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盂蘭盆会
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2024/08/12(Mon) 00:33 |
投稿者 | : 史燕 |
参照先 | : |
◯sakaeさん
感想ありがとうございます。
この季節になると自分でも読み返したくなるので、Twitterなどでも紹介しています。
> 「毎度出している」通り、毎年読んでいるような
いつもありがとうございます。
(この「毎度出している」とは、今年のTwitterでの紹介文の話です。ユーザーではない方のため、一応ご説明)
> 「レイとはどうだ?」にゲンドウの本音が含まれていて、ユイと重ね合わせる思いがあったが
>彼女を一人の個人として見ているシンジ君を素直に認めているゲンドウの良さを感じました
このあたりの本編までとは変わってきたゲンドウというのが、碇父子を書く醍醐味であります。
そして本作がLRS準拠と言える理由でもありますね。
> 古式に則った墓参りでしたが、親子のコミュニケーションの取り方をユイさんは見ているだろうか、そんな思いがあったんでしょうかね
そうだといいな、と思います。
墓参りって、いろんな考えがありますが、私としては故人のためでありながら、遺された人々の気持ちの整理や想いを形にするための場でもあると思いますので。
不器用な関係ですが、ちゃんと親子だということもお互いに認めている。そんな感じかなと思います。
感想ありがとうございます。
この季節になると自分でも読み返したくなるので、Twitterなどでも紹介しています。
> 「毎度出している」通り、毎年読んでいるような
いつもありがとうございます。
(この「毎度出している」とは、今年のTwitterでの紹介文の話です。ユーザーではない方のため、一応ご説明)
> 「レイとはどうだ?」にゲンドウの本音が含まれていて、ユイと重ね合わせる思いがあったが
>彼女を一人の個人として見ているシンジ君を素直に認めているゲンドウの良さを感じました
このあたりの本編までとは変わってきたゲンドウというのが、碇父子を書く醍醐味であります。
そして本作がLRS準拠と言える理由でもありますね。
> 古式に則った墓参りでしたが、親子のコミュニケーションの取り方をユイさんは見ているだろうか、そんな思いがあったんでしょうかね
そうだといいな、と思います。
墓参りって、いろんな考えがありますが、私としては故人のためでありながら、遺された人々の気持ちの整理や想いを形にするための場でもあると思いますので。
不器用な関係ですが、ちゃんと親子だということもお互いに認めている。そんな感じかなと思います。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2024/08/11(Sun) 23:54 |
投稿者 | : sakae |
参照先 | : |
「毎度出している」通り、毎年読んでいるような
「レイとはどうだ?」にゲンドウの本音が含まれていて、ユイと重ね合わせる思いがあったが
彼女を一人の個人として見ているシンジ君を素直に認めているゲンドウの良さを感じました
古式に則った墓参りでしたが、親子のコミュニケーションの取り方をユイさんは見ているだろうか、そんな思いがあったんでしょうかね
「レイとはどうだ?」にゲンドウの本音が含まれていて、ユイと重ね合わせる思いがあったが
彼女を一人の個人として見ているシンジ君を素直に認めているゲンドウの良さを感じました
古式に則った墓参りでしたが、親子のコミュニケーションの取り方をユイさんは見ているだろうか、そんな思いがあったんでしょうかね
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2024/08/11(Sun) 22:11 |
投稿者 | : 史燕 |
参照先 | : |
◯いなりさん
感想ありがとうございます。
とても嬉しいです。
>ゲンドウ君がシンジに語る辺りがしみじみしました。こういう感じの碇親子の話に飢えておりましたので、ありがとうございました。
そうなんですね。
まさしくそういう感じの作品が書きたくて、読みたくて。
ただ、私には狙って書ける作品ではありませんので、気持ちや筆がうまく嵌ったらというところです。
またこんな風に碇父子の話を書けたらいいな、と思っています。
感想ありがとうございます。
とても嬉しいです。
