふにふにって。誰にでもわかるわよ」
しまった。思ったことをつい口に出すというのはわたしの悪い癖だけれど、こんな局面で、
しかもこんなところで出てしまうとは。
わたしは赤面した。
「いいんじゃない? 触らせてあげれば? おっぱいくらい。減るもんじゃなし」
真希波さんはわたしのおっぱいを優しく揉みながらささやき続ける。
「わ、わたしのおっぱいに、碇くんの誕生日プレゼントにするような価値は――」
「男の子にとってはね、好きな女の子のおっぱいだっていうところに価値があるのよ。大きさ
とかはどうでもいの。そりゃあレイちゃんのおっぱいはあたしのおっぱいより小さいけれど、
形は素敵だし柔らかくっていいと思うよ。ワンコくん、きっと鼻血吹くよ?」
「で、でも……」
「大丈夫。ほんのちょっとだけ勇気を出せばいいのよ。こうしてみんな大人になっていくの。
おっぱいを触ってもらったら、その次は――」
「真希波さん?」
「はいっ!」
唐突にヒカリに声をかけられ、彼女は直立不動の姿勢を取った。わたしもつられて気をつけ
をする。真希波さんはなぜかヒカリには弱い。あのアスカに対してでさえも強気で押しまくれ
るのに。
「あたしたち、まだ中学生なのよ? していいことと悪いことがあるわ」
「はい……。でもあの……」
「周囲を巻き込むのはやめて。わかった?」
「わかりました……」
ヒカリが行ってしまうと、真希波さんはがっくりと腰を落とし、深くため息をついた。
わたしも椅子に座る。
「なんか弱いのよね、委員長には。権力には逆らうっていうのがあたしの主義なんだけど」
「……」
「じゃあさ、おっぱいがだめなら、あられもない姿を写真に撮って――」
「真希波さん?」
ヒカリがまたまた現れた。
真希波さんがこんこんとお説教を受けているその隣でわたしは考え続ける。
わたしは碇くんが好きだ。碇くんもわたしを好きだと言ってくれる。なのにキスもしてくれ
ない。
最初の一歩というのは何だろうか。数々の漫画小説を参考にする限り、やはりそれはキスだ
ろう。わたしたちはキスもまだなのにおっぱいは触られてしまっている。最初から間違ってい
たのだ。でもそれはある意味で不器用なわたしたちにとてもふさわしいスタートだったのかも
しれない。わたしもかつてはヒトという存在ではなかった。スタートはヒトではなかったのだ。
でも今は彼の願いによってヒトになれた。それと同じようにやり直せばいい。わたし達の関係
を最初からやり直すには、誕生日というのはとてもいい機会だ。
そして、わたしが守りに守ってきた――というような危機を迎えたことはないけれど。碇く
んが初恋の人だし――このわたしのバージンを碇くんに奪ってもらうのだ。それは来年か再来
年の誕生日でもいい。ヒカリに怒られるから。初恋の人にバージンを捧げるなんてまるで小説
みたい。でもそれ以外考えられない。事実は小説より奇なり。
わたしがやり直すために結果としてサードインパクトが必要だったように、彼とやり直すた
めには単にキスをすればいいというものではない。それにファーストキスというのは奪われる
ものであって奪うものではない。つまり奪ってくれるように差し向けなければならない。そし
てそれはキスより前の段階でなければならない。スタートより前だ。手を繋ぐ? それでは生
ぬるい。日常的に手は繋いでいるし。
――ほっぺにキスだ。それしかない。うなじや耳より扇情的でないし、手とかだと意味不明
だ。ほっぺにちゅ。そんな歌もあったような気がする。二の腕にさりげなく胸でも押しつけれ
ばより効果的かもしれない。これだ。これしかない。ほっぺにちゅうだ。
――ほっぺにちゅ。
思い立ったが吉日。
「ほっぺにちゅ」
レイがそう言いながら立ち上がった。ヒカリがお説教を中断してレイを見る。クラス全体が
お喋りをやめてレイに注目した。教室内が沈黙に支配される。
「ほっぺにちゅ。ほっぺにちゅ」
レイだけが一人そうつぶやきながらシンジに向かって歩く。
「碇くん」
「あ、あやなみ……」
レイの笑顔は鬼気迫り、シンジの笑顔は引きつっている。
「碇くん、横を向いて」
「ま、待って綾波。ちょっと落ち着いて。どうせなら人気のないところで、雰囲気とかも――」
彼の切実な言葉はレイの耳に入らない。
業を煮やした彼女はシンジのあごを掴んでぐいと横を向かせる。
ヒカリが立ちふさがる間もなかった。
数秒後、固唾を飲んでいた教室内が大きくどよめいた。