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アイスクリームの賞味期限
件名 | : Re: アイスクリームの賞味期限 |
投稿日 | : 2021/05/14 01:04 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
台風、消してもいいわ、なんだったら。と彼女が言った。渚君の槍なんか使うまでもないわ。わたしが巨大化すれば造作もないことだから。片手で簡単に握りつぶせるもの。台風くらい。
そう言った綾波の笑みはまさに邪悪そのもので、まるでいつかの誰かのようだった。
彼女は凍りつく僕たちの向こう側を見つめている。わかってると思うけど、BGMはSPARKLEよ。達郎。巨大化したわたしはドレスなんか着ていないけれど。
それから彼女は、まるで思い出したようにゆっくりと僕たちに焦点を合わせた。溶けてからどうするかが問題なの。それが昨日買ったアイスでも、20年前のアイスでも、同じこと、何も違いはないわ。
「わたしもアイスが欲しい。それと、もうひとつ。わかるわね?」
そう言った綾波の笑みはまさに邪悪そのもので、まるでいつかの誰かのようだった。
彼女は凍りつく僕たちの向こう側を見つめている。わかってると思うけど、BGMはSPARKLEよ。達郎。巨大化したわたしはドレスなんか着ていないけれど。
それから彼女は、まるで思い出したようにゆっくりと僕たちに焦点を合わせた。溶けてからどうするかが問題なの。それが昨日買ったアイスでも、20年前のアイスでも、同じこと、何も違いはないわ。
「わたしもアイスが欲しい。それと、もうひとつ。わかるわね?」
件名 | : Re: アイスクリームの賞味期限 |
投稿日 | : 2018/09/20 21:29 |
投稿者 | : tomo |
参照先 | : |
>引き寄せられた先に、夏季限定のメロン味。
>今度は僕が、とろけるチーズになる番
ここの意味を理解するのに、全体を3~4回読み直してしまいました。ずいぶん読解力が落ちたものだなぁ~
書かないと、読めなくもなるのかなぁって思いました。
こんなアスカなら結婚したい(笑)
素敵なLASでした!
ありがとうございました。
>今度は僕が、とろけるチーズになる番
ここの意味を理解するのに、全体を3~4回読み直してしまいました。ずいぶん読解力が落ちたものだなぁ~
書かないと、読めなくもなるのかなぁって思いました。
こんなアスカなら結婚したい(笑)
素敵なLASでした!
ありがとうございました。
件名 | : Re: アイスクリームの賞味期限 |
投稿日 | : 2018/09/20 08:00 |
投稿者 | : のの |
参照先 | : |
すげえ、無理やりオチを捻じ曲げられた!笑
20年前の僕に、お前は20年後にHIROKIさんとそんなやりとりするぞと伝えても、絶対信じないだろうな……2年じゃないの?と。
20年前の僕に、お前は20年後にHIROKIさんとそんなやりとりするぞと伝えても、絶対信じないだろうな……2年じゃないの?と。
Written By NONO
「ねぇ知ってる?アイスクリームに賞味期限ってないんだって」
知りたくもない雑学を教える企業CMのような彼女の口ぶりに、
いつもの舌鋒鋭い様子は皆目見られず、とろけるチーズのような
くたっとした口調に思わず漫画を閉じて振り返ると、彼女はソフ
ァに寝っ転がって天井を仰ぎ見ながら、買ったばかりの夏季限定
メロン味のリップクリームをぶらぶらさせていた。半年前に買っ
ていたシュノーケルもつけたままだった。
「そんなことしても、沖縄にテレポートはできないよ」
「そんなこと、やってみなきゃわかんないでしょうが」
「それくらい、わかるよ」
どうだか、と彼女は言った。その言葉とは正反対に、体はまる
で動く気配がない。白い肌も躍動感がなく、日陰に置かれた冷た
い彫刻を思わせた。
「いいかげん、諦めなよ」
「だってこれで二度目よ、二度目。このあたしの快気祝いってい
う、これ以上ない名目でおおっぴらにタダできれいな海で遊ぼうっ
てのに、なによ、風だ雨だ欠航だって。夏だ海だタツローだ、が
日本のあるべき夏ってもんでしょうが。話が違うってえの」
まくしたてる彼女はようやくいつものように足をばたつかせは
じめた。元気なのはきっと彼女の取り柄だけど、このエネルギー
が他者に向くと本当に遠慮なくものを言うので、そろそろ話を切
り上げたくなった。
「ねえわかってんの?台風、なんとかしてよ」
「そんな無茶な」
「こうなりゃファーストを脅してでも台風を消し去るしかないわ」
「もっと無茶だよ」
「それかカヲルね。あいつの槍を使えば」
「その話、していいんだっけ」
ごう、ごう、びゅう、と漫画のような擬音が見えるくらいの風
が外で鳴り響いている。二重窓が揺れて隣の家の物干し竿の揺れ
る音まで聞こえている。ニュースでは飛行場が封鎖されたと報じ
られているし、死者まで出ている。僕には彼女がそれ知ってても
ゴネる気持ちがわからなかった。
「とにかく、あたしはなんとしてでも今回は沖縄に行きたいの。
海で遊びたいの」
最後にものすごく小さな声で、みんなで、と付け加えていたの
も、ちゃんと聞こえていた。彼女がいつ送還されるかわからない
身だということを思い出して、顔をそらした。僕たちが同じ町で
同じ暮らしをしていられるのも、あと少しかもしれない。
「だったらなおさら、ちゃんとあきらめようよ。不機嫌な時間じゃ
なくて」
「そんなこと、わかってるってば」
シュノーケルを取らないアスカの声を聞いて、僕はまた彼女か
ら目をそらした。彼女を抱きしめたりしたら、どんな手触りで、
髪からは匂いがするだろうかとか、そんなことを考えてしまう。
そんなことをしても、何にもなりゃしない、彼女は僕のものになっ
たりしないから。
「アイス、食べよっか」
「ミサトが帰ってからにするんじゃないの」
「いいよべつに、ビール飲むのに付き合うの面倒くさいし」
冷蔵庫から夏季限定アイスの売れ残りを買いだめしておいた、
3種類のアイスから2本を出した。
「冷凍みかん味とマンゴー、どっちがいい?」
「どれ、見せて」
シュノーケルを外して、跡がくっきり残る顔のまま呼び寄せる
彼女が座るソファの脇に座ってアイスを差し出した。
「どっち?」
「こっち」
マンゴー味のアイスと僕の手が握られた。彼女の目を見た。
引き寄せられた先に、夏季限定のメロン味。
今度は僕が、とろけるチーズになる番。
手を伸ばしかけた僕からアイスを受け取って、彼女は言った。
「さ、アイス食べよ」
何もなかったかのように。え、と思わず声が漏れた。
「食べよ、アイス」
「賞味期限、ないんだよ、アイスって」
食い下がると、彼女は顔をしかめた。その顔だけで、何を言わ
れるのかはわかった。彼女の好きな、僕の苦手な言葉が、僕の
好きな笑顔から出てくることはすぐにわかった。
「あんた、バカ?賞味期限は『溶けるまで』でしょ」
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■呟
LAS!LAS!イエー!
ごめん!(誰が誰に何を言ってるの?)