>ゲンドウ君がシンジに語る辺りがしみじみしました。こういう感じの碇親子の話に飢えておりましたので、ありがとうございました。
そうなんですね。
まさしくそういう感じの作品が書きたくて、読みたくて。
ただ、私には狙って書ける作品ではありませんので、気持ちや筆がうまく嵌ったらというところです。
またこんな風に碇父子の話を書けたらいいな、と思っています。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2024/08/11(Sun) 21:58 |
投稿者 | : いなり |
参照先 | : |
素敵な話ですね。
ゲンドウ君がシンジに語る辺りがしみじみしました。こういう感じの碇親子の話に飢えておりましたので、ありがとうございました。
ゲンドウ君がシンジに語る辺りがしみじみしました。こういう感じの碇親子の話に飢えておりましたので、ありがとうございました。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2021/03/09 00:52 |
投稿者 | : 史燕 |
参照先 | : |
○tambさん
感想ありがとうございます。
夜にお参りするのは仕様です。
実家に夜に精霊流しをする風習があるので、そちらをモチーフにしました。
それと、夜に二人で提灯片手に並んで歩く姿が浮かんだので。
ゲンドウとシンジ君の関係も描いてみたかったんです。
感想ありがとうございます。
夜にお参りするのは仕様です。
実家に夜に精霊流しをする風習があるので、そちらをモチーフにしました。
それと、夜に二人で提灯片手に並んで歩く姿が浮かんだので。
ゲンドウとシンジ君の関係も描いてみたかったんです。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2021/03/06 23:57 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
あー、これ良いねー。
そもそも日本人なんてクリスマスにケーキ食って返す刀で除夜の鐘聞いて即初詣、的な部分はあるので、使徒と戦ってお盆にお墓参りというのもそんなに違和感はないのだけれど、有無を言わさず、という感じはゲンドウらしい。シンジのスケジュールは事前に把握していたはず(保安部を使って)。
何で夜なの、と思ったけれど、雰囲気は良く出てる。提灯に明かりを灯して墓地を歩くという発想がまず浮かばない。たぶんゲンドウも照れ臭いというかどうしたらいいのか良くわからない部分があったのだろう。父と息子というのはそんなものなのかもしれない。
素敵なお話でした。
そもそも日本人なんてクリスマスにケーキ食って返す刀で除夜の鐘聞いて即初詣、的な部分はあるので、使徒と戦ってお盆にお墓参りというのもそんなに違和感はないのだけれど、有無を言わさず、という感じはゲンドウらしい。シンジのスケジュールは事前に把握していたはず(保安部を使って)。
何で夜なの、と思ったけれど、雰囲気は良く出てる。提灯に明かりを灯して墓地を歩くという発想がまず浮かばない。たぶんゲンドウも照れ臭いというかどうしたらいいのか良くわからない部分があったのだろう。父と息子というのはそんなものなのかもしれない。
素敵なお話でした。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2020/09/17 21:04 |
投稿者 | : 史燕 |
参照先 | : |
○楓さん
ご無沙汰しております。
感想ありがとうございます。
綾幸のみなさんに見ていただけることが執筆のモチベーションです。
Tambさんをはじめ、みなさまには大変お世話になっております。
またの機会があれば、ぜひよろしくお願いします。
ご無沙汰しております。
感想ありがとうございます。
綾幸のみなさんに見ていただけることが執筆のモチベーションです。
Tambさんをはじめ、みなさまには大変お世話になっております。
またの機会があれば、ぜひよろしくお願いします。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2020/09/16 15:05 |
投稿者 | : 楓 |
参照先 | : |
こういう、どこか面白さも感じるほっこりする碇親子のお話は大好きです。
思い出して気まぐれに来たのですが、ここが残っていて、そして素敵な話が読めてよかったです。
思い出して気まぐれに来たのですが、ここが残っていて、そして素敵な話が読めてよかったです。
件名 | : Re: 盂蘭盆会 |
投稿日 | : 2020/09/10 19:54 |
投稿者 | : 史燕 |
参照先 | : |
○ののさん
感想ありがとうございます。
最近ここでお見せした作品がすべてまったくいいものではなかったので、この作品もあまり自信が無かったのですが、賞賛をいただいて大変ありがたく感じています。
>>史燕さん、こういう文章の人だったっけ…?という気もするのだけど、それは作り出したこの状況がそうさせるのかしら。
どこか意識して変更した部分は無いのですが、友人とそれぞれの地域のお盆の風習について談義しながら描いたので、その分余計な力が入らなかったのかもしれません。
出来上がってみると当初の予定ではシンジ君はレイと出かける話だったのに、気づいたら父親と出かけていて筆者自身が困惑しています。
また、いつか書きあがり次第こちらにお世話になるつもりですので、よろしくお願いします。
感想ありがとうございます。
最近ここでお見せした作品がすべてまったくいいものではなかったので、この作品もあまり自信が無かったのですが、賞賛をいただいて大変ありがたく感じています。
>>史燕さん、こういう文章の人だったっけ…?という気もするのだけど、それは作り出したこの状況がそうさせるのかしら。
どこか意識して変更した部分は無いのですが、友人とそれぞれの地域のお盆の風習について談義しながら描いたので、その分余計な力が入らなかったのかもしれません。
出来上がってみると当初の予定ではシンジ君はレイと出かける話だったのに、気づいたら父親と出かけていて筆者自身が困惑しています。
また、いつか書きあがり次第こちらにお世話になるつもりですので、よろしくお願いします。
Written by 史燕
碇シンジにとって、突如同居人である葛城ミサトから「お盆休み」などという単語が出たときの感想は、「それがどうした」というのが率直なものだった。
年から年中真夏日の日本にとって、夏休みというのは慣習に則った一つの授業の再編期間に過ぎなくなって久しい。ましてや、第三新東京市に移住する前の生活にいい思い出のないシンジにとってみれば、「お盆だからお墓参りしなきゃ」という理由で外出を決定した家主の行動に理解を示すものの、自身がなにか特別なことをする必然性は感じなかった。強いて特筆する点を挙げるとすれば、8月10日から20日まで、交代で勤務するNERV職員と異なり、チルドレンは、完全に休暇がもらえるということぐらいか。もっとも、サードインパクトから再編中のNERVに、普段もそこまでシンジたちが呼び出されることもないのだが。
一方のもう一人の同居人はというと、そもそも夏休み期間に入ってすぐに母国へ帰省してしまっている。「たまには義理を果たさないとね」というのは本人の弁だが、「あの子なりに、ご両親ときちんと向き合おうとしてるのよ。……不器用だけど」という保護者の意見には、「アスカも前に進もうとしてるんだなあ」となぜか感慨を覚えた。こんなことを本人の前で漏らすような愚を犯すつもりは毛頭ないが。
サードインパクトに至るまで散々使徒という西欧圏の宗教にちなんだ相手と戦っておきながら、日本土着の信仰形態を依然として維持するのは、逞しいというか、節操がないというか……。いずれにせよ、「いってらっしゃい」とさっさと放り出して、この際だから部屋の片づけを済ませて陽が傾き始めた頃だった。
予期せぬ来訪者の訪れを、玄関のベルが告げた。
「はーい」
そう言って、何気なく開けたドアの向こうに立っていたのは――
「シンジ、墓参りに行くぞ」
泣く子も黙るNERV総司令、碇ゲンドウだった。
「と、父さん!?」
シンジにしてみれば不意打ちもいいところである。
遺伝子上の親子関係にあるとはいえ、普段は全く会話すらない父親がいきなりやってきて、「墓参り」に同行させようというのだ。シンジでなくとも呆気にとられるのは当然の帰結である。
いや、確かにお盆には墓参りをするのは理解はできる。そして、シンジの母親にしてゲンドウの妻である碇ユイの墓参りに、親子そろって出向くのも何らおかしいことではない。
ユイの死後、初めての出来事という事実を捨象するなら、だが。
「時間がない、早くいくぞ」
ゲンドウは全く息子に説明するという気はないようだ。「用件は伝えた」と言わんばかりに、踵を返す。
同行していた保安部の職員が「下で車を待たせています。準備ができましたら、お乗りください」と気を利かせてくれなければ、シンジには何をどうしろというのかさっぱり理解できないところだった。
かくして、碇親子の奇妙な墓参りが始まった。
車内には、運転手と保安部の護衛、そしてゲンドウとシンジの四人。
碇親子の間で共通の話題のあるはずもなく、ただただ沈黙がその場を支配していた。
「むっ、ここで止めてくれ」
ゲンドウ本人以外の三人が、どうしようもない沈黙に内心頭を抱えていたところで、ゲンドウが車を止めるように促した。
古びた軒先に、かすれかかった看板は歴史を感じさせる。
それでも辛うじて「仏壇」という文字が読み取れる。
典型的とも言うべき、仏具屋の前だ。
「あ、花を用意しなくちゃね」
「ああ」
言葉短くゲンドウは同意し、降車すると、シンジも続くように誘う。
「来い、一緒に選ぼう」
「えっ」
普段は傲岸不遜で人に意見を求めるなどということをしない父親が、何を言っているのか理解できなかった。しかし、店内に入って花束を見ながら「白にするか、黄色にするか」と尋ねてくる姿は、果たしていつも発令所で見る父と同じ人物なのだろうか。
結局、樒5本に同数の白い菊の花を合わせて二組。それが、シンジが初めて真剣に父と相談を行った結果だ。
他には、線香に大きなろうそくを一本。
線香の香りに関しては、実に10分もの時間をかけて二人で吟味した。
「ほかにお客がいないから」と、最後に残った二種類を試しに焚いてもらえたのは僥倖だった。
それと、大きな紋が入った提灯を二つ。
「こっちはシンジ、お前の分だ」
そう言って渡されるまで、シンジは自分の家が文字通り碇をかたどった家紋なのだと知りもしなかった。
ゲンドウは他に、大きな袋を抱えていたが、その中身は教えてくれなかった。
郊外にある共同墓地まで、再び車に揺られて半時間。
同じく車内は沈黙に支配されていたが、今度はそこまで不快ではなかった。
「ここからは、二人で」
ゲンドウは墓地の外れで保安部に告げると、提灯に明かりを灯した。
「シンジ、お前のも」
「うん」
二人で片手に提灯を提げ、もう片方には袋と花束。
何一つ違わない、統一された墓碑の中からでも、目的の場所へ二人そろって迷わずたどり着くのは、やはりその思い入れの深さゆえか。
珍しく、本当に珍しく、道中でゲンドウはシンジの近況を知りたがった。
「学校は、どうだ?」
「うん、まあぼちぼちかな」
「友達はできたか?」
「うん、今度また、宿題見せてくれって頼まれてるんだ」
「そうか」
「レイとは、どうだ?」
「どうだって、何が?」
「いや、なんでもない」
辺りはすっかり陽が落ち、気づけば、二つの提灯だけが、暗闇を照らしていた。
ろうそくに火を灯し、花束を供える。
二本ずつ並んだ線香は、かぐわしい香りと共に、鎮魂の思いを形にする。
親子そろって手を合わせて、瞑目する。
死者が還ってくる盂蘭盆会だからこそ、いっそう真摯に、いっそう静かに。
「最後にもう一つ、やらなければならい」
ゲンドウはそう告げると提灯の明かりの下で、持ってきた荷物を広げ始めた。
テキパキと部品を組み合わせて作られたそれは、小さいながらも立派な船だった。
「故人の魂を、船に乗せて送り出すのだ」
不思議そうに見つめる息子に、組み立てながら簡単に説明する。
本来であれば、もっともっと大きな船を用意するのが正しい風習だそうだが、「私たちには、このくらいがちょうどいい」とのことだ。
墓地の側の川岸で、船の上にろうそくを移し、二人で送り出す。
本場では、花火や爆竹を鳴らしながら華々しく送るのだそうだが、想像もつかない。
全く馴染みのないシンジにとっては、船で送り出すという行為自体が驚きだった。
再度、暗闇を二人で歩きながら、迎えの車まで向かう。
歩きながら、ゲンドウはまた口を開いた。
「レイは、レイはユイに似ている。だが、似ているだけだ。私は、それを、勘違いしていた」
「正直に言おう。レイを、私は、母さんと重ねていたんだ」
「だが、シンジ。お前は違う。レイを、レイとして、綾波レイという個人を、きちんと見つめている」
「それは、それが、純粋にうれしい」
「シンジ、お前は、もう、自分自身の足で立っている」
「いまさら父親面をするのもおこがましいが、これだけは、これだけは言わせてほしい」
“シンジ、大きくなったな”
暗闇は、意外と人を饒舌にするのかもしれない。
一方的に告げられた中身だが、シンジも不思議と、父親の言葉を素直に受け入れられた。
「それじゃ、帰りは気を付けて」
車を降りて、マンションの階段を上る。
結局、それっきり何も言葉は交わさなかったが、シンジはもう十分にゲンドウと心が通じたことがわかっていた。
夜空の向こうでは、今でも白い煙が、高く高く立ち昇っていた。